JP2001316755A - 鋼板、鋼板製造方法及び鋼板製造装置 - Google Patents

鋼板、鋼板製造方法及び鋼板製造装置

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JP2001316755A
JP2001316755A JP2000130149A JP2000130149A JP2001316755A JP 2001316755 A JP2001316755 A JP 2001316755A JP 2000130149 A JP2000130149 A JP 2000130149A JP 2000130149 A JP2000130149 A JP 2000130149A JP 2001316755 A JP2001316755 A JP 2001316755A
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steel sheet
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stress
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JP2000130149A
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English (en)
Inventor
Noritaka Tani
徳孝 谷
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼板を開先切断する場合において、開先切断
時の変形量が一定の範囲内となるように、鋼板の製造条
件に起因する不均一さ、例えば残留応力を一定の範囲に
制御する。 【解決手段】 熱間矯正装置5により熱間矯正された鋼
板8の表面の温度分布を温度計7により測定し、変形予
測コンピュータ18等により鋼板8の温度分布から残留
応力分布等を演算し、残留応力分布等から所定のパラメ
ータχを演算する。さらに、需要家の開先切断時のルー
ト形状の許容誤差等に応じてあらかじめ設定されている
パラメータχの許容値(上限値χc max及び下限値
χc min)とパラメータχとを比較し、パラメータχが許
容範囲内にないときは、矯正装置10や熱処理炉9等を
用いて矯正処理を行い、残留応力等を低減させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板の溶接に先立
って行われる開先切断時の変形量のばらつきが一定の範
囲内となるように制御された鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な鋼板の製造方法では、例えばス
ラブを1000〜1200℃程度に加熱し、所定の寸法
になるまで熱間圧延(粗圧延及び仕上げ圧延)を行う。
さらに、TMCP(Thermo-Mechanical Control Proces
s)鋼板の場合、加速冷却又は直接焼き入れを実施した
後、熱間矯正により鋼板を平坦化し、ガス切断、プラズ
マ切断、レーザ切断又はシャー切断により所定寸法に切
断される。
【0003】上記各工程における様々な製造条件のばら
つきにより、鋼板に不均一な残留応力が発生する。例え
ば、加熱時の温度不均一(加熱ムラ)、圧延時の平坦度不
良(波や反り)や板厚偏差、表面のスケール性状(スケー
ルの成分や厚み)の不均一に起因する水冷時の冷却ム
ラ、加速冷却やデスケーリング時の不均一冷却(特に鋼
板四周部)、熱間矯正時の零点のズレやロール撓み、空
冷時の不均一冷却、熱切断時の熱影響による応力及び組
織変化・硬化、シャー切断時の切断歪、冷間矯正時の零
点のズレやロール撓み、熱処理における表面性状の違い
(手入れやショットブラストの有無)等がその原因であ
る。
【0004】従来、需要家における加工情報、例えば溶
接条件、溶接方法、加工形状及び加工精度の許容値等に
応じて、鋼板の残留歪、残留応力、変位又はこれらから
演算されるパラメータ等の特性が制御された鋼板という
ものは存在していなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】溶接に先立って、上記
残留応力を有する従来の鋼板を開先切断すると、切断時
の熱や切断による応力の開放等により、鋼板に横曲が
り、面外変形、幅方向の変形、長手方向の変形、開先寸
法不良等が発生する場合がある。これらの形状不良が発
生した場合、開先切断後の突き合わせ溶接において、溶
け込み不良や製品の形状不良が発生する可能性があり、
溶接後の手直しを必要としたり、あるいは製品を廃棄処
分にしなければならず、生産性や歩留まりの低下を招く
という問題点を有していた。
【0006】また、溶接後の手直しや製品の廃棄を回避
するために、開先切断後にグラインダーやフライス等に
よる機械加工により開先切断面を修正することが行われ
ているが、作業者の負担が大きいという問題点を有して
いた。
【0007】本発明は、上記従来例の問題点を解決する
ためになされたものであり、開先切断時の変形量のばら
つきが一定の範囲内となるように特性が制御された鋼
板、その鋼板を製造するための鋼板製造方法及び鋼板製
造装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の鋼板は、鋼板を開先切断した時の変形量の
ばらつきが一定の範囲内となるように、鋼板の製造条件
に起因する不均一さを表すパラメータχが、許容値の下
限をχc min、許容値の上限をχc maxとして、 χc min≦χ≦χc max を満足するように制御されていることを特徴とする。
【0009】また、前記パラメータχを鋼板の残留応力
から求めることが好ましい。
【0010】さらに、板面の応力の最大値をσmax、板
面の応力の最小値をσmin、製品の幅及び長さに関する
補正係数をそれぞれW’及びL’として、前記パラメー
タχが χ1=(σmax−σmin)・W’・L’ で表されることが好ましい。
【0011】さらに、前記パラメータχは、鋼板表面の
残留応力の分布を表すパラメータであることが好まし
い。
【0012】または、前記パラメータχは、鋼板の幅方
向又は長手方向の残留応力の傾きを表すパラメータであ
ることが好ましい。
【0013】また、鋼板の幅に関する係数をα、計測デ
ータ数をn、幅方向における測定位置をxW、長手方向
の応力をyL、長手方向における測定位置をxL、幅方向
の応力をyWとして、前記パラメータχは、上記(数
1)で表されることが好ましい。
【0014】または、前記パラメータχは、鋼板の幅方
向又は長手方向のモーメントにより決まるパラメータで
あることが好ましい。
【0015】また、鋼板の幅に関する係数をα、幅方向
の中央から応力測定点までの幅方向の距離をΔxW、長
手方向応力をσLとして、前記パラメータは、 χ3=1/α・W’・L’・ΣΔxWσL で表されることが好ましい。
【0016】また、上記各構成において、前記パラメー
タχを、鋼板の大きさ、製造方法及び測定位置の少なく
とも1つに応じて補正することが好ましい。
【0017】さらに、前記パラメータχは、鋼板の温度
分布の測定結果又は鋼板表面の残留応力の計算値をもと
に演算したものであることが好ましい。
【0018】一方、本発明の鋼板製造方法は、鋼板を開
先切断した時の変形量のばらつきが一定の範囲内となる
ように、鋼板の残留応力からパラメータχを演算し、前
記パラメータχが所定範囲内となるか否かを判断し、パ
ラメータχが所定範囲内にない場合は、残留応力を低減
するように鋼板を機械的又は熱的手段で矯正処理するこ
とを特徴とする。
