JP2770286B2 - 振動騒音制御装置 - Google Patents

振動騒音制御装置

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JP2770286B2
JP2770286B2 JP5086823A JP8682393A JP2770286B2 JP 2770286 B2 JP2770286 B2 JP 2770286B2 JP 5086823 A JP5086823 A JP 5086823A JP 8682393 A JP8682393 A JP 8682393A JP 2770286 B2 JP2770286 B2 JP 2770286B2
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  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は振動騒音制御装置、より
詳しくは回転体等から発する周期性又は擬似周期性を有
する振動騒音を能動的に制御し、これら振動騒音の低減
化を図ることができる振動騒音制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、適応型デジタルフィルタ(Adaptiv
e Digital Filter: 以下、「ADF」という)を使用し
て振動騒音源から発生する振動騒音を減衰させ、該振動
騒音の低減化を図る能動的振動騒音制御装置の開発が各
方面で盛んに行なわれている。
【0003】これら各種の能動的振動騒音制御装置のう
ち、自動車の車輌等から発生する周期性又は擬似周期性
を有する振動騒音の低減に好適した振動騒音制御装置と
して、パワープラントの駆動に関連性を有する所定のパ
ルス信号(トリガ信号)を適応制御回路に入力し、AD
Fからなる第1のフィルタ手段のフィルタ係数を更新し
て適応制御を行うことにより、振動騒音の低減化を図る
ようにした装置を本願出願人は既に提案している(特願
平4−88075号)。
【0004】しかしながら、上記振動騒音制御装置にお
いては、前記パルス信号が適応制御回路に直接入力され
るため複雑な積和演算が減少し、適応制御の収束性を或
る程度向上させることができるものの、前記パルス信号
(トリガ信号)の発生周期内に発生するサンプリングパ
ルスの発生個数がADFのタップ長となるため、前記パ
ルス信号(トリガ信号)のあらゆる発生周期に対応可能
なタップ長を有するADFが必要となる。また、振動騒
音周期によってはタップ長が長くなって積和演算に時間
を要する結果、適応制御の収束速度が低下するという欠
点があった。
【0005】そこで、本願出願人はこのような欠点を解
消する方策として、振動騒音源の各構成部位に特有の振
動騒音周期に対し単一周期の正弦波を生成し、該正弦波
をADFに入力するようにした振動騒音制御装置を提案
している(特願平5−037458号)。
【0006】該振動騒音制御装置においては、ADFと
して有限長インパルス応答(FiniteImpulse Response:
FIR)形のタップ数が「2」のウィーナフィルタ(以
下、「Wフィルタ」という)を使用し、回転体の回転信
号を所定微小回転角度毎(例えば、3.6°毎)にパル
ス信号として検出している。そして、例えば、前記回転
体の1回転毎に一周期分の正弦波が生成され、該正弦波
が第1のフィルタ手段に入力されて適応制御が実行され
るため、ADFのタップ数は2タップでも可能となり、
積和演算に要する時間の短縮化を図ることができると考
えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本願出
願人によるその後のシミュレーション結果により、上記
先行技術においては、上述の2タップからなるWフィル
タを使用して適応制御を行った場合、1周期当たりのパ
ルス信号の発生数、すなわち分割信号の発生個数を過剰
に多くすると系の位相遅れを考慮したときに適応制御の
収束性が悪化するという問題点が新たに生じてきた。
【0008】すなわち、Wフィルタは正弦波が入力され
ることにより、任意に位相・振幅を変化させることがで
き、入力信号S(n)を離散表示すると数式(1′)の
ようになる。
【0009】
【数1】 ここで、便宜上、虚数部を示すImを省略すると、入力
信号S(n)は数式(2′)で示される。
【0010】
【数2】 nは離散時間信号である。またkはk=(2π/N)を
表し、Nは分割信号の発生個数を示す。さらに、入力信
号S(n)に対して位相遅れφを有する入力信号S′
(n)は数式(3′)で示される。
【0011】
【数3】 この入力信号S′(n)がWフィルタで適応制御されて
相殺されるのであるから、Wフィルタの第1のフィルタ
係数をT(1)、第2のフィルタ係数をT(2)とすると前記
入力信号S′(n)は数式(4′)で表される。
【0012】 S′(n)=T(1)・S(n)+T(2)・S(n−1)……(4′) したがって、数式(2′)及び数式(3′)を数式
(4′)に代入すると数式(5′)が得られ、さらに数
式(5′)から数式(6′)が導かれる。
【0013】
【数4】
【0014】
【数5】 上記数式(6′)は、入力信号S(n)に対し位相遅れ
φを有するときのWフィルタの第1及び第2のフィルタ
係数T(1)、T(2)とk(=(2π/N))との関係を示
している。そして、第1のフィルタ係数T(1)と第2フ
ィルタ係数T(2)により作成される制御信号の振幅条件
は、数式(7′)で示すように、T平面上で楕円軌跡を
形成し、また位相条件は、数式(8′)で示すように、
直線軌跡を形成する。
【0015】 (T(1) +T(2)cos K)2+T(2)2sin2K =1……(7′) tan φ=−T(2)sin K/(T(1) +T(2)cos K )……(8′) したがって、第1及び第2のフィルタ係数T(1) 、T
(2) は、上記数式(7′)及び数式(8′)をT(1) 及
びT(2) について解くことにより得られ、数式(9′)
及び数式(10′)に示すようになる。
【0016】 T(1) =cos φ+(sin φ/tan k)……(9′) T(2) =−(sin φ/sin k) ……(10′) ところで、分割信号の発生個数Nが極めて多いときはN
→∞と近似できるため、kはk→0と近似される。した
がって、位相遅れφが「0」でないとき、すなわち位相
遅れφが生じているときは、第1及び第2のフィルタ係
数T(1) 、T(2) が、数式(11′)及び数式(1
2′)のようになる。
【0017】 0<φ<πのときは〔T(1) 、T(2) 〕=〔+∞、−∞〕 ……(11′) −π<φ<0のときは〔T(1) 、T(2) 〕=〔−∞、+∞〕 ……(12′) 一方、数式(7′)及び数式(8′)でk→0と近似す
ると振幅条件は数式(13′)となり、位相条件は数式
(14′)となる。
【0018】T(2) =±1−T(1) ……(13′) φ=0、±π ……(14′) したがって、数式(13′),(14′)より第1のフ
ィルタ係数T(1) と第2のフィルタ係数T(2) との関係
を図示すると図14に示すようになる。
【0019】この図14から明らかなように、0≦T
(1) ≦1ではT(2) =1−T(1) 上で位相遅れφは常に
「0」となり入力信号S(n)は全く移相しない。ま
た、−1≦T(1) ≦0ではT(2) =−1−T(1) 上で位
相遅れφは常に「±π」となる。ところが、位相遅れφ
が「0」又は「±π」から少しでもずれて位相遅れが生
じると第1及び第2のフィルタ係数T(1)、T(2)は第2
象限又は第4象限上で無限大となり発散してしまうこと
となる。
【0020】このことは、分割信号の発生個数Nが多く
なると少しの位相遅れが生じても第1及び第2のフィル
タ係数T(1) 、T(2) を収束させることが困難となるこ
とを意味する。
【0021】つまり、自動車等の車輌を能動的に振動騒
音制御を行う場合等現実の系においては、適応制御回路
からエラーセンサに到達するまでの振動騒音伝達系に起
因した位相遅れφが生じるため、入力信号に対する位相
遅れφが必ず生じる。これに対して、上記本願出願人に
よる先行技術においては、エンジンの所定微小回転角度
毎に発生する多数のパルス信号に応じて所望の正弦波を
得ているため、分割信号の発生個数Nが非常に多く(例
えば、100)、上述のような位相遅れφを考慮すると
その収束性が悪くなり、系を適応制御させることが困難
になるという問題点が新たに生じてきた。
