JP2792418B2 - 車両用交流発電機 - Google Patents

車両用交流発電機

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JP2792418B2
JP2792418B2 JP32776593A JP32776593A JP2792418B2 JP 2792418 B2 JP2792418 B2 JP 2792418B2 JP 32776593 A JP32776593 A JP 32776593A JP 32776593 A JP32776593 A JP 32776593A JP 2792418 B2 JP2792418 B2 JP 2792418B2
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俊則 田中
泰弘 吉田
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Mitsubishi Electric Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、車両用交流発電機
(以下、単に交流発電機という)に関し、特に回転子に
取付けられたファンによる風音に対する不快感の軽減に
かかわる。
【0002】
【従来の技術】図11〜図13は、例えば実開平5−1
11221号公報に記載された従来の交流発電機を示す
もので、図11は交流発電機の縦断面図、図12は正面
図、図13(A),(B) はそれぞれ前及び後ファンの正面図
である。図において、1は固定子で、固定子鉄心2と、
固定子コイル3とを有する。この交流発電機は三相交流
発電機であり、固定子鉄心2のスロット数は36であ
る。
【0003】4は回転子で、次のように構成されてい
る。5及び6は異極性の磁極鉄心で、外周部に櫛形に軸
方向に突出された各6個の磁極歯5a及び6aが設けら
れている。磁極鉄心5、6は各磁極歯5a、6aが軸方
向に間隙を設けて互いに噛合うように対向させて回転軸
8(後述)に嵌着され、円筒状の周壁を形成するととも
にこの周壁に円周方向に上記間隙がジグザク状をなすよ
うにされおり、磁極数は6対、計12極である。各磁極
鉄心5、6の側面は平面状をなしており、後述の前、後
ファン10、11が固着される。7は双方の磁極鉄心
5、6間に挟持された励磁コイル、8は磁極鉄心5、6
が固着された回転軸、9は回転軸8に絶縁スリーブを介
し固定された1対のスリップリングであり、励磁コイル
7と接続されている。
【0004】10及び11は磁極鉄心5及び6の各側面
に固着された一対のファンである前ファン及び後ファン
であり、前ファン10は図13(A) にその詳細を示すよ
うに放射方向に不等角度間隔に配設された曲面状の11
枚の羽根10aを有し、その外径が円形CR1、内径が
円形CR2をなすように配置された円形のファンにされ
ている。
【0005】後ファン11は、図13(B) にその詳細を
示すように放射方向に不等角度間隔に配設された平面状
の13枚の羽根11aを有しており、ファン10と同様
に外径CR1、内径CR2の円形形状のファンである。
羽根11aの中央部及びファン11の平板部11bには
補強のために打出しリブ11cが設けられている。11
dは羽根の裏面側に紙面の手前側へ突出して設けられた
突状部であり、磁極鉄心6との間にスリップリング9か
ら励磁コイル7への接続線を通すためのものである。な
お、図13中の円弧状の矢印A、Bは各ファン10、1
1の回転方向を示す。
【0006】図11に戻って、12及び13は椀状の前
ブラケット及び後ブラケットで、締付けボルト14によ
り固定子鉄心2に結合されている。前ブラケット12は
通風のため、図12に示されるように端部に複数(この
例では12個)の導入孔である吸気孔12aと、外周部
に複数(20個)の排気孔12bと、が設けられてい
る。また、図示をしていないが、後ブラケット13には
通風のため、同様に端部に12個の導入孔である吸気孔
13aと、外周部に20個の排気孔13bと、が設けら
れている。回転軸8は軸受15及び16を介し、前ブラ
ケット12及び後ブラケット13に回転自在に支持され
ている。17は回転軸8に固定されたプーリであり、機
関の回転がベルトを介し伝えられ、回転子4を回転させ
る。
【0007】18は固定子コイル3に誘導された交流電
圧を直流電圧に整流して出力する整流器、19は整流器
出力電圧を検出し励磁電流を制御して発電機の端子電圧
を所定値に調整する電圧調整器であり、後ブラケット1
3内に収容されている。20はブラシ保持器であり、保
持したブラシ21をスリップリング9に圧接させ励磁電
流を励磁コイル7に通じる。
【0008】上記交流発電機において、励磁コイル7に
励磁電流が供給され回転子4が回転されると、回転子4
の周壁上に計12個の磁極が形成され、固定子コイル3
に交流電圧が誘導されて電力が発生する。このとき固定
子コイル3及び励磁コイル7が発熱する。この熱を前、
後ファン10、11の回転による通風で冷却する。
【0009】ファン10の回転による冷却風は、図11
において矢印Cのように、前ブラケット12の吸気孔1
2aから軸方向に吸入され、固定子1を冷却し排気孔1
2bから径方向に排出される。ファン11の回転による
冷却風は、同様に矢印Dのように、後ブラケット13の
吸気孔13aから吸入され、整流器18、電圧調整器1
9、ブラシ保持器20、固定子1を冷却し、排気孔13
bから排出される。
【0010】このように、前ファン10と後ファン11
とは、不等角度間隔に配設された11枚と13枚の羽根
とを有し、羽根の枚数がともに奇数でかつ互いに異なる
枚数にされ、さらに回転子の磁極数12極とも異なる数
にされている。これによりファン10と11とによる各
風音のスペクトルの次数成分分散を図り、また11次成
分同志が重ならず、かつ磁極鉄心5、6の磁極歯及び間
隙(各歯数6、間隙数12)による風音のスペクトルの
6次、12次成分とも重ならないようにして、風音のス
ペクトルの次数分散を図り、風音の低減を図るものであ
る。
【0011】さらに前ブラケット及び後ブラケットの吸
気孔12a、13aの数を上述のように12個とし、各
