JP2826921B2 - 生分解性光学活性ポリマーおよびその製造方法 - Google Patents
生分解性光学活性ポリマーおよびその製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生分解性光学活性ポリマ
ーとその製造方法に関する。さらに詳しく言えば、3−
ヒドロキシ酪酸ユニットを含有する光学活性な7−置換
−1,4−ジオキセパン−5−オン誘導体とラクチド類
を開環共重合させて得られる光学活性ポリエーテルエス
テルおよびその製造方法に関する。本発明によるポリエ
ーテルエステルは、光学活性、生分解性(酵素分解
性)、加水分解性を有する熱可塑性樹脂であり、土壌ま
たは水中に存在する微生物により分解されるので環境を
汚染しないクリーンプラスチックとして広く利用できる
機能性ポリマーである。
ーとその製造方法に関する。さらに詳しく言えば、3−
ヒドロキシ酪酸ユニットを含有する光学活性な7−置換
−1,4−ジオキセパン−5−オン誘導体とラクチド類
を開環共重合させて得られる光学活性ポリエーテルエス
テルおよびその製造方法に関する。本発明によるポリエ
ーテルエステルは、光学活性、生分解性(酵素分解
性)、加水分解性を有する熱可塑性樹脂であり、土壌ま
たは水中に存在する微生物により分解されるので環境を
汚染しないクリーンプラスチックとして広く利用できる
機能性ポリマーである。
【0002】
【従来の技術およびその課題】本発明のポリマーの基本
骨格に相当する化合物である式(IV)
骨格に相当する化合物である式(IV)
【化7】 で示される1,4−ジオキセパン−5−オン(1,5−
ジオキセパン−2−オンとも命名し得るが、本明細書で
は前者の名称を統一して使用する。)については公知で
ある。例えば、英国特許第1272733 号には、エチレング
リコールとアクリロニトリルを50%カセイソーダの存
在下に反応させて2−(2−シアノエトキシ)エタノー
ルを得、次いで塩化メチレン中で乾燥塩化水素を通して
環化し、5−イミノ−1,4−ジオキセパン−5−オン
塩酸塩とした後、水溶液中で40℃に加熱して1,4−
ジオキセパン−5−オンを得る方法(総収率約5%)が
記載されている。
ジオキセパン−2−オンとも命名し得るが、本明細書で
は前者の名称を統一して使用する。)については公知で
ある。例えば、英国特許第1272733 号には、エチレング
リコールとアクリロニトリルを50%カセイソーダの存
在下に反応させて2−(2−シアノエトキシ)エタノー
ルを得、次いで塩化メチレン中で乾燥塩化水素を通して
環化し、5−イミノ−1,4−ジオキセパン−5−オン
塩酸塩とした後、水溶液中で40℃に加熱して1,4−
ジオキセパン−5−オンを得る方法(総収率約5%)が
記載されている。
【0003】1,4−ジオキセパン−5−オンとラクチ
ド類とのコポリマーについては、米国特許第4470416 号
に、多量部のラクチド(後述の一般式(II)においてR1
がメチル基の化合物)あるいはグリコリドと少量部の
1,4−ジオキセパン−5−オンからなるコポリマーを
オクチル酸スズの存在下で合成する方法が開示されてい
る。しかしながら、上記特許に記載されている1,4−
ジオキセパン−5−オンとラクチドからなるコポリマー
はモノマーが(7位に)置換基を持たないため、光学活
性でなく、生分解性の面で問題があった。
ド類とのコポリマーについては、米国特許第4470416 号
に、多量部のラクチド(後述の一般式(II)においてR1
がメチル基の化合物)あるいはグリコリドと少量部の
1,4−ジオキセパン−5−オンからなるコポリマーを
オクチル酸スズの存在下で合成する方法が開示されてい
る。しかしながら、上記特許に記載されている1,4−
ジオキセパン−5−オンとラクチドからなるコポリマー
はモノマーが(7位に)置換基を持たないため、光学活
性でなく、生分解性の面で問題があった。
【0004】一方、近年、本発明化合物の一部構成部分
に対応する3−ヒドロキシ酪酸のポリマーを菌体内に蓄
積する微生物が知られており(P.A.Holmes,Phys.Techno
