JP2811963B2 - 胃内滞留製剤,膨化成形体及び製法 - Google Patents

胃内滞留製剤,膨化成形体及び製法

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JP2811963B2 JP50662494A JP50662494A JP2811963B2 JP 2811963 B2 JP2811963 B2 JP 2811963B2 JP 50662494 A JP50662494 A JP 50662494A JP 50662494 A JP50662494 A JP 50662494A JP 2811963 B2 JP2811963 B2 JP 2811963B2
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孝一 中道
正悟 泉
浩幸 案浦
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、胃内滞留製剤に関するものである。詳しく
は本発明は、多軸型エクストルーダーを用いて製造し得
る膨化成形体、及びこれを含有する胃内滞留製剤に関す
るものである。
胃内滞留製剤は、胃内で胃液又は胃内容物の上部に浮
遊し薬物を徐々に放出することができる効果を有する製
剤である。
ここで「膨化成形体」とは、熱や圧力、化学変化等に
よって膨張し、内部に空隙を有するに到らしめた物体を
いう。
背景技術 胃内滞留製剤は、徐放性製剤の一つであることから、
徐放性製剤が一般にもつ服用回数の減少、有効濃度の持
続、副作用の軽減等といった利点を有する。これに加え
胃内滞留製剤は、胃内排出速度の影響を受け難く、吸収
部位で薬物を十分に放出させることができる。従って、
胃内滞留製剤は、医療上極めて有用な製剤であり、特に
胃内又は小腸上部での直接作用を期待する薬物等に対し
て有用な製剤であるということができる。
胃内滞留製剤としては、これまで親水コロイドを利用
したもの(特開昭58−57315号公報)、中空に成型し外
層に活性物質をコーティングしたもの(特開昭55−1241
1号公報)、発泡性微小カプセルを用いたもの(特開昭5
2−76418号公報)、水溶性高分子と油脂との混合物から
全体の比重を1以下にしたもの(特開昭61−43108号公
報、PCT WO91/06281)、発泡エチルセルロースから構成
されるもの(特開昭62−145014号公報)等が知られてい
る。これらの中には優れた胃内滞留製剤もあるが、構造
が複雑で胃内における蠕動運動により破壊され浮遊性を
十分に確保することができないものが多い。
一方、多軸型エクストルーダーは、1軸型エクストル
ーダーとは性能、用途等を全く異にするスクリュー式混
練押出機の一つである。多軸型エクストルーダーは、1
軸型エクストルーダーのような単純な混練押出機ではな
く、複数のスクリューが互いに絡み合い干渉しあって物
理的に高いエネルギーを発生させることができるネジ型
ポンプに似た機構を有するので、1軸型エクストルーダ
ーでは得られない処理を原料に施すことができる。多軸
型エクストルーダーは、主に食品分野やプラスチック分
野で発達し、食品(穀類、タンパク、畜肉、魚肉等)の
加工やプラスチックの射出成形等に広く利用されてい
る。
医療品分野でエクストルーダーを利用した技術として
は、PCT WO92/18106、PCT WO93/01472、特開平5−1941
97号公報等に開示がある。これらは胃内滞留製剤に関す
るものではなく、胃内滞留製剤とは構造、効果等を異に
する製剤形態に関するものである。
食品分野においては、多軸型エクストルーダーを用い
て食品原料(例えば、澱粉質原料)を処理することによ
り膨化成形体を得る技術が知られている(特開平5−28
4926号公報、特開平5−192083号公報、特開昭5−2312
5号公報、特開平4−51849号公報、特開平1−252267号
公報、特開昭61−9253号公報など)。しかし、いずれの
技術の食品分野特有の課題(食感改善、見栄え改良な
ど)を解決するものであり、技術分野を異にするもので
ある。
その他、スクリュー式押出機を用いて乳酸系ポリマー
(例えば、ポリ乳酸)を主体とした高分子網状体といわ
れる膨化成形体を得る技術が知られている(特開平5−
177734号公報)。しかし、この膨化成形体は、油、体液
等の吸収剤やろ過材等の素材としての利用を目的とする
ものである。また、これら膨化成形体は、水に馴染みや
すいため、胃内滞留製剤に応用することができるような
ものではない。
発明の開示 本発明の主な目的は、従来の胃内滞留製剤とは全く異
なる形態の胃内滞留製剤を提供することにある。
本発明者らは、医薬品分野における多軸型エクストル
ーダー(以下、単に「エクストルーダー」という)の利
用を種々検討する中で、上記目的を達成しうる胃内滞留
製剤を見出し、本発明を完成した。
本発明に係る胃内滞留製剤(以下、「本発明製剤」と
いう)は、本発明に係る膨化成形体(以下、「本発明膨
化体」という)を含有するものである。好ましい本発明
製剤は、見掛け密度が1未満のものである。
本発明膨化体は、見掛け密度が1未満であって、耐酸
性高分子化合物を主体として含有し、その他少なくとも
膨化補助剤及び薬物を含有する断面が網状の膨化成形体
である。断面が網状であることから本発明膨化体は、内
部に多数の微細な空隙を連続又は不連続に保有する。
エクストルーダーを用いて胃内滞留製剤を製造したの
は本発明者らが初めてである。
まず、本発明膨化体について詳述する。
本発明膨化体は、耐酸性高分子化合物を主体とするも
