JP2849032B2 - レーザ装置 - Google Patents

レーザ装置

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JP2849032B2
JP2849032B2 JP23855793A JP23855793A JP2849032B2 JP 2849032 B2 JP2849032 B2 JP 2849032B2 JP 23855793 A JP23855793 A JP 23855793A JP 23855793 A JP23855793 A JP 23855793A JP 2849032 B2 JP2849032 B2 JP 2849032B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば固体レーザ装
置などのレーザ装置に係り、特に、高出力で品質の良い
レーザビームを発生させるレーザ装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】図29は、例えば、レーザ学会編、「レ
ーザハンドブック」(オーム社発行)、p.222に示
された従来の固体レーザ装置を示す断面構成図である。
この図において、1は全反射ミラー、2は部分反射ミラ
ー、3は活性固体媒質を含む固体素子であり、ヤグレー
ザを例にとれば活性固体媒質としてNd(Neodymium )
をドーピングしたNd:YAG(Yttrium Aluminium Ga
rnet)からなるレーザ媒質、4は光源であって、例えば
アークランプが適用されている。5は光源4を点灯する
電源、6は光源4の集光器であって、例えば断面形状が
楕円状で内面は光反射面により構成されている。7はミ
ラー1,2にて構成されたレーザ共振器内に発生したレ
ーザビーム、70は外部に取り出されたレーザビーム、
100は基台である。
【0003】次に動作について説明する。光源4と固体
素子3を集光器6内に配置していて、光源4から投光さ
れた光は固体素子3中に集光状態にて入射される。これ
により、固体素子3にて活性固体媒質が励起されて所定
の波長の励起光が発生される。そして、この固体素子3
からなるレーザ媒質より発生されたレーザビーム7は、
ミラー1と2にて構成されるレーザ共振器間を往復する
間に増幅されて、所定値以上の大きさに達すると指向性
の良いレーザビーム70として部分反射ミラー2からレ
ーザ共振器の外部に放出される。
【0004】上記のような従来のレーザ装置では、固体
素子3に入射される光量が許容値を越えると固体素子3
は破壊する。例えばNd:YAG固体素子3を用いた場
合、固体素子3を破壊させずに安定的にレーザ出力を得
るためには、固体素子3の直径には関係なく長さ25.
4mmあたり発振効率5%として光源4への投入電力を
3kw程度に押さえる必要があることが経験的に知られ
ている。したがって、光源4への投入電力を増やしてレ
ーザ出力を増大させる場合、固体素子3を長くする必要
がある。たとえば1.5kWのレーザ出力を得るために
は、発振効率5%として光源4に30kWの電力を投入
する必要がある。この場合、30kWの投入電力で安定
動作させるには254mmの長さの固体素子3が必要と
なる。
【0005】しかしながら、Nd:YAG等の固体素子
3は結晶成長が難しく、特に長尺のものは工業的に生成
するのが困難である。例えば20cm以上の固体素子3
を現在得ることは極めて困難で、また入手できたにして
も極めて高価なので固体レーザ装置が高価になる。また
長さ方向に品質が安定せず、品質の良いレーザビームを
得ることができなかった。
【0006】したがって、例えば1.5kW等の高出力
のレーザビームを得るためには安価に得られる短い固体
素子3を複数本用いる必要がある。この方法として、図
30に示すように複数の固体素子励起部分3Aを使用す
る方法と、特開平4−73981号公報に示された図3
1の集光器6内に複数の固体素子3を挿入する方法が知
られている。
【0007】一方、図32には、光励起部分3Aからの
レーザビームをレーザ共振器内にて波長変換、例えば第
2高調波8などを含む高調波に変換して高出力なレーザ
ビームとして取り出す波長変換器10を含むレーザ装置
が示されている。このような装置として、例えば特開平
2−7487号公報に記載された複数の波長変換素子を
適用したレーザ装置が知られている。このレーザ装置で
は波長変換素子が長さが異なる例えばKTP(Potassiu
m Titanyl Phosphorate )にて形成された非線形光学結
晶にて形成され、基台110に角度調整自在に設置され
ている。基台110には非線形光学結晶40a,43a
をそれぞれ温度調節可能な加熱装置などの温度調節機構
が設けられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の光励起固体レー
ザ装置は以上のように構成されているので、上述した図
30の装置に示すように複数の光励起部分3A,3Aを
用いてレーザビームの高出力化を図ると、固体素子3同
士を同軸上に調整することが困難となり、また、固体素
子3同士を調整された状態に長期にわたり安定に保つこ
とも困難であるなどの問題があった。
【0009】また、図31の装置に示すように複数の固
体素子3を並列してレーザビームの高出力化を図ると、
各々の固体素子3を同軸に調整することが困難であり、
また、折り返し光学系11が複数必要となり固体レーザ
装置が複雑化し、さらに折り返し光学系11の調整が困
難であるなどの問題があった。
【0010】さらに、図30,31に示す装置では、各
々の固体素子3が集光器6の両壁部に形成されている貫
通孔に支持されているので、貫通孔が固体素子3の数の
2倍の数だけ必要になる。従って、これらの貫通孔から
漏れる光が損失となり発振の効率を下げるなどの問題が
あった。
【0011】一方、図32に示す波長変換器を含む装置
では、波長変換素子として実際に複数の非線形光学結晶
を配置して試験すると、等価的に同じ長さを有する長い
非線形光学結晶を用いた場合に比べて波長変換レーザビ
ームの発生効率が悪く、極端な場合には波長変換レーザ
ビームの発生が生じない場合があった。また、複数の非
線形光学結晶を用いることにより、それらの端面数が増
えるが、高出力の波長変換を実行する際に、これらの端
面にゴミがついて端面を破壊する問題が生じてきた。さ
らに、波長変換器から発生した波長変換レーザビームが
レーザ媒質、例えば固体素子3を加熱し、これによりレ
ーザ出力が不安定になる問題があった。
【0012】の発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、複数の固体素子を用いながら互
いの光学調整が容易で、また、複雑な光学系を用いる必
要がなく、安定に高出力化を図ることができる固体レー
ザ装置を提供することを目的としており、さらに複数の
固体素子を用いながら集光器に形成する貫通孔の数を最
小限に押さえ効率良く光源の光を固体素子に導いて発振
することができるレーザ装置を提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るレ
ーザ装置は、内面が光源から投光された光を一部の箇所
に集中しないように反射する拡散型反射面で形成された
集光器を含み、レーザ媒質は、互いに対向する端部同士
が同軸上に挿入可能なスリーブ状の連結部材により連結
された状態で集光器内に設けられるとともに、両端部が
集光器に形成された貫通孔を介してレーザ光学系に臨
み、光源から投光された光で励起されてレーザビームを
発生する複数の固体素子からなり、かつスリーブ状の連
結部材内の固体素子同士の対向する端部間に波長板また
は旋光板を備えたものである。
【0014】請求項の発明に係るレーザ装置は、連結
部材が光反射部材で構成されるか、もしくは連結部材表
面に光源から投光された光を反射する光反射部材を備え
るように構成したものである。
【0015】
【作用】請求項1の発明におけるレーザ装置は、光源を
点灯して得られる光を集光器内にて反射させて、光源か
ら発生された光を集光器内で連結された固体素子に効率
よく吸収させる。これにより、複数の固体素子が励起さ
れて励起光を両端部から発生する。このレーザ媒質から
発生された光はレーザ共振器を介して指向性の良いレー
ザビームとして取り出される。また、集光器の内面を拡
散反射面で形成し、光源からの光を集光器内面の各点で
拡散反射させて連結された固体素子表面に均一に導く。
さらに、スリーブ状の連結部材内にて固体素子端部を挿
入して複数の固体素子を連結し、複数の固体素子を同軸
上に軸ずれ無く安定に連結する。 さらに、連結部材内に