l.1985,(16),32参照)、このポリマーは生分解性すなわ
ち酵素分解性、加水分解性、生体適合性の特性を持つた
めに新しいタイプの機能性材料として注目されている
(生分解性高分子材料 19頁 土肥義治編著 工業調
査会1990年発行参照)。また、D−(+)−メチル−β
−プロピオラクトンの開環重合はPolymer letters, 9,
173 (1970)に報告されている。しかし微生物学的合成法
である方法は、微生物または酵素反応を利用するため、
菌体からのポリマーの分離などの繁雑な工程を必要と
し、製造原価が高いこと、またD−(+)−メチル−β
−プロピオラクトンの開環重合法には光学分割工程があ
ることなど工業化には多くの問題点がある。
に対応する3−ヒドロキシ酪酸のポリマーを菌体内に蓄
積する微生物が知られており(P.A.Holmes,Phys.Techno
l.1985,(16),32参照)、このポリマーは生分解性すなわ
ち酵素分解性、加水分解性、生体適合性の特性を持つた
めに新しいタイプの機能性材料として注目されている
(生分解性高分子材料 19頁 土肥義治編著 工業調
査会1990年発行参照)。また、D−(+)−メチル−β
−プロピオラクトンの開環重合はPolymer letters, 9,
173 (1970)に報告されている。しかし微生物学的合成法
である方法は、微生物または酵素反応を利用するため、
菌体からのポリマーの分離などの繁雑な工程を必要と
し、製造原価が高いこと、またD−(+)−メチル−β
−プロピオラクトンの開環重合法には光学分割工程があ
ることなど工業化には多くの問題点がある。
【0005】従って、本発明の目的は3−ヒドロキシ酪
酸ユニットを含有する光学活性な7−置換−1,4−ジ
オキセパン−5−オン誘導体をラクチド類と開環共重合
することにより、生分解性(酵素分解性)、加水分解性
に優れたポリマーおよびその製造方法を提供することに
ある。
酸ユニットを含有する光学活性な7−置換−1,4−ジ
オキセパン−5−オン誘導体をラクチド類と開環共重合
することにより、生分解性(酵素分解性)、加水分解性
に優れたポリマーおよびその製造方法を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を行なった結果、3−ヒドロキシ酪
酸ユニットを含有する光学活性な7−置換−1,4−ジ
オキセパン−5−オン誘導体がラクチド類と触媒の存在
下で容易に開環共重合して対応する光学活性なポリエー
テルエステルとなることを見出し本発明を完成するに至
った。
解決すべく鋭意研究を行なった結果、3−ヒドロキシ酪
酸ユニットを含有する光学活性な7−置換−1,4−ジ
オキセパン−5−オン誘導体がラクチド類と触媒の存在
下で容易に開環共重合して対応する光学活性なポリエー
テルエステルとなることを見出し本発明を完成するに至
った。
【0007】すなわち、本発明は 1)下記一般式(II)
【化8】 (式中、R1 は水素原子あるいは炭素数1〜5のアルキ
ル基を表わす。)で示される化合物より選ばれる少なく
とも1種のラクチド類と一般式(III)
ル基を表わす。)で示される化合物より選ばれる少なく
とも1種のラクチド類と一般式(III)
【化9】 (式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表わす。)で
示される光学活性7−置換−1,4−ジオキセパン−5
−オンとを開環共重合させて得られる一般式(I)
示される光学活性7−置換−1,4−ジオキセパン−5
−オンとを開環共重合させて得られる一般式(I)
【化10】 (式中、RおよびR1 は前記と同じ意味を表わし、mお
よびnは自然数を表わす。)で示される光学活性ポリマ
ー、および
よびnは自然数を表わす。)で示される光学活性ポリマ
ー、および
【0008】2)下記一般式(II)
【化11】 (式中、R1 は前記と同じ意味を表わす。)で示される
化合物から選ばれる少なくとも1種のラクチド類と一般
式(III)
化合物から選ばれる少なくとも1種のラクチド類と一般
式(III)
