JP2854857B2 - キトサン又は改質キトサンが塗布された白血球除去用フィルタ - Google Patents

キトサン又は改質キトサンが塗布された白血球除去用フィルタ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不織布の表面に、
天然高分子キトサン又は改質キトサンが塗布された、白
血球除去用フィルタに関する。更に詳しくは、本発明
は、隣接繊維間の距離が微細な不織布上に、血液親和性
がよく、人体に副作用のない天然高分子キトサン又は改
質キトサン、即ちキトサングラフト重合体を塗布して製
造した白血球除去用フィルタに関する。本発明による白
血球除去用フィルタは、白血球除去率が高い上に、血小
板及び赤血球回収率も優れ、また臨床的な特性が優れて
いる。
【0002】
【従来の技術】血液は、人体の約6ないし8重量%を占
めており、その約40ないし45体積%は固形分であ
り、その残りは液状成分である。血液の固形細胞成分
は、赤血球、白血球及び血小板を含み、液状成分である
血漿は、フィブリノーゲン、アルブミン、γ−グロブリ
ンのような血漿タンパク質と、その他の有機物及び無機
塩などが水に溶解している状態にある。このように、人
体の構成成分としての血液のみならず、血液の各構成成
分に対しても、その機能的役割の重要性と価値が更に高
く認識されている。したがって、最近は、輸血パターン
も、従来の全血輸血に代って、積極的な血液供給パター
ンに転換されている。つまり、患者に必要な血液成分の
みを輸血する、成分輸血治療法が広く利用されている。
成分輸血の利点は、特定血液成分が多量に要求される患
者に、その成分のみを十分提供できる以外に、提供する
血液の1単位をもって、より多くの患者に恩恵を与える
ことができるという点で、血液資源の浪費を減らすこと
ができる。
【0003】しかし、全血はもちろん、血液成分の製剤
である赤血球の濃縮液、血小板の濃縮液などを輸血する
場合においても、血液製剤に混入されている白血球は、
非溶血発熱性輸血副作用、白血球抗体形成による輸血不
適化など種々の副作用を起こすことがある。
【0004】特に、血小板濃縮液の継続的な投与を必要
とする場合には、それに含まれている白血球の組織適合
性抗原により、同種免疫が起こることもあるため、でき
る限り血小板製剤から白血球を除去することにより、こ
のような輸血副作用を減少させることができるのであ
る。
【0005】血液から白血球を除去する方法としては、
献血者の数を減らすことができる血小板分離分別法が勧
奨されており、その他にも遠心分離沈殿法、生理食塩水
洗浄法などが通常的に利用されてきた。最近、フィルタ
を用いた濾過法が開発され、遠心分離沈殿法と洗浄法に
代って用いられている趨勢である。フィルタを使用する
濾過法では、使い捨ての単回用フィルタを用いるので、
感染のおそれがなく、また濾過は重力により行われるた
め、別途の機器装置の必要がなく、更に分離時間が短い
上に、白血球の除去率も他の方法に比べて非常に高いと
いう利点を有している。
【0006】セイファート(Seyfert)等は、顕微鏡ス
ライドマトリックスを多価カチオンでコーティングし
て、細胞吸着増加の実験を行い、細胞の吸着は、マトリ
ックス上における表面張力によるものでなく、表面電荷
による静電気的な相互作用により相当影響を受けている
と報告した〔S. Seyfert, A. Voigt and D. Kabbeck-Ku
pijai, "Adhesion of Leucocytes to Microscope Slide
s as Influenced by Electrostatic Interaction", Bio
materials, Vol.16, No.3, pp 201-207, (1995)〕。ま
た、西村等は、ポリエステル不織布を使用して白血球を
除去する場合に、不織布を構成する繊維の直径が小さい
ほど白血球除去率が増加すること、また不織布の表面に
ヒドロキシエチルメタクリレートとジエチルアミノエチ
ルメタクリレートとのランダム共重合体を塗布して、カ
チオン電位を与えることについて報告した〔T. Nishimu
ra, T. Kuroda, Y. Mizoguchi, H. Watanabe, H. Rikum
aruand M. Umegae, "Advanced Method for Leucocyte R
emoval by Blood Filtration" in "The Role of Leucoc
yte Depletion in Blood Transfusion Practice", Ed.