【0019】また、板面の応力の最大値をσmax、板面
の応力の最小値をσmin、製品の幅及び長さに関する補
正係数をそれぞれW’及びL’として、前記パラメータ
χが χ1=(σmax−σmin)・W’・L’ で表されることが好ましい。
【0020】さらに、前記パラメータχは、鋼板表面の
残留応力の分布を表すパラメータであることが好まし
い。
【0021】または、前記パラメータχは、鋼板の幅方
向又は長手方向の残留応力の傾きを表すパラメータであ
ることが好ましい。
【0022】また、鋼板の幅に関する係数をα、計測デ
ータ数をn、幅方向における測定位置をxW、長手方向
の応力をyL、長手方向における測定位置をxL、幅方向
の応力をyWとして、前記パラメータχは、上記(数
1)で表されることが好ましい。
【0023】または、前記パラメータχは、鋼板の幅方
向又は長手方向のモーメントにより決まるパラメータで
あることが好ましい。
【0024】また、鋼板の幅に関する係数をα、幅方向
の中央から応力測定点までの幅方向の距離をΔxW、長
手方向応力をσLとして、前記パラメータは、 χ3=1/α・W’・L’・ΣΔxWσL で表されることが好ましい。
【0025】また、上記各方法において、前記パラメー
タχを、鋼板の大きさ、製造方法及び測定位置の少なく
とも1つに応じて補正することが好ましい。
【0026】さらに、前記パラメータχは、鋼板の温度
分布の測定結果又は鋼板表面の残留応力の計算値をもと
に演算したものであることが好ましい。
【0027】さらに、前記残留応力の値は、鋼板の板厚
方向における平均値であることが好ましい。
【0028】または、前記残留応力の値は、鋼板表面に
おける値からの補正値であることが好ましい。
【0029】さらに、前記残留応力の値を、鋼板の板
厚、グレード及び製造方法の少なくとも1つに応じて補
正することが好ましい。
【0030】さらに、前記残留応力の値を、鋼板の圧延
処理後、加速冷却後、熱間矯正後、冷間矯正後及び熱処
理後のいずれかの時点において求めたことが好ましい。
【0031】さらに、前記パラメータχが所定範囲内と
なる条件を演算し、演算した条件で矯正処理を行うこと
が好ましい。
【0032】さらに、矯正処理は複数段階の矯正条件の
設定が可能であり、パラメータχが所定範囲内にない場
合、最も弱い矯正条件で矯正処理を行ったと仮定してパ
ラメータχを再演算し、再演算したパラメータχが前記
所定範囲内にあるか否かを再判断し、パラメータχが前
記所定範囲内にない場合は、パラメータχが前記所定範
囲内に入るまで順次矯正条件を強化してパラメータχの
再演算を繰り返し、パラメータχが前記所定範囲内に入
った時点での矯正条件で鋼板を矯正処理することが好ま
しい。
【0033】さらに、鋼板の矯正処理は、少なくともレ
ベラ矯正又は熱処理のいずれかであることが好ましい。
【0034】また、本発明の鋼板製造装置は、鋼板を開
先切断した時の変形量のばらつきが一定の範囲内となる
ように、圧延された鋼板の残留応力から鋼板の特性の不
均一さを表すパラメータχを演算する演算手段と、前記
パラメータχが所定範囲内となるか否かを判断する判断
手段と、前記パラメータχが所定範囲内にない場合に特
性の不均一さを低減するように鋼板を機械的又は熱的手
段で矯正処理する矯正処理手段とを具備することを特徴
とする。
【0035】また、前記演算手段は、板面の応力の最大
値をσmax、板面の応力の最小値をσmin、製品の幅及び
長さに関する補正係数をそれぞれW’及びL’として、 χ1=(σmax−σmin)・W’・L’ で表されるパラメータχを演算することが好ましい。
【0036】さらに、前記パラメータχは、鋼板表面の
残留応力の分布を表すパラメータであることが好まし
い。
【0037】または、前記パラメータχは、鋼板の幅方
向又は長手方向の残留応力の傾きを表すパラメータであ
ることが好ましい。
【0038】また、前記演算手段は、鋼板の幅に関する
係数をα、計測データ数をn、幅方向における測定位置
をxW、長手方向の応力をyL、長手方向における測定位
置をxL、幅方向の応力をyWとして、上記(数1)で表
されるパラメータχを演算することが好ましい。
【0039】または、前記パラメータχは、鋼板の幅方
向又は長手方向のモーメントにより決まるパラメータで
あることが好ましい。
【0040】また、前記演算手段は、鋼板の幅に関する
係数をα、幅方向の中央から応力測定点までの幅方向の
距離をΔxW、長手方向応力をσLとして、 χ3=1/α・W’・L’・ΣΔxWσL で表されるパラメータχを演算することが好ましい。
【0041】また、上記各構成において、前記パラメー
タχを、鋼板の大きさ、製造方法及び測定位置の少なく
とも1つに応じて補正することが好ましい。
【0042】さらに、前記パラメータχは、鋼板の温度
分布の測定結果又は鋼板表面の残留応力の計算値をもと
に演算したものであることが好ましい。
【0043】さらに、前記演算手段は、前記応力、歪み
又は変形量の値を、鋼板の圧延処理後、加速冷却後、熱
間矯正後、冷間矯正後及び熱処理後のいずれかの時点に
おいて求めることが好ましい。
【0044】さらに、前記演算手段は、前記パラメータ
が所定範囲内となる条件を演算し、演算した条件で矯正
処理を行うことが好ましい。
【0045】さらに、前記矯正処理手段は複数段階の矯
正条件の設定が可能であり、パラメータχが所定範囲内
にない場合、最も弱い矯正条件で矯正処理を行ったと仮
定してパラメータχを再演算し、再演算したパラメータ
χが前記所定範囲内にあるか否かを再判断し、パラメー
タχが前記所定範囲内にない場合は、パラメータχが前
記所定範囲内に入るまで順次矯正条件を強化してパラメ
ータχの再演算を繰り返し、パラメータχが前記所定範
囲内に入った時点での矯正条件で鋼板を矯正処理するこ
とが好ましい。
【0046】さらに、鋼板の矯正処理手段は、少なくと
もローラレベラ又は熱処理炉のいずれかを含むことが好
ましい。
【0047】さらに、前記ローラレベラは、インターメ
ッシュが複数段階に調節可能であり、パラメータ演算手
段は、パラメータχが所定範囲内にない場合、最も弱い
矯正条件で矯正処理を行ったと仮定してパラメータχを
再演算し、再演算したパラメータχが前記所定範囲内に
あるか否かを再判断し、パラメータχが前記所定範囲内
にない場合は、パラメータχが前記所定範囲内に入るま
で順次矯正条件を強化してパラメータχの再演算を繰り
返し、パラメータχが前記所定範囲内に入った時点での
矯正条件で鋼板を矯正処理することが好ましい。
【0048】さらに、前記ローラレベラの最大の能力で
矯正してもパラメータが前記所定範囲内に入らない場合
に、熱処理炉により熱処理を行った後、ローラレベラに
より矯正処理することが好ましい。
【0049】さらに、前記ローラレベラの最大の能力で
矯正してもパラメータが前記所定範囲内に入らない場合
に、ローラレベラにより矯正処理を行った後、熱処理炉
により熱処理を行うことが好ましい。
【0050】
【発明の実施の形態】本発明の鋼板、鋼板製造装置及び
鋼板製造方法に関する一実施形態について説明する。本
実施形態は、鋼板の開先切断時における変形量のばらつ
きが所定範囲内になるように、鋼板の製造条件に起因す
るパラメータを制御するものである。
【0051】本実施形態における鋼板製造装置の構成を
図1に示す。まず、加熱炉1によりスラブを1000〜
1200℃程度に加熱し、第1圧延装置2により板厚が
第1所定寸法になるまで粗圧延を行う。次に、冷却装置
3により、例えば40キロ鋼板の場合800〜1100
℃、TMCP鋼板の場合700〜1100℃程度に冷却
し、第2圧延装置4により板厚が第2所定寸法になるま