備えた波長板または旋光板で一方の固体素子中の偏光方
向を他方の固体素子中の偏光方向とねじれた関係となる
ようにして固体素子中で発生する偏光異方性を解消す
る。
【0016】請求項の発明におけるレーザ装置は、連
結部材を光反射部材で形成するか、もしくはその表面に
光源からの光反射部材を備え、連結部材で光源からの光
を反射させて再び集光器内で複数回反射後、固体素子に
入射させて固体素子を励起する。
【0017】
【実施例】実施例1. 以下、この発明の一実施例を図について説明する。図1
はこの発明の第1の実施例を示す断面図であり、従来技
術である図29〜図32の相当部分には同符号を付して
その説明を省略する。図1において、61は光源4から
の光を反射する材質、例えば白色セラミックから形成さ
れる連結部材であり、断面円形状の2本の固体素子3,
3をそれらの対向する端部間を同軸上に連結可能なスリ
ーブ状の部材にて形成されている。本実施例における固
体素子3,3は、容易に入手できる例えば長さ150m
mのNd:YAG(ネオジウム含有イットリウム−アル
ミニュウム−ガーネット)が適用されている。連結部材
61にて同軸上に連結された固体素子3,3は、その両
端部が集光器6の貫通孔81,81を介して全反射ミラ
ー1または部分反射ミラー2に臨むように配置されてい
る。本実施例の集光器6は、内面が例えば白色セラミッ
クなどの反射体にて形成されており、反射された光が固
体素子3,3に集中しない拡散型反射面を形成してい
る。
【0018】次に動作について説明する。まず、図示し
ない電源5のスイッチがオンとされると、光源4が点灯
する。電源5によって点灯された光源4から光が投光さ
れ、投光された光は、直接もしくは集光器6内にて反射
した後に間接的に固体素子3に導かれる。固体素子3に
導かれた光の一部は固体素子3に吸収され、固体素子3
の活性媒質を励起して励起光が発生される。レーザ媒質
より発生された自然放出光は全反射ミラー1と部分反射
ミーラ2にて構成される共振器間を往復する間に増幅さ
れて、所定以上の大きさに達すると指向性の良いレーザ
ビーム70として外部に放出される。
【0019】固体素子3は上述したように容易に入手で
きる例えば長さ150mmのNd:YAGが使用され
て、2個の固体素子3,3が白色セラミック等の反射部
材にて形成された連結部材61にて同軸上に連結されて
いる。この場合、連結部材61は光を反射するので、連
結された固体素子3,3の全体の光被照射部の長さは2
80mm程度に設定されることになる。したがって、30
kW以下の電力の光源5にて固体素子3,3の破壊を招
くことなく1kWのレーザ出力を得ることができる。ま
た、上述のように、連結部材61を使用して、固体素子
3,3を集光器6内にて連結することにより、集光器6
の貫通孔80,81の数を増加させる必要がない。
【0020】ところで、レーザ励起に使用される集光器
6の内壁は99%程度の高い反射率に設定されている。
したがって、光源4から投光された光は、集光器6内に
て反射を繰り返しながらその一部が固体素子3,3に吸
収される。そして、残りの光は、固体素子3,3を集光
器6に挿入するのに必要な貫通孔81と光源4が挿入さ
れた貫通孔80から外部に漏れ、さらに残りの光は集光
器6の反射面にて吸収される。
【0021】この場合、貫通孔80,81を増加させず
に、固体素子3,3を集光器6内にて連結させたので、
光源4から投光された光が固体素子3,3に吸収される
前に集光器6の外部に漏れる確率が減少する。したがっ
て、固体素子3,3の励起の効率を著しく向上させるこ
とができる。
【0022】次に、この実施例1の固体レーザ装置(図
1参照)と、従来の固体レーザ装置(図30参照)との
励起効率を比較する。励起効率は光源4から投光された
光の集光器6内での固体素子3への衝突確率を計算して
導出した基礎式に基づいて比較計算される。計算結果を
図2(a),(b)に示す。図2(a)は実施例1の固
体レーザ装置の励起効率を示し、図2(b)は従来の固
体レーザ装置の励起効率を示している。
【0023】図2(a),(b)から明らかなように、
実施例1の固体レーザ装置の励起効率は従来の固体レー
ザ装置の励起効率より2倍程度高くなることがわかる。
すなわち、実施例1の貫通孔を従来の貫通孔の1/2と
することにより、励起効率を2倍程度高くすることがで
きる。
【0024】図3(a),(b)にはレーザ発振特性を
示すグラフが示されている。図3(a)は実施例1の固
体レーザ装置のレーザ発振特性を示し、図3(b)は従
来の固体レーザ装置のレーザ発振特性を示している。図
3(a),(b)から明らかなように、実施例1のレー
ザ発振効率は従来のレーザ発振効率の2倍程度になる。
すなわち、実施例1の固体レーザ装置によれば、少ない
投入電力によってレーザ出力1kWを得ることができ
る。
【0025】実施例2. 図4はこの発明の第2の実施例を示す断面図であって、
レーザ共振器内の固体素子3と部分反射ミラー2との間
に、例えばブリュースター板から成る偏光選択素子90
が設けられ、連結部材61内に波長板91(または旋光
板)が設けられた実施例が示されている。また、本実施
例における固体素子3は、活性固体媒質としてNdがド
ープされたYLF(YLiF4 :リチウム・イットリウム・
フロライド)が適用されている。
【0026】次に動作について説明する。偏光選択素子
90はレーザビームが入射されると、図4上で紙面に対
して平行方向の直線偏光を選択して射出する。また、波
長板91は入射した楕円偏光の方向を90°変える。し
たがって、部分反射ミラー2にて反射されたレーザビー
ム7が偏光選択素子90に入射すると、偏光選択素子9
0から図4上の紙面に対して平行方向の直線偏光が出射
される。出射された平行直線偏光は、図4上で右側の固
体素子3に入射する。これにより、平行直線偏光は右側
の固体素子3によって複屈折されて、右側の固体素子3
から楕円偏光として出射される。右側の固体素子3から
出射された楕円偏光は波長板91に入射し、入射した楕
円偏光は波長板91にて方向を90度変えられて、図4
上において左側の固体素子3に入射する。
【0027】左側の固体素子3に入射した楕円偏光は、
左側の固体素子3で複屈折されて、右側の固体素子3を
通過するときとは符号が反対の作用を受ける。これによ
り、左側の固体素子3からは、偏光方向が図4上におい
て紙面に対して垂直の直線偏光として出射される。出射
された垂直直線偏光は全反射ミラー1によって反射され
て、再度左側の固体素子3および右側の固体素子3を通
過することにより、図4上において紙面に対して平行な
直線偏光に変換される。そして、変換された直線偏光
は、偏光選択素子90を損失なく通過する。このよう
に、本実施例によれば、偏光選択素子90および波長板
91を使用することにより、左側および右側の固体素子
3,3の複屈折に影響されずに安定した直線偏光を発生
させることができる。
【0028】この場合、レーザ共振器の外部に例えば1
/4波長板を設けることにより、レーザ共振器から発生
した直線偏光は1/4波長板で円偏光されて異方性のな
いレーザ加工を行うことができる。
【0029】本実施例において固体素子3にNd:YL
Fを使用すると、固体素子3の複屈折を除去すると共
に、固体素子3の熱レンズも取り除くことができる。す
なわち、Nd:YLF固体素子は偏光方向に垂直な方向
と平行な方向にて異なる符号を持つ熱レンズを発生す
る。これにより、図4上において説明した固体素子3,
3による複屈折の補償作用と同様に、偏光成分が二つの
固体素子3,3を通過する過程で固体素子3,3中に発
生する熱レンズが打ち消される。したがって、偏光成分
はレンズに影響されないので共振器の動作が安定化す
る。
【0030】実施例3. 図5はこの発明の第3の実施例を示す断面図である。こ
の実施例と上述の実施例1,2との相異点は、全反射ミ
ラー1に替えてコリメート全反射ミラー21を使用し、
さらに、部分反射ミラー2に替えて拡大反射ミラー20
を使用した点である。本実施例の不安定型共振器を用い
ると、発生するレーザビーム7を全断面域において、ほ
ぼ均一な強度分布を持たせることができる。したがっ
て、高出力域の固体素子3にレーザビーム7の一部が吸
収されて固体素子3を加熱する場合、固体素子3を均一
に加熱する。これにより、レーザビーム7が固体素子3
に局所的に吸収されることを阻止することができるの
で、固体素子の破壊が防止される。さらにこの均一な強
度分布を持つレーザビーム7は位相が均一であるため、
外部に出射されたリング状のレーザビーム70は多少の
回析リングを伴いながらも回析限界に近い集光スポット