by B. Brozovic, Blackwell Scientific Publications,
Oxford (1989) pp 35-40〕。一方、ブルイル(Bruil)
等は、ポリウレタン不織布にポリエチレンイミンを塗布
した白血球除去フィルタの濾過実験において、フィルタ
表面上のアミンの選択的な相互作用を通じて白血球が吸
着されることを確認した〔A.Bruil, H.A.Oosterom, I.
Steneker, B.J.M.A1, T. Beugeling, W.G. van Aken, a
nd J.Feijen, "Poly(ethyleneimine) Modified Filters
for the Removal of Leucocytes from Blood", J.Biom
ed. Mat.Res., Vol.27, pp 1253-1268(1993)〕。
【0007】かかる白血球除去用フィルタは、現在臨床
的に利用されており、多くの特許が、各種の重合体によ
り表面改質された繊維状フィルタを用いた血液濾過装
置、及びそれを使用した血液濾過法を開示している(米
国特許第4,701,267号、同第4,880,54
8号、同第4,923,620号、同第4,936,9
98号、ヨーロッパ特許公開第0397403号、同第
0408462号、同第0406485号及び同第05
59086号)。しかし、上記のいずれの文献において
も、不織布をキトサン又はキトサンと血液親和性高分子
とのグラフト重合体を塗布した血液フィルタの使用例に
ついては見い出すことができない。したがって、不織布
の塗布物質として、合成高分子でない天然生体親和性高
分子又は該高分子のグラフト重合体を使用することによ
り、優れた効果を得ることができるという点に本発明の
意義がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、生体親
和性がより良好な血液濾過フィルタを開発するために鋭
意研究を行った結果、従来フィルタ材料として使用され
てきた不織布に、塗布物質としてキトサンを塗布するこ
とにより、優れた性能のフィルタが得られることを見い
出した。また、本発明者等は、キトサンの血液親和性を
更に増加させる研究を重ねた結果、キトサンと血液親和
性がよい種々の高分子物質とのグラフト重合体を、不織
布に塗布することにより優れた性能のフィルタを得るに
至った。
【0009】本発明による白血球除去用フィルタは、生
体副作用を示さない上に、満足する白血球除去能、血小
板及び赤血球の回収能を有する。これは、米国血液銀行
協会(American Association Blood Banks)による規格
の白血球除去率95%以上、血小板回収率90%以上、赤
血球回収率90%以上の規定にも合致している。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面がキトサ
ン又は改質キトサン、具体的にはキトサンと血液親和性
高分子とのグラフト重合体を塗布した不織布からなる、
白血球除去用フィルタを提供する。
【0011】本発明は、望ましくは脱アセチル化度が8
5ないし95%であり、平均分子量が200,000な
いし700,000であるキトサン、もしくは前記キト
サンにポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリ
メチルメタクリレート、ポリアクリル酸及びポリビニル
スルホン酸ナトリウム塩から選択される血液親和性高分
子をグラフトさせた重合体が塗布された、隣接繊維間の
間隙が3μm以下である合成又は天然繊維の不織布から
なる白血球除去用フィルタを提供する。
【0012】本発明はまた、キトサン溶液もしくはキト
サンと血液親和性高分子とのグラフト重合体溶液を不織
布に塗布して、白血球除去用フィルタを製造する方法を
提供する。
【0013】本発明は、望ましくは有機酸又は無機酸