で仕上圧延を行う。さらに、加速冷却装置5により40
0〜650℃程度に急速冷却した後、熱間矯正装置6に
より鋼板の形状を平坦化する。
【0052】熱間矯正装置6の上部には、搬送されてく
る鋼板の先端を検出し、一定間隔でパルス信号を発生す
るパルス発生装置(以下、PLG(Pulse Length Gener
ator)と称する)11が設けられている。PLG11か
らのパルス信号をカウントし、カウントしたパルス数に
一定の長さ(1パルスを発生する間の鋼板の移動量)を
かけることにより、鋼板の先端からの現在位置がわか
る。
【0053】また、熱間矯正装置6の下流側には、例え
ばサーモビュアや走査型の放射温度計等の温度計7が設
けられている。PLG11と温度計7の距離を固定し、
鋼板8の搬送速度を一定とすることにより、熱間矯正さ
れた鋼板8の表面の温度分布を測定することができる。
【0054】温度計7による温度測定データ及びPLG
11による鋼板の長手方向の位置情報は、それぞれディ
ジタルダイレクトコントローラ(以下、DDCと称す
る)12及びプロセスコンピュータ13を介してサーバ
コンピュータ15に転送される。
【0055】一方、鋼板8の圧延サイズ、製品サイズ、
製品採取位置、条切断幅、鋼板グレード等の情報がホス
トコンピュータ19から入力され、ラインコンピュータ
14及びプロセスコンピュータ13を介してサーバコン
ピュータ15に転送される。これらの情報は、サーバコ
ンピュータ15から、さらにキャンバ(横曲がり)予測
コンピュータ16、座屈予測コンピュータ17、変形予
測コンピュータ18に転送される。
【0056】キャンバ予測コンピュータ16では、温度
測定データ及び位置情報を用いて、例えば本出願人によ
る特公平4−8128号公報に記載された演算方法等に
より鋼板8の残留応力分布を演算する。演算された残留
応力分布データは、サーバコンピュータ15を経由し
て、座屈予測コンピュータ17及び変形予測コンピュー
タ18に転送される。これらのコンピュータ16〜18
により、それぞれ条切断後のキャンバ予測値、座屈予測
値、開先切断時の変形予測値が演算される。なお、キャ
ンバ予測値と座屈予測値の演算方法の詳細に関しては、
例えば本出願人による特開平10−56500号公報に
記載されているので、ここでは省略する。
【0057】開先切断時の変形予測値の一例として、鋼
板サイズ、材質、残留応力分布の演算値、需要家での溶
接条件や溶接方法、開先切断方法等にもとづいて、変形
予測コンピュータ18により、鋼板の製造条件に起因す
るパラメータχを演算し、パラメータχが所定の許容範
囲内にあるか否かを判断する。
【0058】これらパラメータχを演算すると、変形予
測コンピュータ18は、ホストコンピュータ19から転
送されてきた需要家や用途に応じてあらかじめ決められ
た許容範囲の上限値及び下限値との大小比較を行う。比
較の結果、パラメータχが許容範囲内にない場合、矯正
装置(ローラレベラ)10や熱処理炉9により鋼板8の
残留応力を低減するための矯正条件を設定する。なお、
ローラレベラによる矯正の残留応力低減効果は、例えば
本出願人による特開平9−57348号公報に記載され
ているので、参照されたい。また、矯正条件の設定につ
いては後述する。
【0059】通常は、設定された矯正条件に従って、矯
正装置(ローラレベラ)10のインターメッシュを調節
して矯正(冷間矯正)を行う。また、矯正装置10の能
力から決定される最大矯正条件で矯正したと仮定した場
合における鋼板の応力分布から演算されるパラメータχ
が許容値(上限値χc max及び下限値χc min)を超える場
合は、熱処理後の残留応力分布から演算されるパラメー
タχが許容値を満たす必要最小限の熱処理条件(熱処理
温度及び時間)を設定し、矯正の前処理として熱処理炉
9を用いて残留応力の低減を行い、その後矯正装置10
による矯正を行う。熱処理による残留応力の低減につい
ては、例えば本出願人による特開平9−78145号公
報に記載されているので、参照されたい。
【0060】なお、熱処理条件の設定に際し、熱処理に
より鋼板の強度や降伏応力等の材質が変化するので、材
質変化を考慮した上で、熱処理の可否についてあらかじ
め決定しておく必要がある。本実施形態の鋼板製造装置
では、変形予測コンピュータ18のメモリ等に、鋼板の
グレードに応じたクリープ係数や熱処理可否のテーブル
を設けている。変形予測コンピュータ18は、各鋼板8
について、それぞれ以下のような矯正コードを付与す
る。例えば、パラメータχが所定値以下の場合、矯正不
要であるので、合格を表す矯正コードK=0を付与す
る。また、矯正装置10による軽圧下矯正の場合、矯正
コードK=1を付与する。同様に、中圧下矯正の場合、
矯正コードK=2を付与する。強圧下矯正の場合、矯正
コードK=3を付与する。また、熱処理を実施する場
合、矯正コードK=4を付与する。 さらに、矯正や熱
処理によってもパラメータχが所定値以下になる見込み
がない場合は、不良を表す矯正コードK=5を付与す
る。
【0061】変形予測コンピュータ18による演算結果
及び判定結果(各パラメータ、矯正コード)は、サーバコ
ンピュータ15に転送され、保存される。さらに、上位
のプロセスコンピュータ13やラインコンピュータ14
にも転送される。ラインコンピュータ14は、矯正コー
ドにもとづいて次工程を決定する。例えば、矯正コード
K=0の場合、矯正及び熱処理を行わずそのまま出荷す
る。一方、矯正コードK=1〜3の場合、鋼板8を矯正
装置10に搬送し、設定された矯正コードに従って矯正
を行う。さらに、矯正コードK=4の場合、まず鋼板8
を熱処理炉9に搬送して熱処理を行った後、さらに鋼板
8を矯正装置10に搬送し、強圧下で矯正を行う。な
お、矯正コードK=5の場合、製造工程から除去する。
【0062】これと並行して、ラインコンピュータ14
は、当該鋼板8の矯正及び熱処理条件(演算矯正条件及
び演算熱処理条件)を矯正装置10及び熱処理炉9にそ
れぞれ転送する。矯正装置10及び熱処理炉9は、ライ
ンコンピュータ14からの条件に従って矯正及び熱処理
を実施し、実施した矯正及び熱処理の条件(実績矯正条
件及び実績熱処理条件)をラインコンピュータ14に転
送する。
【0063】変形予測値(例えばパラメータχの値)、
矯正コード、熱処理コード、演算矯正条件、演算熱処理
条件、実績矯正条件、実績熱処理条件、平坦度測定結果
等は、ラインコンピュータ14からホストコンピュータ
19に転送され、品質解析システムに蓄積される。この
ようにして、鋼板8の残留応力分布が一定範囲内に制御
され、需要家での開先切断時の変形が許容範囲内である
ことが保証される。
【0064】次に、変形予測コンピュータ18による矯
正条件設定プログラムについて、図2及び図3に示すフ
ローチャートを参照しつつ説明する。
【0065】矯正条件の設定を開始すると、キャンバ予
測コンピュータ16は、温度測定データ及び位置情報を
用いて鋼板の残留応力を演算する(ステップ#10
0)。演算された残留応力データは変形予測コンピュー
タ18に転送され、これを用いてパラメータχの初期値
χ0が演算される(ステップ#105)。さらに、変形
予測コンピュータ18は、演算したパラメータχの初期
値χ0が所定の範囲内(χc minとχc maxの間)にあるか
否かを判断する(ステップ#110)。
【0066】パラメータχの初期値χ0が所定の範囲内
にある場合(χc min≦χ0≦χc max:ステップ#110
でYES)、当該鋼板8は残留応力が十分に小さく、矯
正処理を行う必要がない。そこで、変形予測コンピュー
タ18は、矯正コードK=0及びパラメータχ=χ0