ファン10、11の羽根の枚数と異ならせている。
【0012】図14は、この11枚と13枚羽根のファ
ンを用いたときの風音のスペクトルを縦軸に、パワーレ
ベル[dBA]をとって、交流発電機(ファン)の回転
数をパラメータにして示す特性図であり、例えば曲線R
は交流発電機の回転数が15000〔rpm〕のときの
スペクトルを示し、図中の曲線の各極大値部に記した数
字は各々6、7、…11、13、15次成分等である。
交流発電機の回転数を変化させると図示の如く変化し、
回転数が15500、16000〔rpm〕のときには
それぞれ曲線S,Tの如きスペクトルを示し、いずれの
場合においても、両ファンによる11、13、15次成
分が重なって、パワーレベルが高くなっている。なお、
図14において、6次、12次成分は回転子の磁極歯5
a,6a(各6個)およびこの磁極歯で形成される間隙
数(磁極数に対応)(12個)によるものである。
【0013】そこで、これをさらに改良すべく本願の発
明者のうちの一人によって発明され、特願平5ー120
010号(未公開)にて出願された発明がある。図15
は、この改良された従来の交流発電機のファンの組合せ
を示すものであり、図15(A) 及び(B) はそれぞれ前フ
ァン及び後ファンの正面図である。回転子等の構成は図
11〜図13に示された従来のものと同様であるが、フ
ァンの羽根の枚数の組合わせを改良し、風音を低減して
いる。
【0014】図15(A) において、30は磁極鉄心5の
端部に固着される前ファンで、実開平3ー7648号に
記載されたファンと同様の構成を有するものであり、6
枚の曲面状の羽根30a、30b、30cと4枚の平面
状の羽根30d、30eが折曲げにより放射方向に不等
角度間隔に設けられ、羽根30a〜30eの外径及び内
径が回転中心を中心とする円形CR3及びCR4をなす
円形ファンにされている。図13(B) に示される後ファ
ン11と同様にプレスにより補強リブが設けられている
が図では省略している。図15(B) に示されたファン
は、図13(B) のファン11と同様のもので、13枚の
羽根11aを備えている。この従来例においても、磁極
鉄心5、6により、回転子の周壁上に12個の磁極が形
成されている。
【0015】このように、前ファン30及び後ファン1
1の羽根を不等角度間隔にして風音のスペクトルの次数
の分散を図るとともに前ファン30の羽根の枚数を偶数
(10枚)とし、後ファン11の羽根の枚数を奇数(1
3枚)として前、後両ファンによる風音のスペクトルの
次数成分が重ならないようにし、かつ回転子が12極で
あるので、この磁極鉄心5、6による風音のスペクトル
のパワーレベルの高い6次成分とも重ならないようにし
て風音の低減を図っている。
【0016】なお、三相交流発電機の場合、固定子鉄心
2のスロット数は、回転子が12極のときは36、16
極のときは48であり(毎極毎相のスロット数1の場
合)、ファンの羽根の枚数が12枚のときは、この3倍
の36次成分がこれに重なり風音が大となるので上述の
ように羽根枚数を12枚にするのを避けている。
【0017】図16は、この10枚と13枚の羽根のフ
ァンを用いたときの風音のスペクトルを交流発電機(フ
ァン)の回転数をパラメータにして示す特性図であり、
例えば各曲線U、V、Wは発電機の回転数が1500
0、15500、16000〔rpm〕のときのスペク
トルを示し、図14に示された特性図に比し次数成分が
分散され、特に11、15次成分が低減されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の交流発電機は、風音の低減を、主として風音
のスペクトルの次数分散、すなわちホワイトノイズ化に
より図っているが、例えば図16において交流発電機の
毎分の回転数が15000〜16000回転のとき1
1、12、15次成分による2750〜4000[H
z]の範囲の成分が比較的大きく(特性U〜W参照)、
特に3kHz以上の周波数成分は硬い不快な風音とな
り、騒音対策上充分でない場合があった。
【0019】この発明は、このような問題点を解決する
ためになされたもので、風音のスペクトルの次数分散を
図るとともに、風音のスペクトルを周波数に反比例する
ような分布、いわゆる1/fゆらぎの形に近づけて不快
感を効果的に軽減できる交流発電機を得ることを目的と
する。
【0020】
【課題を解決するための手段】この発明にかかる交流発
電機は、周壁面上に複数対の磁極が形成されるとともに
一対のブラケットに回転自在に支持された円筒状の回転
子、放射方向に配設された複数枚の羽根を有し磁極鉄心
にそれぞれ取付けられ外気を導入孔から導入して排気孔
から排出することにより機内を通風冷却する一対のファ
ン、及び回転子に固設され各ファンの羽根により発生す
る風音のスペクトルの次数成分よりも低い次数の風音成
分を発生する低次次数成分発生手段を設けたものであ
る。
【0021】また、請求項1記載の回転子に励磁コイル
と外周部に軸方向に突出されるとともに櫛形に配置され
た複数の磁極歯を有する一対の磁極鉄心とを設けこの一
対の磁極鉄心により上記励磁コイルを挟持するとともに
磁極歯を軸方向に間隙を設けて互いに噛合うように対向
させて回転軸に嵌着して複数対の磁極が形成される円筒
状の周壁面を構成するようにし、低次次数成分発生手段
を複数の磁極歯及び各ファンの羽根により発生する風音
のスペクトルの何れの次数成分よりも低い次数の風音成
分を発生するものとしたものである。
【0022】請求項3に係る発明は、請求項1または請
求項2における一対のファンの各羽根を放射方向に不等
角度間隔に設けるとともに一方のファンの羽根の枚数を
偶数枚とし他方のファンの羽根の枚数を奇数枚としたも
のである。
【0023】請求項4に係る発明は、請求項3における
交流発電機を三相交流発電機とし、一方のファンの羽根
の枚数を10枚とし他方のファンの羽根の枚数を13枚
としたものである。
【0024】請求項5に係る発明は、請求項1ないし請
求項4記載の一対のファンの少なくとも一方を非円形形
状とすることにより低次次数成分発生手段としたもので
ある。
【0025】請求項6に係る発明は、請求項5記載の一
対のファンの少なくとも一方を非円形点対称形状とする
