JP2783531B2 - 制癌剤 - Google Patents

制癌剤

Info

Publication number
JP2783531B2
JP2783531B2 JP8146549A JP14654996A JP2783531B2 JP 2783531 B2 JP2783531 B2 JP 2783531B2 JP 8146549 A JP8146549 A JP 8146549A JP 14654996 A JP14654996 A JP 14654996A JP 2783531 B2 JP2783531 B2 JP 2783531B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bis
group
general formula
compound
mmol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP8146549A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08301765A (ja
Inventor
裕一郎 市川
文 成田
薫 松尾
けい子 青山
富美子 松村
幸廣 西山
謙一 松原
武光 長幡
洪郎 星野
淳一 関
紘一 奈良坂
雄二郎 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Kayaku Co Ltd filed Critical Nippon Kayaku Co Ltd
Priority to JP8146549A priority Critical patent/JP2783531B2/ja
Publication of JPH08301765A publication Critical patent/JPH08301765A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2783531B2 publication Critical patent/JP2783531B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/55Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups

Landscapes

  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制癌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】核酸関連物質には制癌作用を持つものが
数多く知られており、そのうちいくつかのものは有用な
医薬品として臨床に供されており、例えば5−フルオロ
ウラシル、シトシンアラビノシド等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記制
癌剤は適用範囲、副作用などに問題を多く残している。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(I
V)
【0005】
【化2】
【0006】〔式中Bはプリン塩基であり、R4 は水素
原子または保護基である〕で表される(1R,2R,3
S)シクロブタン誘導体を有効成分とする制癌剤に関す
る。
【0007】
【発明の実施の形態】一般式(IV)において、Bのプ
リン塩基としては、例えば式
【0008】
【化3】
【0009】で示される化合物が挙げられる。(ここで
2 は、水素原子、ハロゲン原子、またはアミノ基を示
し、Y3 は、水素原子またはアミノ基を示し、Y4 は、
水素原子またはアミノ基を示す)
【0010】一般式(IV)で示される化合物の具体例
を次に示す。 (イ)9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス(ヒ
ドロキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−アデニン (ロ)9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス(ヒ
ドロキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−グアニン (ハ)2−アミノ−9−〔(1R,2R,3S)−2,
3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロブタン−1−イ
ル〕−プリン (ニ)2−アミノ−9−〔(1R,2R,3S)−2,
3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロブタン−1−イ
ル〕−6−クロロプリン (ホ)2,6−ジアミノ−9−〔(1R,2R,3S)
−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロブタン−1
−イル〕−プリン (ヘ)9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス(ヒ
ドロキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−ヒポキサ
ンチン (ト)2−アミノ−9−〔(1R,2R,3S)−2,
3−ビス(アセトキシメチル)シクロブタン−1−イ
ル〕−プリン
【0011】一般式(IV)で表される化合物は一般式
(V)
【0012】
【化4】
【0013】〔式中R4 は水素または保護基を示し、X
は脱離基を示す〕で表わされる化合物とプリン塩基とを
反応することにより得られる一般式(VI)
【0014】
【化5】
【0015】〔式中、R4 は水素または保護基を示し、
1 はプリン塩基を示す〕で表される化合物を得、この
化合物に保護基が存在する場合は、所望によりその保護
基を適当な脱保護試剤で除去することにより製造され
る。
【0016】一般式(V)〜(VI)に於ける保護基
(R4 )としては、一般に保護基として使用されるもの
なら特に制限なく、エステル型保護基例えば、アセチル
基、ベンゾイル基等のアシル基、ジメチルカルバモイル
基、ジフェニルカルバモイル基等のカルバモイル基また
は、エーテル型保護基例えば、t−ブチルジメチルシリ
ル基、t−ブチルジフェニルシリル基等のシリル基また
は、メトキシメチル基等の(C1 −C4 )アルコキシ−
(C1 −C4 )アルキル基、テトラヒドロピラニル基、
ベンジル基、4−メトキシベンジル基、トリチル基等の
1つ以上のフェニル基で置換されたメチル基があげられ
る。
【0017】一般式(V)に於ける脱離基(X)として
は、例えば、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエン
スルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオ
キシ基等のスルホニルオキシ基、塩素、臭素、ヨウ素等
のハロゲンが挙げられる。
【0018】プリン塩基としては、例えばアデニン、ヒ
ポキサンチン、グアニン、2−アミノ−6−クロロプリ
ン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン等が挙
げられる。これらの化合物は保護基を有していても良
い。例えば一般式(XII)〜(XV)
【0019】
【化6】
【0020】〔式中、R4 は前記と同じ、R5 はベンジ
ル基、ブチル基等C1 −C5 の低級アルキル基、メトキ
シエチル基等の(C1 −C5 アルコキシ)C1 −C5
ルキル基、あるいはR4 を示し、R6 は水素原子、ハロ
ゲン原子、またはNHR4 を示し、R7 は水素原子また
はNHR4 を示す〕に示されるような化合物を挙げるこ
とができる。
【0021】一般式(V)で表される化合物と、プリン
塩基、例えば一般式(XII)〜(XV)の化合物との
反応に於て、一般式(V)の化合物と例えば一般式(X
II)〜(XV)の化合物の使用割合は、前者1当量に
対し後者約0.5−10倍当量、好ましくは約1−5当
量程度が良い。又、両者の反応は、塩基触媒存在下にあ
るいは無触媒で行なわれる。
【0022】塩基触媒としては、炭酸カリウム、水素化
リチウム、水素化ナトリウム等を用い、N,N−ジメチ
ルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(D
MSO)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、ヘ
キサメチルフォスフォリックトリアミド(HMPA)等
の溶媒中、0℃から溶媒の還流温度、好ましくは、室温
付近から170℃程度で行なわれる。塩基触媒の使用量
は、例えば一般式(XII)〜(XV)の化合物に対し
て0当量から2倍当量、好ましくは、0.5から1.5
倍当量程度、さらに好ましくは,0.8から1.2倍当
量程度がよい。
【0023】また、一般式(VI)で示される化合物の
保護基(アルキル基を含む)の除去は、その保護基の違
いにより適当な脱保護試剤、或いは、脱保護方法を用い
ることで達成される。例えば、水酸化ナトリウム、ナト
