JP2777762B2 - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物

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JP2777762B2
JP2777762B2 JP4164334A JP16433492A JP2777762B2 JP 2777762 B2 JP2777762 B2 JP 2777762B2 JP 4164334 A JP4164334 A JP 4164334A JP 16433492 A JP16433492 A JP 16433492A JP 2777762 B2 JP2777762 B2 JP 2777762B2
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resin
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agent
coupling agent
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勉 田村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアミド樹脂組成物に
関する物であり、更に詳しくは強度、剛性、伸度、耐衝
撃性、耐熱性を同時に満足する成形物の製造に有用なポ
リアミド樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド樹脂成形物は優れた機械的、
熱的、化学的、電気的特性を有するため従来より自動車
部品、電気部品、工業部品等の用途に広く用いられてい
るが、低温での衝撃特性が悪いため種々の衝撃改良樹脂
を添加することがよく知られている(例えば特開昭60
−238360号)。しかしこの方法では衝撃性は改良
されるが強度、剛性、耐熱性が低下する欠点が生じる。
前記欠点を防止するため強化剤を添加し強度、剛性、耐
熱性を改良することが考えられるがそれらの改良効果は
必ずしも十分ではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はポリアミド樹
脂組成物の組成およびモルフオロジー構造を特定化する
ことにより強度、剛性、伸度、耐衝撃性、耐熱性を同時
に満足させる成形物の提供を可能にならしめようとする
ものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために種々研究の結果、ポリアミド樹脂、強
化剤とカップリング剤またはカップリング剤処理した強
化剤および前記ポリアミド樹脂以外の反応性基を有する
熱可塑性樹脂を含有する組成物であって、前記樹脂類と
その他の成分とを同時には配合しないことにより、前記
強化剤およびポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有す
る熱可塑性樹脂とが、互いに直接に接着せず、連続相で
あるポリアミド樹脂中に、実質的に独立して均一に分散
しており、上記熱可塑性樹脂の分散平均粒径が約2μ以
下であるポリアミド樹脂組成物の成形物が強度、剛性、
伸度、耐衝撃性、耐熱性を同時に満足することを見出し
て本発明を完成した。
【0005】本発明のポリアミド樹脂組成物における成
分割合は、好ましくは、ポリアミド樹脂98〜30重量
部に対しポリアミド樹脂以外の反応性基を有する熱可塑
性樹脂を2〜70重量部、更に好ましくはポリアミド樹
脂97〜55重量部に対しポリアミド樹脂以外の反応性
基を有する熱可塑性樹脂を3〜45重量部であり、ポリ
アミド樹脂とポリアミド樹脂以外の反応性基を有する熱
可塑性樹脂の合計95〜35重量%に対し強化剤は5〜
65重量%、好ましくは10〜50重量%である。
【0006】なお強化剤はカップリング剤と併用する
か、カップリング剤処理したものを用いるのであるが、
カップリング剤量は強化剤100重量部に対し0.05
重量部以上、好ましくは0.1重量部以上とするのがよ
い。
【0007】また本発明組成物は下記のモルフオロジー
構造を有する。即ち、強化剤および前記のポリアミド樹
脂以外の熱可塑性樹脂はポリアミド樹脂内に互いに実質
的に独立して均一に分散しており、該熱可塑性樹脂の分
散平均粒径は約2μ以下、好ましくは0.5μ以下であ
る。強化剤とポリアミド樹脂以外の反応性基を有する熱
可塑性樹脂は相互に独立して分散している。なおこれら
