JP2790838B2 - 澱粉の老化防止剤並びにこれを含む澱粉質原料及び澱粉含有食品 - Google Patents

澱粉の老化防止剤並びにこれを含む澱粉質原料及び澱粉含有食品

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は澱粉の老化防止効果が著しく向上した澱粉の
老化防止剤並びにこれを含む澱粉質原料及び澱粉含有食
品に関する。
<従来の技術及び発明が解決しようとする課題> 澱粉は、水分と共に加熱されると「糊化」が起って消
化吸収性が良くなるという性質を有し、各種の食品に独
特の形態やテクスチャーをつくりだすため、幅広く使用
されている。
ところが、製造後時間が経過した澱粉糊には、「老
化」という現象が見られる。澱粉が老化した場合、一般
的に食品が固くなり、又、ゲル化したり離水を起こした
りして商品価値が著しく低下し、さらに消化吸収性も大
きく減少する。
そこで、かかる老化を防止する方法が従来から検討さ
れている。
例えば、砂糖,ソルビトール,デキストリン等の親水
性物質を添加して老化を防止する方法が知られている。
しかし、この方法では十分な効果が得られず、しかも
使用法を誤まると、むしろ老化が促進されてしまうとい
う問題がある。
一方、特開昭60−62949号公報には、澱粉質原料の一
部にもち種大麦澱粉を用いることにより食品の老化を防
止する方法が開示されている。
しかし、澱粉にはその種類に特有のテクスチャー,風
味があるため、各種食品への応用には限界がある。
また、澱粉にモノグリセライド(グリセリン脂肪酸エ
ステル)やショ糖脂肪酸エステルなどの界面活性剤を添
加し、澱粉−界面活性剤複合体を形成させることにより
澱粉の老化を防止するという方法が知られている。
しかし、モノグリセライドやショ糖脂肪酸エステルは
低温水中への分散性が悪いので、この界面活性剤をアミ
ロース分子と十分に接触させるためには、界面活性剤を
ある程度大量に添加しなければならないという問題があ
る。
また、Cereal Chemistry 65(6),474〜483(1988)
には、澱粉に含まれる脂質をとり出しておいてこの脂質
を別の澱粉に添加することにより老化が進みにくくなる
ことが記載されている。
しかし、澱粉から抽出できる脂質は極少量であるの
で、この脂質を産業上利用することはできない。
なお、産業上多量に利用できる大豆レシチンを調製し
て澱粉の老化防止に用いることも考えられる。
しかし、実際に使用すると、多量に添加しなければ老
化防止効果が現れず、又、大量に添加すると大豆由来の
ために特有の風味が出てきてしまうという問題がある。
このように、澱粉の老化防止剤は従来から種々検討さ
れているが、実際に産業上使用し易いものはなかった。
本発明はこのような事情に鑑み、老化防止効果に優
れ、各種の澱粉質原料及び澱粉含有食品に使用すること
ができる澱粉の老化防止剤を提供することを目的とす
る。
<課題を解決するための手段> 前記目的を達成するために種々検討を重ねた結果、飽
和脂肪酸を主体としたリゾリン脂質を澱粉の老化防止剤
として使用したところ、今までにない効果が認められ本
発明を完成させた。
かかる本発明の澱粉の老化防止剤は、 構造式 但し、式中、 はアシル基を示し、且つその構成脂肪酸中の飽和脂肪酸
の割合は50%以上であり、又、Xは、 の群から選ばれたものを示す。
にて表される卵黄あるいは植物由来のリゾリン脂質を含
有することを特徴とする。
上記構造式(1)で表されるリゾリン脂質は、その構
成脂肪酸の50%以上が飽和脂肪酸であるため、澱粉中の
アミロースと複合体を形成する力が強く、これにより老
化防止効果が強く生じるものと推察される。