リウムメチラート、アンモニア等のアルカリ、塩酸、硫
酸等の酸、フッ化テトラブチルアンモニウム等のフッ素
試剤、水素化分解等が挙げられる。
【0024】また、本発明化合物の一般式(IV)で表
わされる化合物のうちBが2,6−ジアミノプリン、2
−アミノプリンまたは、2−アミノ−6−ハロプリンで
ある化合物は、一般式(IVa)で表わされる化合物か
ら製造することもできる。例えば、反応式(1)
【0025】
【化7】
【0026】〔式中R4 は前記と同じ、Xは脱離基を示
し、Y2 は水素原子、ハロゲン原子、またはアミノ基を
示す〕に示すように、例えば一般式(IVa)で表わさ
れるグアニン誘導体の水酸基を保護し、一般式(XX)
で表わされる化合物へ誘導した後、オキシ塩化リン等の
ハロゲン化剤あるいは、1,3,5−トリメチルベンゼ
ンスルホニルクロライド等のスルホニル化剤と反応さ
せ、一般式(XXI)で表わされる化合物を合成する。
この一般式(XXI)で表わされる化合物を、例えば封
管中、アンモニアーメタノールで加熱することにより一
般式(IVb)に於てY2 がアミノ基である化合物が得
られ、例えばパラジウム一炭素を用いて接触還元した
後、脱保護することにより一般式(IVb)に於てY2
が水素原子である化合物が得られ、また、例えば、Xが
ハロゲン原子である一般式(XXI)で表わされる化合
物を、脱保護することにより一般式(IVb)に於てY
2 がハロゲン原子である化合物が得られる。
【0027】また、本発明化合物の一般式(IV)で表
わされる化合物のうちBがヒポキサンチンである化合物
は、一般式(IVc)で表わされる化合物から製造する
こともできる。例えば、反応式(2)
【0028】
【化8】
【0029】に示すように、例えば一般式(IVc)で
表わされるアデニン誘導体を、亜硝酸で処理する等ジア
ゾ化後加水分解するか、またはアデノシンデアミネース
等の加水分解酵素で処理する事により、一般式(IV
d)で表わされる化合物を得ることができる。
【0030】また、本発明化合物の一般式(IV)で表
わされる化合物は、反応式(3)
【0031】
【化9】
【0032】〔式中、R4 は水素または保護基を示し、
Xは脱離基を示し、Bはプリン塩基を示し、B2 は一工
程あるいは多工程でBに導ける置換基を示す〕に示すよ
うに、例えば一般式(V)で表わされる化合物をナトリ
ウムアジド等のアジドイオンと処理した後還元する等の
通常の手法で一般式(XXII)で表わされるアミン誘
導体を合成し、この一般式(XXII)で表わされる化
合物を既知の方法(R. Vince et al., J. Med.Chem., 2
7,1358(1984), R. Vince et al., J.Med.Chem., 30,202
6(1987). Y. F. Shealy and C.A.O'Dell, J. Heterocyc
lic Chem., 13,1015(1976),Y.F.Shealy et al., J. Het
erocyclic Chem., 18, 383(1981) 等)に従い一般式
(XXIII)で表わされる中間体を経由して、一般式
(IV)で表わされる化合物を得ることができる。
【0033】また、一般式(V)の化合物、更には一般
式(IV)で表される本発明化合物を製造するに当り、
一般式(III)で表される化合物が非常に有用であ
る。また、一般式(III)で表される化合物は、光学
活性にも製造できることから一般式(IV)で表される
化合物も光学活性に製造できる。即ち、反応式(4)
【0034】
【化10】
【0035】〔式中R1 は炭素数1から5のアルキル
基、アラルキル基または二つのR1 が結合して炭素数2
から3の環状アルキレン基を示し、R2 は水素、炭素数
1から5のアルキル基、保護されたヒドロキシアルキル
基または保護されたカルボキシル基を示し、R3 は水
素、C1 −C5 の低級アルキル基、C1 −C5 の低級ア
ルコキシ基、またはアラキルオキシ基を示す。Aは炭素
数2から5の直鎖状または分枝状のアルキレン基を、Y
は酸素またはイオウ原子を、Zは置換または無置換メチ
レン基または酸素またはイオウ原子を示す〕に示すよう
に、一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で
表される化合物を縮合触媒を用いて反応すると、触媒の
種類によりラセミ体のあるいは光学活性な一般式(II
I)で表されるシクロブタン化合物が高収率で得られ
る。
【0036】この反応に於ける縮合触媒としては、例え
ばルイス酸あるいはルイス酸と当量または過剰量のリガ
ンドを組合わせたものが挙げられる。ルイス酸として
は、例えば四塩化チタン、ジクロロジイソプロポキシチ
タンなどのチタン化合物、二塩化スズ、四塩化スズ、二
価スズトリフラート等のスズ化合物、塩化ジメチルアル
ミニウム、塩化ジエチルアルミニウム等のアルミニウム
化合物が挙げられる。リガンドとしては立体的に込み合
ったジオール類が好ましく、例えば(2S,3S)−
2,3−O−(1−フェニルエチリデン)−1,1,
4,4−テトラフェニル−1,2,3,4−ブタンテト
ラオール(化合物A)、(2S,3S)−2,3−O−
ベンジリデン−1,1,4,4−テトラフェニル−1,
2,3,4−ブタンテトラオール(化合物C)、(2
S,3S)−2,3−O−(1−フェニルエチリデン)
−1,1,4,4−テトラキス(4−メトキシフェニ
ル)−1,2,3,4−ブタンテトラオール(化合物
E)、等の分子内に5員環以上の環、好ましくは5−8
員環を有し、その環をはさんで両側に水酸基の結合した
基を有するもの等が挙げられる。
【0037】一般式(I)で示される化合物と一般式
(II)で示される化合物の使用割合は前者1当量に対
し後者0.1から5当量好ましくは、0.5から2当量
である。縮合触媒の使用量は一般式(I)の化合物1当
量に対し0.001から2当量好ましくは0.01当量
から1.2当量である。この反応に於て、反応系中にモ
レキュラーシーブス4Aなどの脱水剤を加えることによ
り反応がより効率よく進行することがある。反応の溶媒
としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油
エーテル、ベンゼン、トルエン、エチルベンセン、トリ
メチルベンゼン、トリイソプロピルベンゼン等の炭化水
素系溶媒、フロン等のハロゲン化炭素系溶媒、エーテ
ル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトニ
トリル等の溶媒及びこれらの混合溶媒が挙げられ、反応
温度は、反応溶媒の凝固点から沸点程度がよく、好まし
くは、−50℃から30℃位がよい。
【0038】例えば、R2 がメトキシカルボニル基、A
がCH2 CH2 、Yが酸素、Zが酸素である一般式
(I)の化合物(1当量)及び、R1 がメチル基、R3
が水素である一般式(II)の化合物(1.25当量)
を、縮合触媒としてジクロロジイソプロポキシチタン
(0.05当量)及び(2S,3S)−2,3−O−
(1−フェニルエチリデン)−1,1,4,4−テトラ
フェニル−1,2,3,4−ブタンテトラオール(化合
物A)(0.055当量)を組み合わせた物を用い、モ
レキュラーシーブス4Aを加え、ヘキサン−トルエン混
合触媒中、0℃で反応させることにより(2S,3S)
−3−メトキシカルボニル−1,1−ビス(メチルチ
オ)−2−(オキサゾリジン−2−オン−3−イル)カ
ルボニルシクロブタンが高化学収率、高光学収率で得ら
れる。
【0039】R1 ,R2 ,R3 によって示される炭素数
1から5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチ
ル基、ブチル基等のアルキル基が挙げられ、アラルキル
基としては、例えばベンジル基、4−メトキシベンジル
基等の芳香族環で置換されたアルキル基が挙げられる。
また、保護されたヒドロキシアルキル基としては、例え
ばベンジルオキシメチル基、アセチルオキシメチル基、
t−ブチルジフェニルシリルオキシメチル基等が挙げら
れる。保護されたカルボキシル基としては、例えばメト
キシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のようなア
ルコキシカルボニル基や、ベンジルオキシカボニル基の
アラルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。炭素数
1から5のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、
アリルオキシ基等が挙げられ、アラルキルオキシ基とし
ては、例えばベンジルオキシ基、4−メトキシベンジル
オキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基等が挙
げられる。
【0040】一般式(III)で表される化合物として
は、例えば一般式(III)に於て
【0041】
【表1】 R1 2 3 A Y Z ────────────────────────────── Me COOMe H CH2CH2 0 0 Me COOBn H CH2CH2 0 0 Me COOMe H CH2CH2 S S