のであることから、中性水及び酸性水に実質的に不溶で
あり、胃内での耐酸性能を有する。ここで「主体」と
は、全構成成分中、最も含有量の多い構成成分であるこ
とをいう。
耐酸性高分子化合物としては、通常医薬品の製剤化で
使用されるpH依存性及びpH非依存性の皮膜剤を挙げるこ
とができる。具体的には、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースアセテートサクシネート(Aqoat−L,M,H、登録
商標)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレー
ト(HP−50,55,55S)、メタアクリル酸コポリマーL,S
(Eudragit−L30d55,L100,L100−55,S100、登録商
標)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC、登録
商標)、酢酸フタル酸セルロース(CAP、登録商標)、
エチルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコ
ポリマーRS(Eudragit−RS,RN100L,RN100,RSPML,RSPM、
登録商標)などを挙げることができる。
上記耐酸性高分子化合物は、単独でも二種以上であっ
てもよい。二種以上であっても十分に本発明の目的を達
成することができる。
耐酸性高分子化合物の構成比率は、選択する耐酸性高
分子化合物、膨化補助剤、薬物、目的とする本発明膨化
体又は本発明製剤等によって異なるが、25〜94%(w/
w)が適当であり、40〜80%(w/w)が好ましく、50〜70
%(w/w)が更に好ましい。25%(w/w)より少ないもの
は、十分に耐酸性能及び強度を有しない場合がある。
膨化補助剤は、膨化成形体の内部に多数の微細均一な
空隙を与えるための添加剤である。この膨化補助剤は、
後述するエクストルーダーで膨化成形体を製造する際に
沸石作用に似た効果を原料に与えるものと考えられる。
この膨化補助剤がなければエクストルーダーによる本発
明膨化体を得ることが困難である。従って、膨化補助剤
は、本発明にとって極めて重要な構成要素である。
膨化補助剤としては、乾燥水酸化アルミニウムゲル、
合成ケイ酸アルミニウム、リン酸水素カルシウム、炭酸
カルシウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カルシウム、タルクなどを挙げることがで
きる。
上記膨化補助剤は、単独でも二種以上であってもよ
い。二種以上であっても十分に本発明の目的を達成する
ことができる。
膨化補助剤の構成比率は、選択する耐酸性高分子化合
物、膨化補助剤、薬物、目的とする本発明膨化体又は本
発明製剤等によって異なるが、5〜40%(w/w)が適当
であり、10〜30%(w/w)が好ましく、15〜20%(w/w)
が更に好ましい。5%(w/w)より少ないものは、十分
に微細均一な空隙を有しない場合がある。40(w/w)%
より多いものは、本発明膨化体の形態を有しうる場合が
あるが、十分に耐酸性能及び強度を有しない場合があ
る。
本発明に係る薬物は、特に制限されないが、熱に安定
なものが好ましい。具体的には以下の薬物を挙げること
ができる。
1.解熱・鎮痛・消炎剤 インドメタシン、アスピリン、ジクロフェナックナト
リウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、メフェナム
酸、デキサメタゾン、デキサメタゾン硫酸ナトリウム、
ハイドロコーチゾン、プレドニゾロン、アズレン、フェ
ナセチン、イソプロピルアンチピリン、アセトアミノフ
ェン、塩酸ベンジタミン、フェニルブタゾン、フルフェ
ナム酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸コリン、サ
ザピリン、クロフェゾン、エトドラック。
2.抗潰瘍剤 スルピリド、塩酸セトラキサート、ゲファルナート、
マレイン酸イルソグラジン、シメチジン、塩酸ラニチジ
ン、ファモチジン、ニザチジン、塩酸ロキサチジンアセ
テート。
3.冠血管拡張剤 ニフェジピン、塩酸ジルチアゼム、トラピジル、ジビ
リダモール、塩酸ジラゼプ、メチル 2,6−ジメチル−
4−(2−ニトロフェニル)−5−(2−オキソ−1,3,
2−ジオキサホスホリナン−2−イル)−1,4−ジヒドロ
ピリジン−3−カルボキシレート、ベラパミル、ニカル
ジピン、塩酸ニカルジピン、塩酸ベラパミル。
4.末梢血管拡張剤 酒石酸イフェンプロジル、マレイン酸シネパシド、シ
クランデレート、シンナリジン、ペントキシフィリン。
5.抗生物質 アンピシリン、アモキシリン、セファレキシン、エチ
ルコハク酸エリスロマイシン、塩酸バカンピシリン、塩
酸ミノサイクリン、クロラムフェニコール、テトラサイ
クリン、エリスロマイシン。
6.合成抗菌剤 ナリジクス酸、ピロミド酸、ピペミド酸三水和物、エ
ノキサシン、シノキサシン、オフロキサシン、ノルフロ
キサシン、塩酸シプロフロキサシン、スルファメトキサ
ゾール・トリメトプリム、6−フルオロ−1−メチル−
7−[4−(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソ
レン−4−イル)メチル−1−ピペラジニル]−4−オ
キソ−4H[1,3]チアゼト[3,2−a]キノリン−3−カ
ルボン酸。
7.鎮けい剤 臭化プロパンテリン、硫酸アトロピン、臭化オキサピ
ウム、臭化チメビジウム、臭化ブチルスコポラミン、塩