に集光できる。したがって、このレーザビーム70を用
いて効率の良いレーザ加工が実現できる。
【0031】実施例4. 図6はこの発明の第4の実施例を示す断面図であり、上
述の実施例3の拡大反射ミラー20に替えて、中央が部
分反射ミラー22であり、周囲部は無反射部23の拡大
出口ミラー24を使用している。したがって、本実施例
の共振器は拡大出口ミラー24とコリメート全反射ミラ
ー21とから構成される。拡大出口ミラー24を使用す
ると、中づまり状のほとんど回析限界に近いスポット状
に集光された集光性の良いレーザビーム70をレーザ共
振器から出力することができる。したがって、このレー
ザビーム70を用いて効率良いレーザ加工を実現でき
る。さらに、実施例3と比較すると同一の集光性を得る
ために必要なレーザビーム7の強度を下げることがで
き、またレーザビーム7が固体素子3に吸収された時の
固体素子3の発生熱量を少なくすることができる。した
がって、発熱を下げることができるので高出力域でも安
定に高品質レーザビーム70を発生させることができ
る。
【0032】実施例5. 図7はこの発明の第5の実施例を示す断面図であり、上
述の実施例4に使用されている拡大出口ミラー24の外
面に段差25を形成した拡大出口ミラーが使用されてい
る。これにより、部分反射ミラー部22を通過するレー
ザビーム7と無反射部23を通過するレーザビーム7間
の位相差が打ち消されるので、位相のそろった中づまり
状のレーザビーム70を得ることができる。この場合、
レーザビーム70の集光性は実施例4より向上する。
【0033】なお、上記実施例1〜5においては、固体
素子3,3がスリーブ状の連結部材61に端部を挿入し
て結合するものを示したが、これに限らず例えば光学接
着剤により接着してお互いに連結するようにしてもよ
い。また、図4に示す波長板91または旋光板も固体素
子3,3に光学接着剤により接着するように構成しても
よい。
【0034】なお、上記いずれの実施例においても、固
体素子3の断面が円形のものについて説明したが円形に
限るものでなく、矩形、楕円など任意の形状であって
も、上記実施例の効果と同様の効果を奏する。
【0035】また、上記いずれの実施例においても、特
に説明しなかったが、光学素子のうち特に指示のない部
分にも、レーザビーム7が通過する部分には無反射薄膜
を施して、共振器内のロスを減少させて、これにより、
効率の良いレーザ発振を実現させることができる。
【0036】また、固体素子3の数は2本のものについ
て説明したが2本に限ることなく何本でも連結すればよ
く、多くのロッド3を連結することによりさらに高出力
化が図れる。なお、連結部材61は前記実施例のように
光反射部材で形成する他に、その表面に光反射部材を設
けてもよい。
【0037】実施例6. 図8はこの発明の第6の実施例を示す断面図であり、こ
の実施例において、上記実施例1〜5と異なる点は、粉
塵遮蔽容器62に収容された複数の波長変換素子非線形
光学結晶40,43が設置されているとともに、これら
波長変換素子40,43にて波長変換されたレーザビー
ムの波長変換成分を反射する光学薄膜191が貼付さ
れ、かつ角度調整可能に設置された透過ミラー190が
設けられている点である。粉塵遮蔽容器62は、排気口
161と、ビーム通過窓62a,62aと、ファン10
1と、フィルタ102とが設けられており、波長変換素
子40,43には、それぞれの両端面にレーザビームの
位相差を調整する光学薄膜41,42,44,45が設
けられている。さらに、本実施例の波長変換素子4
0,,43は、それぞれ異なる製法、例えばフラックス
法および水溶法にてそれぞれ形成された長さの異なるリ
ン酸塩チタン酸カリウム(以下、KTP素子と記す)の
非線形光学結晶が適用されている。光学薄膜41,4
2,44,45は、例えば図9に示すように波長変換素
子の端面に施される通常の無反射コート421と、これ
にさらに例えば酸化マグネシム(MgO)などの、KT
P結晶の屈折率とほぼ等しい屈折率の薄膜を所定の厚み
にて形成したベースコート422とから構成されてい
る。
【0038】次に動作について説明する。まず、図示し
ない電源5のスイッチがオンとされると、光源4が点灯
する。電源5によって点灯された光源4から光が投射さ
れると、投光された光は直接もしくは集光器6内にて反
射した後に間接的に固体素子3に導かれる。固体素子3
に導かれた光の一部は固体素子3に吸収され、固体素子
3の活性媒質を励起して励起光が発生される。レーザ媒
質より発生された自然放出光は直接または全反射ミラー
1にて反射されて、透過ミラー190,光学薄膜191
を透過して波長変換素子40,43に入射する。波長変
換素子40,43に入射したレーザ光は、波長変換され
て基本波成分(基本波レーザビーム)7aおよび波長変
換成分(波長変換レーザビーム8aを含むレーザビーム
となって、部分反射ミラー2に入射する。
【0039】部分反射ミラー2ではレーザビーム7の基
本波成分7aを反射して波長変換成分8aを透過して出
力する。反射されたレーザビーム7は波長変換素子4
0,43にて再び波長変換されて、その中の基本波成分
は透過ミラー190、光学薄膜191を透過して再び固
体素子30を介して全反射ミラー1にて反射される。反
射されたレーザビーム7は、固体素子30からのレーザ
ビーム7とともに透過ミラー190,光学薄膜191を
透過して波長変換素子40,43にて波長変換されて部
分反射ミラー2に入射し、波長変換成分8aのみ透過さ
れて出力される。以降、レーザビームの基本波成分7a
は、全反射ミラー1,2間にて増幅されて、さらに波長
変換素子40,43にて変換されて部分反射ミラー2か
ら出力される。波長変換成分8aは部分反射ミラー2と
透過ミラー190,光学薄膜191との間にて反射され
て増幅され、部分反射ミラー2を透過して出力される。
【0040】以上のような構成において、効率の良い波
長変換を実行するには、固体素子3からなるレーザ媒質
から発生される基本波レーザビーム7aと波長変換され
た波長変換レーザビーム8aとの波長変換素子40,4
3内における進行速度、すなわち位相速度が一致するこ
とが必要であり、その条件が満たされているとき位相整
合が取られる。固体素子3における位相整合は固体素子
3の複屈折を利用して行われ、この複屈折の状態は波長
変換素子40,43へのレーザビーム7の入射角度およ
び結晶の温度に依存するため、波長変換素子40,43
の効率良い波長変換を行うには一般的には角度調整器に
より波長変換素子40,43の角度を変えたり、基台1
10の温度を細かく調整することにより実現される。勿
論、本実施例の波長変換素子40,43もそれぞれ角度
調整可能に設けられ、基台110に温度調節機構が設け
られている。
【0041】さらに、位相速度の一致する条件が満たさ
れたとき、すなわち位相整合が取られたときには、波長
変換の効率は、波長変換素子40,43の各部で発生し
た波長変換ビームが互いに強め合い、波長変換結晶の長
さの2乗に比例して増大する。したがって、一般的には
長い波長変換結晶を用いることにより極めて効率良く波
長変換を実現できる。しかし、この波長変換結晶も上記
固体素子3と同様に育成が難しく大型のものが得られな
い。例えば、本実施例にて使用しているリン酸塩チタン
酸カリウム(以下、KTP結晶と記す)では、レーザ発
振に用いることができる結晶の最大長は10mm程度で
あり、また長い結晶ほど高価である。そこで、本実施例
では、複数の波長変換素子(非線形光学結晶)40,4
3を並べて実質的に長い波長変換長を得る波長変換器を
構成している。
【0042】また、波長変換の効率を挙げる手段として
波長変換素子40,43に入射するレーザビーム7の強
度を上げることが考えられる。例えば、レンズにて集光
したり、パルス発振させたりすれば、波長変換素子4
0,43に入射するビーム強度が増して波長変換効率が
上昇する。しかし、この場合には波長変換素子40,4
3に入射するビームの強度が増したことにより、波長変
換素子の端面ならびに内部が強いレーザビーム7により
損傷を受ける場合があり、好ましくなく、本実施例では
透過ミラー190を介してレーザビーム7の強度を柔ら
げて複数の波長変換素子40,43に供給し、波長変換
動作を安定化している。
【0043】詳しくは、透過ミラー190にてレーザビ
ーム7の基本波成分7aを透過させ、光学反射薄膜19
1にて波長変換成分8aを全反射させる。これら選出ミ
ラー190,光学薄膜191がないときには、波長変換
レーザビームが固体素子3に入射し、これに吸収されて
レーザビーム7の動作が不安定になる。特に、複数の波