【化12】 (式中、Rは前記と同じ意味を表わす。)で示される光
学活性7−置換−1,4−ジオキセパン−5−オンを、
有機スズ化合物より選ばれる少なくとも1種の触媒の存
在下に開環共重合させることを特徴とする一般式(I)
学活性7−置換−1,4−ジオキセパン−5−オンを、
有機スズ化合物より選ばれる少なくとも1種の触媒の存
在下に開環共重合させることを特徴とする一般式(I)
【化13】 (式中、R、R1 、mおよびnは前記と同じ意味を表わ
す。)で示される光学活性ポリマーの製造方法を提供し
たものである。
す。)で示される光学活性ポリマーの製造方法を提供し
たものである。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明ポ
リマーの原料の1つである7−置換−1,4−ジオキセ
パン−5−オン誘導体は、例えば以下のように製造する
ことができる。
リマーの原料の1つである7−置換−1,4−ジオキセ
パン−5−オン誘導体は、例えば以下のように製造する
ことができる。
【0010】
【化14】
【0011】(式中、Rは前記と同じ意味を表わし、X
は炭素数1〜6のアルキル基を表わす。) 上記の工程において、出発原料の式(IV)で示される光学
活性な3−ヒドロキシアルカン酸エステルは本出願人が
特開昭63-310847 号公報に開示している方法、すなわち
一般式(VIII)
は炭素数1〜6のアルキル基を表わす。) 上記の工程において、出発原料の式(IV)で示される光学
活性な3−ヒドロキシアルカン酸エステルは本出願人が
特開昭63-310847 号公報に開示している方法、すなわち
一般式(VIII)
【化15】 (式中、RおよびXは前記と同じ意味を表わす。)で示
されるβ−ケトエステル酸類をルテニウム−光学活性ホ
スフィン錯体を触媒として不斉水素化を行なうことによ
り容易に得ることができる。
されるβ−ケトエステル酸類をルテニウム−光学活性ホ
スフィン錯体を触媒として不斉水素化を行なうことによ
り容易に得ることができる。
【0012】また、本発明ポリマーのもう1つの原料で
あり、下記一般式(II)
あり、下記一般式(II)
【化16】 (式中、R1 は前記と同じ意味を表わす。)で示される
ラクチド類はα−オキシ酸を減圧加熱するか、あるいは
脱水剤を作用させ2分子間で脱水反応させて得られる環
状ジエステルであり、対応するα−オキシ酸から容易に
合成することができる。
ラクチド類はα−オキシ酸を減圧加熱するか、あるいは
脱水剤を作用させ2分子間で脱水反応させて得られる環
状ジエステルであり、対応するα−オキシ酸から容易に
合成することができる。
【0013】一般式(II) においてR1 がアルキル基の
ラクチド類には、D−体、L−体およびラセミ体が存在
するが、本発明においてはいずれも使用できる。一般式
(II) のラクチド類のうち、特に好ましいものはR1 が
メチル基を表わす化合物(以下、単にラクチドとい
う。)およびR1 が水素原子を表わすグリコリドであ
り、これらは市販品を精製して使用できる。精製方法と
しては、例えば水素化カルシウムを加えて蒸留し使用前
まで不活性ガス中で保存する方法が採用できる。本発明
においては、一般式(II) のラクチド類は1種を単独で
使用してもよいし、2種以上を同時に使用してもよい。
ラクチド類には、D−体、L−体およびラセミ体が存在
するが、本発明においてはいずれも使用できる。一般式
(II) のラクチド類のうち、特に好ましいものはR1 が
メチル基を表わす化合物(以下、単にラクチドとい
う。)およびR1 が水素原子を表わすグリコリドであ
り、これらは市販品を精製して使用できる。精製方法と
しては、例えば水素化カルシウムを加えて蒸留し使用前
まで不活性ガス中で保存する方法が採用できる。本発明
においては、一般式(II) のラクチド類は1種を単独で
使用してもよいし、2種以上を同時に使用してもよい。
【0014】本発明において、開環共重合に付される光
学活性7−置換−1,4−ジオキセパン−5−オン誘導
体とラクチド類との割合は、前者:後者のモル%比で1