【0022】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
ものであって、演算負荷を軽減してより短時間で収束さ
せることが可能な振動騒音制御装置を提供することを目
的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、周期性又は擬似周期性を有する振動騒音が
発生する少なくとも回転体を有する振動騒音源に対し、
該振動騒音源を制御する制御信号を出力する適応型デジ
タルフィルタを備えた第1のフィルタ手段と、前記制御
信号を駆動信号に変換する駆動信号生成手段と、該駆動
信号生成手段により発生する駆動信号と前記振動騒音源
からの振動騒音信号との誤差信号を検出する誤差信号検
出手段と、前記駆動信号生成手段と前記誤差信号検出手
段との間に形成される振動騒音伝達経路の伝達特性を表
現する第2のフィルタ手段と、前記誤差信号検出手段の
検出結果と前記第2のフィルタ手段から出力される参照
信号と前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数に基づい
て前記誤差信号が最小値となるように前記第1のフィル
タ手段のフィルタ係数を更新する制御信号更新手段とを
備えた振動騒音制御装置において、前記振動騒音源の構
成部位に特有の振動騒音周期に応じた駆動周期信号を前
記回転体の所定回転角度毎に検出する駆動周期信号検出
手段と、該駆動周期信号検出手段により検出された駆動
周期信号の発生周期間に複数個の分割信号を発生する分
割信号発生手段と、該分割信号発生手段により発生する
分割信号の発生タイミングに応じて単一周期の正弦波か
らなる基準信号を作成し該基準信号を前記第1のフィル
タ手段に入力する規準信号作成手段とを備え、前記第1
のフィルタ手段の適応型デジタルフィルタは、タップ数
が2タップで構成されると共に、前記分割信号発生手段
により発生する分割信号の発生個数Nが、 3≦N≦7(但し、Nは実数) の範囲に設定されていることを特徴としている。
【0024】また、好ましくは、前記分割信号発生手段
により発生する分割信号の発生個数Nが、「4」に設定
されていることを特徴としている。
【0025】さらに、前記第1のフィルタ手段のフィル
タ係数の出力及び更新を行う一連の動作を支配するサン
プング周期を、前記回転体を制御する制御手段が有する
駆動周波数に基づいて作成するサンプリング周期作成手
段と、前記駆動周期信号検出手段により検出された駆動
周期信号の発生周期と前記サンプリング周期とに基づい
て適応型デジタルフィルタの遅延期間を決定する遅延期
間決定手段とを備え、前記パルス信号の発生周期が変動
したときは該発生周期の変動に応じて前記遅延期間を変
更する遅延期間変更手段を有すると共に、該遅延期間変
更手段により遅延期間が変更されたときは斯く変更され
た前記遅延期間に基づいて前記適応型デジタルフィルタ
のフィルタ係数を強制的に変更するフィルタ係数変更手
段を有していることを特徴とするのも好ましい。
【0026】さらに、本発明は、上記振動騒音制御装置
に代えて、周期性又は擬似周期性を有する振動騒音が発
生する少なくとも回転体を有する振動騒音源に対し、該
振動騒音源を制御する制御信号を出力する適応型デジタ
ルフィルタを備えた第1のフィルタ手段と、前記制御信
号を駆動信号に変換する駆動信号生成手段と、該駆動信
号生成手段により発生する駆動信号と前記振動騒音源か
らの振動騒音信号との誤差信号を検出する誤差信号検出
手段と、前記駆動信号生成手段と前記誤差信号検出手段
との間に形成される振動騒音伝達経路の伝達特性を表現
する第2のフィルタ手段と、前記誤差信号検出手段の検
出結果と前記第2のフィルタ手段から出力される参照信
号と前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数に基づいて
前記誤差信号が最小値となるように前記第1のフィルタ
手段のフィルタ係数を更新する制御信号更新手段とを備
えた振動騒音制御装置において、前記振動騒音源の構成
部位に特有の振動騒音周期に応じた駆動周期信号を前記
回転体の所定角度毎に検出する駆動周期信号検出手段
と、該駆動周期信号検出手段により検出された駆動周期
信号の発生周期を所定微小角度毎に分割する多数の分割
信号を発生する分割信号発生手段と、前記分割信号の発
生タイミングに応じた第1のフィルタ手段に出力するた
めの規準信号を記憶する規準信号記憶手段とを備え、前
記第1のフィルタ手段の適応型デジタルフィルタは、タ
ップ数が2タップで構成されると共に、前記基準信号記
憶手段が、前記振動騒音源の前記振動騒音周期に応じた
単一周期の正弦波を記憶する正弦波記憶手段と、該正弦
波記憶手段により記憶された正弦波に対し所定遅延周期
Mを有する遅延正弦波を記憶する遅延正弦波記憶手段と
を有し、かつ、前記所定遅延周期Mが、 1/3≧M≧1/7(但し、Mは実数) の範囲に設定されていることを特徴とするのも、尚好ま
しい。
【0027】さらに、好ましくは、前記所定遅延周期M
が、「1/4」に設定されていることを特徴としてい
る。
【0028】また、前記第1のフィルタ手段のフィルタ
係数の出力及び更新を行う一連の動作を支配するサンプ
ング周期を、前記回転体を制御する制御手段が有する駆
動周波数に基づいて作成するサンプリング周期作成手段
を有していることを特徴とするのも好ましい。
【0029】また、前記第1のフィルタ手段のフィルタ
係数の出力及び更新を行う一連の動作が、前記分割信号
の発生と同期して実行されることを特徴としてもよい。
【0030】さらに、本発明は、前記第2のフィルタ手
段が、振動騒音伝達経路の位相・振幅伝達特性を記憶す
る伝達特性記憶手段からなり、前記分割信号発生手段に
より発生する分割信号の発生間隔に応じて前記伝達特性
記憶手段に記憶された位相・振幅伝達特性が読み出され
ることを特徴としている。
【0031】
【作用】タップ数が「2」の適応型デジタルフィルタ
(ADF)の振幅条件及び位相条件は、〔発明が解決し
ようとする課題〕の項で述べたように、夫々数式
(7′)及び数式(8′)で示される。
【0032】 (T(1) +T(2)cos K)2+T(2)2sin2K =1……(7′) tan φ=−T(2)sin K/(T(1) +T(2)cos K )……(8′) ここで、kはk=(2π/N)であり、Nは振動騒音周
期内において発生する分割信号の発生個数Nである。
【0033】図13は分割信号の発生個数Nと等振幅楕
円及び等位相直線(位相遅れφはφ=0、±π/4、±
π/2、±π3/4、±π)との関係を示した図であ
る。横軸がADFの第1のフィルタ係数T(1)であり、
縦軸は第2のフィルタ係数T(2)である。また、図13
(a)は前記発生個数Nが「4」、図13(b)は前記
発生個数Nが「8」、図13(c)は前記発生個数Nが
「16」の場合を夫々示している。
【0034】この図13から明らかなように、等振幅楕
円の軌跡は発生個数Nが「4」のときは真円であるが、
発生個数Nが「4」以上となると第2象限及び第4象限
に長軸を有する楕円を形成し、しかも発生個数Nが多く
なればなる程長軸と短軸との比が大きくなる。また、図
示は省略するが発生個数Nが「4」以下となると第1象
限及び第3象限に長軸を有する楕円を形成する。
【0035】一方、等位相直線の軌跡についても、位相
遅れφが「0」又は「±π」であって全く位相遅れφが
生じないときは等位相直線は常に第1のフィルタ係数T
(1)を示すX軸と一致するが、発生個数Nが「4」を境
界にしてそれ以上になると他の3個の等位相直線(φ=
±π/4、±π/2、±π3/4)は前記第2象限及び
第4象限に形成された楕円の長軸に接近するため、[発
明が解決しようとする課題]で述べた理由から(図14
参照)適応制御の収束性が困難となることが判る。ま
た、図示は省略するが発生個数Nが「4」以下となると
等位相直線は第1象限及び第3象限に形成された楕円の
長軸に接近するため、やはり適応制御の収束性が困難と
なる。すなわち、発生個数Nには最適範囲が存在する。
【0036】すなわち、本願発明は上記構成に記したよ
うに、分割信号の発生個数Nを3≦N≦7(但し、Nは
実数)の範囲に設定しているので、位相遅れφが生じて
も短時間でフィルタ係数を収束させることができる。特
に発生個数Nが「4」のときは振幅軌跡が真円となり、
位相遅れφが生じたときの等位相直線も各第1〜第4象
限に平均的に形成されるため、最適制御が行われる。
