JP2842647B2 - 薬剤徐放性顆粒及びその製造方法 - Google Patents

薬剤徐放性顆粒及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 「利用分野」 本発明は、薬剤を含浸させた薬剤徐放性顆粒及びその
製造方法に関する。
「従来技術及びその問題点」 化学療法には、効果ができるだけ長時間持続する徐放
性薬剤が望まれる。殊に、近年、肝腫瘍などの治療法と
して、経血管化学療法が注目され、この療法に有効な徐
放性薬剤が検討されている。従来、このような目的に使
用する徐放性薬剤として、ゼラチンなどの生体由来物質
のスポンジ状粒子に薬剤を含浸したものやリピオドール
(小玉(株)製ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルの
商品名)などの油脂に懸濁した薬剤粒子が知られてい
る。しかしながら、これらの薬剤粒子では、粒径を一定
にできないので、患部に薬剤を集中できないこと、生体
中に拡散、吸収されやすいので、効果の持続性が充分で
ないこと及びX線や超音波造影性がないので、投与後の
捕捉ができないなどの欠点がある。
また、特開昭60−106459号公報には、可燃性物質のビ
ーズにリン酸カルシウムをコーティングし、得られたビ
ーズに抗生物質を充填するための小孔をあけ、その後、
焼成して可燃性物質を除去して中空ビーズを作製し、小
孔から抗生物質を充填した後に、小孔を密封することに
より、抗生物質を含むリン酸カルシウム質充填剤を製造
することが開示されている。しかしながら、この方法で
は、ビーズに小孔をあけなければならないため、直径が
2〜40mmという比較的大きいものしか製造できず、ま
た、抗生物質の充填及び小孔の密封など、極めて煩雑な
操作を必要とする。
「発明の目的」 本発明は、気孔率、細孔径、比表面積などを適宜、選
択することによって徐放効果を制御でき、X線や超音波
による造影性のよい薬剤徐放性顆粒及びこのような顆粒
を容易に製造しうる方法を提供することを目的とする。
「発明の構成」 本発明の薬剤徐放性顆粒は、200〜1400℃の温度で焼
成されたCa/P比1.3〜1.8、気孔率0.1〜70%、比表面積
0.1〜50m2/g及び細孔径1nm〜10μmの多孔質リン酸カル
シウム系化合物顆粒の孔内に薬剤を含有し、顆粒表面に
可溶性の有機有機高分子化合物から成るコーティング層
を有することを特徴とする。
また、本発明による薬剤徐放性顆粒の製造方法は、上
記のような多孔質リン酸カルシウム系化合物顆粒に薬剤
を含浸させ、その顆粒を−70℃以下の温度で凍結させ、
凍結物を10-4〜10-7Torrの減圧で脱水することによって
凍結乾燥することを特徴とする。
本発明において、顆粒の原料として用いるリン酸カル
シウム系化合物は、Ca/P比1.3〜1.8のリン酸カルシウム
系化合物であれば、特に制限はなく、Ca/P比が1.35〜1.
