JP2808544B2 - 光学活性化合物およびその製法 - Google Patents

光学活性化合物およびその製法

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JP2808544B2 JP1082700A JP8270089A JP2808544B2 JP 2808544 B2 JP2808544 B2 JP 2808544B2 JP 1082700 A JP1082700 A JP 1082700A JP 8270089 A JP8270089 A JP 8270089A JP 2808544 B2 JP2808544 B2 JP 2808544B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規な光学活性化合物およびその製法に関す
る。さらに詳しくは、液晶混合物の成分として添加され
るカイラルドーパントの合成原料または医薬、農薬など
の原料として有用な新規な光学活性化合物およびその製
法に関する。
[従来の技術] 従来より、スメクチック液晶またはネマティック液晶
に、それ自体は液晶性を示さないが光学活性を有するカ
イラルな化合物を添加することによって、応答速度の速
い液晶混合物がえられることが知られている。この液晶
混合物の性能は、用いられる光学活性化合物および液晶
モノマーの種類とそれらの組成比または相溶性などによ
り大きく異なるため、液晶材料の探索の範囲が広まり、
それぞれの目的に合致した液晶混合物をうるための光学
活性化合物に対する要望が強くなってきている。
しかしながら、一般に微生物による発酵により、また
は天然物として比較的容易に入手しうるアミノ酸、有機
酸、糖などを除いて光学活性化合物の入手は困難であ
る。とくに前記スメクチック液晶またはネマティック液
晶へ添加して使用され、かつスメクチック液晶またはネ
マティック液晶との相溶性の高い光学活性化合物をうる
技術は完成されていない。
すなわち、従来行なわれていた生化学的手法または有
機化学的手法による光学活性化合物の合成法では適用範
囲が狭く、次のような欠点を有している。
たとえば、生化学的手法としてはパン酵母やデヒドロ
ゲナーゼを利用する不斉合成法があげられるが、この方
法では用いられる基質の水への溶解性により化学収率、
光学純度が著しく低下する傾向があり、一方、水へ溶解
しない化合物についてはこれらの方法を用いる有意性が
認められない。
他の生化学的手法として、有機溶媒中でリパーゼを用
いてトリブチリンと第2級アルコールとを不斉エステル
交換反応させる方法があげられるが、この方法では反応
速度が非常に遅く、しかもえられる光学活性化合物がブ
チルエステルに限定されるため、目的化合物をうるには
さらに数ステップの合成が必要になるという欠点があ
る。
一方、有機化学的手法を用いるばあいには、使用され
る基質によっては光学純度、化学収率が低く、えられる
光学活性化合物も低分子のものに限定されているばあい
が多く、スメクチック液晶またはネマティック液晶へ添
加して液晶混合物を調製するのに利用可能な光学活性化
合物の合成は困難である。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的の一つは既存のスメクチック液晶または
ネマティック液晶との相溶性がよく、しかもPs値の大き
な液晶混合物を与えうる光学活性化合物を容易に製造し
うる光学活性化合物の原料を提供することであり、さら
に他の一つは前記有用な光学活性化合物を容易に製造し
うる方法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明は、一般式(I): (式中、Aはテトラヒドロ−2−ピラニル基または1−
エトキシエチル基を示す)で表わされる光学活性化合物
(以下、一般式(I)で表わされる(R)体のアルコー
ルを(R)−(I)アルコール、(S)体のアルコール
を(S)−(I)アルコールともいう)、 一般式(II): (式中、Aはテトラヒドロ−2−ピラニル基または1−
エトキシエチル基、R1は炭素数1〜15のアルキル基を示
す)で表わされる光学活性化合物(以下、一般式(II)
で表わされる(R)体のエステルを(R)−(II)エス
テル、(S)体のエステルを(S)−(II)エステルと
もいう)、 有機溶媒中、一般式(IV): (式中、Aはテトラヒドロ−2−ピラニル基または1−
エトキシエチル基を示す)で表わされるラセミアルコー
ルおよび2,2,2−トリクロロエタノールの脂肪酸エステ
ル(脂肪酸の炭素数2〜16) または一般式(V): H2C=CR2−O−CO−R3 (V) (式中、R2は水素原子またはメチル基、R3は炭素数1〜
8のアルキル基を示す)で表わされるビニル脂肪酸エス
テルにエスセラーゼ活性を有する酵素を作用せしめて、
ラセミアルコールの(R)体のみを選択的にエステル化
合物にしたのち、未反応の(S)体のアルコールを分離
することを特徴とする光学活性(R)体エステル化合物
の製法および 有機溶媒中、一般式(IV): (式中、Aはテトラヒドロ−2−ピラニル基または1−
エトキシエチル基を示す)で表わされるラセミアルコー
ルおよび2,2,2−トリクロロエタノールの脂肪酸エステ
ル(脂肪酸の炭素数2〜16)または一般式(V): H2C=CR2−O−CO−R3 (V) (式中、R2は水素原子またはメチル基、R3は炭素数1〜
8のアルキル基を示す)で表わされるビニル脂肪酸エス
テルの混合物にエスセラーゼ活性を有する酵素を作用せ
しめて、ラセミアルコールの(R)体のみを選択的にエ
ステル化合物にしたのち、(R)体エステル化合物を分
離することを特徴とする光学活性(S)体アルコールの
製法に関する。
[実施例] 本発明の光学活性化合物は、一般式(I): で表わされる光学活性化合物、 一般式(II): で表わされる光学活性化合物であり、これらは 一般式(III): (式中、R1は炭素数1〜15のアルキル基を示す)で表わ
される光学活性化合物の中間体である。すなわち、一般
式(I)の光学活性アルコールは不斉点のヒドロキシル
基のみをエステル化した一般式(II)で表わされる光学
活性エステルへ導くために、芳香核上のヒドロキシル基
を置換基Aで保護したものである。また、一般式(II)
