JP2749167B2 - 心筋梗塞の処置のための方法および治療用組成物 - Google Patents

心筋梗塞の処置のための方法および治療用組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は心筋梗塞の処置、さらに詳しくは心筋梗塞の
処置における血栓溶解物質の使用にしばしば伴われる冠
動脈の再閉塞を防止しうる治療法に関するものである。
さらに本発明は、冠動脈の再閉塞を防止する組織因子蛋
白阻害物質の使用に関するものである。
多くの心筋梗塞(心臓発作)の最初の現象は、アテロ
ーム性動脈硬化斑への出血である。かかる出血はしばし
ば梗塞帯(すなわち、血液循環の阻害に起因する壊死の
領域)に血液供給を行う冠動脈において血栓(または血
液凝塊)の形成を引き起こす。この血栓はフィブリンお
よび血小板の結合体からなる。フィブリン−血小板凝塊
の形成は重要な臨床上の分岐点である。このフィブリン
−血小板凝塊の惹起する閉塞の程度および持続は、梗塞
帯の大きさおよび損傷の程度を決定する。
現行の心筋梗塞治療の第一の目標は、閉塞している血
栓の迅速な溶解および血流の回復(再潅流)を含む。成
功裏の治療法は、治療停止後のフィブリン−血小板凝塊
の再形成を防止するような方法でこれを取り除くことが
できるものでなければならない。フィブリン−血小板凝
塊が再形成可能であると、冒された動脈が再閉塞するお
それがある。
循環系の他の部分におけるフィブリン−血小板凝塊の
形成は、抗凝固剤(例えばヘパリン)の使用により部分
的には防止することができる。残念なことにヘパリン
は、血管閉塞の程度(「狭窄」の程度)が70%に等しい
かまたはこれ以上である心筋梗塞患者、とりわけ重篤な
冠動脈狭窄の後遺症を持つ患者に対し、再閉塞防止のう
えで例外なく効果的であるということが見いだされてい
るわけではない。
フィブリン−血小板凝塊が形成されてしまったら、こ
の凝塊は血栓溶解物質の使用によって溶解することがで
きる。血栓溶解物質は、フィブリン−血小板の血栓を溶
解し、それにより冒された血管に再び血液が流れるよう
にできる薬物である。このような物質には、ストレプト
キナーゼ、プルロキナーゼ、ウロキナーゼ、および組織
型プラスミノーゲン活性化因子が含まれる[ガンツ・W
等、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・カレッジ・オ
ブ・カーディオロジー第1巻1247−1253頁(1983年);
レントロップ・K・P等、アメリカン・ジャーナル・オ
ブ・カーディオロジー第54巻29E−31E頁(1984年);ゴ
ールド・H・K等、アメリカン・ジャーナル・オブ・カ
ーディオロジー第53巻122C−125C頁(1984年)]。
血栓溶解物質による治療は心筋梗塞を中断させるに十
分なほど早く冠動脈血流をうまく回復させることが多
い。残念なことに、多くの患者においてこのような血栓
溶解物質による治療の停止後に、溶解したフィブリン−
血小板凝塊が再形成されることがわかった。この再形成
は冒された血管の再閉塞をもたらし、従って重要な関心
事である[ゴールド・H・K等、上記;ゴールド・H・
K等、サーキュレーション第68巻150−154頁(1983
年)]。即ち、ストレプトキナーゼによる処置はフィブ
リン凝塊の溶解に有効であることがわかってはいるが、
冒された血管の再閉塞が、調査された患者のおよそ25%
に起こることがわかった[ゴールド・H・K等、サーキ
ュレーション第68巻150−154頁(1983年)]。
組織型プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)は、ス
トレプトキナーゼまたはウロキナーゼのどちらよりも大
きなフィブリンに対する特異性(ただし絶対的ではな
い)を示すが故に、両物質より望ましい血栓溶解物質で
ある[バーストレイト・M等、ランセット第1巻142頁
(1985年)]。組織型プラスミノーゲン活性化因子(t
−PA)は、血漿からの除去速度の早い凝塊特異性血栓溶
解物質である。組織型プラスミノーゲン活性化因子(t
−PA)は、急性心筋梗塞の患者において45−75分以内に
被験患者のおよそ70%に冠動脈の再潅流(即ち狭窄の減
少)をもたらす有効な血栓溶解物質であることがわかっ
ている[ゴールド・H・K等、サーキュレーション第73
巻347−352頁(1986年)]。
組織型プラスミノーゲン活性化因子は、注入液として
およそ1ないし2mg/kg(患者の体重)の用量で投与す
る。t−PA使用の利点は、t−PA治療の停止後に自然に
起こる急性の再閉塞の割合により、かなり相殺される。
t−PA治療の停止は、被験患者のおよそ45%に、冒され
た血管の再閉塞をもたらすことが観察されている[サー
キュレーション第73巻347−352頁(1986年)]。t−PA
用量の増加が冠動脈再閉塞の傾向を減少させることは見
いだされていない。重要なことに、トロンビン凝塊の再
形成の可能性は、後遺症としての冠動脈狭窄の程度(即
ち血管閉鎖の度合)と密接に関係している。即ち、再閉
塞は、高度の狭窄(即ち、70%以上の定量的狭窄または
80%以上の非定量的狭窄)が起こった患者に、より起こ
りやすい。血管の再閉塞は、t−PAの継続注入により防
止されることがわかっている[ゴールド・H・K等、サ
ーキュレーション第73巻347−352頁(1986年)]。これ
は、一旦注入が中止されれば血管が再閉塞するという点
で、最善の治療法とは言えない。
血液凝塊形成の全般的な機序はギャノン・W・Fによ
って概説されている[レビュー・オブ・メディカル・フ
ィジオロジー第9版、ランゲ、ロス・アルトス、CA、41
1−414頁(1979年)]。血液凝固は2つの機能を果たし
ている。即ち、血小板の凝集を誘発するトロンビンの生
成および血小板の塊を安定化するフィブリンの形成であ
る「凝固因子」と呼ばれる多くの独立したプロ酵素およ
びプロ補助因子が凝固過程に関与している。この過程は
いくつかの段階からなり、フィブリンの形成で終了す
る。フィブリノーゲンはトロンビンの作用によりフィブ
リンに変換される。トロンビンはプロ酵素であるプロト
ロンビンの蛋白加水分解開裂によって形成される。この
蛋白加水分解は、活性化された血小板の表面に結合して
いる活性化された因子X(因子Xaと表示)によってVaの
存在下で起こり、カルシウムイオンがプロトロンビンを
開裂させる。
因子Xの活性化は2種類の別の経路、即ち外因性また
は内因性経路のいずれかによって起こり得る。内因性の
カスケードは、蛋白前駆体が開裂して活性プロテアーゼ
を生成する一連の反応からなる。各段階において、新し
く形成されたプロテアーゼが、カスケードの次の段階の
別のプロテアーゼの活性化を触媒する。反応経路中のい
かなる蛋白の欠如も、その段階の活性化行程を遮断し、
それにより凝塊の形成を防止し、通常は出血傾向を増加
させる。例えば、因子VIIIまたは因子IXの欠如は、各々
重篤な出血症候群であるA型およびB型血友病の原因と
なる。血液凝固の外因性経路においては、組織トロンボ
プラスチンとも呼ばれる組織因子が損傷細胞から放出さ
れ、因子VIIおよびカルシウムの存在下で因子Xの働き
を促す。当初因子Xの活性化は組織因子および因子VII
によって触媒される唯一の反応であると考えられていた
が、今では因子X、因子VII、および因子IXの間に増幅
ループの存在することが知られている[オストラッド・
BおよびS・I・ラパポート、プロシーディングズ・オ
ブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ
・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ
第74巻5260−5264頁、1977年;ズーア・M等、ブラッド
第52巻198頁、1978年]。この反応式中のセリンプロテ
アーゼの各々は、蛋白加水分解によって他の二者を活性
型に転換することができ、それにより凝固過程における
この段階の信号を増幅することができる(第2図)。現
在では、外因性経路が実際には正常な血液凝固の主たる
生理学的経路であると考えられている[ヘモスタシス第
13巻150−155頁、1983年]。通常、組織因子は血中には
見いだされないので、この系が継続的凝塊を形成するこ
とはない。従って、凝固を誘発するのは損傷組織、例え
ばアテローム性動脈硬化斑からの組織因子の放出または
暴露であろう。
組織因子は、上に論じたように外因性経路を経て血液
凝固を誘発し得る必須の膜糖蛋白である[バッハ、R
等、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー
第256巻(16)8324−8331頁(1981年)]。組織因子は
蛋白成分(以前は組織因子アポ蛋白IIIと呼ばれてい
た)およびリン脂質からなる[オストラッド・Bおよび
ラパポート・S・I、PNAS第74巻5260−5264頁(1977
年)]。この複合体は単球および血管壁の異なる細胞の
膜上に見いだされる[オストラッド・B、スカンジナビ
アン・ジャーナル・オブ・ヘマトロジー第32巻337−345
頁(1984年)]。様々な器官および種由来の組織因子は
42000ないし53000の相対的分子量を有することが報告さ
れている。ヒトの組織トロンボプラスチンは、組織因子
蛋白:リン脂質の最適な割合がおよそ1:80でリン脂質の
2重層中に挿入された組織因子蛋白からなることが記載
されている[ライバーグ・Tおよびプリッズ・H、ヌー
ベル・レビュー・フランセーズ・デ・ヘマトロジー第25
巻(5)291−293頁(1983年)]。ヒトの脳[グーア・
A等、PNAS第83巻299−302頁(1986年)およびブローズ