設定する(ステップ#115)。
【0067】一方、パラメータχの初期値χ0が所定の
範囲内にない場合(χ0<χc min又はχc max<χ0:ステ
ップ#110でNO)、当該鋼板8は残留応力が大き
く、矯正処理を必要とする。そこで、変形予測コンピュ
ータ18は、矯正条件1、すなわち矯正装置10により
軽圧条件下で矯正を行ったと仮定した場合の残留応力を
演算する(ステップ#120)。さらに、変形予測コン
ピュータ18は、矯正後の残留応力を用いてパラメータ
χ1の演算を行い(ステップ#125)、演算したパラ
メータχ1が所定の範囲内(χc minとχc maxの間)にあ
るか否かを判断する(ステップ#130)。
【0068】パラメータχ1が所定の範囲内にある場合
(χc min≦χ1≦χc max:ステップ#130でYE
S)、当該鋼板8は、矯正条件1により矯正することに
より残留応力を所定範囲内に低減可能である。そこで、
変形予測コンピュータ18は、矯正コードK=1及びパ
ラメータχ=χ1を設定する(ステップ#135)。
【0069】パラメータχ1が所定の範囲内にない場合
(χ1<χc min又はχc max<χ1:ステップ#130でN
O)、当該鋼板8は矯正条件1で矯正してもなお残留応
力が大きく、さらに強力な矯正処理を必要とする。そこ
で、変形予測コンピュータ18は、矯正条件2、すなわ
ち矯正装置10により中圧条件下で矯正を行ったと仮定
した場合の残留応力を演算する(ステップ#140)。
さらに、変形予測コンピュータ18は、矯正後の残留応
力を用いてパラメータχ2の演算を行い(ステップ#1
45)、演算したパラメータχ2が所定の範囲内(χc
minとχc maxの間)にあるか否かを判断する(ステップ
#150)。
【0070】パラメータχ2が所定の範囲内にある場合
(χc min≦χ2≦χc max:ステップ#150でYE
S)、当該鋼板8は、矯正条件2により矯正することに
より残留応力を所定範囲内に低減可能である。そこで、
変形予測コンピュータ18は、矯正コードK=2及びパ
ラメータχ=χ2を設定する(ステップ#155)。
【0071】パラメータχ2が所定の範囲内にない場合
(χ2<χc min又はχc max<χ2:ステップ#150でN
O)、当該鋼板8は矯正条件2で矯正してもなお残留応
力が大きく、矯正装置10の有する能力を最大にして矯
正処理する必要がある。そこで、変形予測コンピュータ
18は、矯正条件3、すなわち矯正装置10により強圧
下条件下で矯正を行ったと仮定した場合の残留応力を演
算する(ステップ#160)。さらに、変形予測コンピ
ュータ18は、矯正後の残留応力を用いてパラメータχ
3の演算を行い(ステップ#165)、演算したパラメ
ータχ3が所定の範囲内(χc minとχc maxの間)にある
か否かを判断する(ステップ#170)。
【0072】パラメータχ3が所定の範囲内にある場合
(χc min≦χ3≦χc max:ステップ#170でYE
S)、当該鋼板8は、矯正条件3により矯正することに
より残留応力を所定範囲内に低減可能である。そこで、
変形予測コンピュータ18は、矯正コードK=3及びパ
ラメータχ=χ3を設定する(ステップ#175)。
【0073】パラメータχ3が所定の範囲内にない場合
(χ3<χc min又はχc max<χ3:ステップ#170でN
O)、当該鋼板8の残留応力が大きく、矯正装置10の
能力を最大にしても矯正不十分である。
【0074】前述のように、鋼板8の材質変化を考慮し
た上で、熱処理の可否についてあらかじめ決定されてい
る。そこで、変形予測コンピュータ18は、鋼板8の熱
処理可否のテーブルを検索し、当該鋼板8が熱処理可能
なものか否かを判断する(ステップ#180)。
【0075】鋼板8が熱処理不可能である場合(ステッ
プ#180でNO)、当該鋼板8は矯正装置10の能力
を持ってしても、その残留応力を所定範囲内に低減でき
ないので、変形予測コンピュータ18は、不良品を表す
矯正コードK=5及びパラメータχ=χ3を設定する
(ステップ#185)。
【0076】鋼板8が熱処理可能な場合(ステップ#1
80でYES)、変形予測コンピュータ18は、熱処理
炉9で熱処理を行った後、さらに矯正条件3、すなわち
矯正装置10により強圧下条件下で矯正を行ったと仮定
した場合の残留応力を演算する(ステップ#190)。
さらに、変形予測コンピュータ18は、矯正後の残留応
力を用いてパラメータχ4の演算を行い(ステップ#1
95)、演算したパラメータχ4が所定の範囲内(χc
minとχc maxの間)にあるか否かを判断する(ステップ
#200)。
【0077】パラメータχ4が所定の範囲内にない場合
(χ4<χc min又はχc max<χ4:ステップ#200でN
O)、当該鋼板8の残留応力が大きく、熱処理炉9によ
り熱処理を行い、かつ矯正装置10の能力を最大にして
も矯正不十分である。そこで、変形予測コンピュータ1
8は、不良品を表す矯正コードK=5及びパラメータχ
=χ4を設定する(ステップ#205)。
【0078】パラメータχ4が所定の範囲内にある場合
(χc min≦χ4≦χc max:ステップ#200でYE
S)、当該鋼板8は、熱処理後、矯正条件3により矯正
することにより残留応力を所定範囲内に低減可能であ
る。そこで、変形予測コンピュータ18は、熱処理を表
す矯正コードK=4及びパラメータχ=χ4を設定し
(ステップ#210)、矯正条件設定プログラムを終了
する。
【0079】次に、上記鋼板製造装置又は鋼板製造方法
により製造された鋼板の評価方法について説明する。
【0080】従来の鋼板製造方法により製造された鋼板
は、残留応力分布が制御されておらず、また測定もされ
ていない。従って鋼板の残留応力が大きい場合、需要家
において当該鋼板を開先切断すると、許容値を超えて鋼
板に変形、横曲がり、反り等が発生する可能性がある。
【0081】そこで、本発明者らは、開先切断時の変形
が少ない鋼板を開発すべく、鋼板の残留応力や残留歪
み、材質に関して鋭意研究を重ねた。その過程におい
て、鋼板の製造条件に起因する不均一さを表すパラメー
タを制御することにより、鋼板の開先切断時の変形量の
ばらつきを一定の範囲内に抑制することが可能であると
の知見を得た。
【0082】具体的には、製造工程を変化させて鋼板を
複数枚製造し、各鋼板を開先切断し、長手方向及び幅方
向の変形量及びキャンバ量を測定した。いずれの鋼板に
関しても、長手方向及び幅方向の変形量は1mm以下であ
り、影響が小さいことがわかった。これに対して、いず
れの鋼板に関しても、キャンバ量は数mmに達していた。
従って、以下の説明では開先切断時の変形の中でも、特
にキャンバについて述べる。
【0083】開先切断時に鋼板にキャンバが発生する原
因としては、切断条件の不具合や切断装置のメンテナン
ス不良は言うまでもなく、鋼板製造時の不均一な残留応
力により発生することが一般的に知られている。この残
留応力は、鋼板の製造工程で生じる板面温度偏差、平坦
度不良、不適切な冷間矯正等に起因する。
【0084】キャンバの発生を防止する手段として、冷
間矯正や熱間処理による残留応力の制御が考えられる。
しかしながら、目標とする応力状態が不明の場合、必要
以上に残留応力の制御を行う可能性があり、単なるコス
トアップにとどまらず、熱処理の場合強度の低下につな
がり、冷間矯正の場合残留応力分布の不均一さが増すと
いう問題を生じる。
【0085】そこで、板面の残留応力に関するパラメー
タと開先切断時の変形量との相関を見いだし、製造方法
を変化させることによりパラメータを制御し、開先切断
時の変形が少ない鋼板を製造することとした。すなわ