〜99:99〜1、好ましくは5〜50:95〜50で
ある。
学活性7−置換−1,4−ジオキセパン−5−オン誘導
体とラクチド類との割合は、前者:後者のモル%比で1
〜99:99〜1、好ましくは5〜50:95〜50で
ある。
【0015】開環共重合は、3−ヒドロキシ酪酸ユニッ
トを有する光学活性な7−置換−1,4−ジオキセパン
−5−オン誘導体とラクチド類とを上記範囲内の適宜の
比率で無溶媒または2〜10倍量の不活性有機溶媒、例
えばトルエン、ベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフ
ラン等の有機溶媒に溶かし、窒素またはアルゴン等の不
活性気体下で反応容器に仕込み、これに触媒を加え、常
圧で50〜180℃の温度で、1時間〜5日間反応させ
てポリマーを得るランダム共重合により行なわれる。
トを有する光学活性な7−置換−1,4−ジオキセパン
−5−オン誘導体とラクチド類とを上記範囲内の適宜の
比率で無溶媒または2〜10倍量の不活性有機溶媒、例
えばトルエン、ベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフ
ラン等の有機溶媒に溶かし、窒素またはアルゴン等の不
活性気体下で反応容器に仕込み、これに触媒を加え、常
圧で50〜180℃の温度で、1時間〜5日間反応させ
てポリマーを得るランダム共重合により行なわれる。
【0016】ここで触媒としては、有機スズ化合物、例
えば、ジブチルスズオキシドに代表されるジアルキルス
ズオキシド、トリブチルスズメトキシドに代表されるト
リアルキルスズアルコキシド、オクチル酸スズ等のアル
キル酸スズ、1−ヒドロキシ−3−(イソチオシアネー
ト)テトラブチルジスタノキサンに代表されるジスタノ
キサン、塩化第一スズ、テトラフェニルスズ、テトラア
リルスズなどが用いられる。
えば、ジブチルスズオキシドに代表されるジアルキルス
ズオキシド、トリブチルスズメトキシドに代表されるト
リアルキルスズアルコキシド、オクチル酸スズ等のアル
キル酸スズ、1−ヒドロキシ−3−(イソチオシアネー
ト)テトラブチルジスタノキサンに代表されるジスタノ
キサン、塩化第一スズ、テトラフェニルスズ、テトラア
リルスズなどが用いられる。
【0017】これら触媒は少なくとも1種を使用し、必
要に応じ数種を併用することができる。これらの触媒の
うちでは、特にジブチルスズオキシド、オクチル酸スズ
等が好ましく用いられる。触媒は原料モノマーに対して
1/10〜1/10000 倍モル程度の量で使用される。
要に応じ数種を併用することができる。これらの触媒の
うちでは、特にジブチルスズオキシド、オクチル酸スズ
等が好ましく用いられる。触媒は原料モノマーに対して
1/10〜1/10000 倍モル程度の量で使用される。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、3−ヒドロキシ酪酸ユ
ニットを含有する光学活性な7−置換−1,4−ジオキ
セパン−5−オン誘導体とラクチド類との開環共重合に
より、光学活性で酵素分解性、加水分解性という特徴を
持つ新しい機能性材料である有用なポリマーを、容易に
工業的に有利な方法で製造することができる。
ニットを含有する光学活性な7−置換−1,4−ジオキ
セパン−5−オン誘導体とラクチド類との開環共重合に
より、光学活性で酵素分解性、加水分解性という特徴を
持つ新しい機能性材料である有用なポリマーを、容易に
工業的に有利な方法で製造することができる。
【0019】
【実施例】以下、実施例および試験例により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定さ
れるものではない。なお、実施例で使用した分析機器お
よび生分解性試験で使用した施設は下記のとおりであ
る。 核磁気共鳴スペクトル(NMR):AM−400型装置
(400MHz)(ブルッカー社製) 赤外吸収スペルトル(IR):IR−810型赤外分光
分析装置(日本分光工業(株)製)、 分子量:D−2520GPC Integrator(日立製作所