【0042】であるような化合物が挙げられる。但し、
一般式(III)で表される化合物の二つのR1 は同じ
であっても異なっていてもよい。一般式(V)で表され
る化合物は、例えば反応式(5)
【0043】
【化11】
【0044】〔式中、R1 は一般式(III)と同じで
あり、R10、R11は水素または、炭素数1から5のアル
キル基またはアラルキル基を示し、R4 は水素または保
護基を示し、Xは脱離基を表す〕に示すような工程で、
一般式(III)(ここではR2 が保護されたカルボキ
シル基であり、R3 が水素である)で表される化合物よ
り製造することができる。
【0045】まず、例えば一般式(III)(ここでは
2 が保護されたカルボキシル基でありR3 が水素であ
る)で表される化合物をメタノール、エタノール等のア
ルコール性溶媒中、マグネシウムメトキシド、ナトリウ
ムエトキシド等の相当する金属アルコキシドで−78℃
から溶媒の沸点付近で好ましくは、室温以下の温度で反
応させるか、或は、メタノール、エタノール等のアルコ
ール性溶媒中、塩酸、p−トルエンスルホン酸等の酸ま
たは、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム等の塩基存
在下、加溶媒分解することにより、一般式(VII)に
於て、R10及びR11が水素以外の基である、対応するエ
ステルが、また、塩酸、p−トルエンスルホン酸等の酸
または、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等の塩基存在
下、加水分解することにより一般式(VII)に於てR
10及びR11が水素であるカルボン酸が得られる。
【0046】ここに得られる一般式(VII)で表わさ
れる化合物を、例えば水素化リチウムアルミニウム、水
素化ジ(イソブチル)アルミニウム、水素化ホウ素ナト
リウム、水素化ホウ素リチウム、ジボラン等の金属水素
化物を用いて還元し、一般式(VIII)で表されるア
ルコールを得る。さらに、一般式(VIII)で表され
る化合物の水酸基を保護して得られる一般式(IX)で
表される化合物のジチオケタール部分を、例えば含水溶
媒中、ヨウ素、N−ブロモコハク酸イミド、N−クロロ
コハク酸イミド、スルフリルクロリド等のハロゲン化剤
または、硝酸銀、酸化銀、過塩素酸銀、塩化水銀、塩化
銅、酸化銅等の重金属化合物または、これらの化合物を
組み合わせた物を用いて、加水分解し一般式(X)で表
されるケトンへ導く。
【0047】一般式(X)であらわされる化合物を、還
元剤として例えば水素化リチウムアルミニウム、水素化
リチウムトリ(t−ブトキシ)アルミニウム、、水素化
ホウ素ナトリウム、水素化リチウムトリ(s−ブチル)
ホウ素、水素化ホウ素リチウム等の金属水素錯化合物ま
たは、水素化ジイソブチルアルミニウム、ジボラン等の
金属水素化物を用い、溶媒として、例えばペンタン、ヘ
キサン、ヘプタン、石油エーテル、ベンゼン、トルエ
ン、エチルベンセン等の炭化水素系溶媒、塩化メチレ
ン、クロロホルム等のハロゲン化炭素系溶媒、エーテ
ル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メタノー
ル、エタノール等のアルコール系溶媒、水及びこれらの
混合溶媒を用い、反応温度としては、−100℃から5
0℃、好ましくは、−80℃から30℃位で還元し、一
般式(XI)で表される化合物を得る。この還元反応の
際、用いる還元剤の種類、反応条件を選ぶことにより、
立体異性体の一方を優先的に得ることができる。例え
ば、反応式(6)
【0048】
【化12】
【0049】〔式中、R4 は水素または保護基を示す〕
に示すような一般式(Xa)で表わされる2,3−トラ
ンスであるシクロブタノンを、例えば比較的立体的に込
み入っていない還元試薬で還元すると、1,2−トラン
スである一般式(XIb)で表わされるアルコールが選
択的に得られ、例えば立体障害の大きな還元剤で処理す
ることにより、1,2−シスである一般式(XIa)で
表わされるアルコールが優先的に得られる。
【0050】即ち、(2S,3S)−2,3−ビス(t
−ブチルジフェニルシリルオキシメチル)−1−シクロ
ブタノンを、立体障害の少ない水素化リチウムトリ(t
−ブトキシ)アルミニウムまたは、水素化ホウ素ナトリ
ウムで還元すると、(1R,2S,3S)−2,3−ビ
ス(t−ブチルジフェニルシリルオキシメチル)シクロ
ブタノールが選択的に(単離収率それぞれ88%、80
%)得られ、立体障害の大きい水素化リチウムトリ(s
−ブチル)または、ホウ素水素化ジ(イソブチル)アル
ミニウムで還元すると、(1S,2S,3S)−2,3
−ビス(t−ブチルジフェニルシリルオキシメチル)シ
クロブタノールが優先的(単離収率それぞれ75%、8
2%)に得られる。結果を次表に示す。
【0051】
【表2】 ──────────────────────────────────── condition yield(%) ──────────────────────────────────── reagent solvent temp. XIa XIb ──────────────────────────────────── LiAI(OtBu)3H THF −78−RT 9 88 NaBH4 THF-H2O RT 19 80 Li(sBu)3BH THF −78 75 23 (iBu)2AIH CH2Cl2 −78 74 22 (iBu)2AIH Toluene −78 82 17 ──────────────────────────────────── R4=t-BuPh2Si (XIa, XIb)
【0052】また、ここで得られる立体異性体即ち、一
般式(XIa)で表わされる化合物及び一般式(XI
b)で表わされる化合物は単離後、相互に容易に他の異
性体へ変換することができる。例えば、一般式(XI
a)で表わされる化合物または一般式(XIb)で表わ
される化合物を、クロム酸/酢酸、クロム酸/ピリジン
等の金属酸化剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)−
無水酢酸/酢酸、DMSO−オキザリルクロリドートリ
エチルアミン/塩化メチレン等のDMSO酸化等、通常
の酸化試薬または酸化方法で一般式(Xa)で表わされ
るケトンへ再度酸化して、更に選択的還元に付す方法、
あるいは、一般式(XIa)で表わされる化合物及び一
般式(XIb)で表わされる化合物の水酸基の存在する
1位炭素の立体配置を、例えば光延反応(Mitsumobu Re
action) を利用して反転させる方法が挙げられる。
【0053】例えば、一般式(XIa)で表わされる化
合物または、一般式(XIb)で表わされる化合物をト
リフェニルフォスフィン、亜リン酸トリメチル、亜リン
酸トリエチル等の3価リン化合物、酢酸、安息香酸等の
カルボン酸、及びジエチルアゾジカルボキシレート等の
アゾジカルボン酸エステルを、溶媒として、例えばペン
タン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、ベンゼン、
トルエン、エチルベンセン等の炭化水素系溶媒、塩化メ
チレン、クロロホルム等のハロゲン化炭素系溶媒、エー
テル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒及びこれ
らの混合溶媒を用い、反応温度としては、−100℃か
ら50℃、好ましくは、−50℃から30℃位で反応
し、生成するエステルを、例えば、炭酸カリウム、水酸
化ナトリウム、ナトリウムメチラート、アンモニア等の
アルカリ、塩酸、硫酸等の酸による加水分解または、水
素化リチウムアルミニウム、水素化リチウムトリ(s−
ブチル)ホウ素、水素化ホウ素リチウム等の金属水素錯
化合物または、水素化ジイソブチルアルミニウム、ジボ
ラン等の金属水素化物を用い還元し、一般式(XIb)
で表わされる化合物または、一般式(XIa)で表わさ
れる化合物を得ることができる。
【0054】例えば、(1R,2S,3S)−2,3−
ビス(t−ブチルジフェニルシリルオキシメチル)シク
ロブタノールを、ベンゼン中、トリフェニルフォスフィ
ン・安息香酸・ジエチルアゾジカルボキシレートと反応
し、(1S,2S,3S)−1−ベンゾイル−2,3−
ビス(t−ブチルジフェニルシリルオキシメチル)シク
ロブタンへ導いた後、トルエン中、水素化ジイソブチル
アルミニウムで還元しベンゾイル基を除去することによ
り、(1S,2S,3S)−2,3−ビス(t−ブチル
ジフェニルシリルオキシメチル)シクロブタノールが得
られる。このようにして得られる一般式(XI)で表さ
れる化合物の二級水酸基を脱離基へ導くことにより一般
式(V)で表される化合物が製造される。
【0055】本発明化合物は次の実験例から、幅広く強
い制癌作用を発揮することがわかる。
【0056】実験例1.ヒト子宮頸癌HeLa S3
マウス白血病L1210及びP388細胞に対する制癌
作用を次に示す方法により試験した。 (方法1)HeLa S3 細胞を7.5×103 cel