・G・H等、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミ
ストリー第260巻(20)10917−10920頁(1985年)]、
牛の脳[バッハ・R等、ジャーナル・オブ・バイオロジ
カル・ケミストリー第256巻8324−8331頁(1981
年)]、ヒトの胎盤[ボム・V・J・J等、トロンボシ
ス・リサーチ第42巻635−643頁(1986年)、およびアン
ドー・K等、トロンボシス・リサーチ第43巻275−286頁
(1986年)]、羊の脳[カールスン・E等、トロンボシ
ス・アンド・ヘモスタシス第48巻(3)315−319頁(19
82年)]、および肺[グラス・Pおよびアストラップ・
T、アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー第
219巻1140−1146頁(1970年)]のような様々な組織か
らの組織因子の精製が報告されている。牛およびヒトの
組織トロンボプラスチンは、その大きさと機能において
同一であることが示されている。例えばブローズ・G・
H等、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリ
ー第260巻(20)10917−10920頁(1985年)を参照。種
の間で組織因子蛋白の構造に相違があっても、インビト
ロの凝固検定によって測定すると機能上の相違は存在し
ないということが広く認められている[グーア等、上
記]。さらに、ある動物の様々な組織、例えば犬の脳、
肺、動脈および静脈から単離された組織因子は、吸光
度、窒素およびリンの含有量および最適なリン脂質対脂
質の割合などの一部の点では類似しているが、分子の大
きさ、アミノ酸含有量、抗体との反応性および血漿半減
期においてはわずかに異なっていた[ゴンモリ・Hおよ
びタケダ・Y、ジャーナル・オブ・フィジオロジー第22
9巻(3)618−626頁(1975年)]。犬の種々の器官由
来の組織因子はすべて脂質の存在下で凝塊形成の活性を
示した[同上]。生物学的活性を示すためには、組織因
子がリン脂質と結び付かねばならないということは広く
認められている[ピトリック・F・A、およびネマーソ
ン・Y、バイオケミストリー第9巻5105−5111頁(1970
年)、ならびにバッハ・R等、上記8324頁]。組織因子
のリン脂質成分を例えばホスホリパーゼの使用により除
去すると、その生物学的活性が失われることが示されて
いる[ネマーソン・Y、J.C.I.第47巻72−80頁(1968
年)]。再度脂質を補うと、インビトロの組織因子活性
を回復させることができる[ピトリック・F・Aおよび
ネマーソン・Y、バイオケミストリー第9巻5105−5113
頁(1970年)、ならびにフレイシネット・J・M等、ト
ロンボシス・アンド・ヘモスタシス第55巻112−118頁
(1986年)]。
組織因子の注入は正常な止血を損なうと長い間考えら
れてきた。1834年にフランスの生理学者ドゥ・ブランビ
ーユは、組織因子が血液凝固に直接寄与していることを
初めて立証した[ドゥ・ブランビーユ・H、ガゼット・
メディカレ・パリ、第2集524頁(1834年)]。ドゥ・
ブランビーユはさらに脳組織の懸濁液の静脈内注入は即
死をもたらすことを観察したが、これは、解剖時に見い
だされた広範囲に散在する血液凝塊を生じさせる過凝固
状態と相関していた。現在では、組織トロンボプラスチ
ンの静脈内注入は血管内凝固を誘発し、種々の動物にお
いて死の原因となり得るということが十分認められてい
る[犬:ルイス・Jおよびゼット・I・F、ジャーナル
・オブ・ラボラトリー・アンド・クリニカル・メディス
ン第60巻261−273頁(1962年);兎:フェダー・G等、
Thromb.Diath.Haemorrh.第27巻365−376頁(1972年);
ラット:ギエルクスキー・K・E等、スカンジナビアン
・ジャーナル・オブ・ヘマトロジー第17巻305−311頁
(1976年);および、羊:カールスン・E等、トロンボ
シス・アンド・ヘモスタシス第48巻315−319頁(1982
年)]。
組織因子の外部からの投与の結果として起こる静脈内
凝固または過凝固状態に加えて、組織トロンボプラスチ
ンの静脈内放出または暴露が播種性静脈内凝固(DIC)
を開始させ得るということが示唆された[プレンティス
・C・R、クリニクス・イン・ヘマトロジー第14巻
(2)413−442頁(1985年)]。DICまたは局部性静脈
内凝固は、例えばショック、敗血症、心停止、術後の深
部静脈血栓症、肺塞栓、不安定狭心症、血管形成術後血
栓症、広範な外傷、毒蛇咬症、急性肝臓病、大手術、火
傷、敗血性流産、熱射病、播種性悪性腫瘍、膵臓および
卵巣の癌腫、前骨髄球性白血病、心筋梗塞、新生物、全
身性紅斑性エリテマトーデス、腎臓病および子癇のごと
き種々の状態において起こり得る。現在のDIC治療法に
は、血液および新鮮な凍結血漿の輸血、ヘパリンの注
入、ならびに形成された血栓の除去が含まれる。前述の
臨床的症候は、組織因子の内性放出または暴露が重篤な
臨床上の合併症の原因となり得ることを示唆している
[アンドー・K等、トロンボシス・リサーチ第43巻275
−286頁(1986年)]。酵素トロンボプラスチナーゼを
用いて組織トロンボプラスチンの血栓形成作用を克服す
る努力がなされた[ゴラブ・S等、Thromb.Diath.Haemo
rh.第7巻470−479頁(1962年)]。トロンボプラスチ
ナーゼはホスホリパーゼであり、おそらくは組織因子の
リン脂質部分を開裂するのであろう[同上]。
本発明の目的は、早期の再潅流を可能にし、再閉塞を
防止することにより、壊死を限定する心筋梗塞の効果的
な治療方法を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、心筋梗塞の処置およびフ
ィブリン−血小板凝塊の再形成(即ち再閉塞)の防止の
ための治療用組成物を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、治療用抗凝固物質、即ち
過凝固状態を引き起こし得る組織トロンボプラスチンの
内因性放出という血栓形成作用を中和する組織因子蛋白
の拮抗物質を提供することである。特に、かかる抗凝固
物質、即ち組織因子蛋白の拮抗物質は、組織因子蛋白を
不活性化することにより、内因的に放出または暴露され
た組織トロンボプラスチンの過凝固作用を中和する。こ
のような組織因子蛋白拮抗物質は、組織因子の活性を特
異的に阻害する小さい有機分子または抗体もしくは他の
蛋白であってよい。
本発明は、組織因子がアテローム性動脈硬化斑内に存
在するという新規かつ予想外の観察に一部基づいてい
る。組織因子は正常な血管中より大量にこの斑の中に存
在するということを見いだした。さらに、組織因子mRNA
が、間葉織様動脈内膜細胞ならびにアテローム性動脈硬
化斑の内部にあるコレステロール裂に隣接する細胞およ
びマクロファージの両方に存在するということも観察さ
れた。
したがって本発明の態様の1つは、組織因子蛋白拮抗
物質および血栓溶解物質からなる医薬組成物を投与する
ことに関する。本発明の別の態様は心筋梗塞の処置方法
を提供するものであり、この方法は、該治療を必要とす
る患者に、 a)潜在的な凝塊再形成を防止することのできる組織因
子蛋白拮抗物質を、かかる再形成を防止する治療的有効
量で、単独または、 b)フィブリン−血小板凝塊を溶解する治療的有効量の
血栓溶解物質と共に、または、 c)各々凝塊形成または血小板凝集を防止する治療的有
効量の、抗凝固物質もしくは抗血小板物質(例えばアス
ピリン)、または血小板糖蛋白IIb/IIIa凝集因子に対
する拮抗物質と共に、 投与することからなる。
本発明のさらに別の態様は、内因的に放出または暴露
された組織トロンボプラスチンの凝固作用を、組織因子
蛋白の不活性化により中和する抗凝固物質に関する。本
発明のさらに別の態様は、組織因子蛋白の不活性化によ
り、アテローム性動脈硬化斑の形成時に内因的に放出ま
たは暴露された組織トロンボプラスチンの作用を中和す
る抗アテローム性動脈硬化物質に関する。
第1a−c図(本明細書中第1図と呼称する):正常な
ヒトの伏在静脈における組織因子の局在。組織因子蛋白
を含有する細胞をベクタステイン・アルカリホスファタ
ーゼ法を用いる免疫細胞化学によって検出した(陽性の
細胞は赤く染まる)。中膜に散在する細胞はRD010抗体
によって薄く染まったが、正常な血管を覆っている内皮
細胞は常に陰性であった(パネルA、倍率500倍)。付
着した血管外膜の線維芽細胞には常に強い免疫組織化学
的染色がみられた(パネルB、倍率500倍)。特異的な
35S−標識組織因子mRNAプローブを用いたその場での
(インシートゥ)ハイブリダイゼーションにより、中膜
(パネルC、倍率310倍)および外膜(示されていな
い)に、散在する組織因子産生細胞であることが確認さ
れた。
第2a−c図(本明細書中第2図と呼称する):その場
でのハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学による
ヒトのアテローム性動脈硬化斑における組織因子の局
在。頚動脈の内膜切除標本を35S−標識組織因子mRNAプ
ローブに対してハイブリダイゼーションすると(パネル
A、倍率125倍)、組織因子を産生する多くの細胞がア
テローム性動脈硬化斑内に示された。組織因子の抗体RD
010を用いた免疫組織化学は、特に、完全に細胞と結び
付いてはいないコレステロール裂に隣接する部分におい
て、斑の壊死性コア領域が強く染色されることを示した
(パネルB、倍率125倍)。その場での連続切片のハイ
ブリダイゼーションは、コレステロール裂に隣接して組
織因子mRNAを含む細胞が存在することを示し(パネル
C、倍率310倍)、これは、この領域に検出された組織