中、0.1ないし5%濃度のキトサン溶液に、不織布を
30分ないし120分間浸漬し、場合によっては、浸漬
中、溶液に2時間以下超音波処理を行う、白血球除去用
フィルタの製造方法を提供する。
【0014】また本発明は、望ましくは有機酸又は無機
酸中、0.1ないし5%濃度のキトサン溶液と血液親和
性高分子とのグラフト重合体塗布液に、不織布を30分
ないし120分間浸漬し、場合によっては浸漬中、溶液
を2時間以下超音波処理を行うか、又は製造されたフィ
ルタに10mJ/cm2以下の紫外線を更に照射する製造方法
を提供する。
【0015】本発明における白血球除去の原理は、以下
の2つに基づく。まず、極細糸繊維からなる不織布の繊
維間間隙により、一次的に6〜20μmの白血球を除去
し、この際2〜4μmの血小板が6〜9μmの赤血球フィ
ルタを通過する。二次的な濾過メカニズムは、塗布され
た不織布表面上のカチオン残基と白血球間の静電気によ
る。本発明を、不織布のみによるフィルタを使用した濾
過実験の結果と比較して見れば、不織布の繊維間の間隙
の大きさにより、濾過は赤血球及び血小板の回収率と関
係が深く、また白血球除去率は、表面吸着がより重要な
役割を果たしていることが分かった。
【0016】血液細胞は、アミノ酸の結合体であるタン
パク質と、脂肪との混合物であると見なされ、全体的に
はアニオン性を帯びている。本発明では、かかる血液細
胞と静電気的な相互作用により吸着できる、カチオン電
位を有する吸着基材として、キトサン又はキトサンと血
液親和性高分子とのグラフト重合体を使用したものであ
る。
【0017】キトサンは、真菌類、酵母、海老、蟹及び
海洋無脊椎動物に由来する、炭水化物誘導体の一種であ
るキチンの脱アセチル化物であって、正式化学名は、
(1→4)2−アミノ−2−デオキシ−β−D−グルコ
サミンであり、化学構造は下記一般式(1)で示され
る。
【0018】
【化1】
【0019】一方、キトサンとグラフト重合させ得る血
液親和性高分子としては、例えばポリジメチルアミノエ
チルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ
アクリル酸及びポリビニルスルホン酸ナトリウム塩など
があり、これらとのグラフト重合体は、下記一般式
(2)ないし(5)で示すことができる。即ち、これら
の高分子は、キトサンのグルコピラノースの2番目の炭
素位置のアミノ基と作用する。
【0020】
【化2】
【0021】前記化学式から分るように、キトサン又は
血液親和性高分子とのグラフト重合体は、白血球の表面
に存在する陰電荷を吸着するカチオン性官能基を有し、
天然生体物質であって、人体に無害無毒であるため、濾
過媒体の表面改質を通じて、白血球除去用フィルタに効
果的に使用することができる。
【0022】本発明に使用されるキトサンは、脱アセチ
ル化度85ないし95%のものが特に好ましい。また、
平均分子量が200,000ないし700,000のも
のが特に望ましい。キトサンと前記高分子とのグラフト
重合体は、当分野において公知の常法により製造するこ
とができ、特に脱アセチル化度85ないし95%であ
り、平均分子量が200,000ないし700,000
のキトサンとグラフト重合させたものが好ましい。
【0023】本発明により、隣接繊維間間隙の大きさに
より、一次的な濾過メカニズムを提供する不織布として
は、各種の合成又は天然繊維から製造された不織布を使
用することができ、例えばポリエステル、ポリアミド、
セルロース及びその他セルロース誘導体を使用すること
ができる。使用される不織布は、隣接繊維間の間隙が3
μm以下、繊維直径約1.8μm、バルク密度約0.15
g/cm3望ましく、特に前記の特性を有するポリエステル
極細糸の不織布が望ましい。
【0024】本発明による白血球除去用血液フィルタ
は、前記のキトサン溶液又はキトサングラフト重合体溶