長変換素子40,43を用いて高出力の波長変換レーザ
ビーム、例えば20W以上を発生させたときには、この
不安定さが顕著となる。本実施例では、透過ミラー19
0の角度を調整して波長変換の効率を上昇させることが
できる。
【0044】つまり、光学反射薄膜191が施された透
過ミラー190に完全な全透過性をもたらすことは難し
く、したがって、何割かの部分反射が発生することにな
る。この部分反射されたレーザビーム7はミラー1,2
にて構成される共振器内から外部に出てしまい損失とな
る。複数の波長変換素子40,43を用いた場合、光学
薄膜191にて反射したレーザビーム7も波長変換素子
40,43の数だけ増大し、この透過ミラー190の角
度を調整して、透過ミラー190と全反射ミラー1の
間、あるいは波長変換素子40,43の端面と透過ミラ
ー190の間で共振条件を満たすようにすることによ
り、光学薄膜191による損失は無くなり、したがっ
て、基本波成分7aは共振器内に完全に閉じ込められ、
強い強度となって波長変換素子40に入射して効率良く
波長変換が実施される。
【0045】さらに、本実施例では、波長変換素子4
0,43に光学薄膜41,42,44,45が施されて
いるために、レーザビーム7の基本波成分7aと波長変
換成分8aとの位相差を打ち消して、さらに効率よい位
相整合を実現している。例えば、本実施例の波長変換素
子40,43に適用されているKTP結晶はその屈折率
が1.75であり、これとほぼ同じ屈折率を有するMg
O薄膜422は、例えばNd:YAGレーザの基本波に
対して屈折率が1.7、波長変換成分に対する屈折率が
1.78である。したがって、厚み1ミクロン当たり
0.05波長の位相差が発生する。また、波長変換素子
40,43の間の大気の屈折率差によるレーザビーム7
の基本波成分7aと波長変換成分8aとの間の位相差が
0.5波長であるとすると、このMgO薄膜422の厚
みを10ミクロンと調整することにより、波長変換素子
40,43との間でのレーザビーム7の基本波成分7a
と波長変換成分8aとの位相差を除去することができ
る。この結果、波長変換されたレーザビーム7での基本
波成分7aと波長変換成分8aとが互いに強め合うよう
に作用して波長変換効率をさらに高めることができる。
【0046】つまり、位相差を調整する光学薄膜41,
42,44,45が施されていない波長変換素子を複数
並べた従来の波長変換器(例えば図32の例)では、結
晶の数を増すごとに予想とは逆に波長変換の効率が減少
する。その原因として、波長変換素子の間の大気の屈折
率がレーザビーム7の基本波成分7aと波長変換成分8
aとではそれぞれ異なり、このために1つの波長変換素
子で波長変換したレーザビーム7と次の波長変換素子で
波長変換したレーザビーム7との間に位相差が発生し、
互いに打ち消し合ってしまっていた。また、無反射コー
ト421のみを波長変換素子に施した場合、無反射コー
トの膜の屈折率がレーザビーム7の基本波成分7aと波
長変換成分8aとでそれぞれ異なり、上記と同様に、波
長変換したレーザビーム同士が互いに打ち消し合ってい
た。
【0047】この場合、図32に例示した特開平2−7
487号公報では、2つの波長変換素子40,43から
発生されるレーザビーム7の偏光方向が直交するように
波長変換素子40,43の角度を調整しているが、ここ
でも示されている通り、波長変換素子40,43の温度
変換に対して極めて敏感となり、動作が安定せず、好ま
しくない。さらに、この場合には、2つの波長変換素子
40,43から発生されるレーザビーム7が打ち消さな
い代わりに、強め合うこともない。したがって、この場
合、波長変換レーザビームは結晶の長さの2乗ではな
く、長さの1乗に比例して増大することになり、複数の
波長変換素子を用いて、波長変換長を長くする効果が十
分に発揮されない。
【0048】そこで、本実施例では上述のようにKTP
結晶とほぼ屈折率が等しいMgO薄膜のベースコート4
22を波長変換素子40,43の間でのレーザビーム7
の位相差を打ち消すような厚みにして、位相差を調整し
ている。この場合、本実施例ではそれぞれのレーザビー
ム7の方向、つまり、それぞれの波長変換素子40,4
3の両端面に光学薄膜41,42,44,45が施され
て、それぞれの方向のレーザビーム7の位相差を調整し
ている。しかし、本発明においては、いずれか一つに位
相調整用の光学薄膜を施してもよい。要は、端面の光学
薄膜を含めて波長変換素子40,43を通過する場合の
レーザビーム7の基本波成分7aと波長変換成分8aの
位相差を打ち消す状態、つまり、それらの波長の整数倍
にして位相補償された状態にすればよい。したがって、
本実施例では波長変換素子40,43の形状および組
成、つまり波長変換素子40,43の長さを変え、か
つ、異なる製法によりKTP結晶結晶を生成したものを
適用している。
【0049】すなわち、本実施例ではフラックス法およ
び水溶法の異なる製法により微妙に組成が異なる非線形
光学結晶40,43が形成され、このためレーザビーム
7の基本波成分7aと波長変換成分8aの間の位相差に
より発生するウォークオフ角と言われる進行方向の誤差
角の大きさとその方向が波長変換素子により異なる。こ
の違いは、波長変換素子ビーム間の位相差となるから、
2つの製法で製作された波長変換素子40,43を組み
合わせて、位相差が打ち消し合う、もしくは位相差を波
長の整数倍にして打ち消すように構成している。
【0050】さらに、波長変換素子40,43の形状に
ついても、特に長さによる位相差の違いがあるために、
異なる長さの非線形光学結晶を組み合わせて位相差を有
効に打ち消すように構成している。さらに、光学薄膜4
1,42,44,45の構成によっても位相差は異な
る。つまり、波長変換素子40,43の両端面には無反
射コート421がそれぞれ設けられる。無反射コート膜
421の構成は、用いる薄膜材料、薄膜の厚みによる無
数の組み合わせがあり、それぞれがこれを通過するレー
ザビーム7の基本波成分7aおよび波長変換成分8aの
間に異なる位相差を与える。したがって、少なくとも一
か所の薄膜構成を他のものと異なるようにして位相差を
打ち消すように構成している。
【0051】つまり、波長変換素子40,43の組成、
形状を少なくとも一つ、もしくは光学薄膜の無反射コー
ト421の薄膜構成を少なくとも一か所異なるように構
成し、さらにベースコート422にて位相差を調整する
ように構成することにより、それぞれの波長変換素子を
40,43通過するレーザビーム7の基本波成分7aと
波長変換成分8aの位相差を打ち消し、もしくは波長の
整数倍にすることにより、それぞれを通過したレーザビ
ーム7が互いに強め合い効率良い波長変換を行うことが
できる。
【0052】一方、本実施例では波長変換素子40,4
3が粉塵遮蔽容器62に収容されているので、さらに波
長変換の効率を高めることができる。つまり、波長変換
素子40,43の端面近傍にゴミが浮遊すると、これら
ゴミはレーザビーム7により、加熱、燃焼して、その反
作用によりロケット的に推進力を与えられて、これらが
波長変換素子端面に強く衝突して、端面を破壊し、波長
変換の効率を低減させ、極端な場合には発振を止めてし
まう。これは波長変換素子を複数用いて高出力の波長変
換レーザビームを得る場合に特に顕著に現れる。これは
出力が増大してゴミが燃焼される確率が上昇したことに
加えて複数の波長変換素子を用いたために波長変換素子
の端面の数が増加し、端面にゴミが衝突する確率が上昇
したためである。さらに波長変換レーザビームは一般的
に可視光であり、ゴミに対する吸収率が高いためである
と予測できる。
【0053】本実施例では、波長変換素子40,43を
粉塵遮蔽容器62にて覆うとともに、外気をファン10
1により取り込み、この外気中に含まれるゴミをゴミフ
ィルタ102により除去してクリーン化した雰囲気を波
長変換素子40,43の近傍に導いている。この結果、
本実施例では、Nd:YAGの固体素子3からのレーザ
ビーム7をKTP結晶の波長変換素子40,43にて波
長変換するレーザ装置にて現状の世界最高値である20
W以上のレーザ出力を安定して得られるようになった。
【0054】なお、本実施例では位相調整用のベース薄
膜422を波長変換素子40,43に施した場合を例に
挙げて説明したが、例えば、図10に示すようにベース
薄膜と同様の光学部品46、例えばサファイヤを独立さ
せて波長変換素子40,43との間に設置するようにし
てもよい。この場合、波長変換素子40,43の構成を
変更することなくレーザビーム7の基本波成分7aと波
長変換成分8aの位相差を容易に打ち消すことができ
る。
【0055】また、本実施例においては透過ミラー19
