JP2831999B2 - 自動車組立ラインの足回り部組付装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、フロント用の足回り装置を備えるフロント
側の物品部とリヤ用の足回り装置を備えるリヤ側の物品
部とを位置決めした状態で載置自在な治具パレットが設
けられ、前記両物品部とボディとのセッティング箇所を
経由して、前記治具パレットを搬送するパレット搬送手
段が設けられ、前記ボディを前記セッティング箇所の上
部に搬送し、且つ、下降移動させて前記両物品部にセッ
ティングするボディ搬送手段が設けられた自動車組立ラ
インの足回り部組付装置に関する。 〔従来の技術〕 かかる自動車組立ラインの足回り部組付装置は、フロ
ント側やリヤ側の両物品部が載置された治具パレット
を、セッティング箇所で停止させ、ボディをセッティン
グ箇所の上部から下降移動させるに伴って両物品部にセ
ッティングする手順で、作業を行わせることになる。 ちなみに、セッティングの後は、ボディと両物品部と
を、ボルト・ナットを用いて締付固定することになる。
そして、その締付固定作業を、セッティング箇所で行わ
せることもできるが、一般には、セッティング箇所より
も搬送方向下手側に、締付固定箇所を設けて、セッティ
ングが完了した治具パレットを締付固定箇所に搬送させ
ることになる。 ところで、足回り装置におけるサスペンション型式に
は種々の型式のものがあるが、それらの型式のうちに
は、ダンパーユニットがボディにセッティングされるま
では遊動状態になるものがある。例えばストラット型式
を代表として挙げることができる。 ダンパーユニット部が遊動する場合には、ダンパーユ
ニットをセッティング用の所定姿勢に保持する必要があ
り、そのために、治具パレットそのもののに、ダンパー
ユニット保持する保持手段を備えさせることが考えられ
る。 〔発明が解決しようとする問題点〕 治具パレットそのものに保持手段を備えさせるように
すると、多数の治具パレット夫々に保持手段を備えさせ
ねばならないことに起因して、設備全体が高価になる不
利があるばかりでなく、治具パレットに備えさせた保持
手段が、その他の諸作業、例えばタイヤ組付作業等、に
邪魔になり虞れもあり、実用し難いものであった。 本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、
その目的は、設備の低廉化を図り、しかも、他の諸作業
に邪魔にならないようにしながら、ダンパーユニットが
遊動状態にある場合にも良好なセッティングが行えるよ
うにする点にある。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明による自動車組立ラインの足回り部組付装置の
特徴構成は、治具パレットに載置されたフロント側の物
品部又はリヤ側の物品部の一部として、サスペンション
用のダンパーユニットが予め前記治具パレットに載置さ
れ、そのサスペンション用のダンパーユニットをセッテ
ィング用の所定姿勢に保持する保持手段が、保持作用状
態と保持解除状態とに切換自在に、前記セッティング箇
所において前記治具パレットの搬送経路の側脇に地上側
に保持されて設けられている点にあり、その作用及び効
果は次の通りである。 〔作 用〕 すなわち、治具パレットにフロント側の物品部とリヤ
側の物品部とが位置決めされてセッティング箇所に搬送
されてくると、セッティング箇所で両物品部とボディと
をセッティングする際には、フロント側の物品部又はリ
ヤ側の物品部の一部として予め治具パレットに載置され
ているダンパーユニットを、セッティング箇所において
治具パレットの搬送経路の側脇に地上側に保持されて設
けられている保持手段にてセッティング用の所定姿勢に