で表わされる光学活性エステルは加水分解により置換基
Aのみを除き、容易に一般式(III)で表わされる光学
活性化合物に導かれるものである。
したがって、置換基Aは容易に取り除かれるものでな
くてはならず、しかも置換基Aを取り除く際にエステル
結合を解裂しないようなものでなくてはならない。その
ため、本発明では置換基Aをテトラヒドロ−2−ピラニ
ル基または1−エトキシエチル基に限っている。これら
以外の置換基のばあいには一般式(III)で表わされる
化合物をうるのが困難となる。
置換基Aを除去するには、たとえば酢酸・ジオキサン
・水の混合溶媒などが使用される。
また、一般式(II)、(III)で表わされる光学活性
化合物において、R1は炭素落数1〜15、好ましくは2〜
12のアルキル基であり、アルキル基中には不斉炭素を有
していてもよい。R1の炭素数が15をこえると、該化合物
を液晶に誘導したばあいに、液晶としての好ましい性能
を期待しがたくなる。また、R1がアルキル基以外のばあ
いにも液晶としての好ましい性能を期待しがたくなる。
なお、本明細書にいうアルキル基とは、水素原子がハ
ロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基、またア
ルキル基中にエーテル結合、エステル結合などを有する
基をも含む概念であり、これらアルキル基中には不斉炭
素が存在していてもよい。
前記一般式(III)で表わされる光学活性化合物は既
存の多くの液晶性物質と相溶性が高いカイラルドーパン
トの合成原料として有用である。とくにスメクチック液
晶またはネマティック液晶のカイラルドーパントとして
次に示すような化合物があげられ、これらは一般式(II
I)で表わされる化合物を用いて製造され、製造された
化合物を用いるとえられるスメクチック相またネマティ
ック相において大きなPs値を実現することができ、また
望ましい螺旋ピッチを実現しうる。
(上記式中のRは炭素数1〜15のアルキル基である。) さらに、本発明の光学活性化合物はいずれも医薬、農
薬、香料などの原料としても好適に用いることができ
る。
次に本発明の一般式(I)〜(II)で表わされる光学
活性化合物の製法について説明する。
一般式(I)または(II)で表わされる光学活性化合
物は、一般式(IV): (式中、Aは前記と同じ)で表わされるラセミアルコー
ルを光学分割することにより製造される。すなわち、一
般式(I)で表わされる光学活性アルコールは(R)体
のアルコールまたは(S)体のアルコールであり、一般
式(II)で表わされる光学活性エステルは前記一般式
(I)で表わされる光学活性アルコールに対応する脂肪
酸エステルである。
本発明の製法において、前述のごとく一般式(IV)で
表わされるラセミアルコールと、2,2,2−トリクロロエ
タノールの脂肪酸エステル(脂肪酸の炭素数2〜16)ま
たは一般式(V): H2C=CR2−O−CO−R3 (V) (式中、R2は水素原子またはメチル基、R3は炭素数1〜
8のアルキル基を示す)で表わされるビニル脂肪酸エス
テルとの反応が、有機溶媒中、エステラーゼ活性を有す
る酵素を用いて行なわれる。
エステラーゼ活性を有する酵素はラセミアルコールの
(R)体のみを選択的にエステル化するため、該反応に
より(R)−(II)エステルと(S)−(I)アルコー
ルがえられる。また、(R)−(II)エステルはKOH、N
aOHの苛性アルカリを用いた加水分解などにより(R)
−(I)アルコールに、(S)−(I)アルコールはエ
ステル化により(S)−(II)エステルにしうる。
一般式(IV)で表わされるラセミアルコールをうる方
法にはとくに制限はなく、該化合物がえられる方法であ
るかぎり如何なる方法によってもよい。
たとえば、一般式(IV)における置換基Aがエトキシ
エチル基のばあいにはニチルビニルエーテルを用いて、
また置換基Aがテトラヒドロ−2−ピラニル基のばあい
にはジヒドロピラン を用いて、パラヒドロキシアセトフェノンのヒドロキシ
ル基を保護したのち水素化ホウ素ナトリウムなどで還元
すれば、一般式(IV)で表わされるラセミアルコールが
えられる。
前記2,2,2−トリクロロエタノールの脂肪酸エステル
または一般式(V): H2C=CR2−O−CO−R3 (V) (式中、R2は水素原子またはメチル基、R3は炭素数1〜
8のアルキル基を示す)で表わされるビニル脂肪酸エス
テルはアシル化剤として用いられる。これら、脂肪酸の
炭素数はえられる一般式(II)、(III)で表わされる
化合物のR1の炭素数の値に対応しており、脂肪酸の炭素
数を適宜選択して用いることにより目的に応じた化合物
がえられる。
前記2,2,2−トリクロロエタノールの脂肪酸エステル
の具体例としては、たとえば2,2,2−トリクロロエチル
アセテート、2,2,2−トリクロロエチルブチレート、2,
2,2−トリクロロエチルヘプタノエートなどがあげられ
る。
また、前記ビニル脂肪酸エステルの具体例としては、
たとえばイソプロペニルアセテート、ビニルアセテー
ト、ビニルバラレート、ビニルオクタノエートなどがあ
げられる。
なお、2,2,2−トリクロロエタノールの脂肪酸エステ
ルにおける脂肪酸の炭素数が2〜16である理由について
はすでに説明したが、一般式(V)で示されるビニル脂
肪酸エステルのアルキル基(R3)が1〜8であるのは、
R3が9以上の一般式(V)で示されるビニル脂肪酸エス
テルの合成が困難であり、経済的に不利になるためであ
る。
前記エステラーゼ活性を有する酵素とは、アシル化剤
を用いて有機溶媒中で一般式(IV)で表わされるラセミ
アルコールのうちの(R)体のみを不斉点にエステル化
しうるものであれば何ら制限なく使用することができ、
微生物由来のものでも、動物由来のものでも、また市販
のものでも、市販のものでなくてもよい。かかる酵素の
具体例としては、たとえば微生物由来の酵素であるシュ
ードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginos
a)などのシュードモナス属、アクロモバクテリウム・
ビスコスム(Achromobacterium viscosm)などのアクロ
モバクテリウム属、キャンディダ・シリンドラセ(Cand
ida Cylindracea)などのキャンディダ属に属する微生