75のものが好ましく、Ca/P比が1.4〜1.7のものがより好
ましい。例えば、ハイドロキシアパタイト、フッ素アパ
タイトなどの各種アパタイト、α−及びβ−リン酸三カ
ルシウム、リン酸四カルシウムなどが挙げられる。顆粒
は、上記のようなリン酸カルシウム系化合物のうちの1
種以上を含むものであってよい。本発明に用いる多孔質
顆粒は、例えば、過酸化水素などの発泡剤を用いる方法
や加熱により消失する物質の粒子と混合して造粒し、加
熱して多孔質化する方法など、自体公知の方法により製
造することができる。
本発明に用いる多孔質顆粒は200〜1400℃、好ましく
は500〜1300℃、より好ましくは700〜1200℃の温度で焼
成したものである。200℃未満であると、粒子の結合が
弱く、生理食塩水や血液中で崩れてしまい、使用に耐え
なくなる。一方、焼成温度が1400℃を超えると、ハイド
ロキシアパタイトなど、リン酸カルシウム系化合物の分
解が起こり、好ましくない。
本発明に用いる多孔質顆粒は、気孔率0.1〜70%であ
ることを必要とする。気孔率が0.1%未満では、薬剤の
含有率が少なすぎて実用的でなく、70%を超えると、強
度が弱くなり、使用に耐えなくなる。気孔率が1〜60%
の顆粒が好ましく、10〜50%の顆粒はより好ましい。
さらに、比表面積は、0.1〜50m2/gであることを必要
とする。比表面積が0.1m2/g未満であると、薬剤の付着
する表面積が小さすぎるため薬剤の含有率が少なく、実
用的でなく、50m2/gを超えると、強度が弱くなり、使用
に耐えなくなる。比表面積は好ましくは1〜40m2/g、よ
り好ましくは1〜30m2/gである。
本発明に用いる多孔質顆粒は、薬剤の保持能力の観点
から1nm〜10μmの細孔径を有するものとするのが好ま
しく、10nm〜8μmの細孔径を有するのがより好まし
く、50nm〜5μmの細孔径を有するのが最も好ましい。
細孔径が1nm未満であると、薬剤が孔内に浸透すること
ができず、10μmを超えると、薬剤が孔内に保持され難
くなるので好ましくない。
また、本発明に使用する多孔質顆粒の粒径は、1μm
〜10mmであるのが好ましい。本発明の薬剤徐放性顆粒を
血管塞栓術に用いる場合には、毛細血管の直径が5μm
以上と言われており、カテーテルの内径が1000μmであ
るので、顆粒径は5〜1000μmであるのが好ましい。ま
た、実際には、顆粒が腫瘍組織に近い血管に留まってい
るのが理想的であるので、5〜500μmがより好まし
く、10〜100μmが最も好ましい。他方、本発明の薬剤
徐放性顆粒を補填材に用いる場合には、欠損部の大きさ
によっても異なるが、1μm未満であると、生体内で拡
散しやすく、マクロファージ等による貧食もされやす
い。また、顆粒径が10mmをこえると、欠損部に充填した
ときに顆粒間の間隙が大きくなり、骨の再生が起こり難
くなる。したがって、補填材としては顆粒径は1μm〜
10mmが好ましく、5μm〜5mmがより好ましく、10μm
〜4mmが最も好ましい。粒径や粒径分布は、セラミック
スの造粒技術により適宜調節することができる。
本発明に使用する多孔質顆粒は、中空になっていても
よいが、中空顆粒の殻は顆粒径の1/10以上の厚さを有す
ることが必要である。このような多孔質中空顆粒は、公
知の方法で、焼失性物質ビーズの周囲に多孔質リン酸カ
ルシウム系化合物の層を形成させた後、焼成の過程で焼
失性物質を加熱除去することによって得ることができ
る。
本発明の薬剤徐放性顆粒は、上記のような多孔質リン
酸カリシウム系化合物の顆粒に薬剤を含浸させ、乾燥す
ることによって製造することができる。
薬剤の含浸は、液体薬剤の場合には、そのままあるい
は希釈剤で薬剤を希釈した希釈液に浸漬することによっ
て行われ、固体薬剤の場合には、適切な溶剤に溶解又は
懸濁した薬液に浸漬することによって行われる。希釈液
あるいは薬液に浸漬する場合には、これらの濃度は、顆
粒に含浸させたい薬剤の量に応じて適宜選定するが、一
般には、できるだけ高濃度の液とし、顆粒への薬剤の含
浸量をできるだけ多くするのが好ましい。
本発明においては、上記のようにして薬剤を含浸した
顆粒を乾燥する。乾燥は、常法で、例えば加熱又は凍結
乾燥法により行うことができる。加熱乾燥は、含浸顆粒
を高温乾燥機内で100℃以下で行うことができる。しか
し、高温で変質する薬剤もあるので、凍結乾燥が好まし
い。凍結乾燥は、自体公知の方法で行うことができる。
例えば、薬剤を含浸した顆粒を−70℃以下で凍結させ、
凍結物を真空容器に入れて10-4〜10-7Torrの真空度に減
圧して脱水することによって凍結乾燥を行うことができ
る。
本発明の薬剤徐放性顆粒においては、気孔率、比表面
積及び細孔径を適宜、選択することによって薬剤の徐放
効果を制御することができる。
さらに、本発明の薬剤徐放性顆粒に可溶性有機高分子
化合物をコーティングすることによって、薬剤の徐放効
果を向上させると共に、顆粒の比重を制御することがで
きる。
薬剤徐放性顆粒を経血管療法に使用する場合に、その