【0037】また、単一周期の正弦波と該正弦波に対し
所定遅延周期M(所定遅延周期Mは、1/3≧M≧1/
7(但し、Mは実数)(好ましくは、1/4))を有す
る遅延正弦波とを第1のフィルタ手段に入力した場合
も、上述と同様の作用を得ることができる。すなわち、
2タップからなる適応型デジタルフィルタのうちの一方
のタップが正弦波に基づいて出力された規準信号により
係数更新され、他のタップが遅延正弦波に基づいて出力
された規準信号により係数更新される。このように1周
期を微小分割すると共に、分割信号に応じて正弦波と所
定の遅延周期Mだけ遅延した遅延正弦波を同時に出力さ
せることにより、正弦波を4分割して得られた正弦波値
を出力させることと同一の作用を得ることができる。
【0038】また、前記回転体を制御する制御手段が有
する駆動周波数に基づいてサンプング周期を作成するこ
とにより、固定のサンプリング周期で適応制御を実行す
ることができ、第1のフィルタ手段のフィルタ係数の出
力及び更新を行う一連の動作が分割信号の発生と同期し
て実行されることにより、可変のサンプリング周期で適
応制御を実行することができる。
【0039】さらに、振動騒音伝達経路の伝達特性を伝
達特性記憶手段に記憶することにより、分割信号の発生
間隔に応じて前記伝達特性を読み出すことができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明に係る振動騒音制御装置を自動
車等の車輌に適用した場合について、その実施例を図面
に基づき詳説する。
【0041】図1は、周期性または擬似周期性を有する
振動騒音を発する振動騒音源としてのエンジンの車体へ
の取付状態を示した図である。
【0042】図中1は、例えば直列4気筒を有する車輌
駆動用パワープラントの4サイクルエンジン(以下、単
に「エンジン」という)であって、該エンジン1は、エ
ンジンマウント2と、前輪(駆動輪)4の懸架装置5
と、排気管6の支持体7とで車体8に支持されている。
【0043】また、エンジンマウント2は、振動伝達特
性を変化させ得る電気機械変換手段としての適数個の自
己伸縮型エンジンマウント2aと、前記振動伝達特性を
変化させ得ない適数個の通常のエンジンマウント2bと
から構成されている。
【0044】前記自己伸縮型エンジンマウント2aには
ボイスコイルモータ(VCM)や圧電素子或いは磁歪素
子等のアクチュエータが内有され、エンジンの振動に応
じて電子マウントコントロールユニット(EMCU)
(図示せず)からの信号によりエンジンの振動を制御す
る。すなわち、自己伸縮型エンジンマウント2aは、液
体が充填された液室を有し、振動源(エンジン1)側に
固定された弾性ゴムを介して振動源の振動が前記アクチ
ュエータにより車体8に伝達されるのを制御する。
【0045】また、エンジン2b近傍には振動エラーセ
ンサ9が配設されている。さらに、エンジン1の図示し
ないクランク軸に固着されたフライホイール近傍には、
磁気センサ等の回転検出センサが配設されている。
【0046】図2は、本発明に係る振動騒音制御装置の
一実施例(第1の実施例)を示すシステム構成図であ
る。
【0047】すなわち、該振動騒音制御装置は、フライ
ホイールの回転信号Xを検出する上記回転検出センサ1
0と、該回転検出センサ10からの出力信号を波形整形
してエンジンの各構成部位に応じた振動騒音周期を示す
タイミングパルス信号Y1、Y2を生成する電子コントロ
ールユニット(以下、「ECU」という)11と、該E
CU11から出力されるタイミングパルス信号Y1、Y2
をトリガ信号として適応制御を行う高速演算可能なDS
P(Digital Signal Processor)12と、該DSP12
から出力される制御信号V(デジタル信号)が通過する
振動騒音伝達系13と、該振動騒音伝達系13を通過し
た制御信号Vが駆動信号Zとして入力される前記振動エ
ラーセンサ9と、該振動エラーセンサ9から出力された
誤差信号(アナログ信号)εをデジタル信号に変換して
前記DSP12にフィードバックするA/Dコンバータ
14とを主要部として構成されている。
【0048】具体的には、回転検出センサ10は、フラ
イホイールのリングギアを計数してそのパルス信号を検
出し、該パルス信号をECU11に供給する。尚、エン
ジン1の回転を検出する手段としては、上述のようなフ
ライホイールのリングギアを計数して検出する手段に限
定されるものではなくエンコーダ等によりクランク軸や
カム軸の回転信号を直接検出してもよいが、クランク軸
の回転を直接検出する場合はクランク軸の捩り振動等に
より回転変動が生じる虞があり、またカム軸の回転を直
接検出する場合においてもカム軸用プーリとクランク軸
用プーリとを連結させているタイミングベルトの伸び等
によりカム軸の回転が微小ながら変動する虞があるのに
対し、クランク軸に固着されているフライホイールは慣
性モーメントが大きく回転変動が少ないため、比較的簡
易且つ高精度で所望のサンプリング周波数を得ることが
できるという利点がある。
【0049】しかして、DSP12は、エンジンの各構
成部位に特有の振動騒音周期に応じた適応制御が可能と
なるように複数種の適応制御回路(本実施例では、2種
類の適応制御回路151、152)が内蔵されている。さ
らに該適応制御回路151、152は、前記タイミングパ
ルス信号Y1、Y2の発生周期に基づいて基準信号U1
2を生成する基準信号作成回路161、162と、前記
基準信号U1、U2をフィルタリングするタップ数が
「2」のFIR形ADFとしてのWフィルタ171、1
2(第1のフィルタ手段)と、Wフィルタ171、17
2のフィルタ係数を更新するための演算処理を行う適応
アルゴリズムとしてのLMS(Least Mean Square)処理
部181、182(制御信号更新手段)と、振動騒音伝達
系13に起因して生じる伝達特性の位相振幅変化を補正
する伝達特性補正手段(以下、「Cフィルタ」という)
191、192(第2のフィルタ手段)とを備えている。
そして、DSP12は、第1及び第2の分周回路2
1、202によりタイミングパルス信号Y1、Y2の発生
周期を4分周して生成された可変サンプリングパルスP
sr(分割信号)により駆動される。
【0050】具体的には、前記基準信号作成回路1
1、162は、振動騒音源である動弁系やクランク軸周
囲或いは燃焼室等エンジンの各構成部位に特有の振動騒
音特性に応じた正弦波値を生成し、該正弦波値をWフィ
ルタ171、172に入力する。本実施例では、エンジン
の回転に同期して規則的な振動騒音特性が生じるピスト
ン系等の振動成分(1次振動成分)を制御するのに適し
た正弦波値としての基準信号U1(1次基準信号)と、
燃焼状態に応じて不規則な振動騒音特性が生じる爆発圧
(加振力)の振動成分(2次振動成分)を制御するのに
適した正弦波値としての基準信号U2(2次基準信号)
とが生成される。すなわち、前記規準信号作成回路16
1は、図3(a)(b)に示すように、タイミングパル
ス信号Y1の発生周期内を第1の分周回路201により4
分周して生成された可変サンプリングパルスPsrが入力
される。そして、規準信号作成回路161には可変サン
プリングパルスPsrの入力信号に対応した正弦波値が予
め記憶されており、1次振動成分の1周期に相当するフ
ライホイールが1回転する毎に1周期分の正弦波値、す
なわち、4個のデジタル正弦波値が出力される。また、
前記規準信号作成回路162についても略同様であり、
図3(c)(d)に示すように、タイミングパルス信号
2の発生周期を第2の分周回路202により4分周して
生成された可変サンプリングパルスPsrが入力される。
そして、2次振動成分の1周期に相当するフライホイー
ルの0.5回転毎に1周期分の正弦波値がデジタル出力
され、したがってフライホイールが1回転すると2周期
分の正弦波値、すなわち8個のデジタル正弦波値が出力
される。
【0051】このように、上述の如く振動次数の概念を
導入し、振動次数成分を複数種に区分して適応制御を行
うことにより、より効果的な振動騒音の低減化を図るこ
とができる。すなわち、1次振動次数成分はクランク軸
の回転等規則的に発生する振動成分に関するものであ
り、かかる1次振動次数成分のみを個別に適応制御を行
うことにより、エンジンの回転等慣性力に起因して発生
する振動騒音を効率よく低減することができる。また、
クランク軸が2回転する間に1気筒当たり1回爆発行程
が実行されるので、4気筒エンジンの場合はクランク軸