物から産生された酵素など、また動物由来の酵素として
は豚の膵臓から産生された酵素などがあげられるが、何
らこれらに限定されるものではない。
これらの酵素の市販品としては、たとえばリパーゼ
『アマノ』P(天野製薬(株)製、商品名)、リパーゼ
東洋(東洋醸造(株)製、商品名)、パンクレアチンリ
パーゼ(天野製薬(株)製、商品名)、パンクレアチン
リパーゼ(シグマ(株)製、商品名)、リパーゼB(和
光純薬工業(株)製、商品名)、リパーゼMY(名糖産業
(株)製、商品名)などがあげられる。
本発明の製法に用いられる有機溶媒は、一般式(IV)
で表わされるラセミアルコールおよびアシル化剤を溶解
し、エステラーゼ活性を有する酵素の酵素活性を阻害し
ないなどの要件を満たすかぎりとくに限定なく使用しう
る。このような有機溶媒の具体例としては、たとえばジ
エチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジイソプロピ
ルエーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプ
タン、トルエンなどがあげられる。
本発明における一般式(IV)で表わされるラセミアル
コール、アシル化剤およびエスセラーゼ活性を有する酵
素を含む有機溶媒の調製法にはとくに限定はなく、たと
えば一般式(IV)で表わされるラセミアルコール、アシ
ル化剤およびエステラーゼ活性を有する酵素を有機溶媒
に加えて調製してもよく、それらを別々に溶かすかまた
は分散させた液を混合して調製してもよく、さらには溶
解させにくいが加熱溶解しうるもののみを先に溶解させ
たのち他のものを加えて調製してもよい。
一般式(IV)で表わされるラセミアルコールとアシル
化剤の使用割合は一般式(IV)で表わされるラセミアル
コール1モルに対してアシル化剤0.5〜2.0モルを使用す
るのが好ましく、1〜1.5モル使用するのがさらに好ま
しい。前記使用割合が0.5モル未満のばあいには一般式
(IV)で表わされるラセミアルコールの(R)体よりモ
ル量で少なくなるため、(R)体のすべてをエステル化
することができなくなり、また2.0モルをこえるばあい
には使用したアシル化剤で反応に関与しなくなる割合が
増加するため、経済性が低下する。
またエステラーゼ活性を有する酵素の使用量は、一般
式(IV)で表わされる化合物1モルに対して10〜600gが
好ましく、さらには100〜500gが好ましい。前記使用量
が10g以下のばあいには反応速度が遅く、経済的に不利
であり、600gをこえるばあいには反応速度に比べて酵素
が過剰になり過ぎ、経済的に不利となる。
さらに一般式(IV)で表わされるラセミアルコールお
よびアシル化剤の合計使用量の割合は、これらを有機溶
媒にとかした溶液の重量に対して0.1〜50%(重量%、
以下同様)が好ましく、さらに好ましくは10〜30%であ
る。前記使用割合が0.1%未満のばあいには反応液量の
割には収量が少なくなり、経済的に不利となる。また50
%をこえるばあいには濃度が高すぎるため反応速度が低
下し収量が低くなる。
本発明の製法においてはエステラーゼ活性を有する酵
素を使用するため、通常10〜40℃、好ましくは25〜30℃
の反応温度が採用される。
反応時間は一般式(IV)で表わされるラセミアルコー
ルやエステラーゼ活性を有する酵素の種類、一般式(I
V)で表わされる化合物、アシル化剤およびエステラー
ゼ活性を有する酵素の使用割合、撹拌状態などにより異
なり、一概に規定できないが通常は1〜150時間、好ま
しくは24〜96時間程度である。
反応の終了はガスクロマトグラフィー法で一般式(I
V)で表わされるラセミアルコールのエステルへの変換
率を測定し、該変換率が一定になることによって確かめ
られる。
かくしてえられた反応混合物はまずろ過などによって
エステラーゼ活性を有する酵素が除かれる。そののち、
要すれば有機溶媒などを除去したのち、たとえばシリカ
ゲルクロマトグラフィーにより(R)−(II)エステル
と(S)−(I)アルコールとに分離される。さらに、
このようにして分離されたものにアシル化反応によって
生成したアルコールなどまたは未反応のアシル化剤が混
入しているばあいには蒸留などの方法により精製すれば
よい。なお、カラムクロマトグラフィーの展開溶媒とし
ては、たとえば酢酸エチル/n−ヘキサン混合液(酢酸エ
チル/n−ヘキサンが容量比で1/4〜1/20のもの)、クロ
ロホルム/メタノール混合液(クロロホルム/メタノー
ルが容量比で1/10〜1/40のもの)などを用いるのがよ
い。
また、前記分離した使用済のエステラーゼ活性を有す
る酵素は再使用しうる。
同定は、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルおよび比
旋光度などを測定することによって行なわれる。
さらに、えられた(R)−(II)エステルは酵素的も
しくは化学的方法などにより加水分解すれば、容易に
(S)−(I)アルコールの鏡像体である(R)−
(I)アルコールにしうる。また、(S)−(I)アル
コールはエステル化すれば(R)−(II)エステルの鏡
像体である(S)−(II)エステルにしうる。
このようにして一般式(I)または一般式(II)で表
わされる光学活性化合物を80〜90%の収率でうることが
できる。
つぎに本発明を実施例に基づき説明する。
製造例1 1−(4−(1−エトキシエトキシ)フェニル)エタ
ノールの合成 (i)4−(1−エトキシエトキシ)アセトフェノンの
合成 100mlのジエチルエーテルにp−ヒドロキシアセトフ
ェノン13.6g(0.1モル)とエチルビニルエーテルとを溶
解させ、濃塩酸1mlを加えて4時間還流させ、さらに室
温で16時間反応させた。反応終了後、反応混合物を0.1N
の水酸化ナトリウム溶液50mlで2回洗浄し、さらに水で
3回洗浄した。エーテル相を硫酸マグネシウムで乾燥さ
せたのちエーテルを減圧留去させ、油状の4−(1−エ
トキシエトキシ)アセトフェノン20.5gをえた(収率92
%)。
えられた化合物の1H−NMRスペクトル分析の結果はつ
ぎの通りであった。1 H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 1.72(t,3H)、1.51(d,3H)、 2.52(s,3H)、3.50(m,1H)、 3.72(m,1H)、5.48(q,1H)、 6.95(d,2H)、7.88(d,2H) (ii)1−(4−(1−エトキシエトキシ)フェニル)
エタノールの合成 (i)でえられた4−(1−エトキシエトキシ)アセ
トフェノン15.0g(72ミリモル)をエタノール100mlに溶
解させ、NaBH4 2.2g(58ミリモル)を加えて5時間反
応させた。反応終了後、エタノールを減圧留去させ、つ
いで200mlのエーテルを加えて希塩酸、水、炭酸水素ナ
トリウム水溶液の順に洗浄した。エーテル層を硫酸マグ
ネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去させて13.6gの1−
(4−(1−エトキシエトキシ)フェニル)エタノール
をえた(収率90%)。
えられた化合物の1H−NMRスペクトル分析の結果はつ
ぎの通りであった。
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 1.17(t,3H)、1.44(d,3H)、 1.46(d,3H)、1.93(s,1H)、 3.52(m,1H)、3.76(m,1H)、 4.82(m,1H)、5.34(q,1H)、 6.94(d,2H)、7.27(d,2H) 実施例1 1−(4−エトキシエトキシ)フェニル)エタノール
の光学分割 (i)2,2,2−トリクロロエチルブチレートとの不斉エ
ステル交換 無水ジエチルエーテル120mlに1−(4−(1−エト
キシエトキシ)フェニル)エタノール21g(0.1モル)、
2,2,2−トリクロロエチルブチレート22.4g(0.1モル)
およびリパーゼP(天野製薬(株)製)25.2gを加えて2
5℃で90時間撹拌した。反応終了後、吸引濾過によりリ
パーゼを除去し、濾液を濃縮後シリカゲルクロマトグラ
フィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/4(容量比、以下
同様))により精製し、(S)体の1−(4−(1−エ
トキシエトキシ)フェニル)エタノール9.6g(収率91
%)および(R)体の1−(4−(1−エトキシエトキ
シ(フェニル)エチルブチレート13.0g(収率93%)を
えた。
えられた化合物の1H−NMR分析、1Rスペクトル分析お
よび比旋光度分析の結果は以下の通りであった。
1−(4−(1−エトキシエトキシ)フェニル)エタ
ノール((S)体) 1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 1.17(t,3H)、1.44(d,3H)、 1.46(d,3H)、1.93(s,1H)、 3.52(m,1H)、3.76(m,1H)、 4.82(m,1H)、5.34(q,1H)、 6.94(d,2H)、7.27(d,2H) FT−IR(cm-1) 3398,2974,2931,2889,1612,1512,1446, 1381,1342,1238,1176,1134,1118,1076, 1049,1010,954,898,837. [α]▲20 D▼=−36.1゜(CHCl3,c=1) 1−(4−(1−エトキシエトキシ)フェニル)エチ
ルブチレート((R)体) 1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 0.90(t,3H)、1.19(t,3H)、 1.47(d,3H)、1.49(d,3H)、 1.62(m,2H)、2.27(t,2H)、 3.51(m,1H)、3.76(y,1H)、 5.35(9,1H)、5.84(q,1H)、 6.94(d,2H)、7.26(d,2H) FT−IR(cm-1) 2974,2935,2877,1735,1612,1585,1512, 1454,1419,1381,1346,1288,1176,1134, 1099,1076,1060,1014,1003,941,898,833, 551 [α]▲20 D▼=84.0゜(CHCl3,c=1) (ii)2,2,2−トリクロロエチルヘブタノエートによる
不斉エステル交換 2,2,2−トリクロロエチルブチレートのかわりに2,2,2
−トリクロロエチルヘプタノエートを用いた以外は実施
例1の(i)と同様の方法(S)体の1−(4−(1−
エトキシエトキシ)フェニル)エタノール9.5g(収率90
%)および(R)体の1−(4−(1−エトキシエトキ
シ)フェニル)エチルヘプタノエート14.8g(収率92
%)をえた。
えられた化合物の1H−NMR分析、IRスペクトル分析お
よび比旋光度分析の結果はつぎの通りであった。
1−(4−(1−エトキシエトキシ)フェニル)エタ
ノール((S)体) 1H−NMR分析およびFT−IR分析の結果は実施例1の
(i)の結果と同様であった。
[α]▲20 D▼=−36.1゜(CHCl3,c=1) 1−(4−(1−エトキシエトキシ)フェニル)エチ
ルヘプタノエート((R)体) 1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 0.84(t,3H)、1.19(t,3H)、 1.24(m,6H)、1.47(d,3H)、 1.49(d,3H)、1.58(m,2H)、 2.28(t,2H)、3.49(m,1H)、 3.76(m,1H)、5.35(q,1H)、 5.83(q,1H)、6.94(d,2H)、 7.25(d,2H) FT−IR(cm-1) 2978,2958,2931,2870,2858,1735,1612, 1585,1512,1454,1419,1377,1342,1288, 1238,1168,1134,1118,1099,1076,1057, 1014,1003,941,898,833,551 [α]▲20 D▼=+69.0゜(CHCl3,c=1) (iii)ビニルバラレートによる不斉エステル交換 2,2,2−トリクロロエチルブチレートのかわりにビニ
ルバラレートを用いた以外は実施例1の(i)と同様の
方法によって(S)体の1−(4−(1−エトキシエト
キシ)フェニル)エタノール9.8g(収率93%)および
(R)体の1−(4−(1−エトキシエトキシ)フェニ
ル)エチルバラレート11.8g(収率94%)をえた。
えられた化合物の1H−NMR分析、IRスペクトル分析お
よび比旋光度分析の結果はつぎの通りであった。
1−(4−(1−エトキシエトキシ)フェニル)エタ
ノール((S)体) 1H−NMR分析およびFT−IR分析の結果は実施例1の
(i)と同様な結果であった。
[α]▲20 D▼=−36.1゜(CHCl3,c=1) 1−(4−(1−エトキシエトキシ)フェニル)エチ
ルバラレレート((R)体) 1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 0.86(t,3H)、1.19(t,3H)、 1.26(m,2H)、1.47(d,3H)、 1.49(d,3H)、1.59(m,2H)、 2.28(t,2H)、3.50(m,1H)、 3.76(m,1H)、5.35(q,1H)、 5.83(q,1H)、6.94(d,2H)、 7.25(d,2H) FT−IR(cm-1) 2974,2935,2877,1735,1612,1585,1512, 1454,1419,1381,1346,1288,1238,1176, 1134,1099,1076,1060,1014,1003,941,898, 833,551 [α]▲20 D▼=+80.2゜(CHCl3,c=1) (iv)(R)体の1−(4−(1−エトキシエトキシ)
フェニル)エタノールの合成 実施例1の(i)でえられた(R)体の1−(4−
(1−エトキシエトキシ)フェニル)エチルブチレート
28g(0.1モル)を1N水酸化カリウムのエタノール溶液21
0mlに溶解させ、室温で一晩反応させたのち反応混合物
を減圧濃縮した。残渣に200mlのエーテルを加え、2Nの
水酸化ナトリウム水溶液50mlで2回洗浄し、さらに水で
3回洗浄した。エーテル層を硫酸マグネシウムで乾燥さ
せ、エーテルを減圧留去させた。残渣をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/
4)により精製し、(R)体の1−(4−(1−エトキ
シエトキシ)フェニル)エタノール18.9gをえた(収率9
0%)。
えられた化合物の1H−NMR分析、IRスペクトル分析お
よび比旋光度分析の結果は以下の通りであった。
1H−NMR分析およびFT−IR分析の結果は、実施例1の
(i)と同様な結果であった。
[α]▲20 D▼=+36.9゜(CHCl3,c=1) 実施例2 (i)(S)体の1−(4−(1−エトキシエトキシ)
フェニル)エタノールの脂肪酸エステルの合成 実施例1でえられた(S)体の1(4−(1−エトキ
シエトキシ)フェニル)エタノール0.05モルをピリジン
50mlに溶解させ、脂肪酸の酸クロライド0.06モルをゆっ
くり滴下した。滴下終了後さらに時間反応させたのち、
反応混合物を減圧濃縮した。残渣に100mlのジエチルエ
ーテルを加えて、希塩酸、水、10%炭酸水素ナトリウム
水溶液で洗浄した。エーテル層を硫酸マグネシウムで乾
燥させたのちエーテルを減圧留去し、(S)体の1−
(4−(1−エトキシエトキシ)フェニル)エタノール
の脂肪酸エステルをえた。
えられた化合物の1H−NMR分析、FT−IR分析および比
旋光度分析の結果は次の通りであった。
1−(4−(1−エトキシエトキシ)フェニル)エチ
ルブチレート((S)体) 1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 0.90(t,3H)、1.19(t,3H)、 1.47(d,3H)、1.49(d,3H)、 1.62(m,2H)、2.27(t,2H)、 3.51(m,1H)、3.76(m,1H)、 5.35(q,1H)、5.84(q,1H)、 6.94(d,2H)、7.26(d,2H)、 FT−IR(cm-1) 2974,2935,2877,1735,1612,1585, 1512,1454,1419,1381,1346,1288, 1238,1176,1134,1099,1076,1060, 1014,1003, 941, 898, 833, 551 [α]▲20 D▼=−83.5゜(CHCl3,c=1) なお、このばあいの収率は91%であった。
1−(4−(1−エトキシエトキシ)フェニル)エチ
ルヘキサノエート((S)体) 1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 0.85(t,3H)、1.19(t,3H)、 1.27(m,4H)、1.47(d,3H)、 1.49(d,3H)、1.59(m,2H)、 2.28(t,2H)、3.50(m,1H)、 3.76(m,1H)、5.35(q,1H)、 5.83(q,1H)、6.94(d,2H)、 7.25(d,2H) FT−IR(cm-1) 2978,2958,2931,2870,1735,1612, 1585,1512,1454,1377,1342,1288, 1242,1172,1122,1057,1014, 945, 898, 833, 551 [α]▲20 D▼=−74.0゜(CHCl3,c=1) なお、このばあいの収率は92%であった。
1−(4−(1−エトキシエトキシ)フェニル)エチ
ルヘプタノエート((S)体) 1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 0.84(t,3H)、1.19(t,3H)、 1.24(m,6H)、1.47(d,3H)、 1.49(d,3H)、1.58(m,2H)、 2.28(t,2H)、3.49(m,1H)、 3.76(m,1H)、5.35(q,2H)、 5.83(q,1H)、6.94(d,2H)、 7.25(d,2H) FT−IR(cm-1) 2978,2958,2931,2870,2858,1735, 1612,1585,1512,1454,1419,1377, 1342,1288,1238,1168,1134,1118, 1099,1076,1057,1014,1003, 941, 898, 833, 551 [α]▲20 D▼=−68.1゜(CHCl3,c=1) なお、このばあいの収率は90%であった。
1−(4−(1−エトキシエトキシ)フェニル)エチ
ルデカノエート((S)体) 1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 0.85(t,1H)、1.19(t,3H)、 1.23(m,12H)、1.47(d,3H)、 1.49(d,3H)、1.58(m,1H)、 2.28(t,2H)、3.54(m,1H)、 3.75(m,1H)、5.35(q,1H)、 5.83(q,1H)、6.94(d,2H)、 7.25(d,2H) FT−IR(cm-1) 2978,2954,2927,2854,1735,1612, 1585,1512,1458,1419,1377,1300, 1288,1238,1176,1118,1076,1057, 1014,1003, 941, 902, 833, 551 [α]▲20 D▼=−59.0゜(CH3Cl,c=1) なお、このばあいの収率は93%であった。
(ii)(S)体の1−(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ノールの脂肪酸エステルの合成 1−(4−(1−エトキシエトキシ)フェニル)エタ
ノールの脂肪酸エステル0.1モルを酢酸/ジオキサン/
水(10/5/5)の混合溶媒約200mlに溶解させ、室温で2
時間撹拌し、溶媒を減圧留去させることによって(S)
体の1−(4−ヒドロキシフェニル)エタノールの脂肪
酸エステルをえた。
えられた化合物の1H−NMR分析、FT−IR分析および比
旋光度分析の結果は次の通りであった。
1−(4−ヒドロキシフェニル)エチルブチレート
((S)体) 1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 0.89(t,3H)、1.50(d,3H)、 1.61(m,2H)、2.28(t,2H)、 5.83(q,1H)、6.14(broad s,1H)、 6.77(d,2H)、7.20(d,2H) FT−IR(cm-1) 3387,2970,2935,2873,1732,1705, 1616,1597,1516,1450,1373,1265, 1199,1172,1091,1057, 999, 956, 941, 833, 547 [α]▲20 D▼=−109.8゜(CHCl3,c=1) なお、このばあいの収率は95%であった。
1−(4−ヒドロキシフェニル)エチルヘキサノエー
ト((S)体) 1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 0.85(t,3H)、1.25(m,4H)、 1.49(d,3H)、1.59(m,2H)、 2.28(t,2H)、5.74(broad s,1H)、 5.67(q,1H)、6.77(d,2H)、 7.20(d,2H) FT−IR(cm-1) 3371,3024,2958,2931,2870,1732, 1705,1616,1597,1516,1450,1415, 1357,1288,1265,1242,1222,1211, 1168,1099,1057,1014,1003, 956, 833, 729, 547 [α]▲20 D▼=−85.0゜(CHCl3,c=1) なお、このばあいの収率は89%であった。
1−(4−ヒドロキシフェニル)エチルヘプタノエー
ト((S)体) 1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 0.85(t,3H)、1.23(m,6H)、 1.48(d,3H)、1.57(m,2H)、 2.28(t,2H)、5.83(q,1H)、 5.91(broad s,1H)、6.77(d,2H)、 7.22(d,2H) FT−IR(cm-1) 3390,3024,2954,2631,2858,1732, 1706,1616,1597,1516,1450,1377, 1269,1222,1168,1099,1057, 999, 949, 833, 725, 644, 547 [α]▲20 D▼=−79.3゜(CHCl3,c=1) なお、このばあいの収率は92%であった。
1−(4−ヒドロキシフェニル)エチルデカノエート
((S)体) 1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 0.85(t,3H)、1.23(m,12H)、 1.49(d,2H)、1.58(m,2H)、 2.28(t,2H)、5.51(broad s,1H)、 5.82(q,1H)、6.77(d,2H)、 7.20(d,2H) FT−IR(cm-1) 3394,3024,2927,2854,1732,1705, 1616,1597,1516,1450,1377,1269, 1207,1168,1111,1057, 999, 952, 833, 721, 547 [α]▲20 D▼=−71.0゜(CHCl3,c=1) なお、このばあいの収率は88%であった。
(iii)(R)体の1−(4−ヒドロキシフェニル)エ
タノールの脂肪酸エステルの合成 実施例1でえられた(R)体の1−(4−(1−エト
キシエトキシ)フェニル)エタノールの脂肪酸エステル
0.35モルを酢酸/ジオキサン/水(10/5/5)の混合溶媒
700mlに溶解させ、室温2時間撹拌後溶媒を減圧留去し
て(R)体の1−(4−ヒドロキシフェニル)エタノー
ルの脂肪酸エステルをえた。
えられた化合物のうちのブチレートおよびヘプタノエ
ートの1H−NMR分析およびFT−IR分析の結果は実施例2
でえられた(S)体の1−(4−ヒドロキシフェニル)
エタノールの脂肪酸エステルと同様であった。また、バ
ラレートの1H−NMR分析の結果はつぎの通りであった。
これらの比旋光度および収率は第1表にまとめて記載し
た。
バラレートの1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 0.85(t,3H)、1.26(m,2H)、 1.47(d,3H)、1.59(m,2H)、 2.28(t,2H)、5.71(broad s,1H)、 5.82(q,1H)、6.94(d,2H)、 7.25(d,2H) 製造例2 1−(4−(テトラヒドロ−2−ピラニロキシ)フェ
ニル)エタノールの合成 (i)4−(テトラヒドロ−2−ピラニロキシ)アセト
フェノンの合成 150mlのジクロロメタンにp−ヒドロキシアセトフェ
ノン13.6g(0.1モル)と3,4−ジヒドロ−α−ピラン12.