比重が高いと、チューブの途中に詰まり、投与目的の患
部に到達し難い。リン酸カルシウム系化合物の粒子自体
は、水に比べて比重の高いものであるから、使用するリ
ン酸カルシウム系化合物に比べて比重の低い物質で粒子
をコーティングすることによって、薬剤徐放性顆粒の比
重を低下させることができ、これによって患部への顆粒
の到達を容易にすることができる。
コーティングされた物質は、血液や体液中で徐々に溶
けることが望ましいので、有機高分子化合物としては、
可溶性で、生体に無害のものが好ましい。使用する有機
高分子化合物としては、例えばアルブミン、デキストラ
ン、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル、ゼラチン、
カルボキシメチルキチン、グリコールキチン等が挙げら
れる。
コーティングは、自体公知の方法で行うことができ
る。例えば、乾燥した顆粒と上記のような有機高分子
化合物あるいはその溶液との混合により行う方法、顆
粒への有機高分子化合物あるいはその溶液の噴霧により
行う方法、顆粒とその粒径の1/10以下の粒径の有機高
分子化合物並びに必要に応じて結合剤及び水とを混合し
た後、高速で攪拌することにより行う方法等によってコ
ーティングを行うことができる。コーティング層の厚さ
は、目的とする顆粒の比重、徐放効果の程度に応じて適
宜、決定することができる。
本発明においては、含浸させる薬剤は、制ガン剤、抗
生物質など、各種のものであってよく、特に制限はな
い。また、本発明の薬剤徐放性顆粒は投与方法において
も、経血管化学療法に限定されるものではなく、局所注
射、植込錠、充填材などとして適用することもできる。
例えば、溶解度の高いリン酸カルシウム系化合物、例え
ばリン酸三カルシウム(Ca/P=1.5)を用いて顆粒自体
が消失することが望ましい用途に適用することができ、
また、溶解度の低いリン酸カルシウム系化合物、例えば
ハイドロキシアパタイト(Ca/P=1.67)を用いて骨の欠
損部などに適用すれば、補填材としても機能させること
ができる。
「発明の実施例」 次に、実施例に基づいて本発明をさらに詳しく説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1 700℃の温度で焼成したCa/P比1.67、平均粒径30μ
m、気孔率50%、平均細孔径90nm、比表面積23.0m2/gの
多孔質ハイドロキシアパタイト顆粒を用いた。この顆粒
100mgをアドリアシン(協和醗酵(株)製制ガン剤、硫
酸ドキソルビシンの商品名、以下ADRと略記する)10mg
を水2mlに溶解した水溶液と混合して、この薬剤で含浸
した。得られた含浸顆粒を日酸エドワーズ真空(株)製
MODULYOを用い、−70℃の温度で凍結させ、真空度10-4
〜10-7Torrで水分を除去することにより凍結乾燥し、次
いで解砕した顆粒をヨード系造影剤コンレイ(第一製薬
(株)製イオタラム酸ナトリウム注射液の商品名)1ml
とリピオドール(小玉(株)製ヨード化ケシ油脂肪酸エ
チルエステルの商品名)1mlの混合液中に懸濁してリピ
オドール中の顆粒懸濁液(以下、HAL顆粒の懸濁液と略
記する)を製造した。
実施例2 700℃で焼成したCa/P比1.67、平均粒径400μm/粒径範
囲300〜500μm)、気孔率40%、平均細孔径80nm、比表
面積25m2/gの多孔質ハイドロキシアパタイト顆粒を実施
例1と同様の方法でアドリアシンで含浸し、凍結乾燥
後、解砕してADR含浸顆粒を得た。
この顆粒50gに300rpmの攪拌機内で攪拌しながら10%
デキストラン水溶液100mlをスプレーで噴霧した後、室
温で乾燥させ、厚さ20〜100μm(乾燥状態)の被覆層
を有するデキストラン被覆顆粒を作製した。
実施例3 実施例2で調製したADR含浸顆粒50gに実施例2と同じ
攪拌条件下で、70℃で溶解し、室温に冷却した5%ゼラ
チン水溶液100mlを噴霧した後、室温で乾燥させ、厚さ5
0〜200μm(乾燥状態)の被覆層を有するゼラチン被覆
顆粒を作製した。
実施例4 実施例2で調製したADR含浸顆粒100gとカルボキシメ
チルキチン(平均粒径20μm)100gの混合物に攪拌機内
で蒸留水50gを噴霧し、5000rpmで高速攪拌した後、室温
で乾燥させ、厚さ100〜300μm(乾燥状態)の被覆層を
有するカルボキシメチルキチン被覆顆粒を作製した。
実施例5 1100℃で焼成したCa/P比1.5、平均粒径20μm(粒径
範囲10〜30μm)、気孔率40%、平均細孔径500nm、比
表面積4.2m2/gの多孔質リン酸三カルシウム顆粒を実施
例1と同様の方法でアドリアシンで含浸し、凍結乾燥
後、解砕してADR含浸顆粒を得た。
この顆粒50gを2%グリコールキチン水溶液100mlと混
合し、乾燥後、解砕して、厚さ10〜100μm(乾燥状
態)の被覆層を有するグリコールキチン被覆顆粒を作製
した。
実施例6 平均粒子径50μmの球状アクリルビーズを平均粒径0.