とともにその重心を回転子の回転中心と一致させて回転
子に固着することにより低次次数成分発生手段としたも
のである。
【0026】請求項7に係る発明は、請求項1ないし請
求項4記載の一対のファンの少なくとも一方を円形形状
にするとともに回転子の回転中心に対して偏心させて回
転子に固着することにより低次次数成分発生手段とした
ものである。
【0027】請求項8に係る発明は、請求項7記載の偏
心させて回転子に固着されたファンにファンの偏心方向
と反対側に位置するようにバランス用重錘を設けるとと
もに回転子にファンの偏心方向側に位置するように除肉
部を設けたものである。
【0028】請求項9に係る発明は、請求項1ないし請
求項4記載の一対のファンの少なくとも一方のファンに
低次次数成分発生部材を設けて低次次数成分発生手段と
したものである。
【0029】請求項10に係る発明は、請求項9記載の
ファンの羽根にこの羽根から半径方向に延在された延在
部材を設けて低次次数成分発生部材としたものである
【0030】請求項11に係る発明は、請求項10記載
のファンを円形形状にするとともに羽根にこの羽根から
半径方向に延在された延在部材を設けてこのファンを回
転子の回転中心と同心にして回転子に固着して低次次数
成分発生部材としたものである
【0031】
【作用】請求項1に係る発明においては、回転子ととも
に回転する低次次数成分発生手段が、各ファンの羽根に
より発生する風音のスペクトルの次数成分よりも低い次
数の風音成分を発生する。ファンの羽根によって発生す
る風音に、低い次数の風音成分を加えることにより、風
音のスペクトル分布が改善され、風音のスペクトル成分
の強さが周波数に反比例するような分布の風音、いわゆ
る1/fゆらぎの風音に近づき、不快感が軽減される。
【0032】請求項2に係る発明においては、低次次数
成分発生手段が一対のファンの羽根及び磁極鉄心の磁極
歯により発生する風音のスペクトルの次数成分の何れよ
りも低い次数の風音成分を発生する。ファンの羽根によ
って発生する風音に、低い次数の風音成分を加えること
により、風音のスペクトル分布が改善され、風音のスペ
クトル成分の強さが周波数に反比例するような分布の風
音、いわゆる1/fゆらぎの風音に近づき、不快感が軽
減される。低次次数成分発生手段によって発生する風音
の次数成分は、磁極歯によって発生する風音の次数成分
よりも低くなるようにしているので、磁極歯による風音
が大きい場合でも風音の次数成分が分散され、スペクト
ル分布が確実に改善される。
【0033】請求項3に係る発明においては、各ファン
の羽根は放射方向に不等角度間隔に設けられかつ一方の
ファンの羽根の枚数を偶数枚とし他方のファンの羽根の
枚数を奇数枚としているので、各ファンによる風音の次
数成分が広く分散される。従って、風音が低減し、これ
に低次次数成分発生手段による低次成分が加わることに
より風音のスペクトル分布が改善され、風音の低下とス
ペクトル分布の改善との相乗効果により風音に対する不
快感が一層軽減される。
【0034】請求項4に係る発明においては、一方のフ
ァンの羽根の枚数が10枚であり、他方のファンの羽根
の枚数が13枚であるので、両ファンにより発生する風
音の次数成分の分散が効果的に図られて風音が低減さ
れ、これに低い次数の成分が加わって風音に対する不快
感が一層軽減される。
【0035】請求項5に係る発明においては、ファンが
非円形形状とされているので、ファンの回転にともない
回転子の回転数に対する次数の低い風音成分が発生し、
風音のスペクトル分布が改善され、風音に対する不快感
が軽減される。
【0036】請求項6における発明においては、ファン
は非円形点対称形状でその重心を回転子の回転中心と一
致させているので、回転バランスをとることを要しな
い。また、製作誤差等によってアンバランスが生じても
僅かであるので調整が容易である。
【0037】請求項7に係る発明においては、円形のフ
ァンが回転子の回転中心に対して偏心して固着されてい
るので、ファンの回転にともない、回転子の回転数に対
する1次、3次等の低い次数の風音成分が発生し、風音
のスペクトル分布が改善される。また、ファンは円形な
ので製作が容易である。
【0038】請求項8に係る発明においては、ファンに
設けられたバランス用重錘と、回転子に設けられた除肉
部との双方を調整することにより、例えばバランス用重
錘にて粗調整を行い除肉部により微調整を行うことによ
り、容易に回転バランスをとることができる。また、フ
ァンは円形なので製作が容易である。
【0039】請求項9に係る発明においては、ファンに
設けられた低次次数成分発生部材が低い次数の風音成分
を発生して、風音のスペクトル分布を改善する。なお、
ファンに低次次数成分発生部材を設けた構成であるの
で、構成が簡単で製作も容易である。
【0040】請求項10に係る発明においては、ファン
の羽根から半径方向に延在して設けられた延在部材がフ
ァンの回転にともない低い次数の風音成分を発生し、風
音のスペクトル分布を改善する。なお、ファンの羽根か
ら延在させた延在部材を低次次数成分発生部材としたの
で、構成が簡単で製作が容易である。
【0041】請求項11に係る発明においては、円形形
状にされたファンは回転軸の回転中心と同心に固着され
ているのでファンの効率が良く、またファンが円形であ
り、延在部材の構成も簡単であるので、製作が容易であ
る。
【0042】
【実施例】
実施例1.図1は、この発明の一実施例を示す交流発電
機の前ファンと後ファンとの組合せを示すもので、図1
(A) は前ファンの正面図、図1(B) は後ファンの正面図
であり、前後一対のファンを各々非円形点対称形状であ
る楕円形形状にしたものである。回転子等の構成は、図
11及び図12に示された従来のものと同様である。
【0043】図1において、40は磁極鉄心5(図11
参照)に取付けられる前ファンであり、曲面状の11枚
の羽根40aが不等角度間隔にかつその外径が横軸の長
さが長く縦軸の長さが短い、長軸の長さaに対する短軸
の長さbの比(以下長短軸比という)が約0.9にされ
た楕円形形状EC1をなすように設けられている。ま
た、羽根40aの内径部も同様に長軸に対する短軸の比