因子蛋白が局所で合成されていることを示唆した。
第3a−b図(本明細書中第3図と呼称):免疫組織化
学によるアテローム性動脈硬化斑のマクロファージ泡沫
細胞領域における組織因子蛋白の局在(パネルA、倍率
125倍;パネルB、倍率500倍)。
第4図:因子XII欠損血漿における改良1段階プロト
ロンビン時間検定を用いた頚動脈の内膜切除標本の凝固
促進活性。この組織の凝固促進活性は、中和ポリクロー
ナル抗体RD010とのプレインキュベーションにより有意
に低下した。
本明細書中使用される語「組織因子蛋白拮抗物質」
は、組織因子の凝固促進活性を阻害または中和する物質
を意味する。かかる拮抗物質は様々な方法でこの作用を
遂行する。第一に、ある種類の組織因子蛋白拮抗物質
は、十分な親和性および特異性をもって組織因子蛋白と
結合して組織因子蛋白を中和し、その結果これは因子VI
IまたはVIIaと結合できず、また因子VIIまたはVIIaとの
複合体である場合には因子IXまたはXの蛋白加水分解を
起こすこともできない。この群に含まれる分子には抗体
および抗体フラグメント[例えばF(ab)またはF(a
b′)2分子]がある。別の種類の組織因子拮抗物質は、
分子の複合体をつくることによって組織因子の活性を中
和する。例えば、リポ蛋白と結合した凝固阻害物質から
なる天然に存在する組織因子阻害物質「LACI」は組織因
子、因子VII、因子Xおよびリン脂質の不活性複合体を
形成する[ブローズ・G・J等、PNAS第84巻1886−1890
(1987年)]。さらに別の種類の組織因子蛋白拮抗物質
は、組織因子蛋白の断片、因子VIIの断片または小さい
有機分子、即ちペプチド様物質であって、これらは組織
因子と結合し、それにより組織因子−因子VII複合体の
形成を阻害するか、または組織因子による因子IXおよび
Xの活性化を阻害する。さらに別の種類の組織因子蛋白
拮抗物質は、組織因子蛋白または組織因子/因子VIIa
合体を開裂によって不活性化するものであって、例えば
特異的プロテアーゼがある。第5の種類の組織因子蛋白
拮抗物質は、組織因子蛋白の因子VIIへの結合を遮断す
るものであって、例えば組織因子による因子VIIの活性
化に関与している因子VIIのドメインに指向性である因
子VIIの抗体である。
組織因子蛋白拮抗物質は、再閉塞を防止するための心
筋梗塞の処置、または上に記載した種々の凝固障害の治
療、例えば重篤な感染症および敗血症、種々の悪性腫瘍
(例えば肺小細胞癌)、子癇、深部静脈血栓症におい
て、外科手術または外傷の後に起こるDICにおいて、ヘ
パリンのような他の抗凝固物質の代替としてまたはこれ
と組み合わせた治療に有用である。
組織因子蛋白を中和する拮抗物質の一例は組織因子蛋
白に対する抗体である。組織因子蛋白中和抗体は、フロ
インド・アジュバント中の組織因子蛋白による免疫、必
要ならそれに続くブースター処理によって、兎またはマ
ウスのような動物中で容易に生成される。免疫したマウ
スは特にハイブリドーマの製造用のB細胞の供給源を提
供するのに有用であり、次いでこのハイブリドーマを培
養して大量の安価な抗組織因子蛋白モノクローナル抗体
を生成させる。このような組織因子蛋白モノクローナル
抗体はカーソン・S・D等[ブラッド第66巻(1)、15
2−156頁(1985年)]により製造されている。
本明細書中使用する「組織因子蛋白」とは、種々の出
血疾患、特に凝固因子の欠如に関係した疾患を正常にす
ることのできる蛋白を意味する。組織因子蛋白は、その
分子中に天然に存在する脂質部分を欠くという点で組織
因子または組織トロンボプラスチンと識別される。さら
に組織因子蛋白には、脂質が組織トロンボプラスチンに
結合した天然に存在する脂質とは異なり、脂質と結合し
た蛋白に観察される付随毒性無しに凝固誘発能を示す、
リン脂質と結合した組織因子蛋白が含まれる。
組織因子は細胞の損傷によって放出または暴露され、
因子VIIまたはVIIaおよびカルシウムの存在下で因子IX
およびXを活性化する。凝固の外因性経路による因子X
の活性化は組織因子にとって絶対的必要性がある[シル
バーバーグ・S・A等、ジャーナル・オブ・バイオロジ
カル・ケミストリー第252巻8481−8488頁(1977
年)]。本発明にかかる発見がなされるまで、組織因子
が単離された組織内での組織因子蛋白産生細胞の細胞分
布は知られていなかった。また、組織因子蛋白が正常組
織に存在するよりも多量にアテローム性動脈硬化斑に存
在することも知られてはいなかった。また、アテローム
性動脈硬化斑の破壊が組織因子の暴露による凝塊形成を
促進し得ることも知られていなかった。
「血栓溶解物質」なる語は、フィブリン−血小板凝塊
を溶解させるか、またはかかる凝塊の形成を阻害するこ
とのできる任意の物質を意味する。血栓溶解物質の例に
はストレプトキナーゼ、プルロキナーゼ、ウロキナー
ゼ、および組織型プラスミノーゲン活性化因子(t−P
A)が含まれる。天然のt−PA[コレン等、欧州特許出
願公開第041766号(出願日:81年10月6日)]も使用で
きるが、組換えt−PA[ゲデル等、欧州特許出願第0936
19号(出願日:83年4月5日)]の使用が好ましい。さ
らに本発明は、上記血栓溶解物質のハイブリッド、生理
学的に活性なフラグメントまたは変異型を使用すること
ができる。本明細書において使用する語「組織型プラス
ミノーゲン活性化因子」は、このようなハイブリッド、
フラグメントおよび変異体、ならびに天然のおよび組換
え技術により誘導された組織型プラスミノーゲン活性化
因子を包含するものとする。
「抗凝固物質」という語は、プロトロンビンおよび部
分的トロンボプラスチン時間試験を延長し、プロトロン
ビンおよび因子VII、IXおよびXのレベルを低下させる
ことのできる任意の物質を指すものとする。抗凝固物質
には、通常コーマリン(cormarin)誘導体およびヘパリ
ンならびにアスピリンが含まれ、これらは抗血小板物質
と呼ばれることもある。
本発明の組織因子蛋白拮抗物質によりフィブリン−血
小板凝塊の潜在的再形成を防止するという目的が達成さ
れる。かかるフィブリン−血小板凝塊は血栓溶解物質に
よる処置を停止した結果として形成され得る。進行した
ヒトのアテローム性動脈硬化症は、アテローム性動脈硬
化斑内にマクロファージおよびT細胞を含む炎症細胞お
よび脂肪の蓄積を伴う動脈内膜平滑筋細胞の増殖によっ
て特徴付けられる[ロス・R、ニュー・イングランド・
ジャーナル・オブ・メディスン第314巻、488−500頁(1
986年);ガウン等、アメリカン・ジャーナル・オブ・
パソロジー第125巻191−207頁(1986年);ジョナスン
等、アーテリオスクレローシス第6巻131−138頁(1986
年)]。血栓症は通常、無症候性のアテローム性動脈硬
化斑を症候性に変える危険な現象である[フォーク・
E、ブリティッシュ・ハート・ジャーナル第50巻127−1
34頁(1983年);ジャーマン等、ニュー・イングランド
・ジャーナル・オブ・メディスン第315巻913−919頁(1
986年);インペサト・A・M等、Ann.Surg.第197巻195
−203頁(1983年)]が、非罹患動脈は滅多に血栓を形
成しない。斑の破壊が凝塊形成を促進させる必須の現象
であることが示唆されている[フォレスター等、サーキ
ュレーション第75巻505−513頁(1987年)]。閉鎖性の
壁在性血栓が急性心筋梗塞のほとんどの場合に付随して
起こる[バジャ・L・M等、アメリカン・ジャーナル・
オブ・カーディオロジー第47巻343−356頁(1981年);
ホリエ・T等、ブリティッシュ・ハート・ジャーナル第
40巻153−161頁(1978年)]。斑の破壊または亀裂が通
常はこのような血栓の根底にあることが見いだされ、多
くの場合血栓は、かかる亀裂を通って押し出され斑の壊
死性コアの領域内に伸長するのが観察される。このこと
は、冠動脈[フォーク、ブリティッシュ・ハート・ジャ
ーナル第50巻127−134頁(1983年);チャップマン・
I、Arch.Path.第30巻256−261頁(1965年);ドゥルー
リー、J.Path.Bact.第67巻207−215頁(1954年)]およ
び脳動脈[コンスタンティナイズ、J.Arch.Pathol.第83
巻422−428頁(1967年)]の両者に当てはまる。本発明
がなされるまでは斑の血栓生成の原因は確定されておら
ず、血液の構成成分が斑の中で脂肪またはコラーゲンマ
トリックスと接触するときに起こると推定されていた。
最新の研究は、a)アテローム性動脈硬化斑において組
織因子蛋白のかなりの合成が行われており、b)組織因
子蛋白は壊死性コアに蓄積されて斑の泡沫細胞に富む領
域に見いだされ、そしてc)斑にはインビトロ凝固検定
により測定される、組織因子蛋白の抗体によって著しく
低下する組織因子に基づく凝固促進活性が存在する、と
いうことを立証するものである。これらの結果は、アテ
ローム性動脈硬化斑における組織因子蛋白の過生成およ
び/または捕捉が、ヒトのアテローム性動脈硬化血管に
付随する血栓症および心筋梗塞の治療の際の血栓溶解療
法に続く凝塊の再形成において重要な役割を果たしてい
るであろうということを示している。
本発明にかかる組織因子蛋白拮抗物質および血栓溶解
物質は、組み合わせて受容者に提供することが意図され
ている。薬物が患者に同時に供される場合、または各薬
物の投与の間の時間が生物活性の重複を許すような時間
である場合、薬物は互いに「組み合わせて」供されると
解釈する。組織因子蛋白拮抗物質は血栓溶解物質の投与
前に患者に供するのが好ましい。
患者に供された時に凝塊の部分的再形成を防止するこ
とのできる組織因子蛋白拮抗物質の量が「治療的有効」
量である。可能性のある凝塊再形成を防止するために、