ls/mlに調製し、96well平底plateに
0.2ml/wellずつ播いた。37℃、5%CO2
インキュベーター内で24時間培養したのち、薬剤を1
0μl添加し72時間培養した。培養後、各wellの
培養液を抜き取り、メタノールで固定した後0.05%
メチレンブルー/10mM−Tris−HCI(pH
8.5)溶液を0.1ml/wellずつ加え、30分
間室温にて染色した。各wellの染色液をアスピレー
ターを用いて抜き取った後、純水で3回洗浄した。3%
HClを0.2ml/wellの割合で添加後、シール
で密封して約24時間室温放置し、細胞から色素を抽出
した。各wellの660nmでの吸光度をダイナテッ
クマイクロプレートリーダーで測定し、下に示す式によ
り各濃度の増殖阻害率(%)を算出し、対数確率紙にプ
ロットして50%阻害濃度(IC50値、μg/ml)を
求めた。 増殖阻害率(%)=(1−A1 /A0 )×100 ここで、A1 =薬剤処理群吸光度 A0 =対照群吸光度
【0057】(方法2)P388及びL1210の細胞
を24wellのplateに播種し、薬剤を添加し
て、37℃、5%CO2 で48時間培養した。培養終了
後の細胞数を、コールターカウンターで算定した。処理
群の対照群に対する増殖阻害率を下の式から計算し、L
itchfield法により50%阻害濃度(IC
50値、μg/ml)を求めた。 増殖阻害率(%)=〔1−(NT −N0 )/(Nc −N
0 〕×100 ここで、NT =薬剤処理群細胞数 N0 =培養開始時細胞数 Nc =対照群細胞数 以上の実験例1の結果を次表に示す。
【0058】
【表3】 ──────────────────────────────────── IC50(μg/ml) 化合物─────────────────────────────── No. HeLaS3 P388 L1210 ─────────────────────────────────── (イ) 14 0.58 1.1 (ロ) 19 1.6 8.1 ──────────────────────────────────
【0059】本発明の一般式(IV)で表される化合物
は制癌作用を持つことから制癌剤として期待される。以
上のようにして得られた本発明化合物を制癌剤として使
用する場合、経口投与、静脈内投与、経皮投与すること
ができる。投与量は投与する患者の症状、年齢、投与方
法によっても異なるが、通常0.1−500mg/kg
/日である。本発明化合物は、適当な製剤用担体と混合
して調整した製剤の形で投与される。製剤の形として
は、錠剤・顆粒剤・細粒剤・散剤・カプセル剤・注射剤
・クリーム・坐剤等が用いられる。
【0060】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明化合物の製造に
ついて具体的に説明する。
【0061】実施例1. (−)−(2S,3S)−3−メトキシカルボニル−
1,1−ビス(メチルチオ)−2−(オキサゾリジン−
2−オン−3−イル)カルボニルシクロブタンの製造
【0062】実施例1−1.アルゴン雰囲気中、ジクロ
ロジイソプロポキシチタン(905mg,3.8mmo
l)及び(2S,3S)−2,3−O−(1−フェニル
エチリデン)−1,1,4,4−テトラフェニル−1,
2,3,4−ブタンテトラオール(化合物A)(2.2
2g,4.2mmol)に1,3,5−トリメチルベン
ゼン(TMB)(80ml)を加え、室温で30分間攪
拌する。この溶液に、粉末モレキュラーシーブス4A
(3.2g)を加えしばらく攪拌した後に、3−
〔(E)−3−(メトキシカルボニル)プロペノイル〕
−オキサゾリジン−2−オン(3.98g,20mmo
l)を加え−15℃に冷却する。この懸濁液に1,1−
ビス(メチルチオ)エチレン(3.61g,30mmo
l)のTMB溶液(20ml)を徐々に加えた後、攪拌
下同温から3時間かけて0℃に昇温する。反応液に飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、無機物をセライトを
用いて濾去した後、有機物を酢酸エチルで抽出する。抽
出液は飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
した後、減圧下溶媒を溜去する。残渣は、シリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:
2,v/v)で精製し(−)−(2S,3S)−3−メ
トキシカルボニル−1,1−ビス(メチルチオ)−2−
(オキサゾリジン−2−オン−3−イル)カルボニルシ
クロブタン(3.94g,62%)を得る。本化合物の
光学純度は86%ee(実施例3参照)。
【0063】NMR(500MHzFT,CDCl3
δ:2.01(3H,s),2.10(3H,s) 2.54(1H,dd,J=9.9,12.3Hz),
2.70(1H,dd,J=7.9,12.3Hz),
3.86(1H,dt,Jd =9.9Hz,Jt =7.
9Hz),3.71(3H,s),4.02(1H,d
dd,J=6.4,8.9,11.0Hz),4.12
(1H,ddd,J=7.6,9.3,11.0H
z),4.39−4.47(2H,m) 5.01(1H,d,J=7.9Hz). IR(neat)cm-1:1780,1730,169
0.
【0064】実施例1−2.実施例1−1とほぼ同様
に、3−〔(E)−3−(メトキシカルボニル)プロペ
ノイル〕−オキサゾリジン−2−オン(3.98g,2
0mmol)、1,1−ビス(メチルチオ)エチレン
(3.61g,30mmol)、ジクロロジイソプロポ
キシチタン(474mg,2.0mmol)、(2S,
3S)−2,3−O−(1−フェニルエチリデン)−
1,1,4,4−テトラフェニル−1,2,3,4−ブ
タンテトラオール(化合物A)(1.16g,2.2m
mol)、粉末モレキュラーシーブス4A(4g)を用
いてトルエン(160ml)及びヘキサン(120m
l)混合溶媒中0℃で40分間反応させることにより、
(−)−(2S,3S)−3−メトキシカルボニル−
1,1−ビス(メチルチオ)−2−(オキサゾリジン−
2−オン−3−イル)カルボニルシクロブタン(6.1
3g,96%)(〔α〕D =−10.4°(c 1.3
4,CH2 Cl2 ))を得る。このものを、塩化メチレ
ン−イソプロピルエーテルで再結晶すると、5.30g
(83%)(〔α〕D =−11.1°(c 1.15,
CH2 Cl2 ))の化合物が得られる。本化合物の光学
純度は98%ee以上(実施例3に示した方法により決
定)。
【0065】実施例1−3.実施例1−1とほぼ同様
に、3−〔(E)−3−(メトキシカルボニル)プロペ
ノイル〕−オキサゾリジン−2−オン(19.9g,1
00mmol)、1,1−ビス(メチルチオ)エチレン
(15.03g,125mmol)、ジクロロジイソプ
ロポキシチタン(1.18g,5.0mmol)、(2
S,3S)−2,3−O−(1−フェニルエチリデン)
−1,1,4,4−テトラフェニル−1,2,3,4−
ブタンテトラオール(化合物A)(2.91g,5.5
mmol)、粉末モレキュラーシーブス4A(20g)
を用いて、トルエン(800ml)及びヘキサン(60
0ml)混合溶媒中0℃で5時間反応させることによ
り、(−)−(2S,3S)−3−メトキシカルボニル
−1,1−ビス(メチルチオ)−2−(オキサゾリジン
−2−オン−3−イル)カルボニルシクロブタン(2
6.69g,84%)(〔α〕D =−10.5°(c
1.00,CH2 Cl2))を得る。
【0066】実施例2. (−)−(2S,3S)−2,3−ビス(メトキシカル
ボニル)−1,1−ビス(メチルチオ)シクロブタンの
製造 実施例2−1.アルゴン雰囲気中、実施例1−1で製造
した(−)−(2S,3S)−3−メトキシカルボニル
−1,1−ビス(メチルチオ)−2−(オキサゾリジン
−2−オン−3−イル)カルボニルシクロブタン(3.
94g,12.3mmol)のメタノール溶液(25m
l)に1M−ジメトキシマグネシウム/メタノール(2
5ml,25mmol)を加え室温で1時間攪拌する。
反応液は減圧下濃縮した後、飽和塩化アンモニウム水溶
液を加え、エーテルで抽出する。エーテル抽出液は飽和
食塩水で洗浄した後、減圧下溶媒を溜去する。残渣はシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキ
サン=1:9,v/v)で精製し(−)−(2S,3
S)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−1,1−
ビス(メチルチオ)シクロブタン(2.17g,67
%)を得る。本化合物の光学純度は86%ee(実施例
3参照)。
【0067】NMR(500MHzFT,CDCl3
δ:2.01(3H,s),2.12(3H,s),
2.47(1H,dd,J=9.0,12.2Hz),
2.50(1H,dd,J=9.4,12.2Hz),
3.63−3.75(2H,m),3.69(3H,
s),3.72(3H,s), IR(neat)cm-1:1730.