が約0.9の楕円上にあるようにされている。なお、図
においてCR5は回転子の外形円である。この羽根40
は、鋼板をプレスにて打抜くとともに図示しない補強リ
ブを加工した後、治具により図のように手前方向に折曲
げることにより製作されている。また、図示を省略して
いるが、図1(B) に示される後ファン31と同様に補強
リブがプレスにより設けられている。
【0044】図1(B) において、41は磁極鉄心6の側
面(図10参照)に取付けられる後ファンであり、平面
状の13枚の羽根41aが前ファン40と同様に不等角
度間隔にかつその長短軸比が約0.9の楕円形EC1を
なすように設けられている。なお、後ファン41は鋼板
から前ファン40と同様の工程を経て製作される。上記
のような一対のファン40、41が、おのおのの長軸が
軸方向からみて重なるようにしてかつ回転軸と同心にし
て図11に示された磁極鉄心5、6の側面に加締めによ
り固着され、この発明における低次次数成分発生手段を
構成している。なお、各ファンは楕円形形状にされその
重心を磁極鉄心の回転中心と一致させて固着されている
ので、各ファンのために回転バランスをとることを要し
ないか、製作誤差等によってアンバランスが生じても僅
かであり、調整が容易である。
【0045】なお、前ブラケットの吸気孔は図12に示
されたものと同様であり、12個の吸気孔12aを有
し、前ファン40の羽根の枚数(11枚)と異なる個数
とされている。また、図示しないが、後ブラケットの吸
気孔の数も12個であり、後ファン41の羽根枚数(1
3枚)と異なる偶数にされている。さらに、これらファ
ンによる風音のパワーレベルの高い次数成分は、回転子
の磁極歯(図1の例では12個)による風音のスペクト
ルの6、12次成分とも重ならない。
【0046】これにより、前ファン40と後ファン41
とによる風音のスペクトルの分散を図り、またファンに
よる風音のパワーレベルの高い次数成分と磁極鉄心5、
6によるパワーレベルの高い6次、12次成分とが重な
らないようにしてスペクトルの次数分散を効果的に行
い、風音を低下させている。さらに、上述のように吸気
孔の数を、対応する各ファンの羽根枚数とそれぞれ異な
らしめ、パワーレベルの高い次数のもの同志が重なるこ
とを防止している。これに、楕円形のファン40、41
により発生する2次、4次成分等が加わり、風音のスペ
クトルが改善され、スペクトルの次数成分のパワーレベ
ルが周波数に反比例する形になる、人に快感を与えるい
わゆる1/fゆらぎを有する風音に近づき、風音の低下
と相俟って不快感が大幅に低減される。
【0047】図2は、図1の実施例における風音のスペ
クトルであり、曲線H、J、Kは発電機の回転数が15
000、15500、16000〔rpm〕のときのス
ペクトルをそれぞれ示し、楕円形のファン40、41に
より発生した2次、4次成分が加わり、いわゆる1/f
ゆらぎの形に近づいている。
【0048】実施例2.図3は、この発明の他の実施例
を示す交流発電機の前ファンと後ファンとの組合せを示
すもので、図3(A) は前ファンの正面図、図3(B) は後
ファンの正面図である。各ファンの形状を楕円形形状と
し、羽根の枚数が10枚のものと13枚ものとに変えた
ものである。
【0049】図3(A) において、42は前側の磁極鉄心
の側面に固着される前ファンで、図示のように6枚の曲
面状の羽根42a〜42cと4枚の平面状の羽根42d
〜42eとが不等角度間隔にかつその長短軸比が約0.
8とされた楕円形形状をなすように設けられている。な
お、図1(B) に示される後ファン41と同様にプレスに
より補強リブが設けられているが、図示を省略してい
る。この羽根42は、図1(A) に示された前ファン40
と同様にして鋼板から製作される。
【0050】図3(B) において、43は後側の磁極鉄心
の側面に取付けられる後ファンであり、平面状の13枚
の羽根43aが前ファン42と同様に不等角度間隔にか
つその長短軸比が約0.8とされた楕円形形状をなすよ
うに設けられている。羽根43aの中央部及びファン4
3の平板部43bには補強のために打出しリブ43cが
設けられている。43dは羽根の裏面側に紙面の手前側
へ突出して設けられた突状部であり、磁極鉄心の側面と
の間にスリップリングから励磁コイルへの接続線を通す
ためのものである。なお、図3中の円弧状の矢印A、B
は各ファン42、43の回転方向を示す。なお、後ファ
ン43は鋼板から前ファン42と同様の工程を経て製作
される。ファン42、43が、おのおのの長軸が軸方向
からみて直交するように180度回転させてかつ回転軸
の回転中心とその中心を合わせて図11に示された磁極
鉄心5、6と同様の磁極鉄心の側面に加締めにより固着
されてこの発明における低次次数成分発生手段を構成し
ている。
【0051】なお、図示を省略しているが前ブラケット
の吸気孔は図12に示された吸気孔12aと同様の扇状
の形状を有するが、扇状部の角度を若干狭くして奇数の
17個とし、前ファン42の羽根の枚数(10枚)と一
致しないようにしている。回転子の磁極歯(図1の例で
は12個)による風音のスペクトルは6、12次成分を
有するが、前ファン42による10次成分とは重ならな
い。また、後ブラケットの吸気孔の数は12個であり、
後ファン43の羽根枚数(13枚)と一致しないように
偶数にしている。
【0052】図4は、図3の実施例における風音のスペ
クトルであり、曲線L、M、Nは発電機の回転数が15
000、15500、16000〔rpm〕のときのス
ペクトルをそれぞれ示すが、ファン42と43による風
音のパワーレベルの高い次数成分次数成分同志が重なら
ず、またファンによる風音のパワーレベルの高い次数成
分と磁極鉄心5、6による風音のスペクトルのパワーレ
ベルの高い6次、12次成分とも重ならず、スペクトル
の次数分散がより効果的に行われ、これに楕円形のファ
ン42、43により発生した2次、4次成分等が加わ
り、いわゆる1/fゆらぎの形に近づき、風音の低下と
相俟って不快感が一層低減される。
【0053】実施例3.図5は、この発明の他の実施例
を示す交流発電機の前ファンと後ファンとの組合せを示
すもので、図5(A) は前ファンの正面図、図5(B) は後