組織因子蛋白拮抗物質は通常の技量を有する医師によっ
て決定される患者の体重1kg当りの量を用いて提供され
る。ある態様においてはこの用量を連続静脈注入により
75−180分の間投与できる。組織因子蛋白拮抗物質は心
臓カテーテル法によりまたは静脈内注射用ボーラスとし
て患者の体重1kg当り約0.01−25.0mgの範囲の用量で与
え得る。組織因子蛋白拮抗物質が静脈内注射用ボーラス
として供される場合、1回のボーラスは可能性ある凝塊
の再形成を防止するに足るものであろう。
血栓溶解物質は閉塞している血栓の溶解を起こすため
に供される。このような溶解を起こすことのできる血栓
溶解物質の量が「治療的有効」量である。本発明の血栓
溶解物質は好ましくは患者の体重1kgあたり0.01−2.5mg
の用量で提供される。ある態様においてはこの血栓溶解
物質は長時間にわたって(即ち約60ないし約120分間)
提供される。好ましい態様において、本血栓溶解物質は
0.01−1.0mg/kg、最も好ましくは0.1−1.0mg/kgを含有
する静脈内注射用ボーラスとして提供される。本発明の
血栓溶解物質は、注射用ボーラスを調製するために任意
の生理学的に許容される液体に溶解することができる。
しかしながら血栓溶解物質を適当な緩衝液に溶解するこ
とによりこのようなボーラスを調製するのが好ましい。
故に、好ましい態様にしたがって処置される患者は、
組織因子蛋白拮抗物質の静脈内注射用ボーラスを血栓溶
解物質の静脈内注射用ボーラスと組み合わせて投与され
る。重要なことに、この好ましい処置法の使用の結果、
組織因子蛋白拮抗物質または血栓溶解物質のいずれかを
注入によって提供する場合の血栓溶解速度をはるかに上
回る速度で、閉塞している血栓が溶解する。さらに再閉
塞の危険性が実質的に減少する。この好ましい態様にし
たがって処置される患者は、t−PAの維持注入治療に通
常必要なヘパリンを必要としない。
これらの予想外の発見は、血栓溶解物質のボーラス投
与と組み合わせた組織因子蛋白拮抗物質のボーラス投与
が閉塞している血栓を溶解し、かつ再閉塞の恐れを最少
限にすることのできる処置方法を提供する。
当業者にとって明らかなように、組織因子蛋白拮抗物
質または血栓溶解物質の必要な用量は、患者の病態の重
篤度、ならびに患者の身長、体重、性、年齢、および既
往歴のような判定基準に依存して変わるであろう。
本発明にかかる組織因子蛋白拮抗物質または血栓溶解
物質は、例えば薬学的に許容し得る担持媒体との混合に
より、既知の方法にしたがって調剤し、薬学的に有用な
組成物を調製することができる。適当な媒体およびそれ
らを用いた製剤は、例えばレミントンズ・ファーマシュ
ーティカル・サイエンシズ[第16版、オソール・A編、
マック、イーストン、PA(1980)]に記載されている。
有効な投与に好適な薬学的に許容し得る組成物を作るた
めには、かかる組成物は組織因子蛋白拮抗物質または血
栓溶解物質の有効量を単独で、または適当量の担持媒体
と共に含有する。本発明にかかる組織因子蛋白拮抗物質
は注射用ボーラスを製造するために任意の生理学的に許
容し得る液体に溶解して良いが、この組織因子蛋白拮抗
物質を食塩水に溶解することによりかかるボーラスを製
造するのが好ましい。
作用の持続を制御するために、別の薬学的手法を用い
ることができる。放出制御製剤は、本発明にかかる組織
因子蛋白拮抗物質または血栓溶解物質と複合するか、ま
たはこれを吸着するポリマーの使用によって完成でき
る。制御された放出は適当な高分子(例えばポリエステ
ル類、ポリアミノ酸類、ポリビニルピロリドン、エチレ
ンビニルアセテート、メチルセルロース、カルボキシメ
チルセルロースまたはプロタミンスルフェート)を選択
することにより達成できる。薬物の放出速度もこのよう
な高分子の濃度を変えることにより制御できる。作用の
持続を制御するもう一つの可能な方法は、治療用物質
を、ポリエステル類、ポリアミノ酸類、水性ゲル類、ポ
リ乳酸またはエチレンビニルアセテート共重合体のよう
な重合物質の粒子内に導入することからなる。別法とし
て、例えばコアセルベーション法もしくは界面重合によ
って製造されるマイクロカプセル中に、例えば各々ヒド
ロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセ
ルまたはポリ(メチルメタアクリレート)マイクロカプ
セルの使用によって、または例えばリポソーム、アルブ
ミンミクロスフェア、ミクロエマルジョン、ナノ粒子、
ナノカプセルなどのコロイド薬物放出システム中に、ま
たはマクロエマルジョン中に治療用物質を捕捉させるこ
とが可能である。このような教示はレミントンズ・ファ
ーマシューティカル・サンエンシズ(1980年)に開示さ
れている。
血栓溶解物質または組織因子蛋白拮抗物質は当分野で
の周知の手段により患者に供することができる。かかる
導入手段は、経口法、経鼻法、皮下法、筋肉内法、静脈
内法、カテーテル法を含む動脈内法または非経口法を含
む。心筋梗塞の最も好ましい処置方法においては、特定
の患者の臨床状態を決める種々の基準を考慮に入れて医
師が決定する用量で、その患者にボーラス投与(静脈内
注射)を行う。
組織因子蛋白拮抗物質を検出可能な指示薬で標識して
宿主の血流中に注射し、引続きアテローム性動脈硬化斑
におけるその存在を検定することもできる。組織因子蛋
白拮抗物質は宿主の血流中で検出可能な任意の既知の指
示薬、例えば131I、125I、セレニウム、テクネチウムま
たは二官能性キレートで標識できる。組織因子蛋白拮抗
物質は、例えば核磁気共鳴により、または当分野におけ
る他の手段により検出できる非放射性指示薬で標識する
こともできる。組織因子蛋白拮抗物質の標識は、当業者
に知られる方法、例えば125Iの場合にはラクトペルオキ
シダーゼまたはヨード生成技術を用いて達成できる。
ここに本発明を一般的に記載してきたが、ある種の具
体的な実施例を参照することによって本発明をさらに理
解することができる。これらの実施例は例示の目的のた
めにのみ本明細書中に記載するものであり、特に記すこ
とがなければ本発明を限定するものではない。
実施例1 一般的材料および方法 トリトンX−100はカルビオケム(サン・ディエゴ、C
A)からのものである。調製用および分析用ドデシル硫
酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−P
AGE)のための化学物質および試薬はすべてビオラド・
ラボラトリーズ(リッチモンド、CA)から入手した。因
子IXa/因子X試薬およびS2222/I2581はヘレナ・ラボラ
トリーズ(カビ・コーテスト・キット、ヘレナ・ラボラ
トリーズ、ボーモント、CA、カタログ番号5293)より入
手した。YM10限外濾過メンブランはアミコンからのもの
である。因子VIIはシグマ・ケミカルから購入した。粗
製ホスホチジルコリン(大豆からのレシチン顆粒)はシ
グマ(セント・ルイス、MO)から入手した。他の全ての
化学物質は試薬級またはこれ以上であった。
組織因子蛋白の精製 ヒトの組織因子蛋白に結合するIgGモノクローナル抗
体を使用する免疫アフニティー精製を用いて組織因子蛋
白を精製した。
欧州特許出願第88301190.0号(出願日:88年12月2
日)に記載のようにヒトの組織因子蛋白を組換え体培養
で合成した。以下の免疫原を下記の日程にしたがってBA
LB/cマウス(29.1.B)に注射した:組換えヒト組織因子
蛋白(rTF)(0.72mg/ml;特異活性4687U/mgを有する)
または(.07mg/ml;特異活性17040U/mgを有する);トロ
ンビンにより開裂させてヘルペス−gD配列をアミノ末端
から除去した組織因子−gD融合体から得られた組換え組
織因子蛋白(rTF:gDThr)(4300U/ml)および組換え組
織因子−ヘルペス−gD融合体(rTF−gD)(およそ740U/
ml)。
RIP検定には、PBSAT[0.5%牛血清アルブミン(BSA)
および0.1%トリトンX−100を含有するPBS]0.495mlで
希釈した免疫および非免疫マウスからの血清0.005mlを
使用した。125I−rTF50000cpmを加え、混合物を室温で
2時間インキュベートした。抗体と結合した125I−rTF
をSPAビーズ0.05mlと共に室温で1時間インキュベート
することにより沈澱化した。SPAビーズはセファロースC
L−4Bビーズに結合したブドウ球菌蛋白Aからなり、こ
れは前もって兎抗マウスIgGと共にプレインキュベート
し、PBS、0.1%BSAおよび0.02%NaN3中に保存しておい
た。このビーズをペレット化し、PBSATで3回洗浄し、
ガンマカウターで計数した。
ELISAは、37℃で2時間微量力価検定用ウェルに吸着
させた、炭酸塩緩衝液(pH9.6)中のrTF(0.5μg/ml)
0.1mlからなる。ウェルへのこれ以上の非特異的吸着
は、PBSA(5%BSAを含有するPBS)により37℃で1時間
ブロックした。ウェルをPBST(0.1%トゥイーン20を含
有するPBS)で3回洗浄し、PBSAT中に希釈した血清試料
を加え、22℃で2時間インキュベートした。このウェル
をPBSATで3回洗浄した。セイヨウワサビペルオキシダ
ーゼで標識したヤギ抗マウス免疫グロブリン0.1mlを各
ウェルに加え、室温で1時間イキュベートした。ウェル
を再度洗浄し、基質としてo−フェニレンジアミンジヒ
ドロクロリドを加え、室温で25分間インキュベートし
た。2.5MのH2SO4で反応を停止させ、各ウェルの吸光度
を492nmにおいて読み取った。
89日目にマウス29.1.Bから脾臓を採取し、破壊し、こ
の脾臓細胞を、S・ファザカス・ドゥ・St・グロス等
[ジャーナル・オブ・イミュノロジカル・メソッド第35
巻1−21頁(1980年)]のPEG融合法を用いてX63−Ag8.