(株)製)、 旋光度:DIP−360型デジタル旋光計(日本分光工
業(株)製)。 生分解性試験:活性汚泥を使用して行なった。
らに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定さ
れるものではない。なお、実施例で使用した分析機器お
よび生分解性試験で使用した施設は下記のとおりであ
る。 核磁気共鳴スペクトル(NMR):AM−400型装置
(400MHz)(ブルッカー社製) 赤外吸収スペルトル(IR):IR−810型赤外分光
分析装置(日本分光工業(株)製)、 分子量:D−2520GPC Integrator(日立製作所
(株)製)、 旋光度:DIP−360型デジタル旋光計(日本分光工
業(株)製)。 生分解性試験:活性汚泥を使用して行なった。
【0020】実施例1:D−(−)−7−メチル−1,
4−ジオキセパン−5−オンとL−ラクチドとからの開
環共重合によるポリエーテルエステルの合成 20mlの反応容器にD−(−)−7−メチル−1,4
−ジオキセパン−5−オン(以下、MDOと略記す
る。)0.26g(2ミリモル)、L−ラクチド(東京化成
(株)製)2.59g(18ミリモル)、減圧下120℃、
24時間乾燥させたジブチルスズオキシド0.0167g(0.
067 ミリモル)および乾燥トルエン5mlを入れ、窒素
雰囲気下120℃で2時間撹拌した。生成したポリマー
をメタノール中にいれ、エーテルで洗うことにより標題
のポリエーテルエステル(以下、P(MDO)−L−ラ
クチドと略記する。)2.58g(収率 90.5 %)を得た
(MDO部 6.7%、L−ラクチド部 93.3 %)。
4−ジオキセパン−5−オンとL−ラクチドとからの開
環共重合によるポリエーテルエステルの合成 20mlの反応容器にD−(−)−7−メチル−1,4
−ジオキセパン−5−オン(以下、MDOと略記す
る。)0.26g(2ミリモル)、L−ラクチド(東京化成
(株)製)2.59g(18ミリモル)、減圧下120℃、
24時間乾燥させたジブチルスズオキシド0.0167g(0.
067 ミリモル)および乾燥トルエン5mlを入れ、窒素
雰囲気下120℃で2時間撹拌した。生成したポリマー
をメタノール中にいれ、エーテルで洗うことにより標題
のポリエーテルエステル(以下、P(MDO)−L−ラ
クチドと略記する。)2.58g(収率 90.5 %)を得た
(MDO部 6.7%、L−ラクチド部 93.3 %)。
【0021】 1H−NMR(400MHz,CDCl3 )δp
pm:MDO部 1.15〜1.24(3H,m)、2.43〜2.40(1H,m)、2.55
〜2.70(1H,m)、3.58〜3.74(2H,m)、3.84〜3.95(1H,m)、
4.10〜4.34(2H,m);L−ラクチド部 1.47〜1.63(3H,m)、5.08〜5.23(2H,
m); IR(cm-1):2990、2850、1760、1455、1385、1185、
1095; 重量平均分子量(以下、Mwと略記する。):75400 ; 数平均分子量(以下、Mnと略記する。):59200 ; ガラス転移温度(以下、Tgと略記する。):47℃; 融点(以下、Tmと略記する。):154℃; 分解温度(以下、TGと略記する。):269℃; [α]D :−145.6 ゜(c=1,CHCl3 ,20
℃)。
pm:MDO部 1.15〜1.24(3H,m)、2.43〜2.40(1H,m)、2.55
〜2.70(1H,m)、3.58〜3.74(2H,m)、3.84〜3.95(1H,m)、
4.10〜4.34(2H,m);L−ラクチド部 1.47〜1.63(3H,m)、5.08〜5.23(2H,
m); IR(cm-1):2990、2850、1760、1455、1385、1185、
1095; 重量平均分子量(以下、Mwと略記する。):75400 ; 数平均分子量(以下、Mnと略記する。):59200 ; ガラス転移温度(以下、Tgと略記する。):47℃; 融点(以下、Tmと略記する。):154℃; 分解温度(以下、TGと略記する。):269℃; [α]D :−145.6 ゜(c=1,CHCl3 ,20
