JP2793177B2 - 電磁式流量センサの測定管の製造法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、管内面に設けられ
た所望の肉厚の絶縁体と各管端に金属フランジを有する
金属管とから成る、電磁式流量センサの測定管の製造法
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】周知のように電磁式流量計は、測定管内
を流れる導電性液体の体積流量を計測する。測定管が完
全に金属製であり、つまり液体が該金属と接触する場
合、ファラデーの誘導の法則に基づいて磁界によって誘
導される電圧が短絡を生ぜしめないようにするために、
液体と接触する測定管部分は非導電性である。磁界は通
常、測定管の縦軸線に対して直角に測定管を通過する。

【０００３】金属製測定管が、磁界を妨害しないために
強磁性であってはならないのは勿論のことであるので、
該金属製測定管は通常、電気絶縁体として働く非導電性
の層を内周面に備えている。測定管がプラスチック製又
はセラミック製である場合には、このような層の必要は
ない。

【０００４】誘導電圧は、ガルバニック電極又は容量性
電極によって取り出される。ガルバニック電極は測定管
の壁を貫通して延びているので、該ガルバニック電極は
流体と接触するのに対して、容量性電極は、流体と接触
しないように測定管の壁内に装着されているか、又は測
定管壁の外周面に装着されている。

【０００５】米国特許第５４０３５３３号明細書には、
電磁式流量センサ用の、内周面に絶縁体を有している
が、金属フランジは備えていない金属製測定管を製造す
る方法が開示されている。この場合、測定管の各端部に
は、外側にアンダーカット部を有する管肉厚部が測定管
と一体に成形されており、該測定管よりも長い絶縁ライ
ナー管が測定管の内腔に引き込まれて嵌合しており、か
つ該絶縁ライナー管の張出し端部は、対応したアンダー
カット部内に緊密に係合接触するまで測定管の管肉厚部
に被せ嵌められ、必要に応じて該アンダーカット部内に
環状取付け部材によって固定される。

【０００６】特開昭６１−２９４３１６号公報（特公平
５−４８８４６号）では、電磁式流量センサ用の、内周
面絶縁体と金属フランジとを備えた金属製測定管が開示
されており、この場合は各端部に夫々金属フランジが一
体に成形されており、該金属フランジの前面側には凸設
部及び／又は凹設部が設けられており、しかも凹設部に
は絶縁材が充填され、凸設部は絶縁材内に埋め込まれて
いる。

【０００７】ドイツ連邦共和国特許出願公開第３１０１
５６２号明細書には類似の構成が開示されているが、こ
の場合は各フランジの内側に付加的に、金属測定管の内
周面の延長部を形成する凹設部が設けられている。

【０００８】英国特許第１１１１９８１号明細書には、
各フランジの端面に座着するベル形端部を有する鋼製ラ
イナーを備えた高導電性液体用の電磁式流量計が開示さ
れている。

【０００９】ところで従来技術として挙げた最初の３つ
の公知の構成手段では、測定管内へ絶縁体を挿入して測
定管の端部に固定する場合に、特にフランジ領域におけ
る金属管と絶縁体との間の接合部の液密性に対する実際
の要求と製造法を単純化し、ひいては低廉にすることに
対する要求を共に充分には満たすことができないことが
判った。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、特に
フランジ領域における金属管と絶縁体との間の接合部の
確実な液密性を保証する低廉にして単純な製造法を提供
することである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明の構成手段は、金属管の各管端で該金属管の外
周面に沿って対応の金属フランジを摺動させて、絶縁体
の肉厚に少なくとも等しい値分だけ前記金属管の各管端
を超えて両金属フランジの前面側を張出させるように
し、前記の各金属フランジの背面側を前記金属管の外周
面に永久的に密接合し、しかも金属管に沿った金属フラ
ンジの前記摺動に先立って、前記の各金属フランジに、
該金属フランジの前面側端面を起点として旋削部を夫々
設けかつ各旋削部の内端部に第１の環状溝を予め形成し
ておき、前記絶縁体の所望の肉厚によって決定された直
径を有しかつ１つの充填入口と各端部に夫々１つ設けた
端面フランジとを備えたマンドレルを、前記金属管の内
腔に導入して、各端面フランジによって前記の各金属フ
ランジの旋削部を夫々前面側でカバーし、絶縁体の絶縁
材料を液相の状態でマンドレルの充填入口を通して充填
し、かつ該絶縁材料を硬化させて絶縁体を形成した上で
マンドレルを除去する点にある。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明の有利な構成では、各旋削
部の中央域に第２の環状溝が形成されて、各第２の環状
溝内にシールリングが設置され、かつ、各旋削部と各シ
ールリングとをカバーする端面フランジを各端部に有す
るマンドレルが使用される。

【００１３】本発明の別の構成では、絶縁体を機械的に
安定化させる部材、特に有利にはエキスパンデッドメタ
ル格子が、絶縁材料を導入する前に金属管の内周面に装
着される。

【００１４】更に有利な構成では、絶縁体の絶縁材料
が、トランスファー成形法を使用して充填される。

【００１５】本発明の利点の１つとして、絶縁材料の硬
化後には、金属管又は絶縁体に加工を施す必要が全くな
いことが挙げられる。

【００１６】

【実施例】次に図面に基づいて本発明の実施例を詳説す
る。

【００１７】図１に縦断面図で示した電磁式流量センサ
の測定管１は、被測定流体の通流する所定径の導管（図
面を判り易くするために図示せず）内に設置することが
できる。前述の電極は、本発明の製造プロセスの完了ま
では装備されず、本発明の範囲外であるので、その図示
は省いた。

【００１８】測定管１は、所望の又は規定の層厚の絶縁
体３で内面を被覆した金属管２を備え、該金属管は、両
端に夫々相応の金属フランジ４，５を有している。本発
明の有利な実施例では、絶縁体３を機械的に安定化させ
るための部材２０、特に有利にはエキスパンデッドメタ
ル格子が金属管２の内周面側に配置されている。

【００１９】金属管２と金属フランジ４，５は円形リン
グ状の断面形状を有している。両金属フランジ４，５の
各前面側４１，５１は、絶縁体３の所期の肉厚に少なく
とも等しい値分だけ金属管２の対応した管端２１，２２
を超えて張出している。

【００２０】金属フランジ４，５と金属管２とによって
形成される空間６は金属シート部材７によって閉塞され
ている。前記空間６は通常のように、前述の磁界発生用
コイル及びその他の構成要素を収容するために使用され
る。金属シート部材７を、前記コイルによって発生され
る磁界のための磁気回路の一部として構成しようとする
場合には、該金属シート部材は強磁性である。測定管１
の製造を開始する前に、各金属フランジ４，５には、内
端に第１の環状溝４３，５３を夫々有する旋削部４２，
５２が各前面側４１，５１を起点として設けられてい
る。前記の有利な実施例では、シールリング８，９を収
容するための第２の環状溝４４，５４が前記旋削部４
２，５２の中央域に設けられている。

【００２１】測定管１の製造プロセスにおいて所望長の
金属管２が先ず設けられ、かつ既に述べたように（旋削
部４２，５２及び第１の環状溝４３，５３かつ可能なら
ば第２の環状溝４４，５４を有する）金属フランジ４，
５が準備される。

【００２２】次いで、金属管２の各管端２１，２２で
は、既に述べたように両金属フランジ４，５の各前面側
４１，５１を、絶縁体３の所期の肉厚に少なくとも等し
い値分だけ金属管２の対応した管端２１，２２を超えて
張出させるように、夫々１つの金属フランジ４，５が金
属管２の外周面２３に沿って摺動させられる。

【００２３】次に各金属フランジ４，５の背面側４５，
５５が永久的に前記金属管２の外周面２３に密接合され
る。この密接合は軟鑞接、硬鑞接又は溶接によって行わ
れ、その結果、軟鑞継手、硬鑞継手又は溶接継手４６，
５６が生じる。その後、第２の環状溝４４，５４がすで
に形成されている場合には、この第２の環状溝４４，５
４内にシールリング８，９、例えば適当なＯリングが嵌
装される。

【００２４】次いでマンドレル（図示せず）が金属管２
の内腔へ導入される。該マンドレルの直径は、絶縁体３
の所望の肉厚と内腔直径とによって決定される。従って
金属管２が内径１００ｍｍを有しかつ絶縁体３の層厚が
２ｍｍでなければならない場合には、マンドレルは９６
ｍｍの直径を有していなければならない。

【００２５】マンドレルの各端部は、前面側で各金属フ
ランジ４，５の旋削部４２，５２をカバーする端面フラ
ンジを備えている。但し、旋削部５２をカバーする方の
端面フランジは、金属管２の内腔へマンドレルを挿入し
た後に装着される。要するに両端面フランジは、各金属
フランジ４，５の前面側４１，５１の端面に座着する。
またシールリング８，９及び第２の環状溝４４，５４が
すでに存在している場合には、前記マンドレルの各端面
フランジは対応した旋削部及びシールリングもカバーせ
ねばならない。

【００２６】次いで絶縁体３の絶縁材料は液相の状態で
マンドレルの充填入口を通して充填され、該充填は慣用
のトランスファー成形法を採用して行われるのが有利で
ある。すなわち：絶縁体３を形成することになる熱可塑
性材料が先ず液状化され、次いで金属管２及び金属フラ
ンジ４，５とマンドレルとの間のスペース内へ圧力をか
けて圧入され、かつ硬化するまで該スペース内に放置さ
れる。

【００２７】最初は液状の絶縁材料、要するに大抵は後
に硬化する適当なプラスチック材料を充填するために、
トランスファー成形法に代えて別の成形法を採用するこ
とも可能である。前記マンドレルは絶縁材料の硬化後に
取り除かれる。

【００２８】マンドレルを除去すると、絶縁体３が金属
管２の全内周面をカバーするばかりでなく、該金属管の
両方の管端２１，２２もカバーし、かつ相応の旋削部４
２，５２及び第１の環状溝４３，５３を完全に埋める。
またシールリング８，９が設けられている場合には絶縁
体３は、該シールリング８，９もカバーし、かつ、絶縁
体３と対応した金属フランジ４，５との間の接合部の密
封性を高める位置に該シールリングを維持する。

【００２９】本発明の製造法は、１０ｍｍ〜２００ｍｍ
の範囲の呼び直径を有する測定管を製造するために特に
適している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の製造法によって製造された測定管の１
実施例の縦断面図である。

【符号の説明】

１ 測定管、 ２ 金属管、 ３ 絶縁体、
４，５ 金属フランジ、 ６ 空間、 ７ 金属
シート部材、 ８，９ シールリング、 ２０絶縁体
の機械的安定化部材、 ２１，２２ 管端、 ２３
外周面、４１ 前面側、 ４２ 旋削部、 ４３
第１の環状溝、 ４４ 第２の環状溝、 ４５
背面側、 ４６ 溶接継手、 ５１ 前面側、
５２旋削部、 ５３ 第１の環状溝、 ５４ 第２
の環状溝、 ５５ 背面側、 ５６ 溶接継手

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G01F 1/58

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 管内面に設けられた所望の肉厚の絶縁体
   と各管端に金属フランジを有する金属管とから成る、電
   磁式流量センサの測定管の製造法において、 金属管の各管端で該金属管の外周面に沿って対応の金属
   フランジを摺動させて、絶縁体の肉厚に少なくとも等し
   い値分だけ前記金属管の各管端を超えて両金属フランジ
   の前面側を張出させるようにし、 前記の各金属フランジの背面側を前記金属管の外周面に
   永久的に密接合し、 しかも金属管に沿った金属フランジの前記摺動に先立っ
   て、前記の各金属フランジに、該金属フランジの前面側
   端面を起点として旋削部を夫々設けかつ各旋削部の内端
   部に第１の環状溝を予め形成しておき、 前記絶縁体の所望の肉厚によって決定された直径を有し
   かつ１つの充填入口と各端部に夫々１つ設けた端面フラ
   ンジとを備えたマンドレルを、前記金属管の内腔に導入
   して、各端面フランジによって前記の各金属フランジの
   旋削部を夫々前面側でカバーし、 絶縁体の絶縁材料を液相の状態でマンドレルの充填入口
   を通して充填し、かつ該絶縁材料を硬化させて絶縁体を
   形成した上でマンドレルを除去することを特徴とする、
   電磁式流量センサの測定管の製造法。
2. 【請求項２】 各旋削部の中央域に第２の環状溝を形成
   して、各第２の環状溝内にシールリングを設置し、か
   つ、各旋削部と各シールリングとをカバーする端面フラ
   ンジを各端部に有するマンドレルを使用する、請求項１
   記載の製造法。
3. 【請求項３】 絶縁体の導入に先立って金属管の内周面
   に、絶縁体を機械的に安定化させる部材を装着する、請
   求項１記載の製造法。
4. 【請求項４】 絶縁体の機械的安定化部材として、エキ
   スパンデッドメタル格子を使用する、請求項２記載の製
   造法。
5. 【請求項５】 絶縁体の絶縁材料を、トランスファー成
   形法を使用して充填する、請求項１記載の製造法。