が2回転する間に4回の爆発行程があり、したがって振
動次数が2次とは爆発圧に関する振動成分を示している
こととなる。そして、このように不規則な振動騒音特性
を有する爆発圧に関する2次振動次数成分を規則的な振
動騒音特性を有する1次振動次数成分と区分して適応制
御を行うことにより、振動騒音をより効果的に低減する
ことができる。
【0052】しかして、振動騒音伝達系13には、図2
に示すように、制御信号Vの有する所定高周波をエンジ
ン回転数に応じてフィルタリングする可変ローパスフィ
ルタ21(遮断周波数Fc;Fc=Fsr/2)と、該可
変ローパスフィルタ21によりフィルタリングされた制
御信号V′をアナログ信号に変換するD/Aコンバータ
22と、該D/Aコンバータ22の出力信号(矩形信
号)を平滑化するための固定ローパスフィルタ23(遮
断周波数Fc;Fc=Fs/2)と、増幅器24と、上
記した自己伸縮型エンジンマウント2aとが配設されて
いる。そして、これら振動騒音伝達系13、振動エラー
センサ9及びA/Dコンバータ14は、第3の分周回路
25によりECU11の駆動周波数(例えば、20MH
z)を分周して生成された固定サンプリング周波数(例
えば、10KHz)Fs(固定サンプリングパルスP
s)により、その駆動が制御される。
【0053】また、Cフィルタ19は、図4に示すよう
に、タップ数が「2」の適応型デジタルフィルタ28
(以下、「同定用フィルタ」という)のフィルタ係数C
(1)、C(2)をエンジン回転数に応じて発生する可変サン
プリングパルスPsrに応じて予め同定し、斯く同定した
フィルタ係数C(1)、C(2)がテーブル化されて記憶され
ている。
【0054】具体的には、エンジン回転数に応じて発生
する可変サンプリングパルスPsrを同定用フィルタ28
及び可変ローパスフィルタ21に入力する。そして前記
同定用フィルタ28からの出力信号は同定用可変ローパ
スフィルタ(遮断周波数Fc;Fc=Fsr/2)29で
所定の高域周波数が遮断されて加算器30に入力され
る。すなわち、同定用可変ローパスフィルタ21により
同定用フィルタ28からの出力信号が有する高域周波数
が遮断されて所望の正弦波が得られ、該正弦波が加算器
30に入力される。
【0055】一方、振動騒音伝達系13の伝達特性を同
定するために可変ローパスフィルタ21とD/Aコンバ
ータ22との間には補償用可変ローパスフィルタ(遮断
周波数Fc;Fc=Fsr/2)31が介装されている。
これは、同定用フィルタ28と加算器30との間に上述
した同定用可変ローパスフィルタ29を介装したため、
該同定用可変ローパスフィルタ29の挿入による系の伝
達系を補償するために介装されている。そして、可変ロ
ーパスフィルタ21からの出力信号は補償用可変ローパ
スフィルタ31、D/Aコンバータ22、固定ローパス
フィルタ23、増幅器24及び自己伸縮型エンジンマウ
ント2aを経て平滑化された正弦波が加算器30に入力
される。そして、加算器30からは自己伸縮型エンジン
マウント2aからの出力信号と前記同定用可変ローパス
フィルタ29からの出力信号とが相殺された相殺信号η
が出力され、LMS処理部32に入力されて相殺信号η
の自乗η 2 が「0」となるように同定用フィルタのフィ
ルタ係数C(1)、C(2)が同定される。そして、可変ロー
パスフィルタ21、同定用可変ローパスフィルタ29及
び補償用可変ローパスフィルタ31の夫々の遮断周波数
Fcは、エンジン回転によって生じ得る各可変サンプリ
ング周波数Fsrに応じて更新されると共に、同定用フィ
ルタのフィルタ係数C(1)、C(2)も前記各可変サンプリ
ング周波数Fsrに応じて逐次更新され、これら各可変
サンプリング周波数Fsrに応じて同定されたフィルタ係
数C(1)、C(2)がテーブル化されてCフィルタ19に記
憶される。
【0056】しかして、このように構成された振動騒音
制御装置においては、図2に示すように、回転検出セン
サ10により検出された回転信号XがECU11が入力
され、該ECU11からはエンジンの各構成部位に特有
の振動騒音周期に応じたタイミングパルス信号Y1、Y2
が基準信号生成回路161、162及びCフィルタ1
1、192に入力される。一方、第1及び第2の分周回
路201、202では前記タイミングパルス信号Y1、Y2
の発生周期を4分周した可変サンプリングパルスPsrが
前記回転検出センサ10の検出タイミングに基づいて作
成され、該可変サンプリングパルスPsrが規準信号作成
回路161、162に入力される。そして、可変サンプリ
ングパルスPsrが基準信号作成回路161、162に入力
される毎に所定の正弦波値が順次出力される。すなわ
ち、基準信号作成回路161からは1次振動次数成分の
制御に適した1次基準信号U1が出力され、基準信号作
成回路162からは2次振動次数成分の制御に適した2
次基準信号U2が出力される。
【0057】次いで、1次及び2次基準信号U1、U
2は、夫々のWフィルタ171、172でフィルタリング
されて制御信号V1、V2として出力され、これら制御信
号V1、V2は加算器26で加算され、該加算されて生成
された制御信号Vは、振動騒音伝達系13により駆動信
号Zに変換されて振動エラーセンサ9に入力される。ま
た、振動騒音制御系13は、第3の分周回路25により
ECU11の駆動周波数(例えば、20MHz)を分周
して生成された固定サンプリングパルスPsにより駆動
制御される。具体的には、制御信号Vは、まず可変サン
プリングパルスPsrの発生周期(可変サンプリング周波
数τ(=1/Fsr))に応じて更新される可変ローパス
フィルタ21に入力される。すなわち、エンジン回転数
に基づいて生成される可変サンプリングパルスPsrでデ
ジタル信号処理する場合は、系の特性上、制御対象とな
る信号以外の高調波周波数が発生するため、ローパスフ
ィルタで高域周波数を遮断する必要がある。しかしなが
ら、遮断周波数Fcは通常帯域周波数の(1/2)程度
とされるため、エンジン回転数が例えば600rpm(1
次振動次数の周波数換算で10Hz)のときの遮断周波
数は20Hzであるのに対し、エンジン回転数が例えば
6000rpmのときの遮断周波数は200Hzとなって
遮断したい周波数帯域が広く、遮断周波数を一定にする
ことができない。このため、エンジン回転数に応じて決
定される可変サンプリングパルスPsrの発生周期(可変
サンプリング周波数τ)に応じて制御信号Vの遮断周波
数Fcが更新される。
【0058】次いで、このように可変ローパスフィルタ
21を通過した制御信号V′(デジタル信号)はD/A
コンバータ22でアナログ信号に変換された後、所定の
遮断周波数Fc(=Fs/2)を有する固定ローパスフィ
ルタ23で平滑化され、増幅器24及び自己伸縮型エン
ジンマウント2aを経て駆動信号Zとして振動エラーセ
ンサ9に入力される。
【0059】一方、振動騒音源であるエンジン1からの
振動騒音信号Dも前記振動エラーセンサ9に入力され、
該振動エラーセンサ9で前記駆動信号Zと前記振動騒音
信号Dが相殺されてその誤差信号εが該振動エラーセン
サ9から出力される。そして、該誤差信号(アナログ信
号)εはA/Dコンバータ14でデジタル信号に変換さ
れ(誤差信号ε′)、LMS処理部181、182に入力
される。そして、該LMS処理部181、182では、上
述の如く予め同定されてCフィルタ191、192に記憶
されている振動騒音伝達系13の伝達特性、すなわち参
照信号R1、R2と誤差信号ε′と基準信号U1、U2とW
フィルタ171、172の現在のフィルタ係数とに基づい
てWフィルタ171、172のフィルタ係数が更新され、
新たな制御信号V1、V2がWフィルタ171、172から
出力され、振動騒音の適応制御が実行される。
【0060】図5は上記第1の実施例の適応制御が開始
されてからの収束性を比較例(1周期当たりの可変サン
プリングパルスPsr、すなわち分割信号の発生個数N:
100)との比較において示したものであり、横軸が時
間〔sec]、縦軸が振幅を示す。図中、実線が第1の実施
例、破線が比較例である。振動騒音伝達系13の位相遅
れφは時間換算で0.05〔sec]である。図5(b)は
適応制御を行っていない場合を示し、図5(a)は適応
制御が開始されてからの振幅の経時変化を示したもので
ある。
【0061】この図5(a)から明らかなように、比較
例では適応制御が開始されてから0.2秒程度で或る程
度振幅が減衰するものの、0.2秒経過後は波形が減衰
しなくなるのに対し、本第1の実施例においては、0.
