JP2863223B2 - 延伸フィルム又はシートの製造方法 - Google Patents

延伸フィルム又はシートの製造方法

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JP2863223B2 JP1287548A JP28754889A JP2863223B2 JP 2863223 B2 JP2863223 B2 JP 2863223B2 JP 1287548 A JP1287548 A JP 1287548A JP 28754889 A JP28754889 A JP 28754889A JP 2863223 B2 JP2863223 B2 JP 2863223B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は延伸フィルム又はシートの製造方法に関し、
詳しくは、シンジオタクチック構造を有するスチレン系
重合体の延伸フィルム又はシートを、厚みむらなく、し
かも高い生産性で製造する方法に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
従来より二軸延伸フィルムの製造において、生産性を
高め、コストを低減することは、品質向上とともに重要
な課題であり、そのためには、回転冷却媒体(冷却ロー
ル等)の表面の周速を大きくし、製膜速度を向上させる
のが最も効果的であることが知られている。
一方、ポリエステル延伸フィルムの製造時に、静電印
荷したキャストを用いることにより、生産性を向上でき
ることが知られている(特開昭50−136365号公報,同50
−139872号公報,同51−70269号公報等)。
ところで、本発明者らのグループが先般開発したシン
ジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(以下SP
Sと称することがある)は、耐熱性,耐水性や電気絶縁
性に優れ、しかもオリゴマーの少ない重合体であって、
様々な用途が期待されており、このSPSの延伸法もいく
つか提案されている(特開平1−110122号公報,特開平
1−182346号公報)。しかしながら、このSPSは、一般
のアタクチック構造のスチレン系重合体(aPS)と異な
り結晶性であり、他の結晶性樹脂(ポリプロピレン,ポ
リエチレンテレフタレート,ナイロン等)と比較しても
結晶化温度,結晶化速度,粘度等が異なるため、従来の
方法では必ずしも満足できる結果は得られていない。
そこで、本発明者らは、シンジオタクチック構造を有
するスチレン系重合体の結晶化速度及び結晶化温度を考
慮し、厚みむらの少ない延伸フィルムを生産性良く製造
すべく鋭意検討を行った。
〔課題を解決するための手段〕
その結果、SPSを製膜する際に、一定の溶融粘度を有
するSPSを、特定温度において静電印荷キャストするこ
とによって、上記課題を解決できることを見出した。本
発明はかかる知見に基いて完成したものである。
すなわち本発明は、シンジオタクチック構造を有し、
かつ300℃,剪断速度200/秒での溶融粘度が1×102〜1
×106ポアズであるスチレン系重合体又はその組成物
を、加熱溶融してシート状に押出した後、得られたシー
ト状物に結晶化温度より30℃低い温度以上,融点より30
℃高い温度以下で静電印荷して冷却,固化し、次いで該
シート状物を延伸することを特徴とする延伸フィルム又
はシートの製造方法を提供するものである。
本発明においては、素材の主要構成成分としてシンジ
オタクチック構造を有するスチレン系重合体を用いる。
ここで、上記シンジオタクチック構造を有するスチレン
系重合体におけるシンジオタクチック構造とは、立体化
学構造がシンジオタクチック構造、即ち炭素−炭素結合
から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置
換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有
するものであり、そのタクティシティーは同位体炭素に
よる核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量される。13
C−NMR法により測定されるタクティシティーは、連続す