℃)。
【0022】実施例2:P(MDO(17%)−L−ラ
クチド(83%))の合成 20mlの反応容器にMDO 0.52 g(4ミリモル)、
L−ラクチド 2.31 g(16ミリモル)を使用した以外
は、すべて実施例1と同じ方法で反応を行ない標題のポ
リマー2.58g(収率 90.5 %)を得た(MDO部 16.6
%、L−ラクチド部 83.4 %)。 Mw:69500 ; Mn:47300 ; Tg:38℃; Tm:136℃; TG:279℃; [α]D :−134.5 ゜(c=1,CHCl3 ,20
℃)、 結晶化率:33%(X線解析による)。
クチド(83%))の合成 20mlの反応容器にMDO 0.52 g(4ミリモル)、
L−ラクチド 2.31 g(16ミリモル)を使用した以外
は、すべて実施例1と同じ方法で反応を行ない標題のポ
リマー2.58g(収率 90.5 %)を得た(MDO部 16.6
%、L−ラクチド部 83.4 %)。 Mw:69500 ; Mn:47300 ; Tg:38℃; Tm:136℃; TG:279℃; [α]D :−134.5 ゜(c=1,CHCl3 ,20
℃)、 結晶化率:33%(X線解析による)。
【0023】実施例3:P(MDO(29%)−L−ラ
クチド(71%))の合成 20mlの反応容器にMDO 0.78 g(6ミリモル)、
L−ラクチド 2.02 g(14ミリモル)を使用した以外
は、すべて実施例1と同じ方法で反応を行ない標題のポ
リマー2.37g(収率 84.6 %)を得た(MDO部 29.3
%、L−ラクチド部7 0.7 %)。 Mw:102800; Mn:26700 ; Tg:24℃; Tm:111℃; TG:275℃; [α]D :−118.7 ゜(c=1,CHCl3 ,20
℃)。
クチド(71%))の合成 20mlの反応容器にMDO 0.78 g(6ミリモル)、
L−ラクチド 2.02 g(14ミリモル)を使用した以外
は、すべて実施例1と同じ方法で反応を行ない標題のポ
リマー2.37g(収率 84.6 %)を得た(MDO部 29.3
%、L−ラクチド部7 0.7 %)。 Mw:102800; Mn:26700 ; Tg:24℃; Tm:111℃; TG:275℃; [α]D :−118.7 ゜(c=1,CHCl3 ,20
℃)。
【0024】実施例4:P(MDO(17%)−ラクチ
ド(83%))の合成 20mlの反応容器にMDO 0.52 g(4ミリモル)、
ラセミ体のラクチド(東京化成(株)製) 2.31 g(1
6ミリモル)を使用した以外は、すべて実施例1と同じ
方法で反応を行ない標題のポリマー2.17g(収率 76.7
%)を得た(MDO部 17.3 %、ラクチド部 82.7
%)。 Mw:78800 ; Mn:43800 ; Tg:13℃; TG:277℃。
ド(83%))の合成 20mlの反応容器にMDO 0.52 g(4ミリモル)、
ラセミ体のラクチド(東京化成(株)製) 2.31 g(1
6ミリモル)を使用した以外は、すべて実施例1と同じ
方法で反応を行ない標題のポリマー2.17g(収率 76.7
%)を得た(MDO部 17.3 %、ラクチド部 82.7
%)。 Mw:78800 ; Mn:43800 ; Tg:13℃; TG:277℃。
【0025】実施例5:MDOとグリコリドとからの開
環重合によるポリエステルの合成20mlの反応容器に
MDO2.60g(20ミリモル)、グリコリド(デュ
ポン社製)2.32g(20ミリモル)およびジブチル
スズオキシド0.0167g(0.067ミリモル)を
入れ、窒素雰囲気下150℃で2時間、ついで190℃
で2時間反応させ生成したポリマーをすべて実施例1と
同じ方法で処理し標題のポリマ−2.17g(収率7
6.7%)を得た(MDO部49.3%、グリコリド部
50.7%)。
環重合によるポリエステルの合成20mlの反応容器に
MDO2.60g(20ミリモル)、グリコリド(デュ
ポン社製)2.32g(20ミリモル)およびジブチル
スズオキシド0.0167g(0.067ミリモル)を
