JP2795762B2 - 整合回路の構成方法 - Google Patents

整合回路の構成方法

Info

Publication number
JP2795762B2
JP2795762B2 JP25392791A JP25392791A JP2795762B2 JP 2795762 B2 JP2795762 B2 JP 2795762B2 JP 25392791 A JP25392791 A JP 25392791A JP 25392791 A JP25392791 A JP 25392791A JP 2795762 B2 JP2795762 B2 JP 2795762B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
matching circuit
impedance
electrical network
network
input terminal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP25392791A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0595246A (ja
Inventor
ウー・ホク・ホア
昌克 笠置
信義 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oki Electric Industry Co Ltd filed Critical Oki Electric Industry Co Ltd
Priority to JP25392791A priority Critical patent/JP2795762B2/ja
Publication of JPH0595246A publication Critical patent/JPH0595246A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2795762B2 publication Critical patent/JP2795762B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Surface Acoustic Wave Elements And Circuit Networks Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、小型で良好な周波数特
性を得るための二端子対電気回路網用の整合回路の構成
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、このような分野の技術としては、
例えば次のような文献に記載されるものがあった。 文献;電子通信学会編「電子通信ハンドブック」第1版
(昭54−3−30)P.169−171 複数の電気回路でシステムを構成するときに、回路間の
整合は常に問題になっており、特に高周波領域の場合に
整合の問題が大きい。一般的には簡単な工夫で回路同士
を接続することがあるが、整合の対象となる電気回路網
の入力端子と出力端子とを同じ周波数において完全に整
合することは困難である。
【0003】図2は、一般的な二端子対電気回路網を示
す図である。この二端子対電気回路網10は、受動素子
(抵抗、インダクタ、キャパシタ等)で構成され、入力
端子11−1,11−2及び出力端子12−1,12−
2を有している。
【0004】ここで、回路網10の内部構成は問題では
なく、このような回路網10を他の回路と接続するとき
に、何もしないで最初からインピーダンス整合がうまく
ゆくことはまれである。一般的に、接続する入力端子1
1−1,11−2と出力端子12−1,12−2におい
て、インピーダンス不整合が発生し、回路網10の挿入
損失を増加させる結果になってしまう。このような不整
合損失を除去するためには、電力を消費しない素子、即
ち抵抗分を持たない素子(インダクタ、キャパシタ、無
損失トランス、無損失伝送路等)を用いて、回路網10
の入力端子11−1,11−2と出力端子12−1,1
2−2において整合回路を構成する。整合回路には、前
記文献に記載されるように種々の種類があるが、機能的
には同じである。以下、従来の二端子対電気回路網用の
整合回路の構成方法を、図3(a)〜(c)に示す。
【0005】図3(a)〜(c)は、従来の二端子対電
気回路網用整合回路の構成過程を示す図である。図3
(a)において、二端子対電気回路網20は、入力端子
21−1,21−2と出力端子22−1,22−2を有
している。この回路網20は、受動素子だけで構成され
るため、縦続行列を持つ。
【0006】整合回路を構成する場合、まず回路網20
の入力端子21−1,21−2及び出力端子22−1,
22−2のいずれかの端子をあるインピーダンス23で
終端させる。ここでは、説明の簡単化を図るために、出
力端子22−1,22−2をインピーダンス23で終端
させることとする。インピーダンス23は、後述するイ
ンピーダンスZb に等しいものとする。この時、入力端
子21−1,21−2からみた回路網20のインピーダ
ンスをZ21とする。この二端子対電気回路網20に他の
電気回路網30を接続することを考える。回路網30
は、端子32−1,32−2を持ち、その端子32−
1,32−2からみた該回路網30のインピーダンスを
a とする。
【0007】図3(b)において、二端子対電気回路網