る複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダ
イアッド,3個の場合はトリアッド,5個の場合はペンタッ
ドによって示すことができるが、本発明に言うシンジオ
タクチック構造を有するスチレン系重合体とは、通常は
ラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、若
しくはラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以
上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン,
ポリ(アルキルスチレン),ポリ(ハロゲン化スチレ
ン),ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン),ポリ(ア
ルコキシスチレン),ポリ(ビニル安息香酸エステ
ル)、これらの水素化重合体およびこれらの混合物、あ
るいはこれらを主成分とする共重合体を指称する。な
お、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ
(メチルスチレン),ポリ(エチルスチレン),ポリ
(イソプロピルスチレン),ポリ(ターシャリーブチル
スチレン),ポリ(フェニルスチレン),ポリ(ビニル
ナフタレン),ポリ(ビニルスチレン)などがあり、ポ
リ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチ
レン),ポリ(ブロモスチレン),ポリ(フルオロスチ
レン)などがある。また、ポリ(ハロゲン化アルキルス
チレン)としては、ポリ(クロロメチルスチレン)な
ど、また、ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ
(メトキシスチレン),ポリ(エトキシスチレン)など
がある。さらに、これらの構造単位を含む共重合体のコ
モノマー成分としては、上記スチレン系重合体のモノマ
ーのほか、エチレン,プロピレン,ブテン,ヘキセン,
オクテン等のオレフィンモノマー、ブタジエン,イソプ
レン等のジエンモノマー、環状オレフィンモノマー、環
状ジエンモノマー、メタクリル酸メチル、無水マレイン
酸、アクリロニトリル等の極性ビニルモノマーが挙げら
れる。
なお、これらのうち特に好ましいスチレン系重合体と
しては、ポリスチレン,ポリ(p−メチルスチレン),
ポリ(m−メチルスチレン),ポリ(p−ターシャリー
ブチルスチレン),ポリ(p−クロロスチレン),ポリ
(m−クロロスチレン),ポリ(p−フルオロスチレ
ン),水素化ポリスチレン及びこれらの構造単位を含む
共重合体が挙げられる。
このスチレン系重合体は、分子量について特に制限は
ないが、重量平均分子量が60,000以上、3,000,000以下
で、好ましくは80,000以上、1,500,000以下である。さ
らに、分子量分布についてもその広狭は制約がなく、様
々なものを充当することが可能であるが、特に好ましく
は重量平均分子量/数平均分子量が1.5以上,8以下のも
のである。
さらに、本発明では、これらのスチレン系重合体のう
ち、温度300℃,剪断速度200/秒での溶融粘度が1×102
〜1×106ポアズ、好ましくは1×102〜5×105ポアズ
のものを用いる必要がある。
ここで、上記300℃,剪断速度200/秒での溶融粘度が
1×102ポアズ未満では、溶融状態から固化状態への変
化の際の弾性率のギャップが大きく安定して製膜を行う
ことが困難となる。また1×106ポアズを超えると、溶
融押出し時にメルトフラクチャーを生じ易くなる。
このようなシンジオタクチック構造を有するスチレン
系重合体は、例えば不活性炭化水素溶媒中または溶媒の
不存在下に、チタン化合物及び水とトリアルキルアルミ
ニウムの縮合生成物を触媒として、スチレン系単量体
(上記スチレン系重合体に対応する単量体)を重合する
ことにより製造することができる(特開昭62−187708号
公報)。また、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)に
ついては特開平1−46912号公報、これらの水素化重合