653(ATCC CRL 1580)非分泌性マウス骨髄腫細胞と融合
させた。融合した培養を、各々96個の微量力価用ウェル
を有する平板4枚に蒔き、HAT(ヒポキサンチン、アミ
ノプテリンおよびチミジン)培地中で常法[ミシェルお
よびシーギ、セレクティド・メソッズ・イン・セルラー
・イミュノロジー、W・H・フリーマン・アンド・Co、
サン・フランシスコ、357−363頁(1980)]により培養
した。培養上清の抗TF活性をELISAおよびRIAにより測定
した。ELISAまたは下記に記載する抗原捕捉RIAによって
測定されるとおり、12の安定な融合物(ハイブリドー
マ)が抗TFを分泌した。このハイブリドーマを文献に記
載の方法[オイ・V・J・Tおよびヘルツェンベルク・
L・A、セレクティド・メソッド・イン・セルラー・イ
ミュノロジー351−372頁「イミュノグロブリン・プロデ
ューシング・ハイブリッド・セル・ラインズ」、ミシェ
ル・B・Bおよびシーギ・S・M編、W・H・フリーマ
ン・アンド・Co(1980)]を用いて増殖させ、クローニ
ングした。クローンの選択は単一クローンの肉眼観察、
ELISAおよびRIAに基づいた。ザイムド・アイソタイピン
グ・キットを用い、添付の手順にしたがって抗体のアイ
ソタイプを調べ(ザイムド・コーポレーション)。プリ
スタン処理したマウスにクローニングしたハイブリドー
マ細胞を注射して腹水性腫瘍を作ることにより、大量の
特異的モノクローナル抗体を産生させた。次いで腹水を
集め、プロテインAセファロースカラムで精製した。
抗原捕捉RIA法は、ラクトペルオキシダーゼ・エンザ
イモビーズ(BIORAD、リッチモンド、CA)と共に125I標
識組織因子蛋白を使用し、販売元の指示する手順に従っ
た。ポリスチレン「帯状(ストリップ)ウェル」を37℃
で1時間、pH9.6の炭酸塩緩衝液中の5μg/mlのヤギ抗
マウスIgG(HおよびL鎖特異性、ベーリンガー・マン
ハイム)100μl/ウェルで覆った。このストリップをPBS
ATで洗浄し、BPBST100μl中の50000CPM125I−TFと共に
22℃で2時間インキュベートした。ストリップを洗浄
し、個々のウェルを20/20ガンマカウンターで計数し、
結合したインプット数の割合を決定した。
前述の免疫および抗組織因子抗体のスクリーニング方
法は例示である。例えば、免疫はr−組織因子蛋白、gD
−組織因子融合物またはトロンビン開裂gD−組織因子融
合物を用いて実施することもできる。免疫の手順は、投
与経路、インビトロの免疫法、種々の標識もしくはアジ
ュバント技術を変えることにより、または入手可能な様
々な供給源からB細胞の種を選択することにより、改良
できる。抗体は、例えば下記の発色検定を用いて組織因
子の中和活性についてスクリーニングすることができ
る。中和する抗体のスクリーニングは、採取した上清を
ELISAまたはRIAを使用するのではなく発色検定で試験す
ることにより実施できる。
腹水液およそ5mlをソーバル6000で4℃で10分間3000r
pmで遠心した。プリスタンの透明な層および脂質の層を
パスツールピペットで除去した。この腹水液を50mlの遠
心管に移した。腹水液を0.45μフィルターで滅菌濾過し
た。KCl 1.11gを腹水に加え最後のKC1濃度を3Mとした。
腹水をSPAセファロース(ファーメンテク)を詰めた1
0mlカラムに付した。このカラムを3M KC1で洗浄した。
マウスIgGは0.15M NaCl中の0.1M酢酸(pH2.8)の3ない
し4カラム用量と共に溶出した。
製造者の指示にしたがって抗体D3をセファロース1ml
当り3mgIgGでCNBrセファロースと結合させた(ファーマ
シア社の指示書を参照)。トランスフェクトされた293S
細胞をハムのF−12(w/oグリシン、ヒポキサンチンお
よびチミジン)およびDMEM(w/oグリシン)の1:1混合物
中で増殖させた。基礎培地への追加は以下のものを含
む:10%の透析または透析濾過(diafilter)した牛胎児
血清、50nMメトトレキセート、2.0mMのL−グルタミン
および10mMのHEPES緩衝液。
293S(63/2S CISTF)の凍結バイアルを、記載した培
地を入れた組織培養フラスコ中に融解する。培養物が全
面成長に到達したらこれをトリプシン−EDTA混合物でト
リプシン処理し、細胞集団の少量を、より大きなフラス
コへの接種に使用した。培養物は位相顕微鏡により毎日
監視して成長(成長割合)、形態および全般的な状態を
調べた。ローラー瓶の培養物が全面成長となったとき
(通常5−7日以内)細胞をトリプシン処理し、計数し
た。細胞を数え、その生存をトリパンブルー排除法によ
り調べた。全面成長の850cm2ローラー瓶から得られる典
型的な細胞数は1-4x108の細胞であった。細胞を0.01Mリ
ン酸ナトリウム、0.15M NaClに懸濁した。5000rpmの遠
心により細胞を集めた。細胞を、フラスコ当り1%トリ
トンXを含有するTBS50mlに再懸濁した。培養物を室温
で1時間インキュベートし、次いで8000xgで20分間遠心
した。上清を上記のD3−セファロースカラムに付した。
このカラムを.1M酢酸、150mM NaClおよび.05%トゥイー
ン80で洗浄し、溶離した。
組織因子蛋白の検定 1.色素による組織因子検定 全ての組織因子蛋白試料は検定前に再度脂質化した。
上に論じたように組織因子がインビトロの検定系におい
て活性を示すためにはリン脂質が絶対必要である[ピト
リックおよびネマーソン、上記]。0.25%デオキシコー
ル酸ナトリウムを含有する0.05Mトリス、0.1M NaCl(pH
7.4)(TBS)中にレシチン顆粒を1mg/mlの濃度でホモジ
ナイズした。この溶液(PC/DOC)を用いて以下のように
組織因子を再脂質化した。組織因子蛋白を0.1%牛血清
アルブミンを含有するTBS(TBSA)中に希釈した。50μ
lを12x75mmのポリスチレン試験管に入れ、PC/DOC溶液5
0μlを加えた。次にTBSA350μlを100mM CdCl225μl
と共に加えた。この再脂質化混合物を37℃で30分間イン
キュベートした。
色素検定のために、再脂質化した組織因子蛋白試料を
TBSA中に希釈した。10μlを、因子IXa/因子X試薬50
μlおよび30単位/mlの精製した因子VIIの溶液2μlと
共に試験管に入れた。試験管を37℃に温め、25mM CaCl2
100μlを加えた。合成トロンビン阻害物質I2581を含む
色素基質S2222を50μl添加する前に試料を37℃で5分
間インキュベートした。反応を10分間進行させ、50%氷
酢酸溶液100μlの添加により反応を停止させた。405nm
の吸光度を測定した。兎の脳のトロンボプラスチン(シ
グマ・セント・ルイス、MOよりカタログ番号T0263で市
販品を入手)を使用し、この試薬を人為的に100組織因
子単位/mlを有するものと定め、標準曲線を作成した。
希釈は1:10から1:1000まで行った。吸光度を片対数グラ
フ用紙の横軸に、標準希釈を縦軸にプロットした。
2.組織因子活性の一段階検定 血友病血漿100μlを、凝固の接触相による非特異的
活性化を防ぐためシリコン処理したガラス管中の、再脂
質化もしくは脂質不含の組織因子または対照としてのTB
SA10μlに加えた。反応物を37℃に温め、25mMのCaCl21
00μlを加え、凝塊の形成時間を記録した[フバツム・
Yおよびプリッズ・H、Thromb.Diath.Haemrrh.第21巻2
17−222頁(1969年)]。
組織の調製 正常なヒトの伏在静脈および内部***動脈を冠動脈バ
イパス手術中に取得した。ヒトのアテローム性動脈硬化
斑は頚動脈の血管内膜切除術を受ける患者から取得し
た。血管内膜切除術はアテローム性動脈硬化斑およびそ
の下にある平滑筋の一部を除去することからなる。さら
に、屠殺したアカゲザルから得られる、正常な器官およ
び血管の試料を含む正常組織を、組織因子発現のスクリ
ーニングのために記載のごとく調製した。
組織試料を手術時に摘出し、新しく作製した0.1Mリン
酸ナトリウム中の4%パラホルムアルデヒド(pH7.4)
に浸漬した。この組織を4℃で3時間ないし一夜固定
し、次に、凍結防止剤として作用する15%シュクロース
リン酸緩衝化食塩水(PBS)中に4℃で2ないし4時間
浸漬した。次いでこの組織を凍結組織標本用の包埋媒体
(「OCT」、マイルス・ラボラトリーズ)に包埋し、−7
0℃で保存した。この間、ハイブリダイゼーションに利
用される免疫活性およびmRNAの損失はなかった。組織を
低温保持装置を用いて厚さ10mmに切り、ポリーリジン被
覆顕微鏡スライド上に融解固定し、直ちに再凍結し、乾
燥剤と共に−70℃で保存した。組織因子活性を評価する
ための凝固検定に使用するため、別のアテローム性動脈
硬化斑組織を手術時に即時凍結した。