20と回路網30とは、インピーダンスZ21とZa を整
合するための基本的な入力端子側の整合回路40で接続
されている。そして、二端子対電気回路網20を整合回
路40を介して他の回路網30と接続したまま、インピ
ーダンス23を撤去する。このとき、出力端子22−
1,22−2からみたインピーダンスはZ22である。こ
の出力端子22−1,22−2に他の電気回路網50を
接続することを考える。回路網50は、端子51−1,
51−2を有し、その端子51−1,51−2からみた
該回路網50のインピーダンスをZb とする。
【0008】図3(c)に示すように、二端子対電気回
路網20のインピーダンスZ22と回路網50のインピー
ダンスZb とを整合するためには、それらの回路網20
と50を出力端子側の整合回路60で接続する。これに
より、二端子対電気回路網20の入力端子21−1,2
1−2には、入力端子側の整合回路40を介して回路網
30を接続し、出力端子22−1,22−2には、出力
端子側の整合回路60を介して回路網50を接続でき
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
二端子対電気回路網用の整合回路の構成方法では、次の
ような課題があった。二端子対電気回路網20の入力端
子21−1,21−2に、整合回路40を介して回路網
30を接続した後、出力端子22−1,22−2に、整
合回路60を介して回路網50を接続すると、インピー
ダンスの変動が生じ、整合回路40が理論的に本来のイ
ンピーダンス整合機能を果たせなくなる。即ち、インピ
ーダンス23(またはZb )で終端したときに設計した
整合回路40は、整合回路50が設けられることで、整
合回路としての働きができなくなる。これを改善するた
めには、整合回路40の微調整が必要であるが、この微
調整を行うと、今度は整合回路60にも微調整が必要に
なってくる。このような微調整作業は、何回か繰り返し
ているうちに、ある程度安定した整合回路を得ることも
できるが、逆にできない場合もある。
【0010】このように、回路網同士を接続するために
用いた整合回路の構成を、微調整なしでは実現できず、
該整合回路の回路構成を正確に把握できない。その上、
ある特定の周波数において整合を行うときに、入力端子
と出力端子を他の回路網と整合させることが、微調整の
ためにかなり困難である。従って、未だ技術的に十分満
足のゆく整合回路の構成方法を実現できなかった。
【0011】本発明は、前記従来技術が持っていた課題
として、不整合損失をなくすための微調整の必要性と、
その作業の煩雑化の点について解決した整合回路の構成
方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の整合回路の構成方法では、受動素子で構成
され(1)式の縦続行列[F]で表わされる二端子対電
気回路網の入力端子及び出力端子において、前記二端子
対電気回路網の入力端子と、インピーダンスZa (=R
a ±jXa 、但し、Ra は抵抗、Xa はリアクタンス)
の入力端子側電気回路網とを、接続するためのインピー
ダンス整合用の入力端子側整合回路を構成する場合、及
び前記二端子対電気回路網の出力端子と、インピーダン
スZb (=Rb ±jXb 、但し、Rb は抵抗、Xb はリ
アクタンス)の出力端子側電気回路網とを、接続するた
めのインピーダンス整合用の出力端子側整合回路を構成
する場合、前記二端子対電気回路網の複素数成分A,
B,C,Dから、該二端子対電気回路網の共役影像イン
ピーダンスZL (=RL −jXL 、但し、RL は抵抗、
L はリアクタンス)とZg (=Rg −jXg 、但し、
g は抵抗、Xg はリアクタンス)とが存在するか否
か、(2)式の存在条件を確認する。そして、前記共役
影像インピーダンスZL とZg が存在するときには、前
記入力端子側整合回路及び前記出力端子側整合回路を構
成することが可能であり、該二端子対電気回路網の出力
端子をインピーダンスZL で終端すれば該二端子対電気
回路網の入力端子から見たインピーダンスはZg の共役
g に等しく、逆に該二端子対電気回路網の入力端子
をインピーダンスZg で終端すれば該二端子対電気回路
網の出力端子から見たインピーダンスはZL の共役値
L に等しいことになるので、(3−1)式、(3−2)
式、(4−1)式、(4−2)式、(11−a)式及び
(11−b)式に示される量に基づき、前記入力端子側
整合回路を構成する素子値Ya 、及び前記出力端子側整
合回路を構成する素子値Yb を演算して、該入力端子側
整合回路及び該出力端子側整合回路を構成するようにし
ている。前記各式は、次式のようになる。
【0013】
【数3】
【0014】
【数4】
【0015】
【作用】本発明によれば、以上のように整合回路の構成
方法を構成したので、二端子対電気回路網の複素数成分
A,B,C,Dからその存在条件を確認することによ
り、回路網同士の接続に用いられる整合回路の存在が、
理論的に該回路網の電気的性質から明確になる。そし
て、所定の数式で示される量に基づき、素子値Ya ,Y
b を演算して二端子対電気回路網に対する整合回路を構
成することにより、整合回路が存在するときの該整合回
路の構成と、該整合回路を設けた後の回路網の特性を予
測できる計算方法の提供が行える。従って、前記課題を
解決できるのである。
【0016】
【実施例】まず、本実施例における二端子対電気回路網
用整合回路の構成方法の原理を説明する。図2に示すよ