0の一端面に反射用の光学薄膜191を形成したが、こ
の光学薄膜191を波長変換素子40の端面に光学薄膜
41の代わりに貼付して用いるようにしてもよい。
【0056】さらに、本実施例においては波長変換素子
40,43のみを粉塵遮蔽容器62に収容する場合を例
に挙げて説明したが、固体素子3およびミラー1,2を
含む他の光学系を覆う粉塵遮蔽容器62に収容するよう
に構成してもよい。また、粉塵が多い雰囲気に装置を設
置する場合には、粉塵遮蔽容器62内に例えば不活性ガ
スであるN2(窒素)、Ar(アルゴン)などを導入し
てもよい。この場合、ファン101およびフィルタ10
2を除去することもできる。さらに、排気口161を除
去して容器を密閉し、この場合、容器内部を真空状態に
してもよい。
【0057】実施例7. 図11はこの発明の第7の実施例を示す断面図であり、
本実施例において、上記実施例6と異なる点は、レーザ
ビーム7が通過するそれぞれの空間にレーザビーム7を
全透過する透過体301を設けた点である。これら透過
体301は、例えば、サファイヤ、BK−7、水晶、活
性素子を含まないYAGなどにて形成されており、光学
素子の間の大気にさらされている空間が最小限になるよ
うにそれぞれの光学素子間に配置されて、特に損傷を受
けやすい波長変換素子40,43および固体素子3の端
面にゴミが付着することによる損傷を防ぐゴミ付着防止
手段を形成する。
【0058】次に動作について説明する。それぞれの透
過体301は、レーザ媒質となる活性媒質をドープした
Nd:YAGまたはNd:YLFなどの固体素子3ある
いはKTP結晶などの波長変換素子40,43に比較し
て格段に光照射に対して強く、その端面にゴミが付着す
ることによる損傷は実用上問題にならない。また、透過
体301は強い強度のレーザビーム7が光路上の大気を
加熱し、これにより大気が揺らぎ、これがレーザビーム
7の光軸を揺らがせて不安定なることを防止することが
できる。本実施例では、この光軸の揺らぎの防止によ
り、レーザビーム7が安定化することにより、波長変換
の効率がさらに向上する。つまり、上記実施例6にて説
明したように波長変換素子40,43へ入射するレーザ
ビーム7の角度がある範囲内に収まって、いわゆる位相
整合が取られたときに波長変換の効率が最大となる。し
たがって、光軸が揺らいで、波長変換素子40,43へ
の入射角度が揺らぐと、波長変換レーザビームの出力も
揺らぎ、時間平均した波長変換レーザビームの出力は減
少する。
【0059】そこで、本実施例では光路上に透過体30
1を配置したために、透過体301にてレーザビーム7
のほとんどを通過させてそのとき発生する熱を外部に放
出し、大気の加熱による対流の発生を防止する。また、
一部の透過体301にて吸収される光も、透過体301
のわずかな温度上昇をもたらすのみで、その熱は透過
体301の小さい熱伝導率によりゆっくりと基台などへ
伝送して放散される。例えば、サファイヤガラスなどに
て透過体301を形成した場合、長さ100mmにおい
て、1kWの通過レーザビームのうち1W程度を吸収す
るが、これらの熱は側面が大気と接しているのみでも十
分に放散される量である。
【0060】さらに、発生されたレーザビーム7による
熱以外にも、光源4の光による大気の揺らぎを防止する
ことができる。光源4からの光は集光器6内に閉じ込め
られ、固体素子3にその一部が吸収されるが、吸収され
たないレーザビーム7は固体素子3の端面から放出さ
れ、ホルダー300内の大気を加熱し、これを揺らがせ
る。これは本実施例では、ホルダー300内に挿入され
た透過体301により容易に除去することができる。特
に、集光器6の内面を反射率の高い、セラミック、白色
の樹脂の拡散反射体で構成した場合には、光は集光器6
内で広い範囲に拡散され、したがって、固体素子3に入
射しない光の成分は、集光器6内を多数回往復した後
に、そのほとんどが強い強度の光として固体素子3を介
してその端面から発せられることになる。この場合に、
ホルダー300内に挿入された透過体301による熱放
散効果が特に顕著となる。
【0061】なお、本実施例では固体素子3の端面から
発生された光源4の光を透過体301により透過させる
構成を示したが、図12に示すように固体素子3の端面
から光源4の光が出射しないように固体素子3の端面に
基本波レーザビーム7aに対して透過性を有し、光源4
の光に対して反射性を有する波長選択薄膜49を施すよ
うにしてもよい。
【0062】また、本実施例では波長変換素子40,4
3を含むレーザ装置を例に説明したが、透過体301お
よび波長選択薄膜49は、上記実施例1〜5に適用して
もよい。つまり、高い強度を有するレーザビームを発生
するレーザ装置に適用して、その効果を発揮できること
は言うまでもない。
【0063】また、図11の実施例では光学部品のほと
んどの透き間に透過体301を配置した構成を示した
が、共振器の構成によっては全箇所に配置する必要がな
いことは言うまでもない。
【0064】実施例8. 図13はこの発明の第8の実施例を示す断面図であり、
この実施例において上記実施例6,7と異なる点は、折
り返し反射ミラー200を介してレーザ発生部3aと波
長変換部40aとが所定の角度をおいて対向している点
である。折り返し反射ミラー200はレーザ発生部3a
からの基本波レーザビーム7aに対して全反射となる全
反射ミラー1に、波長変換部40aからの波長変換され
たレーザビーム7の波長変換成分8aに対して全透過と
なる光学薄膜191が施されて形成されている。また、
波長変換部40aを介して折り返し反射ミラー200に
対向して全反射ミラー1が設けられている。
【0065】したがって、本実施例によれば、波長変換
部40aにて波長変換された高出力の波長変換成分8a
がレーザ発生部3aに戻ることがないので、固体素子3
を加熱することがなく、これによる固体素子3の破壊を
有効に防止することができる。この結果、本実施例で
は、上記実施例にて用いられた光学薄膜191が施され
た透過ミラー190を省くことができ、これによる波長
変換されたレーザビーム7のロス等を防止することがで
きる。
【0066】実施例8. 図13はこの発明の第8の実施例を示す断面図であり、
この実施例において上記実施例と異なる点は、折り返し
反射ミラー200を介してレーザ発生部3aと波長変換
部40aとが所定の角度をおいて対向している点であ
る。折り返し反射ミラー200はレーザ発生部3aから
の基本波レーザビーム7aに対して全反射となる全反射
ミラー1に、波長変換部40aからの波長変換されたレ
ーザビーム7の波長変換成分8aに対して全透過となる
光学薄膜41,42,44,45が施されて形成されて
いる。また、波長変換部40aを介して折り返し反射ミ
ラー200に対向して全反射ミラー1が設けられてい
る。
【0067】したがって、本実施例によれば、波長変換
部40aにて波長変換された高出力の波長変換成分8a
がレーザ発生部3aに戻ることがないので、固体素子3
を加熱することがなく、これによる固体素子3の破壊を
有効に防止することができる。この結果、本実施例で
は、上記実施例にて用いられた光学薄膜191が施され
た透過ミラー190を省くことができ、これによる波長
変換されたレーザビーム7のロス等を防止することがで
きる。
【0068】実施例9. 図14はこの発明の第9の実施例、特に請求項27の発
明によるレーザパターン解析方法の実施例を示すフロー
チャートである。例えば、図13に示す折り返し共振器
を用いたレーザ装置では、レーザビーム7のビームパタ
ーンが軸対称とならないビーム変形が生じる場合があ
り、このような場合に、本願発明の発明者らは計算機シ
ミュレーションにより独自のレーザパターン解析方法に
てレーザ装置を解析して、ビーム変形を解決した。この
ビームパターン解析方法は、基本的には独立した偏光成
分、例えば、直交するS波およびP波を独立して計算
し、S波およびP波にてエネルギーの授受がある光学成
分が存在する場合に、その変換量によりS波およびP波
を補正して、正確なビームパターンを得る方法である。
【0069】図14において、まず、ステップST10
にて解析対象の光学系の設定条件を設定する。例えば、
ミラー1,200,1の距離およびその反射率ないし角
度などと、固体素子励起部分3aの位置および励起効率
と、波長変換器40aの位置およびその変換効率と、透
過ミラー190がある場合はその位置および反射率など
をそれぞれ設定する。次いで、ステップST12にて設
定した光学系の中の最初の光学ゾーンを設定する。次い
で、ステップST14,ST16にて光学系に存在する
あらゆるビームモードを励起するべくノイズ成分を用意
する。つまり、ビームパターンは独立した2方向の偏光
成分S波およびP波成分に対してそれぞれランダムパタ
ーンとして用意する。
【0070】次いで、実際のレーザビームの強度分布で
あるビームパターンは、この独立したS波およびP波の
成分の強度和で表されるから、ステップST18にて、
ステップST14,ST16の用意したランダムパター
ンのS波およびP波を合成して、そのビームパターンを
ステップST20にて一旦、記録する。次に、ステップ
ST22にて、設定した光学ゾ−ンにビームを偏光する
素子があるか否かを判定して、偏光する素子がある場合
はステップST24,ST26へ進み、偏光する素子が
ない場合にはステップST28,ST30へ進む。
【0071】ステップST24,ST26ではその光学
ゾーンでの合成する前のS波、P波の成分をそれぞれ波
動計算する。S波、P波の成分は直交する偏光成分であ
り、通常の光学素子中の伝播ではお互い干渉しないため
に、それぞれ独立して例えばフレネル積分を計算して波
動計算を実行する。これにより、ステップST32にて
P波成分のうちP波への変換成分POnPが計算され、
ステップST34にてP波成分のうちのS波への変換成
分SOnPが計算される。同様に、ステップST36に
てS波成分のうちP波への変換成分POnSが計算さ
れ、ステップST38にてS波成分のうちS波への変換
成分SOnSがそれぞれ計算される。
【0072】例えば、光学系中に偏光間でエネルギーの
やり取りを行う波長変換素子や励起されて熱的に歪んだ
YAGロッドのような複屈折素子が存在する場合には、
偏光成分間でエネルギーがやり取りされるので、これを
計算する。例えばS波の直線偏光のレーザビームが上記
のような複屈折素子に入射すると、楕円偏光となって出
射され、したがってP波が減少してS波が発生する。こ
のP波の減少変化、S波の増加変化等を電場計算により
計算される。
【0073】こうしてS波およびP波各成分の変化が計
算されると、ステップST40,ST42にてこれらを
それぞれ合成して偏光変換光学素子を通過後のS波およ
びP波の電場をそれぞれ独立して求め、次いで、ステッ
プST44にて、これらの強度和をとる。ステップST
28,ST30では偏光素子がないので、S波およびP
波それぞれの波動計算が行われて、ステップST46に
てこれらの強度和が求められる。これらステップST4
4またはST46にてS波およびP波の強度が求められ
ると、ステップST48にて全光学ゾーンについてのビ
ームパターンが得られたか否かが判定される。全ゾーン
についての演算が終了していない場合には、ステップS
T50に進み、次のゾーンを設定し、上記ステップST
22〜ステップST46を繰り返す。
【0074】そして、ステップST48にて全ゾーンの
レーザパターンの演算が終了すると、ステップST52
にて、これと以前に記録したビームパターンを比較す
る。この結果により、ステップST54にてパターンが
安定したか否かを判定して、パターンが安定しない場合
にはステップST20に戻り、上記演算を再び実行す
る。パターンが安定したら、ステップST56に進み、
その合成ビームパターンを出力して印字またはディスプ
レイなどに表示する。この結果、その出力によりP波お
よびS波のそれぞれの成分をステップST58にて比較
して偏光状態を計算し、解析を終了する。
【0075】図15には上記により解析されたビームパ
ターンの例が示されている。図15(a)は図13に示
す共振器から発生するレーザビームの強度分布、つまり
ビームパターンの計算結果を示すものであり、YAGレ
ーザの複屈折性によりビームの対称性が失われているの
がわかる。これは固体素子3の熱歪みにより発生する複
屈折性、すなわち固体素子3の円周方向と径方向で固体
素子の屈折率が異なることが原因である。実験において
も、これとほぼ等しいビームパターンが得られた。
【0076】この対称性の崩れを解消するために、上記
実施例である図4に示された複数の固体素子3,3を連
結部材61により同軸上に連結されたレーザ媒質を一本
の固体素子3の代わりに用いた。これは、図16に示す
ように一本の固体素子3の代わりに、複数の固体素子
3,3をホルダ610により結合するとともに、その間
に挿入された偏光回転板91aにより構成した。偏光回
転板91aは、例えば水晶により構成された2分の1波
長板、90度偏光回転板からなる。
【0077】この構成によれば、上述したように図中左
の固体素子3を通過する偏光成分が偏光回転板91aに
より90度回転させられ、図中右側の固体素子3を通過
する。こうして、例えばP波成分が左の固体素子3を通
過することにより受けた複屈折の影響が、この偏光成分
が右側の固体素子3中ではS波として伝播することによ
りキャンセルされることになる。
【0078】この構成では、複数の固体素子はホルダ6
10により連結され一体化されているので、従来の固体
素子と容易に変更できるとともに、複数の固体素子3の
光軸調整が不要であるという特徴を有している。また、
固体素子の端はホルダ300により支持されている。つ
まり、本実施例では、図16に示す構成を採用すること
により、図15(b)に示すように、軸対称なビームパ
ターンが安定に得られるという計算結果を得ることがで
き、実際に実験によってもほぼ同一の軸対称なビームパ
ターンを得ることができた。
【0079】なお、本実施例では波長変換素子を含むレ
ーザ装置を例に挙げて説明したが、その目的は高い強度
を有するレーザビームの発生に関連したものであり、主
要部の構成は波長変換素子を含まないレーザ装置に適用
しても同様の効果を発揮できることは言うまでもない。
特に後述する種々の共振器構成のいずれに適用しても高
い効果を発揮するものである。
【0080】実施例10. 図17はこの発明の第10の実施例を示す断面図であ
り、本実施例において上記各実施例と異なる点は、レー
ザ共振器に集光性の高い不安定型共振器を用いた点であ
る。上記各実施例では全反射ミラー1と部分反射ミラー
2による共振器内に光を閉じ込める、いわゆる安定型共
振器が適用されていたが、本実施例では、出力の大きな
領域では開放型の共振器、例えば不安定型共振器を用い
た構成である。すなわち、図17において、20は拡大
反射ミラーであり、内面に無反射薄膜27が施されて、
中央部に全反射薄膜26が施されており、この全反射薄
膜26の反射により共振器内でレーザビームを集光す
る、いわゆるネガティブブランチ形式の不安定型共振器
が形成されている。この集光点を波長変換素子の近くに
配置することにより、効率の良い波長変換が実行され
る。
【0081】実施例11. 図18はこの発明の第11の実施例を示す断面図であ
り、本実施例において上記実施例10と異なる点は、拡
大反射ミラー20にさらに位相整合をとるための工夫が
施された、いわゆるは位相整合ミラー29が用いられて
いる点である。位相整合ミラー29は、内面に無反射薄
膜27が施された上に、その中央部に部分反射薄膜26
0が施されており、上記と同様に、この部分反射薄膜2
60にてレーザビーム7の基本波成分7aのみを反射し
て共振器内でレーザビームが集光する、いわゆるネガテ
ィブブランチ形式の不安定型共振器が形成されている。
この集光点を波長変換素子の近くに配置して上記と同様
に効率の良い波長変換が実行される。
【0082】この場合、レーザビームは位相整合ミラー
29の中央部と周囲部で薄膜の構成が異なることにより
位相差を受けることがある。これについては、例えば図
に示すように、位相整合ミラー29の外面に段差28を
施して位相差を除去する。これにより、上述したように
位相整合ミラー29を透過したレーザビーム7の基本波
成分7aと波長変換成分8aが互いに打ち消すことのな
い品質の良いレーザビームを得ることができる。
【0083】なお、本実施例および上記各実施例では、
共振器内に光を閉じ込め、この共振器内に波長変換器4
0aを配置する構成を示したが、本発明では波長変換器
40aを共振器の外部に配置してもよい。例えば、図1
9は図8に示した波長変換器40aをミラー1,2にて
構成された安定型共振器の外部に配置した構成例であ
り、図20は図17に示したミラー1,20にて構成さ
れた不安定型共振器の外部に波長変換器40aを配置し
た構成例であり、さらに図21は図18に示したミラー
1,29にて構成された不安定型共振器の外部に波長変
換器40aを配置した構成例である。
【0084】また、図22,23は図20,21に示し
た不安定型共振器を用いた例にさらに固体素子3のミラ
ー20,29に対向する端部にレーザビームを透過する
透過体301を設けたそれぞれ構成例である。これらの
場合、ミラー20,29は、集光器6内、つまり固体素
子3に集光点が発生する共振器であるので、固体素子3
に入射する反射したレーザビームの強度が強くなり、集
光点で気中破壊が生じることがある。したがって、図2
2,23ではさらに固体素子3の出口近傍の光路中に実
施例9にて説明した透過体301を配置して固体素子3
の加熱および破壊を防止している。
【0085】なお、波長変換器40aを共振器の外部に
配置しない場合、例えば、図5〜図7の実施例の場合に
ついても本実施例と同様に透過体301を固体素子3の
出口近傍から光路に沿って配置するように構成してもよ
い。要は、共振器内にてレーザビームが集中し得る部分
に透過体301を配置することにより、固体素子3また
は波長変換素子40,43などの光学素子の破壊を防止
して、レーザ発振および波長変換の効率を高めるように
構成すればよい。
【0086】実施例12. 図24,25はこの発明の第12の実施例の要部の構成
を示す図であり、本実施例では光源、つまりレーザ媒質
の励起源として半導体レーザを用いた場合について説明
する。図24(a)において、400は半導体レーザで
あり、例えば、AlGaAs(Aluminium Galium Arsen
ic)などの半導体を発振源とするレーザダイオードにて
構成されている。この半導体レーザ400は電源5に接
続され、集光器6の両側部に発光部を内側に向けてそれ
ぞれ固設されている。集光器6は、半導体レーザ400
が設置された発光部に沿って上下方向に分割可能に形成
され、その分割部には図24(b)に示すように板状の
ガラス部材401が挿入されている。このガラス部材4
01は同図(C)に示すように平板状の部材からなり、
その一方の側端部から半導体レーザ400の発光部から
のレーザ光が入射されて、その面に沿って光を伝送して
他方の側端部から固体素子3に向かって光を投射する光
伝送路を形成している。
【0087】図25(a)には、半導体レーザ400を
取り除いた場合の集光器6の側面図が示されている。本
実施例では集光器6は、さらに左右に分割可能に構成さ
れており、これにより、図25(b)に示すように固体
素子3を通過するビームパターンを確認して半導体レー
ザ400がガラス部材401ならびに固体素子3に正し
く入射するようにその出射位置、角度などを調整するこ
とができるように構成されている。
【0088】本実施例では、特に、半導体レーザ400
を用いた場合に、集光器6から固体素子3を通して出射
するレーザビームの波長範囲が狭くなるので、上記実施
例である図12に示した固体素子3の端面の波長選択薄
膜49などの固体素子3周辺の素子の設計が容易とな
り、これらを簡略化できることにより、安価な構成で上
述の各効果を有効に発揮できる優れた面がある。
【0089】実施例13. 図26は、この発明の第14の実施例を示す断面図であ
り、本実施例では波長変換レーザビームの具体的な応用
例、つまりレーザプロセッシン装置、さらに詳細にはホ
ログラフィ生成装置を示したものである。この図におい
て、波長変換レーザビーム8を発生する部分は、実施例
8にて説明したレーザ装置と同様の構成であり、ここで
は、Nd:YAGレーザの固体素子3にて発生したレー
ザビーム7を複数のKTP結晶40,43により構成さ
れた波長変換器40aにて波長変換したグリーンの波長
変換レーザビーム8を用いてホログラフィを生成する装
置について説明する。
【0090】部分反射ミラー2を透過した波長変換レー
ザビーム8aは全反射ミラー1,1にて全反射されてレ
ーザミラー111に入射する。レーザミラー111は、
角度調整自在に調整された透過ミラーであり、波長変換
レーザビーム8aを所定の角度にてプリズム32に導入
する角度調整ミラーである。プリズム32は波長変換レ
ーザビーム8aの入射角度に応じてその出射角度を変え
て出射することにより波長を選択する波長選択素子であ
る。このプリズム32からの波長変換レーザビーム8a
はレーザ媒質である固体素子31を励起する。固体素子
31は、例えばチタンをドープしたサファイヤである。
固体素子31から発生されたレーザビーム16は部分反
射ミラー21を透過して放出される。この実施例では、
レーザビーム16は、レーザミラー111,21aと、
例えばプリズム32からなる波長選択素子とにより構成
されるレーザ共振器中を往復し、一定の大きさ以上に増
幅されると、レーザミラー21aから放出される。つま
り、レーザミラー111にはレーザビームに対して透過
性、レーザビーム16に対して全反射性を有する波長選
択光学薄膜が施されている。同様に、レーザミラー21
aには、レーザビーム16に対して部分反射性を有し波
長変換レーザビーム8aに対して全反射性を有する光学
薄膜が施されている。
【0091】本実施例では固体素子31は、広い範囲の
波長のレーザ出力を発生できるレーザ媒質である。プリ
ズム32を通過する光路が波長により異なるために、そ
れぞれの波長の光路に垂直になるようにレーザミラー1
11の傾きを調整すると、その波長のレーザビームに対
して共振器の損失が小さくなり、結果として、その特定
の波長のみが発振されることになる。
【0092】こうして波長を選択されて発生したレーザ
ビーム16は波長変換素子46にて波長変換される。波
長変換素子46は、両面に無反射薄膜47,48が施さ
れた例えばBBO(BaB2O4:ホウ素酸バリウム)からな
る非線形光学結晶であり、入射したレーザビーム16を
紫外レーザビーム17に変換する。この紫外レーザビー
ム17は透過ミラー190を透過して全反射ミラー1に
入射する。透過ミラー190aは、レーザビーム16を
全反射する光学薄膜192が施された透過ミラーであ
る。全反射ミラー1は、所定の角度を以て設置され、紫
外レーザビーム17を、ホログラフィ形成部いわゆる全
反射ホログラフィの装置に向かって全反射する。
【0093】ホログラフィ形成部は、紫外レーザビーム
17をプリズム33に入射し、その底面で紫外レーザビ
ーム17を反射するときにマスク35のホログラフィ干
渉パターンを感光性の基板34に記録する。こうして干
渉パターンを作成した感光性基板34はホログラムと呼
ばれる。次に図27に示すように、このホログラム34
をプリズム33の下に張りつけて、マスクの像を例えば
半導体基板36上に再生すれば、いわゆる半導体露光が
実現される。
【0094】このような半導体露光では、大きな光源を
用いてホログラム34と半導体基板36の距離を短くす
ると、極めて微細なパターンを半導体基板36の上に転
写できる。この微細度は光源の大きさに反比例し、ホロ
グラム34と半導体基板36の距離に比例する。
【0095】しかし、微細度を向上させ、波長で決まる
限界程度に至ると、光学器の焦点深度が極端に浅くな
り、アスペクト比の大きい立体形状のパターンが転写で
きず、また、ホログラム34と半導体基板36の間の距
離が転写パターンの大きさに大きく影響を与えてしま
う。
【0096】本実施例では、これを波長可変レーザビー
ムを用いて解決している。ホログラフィにおいて、ホロ
グラムを作成したときに使用した波長と異なる波長を有
するレーザビームを用いると、元のパターンと同じもの
がホログラムから異なる距離離れた空間に転写されると
いう特徴があることを理論的に見いだした。
【0097】この理論に基づけば、レーザビーム17の
波長を例えば大から小、もしくは小から大へと変化させ
ると、図28に示すように感光材37内に、集光性が異
なる形状で多重に光を入射させることができる。感光材
37は一定以上の強度の光が入射すると、感光する特徴
があるために焦点近傍の細長い部分、すなわち幅が狭
く、長い部分のみが感光され、したがってアスペクト比
の大きいパターンを形成することができることになる。
【0098】上記で説明した波長の変換は、レーザミラ
ー111の角度を調整して実行できる。さらにレーザミ
ラーの角度変化に合わせて、波長変換素子46の角度も
しくは温度を調整して一定出力の紫外レーザビーム17
が発生されるようにしてもよい。
【0099】また、上記実施例では、ホログラム作成は
一波長で行い、再生時に複数の波長で行う方法を示した
が、作成を複数の波長で行い、再生を一波長で行って
も、さらにホログラム作成、再生時、共に複数の波長で
行ってもよい。
【0100】なお、ここで説明した波長変換レーザビー
ムの実施例は、本発明中で述べた種々のレーザ装置と組
み合わせて用いることができ、さらに、その主要部であ
るホログラムに可変波長レーザビームを照射して、焦点
深度の高い露光を行うという原理は本発明で説明してい
ない他のレーザ装置にも適用できるものである。
【0101】また、上記いずれの実施例においても特に
説明しなかったが、光学素子のうち特に指示のない部分
にもレーザビームが通過する部分には通常の光学素子の
ように無反射薄膜を施せば共振器内のロスが減少し、効
率の良い波長変換を実現することができる。
【0102】さらに、いずれの実施例についても波長変
換素子を含むレーザ装置を例に挙げて説明したが、その
目的は高い強度を有するレーザビームの発生に関連した
ものであり、主要部の構成は波長変換素子を含まないレ
ーザ装置についても適用してよい。また、いずれの実施
例についても固体レーザ装置を例に説明したが、その目
的は高い強度を有するレーザビーム発生に関連したもの
であり、主要部の構成は、他のガス、色素、イオンレー
ザなど他のレーザ媒質を有するレーザ装置に適用しても
よい。
【0103】また、上記実施例で示したレーザ装置の応
用例として、半導体露光に関する応用例のみを示した
が、本発明はこれに限ることなく、レーザ加工、色素レ
ーザの励起、ディスプレイ用の証明光源など通常のレー
ザのあらゆる応用分野に適用してもよい。
【0104】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、連結部材にて互いに同軸上に連結され集光器内にお
さめられた複数の固体素子を、内面が光反射面よりなる
集光器内におさめ、これを光源から投光された光で励起
してレーザ媒質とし、このレーザ媒質から発生された光
をレーザ共振器で所望のレーザビームとして取り出し、
このように、安価な短い固体素子を連結して長い固体素
子とすることで、光源からの強い光の照射にも破壊しに
くくすることができるように構成したので、レーザ共振
器を用いて高出力のレーザビームを得ることができる。
また、複数の固体素子同士を連結するように構成したの
で、固体素子間の配置が安定して高出力用のレーザビー
ムを安定に得ることができる。さらに集光器内の孔部の
数を増大させることなく複数の固体素子を設けるように
構成したので、効率良く光源の光を固体素子に導いてこ
れを励起することができる。したがって、高効率のレー
ザ発振が実現できると効果がある。また、集光器内面を
拡散反射面で構成し、光源から投光された光は均一に集
光器内に広がり固体素子を均一に励起するように構成し
たので、一部に過剰吸収されて固体素子が破壊すること
なく、高出力域でも安定なレーザ媒質を発生させること
ができ、レーザ共振器を介して、高出力なレーザビーム
を安定に得られる効果がある。 さらに、スリーブ状の連
結部材内に固体素子端部を挿入して複数の固体素子を連
結するように構成したので、複数の固体素子の配置が安
定し、安定なレーザ発振を補償することができる効果が
ある。 さらに、連結部材内の複数の固体素子間に波長板
または旋光板を備え、固体素子による複屈折の補償作用
により、ビーム変形の影響を打ち消すことができるよう
に構成したので、高品質なレーザビームを高出力域にお
いて安定に得られる効果がある。
【0105】請求項の発明によれば、連結部材が光反
射部材で構成されるかもしくは連結部材表面に光源から
投光された光を反射する反射部材を備えるように構成し
たので、連結部材で光源の光が反射し再び集光器内を往
復して固体素子に導くことができ、効率の良いレーザ発
振が実現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1のレーザ装置を示す断面図
である。
【図2】この発明の実施例1のレーザ装置の動作説明図
である。
【図3】この発明の実施例1のレーザ装置の動作説明図
である。
【図4】この発明の実施例2のレーザ装置を示す断面図
である。
【図5】この発明の実施例3のレーザ装置を示す断面図
である。
【図6】この発明の実施例4のレーザ装置を示す断面図
である。
【図7】この発明の実施例5のレーザ装置を示す断面図
である。
【図8】この発明の実施例6のレーザ装置を示す断面図
である。
【図9】図8の実施例における波長変換素子を示す図で
ある。
【図10】図8の実施例におけるレーザ装置の他の構成
例を示す断面図である。
【図11】この発明の実施例7のレーザ装置を示す断面
図である。
【図12】この発明の実施例7のレーザ装置を示す断面
図である。
【図13】この発明の実施例8のレーザ装置を示す断面
図である。
【図14】この発明の実施例9のレーザパターン解析方
法を示すフローチャートである。
【図15】図14の実施例における解析結果を示す図で
ある。
【図16】図14の実施例におけるレーザ装置を示す断
面図である。
【図17】この発明の実施例10のレーザ装置を示す断
面図である。
【図18】この発明の実施例11の固体レーザ装置を示
す断面図である。
【図19】図8の実施例に対応するレーザ装置の他の例
を示す断面図である。
【図20】図17の実施例に対応するレーザ装置の他の
例を示す断面図である。
【図21】図18の実施例に対応するレーザ装置の他の
例を示す断面図である。
【図22】図20に対応する他の実施例のレーザ装置を
示す断面図である。
【図23】図21に対応する他の実施例のレーザ装置を
示す断面図である。
【図24】この発明の実施例12のレーザ装置の要部の
構成を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面
図、(c)は要部の斜視図である。
【図25】図12の実施例における部分図であり、
(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図26】この発明の実施例5の固体レーザ装置を示す
断面図である。
【図27】この発明の実施例13のレーザプロッセシン
グ装置を示す断面図である。
【図28】この発明の実施例13のレーザプロセッシン
グ装置を示す断面図である。
【図29】従来の実施例のレーザ装置を示す断面図であ
る。
【図30】従来の実施例のレーザ装置を示す断面図であ
る。
【図31】従来の実施例のレーザ装置を示す断面図であ
る。
【図32】従来の実施例のレーザ装置を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 全反射ミラー 2 部分反射ミラー 3 固体素子 4 光源 5 電源 6 集光器 7 レーザビーム 20 拡大反射ミラー 21 コリメート全反射ミラー 22 部分反射ミラー 23 無反射部 24 拡大出口ミラー 25 段差 40,43 波長変換素子(非線形光学結晶) 41,42,44,45 光学薄膜 61 連結部材 62 粉塵遮蔽容器 70 レーザビーム 80,81 貫通孔 90 偏光選択素子 91 波長板または旋光板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−94791(JP,A) 特開 昭55−62791(JP,A) 特開 平3−292782(JP,A) 特開 平1−222234(JP,A) 特開 昭64−73686(JP,A) 特開 平5−291654(JP,A) 実開 昭57−130454(JP,U) 実開 昭58−180654(JP,U) 実開 昭62−73568(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01S 3/23 H01S 3/08 H01S 3/092 - 2/093

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励起光を発生するレーザ媒質と、該レー
    ザ媒質を励起する励起源と、該励起源により励起された
    レーザ媒質からレーザビームを取り出すレーザ光学系と
    を有するレーザ装置において、前記励起源は、光源と、
    内面が光源から投光された光を一部の箇所に集中しない
    ように反射する拡散型反射面で形成された集光器とを含
    み、前記レーザ媒質は、互いに対向する端部同士が同軸
    上に挿入可能なスリーブ状の連結部材により連結された
    状態で前記集光器内に設けられるとともに、両端部が前
    記集光器に形成された貫通孔を介して前記レーザ光学系
    に臨み、前記光源から投光された光で励起されてレーザ
    ビームを発生する複数の固体素子からなり、かつ前記ス
    リーブ状の連結部材内の前記固体素子同士の対向する端
    部間に波長板または旋光板を備えたことを特徴とするレ
    ーザ装置。
  2. 【請求項2】 前記連結部材は光反射部材で形成される
    か若しくは表面に光反射部材を備えたことを特徴とする
    請求項1記載のレーザ装置。
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