保持させた状態で、セッティング箇所の上部に搬送した
ボディを下降移動させて両物品部にセッティングするこ
とになる。 ちなみに、セッティングが完了したのちは、保持手段
を保持解除状態に切換えて、治具パレットの移動を許容
させることになる。 すなわち、ダンパーユニットが遊動状態になるもので
あっても、単に搬送している途中においては、そのダン
パーユニットをセッティング用の所定姿勢に保持する必
要はないことから、その所定姿勢に保持する必要のある
箇所においてのみ保持させるものとしたのである。 〔発明の効果〕 従って、ダンパーユニットに対する保持手段を、セッ
ティング箇所において治具パレットの搬送経路の側脇に
地上側に保持される状態で設けて、その保持手段を順次
行うセッティング作業の夫々に使用させるようにしてあ
るから、多数ある治具パレットの夫々に保持手段を備え
させるに較べて、設備の低廉化を図れると共に、保持手
段がその他の諸作業に邪魔になることも回避し得る。 しかも、治具パレットを上昇移動させてボディにセッ
ティングする形式のものでは、ダンパーユニットを保持
する保持手段もダンパーユニットの上昇移動に合わせて
大きく上昇移動する機構が必要となるのに対し、保持手
段を地上側に保持させ、ボディを下降移動させてセッテ
ィングする型式としているので、そのような機構は必ず
しも必要なく、保持手段自体の構成の簡素化を図れるも
のとなる。又、治具パレットの搬送経路の側脇に設けた
保持手段にてダンパーユニットを保持するので、セッテ
ィングのために下降移動するボディと保持手段との干渉
を回避し易いものとできる。 つまり、フロント側の物品部とリヤ部の物品部とを治
具パレットに位置決めした状態で載置して搬送し、その
治具パレットに対して上方からボディ下降移動させて両
物品部にセッティングすることで、ボディに対して類似
した組付形態となる多数の部品を集中して効率良く組み
付ける組付作業形態を採る場合において、その部品の一
部に遊動状態となる場合があるダンパーユニットが含ま
れると、効率的な作業の維持のためにダンパーユニット
を所定姿勢に保持する保持手段が必要となるが、この保
持手段により構成が複雑化するのを可及的に回避してい
るのである。 もって、保持手段の数の低減と保持手段自体の構成の
簡素化とにより装置全体の構成の簡素化を図ると共に、
良好な作業性を確保しながら、遊動状態となる場合があ
るダンパーユニットを含む部品部を組み付ける場合で
も、フロント側の物品部とリヤ側の物品部との組付作業
を効率良く行うことができるものとなった。 〔実施例〕 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。 先ず、自動車組立ラインについて、第11図に基づいて
概略的に説明する。 例示する自動車組立ラインは、オーバヘッド式コンベ
ヤ装置等を用いて構成されるメインライン（L₁）と、治
具パレット（Ｐ）を備えるサブライン（L₂）と、オーバ
ーヘッド式コンベヤ装置等を用いて構成される中継ライ
ン（L₃）とを備えている。 そして、組立完了後のボディ（Ｂ）が、メインライン
（L₁）の途中箇所からサブライン（L₂）に受渡され、サ
ブライン（L₂）において、エンジン、足回り関係や、搭
乗シート、タイヤ、排気関係がボディ（Ｂ）に組付けら
れ、それらの組付が完了したボディ（Ｂ）が、中継ライ
ン（L₃）を介してメインライン（L₁）に受渡され、そし
て、再びメインライン（L₁）において、受渡されたボデ
ィ（Ｂ）に対して最終的な組付が行われるようになって
いる。 前記サブライン（L₂）について説明を加えると、前記
治具パレット（Ｐ）が、エンジン、フロント用の足回り
装置を備えるフロント側の物品部（X₁）と、リヤ用の足
回り装置を備えるリヤ側の物品部（X₂）とを位置決めし