化トロスピウム、臭化ブトロピウム、N−メチルスコポ
ラミンメチル硫酸、臭化メチルオクタトロピン。
8.鎮咳、抗喘息剤 テオフィリン、アミノフィリン、塩酸メチルエフェド
リン、塩酸プロカテロール、塩酸トリメトキノール、リ
ン酸コデイン、クロモグリク酸ナトリウム、トリニラス
ト、臭化水素酸デキストロメトルファン、リン酸ジメモ
ルファン、塩酸クロブチノール、塩酸ホミノベン、リン
酸ベンプロペリン、ヒベンズ酸チペピジン、塩酸エプラ
ジノン、塩酸クロフェダノール、塩酸エフェドリン、ノ
スカピン、クエン酸カルベタペンテン、タンニン酸オキ
セラジン、クエン酸イソアミニル。
9.気管支拡張剤 ジプロフィリン、硫酸サルブタモール、塩酸クロルプ
レナリン、フマル酸フォルモテロール、硫酸オルシプレ
ナリン、塩酸ピルブテロール、硫酸ヘキソプレナリン、
メシル酸ビトルテロール、塩酸クレンブテロール、硫酸
テルブタリン、塩酸マブテロール、臭化水素酸フェノテ
ロール、塩酸メトキシフェナミン。
10.利尿剤 フロセミド、アセタゾラミド、トリクロルメチアジ
ド、メチクロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロ
フルメチアジド、エチアジド、シクロペンチアジド、ス
ピロノラクトン、トリアムテレン、クロロチアジド、ピ
レタニド、メフルシド、エタクリン酸、アゾセミド、ク
ロフェナミド。
11.筋弛緩剤 カルバミン酸クロルフェネシン、塩酸トルペリゾン、
塩酸エペリゾン、塩酸チザニジン、メフェネシン、クロ
ルゾキサゾン、フェンプロバメート、メトカルバモー
ル、クロルメザノン、メシル酸プリジノール、アフロク
アロン、バクロフェン、ダントロレンナトリウム。
12.脳代謝改善剤 塩酸メクロフェノキセート。
13.マイナートランキライザー オキサゾラム、ジアゼパム、クロチアゼパム、メダゼ
パム、テマゼパム、フルジアゼパム、メプロバメート、
ニトラゼパム、クロルジアゼポキシド。
14.メジャートランキライザー スルピリド、塩酸クロカプラミン、ゾテピン、クロル
プロマジン、ハロペリドール。
15.β−ブロッカー ピンドロール、塩酸プロプラノロール、塩酸カルテオ
ロール、酒石酸メトプロロール、塩酸ラベタロール、塩
酸アセブトロール、塩酸ブフェトロール、塩酸アルプレ
ノロール、塩酸アロチノロール、塩酸オクスプレノロー
ル、ナドロール、塩酸ブクモロール、塩酸インデノロー
ル、マレイン酸チモロール、塩酸ベフノロール、塩酸ブ
プラノロール。
16.抗不整脈剤 塩酸プロカインアミド、ジソピラミド、アジマリン、
硫酸キニジン、塩酸アプリンジン、塩酸プロパフェノ
ン、塩酸メキシレチン。
17.痛風治療剤 アロプリノール、プロベネシド、コルヒチン、スルフ
ィンピラゾン、ベンズブロマロン、ブコローム。
18.血液凝固阻止剤 塩酸チクロピジン、ジクマロール、ワルファリンカリ
ウム。
19.抗てんかん剤 フェニトイン、バルプロ酸ナトリウム、メタルビター
ル、カルバマゼピン。
20.抗ヒスタミン剤 マレイン酸クロルフェニラミン、フマール酸クレマス
チン、メキタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸サイクロ
ヘプタジン。
21.鎮吐剤 塩酸ジフェニドール、メトクラプラミド、ドンペリド
ン、メシル酸ベタヒスチン、マレイン酸トリメブチン。
22.降圧剤 塩酸レセルピリン酸ジメチルアミノエチル、レシナミ
ン、メチルドパ、塩酸プラゾシン、塩酸プナゾシン、塩
酸クロニジン、プドララジン、ブラピジル。
23.交感神経興奮剤 メシル酸ジヒドロエルゴタミン、塩酸イソプロテレノ
ール、塩酸エチレフリン。
24.去たん剤 塩酸ブロムヘキシン、カルボシステイン、塩酸エチル
システイン、塩酸メチルシスティン。
25.経口糖尿病治療剤 グリベングラミド、トルブタミド、グリミジンナトリ
ウム。
26.循環器用剤 ユビデカレノン、ATP−2Na。
27.鉄剤 硫酸第一鉄、乾燥硫酸鉄。
28.ビタミン剤 ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミン
B12、ビタミンC、葉酸。
29.頻尿治療剤 塩酸フラボキサート、塩酸オキシブチニン、塩酸テロ
ジリン、4−ジエチルアミノ−1,1−ジメチル−2−ブ
チニル(±)−α−シクロヘキシル−α−フェニルグリ
コレートハイドロクロライドモノハイドレイト。
30.アンジオテンシン変換酵素阻害剤 マレイン酸エナラプリル、アラセプリル、塩酸デラプ
リル。
薬物の構成比率は、選択する耐酸性高分子化合物、膨
化補助剤、薬物、目的とする本発明膨化体又は本発明製
剤等によって異なるが、0.01〜45%(w/w)が適当であ
り、1〜20%(w/w)が好ましく、5〜15%(w/w)が更
に好ましい。0.01%(w/w)より少ないものも薬物によ
っては本発明膨化体の形態を有しうる場合があるが、45
%(w/w)より多いものは、十分に耐酸性能及び強度を
有しない場合がある。
その他、必要に応じて薬物放出調節剤、可塑剤、流動
化剤等を適宜配合することができる。
薬物放出調節剤としては、酸若しくは水で溶解又は膨
潤する物質等を挙げることができ、具体的には、ヒドロ
キシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース、メチルセルロース、ポリビニルアセタールジ
エチルアミノアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリ
ビニルアルコール、小麦粉、コーンスターチ、マンニッ
