JP2807194B2 - 熱間圧延鋼板の製造方法 - Google Patents

熱間圧延鋼板の製造方法

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JP2807194B2
JP2807194B2 JP7220743A JP22074395A JP2807194B2 JP 2807194 B2 JP2807194 B2 JP 2807194B2 JP 7220743 A JP7220743 A JP 7220743A JP 22074395 A JP22074395 A JP 22074395A JP 2807194 B2 JP2807194 B2 JP 2807194B2
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秀人 藤内
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間圧延鋼板の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延鋼板は、通常、熱間圧延により
所望の鋼板サイズにされた後、水冷型のTMCP(Thermo Me
chanical Control Process) 鋼板では加速冷却が施さ
れ、その後、オンラインでの熱間レベラによる矯正を経
て製造される。その際、鋼板形状の観点からは、熱間矯
正後に平坦な場合にはそのまま出荷され、形状不良が残
存している場合には、冷間でローラレベラ等により矯正
され平坦化された後に出荷されるのが一般的である。
【0003】しかしながら、出荷時には平坦であったも
のが、その後、鋼板の置き方を変えたときなどに、反り
や波等の形状不良が発生する場合がある。これは、鋼板
内部の残留応力に起因して座屈変形により起こる現象で
あることが知られている。すなわち、残留応力レベルが
座屈臨界応力近傍にある鋼板では、テーブルローラ上に
おいて鋼板の自重とテーブルローラによる拘束によって
見掛け上平坦であったのが、その後の置き方の変化によ
り、拘束状態や残留応力状態が変化して座屈変形が起こ
り、形状不良が発生する。
【0004】特に、加速冷却鋼板では、加速冷却時の板
面内での冷却不均一による温度偏差に起因して、鋼板内
部に不均一な残留応力が発生し易い。そして、この残留
応力状態が座屈臨界応力近傍となっている場合が比較的
多く、上記のような座屈変形が起こり易い。このような
座屈変形を防止するには、出荷判定で、見掛け上平坦で
あっても残留応力が座屈臨界応力を超えているような鋼
板、いわゆる形状が不安定な鋼板を識別する必要があ
る。
【0005】従来、このような形状不安定な鋼板を識別
するために、角棒上あるいはクレーンで吊り下げた状態
として、目視による平坦度のチェックが行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような目視チェックでは、例えば角棒上への置き方によ
って形状が変化する場合としない場合とがあるため、形
状不安定な鋼板を完全に識別することは困難である。ま
た、クレーンで吊り下げた時の形状チェックでは自重に
よる垂れが発生するために、座屈による波を識別できな
い。したがって、このような方法では信頼性のある識別
が行われ難いという問題を生じている。また、これらの
方法では、出荷判定に際して鋼板を角棒上に設置したり
クレーンで吊り上げる必要があるので、生産性が低下す
るという問題もある。
【0007】一方、冷間でのローラレベラによる矯正が
行われる場合、その矯正条件によって残留応力の低減が
可能なことが知られている。したがって、上記のような
形状不安定な鋼板に対し、冷間でのローラレベラによる
矯正を施し、これによって、その残留応力を低減して出
荷することが考えられる。しかしながら、このときの矯
正による残留応力低減度合いをどの程度にすれば座屈臨
界応力以下となって座屈を生じない状態になるのか不明
なため、適正な矯正加工条件の設定ができない。この結
果、鋼板の実製造においては、特に形状不安定な鋼板に
対し、これを識別して座屈の発生を防止することは困難
なものとなっている。
【0008】本発明は、上記した従来の問題点に鑑みな
されたもので、生産性の低下を生じさせることなく、鋼
板の残留応力に起因する座屈の発生を防止し得る熱間圧
延鋼板の製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の請求項1の熱間圧延鋼板の製造方法は、
加速冷却設備あるいは熱間矯正機出側で鋼板の板面温度
分布を測定する温度測定手段と、鋼板の残留応力を制御
すべく鋼板に矯正加工を施す冷間レベラとを設け、空冷
後に生じる鋼板の残留応力を上記板面温度分布に基づい
て算出する第1ステップと、上記残留応力をもとに鋼板
が座屈するか否かを判定する第2ステップと、座屈する
と判定された鋼板について、冷間レベラにおける各加工
条件での矯正後の残留応力を各々算出すると共に各残留
応力をもとに鋼板が座屈するか否かをそれぞれ判定する
第3ステップと、鋼板の座屈が発生しない加工条件を冷
間レベラに設定して鋼板に矯正加工を施す第4ステップ
とを有することを特徴としている。
【0010】このように、上記の方法によれば、空冷後
に生じる残留応力は、加速冷却停止時あるいは加速冷却
に続く熱間矯正機出側での温度不均一に起因する熱応力
にほぼ一致することから、まず、板面温度分布を測定
し、その結果から、空冷後に鋼板内に生じる残留応力を
算出する。そして、上記の残留応力をもとに、例えば、
後述のように算出される座屈臨界応力との比較により、
座屈が生じるか否かを判定し、さらに、座屈が生じると
判定された鋼板に対しては、鋼板の座屈が発生しないレ
ベラ加工条件を、例えば上記同様に座屈臨界応力との比
較により求めて、残留応力を低減する加工が施される。
【0011】したがって、このようなステップを経て製
造される鋼板は、残留応力を座屈臨界応力よりも小さく
して出荷されることになるので、その後に置き方を変え
た場合でも残留応力に起因する座屈を生じることはな
く、形状不良の発生を確実に防止することができる。し
かも、上記の方法によれば、板面温度分布を測定するだ
けで、クレーン吊り下げなどの平坦度判定のための格別
な作業を行う必要がないので、生産性を向上することが
できる。
【0012】請求項2の熱間圧延鋼板の製造方法は、前
記第2ステップにおける座屈の判定にあたって、第1ス
テップで算出される残留応力分布をσact (x,y) とする
とき、板面を残留応力の平均が圧縮となる領域Ω1 とそ
の他の領域Ω2 とに分割し、座屈臨界状態での領域Ω1
における応力の平均σcr (-) を、
【0013】
【数2】
【0014】但し、σ0 :鋼板サイズ、座屈モード、領
域の分け方に応じて決まる定数で残留応力分布を矩形近
似したときの座屈臨界応力 F(xi, yj ) :鋼板サイズ、座屈モード、領域の分け方
に応じて決まる関数 Δσact (-) (xi, yj ) =σact −σact (-) Δσact (+) (xi, yj ) =σact −σact (+) σact (-) :領域Ω1 におけるσact の平均 σact (+) :領域Ω2 におけるσact の平均 N1 :領域Ω1 内の点(xi, yj ) 全体の集合 N2 :領域Ω2 内の点(xi, yj ) 全体の集合 で算出し、 σact (-) /σcr (-) ≧1 が成立する場合に座屈が発生すると判定し、成立しない
場合には座屈が発生しないと判定することを特徴として
いる。
【0015】すなわち、前記した形状不安定な状態が生
じる原因は、残留応力が座屈臨界応力を超えているにも
かかわらず、自重の影響により鋼板の変形が拘束される
ことによる。したがって、座屈臨界応力を予測し、残留
応力が座屈臨界応力を超えているか否かの判定により、
平坦であっても形状不安定な鋼板を識別することが可能
である。
【0016】そこで、板面を残留応力の平均が圧縮とな
る領域Ω1 とその他の領域Ω2 とに分割し、座屈臨界状
態での領域Ω1 における応力の平均σcr (-) を座屈臨界
応力として、これを求める場合に、上記(a) 式に示すよ
うに、残留応力分布を矩形近似したときに対応する座屈
臨界応力σ0 に、さらに、残留応力分布を考慮((a)式
右辺第2・3項)した計算を行うことで、実際の残留応
力分布により正確に対応したσcr (-) の算出が可能にな
る。これにより、高精度の座屈判定を簡易に行うことが
できる。
【0017】請求項3の熱間圧延鋼板の製造方法は、前
記第3ステップにおける座屈の判定に際しても、冷間レ
ベラでの各加工条件での矯正後の残留応力分布を算出す
ると共に、板面における矯正後の残留応力が圧縮となる
領域Ω1'における残留応力の平均σact af(-) と、座屈
臨界状態での領域Ω1'における応力の平均σcr af(-)
を算出し、 σact af(-) /σcr af(-) ≧1 が成立する場合に座屈が発生すると判定し、成立しない
場合には座屈が発生しないと判定することを特徴として
いる。
【0018】すなわち、前記第2ステップで座屈が発生
すると判定された鋼板に対し、冷間レベラで残留応力を
低減させるべく矯正加工を施すが、このレベラ加工条件
を設定するに際し、まず、各加工条件毎に予め得られて
いる残留応力の低減度合いに基づいて、矯正後の残留応
力分布を算出する。そして、この矯正後の残留応力分布
をもとに、前記と同様に、座屈臨界応力σ cr af(-) を算
出し、これと比較することによって、矯正を施した後に
座屈が発生するか否かを判定する。この判定結果に基づ
いて、前記第4ステップにて、鋼板に座屈が発生しない
条件が冷間レベラに設定され、鋼板に矯正加工が施され
ることになる。
【0019】したがって上記では、例えば残留応力の低
減度合いを各レベラ加工条件毎に求めておくだけで、座
屈を発生させない適正レベラ条件を設定することができ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、TMCP(Thermo Mechanical Control Process) 鋼板を
例に挙げて説明する。TMCP鋼板は、制御圧延後に形状を
確保させながら加速冷却することで材質が造り込まれる
が、水冷時の冷却速度は、圧延条件や表面性状等の影響
を大きく受けるために、不均一な冷却状態になりがちで
ある。そして、加速冷却停止時の鋼板内には、加熱・圧
延工程で生じた応力に、加速冷却時の水冷過程での不均
一冷却に起因した応力が重畳して存在し、その応力は加
速冷却に続く熱間矯正によって低減する。さらに、その
後の空冷過程で加速冷却停止時の温度不均一に起因した
熱応力が加わり、空冷後の残留応力を形成する。
【0021】ところで、加速冷却鋼板の残留応力(板厚
方向の平均値)は、加速冷却停止時あるいは加速冷却に
続くホットレベラ後の温度不均一に起因する熱応力にほ
ぼ一致する(神戸製鋼技報Vol.41,No.4;P52 〜P55 )。
したがって、加速冷却停止時あるいは加速冷却に続くホ
ットレベラ後の温度分布によって残留応力を評価するこ
とができる。
【0022】そこで、本実施形態では、加速冷却設備あ
るいは熱間矯正機出側に、鋼板の板面温度分布を測定す
る板面温度プローフィール計を温度測定手段として設置
し、この板面温度プローフィール計により、鋼板の板面
温度分布を計測する。そして、その計測結果から、空冷
後に鋼板内に生じる残留応力分布σact を算出する。な
お、このような熱応力に起因した残留応力の算出方法
は、例えば特公平4-8128号公報に開示されている。
【0023】次に、上記のように求めた残留応力分布σ
act から、鋼板の置き方を変えたときなどに座屈波が発
生するか否かを判定する。これは、鋼板の残留応力が座
屈臨界応力を超えているか否かの判定により可能であ
る。ところで、座屈臨界応力は、後述するように、残留
応力σact (x,y) の分布パターンに応じて変化する。そ
こで、本実施形態では、残留応力σact (x,y) の分布パ
ターンに対応する座屈臨界応力の簡易予測式を構築し、
この予測式での算出結果との比較で座屈の判定を行うこ
ととしている。以下、このような予測式の導出過程につ
いて説明する。
【0024】まず、図4に示すように、板長さL、板幅
bの鋼板に対し、板長さ方向をx、幅方向をyとする座
標系を設定する。座屈理論によると、撓みwが発生した
ときの鋼板における厚さ方向中央面に働くσact (x,y)
のなす仕事ΔTと、曲げ歪みエネルギΔVとは、それぞ
れ、
【0025】
【数3】
【0026】但し、E:ヤング率、υ:ポアソン比、
t:板厚と表される。ここで、ΔTが任意の撓み形状で
の曲げ歪みエネルギΔVより大きくなれば、座屈変形が
発生する。すなわち、 ΔT/ΔV≧1 の場合に座屈変形が生じる。
【0027】以上の考え方に基づく座屈臨界応力の予測
式の構築に当たって、まず、板面の領域を、残留応力σ
act (x,y) の平均が圧縮の領域Ω1 とそれ以外の領域Ω
2 とに分割する。そして、座屈臨界状態での残留応力分
布σcr(x,y) =ησact (x,y) の関係が成立するものと
し、領域Ω1 でのσcr(x,y) の平均を座屈臨界応力σ cr
(-) とする。座屈臨界点では、
【0028】
【数4】
【0029】但し、Δσact (-) =σact −σact (-) Δσact (+) =σact −σact (+) σact (-) :領域Ω1 におけるσact の平均 σact (+) :領域Ω2 におけるσact の平均 η:鋼板の残留応力と座屈臨界残留応力との比を表す未
知定数 が成り立つことから、前記(1)(2)式より下記(4) 式が導
出される。
【0030】
【数5】
【0031】但し、σ0 :鋼板サイズ、座屈モード、領
域の分け方に応じて決まる定数で残留応力分布を矩形近
似したときの座屈臨界応力 さらに離散化し、σcr (-) を、
【0032】
【数6】
【0033】但し、F(x,y) =η(∂w/∂x)2により
求める。さらに、撓みwをx, yに関する多項式で表現
し、
【0034】
【数7】
【0035】とすると、σcr (-) は、
【0036】
【数8】
【0037】d i, n :座屈モードωによって決まる
未知定数 Δx, Δy:x, y方向それぞれの離散化の間隔 と求まる。式(7) の未知定数は、FEM等による座屈解
析結果と比較して各座屈モード毎に決定することがで
き、σcr (-) とσact (-) との大小関係において、 σact (-) ≧σcr (-) が成立する場合に、座屈が発生すると判定する。
【0038】上記のように構築した座屈簡易予測式の精
度を以下に示す。ここでは、 w=(a0 +a1 x+a2 2)(b0 +b1 y+b2
2) 但し、a0,a1,a2,b0,b1,b2 は定数 とする。種々の残留応力分布σact (x,y) を有する鋼板
に関して、座屈臨界応力を前記の予測式(7) とFEM解
析とによりそれぞれ算出した。その比較結果を図5に示
す。上記の座屈簡易予測式を用いることで、任意の応力
分布の鋼板について、座屈臨界応力を高精度に予測する
ことができている。
【0039】なお、従来、残留応力分布を圧縮領域で矩
形近似し、解析解の算出が可能な平板の一様圧縮とみな
して座屈臨界応力を算出する方法が知られている。この
簡易予測方法の精度検証を行うために、残留応力分布パ
ターンを種々変化させ、FEMを用いて求めた座屈臨界
応力と比較した。その結果を図6に示す。座屈臨界応力
σcr (-) は、FEMでの算出結果では、板端での圧縮領
域における残留応力パターンに応じて大きく変化してい
るのに対し、圧縮領域の残留応力を矩形近似しただけの
簡易法では、分布パターンの相違が反映されずに一定と
なって、実機適用には充分な精度を有していない。一
方、高精度に座屈判定するには大形コンピュータを用い
たFEM解析が必要であり、オンラインへの適用は困難
である。
【0040】これに対し、本実施形態では、例えば前記
の(5) 式に示されているように、残留応力分布を、圧縮
領域Ω1 とその他の入りΩ2 との全体にわたって矩形近
似したときに対応する座屈臨界応力σ0 に、さらに、残
留応力分布状態に応じた補正項((5) 式右辺第2・3
項)を加えた計算を行うことで、実際の残留応力分布に
より正確に対応したσcr (-) の算出が可能となってい
る。これにより、座屈臨界応力を高精度にかつ簡易に予
測することができる。
【0041】以上の方法で、板面内の残留応力分布がい
かなる鋼板に対しても、簡易に座屈の判定が可能であ
る。座屈発生と判定された鋼板については、冷間ローラ
レベラにより矯正を行う。この際、ローラレベラでの矯
正後の残留応力σact afは、 σact af=λf ・σact 但し、λf :レベラ加工条件Λf での残留応力の低減係
数 で算出することができ、このσact afについて、前記と
同様に、板面における矯正後の残留応力の平均が圧縮と
なる領域Ω1'とそれ以外の領域Ω2'とに分割し、前記同
様に定義される座屈臨界応力σcr af(-) を算出する。
【0042】そして、各レベラ加工条件Λf 毎に、 σact af(-) /σcr af(-) ≧1 が成立する場合に座屈が発生し、成立しない場合には座
屈が発生しないと判定する。これらの判定結果から、座
屈が発生しないレベラ加工条件、すなわち、 σact af(-) /σcr af(-) <1 を満足するレベラ加工条件Λf を選定し、この条件Λf
でローラレベラ矯正を施すことによって、置き方が種々
変わっても座屈波が発生しない鋼板として出荷すること
ができる。
【0043】
【実施例】サイズが20mmt ×3600mmW × 15000mmL 、降
伏点が36kgf/mm2 級で、加速冷却停止時の温度分布が図
2で示される鋼板について、本発明法によって鋼板を製
造した。鋼板の空冷後に予測される圧縮残留応力σact
(-) は、図3に示すように、89N/mm2 、これに対し、前
記(7) 式に基づいて算出される座屈臨界応力σ
cr (- ) は、1次・2次・3次の各座屈モードについて図
示のようであり、本鋼板については2次モード以下の座
屈波の発生が予測された(1次モードでの座屈臨界応力
σcr (-) =55N/mm2 )。
【0044】この予測結果に基づいて、座屈波の発生を
防止するためのローラレベラ矯正条件を求めた。図1
に、各レベラ加工条件Λf (f=1〜3)での矯正後の圧
縮残留応力σact af(-) と座屈臨界応力σcr af(-) とを
示している。同図に示す結果から、σact af(-) がσcr
af(-) よりも小さくなる条件選択し、この条件で矯正
を行った。その結果、矯正後には、鋼板の端部領域を自
由にした状態でも座屈波は発生しなかった。
【0045】なお、本発明は上記した実施形態や実施例
に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変
更が可能である。例えば上記では座屈の判定に際し、座
屈臨界応力σcr (-) ・σcr af(-) を求め、これらとの比
較によって行うようにしたが、例えば請求項1記載の範
囲では、例えば前述の(1)(2)式に基づいて算出されるΔ
TとΔVとの大小関係により座屈発生の判定を行うよう
にすることもできる。
【0046】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明の請求項1
の熱間圧延鋼板の製造方法によれば、残留応力に起因す
る座屈が発生するか否かを判定し、さらに、座屈が発生
すると判定された鋼板については、矯正後の残留応力で
座屈が発生しない条件を求めて鋼板に矯正加工を施すの
で、残留応力が座屈臨界応力よりも確実に小さくされた
状態で出荷されることになる。この結果、その後に置き
方を変えた場合でも残留応力に起因する座屈を生じるこ
とはなく、形状不良の発生をより確実に防止することが
できる。しかも、上記の方法によれば、板面温度分布を
測定するだけで、クレーン吊り下げなどの平坦度判定の
ための格別な作業を行う必要がないので、生産性が向上
する。
【0047】請求項2の製造方法によれば、座屈臨界応
力を求める場合に、残留応力分布を矩形近似して得られ
る応力に、さらに、残留応力分布を考慮した計算が行わ
れるので、実際の残留応力分布により正確に対応した座
屈臨界応力の算出が可能になり、この結果、高精度の座
屈判定を簡易に行うことができる。請求項3の製造方法
によれば、例えば冷間レベラでの残留応力の低減度合い
を各レベラ加工条件毎に求めておくだけで、座屈を発生
させない適正レベラ条件を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法に基づいて製造される鋼板での残留応
力と座屈臨界応力との算出結果を、ローラレベラによる
矯正前と矯正後とについてそれぞれ示す説明図である。
【図2】上記鋼板での加速冷却停止時における板幅方向
温度分布の測定結果を示すグラフである。
【図3】上記板幅方向温度分布に対応する残留応力、お
よび1〜3次の各座屈モード毎の座屈臨界応力の算出結
果を示す説明図である。
【図4】本発明法における座屈簡易予測式の導出過程で
の座標系の説明図である。
【図5】上記座屈簡易予測式の精度の評価結果を説明す
るためのグラフである。
【図6】従来の座屈簡易予測式での精度に対する評価結
果の説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21D 1/05

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加速冷却設備あるいは熱間矯正機出側で
    鋼板の板面温度分布を測定する温度測定手段と、 鋼板の残留応力を制御すべく鋼板に矯正加工を施す冷間
    レベラとを設け、 空冷後に生じる鋼板の残留応力を上記板面温度分布に基
    づいて算出する第1ステップと、 上記残留応力をもとに鋼板が座屈するか否かを判定する
    第2ステップと、 座屈すると判定された鋼板について、冷間レベラにおけ
    る各加工条件での矯正後の残留応力を各々算出すると共
    に各残留応力をもとに鋼板が座屈するか否かをそれぞれ
    判定する第3ステップと、 鋼板の座屈が発生しない加工条件を冷間レベラに設定し
    て鋼板に矯正加工を施す第4ステップとを有することを
    特徴とする熱間圧延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記第1ステップで算出される残留応力
    分布をσact (x,y)とするとき、第2ステップにおい
    て、板面を残留応力の平均が圧縮となる領域Ω 1 とその
    他の領域Ω2 とに分割し、座屈臨界状態での領域Ω1
    おける応力の平均σcr (-) を、 【数1】 但し、σ0:鋼板サイズ、座屈モード、領域の分け方に応
    じて決まる定数 F(xi, yj ):鋼板サイズ、座屈モード、領域の分け方に
    応じて決まる関数 Δσact (-) (xi, yj ) =σact −σact (-) Δσact (+) (xi, yj ) =σact −σact (+) σact (-) :領域Ω1 におけるσact の平均 σact (+) :領域Ω2 におけるσact の平均 N1,N2 :各領域Ω12 内の点(xi, yj ) 全体の集合 で算出し、 σact (-) /σcr (-) ≧1 が成立する場合に座屈が発生すると判定し、成立しない
    場合には座屈が発生しないと判定することを特徴とする
    請求項1記載の熱間圧延鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第3ステップにおいて、冷間レベラ
    での各加工条件での矯正後の残留応力分布を算出すると
    共に、板面における矯正後の残留応力が圧縮となる領域
    Ω1'における残留応力の平均σact af(-) と、座屈臨界
    状態での領域Ω1'における応力の平均σcr af(-) とを算
    出し、 σact af(-) /σcr af(-) ≧1 が成立する場合に座屈が発生すると判定し、成立しない
    場合には座屈が発生しないと判定することを特徴とする
    請求項1又は2記載の熱間圧延鋼板の製造方法。
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