た状態で載置自在に構成され、もちろん、治具パレット
（Ｐ）をラインに沿って搬送する機能を備えさせてい
る。 そして、物品供給箇所（K₁）にて前記両物品部
（X₁），（X₂）を治具パレット（Ｐ）に積載し、その治
具パレット（Ｐ）をセッティング箇所（K₂）に搬送し
て、前記ボディ（Ｂ）を前記両物品部（X₁），（X₂）に
セッティングし、その後、締付箇所（K₃）に治具パレッ
ト（Ｐ）を搬送して、ボルト・ナットを用いて、セッテ
ィングされたボディ（Ｂ）を両物品部（X₁），（X₂）と
を固定するようになっている。以下の工程については詳
述はしないが、治具パレット（Ｐ）を搬送しながら、前
述の如く、搭乗シート、タイヤ、排気関係の組付けが行
われる。 以下、各部の構成を詳述しながら、前記両物品部
（X₁），（X₂）と前記ボディ（Ｂ）とのセッティング、
並びに、セッティングされた両物品部（X₁），（X₂）と
前記ボディ（Ｂ）との締付固定について説明する。尚、
両物品部（X₁），（X₂）を図示するに、サスペンション
装置等を必要に応じて省略する。 第１図、第２図、第６図及び第７図に示すように、前
記治具パレット（Ｐ）は、基本的には、左右一対の縦枠
（１）と、前後方向に並ぶ複数本の横枠（２）とを組付
けて、梯子状に形成されている。 そして、治具パレット（Ｐ）の前方側部分には、前記
フロント側の物品部（X₁）に対する保持部（H₁）と、リ
ヤ側の物品部（X₂）に対する保持部（H₂）とを備えてい
る。 又、治具パレット（Ｐ）は、セッティング箇所（K₂）
や締付箇所（K₃）等においては位置決めされるものであ
って、そのために、治具パレット（Ｐ）の前端側箇所や
後端側箇所に、ピン係合孔（３）が形成されている。従
って、セッティング箇所（K₂）や締付箇所（K₃）等のパ
レット位置決め箇所には、第５図にも示すように、前記
ピン係合孔（３）に係脱するロックピン（４）が、エア
シリンダにて昇降操作されるように設けられている。 さらに、治具パレット（Ｐ）の前部側箇所や後部側箇
所には、ナット用のホルダー（5a）やボルト用のホルダ
ー（5b）が、昇降自在並びに縦軸芯周りで回動自在に設
けられている。これらホルダー（5a），（5b）は、締付
箇所（K₂）において、上昇並びに回動操作されて、セッ
ティングされたボディ（Ｂ）と両物品部（X₁），（X₂）
とを固定することになる。従って、前記ボディ（Ｂ）に
は、ホルダー（5a），（5b）に保持されたナットやボル
トに対応するボルトやナットが付設されており、又、締
付箇所（K₃）には、前後一対のホルダー操作ロボット
（６）が設けられている。 尚、ホルダー操作ロボット（６）は、詳述はしない
が、基体と操作部とを、縦軸周りで屈折自在なアームに
て連結して構成されており、操作部を各ホルダー（5
a），（5b）の下端部に係合させて、各ホルダー（5
a），（5b）を昇降並びに回動操作するようになってい
る。 前記フロント側の保持部（H₁）は、フロント側の物品
部（X₁）の基体フレーム（F₁）を受止める複数個の受け
具（６）と、前記基体フレーム（F₁）に下方より係合す
る位置決め用の複数個のピン（７）とにより、フロント
側の物品部（X₁）を位置決めした状態で載置するように
なっている。そして、前記複数個の受け具（６）並びに
複数個の係合ピン（７）が、板状の基材（８）から立設
された柱状部材（９）に支持されている。尚、各柱状部
材（９）は、受け具（６）と係合ピン（７）との支持に
共用されるものと、受け具（６）や係合ピン（７）の１
つを支持するものとがある。 前記板状の基材（８）には、前輪ホィール部の支持ブ
ラケットを受け止め支持する受け片（S₁）が連設されて
いる。 又、前記板状の基材（８）が、左右一対のスライドレ
ール（10）によって前後自在に支持されており、もっ