ト、乳糖、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロ
ピルセルロースなどを挙げることができる。
上記薬物放出調節剤は、単独でも二種以上であっても
よい。二種以上であっても十分に本発明の目的を達成す
ることができる。
薬物放出調節剤は、構成比率の45%(w/w)程度まで
を配合することができる。45%(w/w)を超えるもの
は、十分に耐酸性能及び強度を有しない場合がある。こ
こで薬物放出調節剤とは、製剤からの薬物放出速度をコ
ントロールする物質をいう。
可塑剤、流動化剤は、通常医薬品の製剤化で使用され
るものであれば特に制限はなく、具体的には、ポリエチ
レングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、
高級脂肪酸(ラウリン酸、トリデカ酸、ミリスチン酸、
ペンタデカン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステア
リン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノ
セリン酸、セロチン酸、モンタン酸など)、高級脂肪酸
エステル誘導体(先に掲げた高級脂肪酸のグリセリン、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビト
ール、ポリエチレングリコール等のエステル。動物、植
物から得られる飽和脂肪酸のグリセライド、およびその
混合物、及びこれら動植物由来のグリセライドの硬化油
脂。オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール
酸等の不飽和脂肪酸のグリセライド及びその混合物な
ど)、高級アルコール(ペンタデカノール、ヘキサデカ
ノール、セチルアルコール、ヘプタデカノール、ステア
リルアルコール、ノナデカノール、エイコサノール、羊
毛アルコール、コレステロールなど)、高級アルコール
エステル誘導体(コレステリールパルミテート、植物ス
テロールのパルミテートなど)等を挙げることができ
る。
上記可塑剤、流動化剤は、単独でも二種以上であって
もよい。二種以上であっても本発明の目的を十分に達成
することができる。
可塑剤、流動化剤は、構成比率の10%(w/w)程度ま
でを配合することができる。10%(w/w)を超えるもの
は、膨化不良なものとなる場合がある。
可塑剤、流動化剤によって、バレル内で生ずる摩擦抵
抗を軽減し、エクストルーダーによる処理を円滑に行う
ことができる。
次に、本発明膨化体の製法について詳述する。
本発明膨化体は、耐酸性高分子化合物、膨化補助剤、
薬物及び水を必須成分としてエクストルーダーにより一
括処理することによって製造することができる。
ここで「一括処理」とは、全構成成分と水とを実質同
時に剪断、混合、練合、圧縮、押出し処理等のエクスト
ルーダーが有する処理を行うことをいう。
一般にエクストルーダーは、バレルと呼ばれる筒、出
口に相当するダイ、及びスクリューから主に構成されて
いる。バレルは通常複数あり、その中をスクリューが貫
通している。スクリューには、台形スクリュー、台形カ
ットスクリュー、台形リバースカット、ボールスクリュ
ー、ニーディングパドル等のタイプがあり、その組合せ
は任意に行うことができる。エクストルーダーに送られ
た原料は、スクリューによりバレル内を移動し、バレル
内でスクリューにより剪断、混合等の処理がなされ、ダ
イの細孔から押し出される。通常、各バレル及びダイは
独立して温度調節ができるようになっている。
本発明においては、食品分野やプラスチック分野等で
一般に使用されている高水分及び高油分原料の搬送機
能、混合・圧縮・粉砕・加熱機能といった基本特性を備
えたエクストルーダーであればそのまま使用することが
できる。2本以上のスクリューを有するエクストルーダ
ーであれば、いずれのエクストルーダーも本発明におい
て使用することができる。なお、2本のスクリューを有
する2軸型エクストルーダーを用いれば十分に本発明膨
化体を得ることができる。
エクストルーダーでの一括処理は、エクストルーダー
の全バレル及びダイ内で必ずしも行われなければならな
いものではない。あるバレル内以降において一括処理さ
れれば、本発明膨化体を得ることができる。
エクストルーダーで一括処理する方法として、全構
成成分(耐酸性高分子化合物、膨化補助剤、薬物、その
他の構成成分)と水とを予め混練し、これをエクストル
ーダーの主供給孔から供給して一括処理する方法、全
構成成分を予め混合し、これをエクストルーダーの主供
給孔から供給し、水を補助供給孔から供給して一括処理
する方法、構成成分中「いくつかの構成成分」を予め
混合し、これをエクストルーダーの主供給孔から供給
し、「残りの構成成分」及び水を補助供給孔から供給し
て一括処理する方法、構成成分中「一つの構成成分」
をエクストルーダーの主供給孔から供給し、「残りの構
成成分」を補助供給孔から供給して一括処理する方法な
どを挙げることができる。これらの方法の中で、が
好ましい。
ここで「主供給孔」とは、バレル内へ原料を供給する
ことができる最も基本的な供給孔をいい、「補助供給
孔」とは、水や添加剤等を補助的にバレル内に供給しう
る主供給孔以外の供給孔をいう。
上記において、必要に応じ、任意の構成成分及び/
又は水を更に補助供給孔から供給することができる。
上記において、必要に応じ、任意の構成成分を更に
補助供給孔から供給することができる。
上記において、例えば、耐酸性高分子化合物及び薬