ち、鋼板のパラメータχを所定の範囲内となるように制
御しておけば、開先切断時に変形の少ない鋼板を提供す
ることが可能となる。
【0086】パラメータχとしては、板面内の応力偏差
に関するもの、応力の傾きに関するもの、板面のモーメ
ントに関するもの等が考えられる。
【0087】板面内の応力偏差に関するパラメータχ
は、板面の応力の最大値をσmax、板面の応力の最小値
をσmin、製品の幅及び長さに関する補正係数をそれぞ
れW’及びL’として、 χ1=(σmax−σmin)・W’・L’ で表される。
【0088】板面内の応力偏差に関するパラメータχと
開先切断時のキャンバ量の関係を図4に示す。横軸はパ
ラメータχを表し、縦軸はキャンバ量を表す。図4から
わかるように、パラメータχとキャンバ量との間に相関
(比例関係)が存在することがわかる。
【0089】また、応力の傾きに関するパラメータχ
は、鋼板の幅に関する係数をα、計測データ数をn、幅
方向における測定位置をxW、長手方向の応力をyL、長
手方向における測定位置をxL、幅方向の応力をyWとし
て、
【0090】
【数2】
【0091】で表される。
【0092】応力の傾きに関するパラメータχと開先切
断時のキャンバ量の関係を図5に示す。横軸はパラメー
タχを表し、縦軸はキャンバ量を表す。図5からわかる
ように、パラメータχとキャンバ量との間に相関(比例
関係)が存在することがわかる。
【0093】さらに、板面のモーメントに関するパラメ
ータχは、鋼板の幅に関する係数をα、幅方向の中央か
ら応力測定点までの幅方向の距離をΔxW、長手方向応
力をσLとして、 χ3=1/α・W’・L’・ΣΔxWσL で表される。
【0094】板面のモーメントに関するパラメータχと
開先切断時のキャンバ量の関係を図6に示す。横軸はパ
ラメータχを表し、縦軸はキャンバ量を表す。図6から
わかるように、パラメータχとキャンバ量との間に相関
(比例関係)が存在することがわかる。
【0095】ところで、パラメータχの制御範囲は、用
途や需要家における開先切断時のキャンバの許容値によ
り異なる。一例として、造船メーカにおいて板継ぎ溶接
を行う場合(板長さ20000mm、板幅4000mm)、
開先切断後に1mm/全長のキャンバが発生すると、ルー
トギャップ変動が生じ、溶け込み形状不良となることが
予想される。そこで、キャンバを0.5mm以下に制御し
ようとすると、図4に示す板面内の応力偏差に関するパ
ラメータχの制御範囲は0.5となる。同様に、図5に
示す応力の傾きに関するパラメータχの制御範囲は5.
0E-05となる。さらに、図6に示す板面のモーメント
に関するパラメータχの制御範囲は500となる。
【0096】なお、ここでは開先切断時の変形量が最も
大きいキャンバについて述べたが、長手方向の変形及び
幅方向の変形に関しても同様に、パラメータの値を制御
することによって、変形量を一定の範囲内に制御するこ
とが可能である。
【0097】次に、本発明の効果を確かめるため、本発
明の方法により製造した鋼板と従来の鋼板とを実際に開
先切断し、発生したキャンバ量を比較した。
【0098】最初に試験片について説明する。試験片を
切り出す前の圧延処理した鋼板の大きさ(元の圧延サイ
ズ)は20t×2520W×42000Lであり、切り出
した試験片の大きさは20t×2500W×20000L
であった。なお、t、W及びLは、それぞれ厚さ、幅及
び長さを表す(単位:mm)。
【0099】加熱炉1による加熱温度は1200℃であ
り、圧延完了時の温度は770℃であった。圧延終了後
の形状はフラットであった。加速冷却装置5による加速
冷却条件は、冷却前温度720℃、冷却後温度550
℃、600℃及び650℃、冷却速度7℃/sであっ
た。さらに、熱間矯正装置6による矯正条件は、圧下設
定量が入側12.0mm、出側15.0mmであった。ま
た、矯正温度は540℃であった。平坦度判定方法は、
ローラテーブル上でのストレッチャーによる平坦度測定
を行った。その結果はフラットであった。
【0100】さらに、鋼板Aは、変形予測コンピュータ
18により冷間矯正条件が算出され、矯正装置(ローラ
レベラ)10により冷間矯正を行った。ローラレベラの
最大矯正荷重は5000トンであり、矯正ロール径36
0×胴長4800の矯正ロール4本を上側に配置し、さ
らにロール径360×胴長4800の矯正ロール4本と
ロール径300×胴長4800の矯正ロール1本の径5
本を下側に配置したものである。矯正条件は、インター
メッシュ量として1パス目9.0mm、2パス目7.0
mm、3パス目5.0mmとし、矯正速度を20rpm
とした。各種類の鋼板の詳細を表1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】一般的に、鋼板Aが最も残留応力が小さ
く、以下B、C、Dの順に残留応力が大きくなると考え
られる。このようにして得られた4種類の鋼板(試験
片)をそれぞれガス切断により開先切断を行い、キャン
バ量を測定した。開先形状は、ルートフェース高さが3
mm、開先角度は70度であった。キャンバ量の比較を図
7に示す。図7からわかるように、本発明による鋼板A
は、開先切断時の変形が小さいのに対し、従来の鋼板B
〜Dでは大きな変形が生じた。このように、本発明によ
れば、開先切断時の変形量が小さい鋼板を得ることがで
きる。
【0103】なお、鋼板の残留応力は、板厚方向におけ
る平均値(板厚方向における複数の位置で測定し又は解
析した値の平均値)であることが好ましい。しかしなが
ら、実際に鋼板の板厚方向における複数の位置で残留応
力値を測定したり、あるいは解析することは非常に複雑
かつ困難である。そこで、鋼板の表面の残留応力値を測
定し、板厚方向における平均値に補正することができれ
ば、残留応力値の測定又は解析が簡単かつ容易になる。
一方、一般に鋼板表面での残留応力値は、必ずしも板厚
方向における平均値とは一致せず、鋼板の板厚、グレー
ド、製造方法等によって大きく異なる。
【0104】長手方向応力の板厚方向の平均値が零であ
る鋼板について、長手方向応力の板厚方向の分布を図8
に示す。また、この鋼板の詳細を表2に示す。
【0105】
【表2】
【0106】図8において、横軸は板厚方向における測
定点の位置(全体に対する割合:単位は無次元)を表
し、縦軸は各測定点における鋼板の長手方向応力値(単
位kg/mm2)を表す。図8から明らかなように、鋼
板の表面及び裏面では、残留応力値が圧縮であり、平均
値から大きくずれている。また、鋼板の板厚方向の中央
部近傍では、残留応力値が引張であり、また平均値から
大きくずれている。一方、鋼板の板厚方向の表面又は裏
面から板厚の1/4の位置近傍では、残留応力値が平均
値に比較的近い値を示している。すなわち、鋼板表面の
残留応力値は板厚方向の平均値とは一致していない。そ
こで、鋼板表面の残留応力が板厚方向の平均値とほぼ等
しくなるように、板厚、グレード又は製造方法に応じて
換算又は補正を行うことが好ましい。
【0107】次に、長手方向応力の板厚方向の平均値が
零である鋼板(圧延したままの40kg/mm2鋼板)
について、板厚と鋼板表面の長手方向応力の関係を図9
に示す。図9において、横軸はサンプルとした各鋼板の
板厚(単位mm)を表し、縦軸は鋼板の表面における残
留応力値(単位kg/mm2)を表す。図9から明らか
なように、板厚が厚くなるに応じて、鋼板表面の残留応
力の絶対値が大きくなる。従って、鋼板表面の残留応力
の測定値から、板厚に応じて図9から求まる値を減じる
ことにより、板厚方向平均値へ補正することができる。
【0108】さらに、板厚と製造方法及び鋼板のグレー
ドに応じた表面の残留応力の補正値の関係を図10に示