て、フロント側の保持部（H₁）は、前後方向に位置変更
操作できるようになっている。 但し、図中、（11）は、フロント側の保持部（H₁）の
前後移動範囲を規制すべく、前記板状の基材（８）に当
接作用するストッパーであり、又、（12）は、フロント
側の保持部（H₁）を所定位置に固定すべく、前記板状の
基材（８）に下方により係合するロックピンである。 ところで、本実施例においては、セッティング箇所
（K₂）において、フロント側の保持部（H₁）を自動的に
前後動操作するようになっており、そして、その前後動
に関連して、前記ロックピン（12）を係脱させるように
なっている。 すなわち、第８図に示すように、セッティング箇所
（K₂）に、左右一対のガイドレール（13）に沿ってスラ
イド自在な可動体（14）が設けられ、その可動体（14）
に、前後一対の係止片（15）が設けられ、これら係止片
（15）が、前記板状の基材（８）に付設した被係止片
（16）を係止するようになっている。 前記可動体（14）は、移動操作用の電動モータ（17）
にて駆動される螺軸（18）に嵌合するコマ部材（図示せ
ず）を備えており、電動モータ（17）の正逆転により、
前後にスライド移動するようになっている。 前記一対の係止片（15）は、横軸芯周りでの上下揺動
によって、係止作用状態と係止解除状態とに切換えられ
るものであて、１つのエアシリンダ（19）にて揺動操作
されるようになっている。すなわち、エアシリンダ（1
9）が、一対の係止片（15）の一方側に連動連結され、
一対の係止片（15）の夫々と一対回転する一対のギヤ
（20）が、咬合状態で設けられている。 前記ロックピン（12）は、第７図に示すように、スプ
リングによって係合側に付勢されると共に、解除レバー
（21）によって、係合解除側に切り換え操作できるよう
になっている。そして、セッティング箇所（K₂）には、
解除レバー（21）を押し操作するエアシリンダ（22）が
設けられている。 尚、フロント側の保持部（H₁）を前後動させるのは、
ボディ（Ｂ）のセッティングに際して、ボディ側の部材
とフロント側の物品部（X₁）との接当干渉を回避するた
めであり、その詳細については、後述する。 前記リヤ側の保持部（H₂）は、前記フロント側の側の
保持部（H₁）と同様に、リヤ側の物品部（X₂）の基体フ
レーム（F₂）を受止める複数個の受け具（23）と、前記
基体フレーム（F₂）に下方より係合する位置決め用の複
数個の係合ピン（24）とにより、リヤ側の物品部（X₂）
を位置決めした状態で載置するようになっている。そし
て、前記複数個の受け具（23）並びに複数個の係合ピン
（24）が、板状の基材（25）に柱状部材（26）を用いて
支持されている。 前記複数個の受け具（25）や前記複数個の係合ピン
（24）は、４輪駆動や２輪駆動等の駆動形式の差異、並
びに、２輪ステアリングと４輪ステアリグとのステアリ
ング形式の差異に合わせて、選択的に使用されるように
なっている。その選択のための構成は、詳述はしない
が、前記柱状部材（26）のいずれかを伸縮調節自在に構
成して、不要のものを下方側に退避させるようになって
いる。 又、前記ナットやボルトのホルダー（5a），（5b）の
うちのパレット前方側に装備されるものが、治具パレッ
ト（Ｐ）そのものに取付けられるのに対し、パレット後
方側に装備されるボルトのホルダー（5b）が、前記板状
の基材（25）に取付けられている。尚、板状の基材（2
5）に取付けられるホルダー（5b）のうちの所要のもの
は、前記駆動形式の差異や、前記ステアリング形式の差
異に合わせて、位置調節されるようになっている。 さらに、前記板状の基材（25）には、セッティングさ
れるボディ（Ｂ）に下方より係合する係合ピン（26）の
支持ブラケット（27）や、後輪のホィール部の支持ブラ