うな受動素子で構成される二端子対電気回路網10は、
数学的に(1)式に示すような縦続行列(または[F]
行列、あるいは基本行列ともいう)で表わすことができ
る。そして、(2)式に示す整合回路の存在条件を満た
す縦続行列を持った二端子対電気回路網10だけが、同
じ周波数において入力端子11−1,11−2と出力端
子12−1,12−2とも他の回路網と整合できる。こ
こで、(2)式の導出方法を説明する。図2に示すよう
な二端子対電気回路網10の出力端子12−1,12−
2をインピーダンスZL で終端すると、入力端子11−
1,11−2からみたインピーダンスZ1 は(2−1)
式のようになる。同様に、入力端子11−1,11−2
をインピーダンスZg で終端すると、出力端子12−
1,12−2からみたインピーダンスZ2 は(2−2)
式のようになる。 Z1 =(AZL +B)/(CZL +D) ・・・(2−1) 但し、ZL =RL −jXL (RL は抵抗、XL はリアクタンス) Z2 =(DZg +B)/(CZg +A) ・・・(2−2) 但し、Zg =Rg −jXg (Rg は抵抗、Xg はリアクタンス) インピーダンスZL がインピーダンスZ2 に、インピー
ダンスZg がインピーダンスZ1 にそれぞれ等しけれ
ば、ZL ,Zg の一組を影像インピーダンスという。イ
ンピーダンスZL がインピーダンスZg の共役インピー
ダンスに、インピーダンスZg がインピーダンスZ1
共役インピーダンスにそれぞれ等しいとき、この明細書
ではZL ,Zg の一組を共役影像インピーダンスという
ことにする。理論的に、共役影像インピーダンスから整
合回路を設計することができるが、一般的に、二端子対
電気回路網10には必ずしも共役影像インピーダンスが
存在するわけではない。従って、共役影像インピーダン
スが存在しないときに、整合回路も存在しないわけであ
る。(2−1)式と(2−2)式に基づいて、ZL とZ
g が二端子対電気回路網10の共役影像インピーダンス
とすれば、次式が成立する。 g =Z1 =(AZL +B)/(CZL +D) ・・・(2−3) L =Z2 =(DZg +B)/(CZg +A) ・・・(2−4) (2−3)式と(2−4)式を展開して整理すると、次
式が得られる。 (AC) L 2 +[(BC)−(AD)]ZL −(BD)=0 ・・・(2−5) (CD)Zg 2 +[(BC)−(AD)]Zg −(AB)=0 ・・・(2−6) (2−5)式と(2−6)式はそれぞれZL とZg の2
次方程式で、同じ根の判定式(後述する(5)式)を持
っている。結果的に、(2−5)式と(2−6)式の根
であるZL とZg は、次式のように表すことができる。 ZL ={−[(BC)−(AD)]±√△} /[2(AC)] ・・・(2−7) Zg ={−[(BC)+(AD)]±√△} /[2(CD)] ・・・(2−8) (2−7)式と(2−8)式を展開すると、次式のよう
になる。 ZL =RL −jXL ・・・(2−9) Zg =Rg −jXg ・・・(2−10) 但し、 RL =±√△/[2(AC)] ・・・(2−11) jXL =−[(BC)−(AD)]/[2(AC)] ・・・(2−12) Rg =±√△/[2(CD)] ・・・(2−13) jXg =−[(BC)−(AD)]/[2(CD)] ・・・(2−14) 整合回路を設計することができるためには、(2−9)
式と(2−10)式の実部RL とRg の値が正でなけれ
ばならず、これを満たすために必然的に次の条件が必要
になってくる。 AC≠0 ・・・(2−15) CD≠0 ・・・(2−16) また、(2−9),(2−10)式と後述する(5)式
より、△が正の値を持たなければならないため、(2)
式の不等式が成立する。つまり、このような(2)式が
成立するとき、整合回路は存在し、その整合回路を(3
−1),(3−2),(4−1),(4−2)式から設
計 (構成)できる。(3−1),(4−1)式のΔは、次
式(5)で表わされる。 Δ=[(BC)+(AD)]2 −4 ・・・(5) (3−1),(3−2),(4−1),(4−2)式に
おいて、常に、Rg ,RL とΔは正の実数で、jXg
jXL は純虚数である。jは−1の平方根(即ち、j2
=−1)である。
【0017】無損失整合回路の構成は様々であるが、そ
の構成素子値は全て(3−1),(3−2),(4−
1),(4−2)式から計算される。しかし、これらの
整合回路は回路構成がどうであれ、基本的には、次のよ
うな手順(a),(b)に従い設計されなければならな
い。
【0018】(a) 入力端子側 図1(a),(b)は本実施例における整合回路構成の
基本を示す図であり、同図(a)は入力端子側、及び同
図(b)は出力端子側の説明図である。まず、図3に示
す入力端子側電気回路網30のインピーダンスZa は、
次式(6)のように表わすことができる。 Za =Ra +jXa ・・・(6) 但し、Ra ;正の実数(抵抗) jXa ;純虚数(Xa はリアクタンス) そして、例えば前記文献に記載された純抵抗の整合回路
の設計方法を参考にして、純抵抗Ra とRg の整合回路
を設計する。前記文献には、7種類の整合回路が示され
ているが、Ra とRg の値に矛盾のない整合回路ならば
どれを選んでも良い。その一例を図1(a)に示す。図
1(a)の整合回路71は、Ra とRgの整合回路であ
る。
【0019】次に、図1(a)においてインピーダンス
a の虚部+jXa を打ち消すための直列型二端子対電