す。図10において、横軸はサンプルとした各鋼板の板
厚(単位mm)を表し、縦軸は鋼板の表面における残留
応力の補正値(単位kg/mm2)を表す。また、図中
「▲」は圧延したままの鋼板の値を表し、「●」は加速
冷却型鋼板の値を示し、「◆」は熱処理及び/又は矯正
処理した鋼板の値を表す。図10から明らかなように、
熱処理や矯正を施したグレードの高い鋼板は、圧延した
ままの鋼板や加速冷却した鋼板に比べて、板厚方向応力
の変化が小さく、板厚による補正値の変化は小さい。ま
た、圧延したままの鋼板と加速冷却した鋼板のように製
造方法の違いによっても、板厚方向応力の変化が異な
る。従って、これら鋼板の製造方法やグレード等の条件
に応じて、それぞれ異なった補正値を用いて表面の残留
応力測定値から板厚方向の平均値への補正を行うことが
好ましい。
【0109】次に、鋼板の表面の温度分布の測定時点に
ついて検討する。図1に示す鋼板製造装置では、熱間矯
正装置6による熱間矯正後に、温度計7により鋼板8の
表面の温度分布を測定するように構成しているが、これ
に限定されるものではなく、第2圧延装置4による圧延
後や、加速冷却装置5による加速冷却後に測定してもよ
いが、計測値の補正の要否を考慮すると、熱間矯正後の
測定が望ましい。
【0110】幅方向における端部近傍に過冷却された温
度分布(長手方向の温度分布は一様とする)を有する鋼板
(製品長さを20mとする)に対して、FEM解析によ
り冷却後の長手方向応力を演算し、その鋼板から様々な
サイズ(例えば、長さ3m及び8m)の試験片を切断し
た場合の残留応力分布の変化を解析した。鋼板の詳細を
表3に示す。また、試験片の長手方向における中央位置
近傍でかつ幅方向における複数の位置で測定した長手方
向応力分布を図11に示す。
【0111】
【表3】
【0112】図11において、横軸は、鋼板の幅方向に
おける測定点の位置を表し(幅3000mmの対する位
置:単位mm)、縦軸は各測定点における鋼板の長手方
向応力の値(単位kg/mm2)を表す。図11から明
らかなように、試験片長さに応じて鋼板の拘束状態が異
なり、長手方向応力の分布が変化していることがわか
る。すなわち、長さ3mの試験片に着目すると、切断前
は同一の応力分布であったにもかかわらず、切断された
試験片の長手方向応力が変化している。しかも、鋼板の
側部近傍では残留応力の値が増加し、鋼板の中央部近傍
では残留応力の値は低減している。これに対して、長さ
8mの試験片の場合、長手方向応力分布が切断前の製品
(長さ20mm)のそれとほぼ一致している。このこと
から、試験片の長さが短い場合には、測定した残留応力
の値を、需要家で加工される長さに補正して、応力パラ
メータηを演算する必要がある。逆に、試験片の長さが
少なくとも8m以上となるよう切断することにより、試
験片の長さによる影響を受けないことがわかる。
【0113】以上のことから、試験片が短い場合は、測
定した残留応力の補正が必要となる。試験片長さと残留
応力の補正係数の関係を図12に示す。図12におい
て、横軸は鋼板(例えば長さ20mの製品)を切断した
試験片の長さ(単位m)を表し、縦軸は補正係数を表
す。また、「▲」は鋼板の幅方向における中央部近傍で
の残留応力の補正計数(単位無次元)を表し、「●」は
鋼板の幅方向における端部近傍での残留応力の補正値を
表す。なお、補正係数は、切断前の鋼板の幅方向におけ
る中央部及び端部から所定の位置での残留応力値に対す
る切断後の試験片の幅方向における同じ位置での残留応
力値の割合(比)である。図11及び図12から明らか
なように、試験片長さが短い場合には、幅方向における
端部近傍や幅方向における中央近傍のいずれの位置でも
補正が必要となり、しかも補正量が異なる。従って、試
験片長さに応じて、図12から求めた補正係数の逆数を
乗じることにより残留応力の補正を行うことが好まし
い。
【0114】このように、本実施形態によれば、需要家
における加工情報、例えば溶接条件、溶接方法、部材の
拘束条件又は加工精度の許容値、開先切断方法等に応じ
て、開先切断時の変形量が所定の許容値以下となるよう
に、未加工状態での残留応力分布が制御された鋼板が得
られる。
【0115】また、鋼板の表面の温度分布から鋼板表面
の残留応力値又は残留応力分布を演算し、残留応力から
パラメータχの値を演算し、パラメータχの値が所定範
囲内にあるか否かを判断することにより、実際に鋼板を
開先切断するまでもなく、開先切断時の変形量を予測す
ることができる。
【0116】なお、上記実施形態では、鋼板の残留応力
レベルを制御する方法として、圧延鋼板から製品を切断
した後冷間ローラレベラによる機械的な矯正処理を行う
ように説明したが、これに限定されるものではなく、製
品の切断後に熱処理により残留応力を直接制御する熱的
方法や、加熱、圧延、加速冷却等の工程を厳密に管理す
る間接的方法によっても鋼板の残留応力レベルを制御す
ることが可能である。
【0117】また、上記実施形態では、需要家ごとに開
先切断条件を考慮した変形予測値の演算を行うように設
定したが、これに限定されるものではなく、データ転送
量低減及び処理速度向上の観点から、開先切断条件を最
も厳しい条件に固定してもよい。ここで、最も厳しい開
先切断条件とは、開先切断時の変形量のばらつきが最大
となる条件をであり、例えば鋼板が拘束されず、かつ溶
接時の入熱量が大きい場合等である。
【0118】さらに、上記実施形態では、鋼板の製造条
件に起因する不均一さを表す値又はパラメータχとし
て、圧延した鋼板の残留応力及び残留応力分布等を用い
たが、これに限定されるものではなく、圧延した鋼板の
残留歪みや変形量等を用いても同様の効果が得られる。
【0119】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の鋼板は、
鋼板を開先切断した時の変形量のばらつきが一定の範囲
内となるように、鋼板の製造条件に起因する不均一さを
表すパラメータχが、許容値の下限をχc min、許容値の
上限をχc maxとして、χc min≦χ≦χc maxを満足するよ
うに制御されているので、需要家において当該鋼板を開
先切断した場合に、開先切断時の変形量及びそのばらつ
きが予測された範囲内に収まり、開先切断後の手直し等
の追加工程が不要となり、需要家における鋼板の溶接作
業性が低下することはない。
【0120】また、本発明の鋼板製造方法によれば、鋼
板を開先切断した時の変形量のばらつきが一定の範囲内
となるように、鋼板の残留応力からパラメータχを演算
し、前記パラメータχが所定範囲内となるか否かを判断
し、パラメータχが所定範囲内にない場合は、残留応力
を低減するように鋼板を機械的又は熱的手段で矯正処理
するので、開先切断時の変形量の小さい鋼板を容易に得
ることができる。
【0121】さらに、本発明の鋼板製造装置によれば、
鋼板を開先切断した時の変形量のばらつきが一定の範囲
内となるように、圧延された鋼板の残留応力から鋼板の
特性の不均一さを表すパラメータχを演算する演算手段
と、前記パラメータχが所定範囲内となるか否かを判断
する判断手段と、前記パラメータχが所定範囲内にない
場合に特性の不均一さを低減するように鋼板を機械的又
は熱的手段で矯正処理する矯正処理手段とを具備するの
で、開先切断時の変形量の小さい鋼板を容易に製造する
ことができる。
【0122】さらに、前記矯正処理手段は複数段階の矯
正条件の設定が可能であり、パラメータχが所定範囲内
にない場合、最も弱い矯正条件で矯正処理を行ったと仮
定してパラメータχを再演算し、再演算したパラメータ
χが前記所定範囲内にあるか否かを再判断し、パラメー
タχが前記所定範囲内にない場合は、パラメータχが前
記所定範囲内に入るまで順次矯正条件を強化してパラメ
ータχの再演算を繰り返し、パラメータχが前記所定範
囲内に入った時点での矯正条件で鋼板を矯正処理するよ
うに構成することにより、熱間矯正された鋼板の残留応
力分布等に応じて、最適な矯正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態における鋼板製造装置の
構成を示す図である。
【図2】 上記鋼板製造装置における矯正条件設定プロ
グラムを示すフローチャートである。
【図3】 図2のフローチャートの続きである。
【図4】 板面内の最大応力偏差に関するパラメータχ
と開先切断後のキャンバの実測値との関係を示す図であ
る。
【図5】 応力の傾きに関するパラメータχと開先切断
後のキャンバの実測値との関係を示す図である。
【図6】 板面のモーメントに関するパラメータχと開
先切断後のキャンバの実測値との関係を示す図である。
【図7】 本発明による鋼板と従来の鋼板を実際に開先
切断した場合に発生したキャンバ量の比較を示す図であ
る。
【図8】 長手方向応力の板厚方向の平均値が零である
鋼板についての、長手方向応力の板厚方向の分布を示す
図である。
【図9】 長手方向応力の板厚方向の平均値が零である
鋼板についての、板厚と鋼板表面の長手方向応力の関係
を示す図である。
【図10】 板厚と製造方法及び鋼板のグレードに応じ
た表面の残留応力の補正値の関係を示す図である。
【図11】 試験片の長手方向における中央位置近傍で
かつ幅方向における複数の位置で測定した長手方向応力
分布を示す図である。
【図12】 試験片長さと残留応力の補正係数の関係を
示す図である。
【符号の説明】
1:加熱炉 2:第1圧延装置 3:冷却装置 4:第2圧延装置 5:加速冷却装置 6:熱間矯正装置 7:温度計 8:鋼板 9:熱処理炉 10:矯正装置(ローラレベラ) 11:パルス発生装置(PLG) 12:ディジタルダイレクトコントローラ(DDC) 13:プロセスコンピュータ 14:ラインコンピュータ 15:サーバコンピュータ 16:キャンバ予測コンピュータ 17:座屈予測コンピュータ 18:変形予測コンピュータ

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板を開先切断した時の変形量のばらつ
    きが一定の範囲内となるように、鋼板の製造条件に起因
    する不均一さを表すパラメータχが、許容値の下限をχ
    c min、許容値の上限をχc maxとして、 χc min≦χ≦χc max を満足するように制御されていることを特徴とする鋼
    板。
  2. 【請求項2】 前記パラメータχを鋼板の残留応力から
    求めることを特徴とする請求項1記載の鋼板。
  3. 【請求項3】 板面の応力の最大値をσmax、板面の応
    力の最小値をσmin、製品の幅及び長さに関する補正係
    数をそれぞれW’及びL’として、前記パラメータχが χ1=(σmax−σmin)・W’・L’ で表されることを特徴とする請求項2記載の鋼板。
  4. 【請求項4】 前記パラメータχは、鋼板表面の残留応
    力の分布を表すパラメータであることを特徴とする請求
    項2記載の鋼板。
  5. 【請求項5】 前記パラメータχは、鋼板の幅方向又は
    長手方向の残留応力の傾きを表すパラメータであること
    を特徴とする請求項4記載の鋼板。
  6. 【請求項6】 鋼板の幅に関する係数をα、計測データ
    数をn、幅方向における測定位置をxW、長手方向の応
    力をyL、長手方向における測定位置をxL、幅方向の応
    力をyWとして、前記パラメータχは、 【数1】 で表されることを特徴とする請求項5記載の鋼板。
  7. 【請求項7】 前記パラメータχは、鋼板の幅方向又は
    長手方向のモーメントにより決まるパラメータであるこ
    とを特徴とする請求項2記載の鋼板。
  8. 【請求項8】 鋼板の幅に関する係数をα、幅方向の中
    央から応力測定点までの幅方向の距離をΔxW、長手方
    向応力をσLとして、前記パラメータは、 χ3=1/α・W’・L’・ΣΔxWσL で表されることを特徴とする請求項7記載の鋼板。
  9. 【請求項9】 前記パラメータχを、鋼板の大きさ、製
    造方法及び測定位置の少なくとも1つに応じて補正する
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の鋼
    板。
  10. 【請求項10】 前記パラメータχは、鋼板の温度分布
    の測定結果又は鋼板表面の残留応力の計算値をもとに演
    算したものであることを特徴とする請求項2記載の鋼
    板。
  11. 【請求項11】 鋼板を開先切断した時の変形量のばら
    つきが一定の範囲内となるように、鋼板の残留応力から
    パラメータχを演算し、前記パラメータχが所定範囲内
    となるか否かを判断し、パラメータχが所定範囲内にな
    い場合は、残留応力を低減するように鋼板を機械的又は
    熱的手段で矯正処理する鋼板製造方法。
  12. 【請求項12】 板面の応力の最大値をσmax、板面の
    応力の最小値をσmin、製品の幅及び長さに関する補正
    係数をそれぞれW’及びL’として、前記パラメータχ
    が χ1=(σmax−σmin)・W’・L’ で表されることを特徴とする請求項11記載の鋼板製造
    方法。
  13. 【請求項13】 前記パラメータχは、鋼板表面の残留
    応力の分布を表すパラメータであることを特徴とする請
    求項11記載の鋼板製造方法。
  14. 【請求項14】 前記パラメータχは、鋼板の幅方向又
    は長手方向の残留応力の傾きを表すパラメータであるこ
    とを特徴とする請求項13記載の鋼板製造方法。
  15. 【請求項15】 鋼板の幅に関する係数をα、計測デー
    タ数をn、幅方向における測定位置をxW、長手方向の
    応力をyL、長手方向における測定位置をxL、幅方向の
    応力をyWとして、前記パラメータχは、上記(数1)
    で表されることを特徴とする請求項14記載の鋼板製造
    方法。
  16. 【請求項16】 前記パラメータχは、鋼板の幅方向又
    は長手方向のモーメントにより決まるパラメータである
    ことを特徴とする請求項11記載の鋼板製造方法。
  17. 【請求項17】 鋼板の幅に関する係数をα、幅方向の
    中央から応力測定点までの幅方向の距離をΔxW、長手
    方向応力をσLとして、前記パラメータは、 χ3=1/α・W’・L’・ΣΔxWσL で表されることを特徴とする請求項16記載の鋼板製造
    方法。
  18. 【請求項18】 前記パラメータχを、鋼板の大きさ、
    製造方法及び測定位置の少なくとも1つに応じて補正す
    ることを特徴とする請求項11から17のいずれかに記
    載の鋼板製造方法。
  19. 【請求項19】 前記パラメータχは、鋼板の温度分布
    の測定結果又は鋼板表面の残留応力の計算値をもとに演
    算したものであることを特徴とする請求項11記載の鋼
    板製造方法。
  20. 【請求項20】 前記残留応力の値は、鋼板の板厚方向
    における平均値であることを特徴とする請求項11から
    19のいずれかに記載の鋼板製造方法。
  21. 【請求項21】 前記残留応力の値は、鋼板表面におけ
    る値からの補正値であることを特徴とする請求項11か
    ら19のいずれかに記載の鋼板製造方法。
