JP2831922B2 - 根菜類収穫機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、人参や大根などの根菜
類を収穫する根菜類収穫機に関し、詳しくは、根菜類の
茎葉部を挾持して圃場から引き抜く引抜装置及び引き抜
いた根菜類の茎葉部を切断する葉切装置を備えた前処理
部と、茎葉部の切断された前記根菜類を屑選別しながら
搬送する選別コンベアを備えた選別部と、前記選別コン
ベアの終端に位置する回収部とを装備した根菜類収穫
機。

【０００２】

【従来の技術】従来、上記のような根菜類収穫機におい
ては、例えば、特願平４‐３１８１３４号で開示されて
いるように、走行機体の前方下部から走行機体の中央部
に装備された選別コンベアの上方にわたる前処理部を上
下揺動可能に走行機体に支持するとともに、その揺動支
点を前処理部の略中間となる選別コンベア前端の下方付
近に設定することによって、根菜類の種類や植え付け状
態に対応させて前処理部の引き抜き高さを調節できるよ
うにしていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術によれば、前処理部の引き抜き高さの調節に伴
って、前処理部の後部に配備された葉切装置と葉切装置
から根菜類が落下供給される選別コンベアとの間隔に変
動が生じるため、例えば、前処理部の引き抜き高さを低
くした場合には、葉切装置と選別コンベアとの間隔が広
がることにより落下供給の際の衝撃が大きくなって根菜
類を傷める虞があり、又、前処理部の引き抜き高さを高
くした場合には、葉切装置と選別コンベアとの間隔が狭
くなることにより選別コンベアにて搬送中の根菜類を葉
切装置で押し潰す虞や葉切装置が選別コンベアの搬送経
路を遮断して搬送不良を引き起こす虞があり、収穫した
根菜類の品質や回収効率の向上を図る上において改良の
余地があった。

【０００４】又、不整地を走行する場合に前処理部の引
抜装置の前部と地面との衝突を防止する上で前処理部の
前部を大きく上昇させると、葉切装置と選別コンベアと
が衝突して破損する虞があり、それを回避するためには
葉切装置を高い位置に配備させなければならず、根菜類
収穫機が大型化するようになっていた。

【０００５】本発明の目的は、収穫した根菜類の品質や
回収効率を向上させるとともに、根菜類収穫機の小型化
を図れるようにすることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本第１発明では、根菜類の茎葉部を挾持して圃場か
ら引き抜く引抜装置及び引き抜いた根菜類の茎葉部を切
断する葉切装置を備えた前処理部と、茎葉部の切断され
た前記根菜類を屑選別しながら搬送する選別コンベアを
備えた選別部と、前記選別コンベアの終端に位置する回
収部とを装備した根菜類収穫機において、前記前処理部
と前記選別部とを一体上下揺動可能に走行機体に支持す
るとともに、その揺動支点を前記選別コンベア終端の下
方付近に設定した。

【０００７】本第２発明では、上記第１発明において、
前記揺動支点にカウンタ軸を設け、エンジンからの動力
を、前記カウンタ軸を介して前記前処理部と前記選別部
とに分配伝達するように構成した。

【０００８】

【作用】本第１発明によると、前処理部と選別部とを一
体上下揺動可能に走行機体に支持させているので、葉切
装置と選別コンベアとの間隔が前処理部の上下揺動に関
係なく常に一定となり、又、前処理部と選別部の揺動支
点を前記選別コンベア終端の下方付近に設定しているの
で、回収部へ根菜類を供給する選別コンベアの終端の位
置が回収部に対して大きく変動することがない。

【０００９】本第２発明によると、エンジンからの動力
を揺動支点に設けたカウンタ軸を介して前処理部と選別
部とに分配伝達するように構成しているので、エンジン
から前処理部と選別部への動力の伝達に支障を来すこと
なく前処理部と選別部を上下揺動させることができ、
又、エンジンから前処理部と選別部への伝動構成を簡単
にすることができるようになる。

【００１０】

【発明の効果】本第１発明によれば、前処理部の引き抜
き高さの調節に伴う前処理部と選別部との間隔の変動に
よって生じる根菜類の損傷や搬送不良の虞が解消され、
前処理部の前部を大きく上昇させることによって生じる
葉切装置と選別コンベアとの衝突で破損する虞も解消さ
れるようになる。又、選別部を前処理部と一体的に上下
揺動させることによって新たな不都合が生じることもな
い。つまり、収穫した根菜類の品質や回収効率を向上さ
せるとともに、根菜類収穫機の小型化を図ることができ
るようになった。又、根菜類収穫機の小型化を図ること
によって構成が簡素化されるので、製造コストや製作の
面で有利にすることができる。