ケットを受け止め支持する受け片（S₂）が連設されてい
る。 ところで、車種の差異によりホィールベースが異なる
ことがあり、このため、リヤ側の保持部（H₂）は、前後
方向に位置調節自在に治具パレット（Ｐ）に取付けられ
ている。 すなわち、前記板状の基材（25）が、左右一対のスラ
イドレール（29）によって前後動自在に支持され、板状
の基材（25）に、パレット側の被係合部材（30）に上方
により係合する係合ピン（31）が設けられ、前後被係合
部材（30）には、前後に２箇所の係合孔が形成されてお
り、もって、係合ピン（31）を係脱しながら、リヤ側の
保持部（H₂）を前後２位置に調節できるようにしてあ
る。 尚、前記係合ピン（31）は、下方側、すなわち係合側
に弾性付勢されており、付勢力に抗して引張り操作する
ことによって離脱状態となる。 第５図及び第10図に示すように、前記サブライン
（L₂）の全長に亘るローラコンベヤ装置と、治具パレッ
ト（Ｐ）を係止移動させる移動体（Ａ）とが設けられ
て、パレット搬送手段が構成されている。 ローラコンベヤ装置は、左右一対の搬送部（Ｄ）を備
えるものであって、各搬送部（Ｄ）には、横軸芯周りで
回転する受止め用のローラ（32）と、縦軸芯周りで回転
する横移動規制用のローラ（33）とが設けられている。
従って、治具パレット（Ｐ）は、その左右の端部をロー
ラ（32），（33）にて受止め案内されながら、ラインに
沿って移動できるようになっている。 但し、図中（34）は、逆Ｕ字状のコンベヤフレームで
あって、ライン長手方向に沿って適当間隔おきに立設さ
れている。ちなみに、このコンベヤフレーム（34）は、
その他の諸機器を取付ける基台としても利用されること
になる。 前記移動体（Ａ）は、断面形状Ｉの字状のガイド（3
5）に沿って走行するものであって、その上部には、パ
レット係止用の一対の係止片（36）が設けられている。 第10図に示すように、前記メインライン（L₁）の途中
箇所からサブライン側に供給されるボディ（Ｂ）は、次
に述べるボディ搬送手段（Ｇ）によって、前記セッティ
ング箇所（K₂）の上部に搬送されたのち、下降移動され
て、前記両物品部（X₁），（X₂）にセッティングされる
ようになっている。 但し、ボディ（Ｂ）の下降移動に伴って、前記フロン
ト側の物品部（X₁）が治具パレット（Ｐ）に対して前後
動されて、ボディ側の部材とフロント側の物品部（X₁）
とが接当干渉することを回避させるようになっている。 尚、図中（37）は、メインライン（L₁）から供給され
たボディ（Ｂ）を、ボディ搬送手段（Ｇ）の始端部に搬
送する中継用の移動体であって、ガイド（38）に沿って
往復走行するようになっている。 ちなみに、前記ボディ（Ｂ）と前記両物品部（X₁），
（X₂）とのセッティング状態とは、第７図や第９図に示
すように、前記治具パレット（Ｐ）のリヤ側の保持部
（H₂）から連設した前述の左右一対の係合ピン（26）
を、ボディ側の係合孔（図示せず）に係合させ、ボディ
（Ｂ）の前端側に付設した３本の締付用ボルト（39）
を、フロント側の物品部（X₁）の基体フレーム（F₁）に
形成した係合孔（図示せず）に係合させるものである。
尚、ボディ（Ｂ）には、前端側にのみ前述の締付用のボ
ルト（39）が付設されるものであり、その他の箇所に
は、締付用のナットが付設されている。 前記ボディ搬送手段（Ｇ）は、第９図にも示すよう
に、上部側のガイドレール（40）に沿って吊下げ状態で
走行するキャリア（41）を備える、いわゆるオーバーヘ
ッド式に構成されている。 前記キャリヤ（41）は、左右一対の四角状のハンガー
フレーム（41a）を昇降操作自在に備え、そして、それ
らハンガーフレーム（41a）夫々の前端部と後端部と
に、ボディ係止枠（42）が縦軸芯周りで出退揺動自在に