物を「いくつかの構成成分」とし、膨化補助剤及びその
他の構成成分を「残りの構成成分」とすることができ
る。耐酸性高分子化合物を「いくつかの構成成分」の中
に含めることが好ましい。「残りの構成成分」は、混合
物として一つの補助供給孔から供給することもできる
し、個々の構成成分を又は任意の構成成分の混合物を複
数の補助供給孔から供給することもできる。いずれも本
発明膨化体を得ることができる。なお、主供給孔から供
給される「いくつかの構成成分」のうちの一つ以上を
「残りの構成成分」の中に含めて補助供給孔から供給す
ることもできる。
上記において、「一つの構成成分」は耐酸性高分子
化合物とすることが好ましい。「残りの構成成分」は、
混合物として一つの補助供給孔から供給することもでき
るし、個々の構成成分を又は任意の構成成分の混合物を
複数の補助供給孔から供給することもできる。いずれも
本発明膨化体を得ることができる。なお、主供給孔から
供給される「一つの構成成分」を「残りの構成成分」の
中に含めて補助供給孔から供給することもできる。
各構成成分と水、又は各構成成分を予め混合又は練合
するには、ニーダーミキサー、V型混合機、二重円錐型
混合機、立方体型混合機、リボン型混合機などの機械や
手動によって行うことができる。
バレル内への各構成成分及び水の供給は、手動によ
り、又は使用するエクストルーダーに一般に装備されて
いる原料供給機によって行うことができるが、一定速度
で原料を供給しうる装置であれば特に制限なく行うこと
ができる。かかる装置として、例えば、スクリューフィ
ーダー、デーブルフィーダー、ベルトコンベア式定量供
給機、電磁フィーダーなどを挙げることができる。
各構成成分のエクストルーダーへの仕込み量は、前述
の各構成比率の範囲内で適宜設定することができる。
水の使用量は、構成成分、エクストルーダーの機種や
種類、処理条件、目的とする本発明膨化体等によって異
なるが、全構成成分に対して5〜20%(w/w)の範囲で
加えることができる。5%(w/w)より少ないと、膨化
不良を起こしたり、またバレル内での摩擦抵抗が大きく
なることによって過剰負荷がかかり、排出されないおそ
れがある。20%(w/w)を超えると、膨化不良を起こす
おそれがある。
ここでいう水には、単なる水のほか、生理食塩水等の
等張化水、中性若しくは酸性若しくは塩基性緩衝液、又
はアンモニア水なども含まれる。
エクストルーダーの処理条件について説明する。
エクストルーダーのバレル及びダイの温度は、構成成
分、エクストルーダーの機種や種類、目的とする本発明
膨化体等によって適宜設定することができる。具体的に
は、70〜150℃、好ましくは100〜120℃に設定すること
ができる。150℃より高い温度に設定しても本発明膨化
体を得ることができるが、あまり高い温度に設定すると
薬物等が分解するおそれがある。70℃より低い温度で
は、本発明膨化体が得られないおそれがある。
スクリューの回転数(処理速度)は、エクストルーダ
ーの機種や種類、構成成分、スクリューの形状等によっ
て適宜設定することができ、使用するエクストルーダー
の許容範囲内で設定することができる。バレルの全長が
長いエクストルーダーほど回転数を上げることができ
る。バレルの全長が長いほど処理能力が高いからであ
る。具体的には50rpm以上が適当であり、50〜300rpmが
好ましい。
吐出圧力は、10〜150kg/cm2が適当であり、30〜120kg
/cm2が好ましい。
使用しうるスクリューの形状及び組合せは、特に制限
なく選択することができる。なお、混練作用及び剪断作
用の強いニーディングパドル(練合羽根)という形状の
パドルを1つ以上使用することが好ましい。
排出ダイは、目的とする本発明膨化体又は本発明製剤
によって適宜変えることができる。具体的には、排出ダ
イの細孔の口径が0.5〜5mmφのものを挙げることができ
る。
エクストルーダーによる膨化現象は、バレル内におい
て適当な熱と高い圧力の下にあった原料混合物がダイか
ら押し出されることによって急激に常圧に戻されるため
に生ずるものと考えられる。またその際、原料混合物に
存在する水分も同時に気化するため、その水蒸気もエク
ストルーダーによる膨化現象の一役を担っているものと
考えられる。
以下に本発明製剤について詳述する。
エクストルーダーで一括処理された全構成成分は、本
発明膨化体となってダイの細孔から連続して押し出され
てくる。これを適当な裁断機、例えば、ローラー型解砕
機、カッターミル、ピンミル等で所望の長さに裁断する
ことができる。この裁断されたものは、そのまま顆粒状
又は細粒状の本発明製剤とすることができる。また、ダ
イの細孔から押し出されてきた本発明膨化体を、例えば
ダイの先端に装備した回転式カッター(例えば、ロータ
リーカッター、型式:2枚羽根、回転数0〜1750rpm)に
て所望する長さに裁断することで、特別な整粒操作なし
に直接顆粒状又は細粒状の本発明製剤とすることができ
る。
裁断された顆粒状若しくは細粒状の本発明膨化体のみ
を又は顆粒状若しくは細粒状の本発明膨化体と薬物、薬
物含有配合剤若しくは賦形剤とをカプセル等に詰めれ
ば、本発明カプセル製剤とすることができ、圧縮成形す
れば錠剤形の本発明製剤とすることができる。
更に、ダイの細孔から押し出されてきた本発明膨化
体、又は裁断された顆粒状、若しくは細粒状の本発明膨
化体にコーティング処理などを施したものを、そのまま
又はカプセルに詰めるなどして本発明製剤とすることも
できる。これにより、本発明膨化体及び本発明製剤の強
度を更に向上させることができ、また薬物の安定性を高