【００１１】本第２発明によれば、前処理部と選別部の
上下揺動により伝動構成に支障を来すことがないので、
根菜類収穫機として高性能で安定したものにすることが
できる。又、伝動構成を簡単にすることができるので、
製造コストや製作の面で更に有利にすることができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１及び図２には、人参や大根などの根菜類を収
穫する根菜類収穫機の全体側面が示されており、この根
菜類収穫機は、走行機体１の左側前部に装備された前処
理部２、走行機体１の左側中央部に装備された選別部
３、走行機体１の左側後部に装備された回収部４、走行
機体１の右側前部に装備された搭乗運転部５、走行機体
１の右側後部に装備された原動部６、及び、走行機体１
の下方に装備されたクローラ式走行装置７、などによっ
て構成されている。

【００１３】図３にも示すように、前処理部２は、倒伏
した根菜類の茎葉部を掬い上げる左右一対の分草具８、
掬い上げられた茎葉部を引き起こす左右一対の引起装置
９、引き起こされた茎葉部を挾持して根菜類を圃場から
引き抜く引抜装置１０、及び、引き抜かれた根菜類の茎
葉部を切断する葉切装置１１、などによって構成されて
いる。

【００１４】図４にも示すように、引抜装置１０は、走
行機体１の上方から走行機体１の前方下部にわたる左右
一対のガイドフレーム１０ａ、夫々のガイドフレーム１
０ａの上端に配備された駆動プーリ１０ｂ、夫々のガイ
ドフレーム１０ａの下端に配備された従動プーリ１０
ｃ、夫々の駆動プーリ１０ｂと従動プーリ１０ｃとにわ
たって巻回された左右一対の無端挾持ベルト１０ｄ、及
び、圧縮バネ１０ｅの付勢によって左右の無端挾持ベル
ト１０ｄを近接する側へ押圧するようにガイドフレーム
１０ａに取り付けられた複数のガイドローラ１０ｆ、な
どによって構成されており、駆動プーリ１０ｂの駆動に
より左右一対の無端挾持ベルト１０ｄが引起装置９にて
引き起こされた根菜類の茎葉部を挾持して上方へ引き上
げることによって、根菜類を圃場から引き抜くとともに
走行機体１上方の葉切装置１１へ向けて挾持搬送するよ
うになっている。

【００１５】図１〜３に示すように、葉切装置１１は、
引抜装置１０の引き上げ作用により根菜類の茎葉部にお
ける切断箇所の位置決めを行いながら挾持搬送するロー
ラ式挾持搬送機構１１Ａ、ローラ式挾持搬送機構１１Ａ
から根菜類を受け取って挾持搬送するベルト式挾持搬送
機構１１Ｂ、及び、ベルト式挾持搬送機構１１Ｂにて挾
持搬送される根菜類の茎葉部をローラ式挾持搬送機構１
１Ａにより位置決めされた切断箇所で切断する切断機構
１１Ｃ、などによって構成されている。

【００１６】図４にも示すように、ローラ式挾持搬送機
構１１Ａは、引抜装置１０の無端挾持ベルト１０ｄに近
接するように配備された左右一対の従動スプロケット１
１ａ、従動スプロケット１１ａの後方に配備された左右
一対の駆動スプロケット１１ｂ、従動スプロケット１１
ａと駆動スプロケット１１ｂとにわたって巻回された左
右一対の無端回動チェーン１１ｃ、及び、圧縮バネ１１
ｄの付勢により根菜類の茎葉部を挾持する複数の挾持ロ
ーラ１１ｅ、などによって構成されており、駆動スプロ
ケット１１ｂの駆動によって、左右一対の挾持ローラ１
１ｅが引抜装置１０にて挾持搬送される根菜類の茎葉部
を挾持し、根菜類を後方のベルト式挾持搬送機構１１Ｂ
へ向けて搬送するようになっている。ちなみに、ローラ
式挾持搬送機構１１Ａが根菜類を挾持搬送する場合にお
いて、挾持ローラ１１ｅは引抜装置１０の挾持位置より
も下方の茎葉部を挾持し、引抜装置１０は、挾持ローラ
１１ｅに対して根菜類の根部が略直交する状態でその大
径部が接当するまで根菜類を引き上げるようになってい
る。