8μmのCa/P比1.67のハイドロキシアパタイト粉末と攪
拌機内で混合し、蒸留水を噴霧しながら5000rpmで高速
攪拌してアクリルビーズを核とし、これをハイドロキシ
アパタイト粉末で被覆した顆粒を作製し、900℃で焼成
し、平均粒径90μm(粒径範囲60〜120μm)の中空顆
粒を得た。この顆粒は気孔率50%、平均細孔径200nm、
比表面積14.5m2/gであった。この中空顆粒を用いて実施
例2と同様の方法でADR含浸顆粒を作製した。
この顆粒50gに実施例2と同じ攪拌条件下で5%アル
ブミン水溶液100mlを噴霧した後、室温で乾燥させ、厚
さ10〜100μm(乾燥状態)の被覆層を有するデキスト
ラン被覆顆粒を作製した。
試験例1 実施例1で製造したHAL顆粒の懸濁液を体重約200gの
雄のウィスターラットの総肝動脈から各ラットに0.1ml
ずつ注入した。次いで、経時的(注入直後、6時間後、
24時間後、48時間後)に肝臓を摘出し、肝臓内のADR量
を高速液体クロマトグラフィー(HPLC法)で測定し、第
1表及び第1図に示した結果を得た。なお、ラットは各
群5匹とした。また、ADR量は、肝臓内のADRの濃度を注
入直後の値を100%とした残存率で示す。
試験例2 この例は比較例である。
比較のためADR10mgとコンレイ1mlとの混合物(以下、
ADR混合物と略記する)を同様に注入した場合及びADR10
mgをリピオドール1ml及びコンレイ1ml中に懸濁したもの
(以下、ALCと略記する)を注入した場合についても、A
DR量を測定し、結果を第1表及び第1図に示す。
第1表に示した結果から、HAL顆粒の懸濁液は、肝組
織内ADR残存率が最も高く、注入してから6時間後では4
9.8%という高濃度で残存し、従来の方法に比べて薬剤
の徐放効果が著しく向上していることが判る。
試験例3 この例は、本発明によるHAL顆粒の懸濁液を使用する
ことによって肝機能障害が軽減されることを示すもので
ある。比較のため、試験例2に使用したADR混合物及びA
LCを用いた。
ウィスターラットの総肝動脈を結紮して各薬剤を注入
した場合の血清GOT(アスパラギン酸アミノトランスフ
ェラーゼ)及びGPT(アラニンアミノトランスフェラー
ゼ)の経時変化を測定し、結果をそれぞれ第2図及び第
3図並びに第2表に示す。
対照として、肝動脈を結紮しただけで、何も注入しな
かったときのGOT及びGPTを示す。
第2表の結果から、本発明のHAL顆粒の懸濁液を用い
た場合には、従来のALCを用いた場合に比べて肝機能障
害は著しく軽度であることが判る。これは、顆粒の材料
として用いたハイドロキシアパタイトが、生体親和性を
有する物質であるためと、顆粒の粒径を血管の大きさと
同じか、あるいは少し大きめに調節できたためと思われ
る。
実施例7 700℃で焼成したCa/P比1.67、粒径300〜500μm、気
孔率40%、平均細孔径80nm、比表面積25m2/gの多孔質ハ
イドロキシアパタイト顆粒(実施例2で用いたもの)50
gを茶色インク(中外化成(株)製レコーダーインク)5
0ml中に入れ、色素を含浸させた後、50℃の恒温乾燥器
で水分を除去し、色素含浸顆粒(これを顆粒Aと称す
る)を作製した。
この顆粒を実施例2と同様にしてデキストランでコー
ティングし、デキストラン被覆顆粒(これを顆粒Bと称
する)を作製した。
実施例8 実施例7と同様にして作製した色素含浸顆粒50gを用
いて実施例3と同様の方法でゼラチン被覆顆粒(これを
顆粒Cと称する)を作製した。
実施例9 実施例7と同様にして作製した色素含浸顆粒100gを用
いて実施例4と同様の方法でカルボキシメチルキチン被
覆顆粒(これを顆粒Dと称する)を作製した。
実施例10 実施例5で用いたのと同じリン酸三カルシウム顆粒を
用いて実施例7と同様の方法で色素含浸顆粒を得た。こ
の顆粒50gに実施例5と同様の方法でグリコールキチン
をコーティングし、グリコールキチン被覆顆粒(これを
顆粒Eと称する)を作製した。
実施例11 実施例6で調製したハイドロキシアパタイト中空顆粒
を用いて実施例7と同様の方法で色素含浸顆粒を得た。
この顆粒に実施例6と同様の方法でアルブミンをコーテ
ィングし、アルブミン被覆顆粒(これを顆粒Fと称す
る)を作製した。
試験例4 実施例7〜11で作製した顆粒A〜Fの各1gをそれぞれ
透析チューブ(VISKASE SALES社製、シームレスセルロ
ースチュービング8/32)に入れ、このチューブの両端を
糸を縛って閉じた後、蒸留水200mlの入ったビーカーに
入れ、スターラーで攪拌した。蒸留水中に溶出したイン
クの量を1時間後、3時間後、6時間後、12時間後及び
24時間後に測定した。
顆粒から溶出したインクの量は、各時間経過後に顆粒
の入ったチューブを取り出し、ビーカー中の水分を蒸発
させた後、10mlの蒸留水を加えて再びインクを水に溶解
させ、この液中のインクの濃度を分光光度計(島津製作
所UV−100−01)により620nmの波長の光の透過率として
測定した。なお、蒸留水の光の透過率を100%とした。
また、比較のため、顆粒1g当たりに含浸したと推定さ
れる色素1mlを顆粒と同様に透析チューブに入れ、200ml
の蒸留水の入ったビーカーに入れ、スターラーで攪拌
し、前記と同様の方法で水中に溶出したインクの量を測
定し、これを対照とした。
測定結果を第4図に示す。
この結果から、含浸した多孔質リン酸カルシウム顆粒
は、色素をゆっくりと水中に放出し、水中の色素濃度が
徐々に高くなり、光の透過率が徐々に低下することが判
る。すなわち、本発明の薬剤含浸多孔質リン酸カルシウ
ム顆粒は、薬剤の徐放効果を有する。さらに、有機高分
子化合物でコーティングした顆粒は、コーティングする
物質や顆粒の構造にも左右されるが、よりゆるやかな薬
剤の徐放効果を有することが判る。
上記の実施例及び試験例においては、リン酸カルシウ
ム系化合物としてハイドロキシアパタイト及びリン酸三
カルシウムを用いたが、他のリン酸カルシウム系化合物
を用いても同様の効果が達成されることは明らかであ
る。
「発明の効果」 本発明の薬剤徐放性顆粒は、本発明方法によれば容易
に製造することができ、多孔質顆粒の孔内に薬剤を含浸
して含むので、薬剤徐放性に優れている。粒径、粒径分
布、気孔率、比表面積、細孔径などを必要に応じて制御
することができるので、徐放効果を制御することができ
る。また、リン酸カルシウム系化合物の顆粒を用いてい
るので、生体に対して無害であり、X線や超音波による
造影性に優れており、投与後の捕捉が容易であるという
利点がある。さらに、有機高分子化合物でコーティング
することにより、徐放効果を向上させると共に、比重を
調節することができ、経血管塞栓療法に対しても好適に
適用することができる。
また、本発明の薬剤徐放性顆粒は、経血管塞栓療法ば
かりでなく、様々な薬剤を含浸させて、各種の投与方式
で投与することができ、溶解性の高いリン酸カルシウム
系化合物を用いれば、顆粒自体が消失することが望まし
い用途に好適であり、溶解性の低いリン酸カルシウム系
化合物を用いて骨の欠損部などに適用すれば、充填材と
しても機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は肝組織内ADR残存率の経時変化を示すグラフ、
第2図は血清GOT濃度の経時変化を示すグラフ、第3図
は血清GPT濃度の経時変化を示すグラフ、第4図は透析
チューブから溶出した色素の水溶液の光透過率の経時変
化を示すグラフである。 符号の説明 ○……HAL顆粒、●……ALC、▲……ADR混合物、■……
対照
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市塚 健司 東京都板橋区前野町2丁目36番9号 旭 光学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−47401(JP,A) 特開 昭59−101145(JP,A) 特開 昭57−4915(JP,A) 特開 昭54−163807(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 9/16,9/18,9/50 A61K 9/52,47/00 - 47/02 A61K 47/30 - 47/42 A61L 27/00

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】200〜1400℃の温度で焼成されたCa/P比1.3
    〜1.8、気孔率0.1〜70%、比表面積0.1〜50m2/g及び細
    孔径1nm〜10μmの多孔質リン酸カルシウム系化合物顆
    粒の孔内に薬剤を含有し、顆粒表面に可溶性の有機高分
    子化合物から成るコーティング層を有することを特徴と
    する薬剤徐放性顆粒。
  2. 【請求項2】粒径が1μm〜10mmである請求項1記載の
    薬剤徐放性顆粒。
  3. 【請求項3】中空であって、その空所にも薬剤を含有す
    る請求項1記載の薬剤徐放性顆粒。
  4. 【請求項4】有機高分子化合物がアルブミン、デキスト
    ラン、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル、ゼラチ
    ン、カルボキシメチルキチン又はグリコールキチンであ
    る請求項1記載の薬剤徐放性顆粒。
  5. 【請求項5】200〜1400℃の温度で焼成されたCa/P比1.3
    〜1.8、気孔率0.1〜70%、比表面積0.1〜50m2/g及び細
    孔径1nm〜10μmの多孔質リン酸カルシウム系化合物顆
    粒に薬剤を含浸させ、その顆粒を−70℃以下の温度で凍
    結させ、凍結物を10-4〜10-7Torrの減圧で脱水すること
    によって凍結乾燥することを特徴とする薬剤徐放性顆粒
    の製造方法。
  6. 【請求項6】焼失性物質のビーズを多孔質リン酸カリシ
    ウム系化合物粒子で被覆し、被覆されたビーズを加熱し
    て焼失性物質を除去することにより中空構造を有する顆
    粒を製造し、該顆粒に薬剤を含浸させる請求項5記載の
    薬剤徐放性顆粒の製造方法。
  7. 【請求項7】粒径1μm〜10mmの顆粒を製造する請求項
    5記載の薬剤徐放性顆粒の製造方法。
  8. 【請求項8】乾燥した顆粒を可溶性の有機高分子化合物
    でコーティングする請求項5記載の薬剤徐放性顆粒の製
    造方法。
  9. 【請求項9】コーティングを、可溶性の有機高分子化合
    物又はその水溶液との混合によって行う請求項8記載の
    薬剤徐放性顆粒の製造方法。
  10. 【請求項10】コーティングを、可溶性の有機高分子化
    合物又はその水溶液の噴霧によって行う請求項8記載の
    薬剤徐放性顆粒の製造方法。
  11. 【請求項11】コーティングを、乾燥した顆粒と、その
    粒径の1/10以下の粒径の有機高分子化合物並びに必要に
    応じて結合剤及び水とを混合した後、高速で攪拌するこ
    とによって行う請求項8記載の薬剤徐放性顆粒の製造方
    法。
  12. 【請求項12】有機高分子化合物としてアルブミン、デ
    キストラン、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル、ゼ
    ラチン、カルボキシメチルキチン又はグリコールキチン
    を使用する請求項8記載の薬剤徐放性顆粒の製造方法。
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