JP2833821B2 - 抗癌剤 - Google Patents

抗癌剤

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は下記式(I)〜(V)で示されるインドール
誘導体およびその薬理学的に許容されうる塩との付加塩
の少なくとも1種を有効成分として含有する抗癌および
抗癌活性増強剤に関する。
(従来の技術と発明が解決しようとする問題点) 最近、白血病、悪性リンパ腫などの制癌剤あるいは抗
癌剤が種々開発されている。しかしながら、いずれの薬
剤も癌を完全に治療させるものではない。
例えば、アドリアマイシンはその抗癌スペクトルの広
いことが特徴であり、乳癌、膀胱癌、肺癌、睾丸腫瘍、
悪性リンパ腫そして急性白血病などに対する抗腫瘍効果
が知られている。しかしながら、これらの薬剤にも限界
があり、また薬剤耐性の問題、すなわち使用したアドリ
アマイシンに対して耐性を示す癌細胞が発現し始め、し
かも厄介なことには、このアドリアマイシン耐性癌細胞
は、他の薬剤に対しても耐性を示す(多剤耐性)という
様な問題も生じてくる。かかる問題は、アドリアマイシ
ンに限った事ではなく、他の薬剤に対しても同様であ
る。
本発明者らは、かかる薬剤耐性腫瘍細胞に対して有効
である化合物を検討した結果、下記の式(I)〜(V)
のインドール誘導体が、アドリアマイシン、ビンクリス
チンなどの抗癌剤の抗癌活性、特に薬剤耐性のできた癌
細胞に対する薬効を増強せしめる作用のあることを見い
だし、本発明を完成した。
(問題を解決するための手段) すなわち、本発明は式(I)〜式(V) のインドール誘導体を有効成分として含有する抗癌剤を
提供するものである。
式(I)〜式(V)の化合物は、それ自体公知の化合
物であり、例えば、式(I)および式(II)の化合物は
ケミカルフアーマシユーテイカルブレテイン(Chem.Pha
rm.Bull.)21(8)1783−1798(1973)に、式(III)
の化合物はケミカルフアーマシユーテイカルブレテイン
(Chem.Pharm.Bull.)23 2805(1975)に、式(IV)の
化合物はテトラヘドロン(Tetrahedron)29 2015−2021
(1973)に、式(V)の化合物は薬学雑誌(97(3)30
9−319(1977))にすでに報告されているが、本発明の
ような用途に関してはまだ知られていない。
本発明は、さらに、式(I)から式(V)のインドー
ル誘導体またはその薬理学的に許容されうる酸との付加
塩を有効成分として含有する抗癌活性増強剤を提供する
ものであり、特に他の抗癌剤に該化合物を配合して調整
される抗癌剤を提供するものである。
本発明は、特に式(I)から式(V)の化合物が低用
量で優れた効果を示し、特定の薬剤耐性腫瘍細胞および
多剤耐性腫瘍細胞に対して有効に抗癌活性を示すという
点に特徴を有するものであり、また抗癌剤と併用するこ
とにより、その抗癌活性を顕著に増強するという点にお
いて特異的なものである。
本発明によれば、上記式(I)〜(V)のインドール
誘導体を有効成分として含有する癌多剤耐性克服剤が提
供される。
本発明の式(I)〜式(V)で示される化合物は、抗
癌及び抗癌活性増強作用を示すことが後述の試験におい
て示される。従ってこの式(I)〜式(V)で示される
化合物は、抗癌及び抗癌活性増強剤として有用である。
生理活性についての詳細は後記の実施例を参照された
い。
本発明によれば、これらのインドール誘導体は単独投
与または他の抗癌剤と組み合わせて投与されうるが、そ
の際一日あたりの投与量は、投与方法および対象疾患に
応じて適宜増減することができ、一般には1.0mg〜2g/日
の範囲内の量である。特に式(I)または式(II)の化
合物を抗癌剤として単独で経口的に投与する場合は約4m
g〜1g/日が適当である。また他の抗癌剤と組み合わせて
用いる場合には、その抗癌剤の種類により異なるが、一
般には他の抗癌剤の投与量は常用量であり、式(I)ま
たは式(II)の化合物の投与量は、上記単独投与の場合
より低い投与量とすることが出来る。
上記したインドール誘導体は下記するように単独でま
たは他の抗癌剤と併用して効果を発揮する。特に、他の
抗癌剤と組み合わせた場合にはそれぞれの効果を増強す
るものである。この式(I)〜式(V)のインドール誘
導体と併用しうる抗癌剤の具体例としては、ビンクリス
チン、アドリアマイシン、ザルコマイシン、カルチノフ
イリン、マイトマイシンA、マイトマイシンB、マイト
マイシンC、クロモマイシン、ブレオマイシン、ダウノ
マイシン、5−フルオロウラシルなどを挙げることが出
来る。
次に、本発明の抗癌剤および抗癌活性増強剤について
のインビトロにおける薬効について説明する。
実施例 ヒト鼻腔表皮由来腫瘍細胞(KB−3−1)の薬剤耐性
株(KB−C−2)細胞1×105個を60mm径のシヤーレの
中でイーグル培地にて18時間培養後、式(I)で表わさ
れるインドール誘導体を種々の濃度で添加してさらに2
日間培養した。容器底面に接着して増殖した細胞を0.25
%トリプシンで処理して細胞懸濁液とした後、細胞数を
血球計算板で算出し、細胞増殖を50%抑制する濃度(IC
50)を算出した。その結果、式(I)〜式(V)で示さ
れるインドール誘導体全てに癌細胞の増殖抑制効果が認
められた。
表 I インドール誘導体の抗癌作用 化合物 KB−C−2に対するIC50値(μg/ml) (I) 26 (II) 15 (III) 6.8 (IV) 7.6 (V) 6.6 さらにまたKB−C−2細胞1×105個を60mm径のシヤ
ーレ中でイーグル培地にて18時間培養後、アドリアマイ
シン、ビンクリスチンおよび式(I)で示されるインド
ール誘導体を、それぞれ2.0μg/ml、0.5μg/ml、1.0μg
/ml、3.0μg/mlの濃度で単独または組み合わせて添加
し、さらに2日間培養した。容器底面に接着して増殖し
た細胞を0.25%トリプシンで処理して細胞懸濁液とした
後、細胞数を血球計算板で算出した。その結果、アドリ
アマイシン、ビンクリスチンおよび式(I)で示される
インドール誘導体単独では細胞の増殖抑制は認められな
かった。これに対し、式(I)で表わされるインドール
誘導体とアドリアマイシンまたはビンクリスチンとを組
み合わせたものでは薬剤耐性細胞に対するこれらの化合
物の細胞増殖抑制効果が増強されることが認められた。
式(II)〜式(V)の化合物に関しても同様の結果を得
ており以上の結果はまとめて表IIに示される。
表 II インドール誘導体の癌多剤耐性克服作用 化合物(濃度μg/ml) 比細胞増殖率(%) 対照 100 アドリアマイシン(2.0) 100 ビンクリスチン(0.5) 100 式(I)の化合物(1.0) 100 式(I)の化合物(1.0)+アドリアマイシン(2.0) 31 式(I)の化合物(1.0)+ビンクリスチン(0.5) 26 式(II)の化合物(1.0) 95 式(II)の化合物(1.0)+アドリアマイシン(2.0) 25 式(II)の化合物(1.0)+ビンクリスチン(0.5) 24 式(III)の化合物(1.0) 100 式(III)の化合物(1.0)+アドリアマイシン(2.0) 4 式(III)の化合物(1.0)+ビンクリスチン(0.5) 4 式(IV)の化合物(1.0) 100 式(IV)の化合物(1.0)+アドリアマイシン(2.0) 20 式(IV)の化合物(1.0)+ビンクリスチン(0.5) 18 式(V)の化合物(1.0) 100 式(V)の化合物(1.0)+アドリアマイシン(2.0) 7 式(V)の化合物(1.0)+ビンクリスチン(0.5) 0 以下に、本発明の抗癌剤または抗癌活性増強剤を含む
医薬の処方例を示す。
製剤例1 カプセル剤 〔処方〕 式(V)の化合物 20.0mg トウモロコシデンプン 128.5mg ステアリン酸マグネシウム 1.5mg 全 量(1カプセル当り) 150.0mg 式(V)の化合物に、トウモロコシデンプンを加え、
粉末のまま、または顆粒状にし、ついでステアリン酸マ
グネシウムを加えて均等に混和した後、硬質カプセルに
充填した。
製剤例2 カプセル剤 〔処方〕 式(V)の化合物 50mg ビンクリスチン 10mg トウモロコシデンプン 138mg ステアリン酸マグネシウム 2mg 全 量(カプセル当り) 200mg 式(V)の化合物およびビンクリスチンにトウモロコ
シデンプンを加え、顆粒状とした後に、ステアリン酸マ
グネシウムを加えて均等に混和し、硬質カプセルに充填
した。
なお、他の抗癌剤を併用するカプセル剤も同様に製造
した。
製剤例3 注射剤 式(I)の化合物を5g、落花生油適量およびベンジル
アルコール1gを混和し、さらに落花生油を使用して全量
を100ccとした。この溶液を無菌操作によりアンプルに1
cc分注して融閉した。
製剤例4 注射剤 式(I)の化合物を5g、ビンクリスチン5g、落花生油
適量およびベンジルアルコール1gを混和し、さらに落花
生油を使用して全量を100ccとした。この溶液を無菌操
作によりアンプルに1cc分注して融閉した。
なお、他の抗癌剤を併用する注射剤も同様に製造し
た。
製剤例5 脂肪乳剤 日局大豆油20gに式(I)の化合物を4g加え、加温し
て溶解し、これに精製大豆リン脂質2.4gおよびグリセリ
ン5gを加え、加温しながら激しく撹拌して溶解後、適当
量の蒸留水を加えてポリトロンホモジナイザーで撹拌し
粗乳化液を調整した。この粗乳化液をさらにマントンガ
ウリン型ホモジナイザーにより高圧乳化させた後、蒸留
水を加えて200mlとすることにより、極めて微細な脂肪
乳剤を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 31/395 - 31/49 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 で表わされるインドール誘導体およびその薬理学的に許
    容されうる酸との付加塩の少なくとも1種を有効成分と
    して含有する抗癌剤。
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