【0068】実施例2−2.アルゴン雰囲気中、1M−
ジメトキシマグネシウム/メタノール(400ml,4
00mmol)に0℃で、(−)−(2S,3S)−3
−メトキシカルボニル−1,1−ビス(メチルチオ)−
2−(オキサゾリジン−2−オン−3−イル)カルボニ
ルシクロブタン(26.0g,81.4mmol)を加
え、同温で15分間攪拌する。反応液に、飽和塩化アン
モニウム水溶液を加え、エーテルで抽出する。エーテル
抽出液は飽和食塩水で洗浄した後、減圧下溶媒を溜去す
る。残渣はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸
エチル:ヘキサン=1:9,v/v)で精製し(−)−
(2S,3S)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)
−1,1−ビス(メチルチオ)シクロブタン(20.7
3g,96%)を得る。
【0069】実施例3. (−)−(2S,3S)−2,3−ビス(ヒドロキシメ
チル)−1,1−ビス(メチルチオ)シクロブタンの製
造 アルゴン雰囲気中、水素化アルミニウムリチウム(56
2mg,14.8mmol)のエーテル懸濁液に、0℃
で実施例2−1で製造した(−)−(2S,3S)−
2,3−ビス(メトキシカルボニル)−1,1−ビス
(メチルチオ)シクロブタン(1.96g,7.4mm
ol)のエーテル溶液(10ml)を徐々に加え0℃で
2時間攪拌する。反応液に飽和硫酸ナトリウム水溶液を
加え過剰の還元剤を分解した後、無水硫酸ナトリウムを
加えしばらく攪拌する。無機物を濾去し、更に熱イソプ
ロピルアルコールで洗浄した後、濾液及び洗液を合わせ
て減圧下溶媒を溜去する。残渣は、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(酢酸エチル;ヘキサン:メタノール
=15:20:1,v/v/v)で精製し(−)−(2
S,3S)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−1,
1−ビス(メチルチオ)シクロブタン(1.48g,9
6%)を得る。
【0070】NMR(270MHzFT,CDCl3
δ:2.02(1H,dd,J=9.1,12.1H
z),2.05(3H,s),2.06(3H,s),
2.28(1H,dd,J=8.1,12.1Hz),
2.47−2.68(2H,m),3.26(2H,b
rs),3.54(1H,dd,J=8.8,10.3
Hz),3.67−3.77(2H,m),3.83
(1H,dd,J=5.0,10.4Hz). IR(neat)cm-1:3350.
【0071】本化合物の一部を取り常法((R)−α−
メトキシ−α−トリフルオロメチル−フェニルアセチル
クロリド((R)−MTPACl),ジメチルアミノピ
リジン(DMAP)/ピリジン(pyr)に従いビス
(R)−MTPAエステルに導いた。500MHzNM
Rにおいて、ラセミ体由来のこの化合物のメチル基のシ
グナルは1.852,1.856,1.912,1.9
70ppmの計4本観察されるが、本物質のメチル基の
シグナルは1.852及び1.912ppmのシグナル
が他のものより大きく、光学純度を求めたところ86%
eeであった。
【0072】また、表題化合物(−)−(2S,3S)
−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−1,1−ビス
(メチルチオ)シクロブタンは、酢酸エチル−ヘキサン
より再結晶することにより、光学純度100%の結晶を
得ることができる。(〔α〕D=−32.0°(c
1.03,CH2 Cl2 ))。
【0073】実施例4. (+)−(2S,3S)−2,3−ビス(t−ブチルジ
フェニルシリルオキシメチル)−1,1−ビス(メチル
チオ)シクロブタンの製造 (−)−(2S,3S)−2,3−ビス(ヒドロキシメ
チル)−1,1−ビス(メチルチオ)シクロブタン
(1.37g,6.58mmol)、トリエチルアミン
(2.8ml,20mmol)、4−ジメチルアミノメ
チルピリジン(触媒量)及びDMF(1ml)を塩化メ
チレン(25ml)に溶解した溶液に、t−ブチルジフ
ェニルシリルクロリド(4.52g,25mmol)を
加え室温で一晩攪拌する。反応液は、減圧化濃縮した後
エーテルに溶解し、水洗後、飽和食塩水で洗浄し無水硫
酸ナトリウムで乾燥する。エーテル溶液は、減圧下溶媒
を溜去した後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(エ
ーテル:ヘキサン=1:20,v/v)で精製し(+)
−(2S,3S)−2,3−ビス(t−ブチルジフェニ
ルシリルオキシメチル)−1,1−ビス(メチルチオ)
シクロブタン(4.50g,100%)を得る。
【0074】NMR(200MHzFT,CDCl3
δ:0.99(9H,s),1.02(9H,s),
2.06(6H,s),2.09−2.25(2H,
m),2.85(1H,m),3.52−3.73(3
H,m),3.90(1H,dd,J=9.0,10.
8Hz),7.26−7.47(12H,m),7.5
5−7.74(8H,m).
【0075】実施例5 (+)−(2S,3S)−2,3−ビス(t−ブチルジ
フェニルシリルオキシメチル)−1−シクロブタノンの
製造 N−クロルコハク酸イミド(1.60g,12mmo
l)及び硝酸銀(2.29g,13.5mmol)を8
0%アセトニトリル水溶液(45ml)に溶解し、25
℃(+)−(2S,3S)−2,3−ビス(t−ブチル
ジフェニルシリルオキシメチル)−1,1−ビス(メチ
ルチオ)シクロブタン(2.06g,3mmol)をア
セトニトリル(6ml)及び塩化メチレン(1ml)に
溶解した溶液を素早く加え、10分間攪拌する。反応液
に飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(3ml)を加え1分間
攪拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3ml)
を加え1分間攪拌し、更に飽和食塩水(3ml)を加え
1分間攪拌する。この溶液に塩化メチレン−ヘキサン混
合液(1:1,v/v)(60ml)を加えた後、不溶
物をハイフロを用いて濾去する。濾液は無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥した後減圧下溶媒を溜去し、残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(エーテル:ヘキサン=
1:10,v/v)で精製し(+)−(2S,3S)−
2,3−ビス(t−ブチルジフェニルシリルオキシメチ
ル)−1−シクロブタノン(1.49g,82%)を得
る。
【0076】NMR(270MHzFT,CDCl3
δ:1.02(9H,s),1.04(9H,s),
2.74−3.05(2H,m),3.29(1H,
m),3.69(1H,dd,J=3.7,10.6H
z),3.82(1H,dd,J=4.8,10.3H
z),3.88(1H,dd,J=4.8,10.3H
z),3.97(1H,dd,J=4.0,10.6H
z),7.32−7.44(12H,m),7.62−
7.68(8H,m), IR(neat)cm-1:1785.
【0077】実施例6. 2,3−ビス(t−ブチルジフェニルシリルオキシメチ
ル)シクロブタノールの製造 実施例6−1.アルゴン雰囲気下、水素化リチウムトリ
(t−ブトキシ)アルミニウム(1.27g,5.0m
mol)をテトラヒドロフラン(THF)(10ml)
に加え、−78℃に冷却する。この懸濁液に、(+)−
(2S,3S)−2,3−ビス(t−ブチルジフェニル
シリルオキシメチル)−1−シクロブタノン(1.21
g,2.0mmol)のTHF溶液を加え、攪拌下数時
間かけてゆっくり室温まで昇温する。反応液に0.2M
−リン酸緩衝液を加え過剰の還元剤を分解した後、塩化
メチレンを加え無機物を濾去する。濾液は、塩化メチレ
ンで抽出後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を
溜去する。残渣はシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(酢酸エチル:ヘキサン=1:9−1:4,v/v)で
分離精製し、(+)−(1S,2S,3S)−2,3−
ビス(t−ブチルジフェニルシリルオキシメチル)シク
ロブタノール(0.104g,9%)
【0078】NMR(200MHzFT,CDCl3
δ:1.00(9H,s),1.07(9H,s),
1.97−2.25(2H,m),2.32(1H,
m),2.48(1H,m),3.17(1H,d,J
=7.3Hz),3.56(2H,d,J=5.8H
z),3.88(1H,dd,J=5.6,11.4H
z),3.98(1H,dd,J=4.0,11.4H
z),4.46(1H,m),7.26−7.48(1
2H,m),7.54−7.72(8H,m),
【0079】及び(+)−(1R,2S,3S)−2,
3−ビス(t−ブチルジフェニルシリルオキシメチル)
シクロブタノール(1.068g,88%)を得る。
【0080】NMR(200MHzFT,CDCl3
δ:1.03(9H,s),1.04(9H,s),
1.60−1.73(2H,m),1.92(1H,
m),2.10−2.37(2H,m),3.52−
3.70(3H,m),3.77(1H,dd,J=
4.5,10.4Hz),4.03(1H,m),7.
27−7.46(12H,m),7.56−7.69
(8H,m).