めることができる。
発明の効果 本発明製剤は、強度及び浮遊能が高いため、従来の胃
内滞留製剤よりも長時間、胃内に滞留することができ
る。また、本発明製剤は、安定した浮遊能と薬物放出能
とを兼ね備えることができる。
本発明膨化体(本発明製剤)は、エクストルーダーに
より、簡便大量に、しかも基本的に連続して製造するこ
とができる。従って、本発明膨化体(本発明製剤)の製
法は、工業的に優れたものである。
発明を実施するための最良の形態 以下に実施例、比較例、試験例を挙げて、本発明を更
に詳しく説明する。
実施例1 塩酸ニカルジピン20g、フドロキシプロピルメチルセ
ルロースアセテートサクシネート(商品名;Aqoat、AS−
MF、信越化学工業社製、以下同じ)110g、乾燥水酸化ア
ルミニウムゲル30g、小麦粉90gを混合し、これを直径:3
2mmφ、有効L/D:20、及びスクリューパターン:16P,12P,
9.6P,8P,30deg,8t×3枚・30deg(リバース)のスクリ
ュー(2本とも)、口径1mmφ×5穴のダイを装着した
2軸型エクストルーダー(KEXN−30S−20型;栗本鉄工
所製、以下同じ)に1分間あたり30gの速度でホッパー
より主供給孔へ投入した。処理温度は、各バレル及びダ
イ部を100℃に設定し、補助供給孔より精製水を1分間
あたり2mlの速度で添加しながらスクリュー回転数80rpm
の押しだし速度で処理を行い本発明膨化体を得た。
実施例2 塩酸ニカルジピン20g、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースアセテートサクシネート200g、乾燥水酸化アル
ミニウムゲル20g、小麦粉10gを混合し、これを実施例1
と同様の条件で処理を行い本発明膨化体を得た。
実施例3 塩化ニカルジピン20g、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロールアセテートサクシネート217.5g、乾燥水酸化ア
ルミニウムゲル12.5gを混合し、これを実施例1と同様
の条件で処理を行い本発明膨化体を得た。
実施例4 塩酸ニカルジピン20g、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースフタレート(商品名;HPMCP、HP−55Fグレー
ド、信越化学工業社製、以下同じ)155g、乾燥水酸化ア
ルミニウムゲル25g、小麦粉50gを混合し、これを実施例
1と同様の条件で処理を行い本発明膨化体を得た。
実施例5 塩酸ニカルジピン20g、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースアセテートサクシネート60g、エチルセルロー
ス(商品名;エトセル、STD−45タイプ、ダウケミカル
社製、以下同じ)60g、無水リン酸水素カルシウム30g、
ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(商品
名;AEA、三共薬品社製、以下同じ)80gを混合し、各バ
レル及びダイ部を140℃に設定した他は、実施例1と同
様の条件で処理を行い本発明膨化体を得た。
実施例6 塩酸オキシブチニン20g、ヒドロキシプロピルメチル
セルロースアセテートサクシネート150g、乾燥水酸化ア
ルミニウムゲル30g、コーンスターチ50gを混合し、これ
を実施例1と同様の条件で処理を行い本発明膨化体を得
た。
実施例7 塩酸オキシブチニン20g、エチルセルロース100g、合
成ケイ酸アルミニウム50g、小麦粉80gを混合し、これを
実施例1と同様のスクリュー及びダイを装着した2軸型
エクストルーダーに1分間あたり30gの速度でホッパー
より主供給孔へ投入した。処理温度は、各バレル及びダ
イ部を120℃設定し、補助供給孔より精製水を1分間あ
たり4mlの速度で添加しながらスクリュー回転数100rpm
の押しだし速度で処理を行い本発明膨化体を得た。
実施例8 塩酸オキシブチニン20g、エチルセルロース150g、炭
酸カルシウム50g、コーンスターチ30gを混合し、これを
実施例1と同様のスクリュー及びダイを装着した2軸型
エクストルーダーに1分間あたり30gの速度でホッパー
より主供給孔へ投入した。処理温度は、各バレル及びダ
イ部を100℃に設定し、補助供給孔よりプロピレングリ
コール50%(w/w)水溶液を1分間あたり2mlの速度で添
加しながらスクリュー回転数100rpmの押しだし速度で処
理を行い本発明膨化体を得た。
実施例9 4−ジエチルアミノ−1,1−ジメチル−2−ブチニル
(±)−α−シクロヘキシル−α−フェニルグリコレー
トハイドロクロライド モノハイドレート)20g、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネー
ト180g、乾燥水酸化アルミニウムゲル50gを混合し、こ
れを実施例1と同様のスクリュー、及び口径0.5mmφ×1
5穴のダイを装着した2軸型エクストルーダーに1分間
あたり20gの速度でホッパーより主供給孔へ投入した。
処理温度は、各バレル及びダイ部を90℃に設定し、補助
供給孔よりプロピレングリコール50%(w/w)水溶液を
1分間あたり2mlの速度で添加しながらスクリュー回転
数100rpmの押しだし速度で処理を行い本発明膨化体を得
た。
実施例10 リボフラビン20g、アミノアルキルメタアクリレート
コポリマーRS(商品名;Eudragit、RSPM、発売元;株式
会社樋口商会)150g、タルク30g、ポリビニルピロリド
ン(PVP)50gを混合し、これを実施例1と同様のスクリ
ュー、及び口径0.7mmφ×8穴のダイを装着した2軸型
エクストルーダーに1分間あたり20gの速度でホッパー
より主供給孔へ投入した。処理温度は、各バレル及びダ
イ部を100℃に設定し、補助供給孔よりクエン酸トリエ
チル30%(w/w)を1分間あたり2mlの速度で添加しなが
らスクリュー回転数100rpmの押しだし速度で処理を行い
本発明膨化体を得た。
実施例11 ジクロフェナックナトリウム50g、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロースアセテートサクシネート100g、炭酸
水素ナトリウム60g、低置換度ヒドロキシプロピルセル
ロース90gを混合し、これを実施例1と同様のスクリュ
ー、及び口径2mmφ×1穴のダイを装着した2軸型エク
ストルーダーに1分間あたり30gの速度でホッパーより
主供給孔へ投入した。処理温度は、各バレル及びダイ部
を120℃に設定し、補助供給孔より精製水を1分間あた
り2mlの速度で添加しながらスクリュー回転数100rpmの
押しだし速度で処理を行い本発明膨化体を得た。
実施例12 塩酸ジフェニドール50g、ヒドロキシプロピルメチル
セルロースアセテートサクシネート70g、炭酸水素ナト
リウム20g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース60g
を混合し、これを実施例1と同様のスクリュー、及びダ
イを装着した2軸型エクストルーダーに1分間あたり30
gの速度でホッパーより主供給孔へ投入した。処理温度
は、各バレル及びダイ部を120℃に設定し、補助供給孔
より精製水を1分間あたり2mlの速度で添加しながらス
クリュー回転数100rpmの押しだし速度で処理を行い本発
明膨化体を得た。
比較例1 塩酸ニカルジピン20g、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースアセテートサクシネート230gを混合し、これを
実施例1と同様のスクリュー、及びダイを装着した12軸
型エクストルーダーに1分間あたり30gの速度でホッパ
ーより主供給孔へ投入した。処理温度は、各バレル及び
ダイ部を120℃に設定し、補助供給孔より精製水を1分
間あたり2mlの速度で添加しながらスクリュー回転数80r
pmの押しだし速度で処理を行い成形体を得た。
比較例2 塩酸シカルジピン20g、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースアセテートサクシネート220g、乾燥水酸化アル
ミニウムゲル10g(4%(w/w))を混合し、これを比較
例1と同様の条件で処理を行い成形体を得た。
試験例1 実施例1、2で得られた本発明膨化体及び比較例1、
2で得られた成形体の細孔分布を水銀圧入法(使用機
種;ポアサイザー9320型、島津製)によって測定した。
尚、試料は約8〜12mmの長さに切断し、前処理(減圧約
50℃、15時間乾燥)した後、測定した。
その結果、表1に示すように実施例1、2で得られた
膨化成形体は、内部の空隙量を表す気孔率、細孔体積で
大きな値を示したのに対し、膨化補助剤無添加又は添加
量が不足している比較例1、2の成形体は小さな値を示
し、成形体の内部空隙が少ないことが確認された。ま
た、実施例1、2はカサ密度も非常に小さかった。
これらのことから本発明膨化体は、その内部に占める
空隙量が多く、しかも平均細孔径は10〜20μmと微細な
ものであった。
試験例2 実施例1、2で得られた本発明膨化体及び比較例1、
2で得られた成形体の振とうに対する強度及び各時点に
おける浮力の測定を行った。
200mlの分液ロートに日局第1液100mlを入れ、この中
に各試料を投入し、KHシェーカー(Model V.S.振幅5c
m、振とう回数300回/分、イワキ社製)の条件で6時間
振とうし、一定時間後にサンプリングして浮力の測定及
び形状の観察を行った。
浮力の測定は、微少荷重変換器(UL−10GR:Shinkoh
ミネベア製)を利用し、これに試料を固定するアタッチ
メントを取り付けて試料を装着した後、これを日局第1
液中に沈めるのに要する力を電気的に測定することによ
って行った。
なお、各試料は2cmの長さに切断したものを用い、更
に浮遊性カプセル(フローティングカプセル)として西
独において市販されているジアゼパムを主薬とするバル
レリーゼ(登録商標、2号サイズ)を対照として同様に
試験した。
その結果、図1に示すように実施例1、2で得られた
本発明膨化体は試験液投入直後より浮遊し、また、振と
うによって幾分浮力は低下するが、実施例1で4時間、
実施例2では6時間後も浮遊することが観察された。
一方、比較例1、2の成形体は、試験液投入直後に沈
降又は振とう後間もなく沈降する現象が見られた。これ
らの浮遊性は試験例1の結果を裏付けるものであった。
更に、対照品は、振とう1時間後には完全に崩壊して
いたのに対し、実施例1の試験は振とう4時間後、実施
例2の試験は振とう6時間後も崩壊せず、強度の高い膨
化成形体であった。
試験例3 日局溶出試験第2法(パドル法)に従い、第1液900m
l、パドル回転数100rpmの条件にて本発明膨化体の溶出
試験を行った。
試料とする本発明膨化体は、ロールグラニュレーター
(GRN−1041型;日本グラニュレーター社製)を用いて
解砕し、16号(1000μ)〜30号(500μ)範囲の顆粒状
としたものを溶出試験用として用いた。
1)実施例1、2、3で得られた本発明膨化体の顆粒状
試料から塩酸ニカルジピン20mg相当量を秤取し、溶出試
験を行い各時間毎にサンプリングして高速液体クロマト
グラフィーにより塩酸ニカルジピンの濃度を測定した。
本発明膨化体は、浮遊しながら図2に示すような緩や
かな放出性を示し、また、薬物放出調節剤の添加量を変
化させることで任意の放出性を与えることが示された。
2)実施例7、8で得られた本発明膨化体の顆粒状試料
から塩酸オキシブチニン10mg相当量を秤取し、溶出試験
を行い各時間毎にサンプリングして高速液体クロマトグ
ラフィーにより塩酸オキシブチニンの濃度を測定した。
本発明膨化体は、浮遊しながら図3に示すような緩や
かな放出性を示し、また、薬物放出調節剤の添加量を変
化させることで任意の放出性を与えることが示された。
3)実施例11で得られた本発明膨化体の顆粒状試料から
ジクロフェナックナトリウム25mg相当量を秤取し、溶出
試験を行い各時間毎にサンプリングして高速液体クロマ
トグラフィーによりジクロフェナックナトリウムの濃度
を測定した。
本発明膨化体は、浮遊しながら図4に示すような緩や
かな放出性を示した。
4)実施例12で得られた本発明膨化体の顆粒状試料から
塩酸ジフェニドール25mg相当量を秤取し、溶出試験を行
い各時間毎にサンプリングして高速液体クロマトグラフ
ィーにより塩酸ジフェニドールの濃度を測定した。
本発明膨化体は、浮遊しながら図5に示すような緩や
かな放出性を示した。
図面の簡単な説明 図1は、浮力の測定結果を示す。横軸は振とう時間
(時間)を、縦軸は浮力(mg)を、それぞれ表す。−○
−は、実施例1で得た本発明膨化体の浮力を、−□−
は、実施例2で得た本発明膨化体の浮力を、−△−は比
較例1で得た成形体の浮力を、−▽−は比較例2で得た
成形体の浮力を、−●−は対照品の浮力を、それぞれ表
す。
図2は、溶出試験の結果を示す。横軸は溶出時間
(分)を、縦軸は塩酸ニカルジピンの溶出率(%)を、
それぞれ表す。−○−は、実施例1で得た本発明膨化体
の溶出曲線を、−□−は、実施例2で得た本発明膨化体
の溶出曲線を、−△−は実施例3で得た本発明膨化体の
溶出曲線を、それぞれ表す。
図3は、溶出試験の結果を示す。横軸は溶出時間
(分)を、縦軸は塩酸オキシブチニンの溶出率(%)
を、それぞれ表す。−○−は、実施例7で得た本発明膨
化体の溶出曲線を、−□−は、実施例8で得た本発明膨
化体の溶出曲線を、それぞれ表す。
図4は、溶出試験の結果を示す。横軸は溶出時間
(分)を、縦軸はジクロフェナックナトリウムの溶出率
(%)を、それぞれ表す。−○−は、実施例11で得た本
発明膨化体の溶出曲線を表す。
図5は、溶出試験の結果を示す。横軸は溶出時間
(分)を、縦軸は塩酸ジフェニドールの溶出率(%)
を、それぞれ表す。−○−は、実施例12で得た本発明膨
化体の溶出曲線を表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 9/00 A61K 9/20 - 9/22 A61J 3/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】見掛け密度が1未満であって、耐酸性高分
    子化合物と主体として含有し、その他少なくとも膨化補
    助剤及び薬物を含有する断面が網状の膨化成形体。
  2. 【請求項2】耐酸性高分子化合物が、pH依存性皮膜剤又
    はpH非依存性皮膜剤である請求項1記載の膨化成形体。
  3. 【請求項3】耐酸性高分子化合物が、ヒドロキシプロピ
    ルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキ
    シプロピルメチルセルロースフタレート、メタアクリル
    酸コポリマー、カルボキシメチルエチルセルロース、酢
    酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、アミノアル
    キルメタアクリレートコポリマーからなる群より選択さ
    れるものである請求項1記載の膨化成形体。
  4. 【請求項4】耐酸性高分子化合物が、ヒドロキシプロピ
    ルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキ
    シプロピルメチルセルロースフタレート、メタアクリル
    酸コポリマー、カルボキシメチルエチルセルロース、酢
    酸フタル酸セルロース、エチルセルロース及びアミノア
    ルキルメタアクリレートコポリマーからなる群より選択
    されるものであり、膨化補助剤が乾燥水酸化アルミニウ
    ムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、リン酸水素カルシウ
    ム、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸水素カ
    ルシウム及びタルクからなる群より選択されるものであ
    る請求項1記載の膨化成形体。
  5. 【請求項5】全構成成分と水とを多軸型エクストルーダ
    ーにより一括処理することを特徴とする請求項1乃至4
    記載の膨化成形体の製法。
  6. 【請求項6】多軸型エクストルーダーが2軸型エクスト
    ルーダーである請求項5記載の膨化成形体の製法。
  7. 【請求項7】請求項1乃至4記載の膨化成形体を含有す
    ることを特徴とする胃内滞留製剤。
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