その場でのハイブリダイゼーション その場でのハイブリダイゼーションを前述のように実
施した[ローゼンタール等、EMBO J.第6巻3641−3646
頁(1987年);ウィルコクス等、メソッズ・イン・エン
ザイモロジー第124巻510−533頁(1986年)]。ハイブ
リダイゼーションの前に、切片をパラホルムアルデヒド
(10分間)、プロテイナーゼK(1μl/ml)(10分間)
で前処理し、プレハイブリダイゼーション緩衝液(0.3M
NaCl、20mMトリスpH8.0、5mMEDTA、1xデンハート溶
液、10%硫酸デキストランおよび10mMジチオトレイトー
ル)50μl中で1ないし2時間プレハイブリダイゼーシ
ョンした。ハイブリダイゼーションは、少量のプレハイ
ブリダイゼーション緩衝液中の組織因子35Sリボプロー
ブ600000CPMを添加することにより開始した。ハイブリ
ダイゼーション後、切片を2xSSCで洗浄(2x10分間)(1
xSSC=150mMNaCl、15mMクエン酸ナトリウム、pH7.0)
し、RNアーゼで処理(20μg/ml、30分間、室温)し、2x
SSC中で洗浄(2x10分間)し、次いで0.1xSSC中52℃で2
時間の極めて厳格な洗浄を行なった。操作のこの時点ま
でのSSC溶液はすべてプローブの非特異的結合の防止を
助けるために10mMのβ−メルカプトエタノールおよび1m
M EDTAを含有させた。次いでこの組織をβ−メルカプト
エタノールを含まない0.5xSSC中で洗浄(2x10分間)
し、0.3M酢酸アンモニウムを含有する段階アルコール中
に浸漬することにより脱水した。切片を乾燥し、NTB2原
子核乳剤(コダック、ロチェスタ、N.Y.)で覆い、4℃
で4ないし8週間暗所で感光した。現像後、切片をヘマ
トキシリンおよびエオシンで対比染色した。スライドを
水で1:1に希釈したD19現像液(コダック)中で3分間、
水中で20秒間、そして固定液中で3分間処理することに
より、切片を15℃で現像した。スライズをすすぎ、対比
染色した。
ヒトの組織因子に特異的なプローブ[フィッシャー
等、トロンボシス・リサーチ第48巻89−99頁(1987
年)]を35S標識UTP(特異活性1200Ci/mmol、アマーシ
ャム)を用いた転写によって標識した[メルトン等、ヌ
クレイック・アシズ・リサーチ第12巻7035−7056頁(19
84年)]。これは1.2Kbのプローブであって、5′境界
領域のヌクレオチド1から3′非翻訳領域のヌクレオチ
ド1224のNcoI部位まで伸長しているヒト組織因子の全暗
号配列を含んでいた(フィッシャー等、上記)。このプ
ローブの最終的特異活性は300Ci/mモルであった。
免疫細胞化学 ベクタステインABCアルカリフォスファターゼ系(ベ
クター・Inc.、バーリンガム、CA.)を使用して製造者
の指示に従い免疫細胞化学を実施した。最終反応生成物
をアルカリファスファターゼ基質キットIで染色したと
ころ、赤色を示す最終的染色を得た。使用した抗組織因
子蛋白抗体は下記実施例2に記載した抗体RD010であっ
た。
前免疫血清のIgG分画をRD010と同じIgG濃度で組織因
子蛋白の免疫組織化学の対照として使用した。これは前
免疫血清をプロテインA−セファロースカラムに通すこ
とにより調製した。全ての抗体調製物の凍結等分試料は
使用時まで−20℃で保存した。
ヒトのマクロファージ[HAM56、ガウン・A・M等、
アメリカン・ジャーナル・オブ・パソロジー第125巻191
−207頁(1986年)]またはヒトの内皮細胞(抗ウレッ
クス・レクチン、ベクターInc.より市販品を入手可能)
に特異的な抗体も細胞の同定を助けるために使用した。
凝固検定 頚動脈の内膜切除術で得られたヒトの斑組織の凝固促
進活性を二段階凝塊形成検定を用いて測定した[ピトリ
ック・F・Aおよびネマーソン・Y、メソッズ・イン・
エンザイモロジー第45巻37−48頁(1976年)]。即時凍
結した未固定の斑の小片を融解し、因子VII20ul(シグ
マ、最低活性10Uml-1)、因子X3ul(シグマ、最低活性1
0Uml-1)および50mM塩化カルシウム25ulと共に37℃で60
秒間インキュベートした。次いで20ulの等分試料を取
り、25mM CaCl280ulと同時に、因子XII欠損血漿100ulお
よび兎のセファリン100ulに37℃で添加した。フィブリ
ン形成の時間を目視により記録した。再使用の際は、ト
リス緩衝液(50mM、pH7.5)ですすいだインキュベーシ
ョン混合物から斑を取り、インキュベーションを反復し
た。斑の一部を抗体含有のトリス緩衝液(50mM、pH7.
5)中37℃で10分間プレインキュベーションし、次いで
因子VII、Xおよび塩化カルシウムを加えることによ
り、アフィニティー精製ポリクローナル抗体RD010の中
和効果を測定した。全ての値は平均値±S.E.M.として表
した。
実施例2 組織因子蛋白拮抗物質の製造 組織因子蛋白拮抗物質である抗体RD010は、兎におい
て生成させたアフィニティー精製ポリクローナル抗体で
あった。兎をフロインドアジュバント中の組織因子蛋白
で免疫し、次いで必要ならば追加免疫することによりRD
010を調製した。兎は293S細胞において融合蛋白として
生産された組換えヒト組織因子蛋白で免疫した(1988年
2月12日出願の欧州特許出願第88301190.0号を参照)。
この免疫血清を組換えヒト組織因子−セファロースカラ
ムのアフィニティークロマトグラフィーにより精製し
た。この抗体は、ウェスタン・ブロット上で単一特異性
であり、組織因子の活性を中和し、そして組織因子蛋白
を免疫沈降させるということが示された。この抗体を免
疫細胞化学用に4.4μg/mlの希釈で使用し、一方インビ
トロの組織因子阻害の試験のためには1.0−100μg/mlで
使用した。
組織因子蛋白に特異的なヒトのモノクローナル抗体
を、組織因子蛋白に特異的な抗体を分泌するヒトBリン
パ球を用いて生成させた[ヒューマン・ハイブリドーマ
ズ・アンド・モノクローナル・アンティボディーズ(エ
ンジェルマン・E・G編、プレナム・プレス、1985)を
参照]。このBリンパ球はインビトロ免疫によって得る
ことができる。組織因子特異性リンパ球をエプスタイン
−バーウイルスにより形質転換するか、または永久ヒト
リンパ芽球様、ヒト骨髄腫、ヒト血漿細胞腫またはその
他の永久セルラインに融合させる。この永久セルライン
はヒトIgGに特異的な組織因子を分泌する。ヒトの組換
え分子調製物はEP公開第0125023号(1984年11月14日公
開)に特許請求されている方法によっても得ることがで
き、これには、モノクローナル抗体の可変領域をヒトの
抗体の重鎖または軽鎖の不変領域に結合させることが記
載されている。
実施例3 組織因子生合成の局在 正常血管 正常なヒトの伏在静脈および内部***動脈試料につい
て組織因子生合成を調べた。内皮細胞は組織因子mRNAお
よび蛋白について陰性であった(第1a図)。組織因子陽
性細胞は、血管に隣接する外膜および中膜に分散して見
いだされた。最も強い標識は外膜上に見られ、ここでは
外膜の線維芽細胞が強度の組織因子染色(第1b図)およ
びmRNAハイブリダイゼーションを示した。中膜に散在す
る細胞は、その場での分析によって証明されるように組
織因子mRNAを含んでいた(第1c図)。しかしながらこの
中膜の免疫化学的染色は強いものではなくかなり微弱で
あったものの、その場での結果と良く相関する細胞のよ
うであった(第1a図)。一般に、免疫化学的染色によっ
て検出されるよりも多くの細胞が、その場でのハイブリ
ダイゼーションによって中膜で陽性であることが見いだ
された。この事は、これらの細胞による組織因子の翻訳
または組織因子の分泌の減少を示唆し得る。中膜中の組
織因子陽性細胞は典型的な平滑筋細胞の形態を示さなか
った。これらの細胞の細胞質はエオシンで完全に染まら
ず、典型的なパンケーキ型の細胞質でなくむしろより立
方体様の形に見え、小さい稠密な核を有していた。この
形態を有する細胞は典型的にはアルファ平滑筋アクチン
抗体(HHF35)で染色されず、不確定であると考えねば
ならない。
免疫細胞化学およびその場でのハイブリダイゼーショ
ンは、組織因子が中膜の平滑筋細胞および正常血管をと
りまく付着性外膜の線維芽細胞によって合成されること
を示す。組織因子mRNAまたは蛋白が、調べた血管のいず
れかの内皮細胞に局在するという証拠はなかった。先の
細胞培養研究は、内皮細胞による組織因子合成の誘導
は、内皮細胞がホメオスタシスに関与する主たる凝固促
進機序を表わすということを示唆し[ベビラクア、アメ
リカン・ジャーナル・オブ・パソロジー第121巻393−40
3頁(1985年)]、また血管平滑筋細胞がはるかに高い
レベルで組織因子を産生することを示した[メイナー