ファンの正面図である。各ファンの形状を非円形点対称
形状である陸上競技場の競争路状とし、羽根の枚数が1
2枚のものと10枚のものとにしたものである。なお、
回転子等の形状は図1に示された実施例1と同様であ
る。
【0054】図5(A) において、44は前側の磁極鉄心
の側面に固着される前ファンで、図示のように羽根の外
径は左右の半円形部FC1A、FC1Cとこの両半径部
の間に設けられた直線部FC1Bとを有する競争路状を
なすように、また羽根の内径は左右の半円形部FC2
A、FC2Cとこの両半径部の間に設けられた直線部F
C2Bとを有する競争路状をなすようにされており、左
右の半円形部に合計12枚の平面状の羽根44aが不等
角度間隔に設けられている。
【0055】つまり、12枚の不等角度間隔に設けられ
た羽根44aを有する円形のファンを2等分して2つの
半円形部FC1A、FC1Cとして各半円の中心点Q
1,Q2を回転子の回転中心Pからおのおの左右にδだ
けずらし、間に直線部FC1Bを設けた形状をしてい
る。ファンの羽根44a及び平板部44bには、図1
(B)に示される後ファン41と同様にプレスにより打出
された補強リブ44cが設けられている。なお、CR5
は回転子の外径を示す図1のものと同様の円である。こ
の羽根44は、図1(A) に示された前ファン40と同様
にして鋼板から打抜きにより製作される。
【0056】図5(B) において、45は後側の磁極鉄心
の側面に取付けられる後ファンであり、6枚の曲面状の
羽根45a〜45cと4枚の平面状の羽根45d、45
eとが前ファン44と同様に不等角度間隔にかつその外
径が半円形部FC1A、FC1Cと直線部FC1Bを有
する競争路状をなすように、内径が半円形部FC2A、
FC2Cと直線部FC2Bを有する競争路状をなすよう
に設けられている。なお、後ファン45は前ファン44
と同様の工程を経て鋼板から製作される。ファン44、
45が、おのおのの長軸側が回転子の軸方向からみて重
なるようにして回転軸の回転中心とその中心を合わせて
図11に示された磁極鉄心5、6と同様の磁極鉄心の側
面に加締めにより固着されてこの発明における低次次数
成分発生手段を構成している。
【0057】実施例4.図6、図7は、さらにこの発明
の他の実施例を示すもので、図6(A) は前ファンの磁極
鉄心への取付を示す説明図、図6(B) は前ファン及び磁
極鉄心に設けるバランス用重錘と除肉部を示す説明図、
図7は磁極鉄心に固着された前ファンを示す正面図であ
る。各ファンの形状が円形であり、回転軸に対して偏心
して磁極鉄心に取付けられている点と回転子の極数が1
6極である点が異なる。その他の構成については、図1
に示された実施例1と同様である。
【0058】図6において、50は前側の磁極鉄心であ
り、図11に示された磁極鉄心5と同様のものであり、
8個の磁極歯50a(図7参照)を有し、図示しない後
側の磁極鉄心の8個の磁極歯と合わせて16個の磁極歯
で16極の回転子を形成しており、その外径は円CR6
をなす。磁極鉄心50は、その側面に磁極鉄心50の回
転中心Pと同心にして円形の突設部50bが設けられて
いる。50cは回転バランスを取るために磁極歯50a
の外周部に設けられた除肉部である。
【0059】図6、図7において、51は磁極鉄心50
の側面に固着された前ファンであり、前ファンの幾何学
的中心Qから図のように寸法δ偏心させて設けられた前
ファンの円形の偏心孔51gを介して磁極鉄心50の突
設部50bに嵌合され、加締めにより固着されている。
前ファン51は、図15(A) に示された従来の前ファン
30の径を回転子50の径CR6よりも若干小さい円形
CR7としたものであり、図7にその詳細を示すように
6枚の曲面状の羽根51a〜51cと4枚の平面状の羽
根51d、51eとの計10枚の羽根が角度θ1〜θ5
の不等角度間隔にかつ各羽根の外径部及び内径部がそれ
ぞれ円形をなすように設けられている。51fは前ファ
ン51の羽根51b、51cの内側に溶接されたバラン
ス用重錘であり、図7に示されるように図の正面側から
みて断面3角形の棒状の形状を有している。このバラン
ス用重錘51fは予め前ファンの重量及びその偏心値δ
に合わせてその重量が所定値に調整されている。
【0060】また、図示しないが、図15(B) に示され
た従来の後ファン11の外形を前ファン51と同様に外
径が円形CR7をなす後ファンが後側磁極鉄心に回転中
心Pから寸法δだけ偏心させて後ファンの幾何学的中心
が前ファンの幾何学的中心Qと軸方向からみて一致する
ようにして後側の磁極鉄心に加締めにより固着され、前
ファン51とともにこの発明における低次次数成分発生
手段を構成している。
【0061】上記のような前及び後ファンが取付けられ
た回転子は、磁極鉄心の磁極歯50aの外周部に除肉部
を設けることにより回転バランスの微調整が行われる。
前及び後ファンの回転に伴い1次、3次等の次数成分を
含む風音が発生し、風音のスペクトルが改善される。
【0062】実施例5.図8は、さらにこの発明の他の
実施例を示す前ファンの取付図である。図において、5
2は前ファンであり、図15(A) に示された従来の前フ
ァン30と同様に外径方向に向うにしたがって反回転方
向に曲げられた6枚の曲面状の羽根30a、30b、3
0cと4枚の平面状の羽根30d、30eが図のように
角度θ1〜θ5の不等角度間隔に配置されるとともに、
各羽根の外径部及び内径部が同心円状をなすようにされ
ている。52f(左方側)は羽根30bを内径方向に延
長して設けられたこの発明における延在部材である延長
部材である。
【0063】前ファン52は、鋼板から羽根30b(左
方)の部分を打抜くとき予め延長部材52fに相当する
長さだけ延長したものとしておき、これを曲げて羽根3
0bとするときに同時にこの発明における延在部材とし
ての延長部材52fが形成されるようにしたものであ
る。前ファン52は、円形でありかつ延長部材52fを
上記のようにして形成するので、製作が容易である。
【0064】上記のようにされた前ファン52が、磁極
鉄心5(図10参照)に回転軸と同心にして固着され、
磁極鉄心の磁極歯に図のように除肉部53を設けること
により回転バランスがとられる。そして、この前ファン
が回転することにより1次、3次等の次数の風音成分を
発生する。なお、説明を省略したが図15(B) に示され
た後ファン11の羽根11aのうちの1枚に同様にして
延長部材を設けたものがこの実施例5における後ファン
とされている。なお、このような前ファンは、回転子の
回転中心に対して偏心させる必要がないので磁極鉄心の
外径CR6(図6参照)の大きさにあわせてその外径を
大きくとることができ、かつ円形形状なのでファンの効
率がよい。
【0065】実施例6.図8に示した実施例5において
は、延長部材52fはファン52の羽根30bの一方に
設けたが、この羽根と回転中心に関して点対称の位置に
ある他方の羽根30bにも設けても良く、この場合は、
回転数に対する2次、4次等の低次成分を含む風音が発
生することになる。また、回転中心に関して互いに点対
称の位置にある2枚の羽根30bに延長部材が設けられ
ているので、基本的には回転バランスの調整を要せず、
製作上の誤差で回転バランスの調整を要する場合でも容
易に調整できる。
【0066】実施例7.図9は、さらにこの発明の他の
実施例を示す前ファンの取付図である。図において、5
4は前ファンであり、図7に示された前ファン51と同
様に外径方向に向うにしたがって反回転方向に曲げられ
た6枚の曲面上の羽根51a、51b、51cと4枚の
平面状の羽根51d、51eが図のように角度θ1〜θ
5の不等角度間隔に配置されるとともに、各羽根の外径
部及び内径部がおのおの回転中心を中心とする同心円状
をなすようにされている。54a、54bは図の左側の
曲面状の羽根51cを外径方向及び内径方向にそれぞれ
延長して設けられた延長部材である。
【0067】前ファン54は、鋼板から羽根51cの部
分を打抜くとき予め延長部材54a、54bに相当する
長さだけそれぞれ延長したものとしておき、これを曲げ
て羽根51cとするときに同時にこの発明における延在
部材としての延長部材54a、54bが形成されるよう
にしたものである。前ファン54は、円形でありかつ延
長部材54a、54bを上記のようにして形成するの
で、製作が容易である。
【0068】上記のような前ファン54が、図7に示さ
れた実施例4におけるものと同様に磁極鉄心50に偏心
して固着され、図9の右側の磁極歯50aに図示しない
除肉部を設けることにより回転バランスがとられる。な
お、延長部材54a、54bの大きさが大きくされてい
るので、除肉部は小さくて良いか、延長部材54a、5
4bの大きさを適当に設計して除肉部を設けなくとも良
いようにできる。そして、この前ファン54が回転する
ことにより1次、3次等の次数成分を含む風音を発生す
る。なお、説明を省略したが図15(B) に示された後フ
ァン11の外径を回転子の外径CR6よりも若干小さく
して羽根のうちの1枚に同様にして延長部材を設けて回
転軸の軸に対して偏心させて取付けたものがこの実施例
6における後ファンとされている。
【0069】実施例8.図10は、さらにこの発明の他
の実施例を示す交流発電機の縦断面図である。図10に
おいて、61は後ブラケット、61aは後ブラケットの
外面に設けられた複数の外気の給気孔、61bは後ブラ
ケットの外周部に設けられ給気孔61aから機内に給気
された外気を排出する排気孔である。62は椀状のカバ
ーであり、その外端面に吸気孔62aを有し、後ブラケ
ット61の外部に配設されたスリップリング9、整流器
18、電圧調整器19及びブラシ保持器20を覆ってい
る。そして、前側の磁極鉄心5の側面には図3(A) に示
された楕円形の10枚羽根の前ファン42が、後側の磁
極鉄心6の側面には図3(B) に示された楕円形の13枚
羽根の後ファン43が固着されている。その他の構成に
ついては図12に示された交流発電機の構成と同様であ
る。
【0070】後ファン43の回転による冷却風は、矢印
Dのように、カバー62の吸気孔62aから吸気され、
後ブラケット61の給気孔61aを通って機内に導入
(給気)され、機内を冷却して排気孔61bから排出さ
れる。すなわち、ファンはブラケットの内側に設けるこ
とは必須要件ではなく、本実施例のようにブラケットの
外部にあるものであっても同様の効果を奏する。なお、
本願発明においては、実施例1〜7に示した外気の吸
入、吸入孔及び実施例8に示した外気の給気、給気孔を
総称して外気の導入、導入孔と称する。
【0071】また、図8、図9に示した実施例5、実施
例7においては、延長部材52fあるいは54a、54
bを羽根30bあるいは51cと一体に鋼板から打抜い
て形成するものであるが、別部材を羽根に溶接して延長
部材を構成しても良いし、さらに羽根とは別に、鋼板な
どで形成された低次次数成分発生部材をファンの平板部
(図1(B)の平板部41b参照)に溶接等により設ける
ようにしても良い。また、設ける個数は必要に応じて3
個あるいはこれ以上としても良い。
【0072】さらに、ファンは鋼板からプレスにて打抜
いて形成するものを示したが、これに限られるものでは
なく、例えばアルミニュウム合金の鋳造品や合成樹脂に
よる成形品であっても良いし、鋳造による場合図7にお
いて左側の羽根51b、51c、51d等の肉厚を右側
の羽根51b、51c、51dよりも厚くしてバランス
用重錘を兼ねるようにすることもできる。
【0073】実施例1〜8において、楕円形、競争路
状、あるい延在部材を設けた円形等の形状を有し、羽根
枚数も10枚、11枚、13枚等で、また種々の延長部
材を設けたファンを、回転子の回転軸と同心にあるいは
偏心させて磁極鉄心に固着したものを示したが、前ファ
ンと後ファンとの組合わせは、これらの実施例に限られ
るものではなく、この発明の目的を損なわない範囲で必
要に応じてファンの形状、羽根枚数、回転子へ同心ある
いは偏心にての固着、延在部材の個数や設け方等を任意
に組合わせて同様の効果を奏するようにすることができ
る。
【0074】また、回転子の極数はこの種三相交流発電
機においては、12極、16極等のものが一般的である
が、8極、24極等他の極数を有するものであっても良
いし、交流発電機は単相交流発電機であっても良い。回
転子は、磁極鉄心の櫛形に配置された磁極歯が間隙
(溝)を介して軸方向に対向するように構成され、この
間隙(前及び後の磁極鉄心の磁極歯数の合計と同数)及
び各磁極鉄心に設けられた磁極歯と磁極歯との間の溝に
より磁極数及び磁極歯数の整数倍の次数を有する風音が
発生するので、これらの極数に応じて風音の次数成分が
分散するように各ファンの羽根の枚数を選択すればよ
い。なお、磁極歯と磁極歯との間の間隙(溝)を樹脂等
で充填して回転子の周壁面を平滑化して風音を低減した
ものや永久磁石式の回転子のものであっても同様の効果
を奏する。
【0075】
【発明の効果】この発明の請求項1にかかる交流発電機
は、周壁面上に複数対の磁極が形成されるとともに一対
のブラケットに回転自在に支持された円筒状の回転子、
放射方向に配設された複数枚の羽根を有し回転子にそれ
ぞれ取付けられ外気を導入孔から導入して排気孔から排
出することにより機内を通風冷却する一対のファン、及
び磁極鉄心に固設され各ファンの羽根により発生する風
音のスペクトルの次数成分よりも低い次数の風音成分を
発生する低次数成分発生手段を設けたので、低次次数成
分発生手段による、各ファンの羽根により発生する風音
のスペクトルの次数成分よりも低い次数成分が、ファン
による風音に加わり、風音のスペクトル成分の強さが周
波数に反比例するような分布の風音、いわゆる1/fゆ
らぎの風音に近づき、不快感が軽減される。
【0076】また、この発明の請求項2にかかる交流発
電機は、回転子に励磁コイルと外周部に軸方向に突出さ
れるとともに櫛形に配置された複数の磁極歯を有する一
対の磁極鉄心とを設けこの一対の磁極鉄心により励磁コ
イルを挟持するとともに磁極歯を軸方向に間隙を設けて
互いに噛合うように対向させて回転軸に嵌着して複数対
の磁極が形成される円筒状の周壁面を構成し、低次次数
成分発生手段を複数の磁極歯及び各ファンの羽根によっ
て発生する風音のスペクトルの次数成分よりも低い次数
成分が発生するように構成したので、磁極歯による風音
も含めて風音のスペクトルが改善されていわゆる1/f
ゆらぎの風音に近づき、風音に対する不快感を軽減され
る。
【0077】この発明の請求項3にかかる交流発電機
は、一対のファンの各羽根を放射方向に不等角度間隔に
設けるとともに一方のファンの羽根の枚数を偶数枚とし
他方のファンの羽根の枚数を奇数枚としたので、各ファ
ンによる風音の次数成分が分散されて風音が低減し、こ
れに低次次数成分発生手段による低い次数成分が加わる
ことにより風音のスペクトルが改善されるので、風音の
低下とスペクトル分布の改善の相乗効果により風音に対
する不快感が一層軽減される。
【0078】この発明の請求項4にかかる交流発電機
は、交流発電機を三相交流発電機とし、一対のファンの
各羽根を放射方向に不等角度間隔に設けるとともに一方
のファンの羽根の枚数を10枚とし他方のファンの羽根
の枚数を13枚としたので、両ファンにより発生する風
音の次数成分が分散されて風音が効果的に低減され、さ
らに低次次数成分の発生と相俟って風音に対する不快感
が一層軽減される。
【0079】この発明の請求項5にかかる交流発電機
は、一対のファンの少なくとも一方を非円形形状とする
ことにより低次次数成分発生手段としたので、このファ
ンの回転にともない、次数の低い風音成分が発生し、風
音のスペクトル分布が改善され、風音に対する不快感が
軽減される。
【0080】この発明の請求項6にかかる交流発電機
は、一対のファンの少なくとも一方を非円形点対称形状
としたので、バランサを設けることは必須要件ではなく
なる。
【0081】この発明の請求項7にかかる交流発電機
は、一対のファンの少なくとも一方を円形形状にすると
ともに回転子の回転軸に対して偏心させて回転子に固着
することにより低次次数成分発生手段としたので、構成
が簡単であり、また形状が円形なので製作が容易であ
る。
【0082】この発明の請求項8にかかる交流発電機
は、偏心させて回転子に固着された円形のファンに偏心
方向と反対側に位置するようにバランス用重錘を設ける
とともにファンの偏心方向側に位置するように回転子に
除肉部を設けたので、ファンに設けられたバランス用重
錘と、回転子に設けられた除肉部との双方を調整するこ
とにより、例えばバランス用重錘にて粗調整を行い除肉
部により微調整を行うことにより、容易に回転バランス
をとることができる。さらに、ファンは円形なので構成
が簡単で、製作が容易である。
【0083】この発明の請求項9にかかる交流発電機
は、一対のファンの少なくとも一方ファンに低次次数成
分発生部材を設けて低次次数成分発生手段としたので、
構成が簡単で製作も容易である。
【0084】この発明の請求項10にかかる交流発電機
は、一対のファンの少なくとも一方のファンの羽根にこ
の羽根から半径方向に延在された延在部材を設けてこの
延在部材を低次次数成分発生部材としたので、構成が簡
単で製作が容易である。
【0085】この発明の請求項11にかかる交流発電機
は、一対のファンの少なくとも一方のファンを円形形状
にするとともに羽根にこの羽根から半径方向に延在され
た延在部材を設けてこのファンを回転子の回転中心と同
心にして回転子に固着してこの延在部材を低次次数成分
発生部材としたので、ファンが有効に働きファン効率が
良く、またファンの形状が円形で延在部材の構成も簡単
であるので、製作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による交流発電機の実施例1を示す楕
円形形状の前ファンと後ファンの組合せを示すもので、
(A) 図は前ファンの正面図、(B) 図は後ファンの正面図
である。
【図2】図1の実施例1における風音のスペクトルを示
す特性図である。
【図3】この発明の実施例2を示す楕円形形状の前ファ
ンと後ファンの組合せを示すもので、(A) 図は前ファン
の正面図、(B) 図は後ファンの正面図である。
【図4】図3の実施例2における風音のスペクトルを示
す特性図である。
【図5】この発明の実施例3を示す競争路状の前ファン
と後ファンの組合せを示すもので、(A) 図は前ファンの
正面図、(B) 図は後ファンの正面図である。
【図6】この発明の実施例4を示す磁極鉄心に偏心して
固着された円形の前ファンを説明する説明図である。
【図7】この発明の実施例4における磁極鉄心に偏心し