【0081】実施例6−2.アルゴン雰囲気下、(+)
−(2S,3S)−2,3−ビス(t−ブチルジフェニ
ルシリルオキシメチル)−1−シクロブタノン(4.1
2g,6.8mmol)のトルエン(70ml)溶液
に、−78℃で1M−水素化ジイソブチルアルミニウム
/トルエン(8.2ml,8.2mmol)を徐々に加
え、同温で10分間攪拌する。反応液に0.2M−リン
酸緩衝液(pH7)を加え、しばらく攪拌した後、過剰
の塩化メチレンを加え無機物を濾去する。濾液は、塩化
メチレンで抽出後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、
溶媒を溜去する。残渣はシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:9−1:4,v/
v)で分離精製し、(+)−(1S,2S,3S)−
2,3−ビス(t−ブチルジフェニルシリルオキシメチ
ル)シクロブタノール(3.38g,82%)及び
(+)−(1R,2S,3S)−2,3−ビス(t−ブ
チルジフェニルシリルオキシメチル)シクロブタノール
(0.69g,17%)を得る。
【0082】実施例6−3. (+)−(1R,2S,3S)−2,3−ビス(t−ブ
チルジフェニルシリルオキシメチル)シクロブタノール
から(+)−(1S,2S,3S)−2,3−ビス(t
−ブチルジフェニルシリルオキシメチル)シクロブタノ
ールへの変換 工程1.アルゴン気流中、(+)−(1R,2S,3
S)−2,3−ビス(t−ブチルジフェニルシリルオキ
シメチル)シクロブタノール(700mg,1.15m
mol)、安息香酸(167mg,1.37mmol)
及びトリフェニルフォスフィン(362mg,1.38
mmol)のベンゼン(10ml)溶液に、ジエチルア
ゾジカルボキシレート(217μl,1.38mmo
l)を加え、室温で終夜攪拌する。反応液は、減圧下揮
発物質を溜去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(エーテル:ヘキサン=1:10,v/v)で精製
し、(+)−(1S,2S,3S)−1−ベンゾイル−
2,3−ビス(t−ブチルジフェニルシリルオキシメチ
ル)シクロブタン(791mg,97%)を得る。
【0083】NMR(200MHzFT,CDCl3
δ:0.97(9H,s),1.06(9H,s),
2.23−2.40(2H,m),2.45(1H,
m),2.85(1H,m),3.71(2H,d,J
=5.4Hz),3.83(1H,dd,J=6.1,
10.5Hz),3.99(1H,dd,J=7.3,
10.5Hz),5.48(1H,apperent
q.J=6.5Hz),7.21−7.45(14H ,
m),7.49−7.72(9Hz),7.98(2
H,d,J=7.1Hz).
【0084】工程2.アルゴン気流中、工程1で得られ
た(+)−(1S,2S,3S)−1−ベンゾイル−
2,3−ビス(t−ブチルジフェニルシリルオキシメチ
ル)シクロブタン(790mg,1.1mmol)のト
ルエン(10ml)溶液に、−78℃で1M−水素化ジ
イソブチルアルミニウム/トルエン(2.6ml,2.
6mmol)を徐々に加え、同温で30分間攪拌する。
反応液に0.2M−リン酸緩衝液(pH7)を加え、し
ばらく攪拌した後、過剰の塩化メチレンを加え無機物を
濾去する。濾液は塩化メチレンで抽出後、無水硫酸ナト
リウムで乾燥した後、溶媒を溜去する。残渣はシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(エーテル:ヘキサン=
1:5、v/v)で分離精製し、(+)−(1S,2
S,3S)−2,3−ビス(t−ブチルジフェニルシリ
ルオキシメチル)シクロブタノール(644mg,95
%)を得る。
【0085】実施例7. (+)−(1S,2S,3S)−2,3−ビス(t−ブ
チルジフェニルシリルオキシメチル)−1−メタンスル
ホニルオキシシクロブタンの製造 (+)−(1S,2S,3S)−2,3−ビス(t−ブ
チルジフェニルシリルオキシメチル)シクロブタノール
(911mg,1.5mmol)及びトリエチルアミン
(0.6ml,4.3mmol)の塩化メチレン溶液
に、0℃でメタンスルホニルクロリド(0.17ml,
2.2mmol)を加え、0℃で15分間攪拌する。反
応液に0.2M−リン酸緩衝液を加え、エーテルで抽出
する。エーテル抽出液は、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た後、溶媒を溜去する。残渣はシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(酢酸エステル:ヘキサン=1:6,v/
v)で精製し(+)−(1S,2S,3S)−2,3−
ビス(t−ブチルジフェニルシリルオキシメチル)−1
−メタンスルホニルオキシシクロブタン(定量的)を得
る。
【0086】NMR(200MHzFT,CDCl3
δ:1.04(9H,s),1.06(9H,s),
2.25−2.53(3H,m),2.78(1H,
m),2.87(3H,s),3.65(2H,d,J
=4.0Hz),3.85(1H,dd,J=6.3,
10.5Hz),3.93(1H,dd,J=6.5,
10.5Hz),5.25(1H,m),7.32−
7.50(12H,m),7.60−7.75(8H,
m).
【0087】本化合物を、エーテル−ヘキサンより再結
晶することにより、結晶(〔α〕D=+12.0°(c
1.01,CH2 Cl2 ))(光学純度100%)を
得ることができる。
【0088】実施例8 (−)−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス
(ヒドロキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−アデ
ニン(化合物イ)の製造 工程1 (+)−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス
(t−ブチルジフェニルシリルオキシメチル)シクロブ
タン−1−イル〕−アデニンの製造 アデニン(100mg,0.74mmol)のDMF
(4ml)懸濁液に60%水素化ナトリウム(30m
g,0.75mmol)を加え、1時間攪拌する。反応
液に(+)−(1S,2S,3S)−2,3−ビス(t
−ブチルジフェニルシリルオキシメチル)−1−メタン
スルホニルオキシシクロブタン(254mg,0.37
mmol)のDMF(1.5ml)溶液を加え、145
℃で6時間攪拌する。冷却後0.2M−リン酸緩衝液を
加え酢酸エチルで抽出する。抽出液は、無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥した後、溶媒を溜去する。残渣は、シリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノー
ル=30:1,v/v)で精製し、(+)−9−〔(1
R,2R,3S)−2,3−ビス(t−ブチルジフェニ
ルシリルオキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−ア
デニン(126mg,47%)を得る。
【0089】NMR(200MHzFT,CDCl3
δ:0.98(9H,s),1.06(9H,s),
2.30−2.65(3H,m),3.07(1H,
m),3.62−3.84(4H,m),4.81(1
H,m),5.61(2H,brs),7.20−7.
52(12H,m),7.52−7.75(8H,
m),7.85(1H,s),8.33(1H,s).
【0090】工程2 (−)−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス
(ヒドロキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−アデ
ニン(化合物イ)の製造 工程1で製造した(+)−9−〔(1R,2R,3S)
−2,3−ビス(t−ブチルジフェニルシリルオキシメ
チル)シクロブタン−1−イル〕−アデニン(118m
g,0.16mmol)のメタノール溶液(2ml)に
4N−塩酸/ジオキサン(0.17ml,0.65mm
ol)を加え室温で一晩攪拌する。反応液は、減圧下溶
媒を溜去した後、水を加えエーテル可溶部を除いた後、
0.1N水酸化ナトリウム溶液で中和し溶媒を溜去す
る。粗生成物をセファデックスHP−20カラムクロマ
トグラフィー(水:メタノール=1:0−1:1,v/
v)、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチ
レン:エタノール=5:1,v/v)、更にセファデッ
クスLH−20カラムクロマトグラフィー(メタノー
ル)で分離精製し、(−)−9−〔(1R,2R,3
S)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロブタン
−1−イル〕−アデニン(化合物イ)(37mg,91
%)を得る。
【0091】NMR(200MHzFT,CD3 OD)