5gとを溶解させ、ピリミジウム・p−トルエンスルホネ
ート1.1gを加えて室温で一夜反応させた。反応終了後、
反応混合物を0.5Nの水酸化ナトリウム溶液50mlで3回洗
浄し、さらに水で3回洗浄した。エーテル層を硫酸マグ
ネシウムで乾燥させ、エーテルを減圧留去後、油状の4
−(テトラヒドロ−2−ピラニロキシ)アセトフェノン
20.5gをえた(収率93%)。
えられた化号物の1H−NMRスペクトル分析の結果はつ
ぎの通りであった。
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 1.68(m,3H)、1.86(m,2H)、 1.98(m,1H)、2.53(s,3H)、 3.60(m,1H)、3.82(m,1H)、 5.50(t,1H)、7.07(d,2H)、 7.91(d,2H) (ii)1−(4−(テトラヒドロ−2−ピラニロキシ)
フェニル)エタノールの合成 (i)でえられた4−(テトラヒドロ−2−ピラニロ
キシ)アセトフェノン22.0g(0.1モル)をエタノール20
0mlに溶解させ、NaBH42.3g(58ミリモル)を加えて3時
間反応させた。反応終了後、エタノールを減圧留去さ
せ、200mlのエーテルを加えて希塩酸、水、炭酸水素ナ
トリウム水溶液の順で洗浄した。エーテル層を硫酸マグ
ネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去させ、19.5gの1−
(4−(テトラヒドロ−2−ピラニロキシ)フェニル)
エタノールをえた(収率88%)。
えられた化合物の1H−NMRスペクトル分析の結果はつ
ぎの通りであった。
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 1.46(d,3H)、1.63(m,3H)、 1.84(m,2H)、1.97(m,1H)、 3.68(m,1H)、3.89(m,1H)、 4.83(q,1H)、5.39(t,1H)、 7.02(d,2H)、7.27(d,2H) 実施例3 1−(4−(テトラヒドロ−2−ピラニロキシ)フェ
ニル)エタノールの光学分割 (i)2,2,2−トリクロロエチルブチレートとの不斉エ
ステル交換 無水ジエチルエーテル120mlに1−(4−(テトラヒ
ドロ−2−ピラニロキシ)フェニル)エタノール22.2g
(0.1モル)、2,2,2−トリクロロエチルブチレート22.4
g(0.1モル)およびリパーゼP(天野製薬(株)製)2
5.2gを加えて25℃で90時間撹拌した。反応終了後吸引濾
過によりリパーゼを除去し、濾液を濃縮後シリカゲルク
ロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/4)に
より精製し、(S)体の1−(4−(テトラヒドロ−2
−ピラニロキシ)フェニル)エタノール10.2g(収率92
%)および(R)体の1−(4−(テトラヒドロ−2−
ピラニロキシ)フェニル)エチルブチレート13.1g(収
率91%)をえた。
えられた化合物の1H−NMRスペクトル分析および比旋
光度分析の結果はつぎのおりであった。
1−(4−(テトラヒドロ−2−ピラニロキシ)フェ
ニル)エタノール((S)体) 1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 1.46(d,3H)、1.63(m,3H)、 1.84(m,2H)、1.97(m,1H)、 3.68(m,1H)、3.89(m,1H)、 4.83(q,1H)、5.39(t,1H)、 7.02(d,2H)、7.27(d,2H) [α]▲20 D▼=−33.6゜(CHCl3,c=1) 1−(4−(テトラヒドロ−2−ピラニロキシ)フェ
ニル)エチルブチレート((R)体) 1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 0.90(t,3H)、1.19(t,3H)、 1.47(d,3H)、1.49(d,3H)、 1.62(m,2H)、2.27(t,2H)、 3.51(m,1H)、3.76(m,1H)、 5.35(q,1H)、5.84(q,1H)、 6.94(d,2H)、7.26(d,2H) [α]▲20 D▼=+34.1゜(CHCl3,c=1) (ii)ビニルバラレートによる不斉エステル交換2,2,2
−トリクロロエチルブチレートのかわりにビニルバラレ
ートを用いた以外は実施例3の(i)と同様の方法によ
って(S)体の1−(4−(テトラヒドロ−2−ピラニ
ロキシ)フェニル)エタノール10.4g(収率94%)およ
び(R)体の1−(4−(テトラヒドロ−2−ピラニロ
キシ)フェニル)エチルバラレート13.9g(収率91%)
をえた。
えられた化合物の1H−NMRスペクトル分析および比旋
光度分析の結果はつぎの通りであった。
1−(4−(テトラヒドロ−2−ピラニロキシ)フェ
ニル)エタノール((S)体) 1H−NMRスペクトル分析の結果は実施例3の(i)と
同様な結果であった。
[α]▲20 D▼=+34.1゜(CHCl3,c=1) 1−(4−(テトラヒドロ−2−ピラニロキシ)フェ
ニル)エチルバラレート((R)体) 1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 0.89(t,3H)、1.48(d,3H)、 1.62(m,7H)、1.83(m,2H)、 1.98(m,1H)、2.24(t,2H)、 3.58(m,1H)、3.88(m,1H)、 5.39(t,1H)、5.84(q,1H)、 7.00(d,2H)、7.27(d,2H) [α]▲20 D▼=+77.4゜(CHCl3,c=1) 実施例4 (i)(S)体の1−(4−(テトラヒドロ−2−ピラ
ニロキシ)フェニル)エチルブチレートの合成 実施例3でえられた(S)体の1−(4−(テトラヒ
ドロ−2−ピラニロキシ)フェニル)エタノール0.05モ
ルをピリジン50mlに溶解させ、酪酸の酸クロライド0.06
モルをゆっくり滴下した。滴下終了後さらに10時間反応
させたのち、反応混合物を減圧濃縮した。残渣に100ml
のジエチルエーテルを加え、希塩酸、水、10%炭酸水素
ナトリウム水溶液で洗浄した。エーテル層を硫酸マグネ
シウムで乾燥後、エーテルを減圧留去させ、(S)体の
1−(4−テトラヒドロ−2−ピラニロキシ)フェニ
ル)エチルブチレートをえた(収率90%)。
えられた化合物の1H−NMRスペクトル分析および比旋
光度分析の結果はつぎの通りであった。
1−(4−(テトラヒドロ−2−ピラニロキシ)フェ
ニル)エチルブチレート((S)体) 1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ値(ppm)) 0.89(t,3H)、1.48(d,3H)、 1.62(m,5H)、1.83(m,2H)、 1.98(m,1H)、2.24(t,2H)、 3.58(m,1H)、3.88(m,1H)、 5.39(t,1H)、5.84(q,1H)、 7.00(d,2H)、7.27(d,2H) [α]▲20 D▼=−80.6゜(CHCl3,c=1) (ii)(S)体の1−(4−ヒドロキシフェニル)エチ
ルブチレートの合成 1−(4−テトラヒドロ−2−ピラニロキシ)フェニ
ル)エチルブチレート((S)体)(0.1モル)を150ml
のメタノールに溶解させ、ピリジニウム・p−トルエン
スルホネート1.1gを加えて室温で2時間反応させた。反
応終了後、メタノールを減圧留去させ、200mlのエーテ
ルを加えて水で洗浄した。エーテル層を硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、エーテルを減圧留去させて(S)体の1−
(4−ヒドロキシフェニル)エチルブチレートをえた
(収率13%)。
えられた化合物の1H−NMRスペクトル分析および比旋
光度分析の結果はつぎの通りであった。
1−(4−ヒドロキシフェニル)エチルブチレート
((S)体) 1H−NMRスペクトル分析の結果は実施例2の(ii)と
同様な結果であった。
[α]▲20 D▼=109.8゜(CHCl3,c=1) (iii)(R)体の1−(4−ヒドロキシフェニル)エ
チルブチレートの合成 1−(4−(テトラヒドロ−2−ピラニロキシ)フェ
ニル)エチルブチレート((R)体)(0.1モル)を150
mlのメタノールに溶解させ、ピリジニウム・p−トルエ
ンスルホネート1.1gを加えて室温で2時間反応させた。
反応終了後、メタノールを減圧留去し、200mlのエーテ
ルを加えて水で洗浄した。エーテル層を硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、エーテルを減圧留去させて(R)体の1−
(4−ヒドロシフェニル)エチルブチレートをえた(収
率11%)。
えられた化合物の1H−NMRスペクトル分析および比旋
光度分析の結果はつぎの通りであった。
1−(4−ヒドロキシフェニル)エチルブチレート
((R)体) 1H−NMRスペクトル分析の結果は実施例2の(iii)と
同様な結果であった。
[α]▲20 D▼=110.1゜(CHCl3,c=1) (iv)(R)体の1−(4−ヒドロキシフェニルエチ
ル)バラレートの合成 前記と同様にして合成し、1−(4−ヒドロキシフェ
ニル)エチルバラレートをえた。(収率10%) えられた化合物の1H−NMRスペクトル分析および比旋
光度分析の結果はつぎの通りであった。
1H−NMRスペクトル分析の結果は実施例2の(iii)と
同様の結果であった。
[α]▲20 D▼=−83.5゜(CHCl3,c=1) [発明の効果] 本発明の光学活性化合物は、既存のスメクチック液晶
またはネマティック液晶との相溶性がよく、しかもPs値
の大きな液晶混合物を与えうる光学活性化合物を容易に
製造するのに用いることができる。
さらに本発明の方法によれば、前記有用な本発明の光
学活性化合物を容易に製造しうる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 69/025 C07C 43/23 C07D 309/12 C12P 41/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I): (式中、Aはテトラヒドロ−2−ピラニル基または1−
    エトキシエチル基を示す)で表わされる光学活性化合
    物。
  2. 【請求項2】一般式(II): (式中、Aはテトラヒドロ−2−ピラニル基または1−
    エトキシエチル基、R1は炭素数1〜15のアルキル基を示
    す)で表わされる光学活性化合物。
  3. 【請求項3】有機溶媒中、一般式(IV): (式中、Aはテトラヒドロ−2−ピラニル基または1−
    エトキシエチル基を示す)で表わされるラセミアルコー
    ルおよび2,2,2−トリクロロエタノールの脂肪酸エステ
    ル(脂肪酸の炭素数2〜16)または一般式(V): H2C=CR2−O−CO−R3 (V) (式中、R2は水素原子またはメチル基、R3は炭素数1〜
    8のアルキル基を示す)で表わされるビニル脂肪酸エス
    テルの混合物にエステラーゼ活性を有する酵素を作用せ
    しめて、ラセミアルコールの(R)体のみを選択的にエ
    ステル化合物にしたのち、未反応の(S)体のアルコー
    ルを分離することを特徴とする光学活性(R)体エステ
    ル化合物の製法。
  4. 【請求項4】有機溶媒中、一般式(IV): (式中、Aはテトラヒドロ−2−ピラニル基または1−
    エトキシエチル基を示す)で表わされるラセミアルコー
    ルおよび2,2,2−トリクロロエタノールの脂肪酸エステ
    ル(脂肪酸の炭素数2〜16)または一般式(V): H2C=CR2−O−CO−R3 (V) (式中、R2は水素原子またはメチル基、R3は炭素数1〜
    8のアルキル基を示す)で表わされるビニル脂肪酸エス
    テルの混合物にエステラーゼ活性を有する酵素を作用せ
    しめて、ラセミアルコールの(R)体のみを選択的にエ
    ステル化合物にしたのち、(R)体エステル化合物を分
    離することを特徴とする光学活性(S)体アルコールの
    製法。
  5. 【請求項5】エステラーゼ活性を有する酵素が、シュー
    ドモナス(Pseudomonas)属、キャンディダ(Candida)
    属もしくはアクロモバクテリウム(Achromobacterium)
    属に属する微生物から産生された酵素または動物の膵臓
    から産生された酵素であることを特徴とする請求項3ま
    たは4記載の製法。
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