2秒経過後もさらに急激に減衰し、0.6秒経過後には
振幅は殆ど「0」となり、比較例に比べ高収束性を有し
ているのが判る。
【0062】このように上記振動騒音制御装置において
は、基準信号作成回路16から出力される基準信号Uは
制御対象である振動次数成分の1周期分の振動騒音に対
して4分割した正弦波値で構成されているので、位相遅
れφによる収束性の悪化を回避することができる。
【0063】図6は第2の実施例の振動騒音制御装置の
概略を示したシステム構成図であって、本第2の実施例
はWフィルタ171、172のフィルタ係数の更新及び出
力を行う一連の動作が固定のサンプリング周波数Fsに
より支配されている。
【0064】すなわち、本第2の実施例においては、E
CU11の駆動周波数(例えば、20MHz)を分周回
路33で分周されて生成された固定サンプリングパルス
Ps(サンプリング周波数Fsは例えば1KHz)に基
づいて適応制御される。
【0065】具体的には、上記第1の実施例と同様、回
転検出センサ10により検出された回転信号XがECU
11に入力され、該ECU11からはエンジンの各構成
部位に特有の振動騒音周期に応じたタイミングパルス信
号Y1、Y2が基準信号作成回路161、162及びCフィ
ルタ191、192に入力される。一方、ECU11の駆
動周波数(例えば、20MHz)は、分周回路33で分
周されて固定サンプリングパルスPsを作成し、該固定
サンプリングパルスPsが基準信号作成回路161、1
2及びCフィルタ191、192に入力される。
【0066】規準信号作成回路161,162ではタイミ
ングパルス信号Yの発生周期に応じてWフィルタ1
1,172の第1のフィルタ係数T(1)と第2のフィル
タ係数T(2)との遅延期間を示すWフィルタ171,17
2の次数mを算出する。例えば、タイミングパルス信号
Yの発生周波数Fが10Hzのときにサンプリング周波
数1KHzで適応制御を行うときは、タイミングパルス
信号Yの発生周期の間に100個のサンプリングパルス
Psが検出される。したがって、このときは所望の正弦
波値を利用して2タップのWフィルタ17で処理するた
めにWフィルタの遅延期間、すなわちWフィルタ17の
次数mは「25」に設定される。また、タイミングパル
ス信号Yの発生周波数Fが50Hzのときにサンプリン
グ周波数1KHzで適応制御を行うときは、タイミング
パルス信号Yの発生周期の間に20個のサンプリングパ
ルスPsが検出される。したがって、このときは2タッ
プのWフィルタ17で処理するためにWフィルタ17の
遅延期間、すなわちWフィルタ17の次数mは「5」に
設定される。このように基準信号作成回路161、162
では、2タップのWフィルタ17で処理するための次数
mがタイミングパルス信号Yの発生周波数Fに応じて適
宜算出される。
【0067】次いで、1次及び2次基準信号U1、U
2は、夫々のWフィルタ171、172でフィルタリング
されて制御信号V1、V2が出力され、これら制御信号V
1、V2は加算器26で加算され、該加算されて生成され
た制御信号Vは、D/Aコンバータ22でアナログ信号
に変換された後、固定ローパスフィルタ23、増幅器2
4及び自己伸縮型エンジンマウント2aを経て駆動信号
Zに変換され、振動エラーセンサ9に入力される。
【0068】一方、振動騒音源であるエンジン1からの
振動騒音信号Dも前記振動エラーセンサ9に入力され、
該振動エラーセンサ9で前記駆動信号Zと前記振動騒音
信号Dが相殺されてその誤差信号εが該振動エラーセン
サ9から出力される。そして、該誤差信号(アナログ信
号)εはA/Dコンバータ14でデジタル信号に変換さ
れ(誤差信号ε′)、LMS処理部181、182に入力
される。そして、該LMS処理部181、182では、上
述の第1の実施例と同様、予め同定されてCフィルタ1
1、192に記憶されている振動騒音伝達系13の伝達
特性、すなわち参照信号R1、R2と誤差信号ε′と基準
信号U1、U2とWフィルタ171、172の現在のフィル
タ係数とに基づいてWフィルタ171、172のフィルタ
係数が更新され、新たな制御信号V1、V2がWフィルタ
171、172から出力され、振動騒音の適応制御が実行
される。
【0069】しかして、上述の如く固定サンプリングパ
ルスPsの発生に同期してLMS処理部181、182
駆動しWフィルタ171、172の第1のフィルタ係数T
(1)及び第2のフィルタ係数T(2)の係数更新が逐次なさ
れるが、エンジン回転数が急変してWフィルタ171
172の次数mが変更されたときにWフィルタ171、1
2のフィルタ係数更新が前回更新値に基づいて更新さ
れると制御信号V1、V2に不連続部が生じ、振動騒音の
低減化に支障を来す虞がある。そこで、本実施例では、
エンジン回転数が急変してWフィルタ171、172の次
数mが変更されたときは制御信号V1、V2に不連続部が
生じないようにWフィルタ17のフィルタ係数を強制的
に変更している。以下、斯かるWフィルタ17のフィル
タ係数T(1)、T(2)の設定手順について詳述する。
【0070】図7はフィルタ係数の変更手順を示すフロ
ーチャートであって、本プログラムはタイミングパルス
の発生と同期してDSP12内で実行される。
【0071】まず、ステップS1では回転検出センサ1
0によりエンジンの回転を検出し、タイミングパルスY
の発生周波数Fを算出する。
【0072】次いで、Fテーブルを検索し、発生周波数
Fに応じたWフィルタ17の次数mを算出する(ステッ
プS2)。Fテーブルは、具体的には図8に示すよう
に、発生周波数F0、F1、F2、……、Fn−1、Fn
の所定範囲に対してテーブル値m(0)、m(1)、……m
(n)が与えられており、Wフィルタ17の次数mは該F
テーブルを検索することにより読み出される。
【0073】次に、ステップS3に進み、今回タイミン
グパルス発生時のWフィルタ17の次数m(n)が前回
タイミングパルス発生時のWフィルタ17の次数m(n
−1)と異なるか否かを判別し、前回の次数m(n)と
今回の次数m(n−1)が等しいときはそのまま本プロ
グラムを終了する一方、前回の次数m(n)と今回の次
数m(n−1)が異なるときはステップS4に進んでフ
ィルタ係数T(1)、T(2)を変更し、本プログラムを終了
する。
【0074】すなわち、Wフィルタのフィルタ係数T
(1)、T(2)と規準信号U1、U2とを積和して得られる制
御信号Yは、数式(1)で与えられる。
【0075】
【数6】 したがって、Wフィルタ17による位相・振幅の変化
は、数式(2)で示されることとなる。
【0076】
【数7】 上記数式(2)が現在の位相・振幅を表しているものと
すると、前回タイミングパルス発生時の位相・振幅は数
式(3)で示すことができる。
【0077】
【数8】 Wフィルタ17の次数が前回値m′から今回値mに変更
された場合、数式(2)と数式(3)とは恒等的に等し
くなければならず、したがって数式(4)及び数式
(5)が成立する。
【0078】
【数9】
【0079】
【数10】 したがって、数式(4)及び数式(5)からWフィルタ
17のフィルタ係数T(1)、T(2)は、数式(6)及び数
式(7)のようになる。
【0080】
【数11】
【0081】
【数12】 このようにして、固定サンプリングの場合にエンジン回
転数が変動してWフィルタ17の次数がm′からmに変
更されても所望のフィルタ係数T(1)、T(2)が得られ、
制御信号Vに不連続性が生じるのを回避することができ
る。
【0082】尚、上記フィルタ係数T(1),T(2)
の算出において、三角関係の演算はその演算負荷が大き
いので、(2π(F/Fs)m)や(2π(F/Fs)
m′)等の変数を例えば0.5°毎に区切ると共に前記
変数に対応する関数値が格納されたsinテーブルやtanテ
ーブル等の三角関数テーブルを記憶手段に記憶してお
き、必要に応じてこれら三角関数テーブルから所望の関
数値を読み出し、或いは補間法により算出するのも好ま
しい。
【0083】また、上記実施例では分割信号の発生個数
を「4」の場合について説明したが、N=4の場合に比
べ制御性は若干劣るものの、3≦N≦7(Nは実数)で
あれば等振幅楕円の長軸と短軸との比がそれほど大きく
はならず良好な収束性が得られるため、充分に所期の効
果を奏することができる。
【0084】図9は振動騒音制御装置の第3の実施例を
示すシステム構成図であって、適応制御回路341、3
2は、エンジン1の所定微小回転角度毎に発生する可
変サンプリングパルスPsr(分割信号)が供給されると
共に該可変サンプリングパルスPsrに応じた規準信号U
1、U2及び基本参照信号R1′、R2′を出力する規準信
号記憶手段(以下、「Rテーブル」という)351、3
2と、振動騒音伝達系13の位相振幅特性を記憶する
位相振幅特性記憶手段(以下、「Cテーブル」という)
361、362と、Rテーブル351、352から出力され
る基本参照信号R1′、R2′の振幅を所定のゲイン変数
で増幅する増幅器381、382と、Wフィルタ371
372のフィルタ係数を更新するための演算処理を行う
LMS処理部391、392とを備えている。
【0085】具体的には、図10に示すように、Rテー
ブル35には単一周期の正弦波と該正弦波に対しπ/2
の位相遅れを有する遅延正弦波が可変サンプリングパル
スPsrの発生タイミングに対応する微小角度毎に、例
えば3.6°毎にデジタル的に記憶されている。そし
て、例えば、エンジンの1次振動成分を制御対象とする
場合は1次振動成分の1周期に相当するフライホイール
が1回転する間に0番地、1番地、……、99番地の順
で等間隔で100個の可変サンプリングパルスPsrが
入力され、該可変サンプリングパルスPsrの入力タイ
ミングを読み出しポインタとして該可変サンプリングパ
ルスPsrに対応した正弦値、及び遅延正弦値が出力さ
れる。
【0086】また、Cテーブル36は、図11に示すよ
うに、規準信号Uに対する位相遅れφを示すシフト量Δ
Pが記憶されたΔPテーブル40と、Rテーブル35か
ら出力される基本参照信号R′のゲイン変数Δaが記憶
されたΔaテーブル41とが格納されている。すなわ
ち、可変サンプリングパルスPsrの入力に応じて決定
される正弦波及び遅延正弦波の読み出しポインタ(図
中、矢印Aで示す)に応じたシフト量ΔP及びゲイン変
数Δaが予め系に応じて同定されており、該Cテーブル
36を検索することにより読み出しポインタに対応した
位相遅れΔP及びゲイン変数Δaが読み出される。
【0087】すなわち、基準信号U1を正弦波及び基準
信号U2を遅延正弦波としたことによって、可変サンプ
リングパルスPsrの発生タイミングに対応する読み出
しポインタAの位相振幅情報(シフト量ΔP及びゲイン
量Δa)はCテーブル36を検索することにより決定さ
れる。したがって、複雑な演算処理を要することなく、
可変サンプリングパルスPsrが入力される毎に、Rテ
ーブル35及びCテーブル36の検索を介して可変サン
プリングパルスPsrの発生タイミングに応じた一組の
正弦値U(1)、遅延正弦値(2)、参照信号R
(1),R(2)が一義的に決定される。
【0088】このように構成された振動騒音制御装置に
おいては、前記可変サンプリングパルスPsrがECU
50からRテーブル35及びCテーブル36に入力され
る。そして、可変サンプリングパルスPsrの入力に同
期して読み出しポインタ(図中、矢印Aで示す)に相当
する正弦値及び遅延正弦値を読み出し、該正弦波値及び
遅延正弦波値を規準信号U(1)、U(2)としてWフ
ィルタ37に入力する。一方、Cテーブル36において
は、可変サンプリングパルスPsrが入力される毎に、
対応する読み出しポインタのシフト量ΔP及びゲイン変
数Δaを読み出す。そして、シフト量ΔPは、Rテーブ
ル35に入力され、該シフト量ΔPだけシフトした正弦
値及び遅延正弦値を基本参照信号R′(1)及びR′
(2)としてRテーブル35から出力し、増幅器38に
供給する。そして、増幅器38ではゲイン変数Δaによ
り基本参照信号R(1)及びR(2)の振幅を増幅して
参照信号R(1)及びR(2)を作成し、LMS処理部
39に入力する。
【0089】次いで、LMS処理部39では、数式
(8)及び数式(9)に基づいてWフィルタ37の第1
及び第2のフィルタ係数T(1),T(2)についてそ
の係数更新を行う。
【0090】
【数13】
【0091】
【数14】 ここで、T(1)(i+1)及びT(2)(i+1)は第1及
び第2のフィルタ係数T(1),T(2)の新たなフィ
ルタ係数値、T(1)(i)及びT(2)(i)は第1及び第
2のフィルタ係数T(1),T(2)の現在のフィルタ
係数値である。μは毎回の係数更新補正量を規制するス
テップサイズパラメータであって、制御対象に応じた所
定値に予め設定されている。
【0092】次いで、Wフィルタ37の係数更新部42
でWフィルタのフィルタ係数更新を実行し、乗算部43
で斯く決定された今回のフィルタ係数T(1),T
(2)と規準信号U(1)及びU(2)とを乗算し、制
御信号Vを出力する。
【0093】そして、制御信号Vは、図9に示すよう
に、ECU11から出力される可変サンプリングパルス
(Psr)をトリガとしてD/Aコンバータ22でサン
プリングされてアナログ信号に変換され、次いでローパ
スフィルタ23、増幅器24及び自己伸縮型エンジンマ
ウント2aを経て振動エラーセンサ9に駆動信号Zとし
て入力される。一方、振動騒音源であるエンジン1から
の振動騒音信号Dが前記振動エラーセンサ9に入力さ
れ、該振動エラーセンサ9で前記駆動信号Zと前記振動
騒音信号Dが相殺され、その誤差信号εが該振動エラー
センサ9から出力される。そして、前記誤差信号εはD
/Aコンバータ24と同様、ECU11から出力される
前記可変サンプリングパルスPsrをトリガとしてA/
Dコンバータ19でサンプリングされ、LMS処理部3
1、392に入力され、上述した第1及び第2の実施例
と同様、Wフィルタ37のフィルタ係数更新が実行され
る。
【0094】このように上記第3の実施例においては、
正弦波と該正弦波に対してπ/2の位相遅れを有する遅
延正弦波は同時に出力しているので、正弦波と該正弦波
に対して1/4周期遅延させた余弦波が出力されること
となり、上記第1及び第2の実施例において分割信号の
発生個数を「4」としたのと略同様の結果が得られるこ
ととなる。
【0095】また、基準信号Uが正弦波であることから
系の伝達特性に関する高次の周波数特性やタップ長の長
いフィルタは必要なく、したがって多くの記憶素子を使
用して系の伝達特性を予め記憶しておく必要もなく、予
め同定された系の伝達特性を記憶し、エンジン回転数等
に応じて適宜読み出すことにより、位相及び振幅を補正
することができ、装置の簡素化を図ることができると共
に収束速度の向上を図ることができる。
【0096】図12は上記第3の実施例の適応制御が開
始されてからの収束性を第1の実施例との比較において
示したものであり、横軸が時間[sec]、縦軸が振幅を
示す。図中、二点鎖線が第3の実施例、実線が第1の実
施例である。振幅騒音伝達系13の位相遅れφは時間換
算で0.05[sec]である。図12(b)は適応制御
を行っていない場合を示し、図12(a)は適応制御が
開始されてからの振幅の経時変化を示したものである。
【0097】この図12(a)から明らかなように、第
3の実施例においては、第1の実施例よりもさらに高収
束性を有することが判る。これは、第1の実施例が振動
騒音周期の1周期を単に4分割して読み出された正弦波
値に基づいて基準信号を生成しているのに対し、第3の
実施例では振動騒音周期の1周期を100分割した正弦
波値及び遅延正弦波値を逐次読み出して基準信号を生成
しているため、より極細かい制御を行うことができるか
らであると思われる。
【0098】また、上記第3の実施例では、所定遅延周
期Mを1/4に設定しているが、1/3≧M≧1/7
(Mは実数)の範囲であれば上記第1及び第2の実施例
のところで述べた理由と同様の理由から充分所期の効果
を奏することができる。
【0099】また、上記第3の実施例ではサンプリング
周波数を可変にしているが、第2の実施例と同様、EC
U50の駆動周波数(例えば、20MHz)を分周した
所定周波数をサンプリング周波数としても同様に適応制
御を実行することができる。この場合、タイミングパル
ス信号Yの発生周期はエンジン回転数に応じて変動する
ため、タイミングパルス信号Yの発生周期に比べサンプ
リングパルスの発生周期が短いときは同一の正弦波値、
シフト量ΔP及びゲイン変数Δaを何回か読み出すこと
により、可変サンプリングで正弦波値やシフト量さらに
はゲイン変数を得る場合と同様の処理を行うことができ
る。
【0100】尚、本発明は上記実施例に限定されるもの
ではなく、要旨を逸脱しない範囲で変更可能なことはい
うまでもない。例えば、上記実施例においては、電気機
械変換手段としてアクチュエータが内蔵された自己伸縮
型エンジンマウントを使用しているが、スピーカ等で騒
音制御する場合にも同様に適用することができるのはい
うまでもない。また、上記実施例では1次振動次数及び
2次振動次数の2個の振動次数を制御対象として適応制
御しているが、3個以上の振動次数を制御対象としても
同様に収束性の良好な適応制御を実行することができる
のはいうまでもない。
【0101】
【発明の効果】以上詳述した本発明は、本発明は、周期
性又は擬似周期性を有する振動騒音が発生する少なくと
も回転体を有する振動騒音源に対し、該振動騒音源を制
御する制御信号を出力する適応型デジタルフィルタを備
えた第1のフィルタ手段と、前記制御信号を駆動信号に
変換する駆動信号生成手段と、該駆動信号生成手段によ
り発生する駆動信号と前記振動騒音源からの振動騒音信
号との誤差信号を検出する誤差信号検出手段と、前記駆
動信号生成手段と前記誤差信号検出手段との間に形成さ
れる振動騒音伝達経路の伝達特性を表現する第2のフィ
ルタ手段と、前記誤差信号検出手段の検出結果と前記第
2のフィルタ手段から出力される参照信号と前記第1の
フィルタ手段のフィルタ係数に基づいて前記誤差信号が
最小値となるように前記第1のフィルタ手段のフィルタ
係数を更新する制御信号更新手段とを備えた振動騒音制
御装置において、前記振動騒音源の構成部位に特有の振
動騒音周期に応じた駆動周期信号を前記回転体の所定回
転角度毎に検出する駆動周期信号検出手段と、該駆動周
期信号検出手段により検出された駆動周期信号の発生周
期間に複数個の分割信号を発生する分割信号発生手段
と、該分割信号発生手段により発生する分割信号の発生
タイミングに応じて単一周期の正弦波からなる基準信号
を作成し該基準信号を前記第1のフィルタ手段に入力す
る規準信号作成手段とを備え、前記第1のフィルタ手段
の適応型デジタルフィルタは、タップ数が2タップで構
成されると共に、前記分割信号発生手段により発生する
分割信号の発生個数Nが、 3≦N≦7(但し、Nは実数) の範囲(好ましくは、N=4)設定されているので、振
動騒音伝達系に起因する位相遅れφが生じる場合でも、
発散することなく短時間でフィルタ係数を収束させるこ
とができ、所望の振動騒音低減化を図ることができる。
【0102】さらに、前記第1のフィルタ手段のフィル
タ係数の出力及び更新を行う一連の動作を支配するサン
プング周期を、前記回転体を制御する制御手段が有する
駆動周波数に基づいて作成するサンプリング周期作成手
段と、前記駆動周期信号検出手段により検出された駆動
周期信号の発生周期と前記サンプリング周期とに基づい
て適応型デジタルフィルタの遅延期間を決定する遅延期
間決定手段とを備え、前記パルス信号の発生周期が変動
したときは該発生周期の変動に応じて前記遅延期間を変
更する遅延期間変更手段を有すると共に、該遅延期間変
更手段により遅延期間が変更されたときは斯く変更され
た前記遅延期間に基づいて前記適応型デジタルフィルタ
のフィルタ係数を強制的に変更するフィルタ係数変更手
段を有することにより、サンプリング周期を固定にして
も制御信号に不連続部が生じるのを回避することがで
き、不要な振動騒音成分が発生することもなく制御効果
が悪化することもない。
【0103】さらに、本発明は、上記振動騒音制御装置
に代えて、前記振動騒音源の構成部位に特有の振動騒音
周期に応じた駆動周期信号を前記回転体の所定角度毎に
検出する駆動周期信号検出手段と、該駆動周期信号検出
手段により検出された駆動周期信号の発生周期を所定微
小角度毎に分割する多数の分割信号を発生する分割信号
発生手段と、前記分割信号の発生タイミングに応じた第
1のフィルタ手段に出力するための規準信号を記憶する
規準信号記憶手段とを備え、前記第1のフィルタ手段の
適応型デジタルフィルタは、タップ数が2タップで構成
されると共に、前記基準信号記憶手段が、前記振動騒音
源の前記振動騒音周期に応じた単一周期の正弦波を記憶
する正弦波記憶手段と、該正弦波記憶手段により記憶さ
れた正弦波に対し所定遅延周期Mを有する遅延正弦波を
記憶する遅延正弦波記憶手段とを有し、かつ、前記所定
遅延周期Mが、 1/3≧M≧1/7(但し、Mは実数) の範囲(好ましくは、M=1/4)に設定されているの
で、上述した振動騒音周期の1周期を4分割したのと同
様の作用が得られ、したがって上述と同様、収束性の優
れた適応制御を実行することができる。特に、この場合
は微小角度毎に分割信号を検出しているので、単に振動
騒音周期の1周期を4分割した場合に比べより極細かい
制御が可能となり、より一層収束性の優れた適応制御を
行うことができる。
【0104】さらに、本発明は、前記第2のフィルタ手
段が、振動騒音伝達経路の位相・振幅伝達特性を記憶す
る伝達特性記憶手段からなり、前記分割信号発生手段に
より発生する分割信号の発生間隔に応じて前記伝達特性
記憶手段に記憶された位相・振幅伝達特性が読み出され
ることとすることにより、位相・振幅伝達特性の同定を
高次の周波数特性を予め記憶して行う必要もなく、また
複雑な演算処理を要することもなく行うことが可能とな
る。すなわち、第2のフィルタ手段から出力される参照
信号を振動騒音周期に応じて簡単且つ迅速に得ることが
でき、高精度の適応制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンの車体への取付状態を示した図であ
る。
【図2】本発明に係る振動騒音制御装置の一実施例(第
1の実施例)を示す全体構成図である。
【図3】可変サンプリングパルスの入力信号と正弦値の
出力信号との関係を示す図である。
【図4】振動伝達系の伝達特性の同定手順を示したブロ
ック回路図である。
【図5】第1の実施例の適応制御の収束性を比較例と共
に示した図である。
【図6】本発明に係る振動騒音制御装置の第2の実施例
を示す全体構成図である。
【図7】エンジン回転数が急変したときのWフィルタの
フィルタ係数の算出手順を示すフローチャートである。
【図8】Wフィルタの最適次数を算出するためのFテー
ブルである。
【図9】本発明に係る振動騒音制御装置の第3の実施例
を示す全体構成図である。
【図10】規準信号記憶手段に記憶されている正弦波と
遅延正弦波を示す図である。
【図11】第3の実施例の要部詳細を示したブロック構
成図である。
【図12】第3の実施例の適応制御の収束性を第1の実
施例と共に示した図である。
【図13】分割信号の発生個数Nの数値限定の根拠を説
明するための図である。
【図14】先行技術の問題点を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
1 内燃エンジン(振動騒音源) 9 振動エラーセンサ(誤差信号検出手段) 11 ECU(駆動周期信号検出手段) 12 DSP(遅延期間決定手段、遅延期間変更手段、
フィルタ係数変更手段) 16 基準信号作成回路(基準信号作成手段) 171、172 Wフィルタ(第1のフィルタ手段) 191、192 Cフィルタ(第2のフィルタ手段) 201 第1の分周回路(分割信号発生手段) 202 第2の分周回路(分割信号発生手段) 25 第3の分周回路(サンプリング周期作成手段) 33 分周回路(サンプリング周期作成手段) 351、352 Rテーブル(規準信号記憶手段) 361、362 Cテーブル(第2のフィルタ手段) 50 ECU(駆動周期信号検出手段、分割信号発生手
段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H03H 21/00 H03H 21/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周期性又は擬似周期性を有する振動騒音
    が発生する少なくとも回転体を有する振動騒音源に対
    し、該振動騒音源を制御する制御信号を出力する適応型
    デジタルフィルタを備えた第1のフィルタ手段と、 前記制御信号を駆動信号に変換する駆動信号生成手段
    と、 該駆動信号生成手段により発生する駆動信号と前記振動
    騒音源からの振動騒音信号との誤差信号を検出する誤差
    信号検出手段と、 前記駆動信号生成手段と前記誤差信号検出手段との間に
    形成される振動騒音伝達経路の伝達特性を表現する第2
    のフィルタ手段と、 前記誤差信号検出手段の検出結果と前記第2のフィルタ
    手段から出力される参照信号と前記第1のフィルタ手段
    のフィルタ係数に基づいて前記誤差信号が最小値となる
    ように前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数を更新す
    る制御信号更新手段とを備えた振動騒音制御装置におい
    て、 前記振動騒音源の構成部位に特有の振動騒音周期に応じ
    た駆動周期信号を前記回転体の所定回転角度毎に検出す
    る駆動周期信号検出手段と、該駆動周期信号検出手段に
    より検出された駆動周期信号の発生周期間に複数個の分
    割信号を発生する分割信号発生手段と、該分割信号発生
    手段により発生する分割信号の発生タイミングに応じて
    単一周期の正弦波からなる基準信号を作成し該基準信号
    を前記第1のフィルタ手段に入力する規準信号作成手段
    とを備え、 前記第1のフィルタ手段の適応型デジタルフィルタは、
    タップ数が2タップで構成されると共に、前記分割信号
    発生手段により発生する分割信号の発生個数Nが、 3≦N≦7(但し、Nは実数) の範囲に設定されていることを特徴とする振動騒音制御
    装置。
  2. 【請求項2】 前記分割信号発生手段により発生する分
    割信号の発生個数Nが、「4」に設定されていることを
    特徴とする請求項1記載の振動騒音制御装置。
  3. 【請求項3】 前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数
    の出力及び更新を行う一連の動作を支配するサンプング
    周期を、前記回転体を制御する制御手段が有する駆動周
    波数に基づいて作成するサンプリング周期作成手段と、
    前記駆動周期信号検出手段により検出された駆動周期信
    号の発生周期と前記サンプリング周期とに基づいて前記
    適応型デジタルフィルタの遅延期間を決定する遅延期間
    決定手段とを備え、 前記駆動周期信号の発生周期が変動したときは該発生周
    期の変動に応じて前記遅延期間を変更する遅延期間変更
    手段を有すると共に、該遅延期間変更手段により遅延期
    間が変更されたときは斯く変更された前記遅延期間に基
    づいて前記適応型デジタルフィルタのフィルタ係数を強
    制的に変更するフィルタ係数変更手段を有していること
    を特徴とする請求項1又は請求項2記載の振動騒音制御
    装置。
  4. 【請求項4】 周期性又は擬似周期性を有する振動騒音
    が発生する少なくとも回転体を有する振動騒音源に対
    し、該振動騒音源を制御する制御信号を出力する適応型
    デジタルフィルタを備えた第1のフィルタ手段と、 前記制御信号を駆動信号に変換する駆動信号生成手段
    と、 該駆動信号生成手段により発生する駆動信号と前記振動
    騒音源からの振動騒音信号との誤差信号を検出する誤差
    信号検出手段と、 前記駆動信号生成手段と前記誤差信号検出手段との間に
    形成される振動騒音伝達経路の伝達特性を表現する第2
    のフィルタ手段と、 前記誤差信号検出手段の検出結果と前記第2のフィルタ
    手段から出力される参照信号と前記第1のフィルタ手段
    のフィルタ係数に基づいて前記誤差信号が最小値となる
    ように前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数を更新す
    る制御信号更新手段とを備えた振動騒音制御装置におい
    て、 前記振動騒音源の構成部位に特有の振動騒音周期に応じ
    た駆動周期信号を前記回転体の所定角度毎に検出する駆
    動周期信号検出手段と、該駆動周期信号検出手段により
    検出された駆動周期信号の発生周期を所定微小角度毎に
    分割する多数の分割信号を発生する分割信号発生手段
    と、前記分割信号の発生タイミングに応じた第1のフィ
    ルタ手段に出力するための規準信号を記憶する規準信号
    記憶手段とを備え、 前記第1のフィルタ手段の適応型デジタルフィルタは、
    タップ数が2タップで構成されると共に、前記基準信号
    記憶手段が、前記振動騒音源の前記振動騒音周期に応じ
    た単一周期の正弦波を記憶する正弦波記憶手段と、該正
    弦波記憶手段により記憶された正弦波に対し所定遅延周
    期Mを有する遅延正弦波を記憶する遅延正弦波記憶手段
    とを有し、 かつ、前記所定遅延周期Mが、 1/3≧M≧1/7(但し、Mは実数) の範囲に設定されていることを特徴とする振動騒音制御
    装置。
  5. 【請求項5】 前記所定遅延周期Mが、「1/4」に設
    定されていることを特徴とする請求項4記載の振動騒音
    制御装置。
  6. 【請求項6】 前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数
    の出力及び更新を行う一連の動作を支配するサンプング
    周期を、前記回転体を制御する制御手段が有する駆動周
    波数に基づいて作成するサンプリング周期作成手段を有
    していることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の
    振動騒音制御装置。
  7. 【請求項7】 前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数
    の出力及び更新を行う一連の動作が、前記分割信号の発
    生と同期して実行されることを特徴とする請求項1、請
    求項2、請求項4又は請求項5のいずれかに記載の振動
    騒音制御装置。
  8. 【請求項8】 前記第2のフィルタ手段が、振動騒音伝
    達経路の位相振幅伝達特性を記憶する伝達特性記憶手段
    からなり、前記分割信号発生手段により発生する分割信
    号の発生間隔に応じて前記伝達特性記憶手段に記憶され
    た位相振幅伝達特性を選択・出力することを特徴とする
    請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の振動騒音制御
    装置。
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