ド、ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲー
ション第55巻814−824頁(1975年)]。内皮の組織因子
生合成の誘導は、内皮がホメオスタシスを修飾する正常
な機序であるか、または感染およびエンドトキシンの刺
激に対する内皮の反応であるのかもしれない。
アテローム性動脈硬化斑 頚動脈の内膜切除術で得られたヒトのアテローム性動
脈硬化斑を上記方法を用いて組織因子mRNAおよび蛋白に
ついて調べた。アテローム性動脈硬化斑のいくつかの領
域で大量のRNAハイブリダイゼーションが見られた(第2
a図)。陽性の細胞が斑の線維性冠、基底および肩領域
全般およびコレステロール裂に隣接する壊死性コアに散
在するのが見いだされた(第2c図)。血管内膜切除標本
の下部にある正常な中膜は組織因子またはmRNA陽性細胞
を含んでいなかった。6個の斑をスクリーニングしたと
ころそれらの全てに陽性ハイブリダイゼーションを示す
細胞がみられた。斑の壊死性コアは細胞外マトリック
ス、特にコレステロール裂周囲における大量の組織因子
蛋白の局在によって特徴づけられた(第2b図)。さら
に、アテローム性動脈硬化斑のマクロファージに富む泡
沫細胞領域にも蛋白の染色がみられた(第3図)。かか
る泡沫細胞に富む領域は、しばしば線維性冠の下部およ
び壊死性コアに隣接して存在した。最後に、正常血管と
同様、組織因子mRNAまたは蛋白は表面または毛細管内皮
には検出されなかった。スクリーニングされた18の血管
内膜切除標本のうち、ただ1個の試料のみがTF免疫染色
に対し陰性であり、10個は泡沫細胞、6個は壊死性コ
ア、そして8個は間葉織らしき細胞への局在を示した。
蛋白染色およびその場でのハイブリダイゼーションが連
続切片の同一の細胞を標識するということが確認でき
た。この観察は免疫組織化学およびハイブリダイゼーシ
ョン分析の両者に対する対照として役立った。別の対照
を各実験の連続切片について実施した。その場でのハイ
ブリダイゼーションは、PDGF−A鎖またはPDGFレセプタ
ー特異性cRNAプローブを用いる連続切片のハイブリダイ
ゼーションによってコントロールをとった(ウィルコク
ス等、J.Clin.Res.第82巻、1988)。組織因子に比較す
ると、異なったハイブリダイゼーション様式がこれらの
プローブにみられた。組織因子の免疫組織化学は常に、
いかなる細胞をも全く標識しない前免疫血清と共に連続
切片をインキュベーションすることによって対照をとっ
た。
アテローム性動脈硬化斑は正常な伏在静脈、内部***
動脈、または斑の下部にある正常な中膜の領域に比べか
なり多くの組織因子蛋白を有することがわかった。組織
因子蛋白mRNAはアテローム性動脈硬化内膜およびマクロ
ファージの間葉織様内膜細胞並びにやはりマクロファー
ジであると思われるコレステロール裂に隣接する細胞の
両者に見いだされた。免疫組織化学は、アテローム性動
脈硬化斑の壊死性コアの細胞外基質にかなりの量の組織
因子蛋白が捕捉されていることを示した。これらの領域
に隣接する細胞が組織因子mRNAを含んでいることから、
これは細胞に結合しているのではなく局所で合成されて
いるのである。壊死性コアに見いだされる組織因子蛋白
はこれを合成する細胞表面から離れ[ボーナ・R等、ト
ロンボシス・リサーチ第48巻487−500頁(1987年)]、
続いて回りの脂質マトリックスに捕捉されるのであろ
う。あるいはこの領域の組織因子蛋白は、死んで組織因
子に富む膜を後に残した細胞に由来するのかも知れな
い。
マクロファージ泡沫細胞の免疫染色は、これらの細胞
において組織因子が細胞内および細胞表面に結合してい
る可能性もあることを示唆している。このような組織因
子の保存がどの程度までマクロファージ由来であるの
か、そしてこの蛋白が回りの壊死性コアの破片の食作用
から生じているのかどうかは明らかでない。レビー、ジ
ャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション
第67巻1614−1622頁(1981年)は、あるリポ蛋白分画が
単球/マクロファージに由来する凝固促進活性を誘導し
得ることを示している。マクロファージによる組織因子
の産生は他の研究によって証明されている[ティピン
グ、アメリカン・ジャーナル・オブ・パソロジー第131
巻206−212頁(1988年);レビー、上記]。さらに本発
明者等は組織因子mRNAを伴うマクロファージを示した。
組織因子は凝固の内因性および外因性経路の両者のため
の最後の共通の経路を提供する[ネマーソン・Y、ブラ
ッド第71巻1−8頁(1988年)]。これは血栓形成性の
高いペプチドであって、因子Xを直接的におよび因子IX
の活性化を介して間接的に活性化してトロンビンの生成
を導くために、リン脂質および因子VII/VIIaのみを必要
とする。因子VIIは通常血中に存在するが、因子Xの活
性化のためには組織因子に結合する必要がある(ネマー
ソン・Y、上記)。血管の損傷なくしてはインビボの凝
固は起こらないのであるから、組織因子は通常血液に暴
露していないと考えるのが妥当である[ネマーソン、上
記;スパイサー、PNAS(USA)第84巻5148−5152頁(198
7年)]。この事は、血液と直接接触している正常血管
の内皮細胞は組織因子を合成または蓄積しないというこ
とから、本発明者等の発見に合致する。組織因子は中膜
に散在する平滑筋細胞および血管に付着する外膜細胞に
見いだされるのであるから、血液をかなりの量の凝固促
進組織因子活性に暴露させるためにはこれらの領域への
血管壁の破壊が必要であろう。ツォーグ等、ジャーナル
・オブ・クリニカル・ケミストリー・アンド・クリニカ
ル・バイオケミストリー第18巻545頁(1980年)は、こ
の仮説を支持して、損傷したヒトの大動脈が因子VII依
存凝固促進活性を暴露させることを示している。
実施例4 組織因子凝固検定 斑のフラグメントをカルシウムの存在下で因子Xおよ
びVIIとインキュベーションすることにより、機能的な
組織因子活性を人のアテローム性動脈硬化斑において立
証した。この系におけるXaの生成をヒトの因子XII欠損
血漿における凝塊形成誘発能によって測定した。斑がな
い場合、測定し得るXa活性は生成しなかった(第4図、
対照)。斑の量を増加して添加するとこれに比例して凝
塊形成時間が減少した:40.3±3.8mg(n=3の斑)の時
には凝塊形成時間は112±17.2秒であり、一方81.1mg±1
2.3mg(n=3の斑)の斑の時には凝塊形成時間は73±1
9秒であった。斑は緩衝液中ですすぎ、組織因子活性を
損失することなく少なくとも4回再使用できた。この凝
固促進活性は、上記のアフィニティー精製した組織因子
中和抗体RD010と共に組織をプレインキュベーションす
ることにより阻害する事ができた(インキュベーション
容量75μg中4.9μgは斑組織40±3.8mgの凝塊形成時間
を431±9.1秒に延長した)(第4図参照)。抗体の濃度
増加に伴う完全な凝固促進活性の逆転は達成されなかっ
た。これらの結果は、斑において免疫組織化学により検
出された組織因子蛋白は活性であり、インビボで放出ま
たは暴露された場合に凝固の開始に関与し得るというこ
とを示している。
進行したヒトのアテローム性動脈硬化は、アテローム
性動脈硬化斑内におけるマクロファージおよびT細胞を
含む炎症性細胞および脂肪の蓄積を伴う動脈内膜平滑筋
細胞の増殖によって特徴付けられる[ロス、ニュー・イ
ングランド・ジャーナル・オブ・メディスン第314巻488
−500頁(1986年);ガウン等、アメリカン・ジャーナ
ル・オブ・パソロジー第125巻191−207頁(1986年);
ジョナソン・L、アーテリオスクレローシス第6巻131
−138頁(1986年)]。一般に血栓症は無症候性アテロ
ーム性動脈硬化斑を症候性に変える危険な現象であるが
[フォーク、ブリティッシュ・ハート・ジャーナル第50
巻127−134頁(1983年);シャーマン、ニュー・イング
ランド・ジャーナル・オブ・メディスン第315巻913−91
9頁(1986年)]、一方非罹患動脈は滅多に血栓を形成
しない。斑の破壊は凝塊形成を促進する重要な現象であ
るらしい[フォレスター、サーキュレーション第75巻50
5−513頁(1987年)。閉塞性壁在性血栓はほとんどの場
合急性心筋梗塞を併発する[バジャ・L・M、アメリカ
ン・ジャーナル・オブ・カーディオロジー第47巻343−3
56頁(1981年)]。斑の破壊または亀裂が通常このよう
な血栓の根底にあることが見いだされ、多くの場合血栓
はかかる亀裂を通って押し出され斑の壊死性コアの領域
中に伸長しているのが観察される。この事は冠動脈[フ
ォーク、ブリティッシュ・ハート・ジャーナル第50巻12
7−134頁(1983年);チャップマン・I、Arch.Pathol.
第80巻256−261頁(1965年);ドゥルーリー、J.Path.B
act.第67巻207−215頁(1954年)]および脳動脈[コン
スタンティナイズ、Arch.Pathol.第83巻422−428頁(19
67年)]の両者について当てはまる。斑の血栓形成の起
源はこれまで確定されていなかったが、これらの結果
は、血液の構成成分が斑の中に存在する組織因子蛋白と
の接触に至ったときに血栓が生成することを示してい
る。この結果は、a)アテローム性動脈硬化斑において
かなりの組織因子蛋白の合成が行われており、b)組織
因子蛋白は壊死性コアに蓄積し、斑の泡沫細胞に富む領
域に見いだされ、そしてc)斑にはインビトロ凝固検定
により同定される組織因子蛋白に基づく凝固促進活性が
存在し、この活性は組織因子蛋白拮抗物質により有意に
低下する、ということを示す。アテローム性動脈硬化斑
における組織因子蛋白の過生成および捕捉は、血栓溶解
療法に続くアテローム性動脈硬化血管の血栓形成および
再閉塞において役割を果たしているかも知れない。
実施例5 冠動脈血栓症に対する試験 各々およそ20−25kgまたは2−4kgの体重の雑種犬ま
たは兎をペントバルビタールナトリウムのゆっくりした
静脈内注射で麻酔し、恒温室に入れ、人工的換気装置上
に置く。第5−第6助間において左側開胸術を行い、動
脈カテーテルを血圧監視のために内側***動脈に挿入す
る。次いでプロカインアミド(1.5gを2−3カ所に筋肉
内注射)を投与し、心膜を開き心膜揺籃を調製する。左
前下行冠動脈を心外膜から取り出し、側枝を結紮し、2.
5cmのセグメントを隔離する。電磁流量ゾンデ(カロリ
ナ・メディカル・エレクトロニクス FM501、キング、N
C)をこのセグメントの最も近位の部位に取り付け、リ
ドカインを静脈内注入する(15mgの瞬時投与、引続き1m
g/分の定速注入)。頚動脈から挿入した改良ジャドキン
ズ7フレンチカテーテルを通してレノグラフィン76およ
そ2mlを手で注射することにより、対照としての左冠動
脈の血管撮影を行う。次いで血液1mlを取り出し、後の
血栓形成の際の使用のために注射器内に保存し、ヘパリ
ン(5000U静脈内瞬時投与)を投与する。追加の1000Uボ
ーラスのヘパリンを1時間間隔で行う。2mm幅の永久緊
縮器をセグメント部分の遠位末端付近に取り付け、冠動
脈の血流を対照のおよそ40±10%に減少させるよう調整
する。
選択された動物における死後の高解像度血管撮影によ
り、設定された緊縮が口径を90%以上減少させることが
示される。次いで緊縮のごく近位の冠動脈1cmの血液を
抜き、一時的な絹製係蹄の間に隔離する。このセグメン
トをピンセットでつまむことにより動脈内膜の損傷を誘
発し、次いで近位の係蹄を解放し、カニューレを挿入し
た側枝から食塩水を逆行して注射することによってこの
セグメントを潅流する。次にこのセグメントを再隔離
し、トロンビン0.2ml(パーク・デイビス局所トロンビ
ン、1000U/ml、モリス・プレインズ、NJ)を導入する。
保存してあった0.1mlの血液をこの隔離セグメントに注
射する。およそ5分後にまず近位、続いて遠位の結び目
を解放し、側枝のカテーテルを除去する。この操作の
間、永久緊縮器は取り付けたままであった。
トロンビンおよび血液の注入のおよそ30分後、そして
何回かの血管撮影により完全な冠動脈閉塞の存在が確認
された後、組織因子蛋白拮抗物質であるアセチルサリチ
ル酸(35mg/kg)またはジピリダモール(0.6mg/kg)を
静脈内注射により徐々に投与する。およそ10分後にrt−
PAの30分間の注入(2本鎖型ならば15μg/kg/分、1本
鎖型ならば30μg/kg/分)を開始する。
もし30分間の注入時間の間に部分的冠動脈再潅流が起
こらない場合は、rt−PAの注入をもう30分間持続する。
冒された血管の血流は連続的に監視する。血流の回復
後、ただちに血管撮影を行う。rt−PA注入の開始から流
量計によって再潅流が記録されるまでの分数を再潅流時
間とみなし、これを、迅速な色素のクリアランス(4心
臓周期以下)を伴う動脈の完全な順行性充満を示す何回
かの血管撮影によって確認する。再潅流が得られた後、
血流の再閉塞の証拠を監視し、最終的確認を再潅流の立
証に用いたと同一の判断基準を用いて再び血管撮影によ
って得る。再閉塞時間は記録された再潅流および再閉塞
の間の時間とする。上に述べた動物モデルは急性心筋梗
塞を有する人間の患者による血栓溶解療法に対する反応
と極めて類似する。
バネを装着した刃の器具(シンプレイト、ジェネラル
・ダイアグノスティック、モリス・プレインズ、NJまた
はサージカット・Int.・テクニダイン・コープ、エディ
ソン、NJ)を、毛を剃り取った前肢に適用して、組織因
子蛋白拮抗物質の注射の前および30分後に出血時間の試
験を行う。フィブリノーゲンレベル、活性化された部分
的トロンボプラスチン時間、ADP誘発血小板凝集の測定
のための静脈血試料を、アプロティニン150KIU/mlを含
有する0.01Mクエン酸中に集める(シグマ、セント・ル
イス、MO.)。自動粒子計数器(コールター、ハイアレ
ア、FL)を使用してEDTA中に導入した血液につき血小板
の計数を行う。
実施例6 rt−PAならびにrt−PAおよび組織因子蛋白拮
抗物質をボーラス注射したときの再閉塞に及ぼす効果お
よび血栓溶解能の比較 実施例5の動物モデルを用いて、rt−PA単独をボーラ
ス注射したときの再閉塞に及ぼす効果および血栓溶解能
を、rt−PAおよび組織因子蛋白拮抗物質を組み合わせて
注射したときのそれと比較する。
rt−PA 450μg/kgのボーラス注射を15分間隔で行う
[高度(90%以上)の付加された狭窄を伴う]。
犬において組織因子蛋白拮抗物質(実施例1に記載の
モノクローナル抗体)約0.01−25.0mg/kgの注射をrt−P
A450μg/kgの単独ボーラス注射の10分後に行い、2時間
の観察時間の間再閉塞を起こすことなく5−10分以内に
再潅流を認めた。
実施例7 逆転動脈移植 兎をペントバルビタールで麻酔した。大腿動脈を露出
させ、止血鉗子により4−7cmのセグメントを隔離し
た。電時流量ゾンデ(カロリナ・メディカル・エレクト
ロニクス、キング、NC)をこのセグメントのもっとも近
位部分に取り付けた。次にこの大腿動脈セグメントを取
り出し、逆転させて元の場所に縫合した。次いで鉗子を
除去し血流を回復させた。通常、止血鉗子の解放後数分
以内に、血小板に富む血栓により逆転動脈部分が完全に
閉塞した(血流の停止として測定される)。組織因子蛋
白拮抗物質単独の注射またはtPAおよび/または血小板
凝集阻害物質を組み合わせた注射を含む様々な処置を、
流量計によって測定される動脈の閉塞の時間までに評価
した。死後の病理解剖には、血小板沈着の程度を決定す
るための走査型電子顕微鏡(SEM)による逆転動脈セグ
メントの検査が含まれた。
組織因子蛋白拮抗物質の注射の前および30分後に、バ
ネを装着した刃の器具を耳に適用して出血時間を測定し
た。フィブリノーゲンレベル、活性化された部分的トロ
ンボプラスチン時間およびADP誘発血小板凝集の測定の
ために、静脈血試料を採取した。EDTA中に導入した血液
について、自動粒子計数器を用いて血小板の計数を行っ
た。
記載したように兎を準備し、ヘパリン150U/kg(i.
v.)および組織因子蛋白拮抗物質D3(実施例1に記載の
モノクローナル抗体)3mg/kg(i.v.)を止血鉗子の解放
10分前に注射した。鉗子の解放後、さらに9mg/kgの組織
因子拮抗物質を表在性上腹部動脈から注射した。3動物
のすべてが30分後に閉塞していなかったが、一方ヘパリ
ン単独で処置した対照動物は最初の10分以内に閉塞し
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ウィルコックス,ジョシア・エヌ アメリカ合衆国カリフォルニア94002ベ ルモント、プラテュー・ドライブ3305番

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】治療的有効量の組織因子蛋白拮抗物質およ
    び血栓溶解物質を含有する、心筋梗塞を有する患者また
    は血管形成術を受けた患者の処置のための医薬組成物。
  2. 【請求項2】組織因子蛋白拮抗物質が抗体である請求項
    1に記載の医薬組成物。
  3. 【請求項3】抗体がポリクローナル抗体である請求項2
    に記載の医薬組成物。
  4. 【請求項4】抗体がモノクローナル抗体である請求項2
    に記載の医薬組成物。
  5. 【請求項5】血栓溶解物質がストレプトキナーゼ、ウロ
    キナーゼ、プルロキナーゼおよび組織型プラスミノーゲ
    ン活性化因子よりなる群から選ばれる請求項1に記載の
    医薬組成物。
  6. 【請求項6】組織因子蛋白拮抗物質を含有してなる、血
    栓溶解物質と組み合わせて心筋梗塞を有する患者または
    血管形成術を受けた患者を処置するための医薬組成物。
  7. 【請求項7】組織因子蛋白拮抗物質が抗体である請求項
    6に記載の医薬組成物。
  8. 【請求項8】抗体がポリクローナル抗体である請求項7
    に記載の医薬組成物。
  9. 【請求項9】抗体がモノクローナル抗体である請求項7
    に記載の医薬組成物。
  10. 【請求項10】血栓溶解物質がストレプトキナーゼ、ウ
    ロキナーゼ、プルロキナーゼおよび組織型プラスミノー
    ゲン活性化因子よりなる群から選ばれる請求項6に記載
    の医薬組成物。
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