て固着された円形の前ファンを示す正面図である。
【図8】この発明の実施例5を示す磁極鉄心に固着され
た前ファンを示す正面図である。
【図9】この発明の実施例7を示す磁極鉄心に固着され
た前ファンを示す正面図である。
【図10】この発明の実施例8を示す交流発電機を示す
縦断面図である。
【図11】従来の交流発電機を示す縦断面図である。
【図12】図11の従来の交流発電機を示す正面図であ
る。
【図13】従来の交流発電機の前ファンと後ファンを示
すもので、(A) 図は前ファンの正面図、(B) 図は後ファ
ンの正面図である。
【図14】図13の従来例における風音のスペクトルを
示す特性図である。
【図15】従来の改良された交流発電機の前ファンと後
ファンの組合せを示すもので、(A) 図は前ファンの正面
図、(B) 図は後ファンの正面図である。
【図16】図15の従来の改良された交流発電機におけ
る風音のスペクトルを示す特性図である。
【符号の説明】
1 固定子 4 回転子 5、6 磁極鉄心 5a、6a 磁極歯 7 励磁コイル 8 回転軸 12 前ブラケット 12a、12b 吸気孔、排気孔 13 後ブラケット 13a、13b 吸気孔、排気孔 15、16 軸受 40 楕円形の前ファン 40a 羽根(11枚) 41 楕円形の後ファン 41a 羽根(13枚) 42 楕円形の前ファン 42a〜42e 羽根(10枚) 43 楕円形の後ファン 43a 羽根(13枚) 44 競争路状の前ファン 44a 羽根(12枚) 45 競争路状の後ファン 45a〜45e 羽根(10枚) 50 磁極鉄心 50c 磁極鉄心の除肉部 51 円形の前ファン 51a〜51e 羽根(10枚) 51f バランス用重錘 52 円形の前ファン 52a〜52e 羽根(10枚) 52f 延長部材 54 円形の前ファン 54a、54b 延長部材 61 後ブラケット 61a、61b 給気孔、排気孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H02K 9/00 - 9/28

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定子コイルが装着された固定子、側面
    部に設けられた複数の導入孔と外周部に設けられた複数
    の排気孔とを有し上記固定子の両側にそれぞれ配設され
    た一対のブラケット、周壁面上に複数対の磁極が形成さ
    れるとともに上記一対のブラケットに回転自在に支持さ
    れた円筒状の回転子、放射方向に配設された複数枚の羽
    根を有し上記回転子にそれぞれ取付けられ外気を上記導
    入孔から導入して上記排気孔から排出することにより機
    内を通風冷却する一対のファン、及び上記回転子に固設
    され上記各ファンの羽根により発生する風音のスペクト
    ルの次数成分よりも低い次数の風音成分を発生する低次
    次数成分発生手段を備えた車両用交流発電機。
  2. 【請求項2】 外周部に軸方向に突出されるとともに櫛
    形に配置された複数の磁極歯を有する一対の磁極鉄心と
    励磁コイルとを回転子に設けこの一対の磁極鉄心により
    上記励磁コイルを挟持するとともに上記磁極歯を軸方向
    に間隙を設けて互いに噛合うように対向させて回転軸に
    嵌着して複数対の磁極が形成される円筒状の周壁面を構
    成するようにし、低次次数成分発生手段を上記複数の磁
    極歯及び各ファンの羽根により発生する風音のスペクト
    ルの何れの次数成分よりも低い次数の風音成分を発生す
    るものとした請求項1記載の車両用交流発電機。
  3. 【請求項3】 一対のファンの羽根をおのおの不等角度
    間隔に設けるとともに一方のファンの羽根の枚数を偶数
    枚とし他方のファンの羽根の枚数を奇数枚としたことを
    特徴とする請求項1または請求項2記載の車両交流発電
    機。
  4. 【請求項4】 車両用交流発電機を三相交流発電機と
    し、一方のファンの羽根の枚数を10枚とし他方のファ
    ンの羽根の枚数を13枚としたことを特徴とする請求項
    3記載の車両用交流発電機。
  5. 【請求項5】 一対のファンの少なくとも一方を非円形
    形状とすることにより低次次数成分発生手段としたこと
    を特徴とする請求項1ないし請求項4記載の車両用交流
    発電機。
  6. 【請求項6】 一対のファンの少なくとも一方を非円形
    点対称形状のファンとするとともにその重心を回転子の
    回転中心と一致させて回転子に固着して低次次数成分発
    生手段としたことを特徴とする請求項5記載の車両用交
    流発電機。
  7. 【請求項7】 一対のファンの少なくとも一方を円形形
    状とするとともに回転子の回転中心に対して偏心させて
    回転子に固着することにより低次次数成分発生手段とし
    たことを特徴とする請求項1ないし請求項4記載の車両
    用交流発電機。
  8. 【請求項8】 ファンの偏心方向と反対側に位置するよ
    うにファンにバランス用重錘を設けるとともにファンの
    偏心方向側に位置するように回転子に除肉部を設けたこ
    とを特徴とする請求項7記載の車両用交流発電機。
  9. 【請求項9】 一対のファンの少なくとも一方のファン
    に低次次数成分発生部材を設けて低次次数成分発生手段
    としたことを特徴とする請求項1ないし請求項4記載の
    車両用交流発電機。
  10. 【請求項10】 ファンの羽根にこの羽根から半径方向
    に延在された延在部材を設けてこの延在部材を低次次数
    成分発生部材としたことを特徴とする請求項9記載の車
    両用交流発電機。
  11. 【請求項11】 ファンを円形形状にするとともに羽根
    にこの羽根から半径方向に延在された延在部材を設けて
    このファンを回転子の回転中心と同心にして回転子に固
    着して上記延在部材を低次次数成分発生部材としたこと
    を特徴とする請求項10記載の車両用交流発電機。
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