これに対し、例えば従来の大豆レシチンから得られる
リゾリン脂質は、その構成脂肪酸の大部分は不飽和脂肪
酸であるので、アミロースと複合体を形成しにくく、十
分な老化防止効果を得ることができないと推察される。
さらに、不飽和脂肪酸は酸化を受け易く、又、独特の植
物くささやにがみ等の原因となっている。
したがって、本発明の老化防止剤を構成するリゾリン
脂質は、大豆等の植物由来のリゾリン脂質に水素添加処
理を行い、構成脂肪酸中の飽和脂肪酸の割合を50%以上
としたものでもよい(詳細は後述する)。これにより、
老化防止効果が著しく向上すると共に、特有の色や風味
が改善される。
上記構造(1)で表されるリゾリン脂質の名称は、リ
ゾホスファチジルコリン(LPC)、リゾホスファチジル
エタノールアミン(LPE)、リゾホスファチジルセリン
(LPS)、リゾホスファチジン酸(LPA)、リゾホスファ
チジルグリセロール(LPG)、リゾホスファチジルイノ
シトール(LPI)であり、卵黄由来のリゾレシチンと
は、リゾホスファチジルコリン(LPC)、リゾホスファ
チジルエタノールアミン(LPE)であり、植物由来のリ
ゾリン脂質とは、リゾホスファチジルコリン(LPC)、
リゾホスファチジルエタノールアミン(LPE)、リゾホ
スファチジルセリン(LPS)、リゾホスファチジン酸(L
PA)、リゾホスファチジルグリセロール(LPG)、リゾ
ホスファチジルイノシトール(LPI)であり、これらリ
ゾリン脂質の製造例を以下に示す。
卵黄リン脂質を原料とする場合には、例えば、卵黄リ
ン脂質をホスフォリパーゼA2活性を有する酵素剤にて処
理する方法、又は卵黄リン脂質をホスフォリパーゼA2
処理した後その脂質成分を抽出する方法を採用すればよ
い。この際、例えば特開昭62−262998号公報の実施例1
に開示されている方法を採用すると酵素活性が残存して
いないものとなり、食品の変質等を防ぐ上で好ましい。
また、大豆等の植物由来のリン脂質を原料とする場合
には、例えばホスフォリパーゼA2処理を行ってリゾリン
脂質とした後、水素添加処理を行って構成脂肪酸中の飽
和脂肪酸の割合を50%以上とする必要がある。
このようにして得られるリゾリン脂質を含有する本発
明の老化防止剤は、必要に応じて、グリセリン脂肪酸エ
ステル及び/又はショ糖脂肪酸エステル等を併せて含有
するようにしてもよい。このように界面活性剤を併せて
用いると老化防止効果がさらに向上するようになる。ま
たこの際、リゾリン脂質とこれら界面活性剤とは単に混
合するだけでよいが、その混合割合はリゾリン脂質10重
量部に対して界面活性剤0.5〜20重量部とするのが、老
化防止効果を発揮する上で望ましい。
ここで、グリセリン脂肪酸エステルとは、脂肪酸とグ
リセリン又はポリグリセリンのエステル及びその誘導体
であり、グリセリン酢酸脂肪酸エステル,グリセリン乳
酸脂肪酸エステル,グリセリンクエン酸脂肪酸エステ
ル,グリセリンコハク酸脂肪酸エステル,グリセリンジ
アセチル酒石酸脂肪酸エステル,グリセリン酢酸エステ
ル,ポリグリセリン脂肪酸エステル,ポリグリセリン縮
合リシノレイン酸エステルなどを例示できる。また、シ
ョ糖脂肪酸エステルとは、脂肪酸とショ糖とのエステル
やショ糖酢酸イソ酢酸エステルをいう。
以上説明した本発明の老化防止剤、すなわち上記構造
式(1)にて表されるリゾリン脂質を含有し、さらに必
要に応じてグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖
脂肪酸エステルを添加した老化防止剤を澱粉原料に混合
すると本発明にかかる澱粉質原料となる。この澱粉質原
料を得るには老化防止剤と澱粉原料とを単に混合すれば
よく、かかる澱粉質原料を用いて澱粉含有食品を製造す
ると老化の起こりにくい製品となる。すなわち、製品直
後の物性を長く保つ製品を得ることができる。
ここで、老化防止剤の添加量は澱粉に対して0.05〜1
0.0%とすればよい。0.05%未満では老化防止効果が低
くなる傾向にあり、又、10%を超えて添加しても効果の
向上がほとんどなく、にが味等の風味に影響を及ぼすこ
とがあるからである。
そして、かかる澱粉質原料を用いて得られる本発明に
かかる澱粉含有食品としては、パン,カステラ,ケー
キ,シュークリームの皮等の洋菓子類;もち,だんご,
まんじゅう等の和菓子類;うどん,そば,ラーメン等の
メン類;カマボコ,ツミレ等の水産ねり製品類;ハム,
ソーセージ等の畜肉製品類;フラワーペースト,サラダ
ドレッシング等の乳化食品類;ポテトサラダ等の惣菜類
などの食品を挙げることができる。
このような澱粉含有食品は、老化防止剤の作用により
製造後の形態やテクスチャーを長く保つことができ、商
品価値が低下しないという効果が得られ、又、機械耐性
に優れるという効果により大量生産に好適なものとな
る。さらに、めん生地等においては、茹でるときに溶出
固形分が低下し、歩留りが向上するという効果が得ら
れ、又、パン,スポンジケーキ等においてはボリューム
をも向上することができる。
さらに、本発明の老化防止剤は、食品以外の澱粉利用
分野に利用できる。例えば、賦形剤,増量剤,培養基剤
などの医薬関係;飼料関係;鋳造,熔接棒,線香などの
粘固関係;製紙関係;仕上糊,洗濯糊,経糸糊,捺染
糊,ガラス繊維用などの繊維関係などに用いても有用で
ある。
<実 施 例> 製造例1 (卵黄由来のリゾリン脂質含有老化防止剤の調製) 鶏卵黄100kgに和光純薬製のパンクレアチン(動物の
膵臓から抽出した酵素の混合物)5kgを清水10kgに溶解
した液を加え、水酸化ナトリウム液にてpH7.0〜8.0に保
ち撹拌しながら、35〜45℃、6時間反応させた。この酵
素反応により、卵黄中のホスファチジルコリン(PC)は
リゾホスファチジルコリン(LPC)に、ホスファチジル
エタノールアミン(PE)はリゾホスファチジルエタノー
ルアミン(LPE)に変換される。
この卵黄液をスプレードライヤーにかけ(吸気温度13
0〜150℃、排気温度50〜75℃)、水分含量5.2%の乾燥
卵黄42.5kgを得た。
この乾燥卵黄にエタノール400を加え、40〜45℃に
て10分間撹拌抽出後、過し、エタノール抽出液を得
た。これを真空濃縮(品温30℃以下)してエタノールを
除去し、黄色ペースト状リゾリン脂質含有物19.5kg(収
率19.5%)を得た。
この脂質の脂質組成を下記の脂質組成分析方法で分析
したところ、 中性脂質(トリグリセライド,コレステロール)67.9
% リン脂質32.1%〔うち、リゾ型(LPC,LPE)30.6%〕 であった。
さらに、以下のようにしてリゾリン脂質部分の脂肪酸
組成を確認した。
分取用TLCにて、LPC,LPE画分を分取する(約5m
g)。
プレート:シリカゲル60(メルク社製)20×20cm 展開溶媒:クロロホルム:メタノール:水=65:25:3
(容量) 常法により、ガスクロマトグラフ分析にて脂肪酸組
成を求めたところ、次のように飽和脂肪酸が94.4%であ
った。
C16-0(飽和) 65.0% C16-1(不飽和結合1) 0.4 C18-0(飽和) 29.4 C18-1(不飽和結合1) 4.0 C18-2(不飽和結合2) 0.6 未同定 0.6 〔脂質組成分析方法〕 Iatroscan TH−10(TLC/FID)((株)ヤトロン製)
による 条 件: ロッド:クロマロッドS−II(シリカゲル) 展開溶剤:クロロホルム:メタノール:水=80:35:3
(容量) 展開距離:10cm 方法: 各試料500mgをクロロホルム:メタノール(2:1)混液
10mlに溶解後、1μをロッドにスポットし、展開,風
乾後、Iatroscan TH−10にて分析する。
結果は各ピークの面積比より算出した。
製造例2 (水素添加大豆リゾリン脂質含有老化防止剤の調製) 市販の大豆リン脂質(リン脂質含量62%)200kgに市
販ホスフォリパーゼA2製剤(100IU/mg)70gを清水3
に溶解して加え、さらに水酸化カルシウムを適宜加え、
pH8.5に保ちながら50〜55℃、24時間反応させた。
これに200kgの清水と賦形剤をしてデキストリン粉末4
0kgとを加え、ホモジナイズ乳化し、スプレードライす
る(吸気温度150〜170℃)、排気温度50〜75℃)。これ
により水分含量3.8%の粉末228kgを得た。
この粉末にメタノール2000を加え、40〜45℃、20分
間撹拌抽出後、過してメタノール抽出液を得、さらに
真空濃縮して脱溶剤し、褐色ペースト182kg(収率91
%)の大豆リゾリン脂質含有物を得た。
この大豆リゾリン脂質含有物を常法に従って水添処理
し、反応時間を変えて、水添大豆リゾリン脂質含有物2
種a(反応時間短い)、b(反応時間長い)を得た(白
〜黄色粉末)。
水添処理の条件 溶 媒:イソプロパノール 触 媒:10%Pd−Charcoal(乾燥品) 水素圧力:7kg/cm2G 溶 温:60〜70℃ 水添大豆リゾリン脂質含有物a,bの脂質組成は、中性
脂質22.0%、リン脂質78.0%(うちリゾ型34.2%)であ
り、リゾリン脂質部分の飽和脂肪酸含有量はa:55.%,b:
92.2%であり、その内分けは次の通りである。
a b C16-0(飽和) 21.3% 22.0% C18-0(飽和) 33.7 70.2 C18-1(不飽和化合物1) 18.9 7.4 C18-2(不飽和化合物2) 25.6 0.2 C18-3(不飽和化合物3) 0.1 − 未同定 0.4 0.2 製造例3 製造例1で得られた卵黄リゾリン脂質9kgとグリセリ
ン脂肪酸エステル(モノステアリン)1kgとを約40〜50
℃に加温して均一に溶解し、老化防止剤とする。
製造例4 製造例1で得られた卵黄リゾリン脂質8.5kgと製造例
2の水添前の大豆リゾリン脂質1.0kgとショ糖脂肪酸エ
ステル(DKエステルF−140:第一工業製薬(株)0.5kg
とを、約40〜50℃に加温して均一に溶解し、老化防止剤
とした。
製造例5 製造例2で得られた水添大豆リゾリン脂質含有物a9kg
とグリセリン脂肪酸エステル(SYグリスターMSW−750;
阪本薬品工業(株))1kgとを、約40〜50℃に加温して
均一に溶解して老化防止剤とした。
製造例6 製造例2で得られた水添大豆リゾリン脂質含有物b8.5
kgとショ糖脂肪酸エステル(DKエステルF−90;第一工
業製薬(株))0.5kgとグリセリン脂肪酸エステル(ジ
アセチル酒石酸モノグリセライド)1.0kgとを、約40〜5
0℃に加温して均一に溶解して老化防止剤とした。
試験例1 第1表に示す配合で、後述の実施例2に準じて各フラ
ワーペーストA,B,Cを製造した。A,B,Cには製造例1で得
た卵黄由来のリゾリン脂質含有物が澱粉に対するリゾリ
ン脂質含量として0.1,1.0,5.0%添加してある。なお、
比較のため、リゾリン脂質含有物が無添加のフラワーペ
ーストも製造した。
得られた製品A,B,C各々について無添加の製品との三
点識別嗜好法による風味試験を行った。この結果は第2
表に示す。
また、各製品を0,5,10,15,20℃に保存し、状態の変化
の様子を経時的に観察した。この結果は第3表に示す。
さらに、5℃,20℃の保存品について、RVF型粘度計
(米国PROO×FIELD社製)を用いて経時的に測定した。
この結果は第1図に示す。
試験の結果、製造例1の老化防止剤により老化防止効
果が認められ、特に低温(5℃)の保存時にその効果が
著しかった。
また、機械適性もあり、工業的使用が可能であること
も確認された。
また、風味試験の結果、0.1%添加のものでは無添加
のものよりも良い評価を得た。5.0%添加のものでは有
意差が認められなかった。
試験例2 試験例1で用いた製造例1の卵黄由来のリゾリン脂質
の代りに製造例2の水添大豆リゾリン脂質含有物bを用
いた以外は、試験例1と同様に試験を行った。なお、リ
ゾリン脂質含有量0.1,1,5%に対応するリゾリン脂質含
有物の添加量は5.9g,58.8g,294gである。
各試験結果は第4表,第5表及び第2図に示す。
本試験の結果、試験例1と同様に、製造例2の老化防
止剤bにも老化防止効果が認められた。なお、澱粉に対
して5%以上添加した場合に、風味試験において無添加
よりも悪い評価を得た。
試験例3 製造例2の水添大豆リゾリン脂質含有物aを用いた以
外は、試験例2と同様の試験を行った。
各試験結果は第6表,第7表及び第3図に示す。
試験の結果、添加濃度により差があるものの、試験例
1,2と同様に老化防止効果が認められたが、その効果は
試験例2より多少劣っていた。なお、添加量5%のとき
には風味への悪影響が認められた。
比較試験 製造例2の水添大豆リゾリン脂質含有物bの代りに、
製造例2の水添前の大豆リゾリン脂質含有物を用いる以
外は試験例2と同様に試験した。
各試験結果は、第8表,第9表及び第4表に示す。
なお、用いた大豆リゾリン脂質含有物の脂質組成は、 中性脂質 22.0% リン脂質 78.0% (うちリゾ型34.2%) であり、リゾリン脂質部分の脂肪酸組成は次の通りであ
る。
C16-0(飽和) 22.2% C18-0(飽和) 7.5 C18-1(不飽和結合1) 12.1 C18-2(不飽和結合2) 53.0 C18-3(不飽和結合3) 4.8 未同定 0.4 比較試験の結果、澱粉の老化防止効果はほとんど認め
られなかった。また、澱粉に対しての添加量を1%以上
にした場合、風味,色調への悪影響が現われた。さら
に、添加量が5%のときには製品の粘度低下が生じた。
試験例4 下記第10表の配合にて常法によりバターロールを製造
した。
各バターロールを15〜20℃に放置して官能試験を行っ
たところ、次の結果を得た。
比較品:3日目で固くなった。
A :6日目まで軟かさ、弾力を保つことができた。
B :7日目まで軟かさ、弾力を保つことができた。
実施例1 製造例1の卵黄由来リゾリン脂質含有物10gをエタノ
ール30mlに加温溶解後、コーンスターチ1000gとよく混
合し、その後、減圧下にてエタノールを除去し、篩を通
して加工澱粉とした。
実施例2 製造例5で得た老化防止剤20gを水200gに分散,乳化
させ、これを小麦澱粉1000gとよく混合し、その後、フ
ラッシュドライヤーにて乾燥し、篩を通して加工澱粉と
した。
実施例3 製造例3で得た老化防止剤50gを水500gに分散,乳化
させ、これを馬鈴薯澱粉1000gとよく混合して澱粉懸濁
液を得る。これをドラムドライヤーにて乾燥して加工澱
粉を得た。
実施例4 製造例1の卵黄リゾリン脂質含有物20gを60℃程度に
加温して溶解し、これをリン酸架橋の加工澱粉コルフロ
67(商品名;王子ナショナル(株)製)1000gをはげし
く撹拌している中へ少量ずつ加え、全体が均一になるま
で十分撹拌をつづける。その後、篩を通して加工澱粉と
した。
実施例5 (フランスパンの製造) 下記配合によりフランスパンを製造した。
ホバートミキサーにてグラニュー糖,清水,イースト
を混合し、強力粉及び食塩を撹拌しながら少量ずつ加え
て生地とし、恒温器(55℃で90分)で発酵させた後整形
し、コーンミールで打ち粉、卵白で化粧し、オーブンで
焼きあげ(204℃,35分)、フランスパンとした。
なお、比較のため、老化防止剤無添加のものも同様に
製造した。
両方のフランスパンを常温で保存したところ、老化防
止剤無添加のものでは約12時間で硬化したが、老化防止
剤を添加したものでは約20時間、軟かさを維持してい
た。
実施例6 (フラワーペーストの製造) 実施例1で得た加工澱粉を用いて下記配合によりフラ
ワーペーストを製造した。
撹拌機にて、粉体原料,清水,植物性油脂を乳化混合
した後、オンレーターにて撹拌糊化し、充填してフラワ
ーペーストとした。
なお、比較のため、加工澱粉の代りにコーンスターチ
を用いて同様にフラワーペーストを製造した。
両製品を10℃にて保存したところ、コーンスターチを
用いた比較品では12日目で固くなってしまったが、加工
澱粉を添加したものでは20日目まで変化が少なく、状
態,風味も良好であった。
実施例7 下記配合によりログライフポテトサラダを製造した。
ホバートミキサーにカットし、ボイルした野菜,粉体調
味料,リゾリン脂質含有物,マヨネーズを順次入れて撹
拌し、充填した後、湯殺菌(75℃、50分)し、冷却して
ポテトサラダとした。
なお、比較のため、リゾリン脂質含有物を無添加のポ
テトサラダを同様に製造した。
両製品を5℃で保存したところ、リゾリン脂質を無添
加のものでは、約2週間で馬鈴薯にボソボソが生じた
が、リゾリン脂質を添加したものでは約3週間に亘って
製造直後の状態を維持できた。
(配合) 馬鈴薯 7200g スイートコーン 300g タマネギ 260g マヨネーズ 2000g 食塩 100g 上白糖 100g 白こしょう 20g 実施例1で得られたリゾリン脂質 20g <発明の効果> 以上説明したように、本発明にかかる澱粉の老化防止
剤は、従来のものに比べて老化防止効果に優れ、且つ各
種澱粉原料,澱粉含有食品に加えてもその風味を害する
ことがないものである。また、その老化防止効果は特に
低温保存の際に著しく発揮されるので、チルド流通用の
澱粉含有食品の老化防止剤として適する。さらに、その
効果は、グリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂
肪酸エステルを含有させた場合に一層向上する。
したがって、かかる老化防止剤を用いた澱粉質材料,
澱粉含有食品では老化防止効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第3図は本発明の老化防止剤を用いた試験例1
〜3の結果を示すグラフ、第4図は従来技術にかかる老
化防止剤を用いた比較試験の結果を示すグラフである。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】構造式 但し、式中、 はアシル基を示し、且つその構成脂肪酸中の飽和脂肪酸
    の割合は50%以上であり、又、Xは、 の群から選ばれたものを示す。 にて表される卵黄あるいは植物由来のリゾリン脂質を含
    有することを特徴とする澱粉の老化防止剤。
  2. 【請求項2】請求項1記載の老化防止剤を含有した澱粉
    質原料。
  3. 【請求項3】請求項1記載の老化防止剤を含有した澱粉
    含有食品。
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