枢着されている。尚、ボディ係止枠（42）は、エアシリ
ンダにして揺動操作されるようになっており、又、先端
部には、ボディ（Ｂ）に係合するピン（Ｑ）を備えてい
る。 第１図及び第５図に示すように、前記セッティング箇
所（K₂）において前記治具パレット（Ｐ）の搬送経路の
側脇に地上側に保持されて、フロント側の物品部（X₁）
における左右一対のダンパーユニット（Ｕ）やリヤ側の
物品部（X₂）における左右一対のダンパーユニット
（Ｕ）をセッティング用所定姿勢に保持する４つの保持
手段（Ｍ）が設けられている。つまり、サスペンション
用のダンパーユニット（Ｕ）は、フロント側の物品部
（X₁）又はリヤ側の物品部（X₂）の一部として、予め治
具パレット（Ｐ）に載置されている。 ちなみに、例示図においては、フロント側やリヤ側の
物品部（X₁），（X₂）にストラット型式のサスペンショ
ンを備えさせる場合を記載しており、ダンパーユニット
（Ｕ）は、ホイールの支持ブラケットに接続されてい
る。尚、ホイールの支持ブラケットは、各物品部
（X₁），（X₂）の基体フレーム（F₁），（F₂）に対し
て、揺動アームを介して支持されることになる。 保持手段（Ｍ）は、第３図及び第４図にも示すよう
に、パレット横巾方向に出退自在で、且つ、先端側ほど
パレット前方向に沿う巾が大なる係入凹部（Ｖ）を備え
る板状の案内具（43）と、その案内具（43）の突出状態
においてダンパーユニット（Ｕ）を係入凹部（Ｖ）の奥
部に係止移動操作する係止具（44）とを備えるものであ
る。 説明を加えると、パレット前後方向に並ぶ一対のロッ
ド状の案内枠（45）が、取付台（46）に設けられ、それ
ら案内枠に揺動自在に外嵌する摺動ブロック（47）に、
長尺状の支持枠（48）が取付けられ、その支持枠（48）
の先端部に、前記案内具（43）がボルト止着され、さら
には、前記摺動ブロック（47）を摺動操作するエアシリ
ンダ（49）が設けられている。 前記係止具（44）は、一対の揺動爪（44a）にて構成
されるものである。すなわち、一対の揺動爪（44a）
が、前記案内具（43）とそれに対してスペーサを介して
ボルト連結された板状のカバー体（50）との間に、縦軸
芯（Ｚ）周りで揺動自在に枢支され、それら揺動爪（44
a）の基端部を貫通するピン（51）がエアシリンダ（5
2）にてパレット横巾方向に移動操作されるようになっ
ており、もって、一対のエアシリンダ（52）の作動によ
って、揺動爪（44a）を開き状態から閉じ状態に切換え
るに伴って、ダンパーユニット（Ｕ）を係入凹部（Ｖ）
の奥部側に係止移動できるようになっている。 又、各保持手段（Ｈ）は、パレット前後方向に位置変
更できるように設けられている。すなわち、地上側に支
承された基台（53）に、パレット横巾方向に並ぶ一対の
ロッド状の案内枠（54）が設けられ、前記取付台（46）
に付設した摺動体（55）が、案内枠（54）に摺動自在に
外嵌されると共に、取付台（46）を摺動操作するエアシ
リンダ（56）が設けられている。但し、図中（57）は、
位置変更範囲を規制するストッパー用のボルトである。 ちなみに、フロント側の物品部（X₁）に対する左右の
保持手段（Ｍ）は、セッティングに際して、フロント側
の保持部（H₁）を前後動させるのに同調して、前後動さ
れることになり、又、リヤ側の物品部（X₂）に対する左
右の保持手段（Ｍ）は、ホィールベースの変化に合わせ
てリヤ側の保持部（H₂）を前後調節する際に、同時に前
後調節させることになる。 次に、ボディ（Ｂ）のセッティングの手順について、
主として、第10図及び第12図（イ），（ロ），（ハ）を
参照しながら説明を加える。但し、例示図においては、
ボディ側のスタビライザ（ａ）や配管（ｂ）が、フロン