入れ、窒素雰囲気下150℃で2時間、ついで190℃
で2時間反応させ生成したポリマーをすべて実施例1と
同じ方法で処理し標題のポリマ−2.17g(収率7
6.7%)を得た(MDO部49.3%、グリコリド部
50.7%)。
【0026】 1H−NMR(400MHz,CDCl3 )δp
pm:MDO部 1.15〜1.32(3H,m)、2.33〜2.53(1H,m)、2.53
〜2.76(1H,m)、3.55〜3.77(2H,m)、3.86〜3.99(1H,m)、
4.10〜4.33(2H,m);グリコリド部 4.60〜4.90(2H,m); IR(cm-1):2970、1750、1425、1170、1095; Mw:34000 ; Mn:18400 ; Tg:−7℃; Tm:41℃; TG:280℃。
pm:MDO部 1.15〜1.32(3H,m)、2.33〜2.53(1H,m)、2.53
〜2.76(1H,m)、3.55〜3.77(2H,m)、3.86〜3.99(1H,m)、
4.10〜4.33(2H,m);グリコリド部 4.60〜4.90(2H,m); IR(cm-1):2970、1750、1425、1170、1095; Mw:34000 ; Mn:18400 ; Tg:−7℃; Tm:41℃; TG:280℃。
【0027】生分解性試験 試験例1 高砂香料工業(株)平塚工場での使用汚泥の馴養種(好
気性汚泥)を、500ppm(600ml)、pH 6.0
〜7.0 、30℃の条件で用い、実施例3で得られたポリ
マーの1cm×2cm、厚さ0.05〜0.1 mmの薄膜(ポ
リマーを、クロロホルムに溶かし、シャーレに流し込
み、溶媒を蒸発させることによってフィルム化したも
の)について20〜30mgを50mlのフラスコに入
れ、タイテック(株)社製、振盪恒温水槽を用いて試験
を行なった。1週間経過毎にポリマーの重量を測定する
ことにより残存重量率を求めた。その結果を図1に示
す。この結果より実施例3のポリマーフィルムは4週間
後に約5%分解していることがわかった。
気性汚泥)を、500ppm(600ml)、pH 6.0
〜7.0 、30℃の条件で用い、実施例3で得られたポリ
マーの1cm×2cm、厚さ0.05〜0.1 mmの薄膜(ポ
リマーを、クロロホルムに溶かし、シャーレに流し込
み、溶媒を蒸発させることによってフィルム化したも
の)について20〜30mgを50mlのフラスコに入
れ、タイテック(株)社製、振盪恒温水槽を用いて試験
を行なった。1週間経過毎にポリマーの重量を測定する
ことにより残存重量率を求めた。その結果を図1に示
す。この結果より実施例3のポリマーフィルムは4週間
後に約5%分解していることがわかった。
【0028】試験例2 実施例5で得られたポリマーにつき、試験例1と同様に
して生分解性試験を行なった。その結果を図1に示す。
この結果より実施例5のポリマーフィルムは4週間後に
5.9%分解していることがわかった。
して生分解性試験を行なった。その結果を図1に示す。
この結果より実施例5のポリマーフィルムは4週間後に
5.9%分解していることがわかった。
【図1】試験例1および2におけるポリマー残存重量率
の経時変化を示すグラフである。
の経時変化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 明夫 東京都大田区蒲田5丁目36番31号 株式 会社高砂リサーチ,インステイテュート 内 (72)発明者 今井 隆 神奈川県平塚市西八幡1丁目5番1号 株式会社高砂リサーチ,インステイテュ ート平塚分室内 (72)発明者 坂口 民三 神奈川県平塚市西八幡1丁目5番1号 株式会社高砂リサーチ,インステイテュ ート平塚分室内 (56)参考文献 米国特許4470416(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 63/00 - 63/91
Claims (5)
- 【請求項1】 下記一般式(II) 【化1】 (式中、R1 は水素原子あるいは炭素数1〜5のアルキ
ル基を表わす。)で示される化合物より選ばれる少なく
とも1種のラクチド類と一般式(III) 【化2】 (式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表わす。)で
示される光学活性7−置換−1,4−ジオキセパン−5
−オンとを開環共重合させて得られる一般式(I) 【化3】 (式中、RおよびR1 は前記と同じ意味を表わし、mお
よびnは自然数を表わす。)で示される光学活性ポリマ
ー。 - 【請求項2】 一般式(II)においてR1 が水素原子を表
わすグリコリドと、一般式(III) で示される光学活性7
−置換−1,4−ジオキセパン−5−オンとを開環共重
合させて得られる請求項1に記載の光学活性ポリマー。 - 【請求項3】 一般式(II)においてR1 がメチル基を表
わすラクチドと、一般式(III) で示される光学活性7−
置換−1,4−ジオキセパン−5−オンとを開環共重合
させて得られる請求項1に記載の光学活性ポリマー。 - 【請求項4】 下記一般式(II) 【化4】 (式中、R1 は請求項1と同じ意味を表わす。)で示さ
れる化合物より選ばれる少なくとも1種のラクチド類と
一般式(III) 【化5】 (式中、Rは請求項1と同じ意味を表わす。)で示され
る光学活性7−置換−1,4−ジオキセパン−5−オン
を、有機スズ化合物より選ばれる少なくとも1種の触媒
の存在下に開環共重合させることを特徴とする一般式
(I) 【化6】 (式中、RおよびR1 は前記と同じ意味を表わし、mお
よびnは請求項1と同じ意味を表わす。)で示される光
学活性ポリマーの製造方法。 - 【請求項5】 有機スズ化合物がジブチルスズオキシ
ド、塩化第一スズ、トリブチルスズメトキシド、オクチ
ル酸スズ、ラウリル酸スズおよびテトラフェニルスズの
1種以上から選択されるものである請求項4に記載の光
学活性ポリマーの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35070891A JP2826921B2 (ja) | 1991-12-12 | 1991-12-12 | 生分解性光学活性ポリマーおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35070891A JP2826921B2 (ja) | 1991-12-12 | 1991-12-12 | 生分解性光学活性ポリマーおよびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05163332A JPH05163332A (ja) | 1993-06-29 |
JP2826921B2 true JP2826921B2 (ja) | 1998-11-18 |
Family
ID=18412314
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35070891A Expired - Fee Related JP2826921B2 (ja) | 1991-12-12 | 1991-12-12 | 生分解性光学活性ポリマーおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2826921B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5703200A (en) * | 1996-03-15 | 1997-12-30 | Ethicon, Inc. | Absorbable copolymers and blends of 6,6-dialkyl-1,4-dioxepan-2-one and its cyclic dimer |
-
1991
- 1991-12-12 JP JP35070891A patent/JP2826921B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05163332A (ja) | 1993-06-29 |
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