【００１７】図１〜３及び図５に示すように、ベルト式
挾持搬送機構１１Ｂは、ローラ式挾持搬送機構１１Ａの
駆動スプロケット１１ｂの上方に配備された左右一対の
従動プーリ１１ｆ、従動プーリ１１ｆの後方に配備され
た左右一対の駆動プーリ１１ｇ、及び、従動プーリ１１
ｆと駆動プーリ１１ｇとにわたって巻回された左右一対
の無端挾持ベルト１１ｈ、などによって構成されてお
り、駆動プーリ１１ｇの駆動によって、左右一対の無端
挾持ベルト１１ｈがローラ式挾持搬送機構１１Ａにて位
置決めされた茎葉部の切断箇所の上方を挾持して根菜類
をローラ式挾持搬送機構１１Ａから受け取るとともに、
根菜類をローラ式挾持搬送機構１１Ａの後方の切断機構
１１Ｃへ向けて搬送するようになっている。

【００１８】図１〜３及び図５に示すように、切断機構
１１Ｃは、ローラ式挾持搬送機構１１Ａの後方に挾持ロ
ーラ１１ｅに沿う状態で配備された左右一対の回転刃１
１ｋによって構成されており、ローラ式挾持搬送機構１
１Ａにて位置決めされた切断箇所で根菜類の茎葉部を切
断するようになっている。切断機構１１Ｃにて切断され
た根菜類の茎葉部は、ベルト式挾持搬送機構１１Ｂによ
りその後端まで搬送された後、ベルト式挾持搬送機構１
１Ｂの後端上方から走行機体１の右前方に向けて延設さ
れた挾持搬送チェーン１２Ａと上下一対の挾持レール１
２Ｂなどによって構成された挾持搬送装置１２、及び、
突起付きベルト１３Ａなどによって構成された係止搬送
装置１３により、走行機体１の右前方へ放出されるよう
になっている。一方、茎葉部の切断された根菜類は、葉
切装置１１の下方に装備された選別部３に備えられた選
別コンベア３Ａに落下供給されるようになっている。

【００１９】図１〜３及び図６に示すように、選別コン
ベア３Ａは、走行機体１の左前部上方に配備された左右
一対の駆動スプロケット３ａ、走行機体１の左後部上方
に配備された左右一対の従動スプロケット３ｂ、駆動ス
プロケット３ａと従動スプロケット３ｂとにわたって巻
回された左右一対の無端回動チェーン３ｃ、及び、左右
の無端回動チェーン３ｃに架け渡された複数の横架杆３
ｄなどによって構成されており、選別コンベア３Ａに落
下供給された根菜類の屑物や土などを下方へ漏下させて
取り除く屑選別を行いながら、規格内の根菜類を選別コ
ンベア３Ａの終端に位置する回収部４へ搬送し、回収部
４に配備されたコンテナ１４へ回収するようになってい
る。又、選別コンベア３Ａと搭乗運転部５との間にはコ
ンテナ収容部１５が形成されており、根菜類で満たされ
たコンテナ１４が収容されるようになっている。

【００２０】図１及び図２に示すように、走行機体１に
は、その後部から前方へ向けて延出された左右一対の支
持フレーム１６が設けられている。夫々の支持フレーム
１６の前端にはブラケット１６Ａが固着され、又、夫々
の支持フレーム１６から前処理部２に向けて補助フレー
ム１６Ｂ、及び、パイプフレーム１６Ｃが延出されてお
り、前処理部２の分草具８、引起装置９、引抜装置１
０、及び、葉切装置１１の夫々は、ブラケット１６Ａ、
補助フレーム１６Ｂ、あるいは、パイプフレーム１６Ｃ
を介して支持フレーム１６に連結支持されている。一
方、選別部３としての選別コンベア３Ａは、左右一対の
側壁３ｅなどを介して支持フレーム１６に連結支持され
ている。夫々の支持フレーム１６の後端は、選別コンベ
ア３Ａの後部下方において走行機体１に立設された左右
一対の支持ブラケット１７に架け渡されるとともに枢支
された横軸１８に上下揺動自在に枢支されている。又、
夫々の支持フレーム１６の中間部は、リンク機構１９及
び油圧シリンダ２０を介して走行機体１に支持されてい
る。

【００２１】つまり、前処理部２と選別部３は、油圧シ
リンダ２０の伸縮に伴って、選別コンベア３Ａ終端の下
方付近に設定された揺動支点Ｐ周りに一体上下揺動可能
となるように走行機体１に支持されており、回収部４に
対する選別コンベア３Ａ終端の位置を極力変化させない
状態で、前処理部２の引き抜き高さを根菜類の種類や植
え付け状態に適応した高さに調節できるようになってい
る。

【００２２】図１〜３に示すように、引抜装置１０に
は、引抜装置１０の下部を支持する夫々のブラケット１
６Ａから下方に突出する左右一対の土切り刃２１が備え
られており、これらの土切り刃２１は、収穫時に根菜類
の両側方の土に突き刺さり、走行機体１の走行に伴って
根菜類の両側方の土に切れ目を入れながら切り崩すこと
によって、引抜装置１０による根菜類の引き抜きを容易
にしている。ちなみに、前処理部２の引き抜き高さを調
節する油圧シリンダ２０を伸縮させて土切り刃２１を揺
動支点Ｐ周りに若干量上下揺動させるようにすると、圃
場の土が硬い場合での土崩しが容易に行えるようになっ
ている。

【００２３】図１〜３及び図６に示すように、原動部６
内にはエンジン２２が搭載されており、エンジン２２か
らの動力は、テンション式の主クラッチ機構２３などを
介してミッションケース２４へ伝達され、ミッションケ
ース２４からクローラ走行装置７、前処理部２、及び、
選別部３に伝達されるようになっている。ミッションケ
ース２４から前処理部２と選別部３への動力の伝達は、
ミッションケース２４の出力軸２４ａと、前処理部２と
選別部３の揺動支点Ｐとなる横軸１８との間に介装され
たテンション式の副クラッチ機構２５によって横軸１８
に伝達された後、横軸１８から各ベベルギア機構２６、
夫々のパイプフレーム１６Ｃ，２７に内装された各伝動
軸２８、及び、各チェーン式伝動機構２９、などを介し
て行われるようになっている。

【００２４】つまり、前処理部２と選別部３の揺動支点
Ｐとなる横軸１８はカウンタ軸となっており、エンジン
２２からの動力は、このカウンタ軸１８を介して前処理
部２と選別部３とに分配伝達されるようになっている。
ちなみに、パイプフレーム２７は、その一端が横軸１８
に、他端が左右の支持フレーム１６にわたって横架され
た伝動軸２８に枢支連結されている。

【００２５】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】前処理部及び選別部の下降状態を示す根菜類収
穫機の全体側面図

【図２】前処理部及び選別部の上昇状態を示す根菜類収
穫機の全体側面図

【図３】根菜類収穫機の全体平面図

【図４】図１におけるａ−ａ断面図

【図５】図１におけるｂ−ｂ断面図

【図６】伝動構成を示す根菜類収穫機の概略平面図

【符号の説明】

１ 走行機体 ２ 前処理部 ３ 選別部 ３Ａ 選別コンベア ４ 回収部 １０ 引抜装置 １１ 葉切装置 １８ カウンタ軸 ２２ エンジン Ｐ 揺動支点

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 千葉 博之 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社ク ボタ 堺製造所内 (56)参考文献 特開 昭51−39255（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−16512（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−268817（ＪＰ，Ａ) 実開 平５−53422（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A01D 13/00 - 33/14

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 根菜類の茎葉部を挾持して圃場から引き
   抜く引抜装置（１０）及び引き抜いた根菜類の茎葉部を
   切断する葉切装置（１１）を備えた前処理部（２）と、
   茎葉部の切断された前記根菜類を屑選別しながら搬送す
   る選別コンベア（３）を備えた選別部（３）と、前記選
   別コンベア（３Ａ）の終端に位置する回収部（４）とを
   装備した根菜類収穫機であって、 前記前処理部（２）と前記選別部（３Ａ）とを一体上下
   揺動可能に走行機体（１）に支持するとともに、その揺
   動支点（Ｐ）を前記選別コンベア（３Ａ）終端の下方付
   近に設定してある根菜類収穫機。
2. 【請求項２】 前記揺動支点（Ｐ）にカウンタ軸（１
   ８）を設け、エンジン（２２）からの動力を、前記カウ
   ンタ軸（１８）を介して前記前処理部（２）と前記選別
   部（３）とに分配伝達するように構成してある請求項１
   記載の根菜類収穫機。