気回路71aを設ける。この直列型二端子対電気回路7
1aは、−jXa を表わせる素子で構成される。Xa
実数で、正なら−jXa を表わせる素子がキャパシタ
で、負なら−jXa を表わせる素子がインダクタであ
る。
【0020】また、理論的に検討した結果から、入力端
子からみた二端子対電気回路網のインピーダンスが、出
力端子側に整合回路及びインピーダンスZbの回路網と
接続するときに、虚部+jXg を持つため、これを打ち
消すための直列型二端子対電気回路71g が必要であ
る。この直列型二端子対電気回路71g も、−jXg
表わせる素子で構成される。この素子がインダクタか、
キャパシタになるかは、直列型二端子対電気回路71a
の場合と同様である。
【0021】(b) 出力端子側 同様に、図3に示す出力端子側電気回路網50のインピ
ーダンスZb は、次式(7)のように表わすことができ
る。 Zb =Rb +jXb ・・・(7) 但し、Rb ;正の実数(抵抗) jXb ;純虚数(Xb はリアクタンス) Ra とRg の場合と同じように、図1(b)に示すよう
な純抵抗RL とRb の整合回路72を設計する。次に、
インピーダンスZb の虚部+jXb を打ち消すための直
列型二端子対電気回路72b を設ける。この直列型二端
子対電気回路72b も、−jXb を表わせる素子で構成
される。直列型二端子対電気回路72b は、Xb の値に
よってキャパシタになったり、インダクタになったりす
る。
【0022】また、理論的に検討した結果から、出力端
子からみた二端子対電気回路網のインピーダンスが入力
端子側に整合回路及びインピーダンスZa の回路網と接
続するときに、虚部+jXL を持つため、これを打ち消
すための直列型二端子対電気回路72L が必要である。
この直列型二端子対電気回路72L も、−jXL を表わ
せる素子で構成される。
【0023】このようにして図1の整合回路71,72
を設けると、二端子対電気回路網は入力端子側にインピ
ーダンスZa の回路網、出力端子側にインピーダンスZ
b の回路網と接続するときに、インピーダンス不整合に
よる反射損失が完全に除去される。なお、後述するよう
に、Ra とRg の整合回路71、及びRL とRb の整合
回路72をうまく選択すれば、少ない素子数で、二端子
対電気回路網の整合回路を構成することができる。
【0024】次に、以上のような原理に基づき、本実施
例の整合回路の具体的な構成方法を説明する。値の異な
った2つの純抵抗R1 とR2 の整合回路は、前記文献に
記載されているように種々の形があるが、本実施例で
は、設計の容易さ、及び構成素子の少なさ等を考慮する
と、T型整合回路が最適な回路と考えられるので、以下
の説明ではT型整合回路の具体的な構成方法等を説明す
る。
【0025】図4(a),(b)は本実施例における純
抵抗R1 とR2 の整合回路を示す図である。整合回路を
無損失回路にするために、構成素子は抵抗分を持っては
ならない。純抵抗R1 とR2 の値に関わらず、T型整合
回路は図4(a)と(b)の2通りが考えられる。+j
Yはインダクタのインピーダンスで、−jYはキャパシ
タのインピーダンスである。Yは次式(8)で与えられ
る。
【0026】
【数5】
【0027】ここで、YをR1 とR2 の整合回路の基本
素子値と呼ぶことにする。Yの値は、必ず正である。図
4(a)に示す整合回路の縦続行列は次式(9−a)、
図4(b)に示す整合回路の縦続行列は次式(9−b)
のようになる。
【0028】
【数6】
【0029】一方、図5に示すように、1個のインピー
ダンスZで構成される直列型二端子対電気回路網の縦続
行列は、次式で与えられる。
【0030】
【数7】
【0031】従って、前記の原理で説明したように、−
jXa ,−jXg ,−jXL または−jXb のような素
子で構成された直列型二端子対電気回路網の縦続接続
は、(10)式のZの代わりに、それぞれの素子のイン
ピーダンスの値を代入すれば得られる。
【0032】図6(a),(b)は、図1(a)の整合
回路をT型整合回路で表わしたもので、T型整合回路を
基本とする入力端子側整合回路の構成図である。図6の
(a)と(b)に示した整合回路の縦続行列は、符号に
おいて異なるところはあるが、機能的には同じである。
図6(a)において、整合回路81と整合回路82は等
価であるが、構成素子の数が整合回路81の方が5個、
整合回路82の方が3個である。図6(b)において、
整合回路83と整合回路84も等価であり、構成素子の
数も整合回路81と82の場合と同様である。
【0033】図7(a),(b)は図1(b)の整合回
路をT型整合回路で表わしたものであり、T型整合回路
を基本とする出力端子側整合回路の構成図である。図7
(a)に示す整合回路91と整合回路92は等価であ
る。また、図7(b)においても、整合回路93と整合
回路94が等価であり、構成素子数の数も、図6の場合
と同様である。
【0034】図6のYa 及び図7のYb は、それぞれ
(Ra ,Rg )と(RL ,Rb )の整合回路の基本素子
値で、(8)式に従い、(11−a),(11−b)式
のように計算できる。最終的に図6(a),(b)及び
図7(a),(b)に示される各整合回路の縦続行列
は、それぞれ次の(i)〜(iv)のようになる。
【0035】
【数8】
【0036】
【数9】
【0037】T型整合回路を基本とする二端子対電気回
路網用整合回路の構成方法に関する原理は以上の通りで