  22. 【請求項22】 前記残留応力の値を、鋼板の板厚、グ
    レード及び製造方法の少なくとも1つに応じて補正する
    ことを特徴とする請求項21記載の鋼板製造方法。
  23. 【請求項23】 前記残留応力の値を、鋼板の圧延処理
    後、加速冷却後、熱間矯正後、冷間矯正後及び熱処理後
    のいずれかの時点において求めたことを特徴とする請求
    項11から22のいずれかに記載の鋼板製造方法。
  24. 【請求項24】 前記パラメータχが所定範囲内となる
    条件を演算し、演算した条件で矯正処理を行うことを特
    徴とする請求項11から23のいずれかに記載の鋼板製
    造方法。
  25. 【請求項25】 矯正処理は複数段階の矯正条件の設定
    が可能であり、パラメータχが所定範囲内にない場合、
    最も弱い矯正条件で矯正処理を行ったと仮定してパラメ
    ータχを再演算し、再演算したパラメータχが前記所定
    範囲内にあるか否かを再判断し、パラメータχが前記所
    定範囲内にない場合は、パラメータχが前記所定範囲内
    に入るまで順次矯正条件を強化してパラメータχの再演
    算を繰り返し、パラメータχが前記所定範囲内に入った
    時点での矯正条件で鋼板を矯正処理することを特徴とす
    る請求項11から24のいずれかに記載の鋼板製造方
    法。
  26. 【請求項26】 鋼板の矯正処理は、少なくともレベラ
    矯正又は熱処理のいずれかであることを特徴とする請求
    項11から25のいずれかに記載の鋼板製造方法。
  27. 【請求項27】 鋼板を開先切断した時の変形量のばら
    つきが一定の範囲内となるように、圧延された鋼板の残
    留応力から鋼板の特性の不均一さを表すパラメータχを
    演算する演算手段と、前記パラメータχが所定範囲内と
    なるか否かを判断する判断手段と、前記パラメータχが
    所定範囲内にない場合に特性の不均一さを低減するよう
    に鋼板を機械的又は熱的手段で矯正処理する矯正処理手
    段とを具備する鋼板製造装置。
  28. 【請求項28】 前記演算手段は、板面の応力の最大値
    をσmax、板面の応力の最小値をσmin、製品の幅及び長
    さに関する補正係数をそれぞれW’及びL’として、 χ1=(σmax−σmin)・W’・L’ で表されるパラメータχを演算することを特徴とする請
    求項27記載の鋼板製造装置。
  29. 【請求項29】 前記パラメータχは、鋼板表面の残留
    応力の分布を表すパラメータであることを特徴とする請
    求項27記載の鋼板製造装置。
  30. 【請求項30】 前記パラメータχは、鋼板の幅方向又
    は長手方向の残留応力の傾きを表すパラメータであるこ
    とを特徴とする請求項29記載の鋼板製造装置。
  31. 【請求項31】 前記演算手段は、鋼板の幅に関する係
    数をα、計測データ数をn、幅方向における測定位置を
    W、長手方向の応力をyL、長手方向における測定位置
    をxL、幅方向の応力をyWとして、上記(数1)で表さ
    れるパラメータχを演算することを特徴とする請求項3
    0記載の鋼板製造装置。
  32. 【請求項32】 前記パラメータχは、鋼板の幅方向又
    は長手方向のモーメントにより決まるパラメータである
    ことを特徴とする請求項27記載の鋼板製造装置。
  33. 【請求項33】 前記演算手段は、鋼板の幅に関する係
    数をα、幅方向の中央から応力測定点までの幅方向の距
    離をΔxW、長手方向応力をσLとして、 χ3=1/α・W’・L’・ΣΔxWσL で表されるパラメータχを演算することを特徴とする請
    求項34記載の鋼板製造装置。
  34. 【請求項34】 前記パラメータχを、鋼板の大きさ、
    製造方法及び測定位置の少なくとも1つに応じて補正す
    ることを特徴とする請求項27から33のいずれかに記
    載の鋼板製造装置。
  35. 【請求項35】 前記パラメータχは、鋼板の温度分布
    の測定結果又は鋼板表面の残留応力の計算値をもとに演
    算したものであることを特徴とする請求項27記載の鋼
    板製造装置。
  36. 【請求項36】 前記演算手段は、前記応力、歪み又は
    変形量の値を、鋼板の圧延処理後、加速冷却後、熱間矯
    正後、冷間矯正後及び熱処理後のいずれかの時点におい
    て求めることを特徴とする請求項27から35のいずれ
    かに記載の鋼板製造装置。
  37. 【請求項37】 前記演算手段は、前記パラメータが所
    定範囲内となる条件を演算し、演算した条件で矯正処理
    を行うことを特徴とする請求項27から36のいずれか
    に記載の鋼板製造装置。
  38. 【請求項38】 前記矯正処理手段は複数段階の矯正条
    件の設定が可能であり、パラメータχが所定範囲内にな
    い場合、最も弱い矯正条件で矯正処理を行ったと仮定し
    てパラメータχを再演算し、再演算したパラメータχが
    前記所定範囲内にあるか否かを再判断し、パラメータχ
    が前記所定範囲内にない場合は、パラメータχが前記所
    定範囲内に入るまで順次矯正条件を強化してパラメータ
    χの再演算を繰り返し、パラメータχが前記所定範囲内
    に入った時点での矯正条件で鋼板を矯正処理することを
    特徴とする請求項27から37のいずれかに記載の鋼板
    製造装置。
  39. 【請求項39】 鋼板の矯正処理手段は、少なくともロ
    ーラレベラ又は熱処理炉のいずれかを含むことを特徴と
    する請求項27から38のいずれかに記載の鋼板製造装
    置。
  40. 【請求項40】 前記ローラレベラは、インターメッシ
    ュが複数段階に調節可能であり、パラメータ演算手段
    は、パラメータχが所定範囲内にない場合、最も弱い矯
    正条件で矯正処理を行ったと仮定してパラメータχを再
    演算し、再演算したパラメータχが前記所定範囲内にあ
    るか否かを再判断し、パラメータχが前記所定範囲内に
    ない場合は、パラメータχが前記所定範囲内に入るまで
    順次矯正条件を強化してパラメータχの再演算を繰り返
    し、パラメータχが前記所定範囲内に入った時点での矯
    正条件で鋼板を矯正処理することを特徴とする請求項3
    9記載の鋼板製造装置。
  41. 【請求項41】 前記ローラレベラの最大の能力で矯正
    してもパラメータが前記所定範囲内に入らない場合に、
    熱処理炉により熱処理を行った後、ローラレベラにより
    矯正処理することを特徴とする請求項40記載の鋼板製
    造装置。
  42. 【請求項42】 前記ローラレベラの最大の能力で矯正
    してもパラメータが前記所定範囲内に入らない場合に、
    ローラレベラにより矯正処理を行った後、熱処理炉によ
    り熱処理を行うことを特徴とする請求項41記載の鋼板
    製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108368581A (zh) * 2016-01-18 2018-08-03 株式会社神户制钢所 锻造用钢和大型钢锻品
CN115430728A (zh) * 2022-09-13 2022-12-06 广西广盛新材料科技有限公司 一种钢板的矫直方法及矫直装置

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