ト側の物品部（X₁）のエンジンに接当干渉する場合を例
に挙げて記載されている。 先ず、フロント側やリヤ側の物品部（X₁），（X₂）が
載置された治具パレット（Ｐ）をセッティング箇所
（K₂）に搬送することや、ボディ（Ｂ）を支持するキャ
リヤをセッティング箇所（K₂）の上部に搬送することが
行われる。 そして、治具パレット（Ｐ）がセッティング箇所
（K₂）に搬送されると、パレット位置決め用のロックピ
ン（４）を係合状態に切換えること、可動体（14）の一
対の係止片（15）を係止作用状態に切換えること、並び
に、フロント側の保持部（H₁）に対するロックピン（1
2）を係合解除状態に切換えることが行われると共に、
保持手段（Ｍ）によって、各物品部（X₁），（X₂）のダ
ンパーユニット（Ｕ）をセッティング用の所定姿勢に保
持させることになる。 つまり、係止具（44）の一対の揺動爪（44a）を開き
状態に維持させたまま、案内具（43）を所定位置に突出
させ、その後、一対の揺動爪（44a）を閉じ状態にする
ことによって、保持手段（Ｍ）を保持作用状態にするこ
とになる。 次に、キャリヤ（41）のハンガーフレーム（41a）が
下降されて、ボディ（Ｂ）が下降移動される。そして、
ボディ（Ｂ）の下降移動に伴って、可動体（14）の移動
操作用の電動モータ（17）が作動されて、フロント側の
物品部（X₁）が前方側に移動されたのち、再び、後方側
に移動されるようになっている。ちなみに、この前後動
に同調して、エアシリンダ（56）の作動により、フロン
ト側の保持手段（Ｍ）も前後動されることになる。 ちなみに、セッティングが完了すると、キャリア側の
ボディ係止枠（42）が引退操作されて、キャリアが復帰
移動することになり、又、フロント側の保持部（X₁）に
対するロックピン（12）が係合状態に切換えられたの
ち、可動体（14）の一対の係止片（15）が係止解除状態
に切換えられることになり、さらには、係止具（44）の
揺動爪（44a）が開かれたのち案内具（43）が引退され
て、保持手段（Ｍ）が保持解除状態に切換えられること
になる。そして、それらの操作の完了後、移動体（Ａ）
によって治具パレット（Ｐ）を締付箇所に搬送させるこ
とになる。 〔別実施例〕 上述実施例では、フロント側やリヤ側の物品部
（X₁），（X₂）の夫々に、ストラット型式のサスペンシ
ョンを備えさせ、４つの保持手段（Ｍ）を設ける場合を
例示したが、サスペンションの型式は限定されるもので
はない。そして、リヤ側又はフロント側に装備するサス
ペンションが、ダンパーユニット（Ｕ）の保持を行う必
要がないものであれば、リヤ側又はフロント側のいずれ
かに対して、保持手段（Ｍ）を備えさせればよい。 保持手段（Ｍ）の具体構成は各種変更できるものであ
り、例えば、上述実施例で述べた案内具（43）を、係入
凹部（Ｖ）がパレット前後方向に向かう状態でパレット
前後方向に一対設け、それらの接近移動により保持させ
るようにしてもよい。ちなみに、保持手段（Ｍ）が、大
きな範囲で揺動するダンパーユニット（Ｕ）をも保持で
きるものであれば、上述実施例で述べた受け片（S₁），
（S₂）を省略することも可能である。さらには、本発明
の保持手段（Ｍ）を用いて、セッティングの際に、他物
との接当干渉を回避させるべく、ダンパーユニット
（Ｕ）を位置変更操作させるようにしてもよい。 又、本発明を実施するに、両物品部（X₁），（X₂）の
他に、タンク類や配管類をも治具パレット（Ｐ）に保持
させて、それらをもボディ（８）に組付けるようにして
もよく、又、本発明は、フロントエンジンタイプに限ら
ず、ミッドエンジンタイプや、リヤエンジンタイプにも
適用できるものである。 又、治具パレット（Ｐ）の具体構成、パレット搬送手
段（A,D）の具体構成、ボディ搬送手段（Ｇ）の具体構
成は、使用対象等に応じて各種変更できる。 尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする
為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構
造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】 図面は本発明に係る自動車組立ラインの足回り部組付装
置の実施例を示し、第１図はリヤ側の物品部をセッティ
ング箇所に位置させた状態の切欠き背面図、第２図はフ
ロント側の物品部の載置状態の切欠き正面図、第３図は
保持手段の平面図、第４図は側面図、第５図はセッティ
ング箇所や締付箇所の平面図、第６図は治具パレットの
平面図、第７図は同側面図、第８図は前後動操作構造を
示す側面図、第９図はキャリアの正面図、第10図は足回
り組付箇所の概略側面図、第11図は自動車組立ラインの
概略平面図、第12図（イ），（ロ），（ハ）はセッティ
ング作動の概略側面図である。 （43）……案内具、（44）……係止具、（A,D）……パ
レット搬送手段、（Ｂ）……ボディ、（Ｇ）……ボディ
搬送手段、（Ｍ）……保持手段、（Ｐ）……治具パレッ
ト、（Ｕ）……ダンパーユニット、（Ｖ）……係入凹
部、（X₁）……フロント側の物品部、（X₂）……リヤ側
の物品部。

フロントページの続き (72)発明者 臼井 純一 大阪府大阪市西淀川区御幣島３丁目２番 11号 株式会社ダイフク内 (72)発明者 小田 治男 大阪府大阪市西淀川区御幣島３丁目２番 11号 株式会社ダイフク内 (56)参考文献 特開 昭62−149570（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−166174（ＪＰ，Ａ) 実開 昭58−126584（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B62D 65/00

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．フロント用の足回り装置を備えるフロント側の物品
   部（X₁）とリヤ用の足回り装置を備えるリヤ側の物品部
   （X₂）とを位置決めした状態で載置自在な治具パレット
   （Ｐ）が設けられ、 前記両物品部（X₁），（X₂）とボディ（Ｂ）とのセッテ
   ィング箇所を経由して、前記治具パレット（Ｐ）を搬送
   するパレット搬送手段（A,D）が設けられ、 前記ボディ（Ｂ）を前記セッティング箇所の上部に搬送
   し、且つ、下降移動させて前記両物品部（X₁），（X₂）
   にセッティングするボディ搬送手段（Ｇ）が設けられた
   自動車組立ラインの足回り部組付装置であって、 前記フロント側の物品部（X₁）又はリヤ側の物品部
   （X₂）の一部として、サスペンション用のダンパーユニ
   ット（Ｕ）が予め前記治具パレット（Ｐ）に載置され、 そのサスペンション用のダンパーユニット（Ｕ）をセッ
   ティング用の所定姿勢に保持する保持手段（Ｍ）が、保
   持作用状態と保持解除状態とに切換自在に、前記セッテ
   ィング箇所において前記治具パレット（Ｐ）の搬送経路
   の側脇に地上側に保持されて設けられている自動車組立
   ラインの足回り部組付装置。 ２．前記保持手段（Ｍ）が、パレット横巾方向に出退自
   在で、且つ、先端側ほどパレット前後方向に沿う巾が大
   なる係入凹部（Ｖ）を備える案内具（43）と、その案内
   具（43）の突出状態において、前記ダンパーユニット
   （Ｕ）を前記係入凹部（Ｖ）と奥部に係止移動操作する
   係止具（44）とからなる特許請求の範囲第１項に記載の
   自動車組立ラインの足回り部組付装置。