の粒子は部分的あるいは局部的に相互接着していてもよ
いが強化剤の周囲を該熱可塑性樹脂がかこみこむ接着は
よくない。
【0008】このような組成、このようなモルフオロジ
ー構造を有する場合に、樹脂組成物は強度、剛性、伸
度、耐衝撃性、耐熱性を同時に満足する成形物とするこ
とができるのである。
【0009】本発明のポリアミド樹脂組成物の成形物は
強度、剛性、伸度、耐衝撃性、耐熱性を同時に満足する
ためこれらの性質が特に要求される用途分野において好
ましく用いられる。例えば自動車の外塗、外板、内装部
品、具体的にはフエンダー、エアーインティク、ホイル
キャップ、スポイラー、ドアハンドル等に、又電動工具
部品、電気部品、工業部品等に用いられるが、用途はこ
れらに限定されるものではない。
【0010】本発明におけるポリアミド樹脂とは、分子
中に酸アミド結合(−CONH−)を有するものであ
り、具体的には、ε−カプロラクタム、6−アミノカプ
ロン酸、ω−エナントラクタム、7−アミノヘプタン
酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、
α−ピロリドン、α−ピペリドンなどから得られる重合
体または共重合体:ヘキサメチレンジアミン、ノナメチ
レンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチ
レンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミン
とテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン
酸などのジカルボン酸とを重縮合して得られる重合体ま
たは共重合体もしくはこれらのブレンド物等を例示する
ことができるが、これらに限定されるものではない。
【0011】上記のポリアミド樹脂のうち、平均分子量
9000〜30000のものが好ましい。又ポリアミド
樹脂のアミノ末端基、カルボキシル末端基は強化剤のカ
ップリング剤、及びポリアミド樹脂以外の反応性基を有
するポリマーと反応し結合するためアミノ末端基量、カ
ルボキシル末端基量は多い方が好ましい。又使用するカ
ップリング剤の種類、量及びポリアミド樹脂以外の反応
性基を有するポリマーの反応性基の種類、量により両末
端基量のバランスを変更してもよい。
【0012】本発明において使用する強化剤としては繊
維状強化剤、フイラー状強化剤があり繊維状強化剤とし
てはガラス繊維、フイラー状強化剤としてはタルク、マ
イカ、ワラストナイト、炭酸カルシウム、ウィスカー、
シリカ、カオリン、モンモリロナイト、クレー等が挙げ
られるが本発明は特にこれらに限定されるものではな
い。これらの強化剤はポリアミド樹脂とポリアミド樹脂
以外の反応性基を有する熱可塑性樹脂95〜35重量%
に対し5〜65重量%、好ましくは10〜50重量%添
加すればよい。強化剤量が5重量%以下であれば補強効
果が少なく反対に65重量%以上であれば成形品がモロ
くなったり、成形時流動性不良、成形品外観不良が発生
し好ましくない。
【0013】強化剤とポリアミド樹脂との結合をよくす
るために強化剤はカップリング剤と併用するか、カップ
リング剤処理したものを用いるが、カップリング剤とし
てはシラン系カップリング剤、チタネート系カップリン
グ剤、アルミニウム系カップリング剤等いずれを使用し
てもよいが、そのなかでも特にアミノシランカップリン
グ剤、エポキシシランカップリング剤が好ましい。これ
らのシラン系カップリング剤はポリアミド樹脂のカルボ
キシル末端基、又はアミノ末端基と反応し強化剤とポリ
アミド樹脂を化学的に結合させ、強度、弾性率、伸度、
耐衝撃性を向上させる働きをする。カップリング剤の添
加量は強化剤100重量部に対し0.05重量部以上好
ましくは0.1重量部以上とするのがよい。
【0014】本発明におけるポリアミド樹脂以外の反応
性基を有する熱可塑性樹脂としてはポリエチレン(P
E)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン
(TPX)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エ
チレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレ
ン−アクリル酸エチル共重合体(EEA),エチレン−
アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アク
リル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共
重合体(EMAA),エチレン−酢酸ビニル共重合体
(EVA)等のポリオレフイン系樹脂;AS樹脂、AB
S樹脂、ポリスチレン(PS)、アクリル酸エステル共
重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重
合体(SBS),スチレン−エチレン−ブチレン−スチ
レンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプ
レン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン
−アクリロニトリル共重合体等のビニルポリマー系樹
脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチ
レンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(P
C),ポリアクリレート(PAR)、ポリブチレンテレ
フタレート(PBT)とポリテトラメチレングリコール
(PTMG)のブロック共重合体、ポリブチレンテレフ
タレート(PBT)とポリカプロラクトンのブロック共
重合体等のポリエステル系樹脂;ポリフエニレンオキサ
イド(PPO)等の樹脂があるがこれらに限定されるも
のではない。なおこれらの熱可塑性樹脂は二種又はそれ
以上併用してもよい。
【0015】本発明におけるポリアミド樹脂以外の熱可
塑性樹脂の有する反応性基とはポリアミド樹脂の末端基
であるアミノ基、カルボキシル基及び主鎖アミド基と反
応しうる基であり、具体的にはカルボン酸基、酸無水物
基、エポキシ基、オキサゾリン基、アミノ基、イソシア
ネート基等が例示されるがこれらのなかで酸無水物基が
最も反応性に優れている。このようにポリアミド樹脂と
反応する反応性基を有する熱可塑性樹脂はポリアミド中
に微分散し、微分散するがゆえに粒子間の距離が短くな
り耐衝撃性が大幅に改良されるという報告もある〔S ,
Wu :Polymer26,1855(1985)〕。
【0016】本発明における組成物のモルフオロジー構
造として、強化剤およびポリアミド樹脂以外の反応性基
を有する熱可塑性樹脂は互いに実質的に独立してポリア
ミド樹脂内に均一に微分散(ほぼすべての粒径が約2μ
以下)している必要があり、ポリアミド樹脂以外の反応
性基を有する熱可塑性樹脂が強化剤の周囲を直接かこむ
ような接着状態にさせないことが必要である。
【0017】強化剤をポリアミド樹脂内に均一分散させ
なければ強度、剛性、伸度、耐衝撃性が低下し好ましく
ない。ポリアミド樹脂以外の反応性基を有する熱可塑性
樹脂のポリアミド樹脂内の微分散粒径は平均約2μ以
下、好ましくは0.5μ以下である。約2μ以上になれ
ば粒子間の距離が長くなり、強度、伸度、耐衝撃性が低
下し好ましくない。強化剤とポリアミド樹脂以外の反応
性基を有する熱可塑性樹脂は部分的あるいは局部的接着
はよいが強化剤をかこみこむ接着は好ましくない。強化
剤を囲みこむ接着がおこれば強化剤を添加する目的であ
る強度、剛性、耐熱性改良効果がうすれ又添加している
ポリアミド樹脂以外の反応性基を有する熱可塑性樹脂が
ポリアミド樹脂内に微分散している量、数が少なくなり
(強化剤の周辺に取られてしまう)粒子間の距離が広く
なり耐衝撃性が低下する欠点が生じる。
【0018】前記のようなモルフオロジー構造を有する
樹脂組成物は単にポリアミド樹脂、強化剤とカップリン
グ剤又はカップリング剤処理強化剤、ポリアミド樹脂以
外の反応性基を有する熱可塑性樹脂をブレンド後押出機
等で溶融混練する常法では得られ難く、特別の方法によ
るのが推奨される。即ち、溶融混練機(例えば溶融押出
機、溶融反応釜)にポリアミド樹脂とポリアミド樹脂以
外の反応性基を有する熱可塑性樹脂を均一に溶融混練
し、ポリアミド樹脂中該熱可塑性樹脂を均一に微分散さ
せた後強化剤(およびカップリング剤)又はカップリン
グ剤処理強化剤を投入しポリアミド樹脂内に強化剤を均
一に分散させる。又は溶融混練機でポリアミド樹脂と強
化剤(およびカップリング剤)又はカップリング剤処理
強化剤を溶融混練しポリアミド樹脂内に均一に強化剤を
分散させた後、ポリアミド樹脂以外の反応性基を有する
熱可塑性樹脂を投入しポリアミド樹脂内に該熱可塑性樹
脂を均一に微分散させる。しかし、本発明ポリアミド組
成物の調製はかかる特定のブレンド方法に限られるもの
ではなく、前記の組成およびモルフオロジー構造が得ら
れる限り勿論他のブレンド方法を用いることができる。
【0019】本発明のポリアミド樹脂組成物には、各種
用途目的に応じて難燃剤、離型剤、光または熱安定剤、
着色剤等を添加することができる。難燃剤としてはハロ
ゲン系難燃剤と三酸化アンチモンの組合わせが良くハロ
ゲン系難燃剤としてはブロム化ポリスチレン、ポリジブ
ロムフエニレンオキサイド、デカブロムジフエニールエ
ーテル等が好ましい。又非ハロゲン系難燃剤としてはメ
ラミンシアヌレート、赤リン等が好ましい。離型剤とし
てはステアリン酸の金属塩等が好ましい。光または熱安
定剤としては、カーボンブラック、ハロゲン化銅とハロ
ゲン化カリウムの組合わせ、ヒンダードフエノール系安
定剤、リン系安定剤及びそれらの組合わせ等が好まし
い。しかしこれらに限定されるものではない。
【0020】
【実施例】次に実施例及び比較例を示して本発明を更に
具体的に説明するが本発明がこれら実施例に限定される
ものではないことは言うまでもない。 ・使用樹脂 ポリアミド樹脂:ナイロン6 東洋紡績(株)、銘柄T
−803(分子量=16000、アミノ末端量=58me
q/Kg、カルボキシ末端量=58meq/Kg) ポリアミド樹脂:ナイロン66 東洋紡績(株)、銘柄
T−662(アミノ末端量48meq/Kg、カルボキシル末
端量48meq/Kg) ポリオレフイン系樹脂:ポリプロピレン(PP) ビニルポリマー系樹脂:SEBS 旭化成工業(株)、
銘柄タフテックH1052 反応性基の導入:PP,SEBSそれぞれ100重量部
に無水マレイン酸1.5重量部と過酸化物としてパーク
ミルD(F)0.3重量部をそれぞれ加え、この2種の
混合物を35φ2軸押出機でそれぞれ押出し冷却後カッ
ティングして酸変性PP、酸変性SEBSのペレットを
作製した。 ・使用強化剤 ワラストナイト:金生興業(株)、銘柄KTK、平均粒
子径D50≒3μ(0.5〜8μ) タルク:林化成(株)、銘柄ミクロン406、平均粒子
径D50=4〜6μ ガラス繊維:旭ファイバーグラス(株)、銘柄CS03
MA−411(アミノシラン表面処理品) ・カップリング剤: アミノシラン:日本ユニカ(株)、銘柄A−1100 ・物性評価方法:引張伸度はASTM D−638に準
じる、曲げ強度曲げ弾性率はASTMD−790に準じ
る。アイゾット衝撃強度(ノッチ付)はASTM D−
256に準じる。熱変形温度(4.6Kg/m2 荷重)
はASTM D−648に準じる。 ・成形品のモルフオロジー観察方法 引張テストピースの断面を観察 装置:電界放射型走査電子顕微鏡(日立製S−800
型) 測定条件:加速電圧6KV 試料調整:研磨法、燐タングステン酸(PTA)染色
【0021】比較例 1〜8、実施例 1〜2 ポリアミド樹脂としては東洋紡ナイロン6T−803ま
たはナイロン66T−662(略号PA)を、ポリアミ
ド樹脂以外の熱可塑性樹脂としてはSEBS(略号P)
を、ポリアミド樹脂以外の反応性基を有する熱可塑性樹
脂としては酸変性SEBS(略号MP)または酸性変性
PPを、強化剤としてはワラストナイト(略号KW)、
タルクまたはガラス繊維(略号GF)を用い、カップリ
ング剤としてはアミノシランカップリング剤(略号C)
を使用し東芝2軸押出機を使用し表1に示した組成をも
ってポリアミド組成物のペレットを得た。このペレット
を80℃真空乾燥機で16時間乾燥後射出成形し、テス
トピースを作成した。このテストピースを使用し成形品
のモルフオロジー形態の観察、樹脂物性〔曲げ強度、曲
げ弾性率、引張伸度、アイゾット衝撃強度(ノッチ
付)、熱変形温度〕の関係を調べその結果を表1に示し
た。
【0022】比較例1はPAを押出機ホッパー口より投
入し溶融混練を実施した。
【0023】比較例2はPA,MPを同時にブレンド後
押出機ホッパー口より投入し溶融混練を実施した。この
樹脂特性値は比較例1と比較すればアイゾット衝撃、伸
度は向上したが強度、弾性率、熱変形温度は低下した。
成形品のモルフオロジー構造はPA中にMPが微分散
(0.1μ前後)接着していた。
【0024】比較例3はPA,KW,Cを同時にブレン
ド後押出機ホッパー口より投入し溶融混練を実施した。
この樹脂特性値は比較例1と比べれば強度、弾性率、熱
変形温度は大幅に改良されていたが伸度、アイゾット衝
撃は低下した。成形品のモルフオロジー構造はPA中に
KWが均一分散接着していた。
【0025】比較例4はPA,KW,C,Pを同時にブ
レンド後押出機ホッパー口より投入し溶融混練を実施し
た。この樹脂特性値は強化剤添加の為弾性率、熱変形温
度は向上するがPを添加しているにもかかわらずアイゾ
ット衝撃、伸度は低下した。成形品のモルフオロジー構
造はPA中にKWは分散接着しているがPは微分散(2
μ以下)しておらず5〜70μの粗大粒径になってい
た。この理由としてはPはPAと反応する反応性基を含
んでいないため微分散せず、微分散しないため伸度、ア
イゾット衝撃が低下したと考えられる。
【0026】実施例1はPAとMPを同時にブレンドし
押出機ホッパー口より投入し、PA,MPを溶融混練し
PA中にMPを微分散(分散平均粒径=0.1μ)接着
後押出機途中よりKWとCを投入しさらに溶融混練を実
施し押出した。この樹脂特性値は強度、弾性率、伸度、
アイゾット衝撃、熱変形温度すべてにおいて優れた特性
を有していた。強度、弾性率、熱変形温度はKW添加の
特性(比較例3)をほぼ保持し、アイゾット衝撃はMP
添加の特性(比較例2)以上の効果を示し、KW,MP
添加(比較例2,3)両者の優れた特性を保っていた。
成形品のモルフオロジー構造は図1の写真に示すごとく
PA中にMPが粒子径0.1μ前後で微分散接着してお
りMPの粒子間距離は0.1〜0.3μ前後になってい
た。PA中のKWは直接PAに分散接着しておりKWの
周りにはMPは接着していなかった。なお、図1の写真
において白色部はマトリックスのPA、黒色部(点)は
SEBS(MP)、中間色部は強化剤のワラストナイト
(KW)である。
【0027】実施例2はPA,KW,Cを同時にブレン
ドし押出機ホッパー口より投入しPA,KW,Cを溶融
混練しPA中にKWを分散接着後、押出機途中よりMP
を投入しさらに溶融混練を実施し押出した。この樹脂特
性、及び成形品のモルフオロジー構造は実施例1のそれ
とほぼ同じであった。
【0028】比較例5はPA,KW,MP,Cすべての
ものを同時にブレンド後押出機ホッパー口より投入し、
PA,KW,MP,Cを溶融混練し押出した。この樹脂
特性値は強度、弾性率、熱変形温度は大幅に低下し、ア
イゾット衝撃はやや低下した。成形品のモルフオロジー
構造は図2および図3の写真に示すごとくPA中のMP
の粒径は0.1〜0.5μ前後に微分散接着している
が、実施例1,2に比べやや大きくなっていた。又粒子
間距離は0.2〜1μ前後と実施例1,2に比べ約3倍
ほど広くなっていた。この原因としてKWの周囲にMP
がおおいかぶさりMPが偏在しているためと、粒径が大
きくなったことが考えられる。強度、弾性率、熱変形温
度が大幅に低下したのはKWの周囲をMPが囲んでいる
ため本来のKW添加目的である強度、弾性率、熱変形温
度向上作用が低下したためであると考える。
【0029】比較例6はPA,MP,Cを同時にブレン
ド後押出機ホッパー口より投入、PA,MP,Cを溶融
混練後押出機途中よりKWを投入しさらに溶融混練を実
施し押出した。この樹脂特性値は強度、伸度、アイゾッ
ト衝撃は相当低下し、弾性率、熱変形温度はやや低下し
た。成形品のモルフオロジー構造は図4の写真に示すご
とくPA中のMPの粒径は0.2〜0.4μ前後のもの
が多く、中には15μ前後の粗大粒径も見られ実施例
1,2に比べ相当大きくなっていた。又粒子間距離は1
〜2μ前後となり、実施例1,2に比べ約10倍前後ほ
ど広くなっていた。又PA中のKWは分散しているがK
Wの周囲は空洞が発生しており接着性が悪い。このよう
なモルフオロジー構造になったのはPA,MP,Cを同
時にブレンド後押出機ホッパーより投入溶融混練を実施
すればMPの反応性基である無水酸基とCの反応性基で
あるアミノ基が反応し両者が本来の目的(PAとの反
応)を達せず相当失活する為と考えられる。本来であれ
ばMPの反応性基である酸無水基はPAのアミノ末端基
と反応しPA中にMPが微分散接着し、伸度、アイゾッ
ト衝撃を向上させる働きをする。又C中の反応性基であ
るアミノ基はKWとPAのカルボキシル末端基と反応し
PAとKWが化学的に接着(結合し強度、弾性率、伸度
を向上させる働きをもつ。
【0030】比較例7はMPとCを同時にブレンド後押
出機ホッパー口より投入しMPとCを溶融混練後押出機
途中よりPA,KWを投入しさらに溶融混練を実施し押
出した。この樹脂特性値は強度、伸度、アイゾット衝撃
が大幅に低下した。成形品のモルフオロジー構造は比較
例6とよくにているがKWとPAの接着性がさらに悪い
ためモルフオロジー観察時KWの脱落あとが多数みられ
る。
【0031】比較例8の組成物では成形品のモルフオロ
ジー構造は強化剤はPA中に分散しているが、その周囲
は巨大なSEBS(粒径10〜70μ)がおおいかぶさ
っており、微分散したSEBSはほとんどみられなかっ
た。このため樹脂特性値は劣っていた。
【0032】
【表1】
【0033】実施例 3〜5、比較例 9〜10 ポリアミド樹脂として東洋紡ナイロン6T−803(略
号PA)、東洋紡ナイロン66T−662(略号PA、
NY−66、実施例3のみ)、ポリプロピレン(略号P
P)、酸変性PP、強化剤としてタルクまたはガラス繊
維(略号GE)およびカップリング剤を用い、表2に示
した組成のもとに東芝2軸押出機を用い、ポリアミド樹
脂組成物のペレットを得た。このペレットを80℃真空
乾燥機で16時間乾燥後射出成形し、テストピースを作
成した。このテストピースを使用し、成形品のモルフオ
ロジー形態の観察および樹脂特性の評価を行った。結果
を表2に示す。
【0034】実施例3,4および5においては実施例1
に準じたブレンド法によった。モルフオロジー構造につ
いては、何れの実施例のものも強化剤はポリアミド樹脂
中に均一に分散接着しており、PPも微粒子(実施例3
及び5では平均約0.3μ、実施例4では平均約0.5
μ)としてポリアミド樹脂中に均一に分散し、しかも強
化剤のまわりにはPPはほとんど存在しなかった。
【0035】比較例9においては比較例4に準じたブレ
ンド法によった。モルフオロジー構造については、強化
剤はポリアミド樹脂中に分散しているが、その周囲には
PPがおおいかぶさっており直接ポリアミド樹脂と接着
している状態にはなかった。なおPPの粒子は約0.5
〜2μの粒子径のもとにポリアミド樹脂中に分散接着し
ていた。
【0036】比較例10においては実施例4に準じたブ
レンド法によった(但し、酸変性PPは使用せず)。モ
ルフオロジー構造については、強化剤はポリアミド樹脂
中に分散接着していたが、PPは微分散せずポリアミド
樹脂中に粒径10〜80μの粗大粒子として存在した。
【0037】
【表2】
【0038】表1及び表2に示された結果から明らかな
ように、本発明のポリアミド樹脂組成物から得られる成
形物は強度、剛性、伸度、耐衝撃性、耐熱性いずれにお
いても優れていることが判る。
【0039】
【発明の効果】以上述べた通り、本発明のポリアミド樹
脂組成物はポリアミド樹脂、強化剤とカップリング剤又
はカップリング剤処理強化剤、ポリアミド樹脂以外の反
応性基を有する熱可塑性樹脂を含有し、かつ強化剤およ
び該熱可塑性樹脂は実質的に互いに独立してポリアミド
樹脂内に均一に微分散しており、かつ該熱可塑性樹脂の
分散平均粒径は約2μ以下であるという特定のモルフオ
ロジー構造を有するから、それから製造した成形物は、
強度、剛性、伸度、耐衝撃性、耐熱性いずれにおいても
優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の樹脂組成物から得られた成形品の断
面組織を示す電子顕微鏡写真(倍率×10000)であ
る。
【図2】比較例5の樹脂組成物から得られた成形品の断
面組織を示す電子顕微鏡写真(倍率×10000)であ
る。
【図3】比較例5の樹脂組成物から得られた成形品の他
の部分の断面組織を示す電子顕微鏡写真(倍率×100
00)である。
【図4】比較例6の樹脂組成物から得られた成形品の断
面組織を示す電子顕微鏡写真(倍率×10000)であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 77/00 C08K 3/00 C08K 7/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド樹脂、強化剤とカップリング
    剤またはカップリング剤処理した強化剤およびポリアミ
    ド樹脂の末端基および/又は主鎖アミド基と反応しうる
    反応性官能基を有する熱可塑性樹脂を含有する組成物で
    あって、前記強化剤および前記熱可塑性樹脂が、互いに
    直接に接着せず、連続相であるポリアミド樹脂中に、実
    質的に互いに独立して均一に分散しており、該熱可塑性
    樹脂の分散平均粒径が約2μ以下であることを特徴とす
    るポリアミド樹脂組成物。
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