体は特開平1−178505号公報記載の方法などにより得る
ことができる。
本発明に使用される素材には、上述のSPSに加えて、
成形性,力学物性,表面性等を考慮して、本発明の目的
を阻害しない範囲で、酸化防止剤,帯電防止剤,難燃
剤,無機充填材,さらに他の樹脂などを適宜配合するこ
ともできる。
ここで他の樹脂としては、各種のものがあるが、例え
ば、アタクチック構造のスチレン系重合体,アイソタク
チック構造のスチレン系重合体,ポリフェニレンエーテ
ル等は、前述のシンジオタクチック構造のスチレン系重
合体と相溶になりやすく、延伸用予備成形体を作成する
ときの結晶化の制御に有効で、その後の延伸性が向上
し、延伸条件の制御が容易で、且つ力学物性に優れたフ
ィルムを得ることができる。このうち、アタクチック構
造および/またはアイソタクチック構造のスチレン系重
合体を含有させる場合、シンジオタクチック構造のスチ
レン系重合体と同様のモノマーからなるものが好まし
い。また、これら相溶性樹脂成分の含有割合は70〜1重
量%、特に好ましくは50〜2重量%とすればよい。ここ
で相溶性樹脂成分の含有割合が70重量%を超えると、シ
ンジオタクチック構造のスチレン系重合体の長所である
耐熱性等が損なわれるため好ましくない。また、非相溶
性樹脂としては、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレ
ン,ポリブテン,ポリペンテン等のポリオレフィン、ポ
リエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレー
ト,ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ナイ
ロン−6やナイロン6,6等のポリアミド、ポリフェニレ
ンスルフィド等のポリチオエーテル、ポリカーボネー
ト,ポリアリレート,ポリスルホン,ポリエーテルエー
テルケトン,ポリエーテルスルホン,ポリイミド,テフ
ロン等のハロゲン化ビニル系重合体、ポリメタクリル酸
メチル等のアクリル系重合体、ポリビニルアルコール
等、上記相溶性の樹脂以外はすべて相当し、さらに、上
記相溶性の樹脂を含む架橋樹脂が挙げられる。これらの
樹脂は、本発明のシンジオタクチック構造のスチレン系
重合体と非相溶であるため、少量含有する場合、シンジ
オタクチック構造のスチレン系重合体中に島のように分
散させることができ、延伸後に程良い光沢を与えたり、
表面のすべり性を改良するのに有効である。これら非相
溶性樹脂成分の含有割合は、光沢を目的とする場合は50
〜2重量%、表面性の制御を目的とする場合、0.001〜
5重量%が好ましい。また、製品として使用する温度が
高い場合は、比較的耐熱性のある非相溶性樹脂を用いる
ことが好ましい。
また、易滑な粗面を有する延伸フィルムやシートを所
望する場合には、素材中に無機微粒子を配合あるいは重
合中に析出させることによって、その表面滑性を調整す
ることができる。ここで、無機微粒子とは、I A族、II
A族,IV A族,VI A族,VII A族,VIII族,I B族,II B族,III
B族,IV B族元素の酸化物,水酸化物,硫化物,窒素化
物,ハロゲン化物,炭酸塩,硫酸塩,酢酸塩,燐酸塩,
亜燐酸塩,有機カルボン酸塩,珪酸塩,チタン酸塩,硼
酸塩及びそれらの含水化合物、それらを中心とする複合
化合物,天然鉱物粒子を示す。
具体的には、弗化リチウム,硼砂(硼酸ナトリウム含
水塩)等のI A族元素化合物、炭酸マグネシウム,燐酸
マグネシウム,酸化マグネシウム(マグネシア),塩化
マグネシウム,酢酸マグネシウム,弗化マグネシウム,
チタン酸マグネシウム,珪酸マグネシウム,珪酸マグネ
シウム含水塩(タルク),炭酸カルシウム,燐酸カルシ
ウム,亜燐酸カルシウム,硫酸カルシウム(石膏),酢
酸カルシウム,テレフタル酸カルシウム,水酸化カルシ
ウム,珪酸カルシウム,弗化カルシウム,チタン酸カル
シウム,チタン酸ストロンチウム,炭酸バリウム,燐酸
バリウム,硫酸バリウム,亜燐酸バリウム等のII A族元
素化合物、二酸化チタン(チタニア),一酸化チタン,
窒化チタン,二酸化ジルコニウム(ジルコニア),一酸
化ジルコニウム等のIV A族元素化合物、二酸化モリブデ
ン,三酸化モリブデン,硫化モリブデン等のVI A族元素
化合物、塩化マンガン,酢酸マンガン等のVII A族元素
化合物、塩化コバルト,酢酸コバルト等のVIII族元素化
合物、沃化第一銅等のI B族元素化合物、酸化亜鉛,酢
酸亜鉛等のII B族元素化合物、酸化アルミニウム(アル
ミナ),水酸化アルミニウム,弗化アルミニウム,アル
ミノシリケート(珪酸アルミナ,カオリン,カオリナイ
ト)等のIII B族元素化合物、酸化珪素(シリカ,シリ
カゲル),石墨,カーボン,グラファイト,ガラス等の
IV B族元素化合物、カーナル石,カイナイト,雲母(マ
イカ,キンウンモ),バイロース鉱等の天然鉱物の粒子
が挙げられる。
本発明で用いることのできる無機微粒子の平均粒径
は、特に制限はないが、好ましくは0.01〜3μm、より
好ましくは0.01〜1μmで、組成物中の含量は0.001〜
1重量%、好ましくは0.001〜0.8重量%である。
これらの無機微粒子は、最終的な成形品(フィルムや
シート)に含有されるが、含有させる方法に限定はな
い。例えば、スチレン系単量体の重合中の任意の過程で
添加あるいは析出させる方法、溶融押出する任意の過程
で添加する方法が挙げられる。またこれらの微粒子を効
果的に分散させるため、分散剤,界面活性剤等を用いて
もよい。また素材の溶融比抵抗を制御することを目的と
して、素材の導電性を向上させることのできるI A族元
素化合物,II A族元素化合物を添加しても良い。
本発明では、前記のようなシンジオタクチック構造を
有するスチレン系重合体またはその組成物(つまりこの
スチレン系重合体(SPS)を含有する組成物)を公知の
手段によりペレット化して押出用材料とし、このペレッ
トを押出機で押出してシート状物とする。本発明で言う
シート状の厚みは、3〜5000μm、好ましくは5〜3000
μmで、そのシート状物を用いて得られる延伸フィルム
は0.1〜1000μm、好ましくは0.3〜700μmである。例
えば、このペレットを、先端にT−ダイを取りつけた押
出機にて、加熱溶融してシート状に押出す。ここで用い
る押出成形機は、一軸押出成形機,二軸押出成形機のい
ずれでもよく、またベント付き,ベント無しのいずれで
もよいが、一軸の直列タンデム型が好ましい。さらにこ
の押出機には、押出量を安定させるためにギアポンプを
用いても良く、組成物中の粒子を制御し、夾雑物や異物
を除去するために適当なメッシュを使用することもでき
る。
またここで押出条件は、特に制限はなく、様々な状況
に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは温度を成形
素材の融点〜分解温度より30℃高い温度の範囲で選定す
る。例えば、シンジオタクチック構造のスチレンホモポ
リマーに無機微粒子を含有させた組成物の場合は265〜3
50℃が好ましい。ここで融点未満では全体が溶融しない
ため、押出しが困難で、分解温度より30℃高い温度を越
えると分解による発泡,着色,異臭が生じ好ましくな
い。さらに、T−ダイ口金部の剪断応力は5×106dyne/
cm2以下とすることがメルトフラクチャートを防止する
上で好ましい。
なお、上記分解温度とは、本明細書では、熱天秤によ
り測定した重量減少率が1%となった温度を言う。
次いで本発明では、上記の如く押出成形されたシート
状物に静電印荷を施す。静電印荷を施す方法は特に限定
はないが、通常は、ワイヤーあるいはナイフ状の電極を
設けてシート状物の片面に静電荷を析出させる方法が用
いられる。この電極には、通常、アースされた直流高電
圧発生装置が接続されており、また後述の冷却ロールに
もアースされたものを用いる。これらの位置関係は、シ
ート状物を中心とした場合に、片面側に冷却ロールを、
その反対側に電極を配置することが好ましい。
静電印荷に用いる印加電圧は、通常2〜30kVであり、
好ましくは3〜20kV、特に好ましくは5〜13kVである。
このとき、電圧が低すぎると静電印荷の効果が得られ
ず、電圧が高すぎるとフィルム表面が絶縁破壊により荒
らされやすくなる。
ここで、本発明においては、この静電印荷を行う際の
シート状物の温度を、結晶化温度(Tc)より30℃低い温
度(Tc−30℃)以上、融点(Tm)より30℃高い(Tm+30
℃)以下、好ましくは結晶化温度(Tc)〜(Tm)、特に
好ましくは結晶化温度(Tc)〜融点より10℃低い温度
(Tm−10℃)となるように、T−ダイと静電印荷電極の
位置,雰囲気等を調整する。このときのシート状物の温
度が(Tc−30℃)未満であると、結晶化が起こり易く、
その結果シート状物の弾性率が高くなり、冷却ロールに
密着しにくくなるため、結果的に厚みむらを生じ易くな
る。また、(Tm+30℃)を超えると、粘度が低くなり帯
電シートが変形し易くなるため、かえって厚みむらの原
因となったりする。
またここで示す融点及び結晶化温度とは、本明細書で
は、それぞれ押出し前の材料を示差走査熱量計におい
て、20℃/分で昇降温させた時にあらわれる融点ピーク
及び結晶化ピークの頂点の温度を言う。
このようにして静電印荷されたシート状物は、冷却ロ
ールによって冷却固化することで好ましい。この冷却ロ
ールの温度は0℃以上で、ガラス転移温度より30℃高い
温度以下とすることが好ましく、特に20℃以上、ガラス
転移温度以下に調節することが好ましい。冷却ロール温
度がガラス転移温度より30℃高い温度を超えると、シー
ト状物が冷却後に冷却ロールから離れ難くなり、0℃未
満にすることは装置構成上困難かつ不経済である。ま
た、冷却ロールの温度は、PID制御でコントロールし、
冷却ロール表面は、2S以上の鏡面仕上とすることが好ま
しい。また冷却速度は、200〜3℃/秒の範囲で適宜選
択することができる。さらに以上説明した加熱溶融,押
出,静電付与,冷却の各装置は、厚みむらを最小限にす
るためにできるだけ振動しないように設計,製造された
ものを用いることが望ましい。
次に、この冷却,固化したシート状物(予備成形体)
を延伸、特に一軸あるいは二軸に延伸する。二軸延伸の
場合は縦方向及び横方向に同時に延伸してもよいが、任
意の順序で逐次延伸してもよい。また延伸は一段で行っ
てもよく、多段で行ってもよい。
ここで延伸方法としては、テンターによる方法,ロー
ル間で延伸する方法,圧延による方法など様々であり、
これらを適当に選定あるいは組み合わせて適用すればよ
い。特に縦方向(MD)にロール間で延伸後、横方向(T
D)にテンターで延伸し、必要に応じて更に再延伸する
ことが好ましい。
延伸温度は、一般には予備成形体のガラス転移温度と
融点の間で設定すればよいが、逐次延伸あるいは多段延
伸する際には、1段目はガラス転移温度と結晶化温度の
間で行い、後段はガラス転移温度と融点の間で行うこと
が好ましい。また延伸速度は、通常は1×10〜1×105
%/分、好ましくは1×103〜1×105%/分である。
なお、延伸倍率は縦方向(MD),横方向(TD)共に2
倍以上が好ましく、面積延伸倍率としては6倍以上が好
ましい。
上述の如き条件で延伸して得られた延伸フィルムに、
さらに高温時の寸法安定性,耐熱性,フィルム面内の強
度バランスが要求される場合、特に線膨張係数を小さく
する上では、熱固定を行うことが効果的である。熱固定
は、通常行われている方法で行うことができるが、この
延伸フィルムを緊張状態,弛緩状態あるいは制限収縮状
態の下で、該フィルムのガラス転移温度〜融点、好まし
くは融点より100℃低い温度〜融点直前の温度範囲に
て、0.5〜120秒間保持することによって行えばよい。な
お、この熱固定は、上記範囲内で条件を変えて二回以上
行うことも可能である。また、この熱固定はアルゴンガ
ス,窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行っても良
い。
〔実施例〕 次に本発明を実施例及び比較例に基いてさらに詳しく
説明する。
参考例(トリメチルアルミニウムと水との接触生成物の
調製) アルゴン置換した内容積500mlのガラス製容器に、硫
酸銅5水塩(CuSO4・5H2O)17.8g(71ミリモル),トル
エン200ml及びトリメチルアルミニウム24ml(250ミリモ
ル)を入れ、40℃で8時間反応させた。その後、固体部
分を除去して得られた溶液から、更に、トルエンを室温
下で減圧留去して接触生成物6.7gを得た。このものの凝
固点降下法によって測定した分子量は610であった。
製造例1(スチレン系重合体の製造) 内容積2の反応容器に、精製スチレン1、参考例
1で得られた接触生成物をアルミニウム原子として5ミ
リモル、トリイソブチルアルミニウムを5ミリモル、ペ
ンタメチルシクロペンタジエニルチタントリメトキシド
0.025ミリモルを用いて90℃で5時間重合反応を行っ
た。反応終了後、生成物を水酸化ナトリウムのメタノー
ル溶液で触媒成分を分解後、メタノールで繰返し洗浄
後、乾燥して重合体308gを得た。
この重合体の重量平均分子量を、1,2,4−トリクロロ
ベンゼンを溶媒として、135℃でゲルパーミエーション
クロマトグラフィーにて測定したところ389,000であ
り、また重量平均分子量/数平均分子量は2.64であっ
た。また、融点及び13C−NMR測定により、この重合体は
シンジオタクチック構造のポリスチレンであることを確
認した。この重合体の300℃,200/秒における溶融粘度は
1×104ポアズであった。
製造例2(スチレン系重合体の製造) 内容積2の反応容器に、精製スチレン1、参考例
1で得られた接触生成物をアルミニウム原子として10ミ
リモル、トリイソブチルアルミニウムを60ミリモル、ペ
ンタメチルシクロペンタジエニルチタントリメトキシド
0.075ミリモルを用いて90℃で1時間重合反応を行っ
た。反応終了後、生成物を水酸化ナトリウムのメタノー
ル溶液で触媒成分を分解後、メタノールで繰返し洗浄
後、乾燥して重合体268gを得た。
この重合体の重量平均分子量を、1,2,4−トリクロロ
ベンゼンを溶媒として、135℃でゲルパーミエーション
クロマトグラフィーにて測定したところ180,000であ
り、また重量平均分子量/数平均分子量は2.53であっ
た。また、融点及び13C−NMR測定により、この重合体は
シンジオタクチック構造のポリスチレンであることを確
認した。この重合体の300℃,200/秒における溶融粘度は
2×103ポアズであった。
製造例3(スチレン系重合体の製造) 内容積500mlの反応容器に、トルエン100ml、参考例1
で得られた触媒生成物をアルミニウム原子として20ミリ
モル、トリメチルアルミニウムを10ミリモル、シクロペ
ンタジエニルチタントリクロリド0.05ミリモル及び精製
スチレン100mlを加え、60℃で3時間重合反応を行っ
た。反応終了後、生成物を水酸化ナトリウムのメタノー
ル溶液で触媒成分を分解後、メタノールで繰返し洗浄
後、乾燥して重合体7.1gを得た。
この重合体の重量平均分子量を、1,2,4−トリクロロ
ベンゼンを溶媒として、135℃でゲルパーミエーション
クロマトグラフィーにて測定したところ47,400であり、
また重量平均分子量/数平均分子量は3.43であった。ま
た、融点及び13C−NMR測定により、この重合体はシンジ
オタクチック構造のポリスチレンであることを確認し
た。この重合体の300℃,200/秒における溶融粘度は28ポ
アズであった。
実施例1 製造例1で得られたスチレン系重合体を充分に乾燥
後、押出機を用いてペレットとした。このペレットの融
点,結晶化温度,ガラス転移温度はそれぞれ、272℃,23
0℃,99℃であった。
このペレットを防震型,一軸タンデム型押出機の先端
にT−ダイを取り付けた装置で330℃にて溶融押出しし
た。この溶融押出ししたシート状物の温度が250℃とな
る位置にワイヤー電極を配置し、印荷電圧を10kVとして
冷却ロール接触直前のシート状物に静電印荷した。この
帯電した厚さ110μmのシート状物を40℃に温調された
冷却ロールを2本通過させた後巻取った。
ここで、冷却ロール及び巻き取りロールの速度を調整
しながら、引取速度の異なるサンプルを各10mずつ製造
した。この引取速度の異なるサンプルより任意に5点原
反を切出し、テーブルテンターにて110℃,3000%/分で
3倍に逐次二軸延伸して、得られた約12μmのフィルム
の厚みむらを、フィルムを10枚重ねて厚みを測定するこ
とによって評価した。この厚みむらが4%以下である最
大引取速度は、120m/分であった。尚、このときのシー
ト厚みは150μm、二軸延伸後のフィルムの厚みは16μ
mであった。
比較例1 静電印荷をせずに行ったことの他は、実施例1と同様
の操作を行ったが、厚みむらが4%以下のフィルムを得
ることはできなかった。
比較例2 静電印荷の代わりにエアナイフを用いて行ったことの
他は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、二軸