ある。次に、二端子対電気回路網として、例えば弾性表
面波フィルタに適用される整合回路の具体的な構成方法
を説明する。
【0038】図8(a),(b)は整合回路を設ける前
の弾性表面波フィルタの特性図であり、同図(a)は挿
入損失特性、及び同図(b)は反射損失特性である。
【0039】弾性表面波フィルタは、圧電基板上に、弾
性表面波の励振及び受信用の一対の櫛形電極が設けられ
た構造をなし、それは圧電基板の圧電効果を利用した電
気回路なので、受動素子で構成される二端子対電気回路
網とみなすことができるため、縦続行列を持つ。
【0040】図8(a)は挿入損失特性を示し、図8
(b)の実線で示される符号101は入力端子側反射損
失特性、破線で示される符号102は出力端子側反射損
失特性である。101と102から明らかなように、両
端子における反射損失は大きいことがわかる。これを改
善するために、例えば852.0MHzにおいて、上述
したような構成方法で整合回路を設計する。この周波数
における弾性表面波フィルタの縦続行列の成分は、次の
通りである。 A=5.600915×10-2+j0.529347 ・・・(16−a) B=4.131904+j45.02765 ・・・(16−b) C=−1.291343×10-3+j2.591596×10-2 ・・・(16−c) D=5.736982×10-2+j0.3315096 ・・・(16−d) A、B、C、Dは(2)式の不等式を満足している。従
って、この弾性表面波フィルタの両端子をこの周波数に
おいて整合回路が存在する。構成方法は上述したように
行う。最終的な回路構成は、入力端子側では図6(a)
の整合回路82を、出力端子側では図7(a)の整合回
路92を選択する。その回路を図9に示す。
【0041】図9は、弾性表面波フィルタ用整合回路の
回路図である。この図9において、弾性表面波フィルタ
111の入出力側に、インダクタ及びキャパシタの整合
回路が設けられている。但し、図3に示すような外部の
回路網30と50は、図9では単なる回路系の特性イン
ピーダンスZ0 に等しい信号源の内部抵抗と純抵抗の負
荷である。一般的に広く用いられる回路系は、特性イン
ピーダンス50Ω回路系である。
【0042】また、整合回路を設けた後の弾性表面波フ
ィルタの特性図を図10(a),(b)に示す。図10
(a)は挿入損失特性で、図10(b)の実線の符号1
21と破線の符号122はそれぞれ入力端子及び出力端
子における反射損失特性である。852.0MHz にお
いて、両端子における反射損失が完全に除去されたこと
は、該反射損失特性から明らかである。
【0043】以上のように、本実施例の方法を用いて二
端子対電気回路網用の整合回路を構成(設計)すると、
不整合損失が大きく改善されるばかりか、該整合回路の
微調整もほとんど必要でなくなる。その上、二端子対電
気回路網は整合可能かどうかを事前に正確に予測できる
から、無駄な整合回路の設計も必要でなくなる。従っ
て、整合回路を必要とする全ての装置に、本実施例の構
成方法を適用すれば、その装置の高性能化と低価格化を
図ることができる。
【0044】また、本実施例では、弾性表面波フィルタ
を用いて整合回路構成方法の効果を確認したが、本実施
例の整合回路の構成方法は、縦続行列で表わせる全ての
二端子対電気回路網に有効である。
【0045】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、二端子対電気回路網の縦続行列の成分から、その
存在条件を確認し、所定の数式で示される量に基づき、
素子値Ya ,Yb を演算して前記二端子対電気回路網に
対する整合回路を構成するようにしている。そのため、
二端子対電気回路網を他の回路網と接続する際に、ある
周波数において該二端子対電気回路網の入力端子及び出
力端子におけるインピーダンス不整合による反射を完全
に除去でき、しかも微調整をほとんど必要としない。従
って、例えば設計時において、二端子対電気回路網が整
合可能かどうかを事前に正確に予測できるから、無駄な
整合回路の設計作業もなくなり、精度の高い整合回路を
的確に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の整合回路構成の基本を示す図
である。
【図2】一般的な二端子対電気回路網の構成図である。
【図3】従来の二端子対電気回路網用整合回路の構成過
程を示す図である。
【図4】従来のR1 とR2 のT型整合回路の回路図であ
る。
【図5】従来の1個のインピーダンスZで構成される直
列型二端子対電気回路網の回路図である。
【図6】本実施例のT型整合回路を基本とする入力端子
側整合回路の構成図である。
【図7】本実施例のT型整合回路を基本とする出力端子
側整合回路の構成図である。
【図8】本実施例における整合回路を設ける前の弾性表
面波フィルタの特性図である。
【図9】本実施例の弾性表面波フィルタ用整合回路の回
路図である。
【図10】本実施例における整合回路を設けた後の弾性
表面波フィルタの特性図である。
【符号の説明】
71,72,81〜84,91〜94 整合回路 71a ,71g ,72L ,72b 直列型二端子対電気
回路 111 弾性表面波フ
ィルタ
フロントページの続き (56)参考文献 電子通信ハンドブック(オーム社、昭 和54年)、PP.169−171 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H03H 7/38

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受動素子で構成され(1)式の縦続行列
    [F]で表わされる二端子対電気回路網の入力端子及び
    出力端子において、 前記二端子対電気回路網の入力端子と、インピーダンス
    a (=Ra ±jXa、但し、Ra は抵抗、Xa はリア
    クタンス)の入力端子側電気回路網とを、接続するため
    のインピーダンス整合用の入力端子側整合回路を構成す
    る場合、及び前記二端子対電気回路網の出力端子と、イ
    ンピーダンスZb (=Rb ±jXb 、但し、Rb は抵
    抗、Xb はリアクタンス)の出力端子側電気回路網と
    を、接続するためのインピーダンス整合用の出力端子側
    整合回路を構成する場合、 前記二端子対電気回路網の複素数成分A,B,C,Dか
    ら、該二端子対電気回路網の共役影像インピーダンスZ
    L (=RL −jXL 、但し、RL は抵抗、XLはリアク
    タンス)とZg (=Rg −jXg 、但し、Rg は抵抗、
    g はリアクタンス)とが存在するか否か、(2)式の
    存在条件を確認し、 前記共役影像インピーダンスZL とZg が存在するとき
    には、前記入力端子側整合回路及び前記出力端子側整合
    回路を構成することが可能であり、該二端子対電気回路
    網の出力端子をインピーダンスZL で終端すれば該二端
    子対電気回路網の入力端子から見たインピーダンスはZ
    g の共役値 g に等しく、逆に該二端子対電気回路網の
    入力端子をインピーダンスZg で終端すれば該二端子対
    電気回路網の出力端子から見たインピーダンスはZL
    共役値 L に等しいことになるので、(3−1)式、
    (3−2)式、(4−1)式、(4−2)式、(11−
    a)式及び(11−b)式に示される量に基づき、前記
    入力端子側整合回路を構成する素子値Ya 、及び前記出
    力端子側整合回路を構成する素子値Yb を演算して、該
    入力端子側整合回路及び該出力端子側整合回路を構成す
    ることを特徴とする整合回路の構成方法。 【数1】 【数2】
JP25392791A 1991-10-01 1991-10-01 整合回路の構成方法 Expired - Fee Related JP2795762B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25392791A JP2795762B2 (ja) 1991-10-01 1991-10-01 整合回路の構成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25392791A JP2795762B2 (ja) 1991-10-01 1991-10-01 整合回路の構成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0595246A JPH0595246A (ja) 1993-04-16
JP2795762B2 true JP2795762B2 (ja) 1998-09-10