δ:2.24(1H,m),2.37(1H,appa
rent q,J=9.5Hz),2.62(1H,
m),2.88(1H,m),3.65−3.74(4
H,m),4.71(1H,apparent q,J
=5Hz),8.20(1H,s),8.26(1H,
s). UV λmax(H2 O)nm:pH1,259;pH
7,259;pH13,259. HRMS(FAB) Calcd for 〔C11155 2 +H〕+ ;2
50.1304 Found;250.1305.
【0092】本化合物を、エーテル−メタノールより再
結晶することにより、結晶(〔α〕D =−44.7°
(c 0.98,ピリジン))(光学純度>98%)を
得ることができる。
【0093】実施例9. (+)−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス
(ヒドロキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−グア
ニン(化合物ロ)の製造 工程1. (+)−2−アミノ−9−〔(1R,2R,3S)−
2,3−ビス(t−ブチルジフェニルシリルオキシメチ
ル)シクロブタン−1−イル〕−6−(2−メトキシエ
トキシ)プリンの製造 2−アミノ−6−(2−メトキシエトキシ)プリン(1
55mg,0.74mmol)のDMF(4ml)懸濁
液に水素化リチウム(6mg,0.75mmol)を加
え、1時間攪拌する。反応液に(+)−(1S,2S,
3S)−2,3−ビス(t−ブチルジフェニルシリルオ
キシメチル)−1−メタンスルホニルオキシシクロブタ
ン(450mg,0.65mmol)のDMF(1.5
ml)溶液を加え、145℃で6時間攪拌する。冷却後
0.2M−リン酸緩衝液及び酢酸エチルを加え不溶物を
濾去した後、酢酸エチルで抽出する。抽出液は、無水硫
酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を溜去する。残渣は、
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:
酢酸エチル=10:1,v/v)で精製し、(+)−2
−アミノ−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス
(t−ブチルジフェニルシリルオキシメチル)シクロブ
タン−1−イル〕−6−(2−メトキシエトキシ)−プ
リン(88mg,30%)を得る。
【0094】NMR(200MHzFT,CDCl3
δ:1.01(9H,s),1.05(9H,s),
2.25−2.60(3H,m),2.92(1H,
m),3.44(3H,s),3.60−3.94(6
H,m),4.50−4.90(5H,m),7.15
−7.55(12H,m),7.55−7.80(8
H,m),7.67(1H,s).
【0095】本反応の溶媒として、DMSO及びHMP
Aを用いると、反応はそれぞれ75℃及び100℃で進
行し、DMFを用いた場合と同様の結果が得られる。
【0096】工程2. (+)−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス
(ヒドロキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−グア
ニン(化合物ロ)の製造 工程1で製造した(+)−2−アミノ−9−〔(1R,
2R,3S)−2,3−ビス(t−ブチルジフェニルシ
リルオキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−6−
(2−メトキシエトキシ)−プリン(79mg,0.1
0mmol)のメタノール溶液(2ml)に4N−塩酸
/ジオキサン(0.1ml,0.4mmol)を加え室
温で一晩攪拌する。反応液は減圧下溶媒を溜去した後、
水を加えエーテル可溶部を除き、溶媒を溜去し、2N−
塩酸水溶液(2ml)を加え、1時間加熱還流する。反
応液は1M−水酸化ナトリウム溶液で中和した後、セフ
ァデックスHP−20カラムクロマトグラフィー(水:
メタノール=1:0−1:4,v/v)で精製し、
(+)−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス
(ヒドロキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−グア
ニン(化合物ロ)(23mg,88%)を得る。
【0097】NMR(200MHzFT,CD3 OD)
δ:2.18(1H,m),2.32(1H,appa
rent q,J=10.0Hz),2.50(1H,
m),2.79(1H,m),3.62−3.74(4
H,m),4.54(1H,apparent q,J
=8.8Hz),7.89(1H,s). UV λmax(H2 O)nm:pH1,253,27
7(sh);pH7,253,268(sh);pH1
3,256(sh),267 HRMS(FAB) Calcd for 〔C11155 3 +H〕+ :2
66.1253 Found;266.1251.
【0098】本化合物を、水より再結晶することによ
り、結晶(〔α〕D =+26.5°(c 0.99,
0.1 N−NaOH))(光学純度>98%)を得る
ことができる。本実施例と同様にして、対応する塩基を
用いて、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)の化合物を得
る。
【0099】実施例10. 2−アミノ−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビ
ス(ヒドロキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−6
−クロロプリン(化合物ニ)の製造 工程1. 2−アミノ−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビ
ス(アセトキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−6
−クロロプリンの製造 9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス(ヒドロキ
シメチル)シクロブタン−1−イル〕−グアニン(化合
物ロ)(265mg,1.0mmol)の無水ジメチホ
ルムアミド(1.5ml)懸濁液にピリジン(0.5m
l)及び無水酢酸(1ml)を加え、75℃で30分間
攪拌する。反応液は減圧下溶媒を溜去し、トルエンで数
回共沸した後、乾燥し、粗9−〔(1R,2R,3S)
−2,3−ビス(アセトキシメチル)シクロブタン−1
−イル〕−グアニン(250mg)を得る。ここに得ら
れた粗9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス(ア
セトキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−グアニン
(350mg)及びテトラエチルアンモニウムクロリド
(331mg,2.0mmol)を無水アセトニトリル
(2ml)に溶解し、N,N−ジメチルアニリン(13
0μl,1.0mmol)及びオキシ塩化リン(0.5
7ml,6.0mmol)を加え,100℃で10分間
加熱還流する。反応液は、減圧下揮発性物質を溜去し、
残渣に砕氷及び塩化メチレンを加え、0℃でしばらく攪
拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、0
℃でしばらく攪拌した後、塩化メチレンで抽出する。塩
化メチレン抽出液は、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後
溶媒を溜去する。残渣は、シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(塩化メチレン:酢酸エチル=1:1,v/
v)で精製し2−アミノ−9−〔(1R,2R,3S)
−2,3−ビス(アセトキシメチル)シクロブタン−1
−イル)−6−クロロプリン(335mg,91%)を
得る。
【0100】NMR(200MHzFT,CDCl3
δ:2.02(3H,s),2.11(3H,s),
2.18−2.73(3H,m),3.09(1H,
m),4.25(4H,d,J=5.9Hz),4.5
9(1H,apparent q,J=8.4Hz),
4.65(2H,br),7.88(1H,s).
【0101】工程2. 2−アミノ−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビ
ス(ヒドロキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−6
−クロロプリン(化合物ニ)の製造 2−アミノ−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビ
ス(アセトキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−6
−クロロプリン(98mg,0.27mmol)をメタ
ノール(2ml)に溶解し炭酸カリウム(90mg,
0.65mmol)を加え0℃で30分間攪拌する。反
応液を1N−塩酸で中和した後、セファデックスHP2
0(水−60%メタノール水溶液)で精製し2ーアミノ
−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス(ヒドロ
キシメチル)シクロブタン−1−イル〕−6−クロロプ
リン(化合物ニ)(65mg,86%)を得る。
【0102】NMR(200MHzFT,CD3 OD)
δ:2.20(1H,m),2.37(1H,m),
2.57(1H,m),2.89(1H,m),3.6
9(4H,d,J=5.5Hz),4.64(1H,a
pparent q,J=8.8Hz),8.19(1
H,s). UV λmax(H2 O)nm:pH1,244(s
h),313;pH7,248(sh),306;pH
13,248(sh),305.
【0103】実施例11 2−アミノ−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビ
ス(ヒドロキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−プ
リン(化合物ハ)の製造 工程1. 2−アミノ−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビ
ス(アセトキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−プ
リン(化合物ト)の製造 2−アミノ−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビ
ス(アセトキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−6
−クロロプリン(87mg,0.24mmol)をメタ
ノール(2ml)に溶解し、10%パラジウム炭素(1
3mg)を加え、水素雰囲気下、室温で一晩攪拌する。
反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を少し加え、触
媒を濾去した後、減圧下溶媒を溜去し、残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノー
ル=20:1,v/v)で精製し2−アミノ−9−
〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス(アセトキシメ
チル)シクロブタン−1−イル〕−プリン(56mg,
71%)を得る。
【0104】NMR(200MHzFT,CDCl3
δ:2.01(3H,s),2.12(3H,s),
2.28−2.71(3H,m),3.11(1H,
m),4.17−4.34(4H,m),4.60(1
H,apparent q,J=8.6Hz),5.1
1(2H,brs),7.80(1H,s),8.70
(1H,s),
【0105】工程2. 2ーアミノ−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビ
ス(ヒドロキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−プ
リン(化合物ハ)の製造 2−アミノ−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビ
ス(アセトキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−ク
ロロプリン(40mg,0.12mmol)をメタノー
ル(2ml)に溶解し炭酸カリウム(40mg,0.2
9mmol)を加え0℃で30分間攪拌する。反応液を
0.1N−塩酸で中和した後、セファデックスHP20
(水−50%メタノール水溶液)で精製し2−アミノ−
9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス(ヒドロキ
シメチル)シクロブタン−1−イル〕−プリン(化合物
ハ)(27mg,90%)を得る。
【0106】NMR(200MHzFT,CD3 OD)
δ:2.10−2.66(3H,m),2.90(1
H,m),3.70(4H,d,J=5.6Hz),
4.65(1H,apparent q,J=8.7H
z),8.20(1H,s),8.54(1H,s), UV λmax(H2 O)nm:pH1,252(s
h),312;pH7,244(sh),304;pH
13,244(sh),304.