液に不織布を浸漬するか、又は不織布にキトサン溶液又
はキトサングラフト重合体溶液を噴射して、製造するこ
とができる。例えば溶液中に浸漬して塗布する場合、酢
酸又はギ酸のような有機酸又は無機酸中、望ましくは
0.1ないし5%濃度のキトサン溶液又はキトサングラ
フト重合体溶液に、不織布を30分ないし120分間浸
漬ことにより製造できる。浸漬中、溶液を2時間以下超
音波処理することが望ましい。また、キトサンと血液親
和性高分子とのグラフト重合体溶液に、不織布を塗布し
て製造したフィルタを、10mJ/cm2以下の紫外線で照射
して、更に改質することが望ましい。
【0025】本発明により製造されたフィルタは、当分
野の通常の方法により全血もしくは各種の血液成分製剤
の濾過に使用することができる。
【0026】
【実施例】下記実施例は、本発明を具体的に説明するた
めのものであって、いかなる意味からも本発明を限定す
るものではない。下記実施例及び比較例において、白血
球除去率、血小板回収率及び赤血球回収率は、血球分析
器を用いて得たデータを、下記式により計算して求めた
値である。
【0027】白血球除去率(%)=〔1−濾過後の全体
白血球の数/濾過前の全体白血球の数〕×100 血小板回収率(%)=〔濾過後の全体血小板の数/濾過
前の全体血小板の数〕×100 赤血球回収率(%)=〔濾過後の全体赤血球の数/濾過
前の全体赤血球の数〕×100
【0028】<実施例1>海老から得た、平均分子量約
500,000、脱アセチル化度約92%のキトサン
を、1%酢酸中に溶解して、1%キトサン溶液500ml
を製造した。これに、隣接繊維間間隙3μm、繊維直径
1.8μm、バルク密度0.156g/cm3の、医療用極細
糸ポリエステル不織布(30mm×30mm×1.8mm, Ly
dall Co., U.S.A.)を25℃で約60分間浸漬した。塗
布液から不織布を取り出して、40℃で約50分間乾燥
した後、20ないし25℃の真空乾燥機中で約24時間
乾燥した。赤十字血液院から購入した600mlの全血血
液2単位を、前記フィルタを含む常温の濾過キット内
で、通過時間約13ないし15分/1単位の速度で濾過
した。血球分析器(Cell-dyn 900, SeQuoia-Turner C
o., U.S.A.)を用いて、濾過前後の血球の数を測定し
た。前記式による白血球除去率、血小板回収率及び赤血
球回収率は、それぞれ99%、95%及び95%であっ
た。
【0029】<実施例2>実施例1と同様な方法により
フィルタを製造するに際して、塗布液として1%酢酸
中、3%キトサン溶液を使用した。実施例1と同一条件
で、全血を濾過後、測定した白血球除去率、血小板回収
率及び赤血球回収率は、それぞれ96%、95%及び9
5%であった。
【0030】<実施例3>実施例1と同様な方法により
フィルタを製造するに際して、塗布液として1%酢酸
中、5%キトサン溶液を使用した。実施例1と同一条件
下で血液を濾過した後、測定した白血球除去率、血小板
回収率及び赤血球回収率は、それぞれ90%、80%及
び67%であった。
【0031】<実施例4>反応器に、蟹から得た平均分
子量約500,000、脱アセチル化度約90%のキト
サン2gと、ジメチルアミノエチルメタクリレート単量
体5gを入れて、0.5%酢酸200mlを加えて、窒素
気流下で攪拌して膨潤させた。反応開始剤として0.1
Mセリックアンモニウムナイトレート(Ce(NO34
・2NH4NO3)溶液4mlを加え、40℃で4時間グラ
フト重合させた。得た重合体をアセトン3,000mlに
浸漬して攪拌し、生成物を濾過して、50℃で6時間減
圧下で乾燥した後、ソックスレー装置を用いてメタノー
ル中で24時間還流させて、ホモポリマーを抽出した。
更に、50℃で6時間減圧下で乾燥して、重合を完成さ
せ、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートグラフト
キトサン(グラフト率35%)を得た。
【0032】<実施例5>実施例4と類似した方法によ
り、平均分子量約450,000、脱アセチル化度約8
5%のキトサンにメチルメタクリレートをグラフト重合
させて、ポリメチルメタクリレートグラフトキトサン
(グラフト率16%)を得た。
【0033】<実施例6>実施例4と類似した方法によ
り、平均分子量約550,000、脱アセチル化度約9
5%のキトサンにアクリル酸をグラフト重合させて、ポ
リアクリル酸グラフトキトサン(グラフト率17%)を
得た。
【0034】<実施例7>実施例4と類似した方法によ
り、平均分子量約700,000、脱アセチル化度約9
0%のキトサンにビニルスルホン酸ナトリウム塩をグラ
フト重合させて、ポリビニルスルホン酸ナトリウム塩グ
ラフトキトサン(グラフト率90%)を得た。
【0035】<実施例8>平均分子量約450,00
0、脱アセチル化度約85%のキトサンを、1%酢酸中
の3%溶液として得た後、フィルムキャスティングを行
った。キャスティングしたフィルムを50℃で24時間
真空乾燥した後、大きさ約10mm×10mm×0.5mmの
フィルムに切り取った。白血球の濃縮液(赤十字血液
院)を生理食塩水で4倍希釈し、これに前記のフィルム
を浸漬した。浸漬前後の白血球の濃縮液中、白血球の数
を百分率で示した相対的白血球吸着率を、浸漬時間10
分、30分、60分、90分及び120分毎に測定した
結果、それぞれ16%、40%、70%、72%及び8
9%であった。
【0036】<実施例9>平均分子量約470,00
0、脱アセチル化度約90%のキトサンを使用したこと
以外は、実施例8と同様な方法により実施した。10
分、30分、60分、90分及び120分浸漬後の白血
球吸着率は、それぞれ22%、41%、79%、82%
及び93%であった。
【0037】<実施例10>平均分子量約420,00
0、脱アセチル化度約95%のキトサンを使用したこと
以外は、実施例8と同様な方法により実施した。10
分、30分、60分、90分及び120分浸漬後の白血
球吸着率は、それぞれ25%、43%、81%、85%
及び99%であった。
【0038】<実施例11>蟹から得た平均分子量約5
50,000、脱アセチル化度約95%のキトサンを、
1%酢酸中の1%溶液として実施例1と同様にフィルタ
を製造した。実施例1と同一条件下で血液を濾過した
後、測定した白血球除去率と血小板回収率は、それぞれ
99%及び97%であった。同一条件下で、平均分子量
約700,000、脱アセチル化度約90%キトサン
を、1%酢酸中の1%溶液として使用したとき、白血球
除去率と血小板回収率は、それぞれ90%及び80%で
あった。
【0039】<実施例12>使用するキトサンの平均分
子量と1%酢酸中の塗布液濃度を、下記のように変化さ
せたこと以外は、実施例1と同様な方法によりフィルタ
を製造した。白血球除去率及び血小板回収率は表1のと
おりであった。
【0040】
【表1】
【0041】<実施例13>平均分子量約500,00
0、脱アセチル化度90%のキトサンを、1%酢酸中に
溶解して2%塗布液を得た。これに、実施例1と同様の
不織布を浸漬した後、室温で約60分間40kHzの超音
波処理を行った。同一条件下で全血濾過後、測定した白
血球除去率は99%、血小板回収率は95%、赤血球回
収率は95%であった。
【0042】<実施例14>平均分子量約400,00
0、脱アセチル化度90%のキトサンを、1%酢酸中に
溶解して5%塗布液を得た。これに、実施例1と同様な
不織布を浸漬した後、室温で約90分間40kHzの超音
波処理を行った。同一条件下で全血濾過後、測定した白
血球除去率は90%、血小板回収率は95%、赤血球回
収率は95%であった。
【0043】<実施例15>実施例4で得たポリジメチ
ルアミノエチルメタクリレートグラフトキトサンを、1
%酢酸中に溶解して0.5%キトサン塗布液を得た。こ
れに、常温で隣接繊維間の間隙3μm、繊維直径1.8
μm、バルク密度0.156g/cm3の医療用極細糸ポリエ
ステル不織布(10mm×10mm×1.85mm, Lydall C
o., U.S.A.)を60分間浸漬した。溶液から不織布を取
り出して、40℃で2時間1次乾燥した後、50℃の真
空オーブンで48時間2次乾燥を行った。
【0044】赤十字血液院から購入した600mlの全血
血液製剤2単位を、前記フィルタを含む常温の濾過キッ
ト内で、通過時間約13ないし15分/1単位の速度で
濾過した。血球分析器(Cell-dyn 900, SeQuoia-Turner
Co., U.S.A.)を用いて、濾過前後の血球の数を測定し
た。前記式による白血球除去率、血小板回収率、赤血球
回収率は、それぞれ99%、96%及び97%であっ
た。
【0045】<実施例16>塗布液として、1%酢酸中
の2%キトサン溶液を使用したこと以外は、実施例15
と同様にフィルタを製造した。同一条件下で血液を濾過
した後、測定した白血球除去率、血小板回収率及び赤血
球回収率は、それぞれ90%、70%及び75%であっ
た。
【0046】<実施例17>実施例15と同様にフィル
タを製造する際に、グラフト重合体として、実施例5で
得たポリメチルメタクリレートグラフトキトサンを使用
し、塗布液の濃度が1%酢酸中の1%溶液に30分間浸
漬した後、乾燥した。同一条件下で血液を濾過した後、
測定した白血球除去率、血小板回収率及び赤血球回収率
は、それぞれ70%、92%及び90%であった。
【0047】<実施例18>グラフト重合体であるポリ
メチルメタクリレートグラフトキトサン塗布液の濃度
を、酢酸中の3%溶液にしたこと以外は、実施例17と
同様に行った。同一条件下で血液を濾過した後、測定し
た白血球除去率、血小板回収率及び赤血球回収率は、そ
れぞれ60%、80%及び70%であった。
【0048】<実施例19>実施例15と同様な方法に
より実施する際に、グラフト重合体として実施例6で得
たポリアクリル酸グラフトキトサンを使用し、塗布液の
濃度を酢酸中の0.5%溶液にして、90分間浸漬した
後乾燥した。同一条件下で血液を濾過した後、測定した
白血球除去率、血小板回収率及び赤血球回収率は、それ
ぞれ90%、95%及び90%であった。
【0049】<実施例20>実施例19と同様な方法に
より実施する際に、グラフト重合体であるポリアクリル
酸グラフトキトサン塗布液の濃度を1%酢酸中の5%溶
液にした。同一条件下で血液を濾過した後、測定した白
血球除去率、血小板回収率及び赤血球回収率は、それぞ
れ80%、85%及び80%であった。
【0050】<実施例21>実施例15と同様な方法に
より実施する際に、グラフト重合体として、実施例7で
得たポリビニルスルホン酸ナトリウム塩グラフトキトサ
ンを使用し、塗布液の濃度を1%酢酸中の1%溶液にし
て、30分間浸漬した後乾燥した。同一条件下で血液を
濾過した後、測定した白血球除去率、血小板回収率及び
赤血球回収率は、それぞれ60%、85%及び80%で
あった。
【0051】<実施例22>グラフト重合体であるポリ
ビニルスルホン酸ナトリウム塩グラフトキトサン塗布液
の濃度を1%酢酸中の0.5%溶液にしたこと以外は、
実施例21と同一の方法により行った。同一条件下で血
液を濾過した後、測定した白血球除去率、血小板回収率
及び赤血球回収率は、それぞれ70%、90%及び85
%であった。
【0052】<実施例23>ポリジメチルアミノエチル
メタクリレートグラフトキトサン塗布液に不織布を浸漬
するとき、約40Hzの超音波で60分間処理したこと以
外は、実施例15と同一条件により行った。白血球除去
率、血小板回収率及び赤血球回収率を計算した結果、そ
れぞれ95%、95%及び97%であった。
【0053】<実施例24>実施例15で得たポリジメ
チルアミノエチルメタクリレートグラフトキトサン溶液
を塗布した不織布上に、3mJ/cm2の紫外線処理を行っ
た。同一条件下で血液を濾過した後、測定した白血球除
去率、血小板回収率及び赤血球回収率は、それぞれ98
%、97%及び97%であった。
【0054】<比較例1>前記実施例1で用いた不織布
自体のみを使用して、同一方法により評価を行った。白
血球除去率、血小板回収率及び赤血球回収率は、それぞ
れ45%、70%及び69%であった。
【0055】以上の結果から分るように、キトサン溶液
未処理のポリエステル不織布自体のみを使用する場合、
白血球の除去効率は非常に劣っているだけでなく、フィ
ブリン、タンパク質ゲル、血小板などの透過効率も劣っ
ているので、白血球を除去するフィルタとしては、不適
であることが分かった。
【0056】
【発明の効果】本発明により、不織布の上に、血液親和
性がよく、人体に副作用のない天然高分子キトサンもし
くはキトサングラフト重合体を塗布して製造した白血球
除去用フィルタは、キトサンもしくはキトサングラフト
重合体により、不織布の表面上に与えられたカチオン残
基と白血球間の静電気引力による二次的濾過に基づき、
白血球の除去能が高く、かつ血小板及び赤血球の回収率
が優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−136508(JP,A) 特開 平7−25775(JP,A) 特開 昭59−116418(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 35/14 A61M 1/02 CA(STN)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にキトサン又は改質キトサンが塗布
    された不織布からなる、白血球除去用フィルタ。
  2. 【請求項2】 改質キトサンが、キトサンと血液親和性
    高分子とのグラフト重合体である、請求項1記載のフィ
    ルタ。
  3. 【請求項3】 前記血液親和性高分子が、ポリジメチル
    アミノエチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレー
    ト、ポリアクリル酸及びポリビニルスルホン酸ナトリウ
    ム塩から選択される、請求項2記載のフィルタ。
  4. 【請求項4】 前記キトサンの脱アセチル化度が、85
    ないし95%である、請求項1又は2記載のフィルタ。
  5. 【請求項5】 前記キトサンの平均分子量が、200,
    000ないし700,000である、請求項1又は2記
    載のフィルタ。
  6. 【請求項6】 不織布が、隣接繊維間の間隙が3μm以
    下である合成又は天然繊維の不織布である、請求項1記
    載のフィルタ。
  7. 【請求項7】 キトサン溶液又は改質キトサン溶液を不
    織布に塗布して、白血球除去用フィルタを製造する方
    法。
  8. 【請求項8】 改質キトサンが、キトサンと血液親和性
    高分子とのグラフト重合体である、請求項7記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 有機酸又は無機酸中、0.1ないし5%
    濃度のキトサン溶液もしくは改質キトサン溶液に、不織
    布を30分ないし120分間浸漬する、請求項7又は8
    記載の方法。
  10. 【請求項10】 浸漬中、溶液に2時間以下超音波処理
    を行う、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 改質キトサン溶液を不織布に塗布して
    得たフィルタに、10mJ/cm2以下の紫外線を更に照射す
    る、請求項7記載の方法。
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