Family

ID=17257963

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25392791A Expired - Fee Related JP2795762B2 (ja) 1991-10-01 1991-10-01 整合回路の構成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2795762B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3424971B2 (ja) * 1994-01-20 2003-07-07 松下電器産業株式会社 弾性表面波フィルタ

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
電子通信ハンドブック(オーム社、昭和54年)、PP.169−171

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0595246A (ja) 1993-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6179829B2 (ja) マイクロ波音響波フィルタの改良された設計
US20150106072A1 (en) Network synthesis design of microwave acoustic wave filters
CN101572532A (zh) 可数字地重新配置的体声波型谐振器滤波器及方法
WO2006045176A1 (en) Band reject filters
KR19980070285A (ko) 임피던스 회로들에 의해 생성된 감쇠극들을 가진 표면 탄성파필터들
US6300849B1 (en) Distributed element filter
JPH01208010A (ja) モノリシツクな格子型弾性表面波フイルタ
JPS6134288B2 (ja)
JP2795762B2 (ja) 整合回路の構成方法
JP4331277B2 (ja) 弾性表面波フィルタ
JP2001244704A (ja) 薄膜共振器フィルタおよびその帯域幅を広げる方法
JP3425394B2 (ja) 弾性表面波共振子および弾性表面波フィルタ
US5661443A (en) Apparatus and method for an asymmetrical multi-pole monolithic crystal filter having improved phase response
US11962290B2 (en) Correction unit for radio frequency filter
US6960966B2 (en) Surface acoustic wave filter with attenuation poles
JP3921303B2 (ja) 分布定数フィルタ
JP2001060803A (ja) 分布定数フィルタ
JP3016250B2 (ja) 直流遮断回路
Lilhare et al. A narrow band UHF filter bank using SAW TCRFs
JPH07176979A (ja) 弾性表面波フィルタ
RU2190923C1 (ru) Активный широкополосный пьезоэлектрический фильтр
JPH03258010A (ja) 弾性表面波装置
JPH0433405A (ja) 弾性表面波フィルタおよびそれを用いた移動無線装置
JPH09284075A (ja) 帯域阻止フィルタ
Kojima et al. Two-port saw resonator using series connected idts

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19980616

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080626

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090626

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090626

Year of fee payment: 11

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S202 Request for registration of non-exclusive licence

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R315201

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090626

Year of fee payment: 11

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090626

Year of fee payment: 11

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090626

Year of fee payment: 11

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S202 Request for registration of non-exclusive licence

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R315201

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090626

Year of fee payment: 11

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090626

Year of fee payment: 11

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees