JP2835231B2 - 芳香族ジアミン及びその製造方法 - Google Patents

芳香族ジアミン及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芳香族ポリチアゾール
前駆物質の原料として用いることができる新規な芳香族
ジアミン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】チアゾ
ール環、イミダゾール環、オキサゾール環、オキサジノ
ン環等の複素環を繰り返し単位内に有する高分子は、剛
直性が高く、高強度、高弾性率、高耐熱性高分子として
注目されている。
【0003】中でもチアゾール環を有する芳香族ポリチ
アゾールは、その優れた機械的強度により、単独で又は
他のエンジニアリングプラスチック等と複合して、金属
材料に代替するプラスチック材料としての使用が期待さ
れている。
【0004】しかしながら、芳香族ポリチアゾールはそ
の高い剛直性のために一般に溶解性に乏しく、メタンス
ルホン酸やクロロスルホン酸などの一部の強酸にしか溶
解しないために、その成形において問題があった。
【0005】芳香族ポリチアゾールは、従来より、芳香
族ジアミノジチオール化合物とジカルボン酸誘導体、と
くに塩化物とから製造されているが、芳香族ポリチアゾ
ールを製造後にそれを成形するのでは、上記した成形性
の問題が残り、好ましくない。そこで、まず芳香族ポリ
チアゾールの前駆物質を合成し、次いでその閉環反応を
行うことにより芳香族ポリチアゾールとする方法が一般
に採用されるようになってきた。有機溶媒に可溶な芳香
族ポリチアゾールの前駆物質を製造できれば、前駆物質
の段階で容易に成形加工することができる。そして、成
形加工した前駆物質を加熱してチアゾール閉環反応を行
えば、上記の成形性の問題を回避して、所望の形状の成
形品を得ることができる。
【0006】ところで芳香族ポリチアゾールの前駆物質
は、ポリリン酸等の存在下で、芳香族ジアミノジチオー
ル化合物又はその塩とジカルボン酸又はその誘導体との
混合物を160 ℃以上の温度に加熱することにより製造す
ることができるが、ポリリン酸を用いて芳香族ポリチア
ゾールの前駆物質を製造する場合、重合反応をコントロ
ールすることが難しく、多くの場合ポリチアゾールにま
で反応が進んでしまうという問題があった。このため、
芳香族ポリチアゾールの前駆物質を得るために種々の試
みがなされている。
【0007】たとえば、芳香族ポリチアゾールの前駆物
質を安定的に製造する方法として、芳香族ジアミノジチ
オール化合物又はその塩と、ジカルボン酸誘導体とを界
面重合法を用いて重合する方法(特開平2−103230号)
、及び芳香族ジアミノジチオール化合物の塩とジカル
ボン酸誘導体とを、リン酸化合物の存在下に70〜140 ℃
の温度条件で重合する方法(特開平1−311127号) があ
る。
【0008】上記の二つの方法によると、芳香族ポリチ
アゾール前駆物質をそれまでの諸方法に比べて安定的に
効率よく製造することができる。しかしながら、これら
の方法では、出発物質として芳香族ジアミノジチオール
化合物又はその塩を用いており、前駆物質の製造におい
て、そのチオール基がジカルボン酸誘導体と反応するこ
とがある。また前駆物質の製造過程中にチオール基が一
部閉環反応を起こし、結果的に不溶成分を生成する可能
性があった。
【0009】したがって、本発明の目的は、芳香族ポリ
チアゾール前駆物質の原料となる芳香族ジアミンであっ
て、前駆物質の製造において上記のような不溶成分を副
生する心配もなく、安定に、かつ効率よく前駆物質を製
造することができるような芳香族ジアミンを提供するこ
とである。
【0010】また、本発明のもう一つの目的は、そのよ
うな芳香族ジアミンを高純度かつ高収率で製造すること
ができる方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、カルボキシル基、エステル基、
シアノ基又はベンゼン基により置換されたアルキルチオ
基、又は無置換のアルキルチオ基を芳香族残基に結合
してなる芳香族ジアミンを用いれば、不溶成分を副生す
る心配もなく、安定に、かつ効率よく芳香族ポリチアゾ
ール前駆物質を製造することができることを発見した。
また芳香族ジアミノジチオール化合物又はその塩と、上
記置換又は無置換のアルキル基を有するアルキルハライ
ドとをアルカリ性水性溶媒中で反応させれば、前記芳香
族ジアミンを高純度でかつ高収率で製造することができ
ることを発見し、本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明の芳香族ジアミンは、下
記一般式;
【化5】 (ただし、Arは下記一般式;
【化6】 のいずれかで表わされる芳香族残基であり、またRは置
換又は無置換のアルキル基であり、置換アルキル基の場
合にはカルボキシル基、エステル基、シアノ基、又はベ
ンゼン基により置換されたアルキル基であり、無置換の
アルキル基の場合にはエチル基、イソプロピル基、n−
プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基及びte
rt−ブチル基からなる群から選ばれる。)のいずれか
で表されることを特徴とする芳香族ジアミン。
【0013】また上述した構造の芳香族ジアミンを製造
する本発明の方法は、芳香族ジアミノジチオール化合物
又はその塩と、一般式;X−R(ただし、Xはハロゲン
元素であり、またRは置換又は無置換のアルキル基であ
り、置換アルキル基の場合にはカルボキシル基、エステ
ル基、シアノ基、又はベンゼン基により置換されたアル
キル基であり、無置換のアルキル基の場合にはエチル
基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、
sec−ブチル基及びtert−ブチル基からなる群か
ら選ばれる。)により表されるアルキルハライドとをア
ルカリ性水性溶媒中で反応させることにより、前記芳香
族ジアミノジチオール化合物又はその塩のチオール基の
水素原子を、前記アルキルハライドのアルキル基により
置換することを特徴とする。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
方法において使用する芳香族ジアミノジチオール化合物
は、芳香族残基の両側にそれぞれアミノ基及びチオール
基を有する化合物である。芳香族残基としては、下記
式;
【化7】 等が挙げられる。上記した化7のうちでは特に、
【化8】 のいずれかの芳香族残基であるのが好ましい。
【0015】上記した芳香族残基の両側に結合するアミ
ノ基及びチオール基の位置関係は、芳香族残基を中心と
して左右対称でも点対称でもよい。たとえば、芳香族残
基としてベンゼン環を選択した場合には、芳香族ジアミ
ノジチオール化合物としては、
【化9】 のいずれであってもよい。
【0016】これらの芳香族ジアミノジチオール化合物
から本発明の芳香族ジアミンを製造する場合、芳香族ジ
アミノジチオール化合物は、劣化を防ぐために塩酸塩等
の塩の形で使用するのがよい。
【0017】本発明の方法では、上述したような芳香族
ジアミノジチオール化合物又はその塩と、アルキルハラ
イドとをアルカリ性水性溶媒中で反応させて、芳香族ジ
アミノジチオール化合物のチオール基の水素原子をアル
キル基で置換する。
【0018】アルキルハライド中のアルキル基は、他の
有機基により置換されていてもよいし、無置換のアルキ
ル基であってもよい。無置換のアルキル基としては、イ
ソプロピル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル
基、sec-ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。無
置換のアルキル基の中では、特に2級及び3級のアルキ
ル基が好ましい。
【0019】また置換アルキル基としては、カルボキシ
ル基、エステル基、シアノ基又はベンゼン基等により置
換されたアルキル基(たとえばベンジル基)が好適であ
る。なお、このような置換基を有する場合には、アルキ
ル基は特に2級のものである必要はない。置換基を有す
るアルキル基としては、例えば、
【化10】 等が挙げられる。
【0020】なお、化10に記した6つの置換アルキル
基のうち、上位に示す2つのエステル基を置換したもの
においては、エステル結合中の酸素原子に結合するアル
キル基がメチル基に限らず、鎖状のアルキル基(炭素数
6程度又はそれ以下のアルキル基)であっても良い。
【0021】上記したアルキル基を有するアルキルハラ
イドとしては、それぞれのアルキル基の臭素化物、塩素
化物、ヨウ化物等が使用できる。好ましくは、臭素化物
又は塩素化物を用いる。
【0022】芳香族ジアミノジチオール化合物又はその
塩とアルキルハライドとの反応は、アルカリ性水性溶媒
中で行う。このとき使用するアルカリ性水性溶媒として
は、水、又は水とアルコール(エタノール及び/又はメ
タノール)との混合溶媒に、水酸化ナトリウム等の塩基
性塩を溶解したものを使用することができる。
【0023】アルカリ性水性溶媒には上述した出発原料
は容易に溶解し、もって反応性が良好となる。また、ア
ルカリ性水性溶媒中では、チオール基はチオラートイオ
ンとなってこの部位での反応性が高まり、ハロゲン化物
(アルキルハライド)との反応が助長される。さらに、
アルカリ性水性溶媒中では、反応生成物が沈澱しやす
く、反応生成物の回収、生成が容易となり、高純度の芳
香族ジアミンが得られる。
【0024】アルカリ性水性溶媒のアルカリ濃度は3〜
20重量%とするのがよく、さらに好ましくは5〜10
重量%とする。
【0025】また、アルカリ性水性溶媒中の芳香族ジア
ミノジチオール化合物又はその塩の濃度、及びアルキル
ハライドの濃度は、それぞれ5〜15重量%、及び5〜
15重量%とするのがよい。
【0026】アルカリ性水性溶媒中での芳香族ジアミノ
ジチオール化合物の塩とアルキルハライドとの反応は以
下の通り進行する。なお以下に示す反応では、芳香族ジ
アミノジチオール化合物の塩の例として2,5−ジアミ
ノ−1,4−ベンゼンジチオール二塩酸塩を用いてい
る。また式中X−Rはアルキルハライドを表す。
【化11】
【0027】この置換反応は0℃〜 100℃の範囲で行う
ことができる。温度が0℃未満であると反応速度が遅く
なり好ましくない。また 100℃を超す温度とすると副反
応が起こってしまい好ましくない。より好ましい反応温
度は0℃〜95℃である。
【0028】反応時間は特に制限はないが、一般に2〜
24時間程度で良い。
【0029】なお、反応速度を高めるために、溶液の撹
拌を行うことが好ましい。またアルキルハライドの量を
過剰にすることで反応速度を高めることができる。
【0030】さらに、上述の反応において、セチルトリ
メチルアンモニウムクロライド、臭化n−ブチルトリフ
ェニルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウ
ム、18−クラウン−6、セチルトリメチルアンモニウム
ブロマイド等を相間移動触媒として加えると、反応速度
を高めることができる。このような相間移動触媒は、芳
香族ジアミノジチオール化合物の塩とアルキルハライド
との反応を速やかに進行させる。好ましい相間移動触媒
としては、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、
セチルトリメチルアンモニウムブロマイドが挙げられ
る。
【0031】以上の条件で置換反応を行うことにより、
芳香族ジアミノジチオール化合物の塩のチオール基の水
素原子をアルキルハライドのアルキル基で置換した芳香
族ジアミンを得る。この芳香族ジアミンは以下に示す一
般式;
【化12】 (ただし、Ar及びRは上記と同じである。)のいずれ
かで表わされる。換言すれば、上記の化12で表される
化合物は、芳香族残基に、置換又は無置換のアルキル基
(−SR)が2つ結合した芳香族ジアミンである。
【0032】なお、上記で得られた芳香族ジアミンを用
いた芳香族ポリチアゾール前駆物質及び芳香族ポリチア
ゾールの製造は、以下のようにして行うことができる。
まず、本発明の芳香族ジアミンとジカルボン酸の誘導体
とを反応させ、芳香族ポリチアゾール前駆物質を製造す
る。ジカルボン酸の誘導体としては、各カルボキシル基
を以下のように置換したものが挙げられる。
【化13】 また上記ジカルボン酸誘導体の芳香族残基Arは、たと
えば以下のような芳香族残基が使用できる。なおジカル
ボン酸の中では特にテレフタル酸が好ましい。
【化14】
【0033】本発明の芳香族ジアミンとジカルボン酸と
の反応は、N-メチル-2- ピロリドン、ヘキサメチルフォ
スフォリックトリアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等
の溶媒中で行うことができる。これらの溶媒は単独又は
混合して用いることができる。また反応性を高めるため
に最大限5%のLiCl、CaCl2 等の塩化物を添加しても良
い。反応温度は−20℃〜+50℃とするのがよい。なお、
得られた芳香族ポリチアゾール前駆物質は、公知の方法
により洗浄及び乾燥することができる。
【0034】このようにして得られた前駆物質は、多く
の有機溶媒に可溶であり、前駆物質の段階での成形が容
易となる。
【0035】上述の方法により前駆物質を得たら、これ
を加熱してチアゾール閉環反応を起こし、芳香族ポリチ
アゾールを製造する。前駆物質を 200℃〜 500℃に加熱
すると、前駆物質のアルキル基(イオウ原子に結合する
アルキル基)が脱離するとともに、その部位でチアゾー
ル環が形成され、芳香族ポリチアゾールが得られる。な
お、前駆物質において、イオウ原子に結合するアルキル
基が、シアノ基、エステル基、又はカルボキシル基を置
換基として有する場合には、前駆物質の閉環反応がより
低い温度( 200℃〜 400℃程度) で生じる。
【0036】
【作用】本発明の方法では、芳香族ジアミノジチオール
化合物又はその塩と、アルキルハライドとの反応をアル
カリ性水性溶媒中で行う。アルカリ性水性溶媒には上記
の両反応物は容易に溶解し均一な溶液となるので、反応
性は良好となる。また、アルカリ性水性溶媒中では、チ
オール基はチオラートイオンとなり、この部位での反応
性は高まり、アルキルハライドとの反応が進行しやす
い。さらに、アルカリ性水性溶媒には反応生成物(本発
明の芳香族ジアミン)は沈澱しやすく、回収、生成が容
易となる。
【0037】また、本発明の芳香族ジアミンは、置換又
は無置換のアルキルチオ基を有するが、これとジカルボ
ン酸誘導体とを重合させると、アミノ基が選択的に反応
し、このアミノ基の部位で鎖状に結合した前駆物質が得
られる。一方、チオール基はアルキル基によって保護さ
れることになり、重合部位とはならない。以上の理由に
より、本発明の芳香族ジアミンは、ポリチアゾール前駆
物質の良好な原料となる。
【0038】
【実施例】本発明を以下の具体的実施例により詳細に説
明する。実施例1
【0039】水酸化ナトリウム21.6g を蒸留水300 mlに
溶解し、これに2,5-ジアミノ-1,4-ベンゼンチオール二
塩酸塩30.0g を加え、撹拌しながら氷水により0 ℃まで
冷却し、これを溶解した。
【0040】得られた溶液に、3-ブロモプロピオン酸メ
チル29.4mlを撹拌しながら滴下した。なお、この3-ブロ
モプロピオン酸メチルの滴下の途中に、セチルトリメチ
ルアンモニウムクロライド3.0gを加えた。セチルトリメ
チルアンモニウムクロライドの滴下後すぐに沈澱が生じ
た。溶液の撹拌を続けながら、溶液の温度を徐々に室温
まで上げた。
【0041】溶液を室温に保持して3時間後、得られた
反応生成物をガラスフィルターにより吸引濾過し、沈澱
物を蒸留水で十分に洗浄した。洗浄後、60℃、真空下で
乾燥した。このようにして得られた固体は黄色であっ
た。収量は23.6g であった。得られた固体をシクロヘキ
サンを用いて再結晶処理を行い、黄色の針状結晶を得
た。得られた結晶を真空中で乾燥した。
【0042】得られた結晶の融点を測定したところ、そ
れは84℃であった。また元素分析を行った。結果は以下
の通りであった。なお、以下の元素分析の表における数
値はパーセンテージを表す。
【0043】さらに、 1H−NMRを測定したところ、
3.7ppmおよび6.8ppmにそれぞれシングルのピークが観測
された。
【0044】以上の分析により、得られた結晶が以下に
示す構造を有することを確認した。
【化15】
【0045】実施例2 水酸化ナトリウム21.6g を蒸留水300 mlに溶解し、これ
に2,5-ジアミノ-1,4-ベンゼンチオール二塩酸塩30.0g
を加え、撹拌しながら氷水により0 ℃まで冷却し、これ
を溶解した。
【0046】得られた溶液を撹拌しながら3-ブロモプロ
ピオニトリル22.4mlを滴下した。なお、この3-ブロモプ
ロピオニトリルの滴下の途中に、セチルトリメチルアン
モニウムクロライド3.0gを加えた。セチルトリメチルア
ンモニウムクロライドの滴下後すぐに沈澱が生じた。溶
液の撹拌を続けながら、溶液の温度を室温まで上げた。
【0047】溶液を室温に保持して4時間後、得られた
反応生成物をガラスフィルターにより吸引濾過し、沈澱
物を蒸留水で十分に洗浄した。洗浄後、60℃、真空下で
乾燥した。このようにして得られた固体は黄色であっ
た。収量は51.3g であった。得られた固体を塩化メチレ
ンを用いて再結晶処理を行い、黄色の結晶を得た。これ
を真空中で乾燥した。
【0048】上記で得られた結晶の融点を測定したとこ
ろ、それは130℃であった。また元素分析を行った。結
果は以下の通りであった。
【0049】さらに、 1H−NMRを測定したところ、
2.97ppm 及び2.67ppm にトリプレットのピークが、4.63
ppm 及び6.79ppm にはシングルのピークが観測された。
【0050】以上の分析により、得られた化合物が以下
に示す化合物であることを確認した。
【化16】
【0051】実施例3 3つ口フラスコに水酸化ナトリウム14.4g 、蒸留水200
ml、セチルトリメチルアンモニウムクロライド4.4gを入
れ、窒素気流下で撹拌し溶解した。これに2,5-ジアミノ
-1,4−ベンゼンチオール二塩酸塩20.0g を加え、均一の
溶液になるまで撹拌した。
【0052】この溶液を氷水を用いて0℃まで冷却し、
イソプロピルブロマイド23.0 を滴下した。滴下後撹拌
を続けながら溶液の温度を室温まで上げた。
【0053】得られた反応生成物をガラスフィルターに
より吸引濾過し、沈澱物を蒸留水で十分に洗浄した。洗
浄後、室温、真空下で乾燥し、次いで1mmHg の減圧下に
おいて、150 ℃で乾燥した。このようにして得られた固
体に対してn-ヘキサンを用いて2回再結晶処理を行い、
黄色の針状結晶を得た。得られた結晶を真空中で乾燥し
た。収量は10.3g であった。
【0054】得られた化合物の元素分析、 1H−NMR
測定(CDCL3 を用いた測定) を行った。結果は以下の通
りであった。
【0055】 以上の分析により、得られた化合物が以下に示す構造を
有する化合物であることを確認した。
【化17】
【0056】実施例4 2,5-ビス(メトキシカルボニルエチルチオ)-1,4−フェ
ニレンジアミン10g (0.0290 モル) を、室温下で撹拌し
ながら400 mlの濃塩酸に溶解した。この溶液を撹拌しな
がら、60〜90℃で10時間加熱した後、約5℃で一晩保持
した。
【0057】上記で得られた溶液を濾過して発生した白
色の固体を分離し、この固体を約1000mlの蒸留水に
溶解した。この溶液に炭酸水素ナトリウムを加えて溶液
のpHが3〜4になるように調整した。pHを上述の範
囲に調整すると、黄色の沈澱が生じた。この溶液を濾過
して沈澱を取り出し、蒸留水で充分に洗浄し、真空中で
乾燥した。このときの収量は10.0gであった。
【0058】上記で得られた物質10.0gをエタノー
ル900mlに溶解し、再結晶処理を行った。
【0059】得られた結晶の元素分析を行った。結果は
以下の通りであった。なお、以下の元素分析の表におけ
る数値はパーセンテージを表す。
【0060】さらに、この結晶の赤外線吸収分
析を行ったところ、3337cm-1、3263cm-1、及び1635cm-1
に、ベンゼン環に結合するジアミンに特有なピークがみ
られた。また、1692cm-1には、カルボニル基に特有なピ
ークがみられた。
【0061】以上から、上記で得られた結晶は、以下に
示す芳香族ジアミンであることが確認された。
【化18】
【0062】実施例5 20.0gの2,5-ジアミノ-1,4−ベンゼンジチオールジヒド
ロクロライドを、アルゴン雰囲気下、室温で、水酸化ナ
トリウム水溶液(NaOH 14.4g、水200 ml) に溶解した。
この溶液を氷冷し撹拌しながら、塩化ベンジル20.7mlを
滴下した。このとき、塩化ベンジルを約半分滴下した時
点で、セチルトリメチルアンモニウムクロライド1.0 g
を加えた。
【0063】上記の溶液を約5℃で1時間激しく撹拌し
た後、室温下で3時間撹拌を続けて沈澱を得た。この沈
澱を濾過し、水で充分に洗浄後、真空中で乾燥した。
【0064】上記で得られた物質をノルマルヘキサンと
塩化メチレンの1対1混合液中に溶解して再結晶処理を
行い、針状結晶を得た。収率は32.8%(収量9.43g) で
あった。
【0065】得られた結晶の元素分析を行った。結果は
以下の通りであった。なお、以下の元素分析の表におけ
る数値はパーセンテージを表す。
【0066】さらに、この結晶の赤外線吸収分
析を行ったところ、3406cm-1、3318cm-1、及び1603cm-1
に、ベンゼン環に結合するジアミンに特有なピークがみ
られた。
【0067】以上から、上記で得られた結晶は、以下に
示す芳香族ジアミンであることがわかる。
【化19】
【0068】
【発明の効果】以上に詳述した通り、本発明の方法で
は、アルカリ性水性溶媒中で芳香族ジアミノジチオール
化合物又はその塩とアルキルハライドとを反応させてい
るので、高い収率で高純度の芳香族ジアミン(芳香族ジ
アミノジチオール化合物のチオール基の水素原子をアル
キル基によって置換してなるもの)を製造することがで
きる。
【0069】また、本発明の芳香族ジアミンにおいて
は、芳香族残基に結合するイオウ原子がアルキル基によ
り保護されているので、本発明の芳香族ジアミンとジカ
ルボン酸誘導体との重合反応においては、アミノ基が選
択的に反応することになる。これにより、本発明の芳香
族ジアミンとアルキルハライドとは、芳香族ジアミン中
のアミノ基の部分で縮重合し、不溶成分の副成を生じる
ことなくポリチアゾール前駆物質となる。
【0070】特に、本発明の芳香族ジアミンにおいて、
アルキルチオ基として、カルボキシル基、エステル基、
シアノ基、ベンゼン基を有するアルキルチオ基を選択す
ると、前駆物質の閉環反応を低い温度で行うことがで
き、好ましい。
【0071】また、これらの基を有する前駆物質は、N-
メチル-2- ピロリドン等の有機溶媒に極めてよく溶解す
るので、強酸を用いることなくポリチアゾールを製造す
ることができる利点を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 323/38 C07C 323/38 323/52 323/52 323/65 323/65 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (56)参考文献 特開 昭64−70460(JP,A) 特開 昭64−40449(JP,A) 特開 昭55−38334(JP,A) 特開 昭55−33438(JP,A) 特開 昭62−123155(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式; 【化1】 (ただし、Arは下記一般式; 【化2】 のいずれかで表わされる芳香族残基であり、またRは置
    換又は無置換のアルキル基であり、置換アルキル基の場
    合にはカルボキシル基、エステル基、シアノ基、又はベ
    ンゼン基により置換されたアルキル基であり、無置換の
    アルキル基の場合にはエチル基、イソプロピル基、n−
    プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基及びte
    rt−ブチル基からなる群から選ばれる。)のいずれか
    で表されることを特徴とする芳香族ジアミン。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の芳香族ジアミンにおい
    て、前記Arが 【化3】 のいずれかの芳香族残基であることを特徴とする芳香族
    ジアミン。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の芳香族ジアミンにおい
    て、前記Arがベンゼン環であることを特徴とする芳香
    族ジアミン。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族
    ジアミンにおいて、前記Rが置換アルキル基の場合に、
    下記式; 【化4】 のいずれかであることを特徴とする芳香族ジアミン。
  5. 【請求項5】 芳香族ジアミノジチオール化合物又はそ
    の塩と、一般式;X−R(ただし、Xはハロゲン元素で
    あり、またRは置換又は無置換のアルキル基であり、置
    換アルキル基の場合にはカルボキシル基、エステル基、
    シアノ基、又はベンゼン基により置換されたアルキル基
    であり、無置換のアルキル基の場合にはエチル基、イソ
    プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−
    ブチル基及びtert−ブチル基からなる群から選ばれ
    る。)により表されるアルキルハライドとをアルカリ性
    水性溶媒中で反応させることにより、前記芳香族ジアミ
    ノジチオール化合物又はその塩のチオール基の水素原子
    を、前記アルキルハライドのアルキル基により置換する
    ことを特徴とする芳香族ジアミンの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の方法において、前記芳
    香族ジアミノジチオール化合物又はその塩と前記アルキ
    ルハライドとの反応を、相間移動触媒の存在下で行うこ
    とを特徴とする芳香族ジアミンの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の方法において、前記相
    間移動触媒が、セチルトリメチルアンモニウムクロライ
    ド、臭化n−ブチルトリフェニルホスホニウム、臭化テ
    トラフェニルホスホニウム、18−クラウン−6のいず
    れかであることを特徴とする芳香族ジアミンの製造方
    法。
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