延伸後のフィルムの厚みむらが4%以下の最大引取速度
は40m/分であった。
比較例3 静電印荷部の温度が320℃となるように溶融温度,電
極位置を調整した以外は、実施例1と同様の操作を行っ
た。その結果、二軸延伸後のフィルムの厚みむらが4%
以下の最大引取速度は50m/分であった。
比較例4 静電印荷部の温度が180℃となるように溶融温度,電
極位置を調整した以外は、実施例1と同様の操作を行っ
たが、厚みむらが4%以下のフィルムを得ることはでき
なかった。
比較例5 製造例3で得たSPSを用いた以外は、実施例1と同様
の操作を行ったが、厚みむら4%以下のシートが得られ
る条件は見出せなかった。
実施例2〜4 静電印荷部の温度,印荷電圧,原反シート厚みを第1
表に示すようにしたことの他は、実施例1と同様の操作
を行った。得られたフィルムの厚みむらが4%以下であ
るそれぞれの最大引取速度を第1表に示す。
実施例5 製造例1において、精製スチレンモノマー中にシリカ
微粒子(デグツサ製アエロジルTT−600平均粒径40mμ)
を0.5重量部均一に分散させてスチレン系重合体を得
た。この重合体組成物より作成したペレットの融点,結
晶化温度,ガラス転移温度は、それぞれ273℃,233℃,10
0℃であった。この材料を用いて実施例1と同様の操作
を行った。得られたフィルムの厚みむらが4%以下であ
る最大引取速度は、120m/分であった。
実施例6 無機微粒子を含む材料を実施例5と同様にして作成し
た後、これとアタクチックポリスチレン(商品名:HH30
E,出光石油化学(株)製)を二軸押出機にて溶融混練
し、ペレットを作成した。ペレットの中のアタクチック
ポリスチレン含量は10重量%であった。このペレットの
融点,結晶化温度,ガラス転移温度は、それぞれ270℃,
220℃,101℃であった。この材料を用いて実施例1と同
様の操作を行った。得られたフィルムの厚みむらが4%
以下である最大引取速度は、110m/分であった。
実施例7 実施例5において精製スチレンモノマーにp−メチル
スチレンモノマーを加えてp−メチルスチレン含量9モ
ル%のスチレン共重合体組成物のペレットを得た。この
ペレットの融点,結晶化温度,ガラス転移温度はそれぞ
れ244℃,218℃,101℃であった。この材料を用いて実施
例1と同様の操作を行った。得られたフィルムの厚みむ
らが4%以下である最大引取速度は、120m/分であっ
た。
実施例8 製造例2の材料を用いたこと以外は、実施例1と同様
の操作を行った。得られたフィルムの厚みむらが4%以
下である最大引取速度は、90m/分であった。
実施例9 アタクチックポリスチレンの代わりに、ポリフェニレ
ンエーテル(PPO,アルドリッチ社製,カタログNo.18178
−1)を用いたこと以外は、実施例6と同様にした。
以上の各実施例及び比較例の主要条件及び結果(生産
性:最大引取速度)を第1表にまとめて示す。
〔発明の効果〕 叙上の如く、本発明によれば、シンジオタクチック構
造を有するスチレン系重合体またはその組成物からなる
シート,フィルムを、厚みむらが4%以内の厚み均一性
に優れたものを、生産性よく製造することができる。
したがって、本発明の方法は、磁気テープ,写真フィ
ルム,FPC,コンデンサーフィルムなどの各種産業用フィ
ルムを効率よく得る方法として有効な利用が期待され
る。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 47/00 - 47/96 C08F 12/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シンジオタクチック構造を有し、かつ300
    ℃,剪断速度200/秒での溶融粘度が1×102〜1×106
    アズであるスチレン系重合体又はその組成物を、加熱溶
    融してシート状に押出した後、得られたシート状物に結
    晶化温度より30℃低い温度以上,融点より30℃高い温度
    以下で静電印荷して冷却,固化し、次いで該シート状物
    を延伸することを特徴とする延伸フィルム又はシートの
    製造方法。
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