【0107】実施例12. 2,6−ジアミノ−9−〔(1R,2R,3S)−2,
3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロブタン−1−イ
ル〕−プリン(化合物ホ)の製造 2−アミノ−9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビ
ス(アセトキシメチル)シクロブタン−1−イル〕−6
−クロロプリン(87mg,0.24mmol)をメタ
ノール(2ml)に溶解し、−78℃に冷却する。この
溶液に液体アンモニアを飽和し、封管中、100℃で1
2時間加熱する。反応液は減圧下揮発性物質を溜去した
後、水に溶解し、0.1N−水酸化ナトリウムで中和し
た後、セファデックスHP20(水−40%メタノール
水溶液)で精製し、2,6−ジアミノ−9−〔(1R,
2R,3S)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)シク
ロブタン−1−イル〕−プリン(化合物ホ)(41m
g,82%)を得る。
【0108】NMR(200MHzFT,CD3 OD)
δ:2.19(1H,m),2.31(1H,m),
2.54(1H,m),2.75(1H,m),3.6
1−3.74(4H,m),4.49(1H,appa
rent q,J=8.6Hz),7.90(1H,
s), UV λmax(H2 O)nm:pH1,253,29
1;pH7,255,280;pH13,255,28
0.
【0109】実施例13 9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス(ヒドロキ
シメチル)シクロブタン−1−イル〕−ヒポキサンチン
(化合物ヘ)の製造 9−〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス(ヒドロキ
シメチル)シクロブタン−1−イル〕−アデニン(化合
物イ)(25mg,0.10mmolを水(2.5m
l)に溶解し、亜硝酸ナトリウム(138mg,2.0
mmol)を加え、0℃に冷却した後、酢酸(0.13
ml)を加え、室温で一日攪拌する。反応液は、1N−
水酸化ナトリウムで中和した後、セファデックスHP2
0(水−40%メタノール水溶液)で精製し9−〔(1
R,2R,3S)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)
シクロブタン−1−イル〕−ヒポキサンチン(化合物
ヘ)(23mg,90%)を得る。
【0110】NMR(200MHzFT,CD3 OD)
δ:2.25(1H,m),2.38(1H,m),
2.58(1H,m),2.90(1H,m),3,6
6−3.74(4H,m),4.76(1H,appa
rent q,J=8.5Hz),8.04(1H,
s),8.20(1H,s). UV λmax(H2 O)nm:pH1,250;pH
7,250;pH13,254.
【0111】
【発明の効果】本発明の制癌剤は優れた制癌作用を有す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平1−158223 (32)優先日 平1(1989)6月22日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 松原 謙一 大阪府吹田市山田東3−18−1−804 (72)発明者 長幡 武光 大阪府豊中市上新田2−6−25 千里坂 ノ木ハイツ208 (72)発明者 星野 洪郎 群馬県前橋市平和町1−14−5 (72)発明者 関 淳一 群馬県高崎市岩鼻町239 (72)発明者 奈良坂 紘一 東京都江東区越中島1−3−17−310 (72)発明者 林 雄二郎 東京都大田区南雪谷2−6−2 審査官 冨士 美香 (56)参考文献 特開 平2−6478(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 31/52 C07D 473/18 C07D 473/34

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(IV) 【化1】 〔式中Bはプリン塩基であり、R4 は水素原子または保
    護基である〕で表される(1R,2R,3S)シクロブ
    タン誘導体を有効成分とする制癌剤。
  2. 【請求項2】一般式(IV)で表される化合物が9−
    〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス(ヒドロキシメ
    チル)シクロブタン−1−イル〕−アデニンである請求
    項1記載の制癌剤
  3. 【請求項3】一般式(IV)で表される化合物が9−
    〔(1R,2R,3S)−2,3−ビス(ヒドロキシメ
    チル)シクロブタン−1−イル〕−グアニンである請求
    項1記載の制癌剤。
JP8146549A 1988-09-09 1996-05-17 制癌剤 Expired - Fee Related JP2783531B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8146549A JP2783531B2 (ja) 1988-09-09 1996-05-17 制癌剤

Applications Claiming Priority (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63-224476 1988-09-09
JP22447688 1988-09-09
JP63-295135 1988-11-22
JP29513588 1988-11-22
JP1-43036 1989-02-27
JP4303689 1989-02-27
JP15822389 1989-06-22
JP1-158223 1989-06-22
JP8146549A JP2783531B2 (ja) 1988-09-09 1996-05-17 制癌剤

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1220354A Division JP2577640B2 (ja) 1988-09-09 1989-08-29 新規なシクロブタン誘導体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08301765A JPH08301765A (ja) 1996-11-19
JP2783531B2 true JP2783531B2 (ja) 1998-08-06

Family

ID=27522294

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8146549A Expired - Fee Related JP2783531B2 (ja) 1988-09-09 1996-05-17 制癌剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2783531B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2744857C (en) * 2008-11-27 2014-02-18 National University Corporation Kagawa University Cyclobutyl purine derivative, angiogenesis promoting agent, lumen formation promoting agent, neurocyte growth promoting agent, and drug

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08301765A (ja) 1996-11-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0358154B1 (en) Novel cyclobutane derivative and process for producing same
US5306837A (en) Intermediates for an optically active cyclobutane nucleoside
US6573378B1 (en) Antiviral guanine derivatives
JP2694999B2 (ja) ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチルプリン類およびピリミジン類
EP2594569B1 (en) Entecavir synthesis method and intermediate compound thereof
JPH01168689A (ja) K−252誘導体
Jones et al. Synthesis of carbocyclic nucleosides: preparation of (–)-5′-homoaristeromycin and analogues
JPH085886B2 (ja) 新規化合物、その製法及びそれを含む医薬組成物
JPH02270864A (ja) フルオロカルバサイクリックヌクレオシドおよびその製造法
JP2783531B2 (ja) 制癌剤
JP2577640B2 (ja) 新規なシクロブタン誘導体
JP2888333B2 (ja) 抗ウイルス剤
JP2632646B2 (ja) 新規なシクロブタン誘導体及びその製造法
JPH07126282A (ja) 新規なチオヌクレオシド誘導体
JPH09249690A (ja) 4’−チオアラビノプリンヌクレオシド
US5198583A (en) Optically active cyclobutane nucleoside and intermediates, therefor
US5256806A (en) Intermediates for the preparation of optically active cyclobutane nucleoside
JP3985103B2 (ja) 新規複合体及びオリゴヌクレオチドの合成方法
JP4211901B2 (ja) 4’−メチルヌクレオシド化合物
JPH05271224A (ja) 新規なオキセタン環含有ヌクレオシド誘導体
EP0806425A1 (en) An improved regiospecific process for synthesis of acyclic nucleosides
WO1990005730A2 (en) Novel cyclobutane derivative and process for producing same
JPH04117383A (ja) 2―アルコキシカルボニル―2―メチル―1―オキソ―1,2,3,6,7,8―ヘキサヒドロ―ベンゾ〔1,2―b;4,3―b´〕ジピロール誘導体
JPH03223264A (ja) 新規なシクロペンタン誘導体及びその製造法
HU209437B (en) Process for producing purinyl and pyrimidinyl tetrahydrofuran derivatives and pharmaceutical preparations containing them

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees