JP2741644B2 - 人工関節、とくに人工ひざ関節 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、関節用の人工装置に関
するものであり、更に詳しくいえば、係止部分すなわち
取り付け部分と少なくとも１つの回転関節部分を含み、
かつ関節を形成する骨の１つ、たとえば大腿骨、へ固定
されるようにされた第１の人工部と、取り付け要素すな
わちステムを含み、脛骨へ取り付けられるようにされ、
滑り表面を形成された第２の部分とを有し、複雑な関
節、とくにひざ関節用の人工装置に関するものである。
回転軸線を中心として回転でき、かつ滑ることができる
中間部すなわち中間要素が設けられる。中間部分は、第
１の部分の適当な部分に関連して、回転できるような形
にされる。

【０００２】

【従来の技術】エンドプロステティックス（ｅｎｄｏｐ
ｒｏｓｔｈｅｔｉｃｓ）の問題に対して、安定な骨移植
関節の交換しないですむ保守を行えるようにし、非常に
長期間、理想的には移植から患者すなわち人工装置の装
着者の死まで、もつ多くの解決策が提案されている。そ
のような生涯もつ移植を妨げる主として２つの要因があ
る。そのうちの１つは、骨と移植されたものとの間の境
界面が、大きさと向きが変化する可変力を受けることで
ある。とくにせん断力が含まれる。別の要因は、組織の
生物学的反応と骨が劣化することである。とくに体外物
質に対する反応と、移植自体からの削り落とされた粒子
に対する反応である。

【０００３】関節のとくに移植された関節の寿命は、種
々の人工部品の間の境界面およびそれの滑り面にかかる
可変力を小さくすることによって、延ばすことができ
る。滑り面の摩耗はできるだけ小さくせねばならない。
種々の解決策が提案されているが、それらの必ずしも全
てを同時に適用できるものではない。関節の全ての技術
面について考えるだけでは十分でなく、解剖学的および
生理学的に変化できる諸条件について考察せねばならな
い。関節において起こる複雑な運動、とくにひざ関節の
ような複雑な関節において起こる運動のために、特定の
部分に応用できる対立する解決策の間で妥協すること、
および生涯にわたる信頼性という全体的な目標を達成す
ることが困難にされる。

【０００４】それぞれこする滑り部分にかかる単位面積
当たりの圧力を低くすることにより、滑り軸受に生ずる
摩耗およびちぎれを減少できることが良く知られてい
る。表面に加えられる圧力、およびその結果としての軸
受の摩耗およびちぎれは、２つの滑り要素の接触面が小
さい時は小さい。その接触軸受面は、滑り面をできるだ
け広くし、実効的に適合する滑り面を形成することによ
り、広くできる。そのような軸受の典型的な例が図１に
示されている。この図にはまっすぐな滑り軸受の略図が
示されている。また、図２にはヒンジ関節すなわち球関
節の略図が示されている。図１の滑り軸受は、原理的に
は、係合面が有限の半径を有するようなヒンジすなわち
球関節と考えることができる。しかし、摩耗とちぎれが
最少であるという共通の特性にもかかわらず、基本的な
違いがある。すなわち、図１に示す滑り関節は自由に並
進運動するが、回転軸線は有しない。他方、ヒンジすな
わち球関節は回転軸線を有するが、並進運動は制約され
る。この結果として外力に関する関係が異なることにな
る。

【０００５】図１を再び参照する。斜め上から加えられ
る力Ｆ１のような力が加えられる結果として、その力の
水平成分のために滑りヘッドが横へ移動する。力のその
水平成分は滑り関節の下側の部分には何の作用も及ぼさ
ない。力Ｆ１に類似する力は、ヒンジすなわち球関節へ
加えられた時には（図２参照）、関節を回転させること
なしに関節を通る。しかし、その力の水平成分は望まし
くないせん断力を生ずる結果となる。関節の上側部分が
振り子のように前後に振動したとすると、そのせん断力
は向きを連続して変える。最も簡単には、ヒンジ関節は
回転運動することが有利である。しかし、その回転運動
は、境界面における並進運動ができないこと、およびせ
ん断力が生ずること、という欠点を受けることにより得
られる。

【０００６】人体の関節が純粋なヒンジ関節または純粋
な滑り関節であることはまれである。通常は、およびと
くにひざ関節は両方の関節の組合わせである。回転運動
と並進運動を互いに重ね合わせられる。それらの運動を
組合わせることができるようにするためには、ヒンジ関
節を開く必要がある。すなわち、滑り表面同士の接触を
減ずる必要がある。図３のものは接触面が減少させられ
る。しかし、そうすると表面圧力が大幅に増大し、した
がって関節の摩滅が大幅に増大する。滑り面における関
節のヘッドの並進運動を反復することによりその摩滅が
更に増大する。ほとんど点接触、および最良でも多少線
接触であるために、および表面圧力が非常に高くなるた
めに、それぞれの関節部分に加えられるもみ作用によっ
て、下側の関節部分すなわち関節部分の材質が疲労させ
られることになる。要素が適合しない位置は、境界面に
おけるせん断力の発生を必ずしも阻止するものではな
い。境界面で滑り面がもち上げられると、純粋なヒンジ
関節または純粋な球関節で生ずる力に類似する力が生ず
る結果になる。この結果として、境界面におけるせん断
力が増大して摩滅が増加する。これはこの種の全ての人
工器官に望ましくない作用を及ぼす。

【０００７】中間要素を用いることにより、滑り関節の
部品と球関節の部品が２つの異なる平面上にあるよう
な、滑り関節と球関節を組合わせたものを用いることが
提案されている（図４参照）。球関節の回転運動と滑り
関節の並進運動が垂直方向にずらされるから、並進運動
は球関節の下側の動きとして利用できる。関節表面の適
合性は完全に保持され、摩滅は最少にされる。球関節に
より供給される力は境界面へは伝えられず、それよりも
中間要素により並進運動へ転換される。この種の人工骨
は知られており、メニスカル（ｍｅｎｉｓｃａｌ）ひざ
と呼ばれている。

【０００８】米国特許第４，３０９，７７８号には「オ
ックスフォードひざ」および「ニュージャージーひざ」
とも呼ばれている２種類のひざ関節人工骨が記載されて
いる。「オックスフォードひざ」は２つの大腿部と、２
つの中間部分と、２つの脛骨部とを有する。各大腿部
は、大腿骨上で保持するための保持部を有する球状部を
有する。脛骨部も脛骨上に保持部を有する。脛骨部は脛
骨へ取り付けるための保持部を有するばかりでなく、上
で中間部が滑ることができる平らなプラトーも有する。

【０００９】９０度またはそれ以上曲がると、中間部は
平らな表面すなわちテーブル状の表面の上を滑ることが
でき、およびおそらく完全に脱臼することがある。手術
後に残りのじん帯の張力が低下し、かつ大腿骨が中間部
を持ちあげて外したとすると、同様な危険が生ずること
がある。そうするとひざ関節の新たな手術が必要にな
る。

【００１０】たとえば、米国特許第４，３０９，７７８
号の図１５に示されている「ニュージャージーひざ」
は、テーブル表面すなわち滑り表面への接触が失われる
ことを阻止する特殊な構造を有する。大腿部に鳩の尾状
の曲げられた溝が２つ設けられる。中間部要素のために
係合要素が設けられる。この係合要素は溝の中にはめ込
まれて、中間部の要素を案内するように拘束する。ひざ
が曲げられた時に中間部が制御されずに後方へ滑ること
ができず、かつ表面すなわちテーブルの上で押すことが
できず、それよりも骨からのなお残っている中央突出部
に係合するように、カーブは中央へ向けられる。鳩の尾
形は、じん帯が張力を失うか、または張力または強度が
低下したとすると、関節の脱臼を阻止する。

【００１１】中間部は所定の経路上を案内されるように
拘束される。これにより、関節の１つの位置においての
み、大腿部と中間部の間の関節面が適合するようにされ
る。その１つの位置以外の関節の他の全ての位置では、
関節の表面は適合しない。このために係合面の摩滅が増
大する。適合しない条件が起こる理由は、大腿骨内に強
く係止されている大腿部が互いに常に同じ距離にあり、
かつ共通回転軸線を有するからである。しかし、中間部
は、わん曲している経路上を前後に滑る時に横方向に相
互に接近し、または互いに離れる。更に、ヒンジ関節の
軸線または球関節の軸線が中間部の相互間の位置を連続
して変える。滑り面に対して垂直な軸線を中心として回
転運動が行われると、同様な状況が逆向きに起こる。こ
の人工骨の表面、とくにヒンジ関節表面または球関節表
面、の連続的に変化する不適合度のために摩耗が増大
し、ひざ関節内のメニスカル層の効果が減少する。

【００１２】米国特許第４，４７０，１５８号、および
それに対応するヨーロッパ特許明細書０ ０１８ ３６
４ Ｂ１には、人工骨ひざ関節が記載されている。その
人工骨ひざ関節は「回転プラットホーム型人工骨」とも
呼ばれてきた。それは大腿部と、脛骨部と、中間部すな
わちメニスカル部とを有する。大腿部は大腿骨に対して
大腿部を固定するための通常のポストすなわちステム
と、顆状支承面を形成する２つの顆状突起とを有する。
脛骨部は、脛骨へ取りつけるための固定要素、たとえば
固定ひれ等と、中間部すなわちメニスカル部の一部を形
成する回転ピンを受けるための中央穴とを有する。中間
部すなわちメニスカル部にはねじれポストまたは回転ポ
ストが形成されるばかりでなく、大腿部の顆状突起を受
けるための２つの凹状滑り支承も形成される。

【００１３】この開示の人工骨はヒンジ関節の滑り面が
適合するという利点を有する。それは摩耗を減少し、回
転ピンが存在するためにメニスカル支承要素の脱臼が阻
止される。しかし、前記例とは対照的に、回転ピンが存
在しても脛部に対して大腿部が並進運動できるものでは
ない。回転ピンはピン自体の軸線を中心とする回転の可
能性を許すだけである。そうすると、それは旧式のヒン
ジ関節であって、関節に対して垂直な軸線を中心として
回転するという追加の自由度が与えられる。たとえば筋
肉による力、この人工骨を装着されている人がある表面
に足を置いた時に、その人の体重による荷重等により生
じる力Ｆ１のような傾けられた力が、関節を介して境界
面に加えられ、その結果として望ましくないせん断力が
生ずる。半月板ひざの原理が再び妥協させられる。とい
うのは、摩耗を減少させる関節表面の適合性が、装着者
の骨へ人工関節を確実に取り付けることを保護し、強化
するひざの並進運動の可能性、およびその結果としての
自然の運動が失われることによってのみ達成されるから
である。

【００１４】じん帯が失われた場合、または求められて
いる安定度をもはや確保できないじん帯の場合には、米
国特許第４，３０９，７７８号および第４，４７０，１
５８号に開示されている人工関節には安定性の問題があ
る。横方向および後方向の安定性はもちろん中間方向の
安定性を確保するために、人工ひざ関節が提案されてい
る（米国特許第２，２２３，９５０号および対応する公
開されたＷＯ ９０／０４３６９−ＰＣＴ参照）。その
人工ひざ関節においては、大腿部と、脛骨部および中間
部すなわちメニスカル部が設けられる。そのメニスカル
部は枢支される。大腿部のボックス構造内に係合するフ
ィンガがメニスカル部に形成される。その箱構造は、関
節の任意のたわみ位置において少なくとも３つの側でフ
ィンガが案内されるような寸法にされる。したがって、
中間方向と、横方向と、後方向とで安定性が確保され
る。

【００１５】米国特許第５，００７，９３３号（および
これに対応するヨーロッパ公告０３８１ ３５２ Ａ
１）に開示されている構造によっても横方向、中間方向
および後方向の安定性が確保される。しかし、その米国
特許に記載されている人工関節は旋回可能なメニスカル
部すなわち中間部を有しない。英国特許第２，２２３，
９５０号または米国特許第５，００７，９３３号に開示
されている構造では並進運動は可能でない。しかも、人
工関節の要素を大腿部へ固定すること、脛骨へ取り付け
ることを保護し、保存するためにその並進運動の可能性
が求められる。

【００１６】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、構成
部品を保護し、使用時には摩耗が少なく、本来のひざの
回転運動に類似する回転運動を行えるようにし、脱臼に
対して非常に強くて、人工関節を装着されている人のほ
ぼ正常な生理学的運動が可能であるようにする、損傷を
受けたり、病気にかかった関節、とくに複雑な関節、そ
のうちでもとくにひざ関節、の置換のための人工関節を
得ることである。本発明の別の目的は、関節面の適合性
ばかりでなく、並進運動も行えるようにする人工関節を
得ることである。じん帯が損なわれたり、失われたりし
た場合でも、上記の全てが可能で人工関節の装着者に対
する安定性を確保する。

【００１７】

【課題を解決するための手段】簡単にいえば、本発明の
関節はひざ関節用の４つの部分、すなわち、第１の人工
骨部と、第１の中間部と、第２の中間部と、第２の人工
骨部、すなわち、大腿部と、メニスカル部と、連結部
と、第２の人工骨部とを有する。本発明の特徴によれ
ば、連結部は案内部を有し、その連結部は回転軸すなわ
ちピンを中心として回転できる。メニスカル部は案内部
のための案内トラックを含む。その案内トラックは、置
換すべき本物の関節の少なくともほぼ滑る方向、典型的
にはひざ、へ延長して、メニスカル部が旋回運動に加え
て、並進運動も有するようにする。

【００１８】本発明の特徴によれば、案内トラックはメ
ニスカル部に設けられる。本発明の特徴によれば、軸線
を定めるピンは連結部に、または第２の人工骨部の１つ
に形成できる。この結果として構造がとくに簡単にな
る。本発明の別の特徴によれば、連結部は安定化要素の
態様で形成することもできる。じん帯組織が弱いか、無
くなった場合にも安定性が確保され、しかも回転できる
ようにするために、安定化要素は第１の人工骨部の安定
構造と協働する。

【００１９】本発明の人工関節により、関節とくにひざ
関節の正常な生理学的運動とほぼ同じ運動を行えるよう
にされる。先に提案されたように、第１の人工骨部には
顆、又は顆状突起が形成される。その顆状突起は、曲げ
られると、体の全面領域から背面領域へ移動する。それ
と同時に、更に回転もさせることができる。延長はもち
ろん、曲がりにおいても条件は本物のひざにおける条件
に類似する。関節の任意の位置において、回転関節すな
わち球関節またはヒンジ関節の表面の適合性が大腿部
と、第１の中間部すなわちメニスカル部との間で確保さ
れる。第１の中間部における関節表面を互いに固定でき
るが、動くことができる。ある角度を成す下向きの力は
全部の大きさで境界面に作用することはなく、それより
も第１の中間部すなわちメニスカル部において並進運動
へ変換される。曲げられた時に脱臼する危険は、従来の
人工関節では常に懸念されていたが、案内トラックによ
り解消される。

【００２０】本発明の特徴によれば回転ピンは第２の中
間部すなわち連結部に設けられ、第２の人工関節部、典
型的には脛骨部、において回転可能であり、それに関し
て回転可能である。この結果として構造がとくに簡単に
なる。回転ピンは、取り付けポストの中へ延長する穴の
中に保持される、すなわちジャーナル連結される。人工
関節を装着者の骨構造内に置いた後では、それの支持穴
から抜け出る危険がないように、そのピンを比較的長く
できる。したがって、回転ピンを軸線方向に保持するた
めの特殊な構造は必要とされない。

【００２１】本発明の別の特徴、および本発明の別の実
施例を形成するために、回転ピンを第２の人工骨部、典
型的には脛骨部、に設けることができる。連結部はピン
を中心として回転できる。この構造はピンのための周囲
の支承および保持構造を受けるための大きい中央穴すな
わちくぼみを形成する必要がないから、ある用途ではい
くらかの利点がある。したがって、第２の人工骨部にお
ける取り付けポストは、支承ピン、およびそれの保持ス
リーブすなわち支承チューブを考慮することなしに、形
成および設計できる。たとえば、取り付けポストすなわ
ちひれを周辺の位置に置くことができる。

【００２２】本発明の特徴によれば、案内トラックが生
理学的滑り運動を少なくとも近似的に追従するように構
成される。ひざ関節においては、案内トラックをほぼ矢
の向きに配置できる。本発明の好適な特徴では、案内ト
ラックを中間曲率半径で曲げる。連結部の案内部に対す
る第１の中間部すなわちメニスカル部の可動性が滑り経
路の平面内の動きに制限されるように、構成することが
好ましい。たとえば案内トラックと案内要素との横断面
を鳩の尾形、Ｔ形、多角形、舌および溝、その他の形で
あるように形成して、相互に係合する突起およびくぼみ
側を構成するようにすることによって、案内トラック内
で案内要素を制御できなくなることが容易に避けられ
る。したがって、手術の後でじん帯の張力を低くするも
のとすると、要素は互いに分離しない。本発明の好適な
特徴では、案内トラックは第１の中間部すなわちメニス
カル部の中央に設けることが好ましい。

【００２３】回転運動を確実におこなわせるために関節
の回転部を種々の形にすることが可能である。本発明の
好適な態様によれば、第１の人工骨内の２つの顆状突起
により人工関節の回転部が形成される。第１の人工骨部
の顆状突起表面と支承面が一致して関連させられるよう
に、それらの顆状突起は第１の中間部すなわちメニスカ
ル部の適当にはめ合う適合支承面に関連させられる。こ
の結果として本物のひざ関節に非常に近い人工関節が得
られることになる。

【００２４】単一コンパーメント関節にとくに適当な本
発明の別の実施例によれば、第１の人工骨部の回転部分
は１つの顆状突起によってのみ形成される。この結果と
して、１つの顆状突起が第１の中間部すなわちメニスカ
ル部の１つの一致する表面と協働する人工関節が得られ
る。本発明の別の望ましい実施例では第１の人工骨部た
とえば大腿部は円筒形状にわん曲させられる。この結果
として大腿部の構造、および対応して形成されるメニス
カル部の構造が簡単になる。希望によっては、本物のひ
ざに近づけて、回転部分を本物の顆状突起に類似する球
面状に曲げられた表面で形成できる。しかし、大腿部の
回転関節部分を、球面状に曲げられて、単一の要素で本
物の両方の顆状突起をカバーするように形成することも
可能である。

【００２５】それぞれの顆状突起は凸状で、第１の中間
部すなわちメニスカル部の関連する表面が凹状であるこ
とが好ましい。これは本物のひざに類似する。しかし、
たとえば膝蓋骨−大腿骨関節のような解剖学的構造が示
唆するような例においては、構成を逆にし、第１の中間
要素における突起すなわち顆状突起を凸状に形成するこ
と、および一致する支承表面を、ひざ関節の典型的に前
面大腿部における、第１の人工骨部内の凹状支承面とし
て構成することも可能である。

【００２６】支承面自体は、第１の中間部すなわちメニ
スカル部の適当なくぼみの中にはめ込まれる置換可能な
要素、または別々に挿入可能な要素として形成できる。
こうすることにより、実際のひざ関節置換手術中に、種
々の高さすなわち種々の厚さの支承要素を挿入できる。
じん帯の不十分な弾性すなわち不十分な伸びを補償する
ため、または骨の軸の不一致を補償するためには、厚さ
を変えることが必要なことがある。支承要素内の中間部
は異なる材料で製作できる。たとえば、中間要素を金属
で製作し、支承要素をプラスチック材料で製作できる。

【００２７】交換可能な、すなわち、個々に挿入可能な
支承要素を用いることにより、種々の構造とすることが
できる。たとえば、第１の中間部すなわちメニスカル部
に、浅いくぼみまたは貫通穴を形成できる。貫通穴の場
合には、支承要素は第２の人工骨部、ひざ関節において
は典型的には脛骨部、の滑り面に係合する。こうすると
いくらかの利点が得られ、とくに滑り面の材料に関して
優れた滑り特性を持つ材料で支承要素が製作される時
に、いくつかの利点が得られる。中間要素を、たとえば
連結部の案内要素により滑り面からある距離の所に保持
することが好ましい。

【００２８】人工器官を人工ひざ関節として製作する時
は、第２の人工骨部すなわち脛骨部と第１の中間部に、
背面十字形じん帯のための背面くぼみを形成すると有利
である。本発明の人工関節の構造によってそのようなく
ぼみを容易に形成できる。この構造は、ひざ関節の適当
な運動特性のために重要な背面十字形じん帯の機能が保
持されるので有利である。関節の回転部は、第１の人工
骨部が各脛骨のための支承面を持つ個々のメニスカル部
を有するような構造とすることもできる。したがって、
それぞれの脛骨のための支承要素には個々のメニスカル
部または共通のメニスカル部が組合わされる。各メニス
カル部はそれ自身の案内部を有することができ、または
１つの共通案内トラックに沿って動作できる。

【００２９】第１の人工骨部すなわち大腿部内の安定化
構造に組合わされる安定化部、または安定化突起を有す
る連結部の形を定めることにより、じん帯が弱いか、じ
ん帯が部分的に失われた場合にも安定性が確保される。
安定化要素を安定化構造に組合わせることによっても、
内反ひざ位置またはひざ内反位置も阻止し、しかも、じ
ん帯構造が弱くされたとしても、曲げられた時にメニス
カル部の脱臼を確実に阻止する。

【００３０】第１の人工骨部は単一部分要素とすること
ができる。モジュール型ひざ交換構造を得るためには、
それを２つの部分で形成すると適当である。しかし、そ
れら２つの部分は基本部分を有し、その基本部分の上に
は、求められた時だけ用いられる別々の要素として安定
化構造を取り付けることができる。この構造は、 １）背面十字形じん帯および横じん帯が存在し、保持さ
れる、 ２）横方向じん帯だけが保持される、 ３）背面十字形じん帯と横方向じん帯のいずれも保持さ
れない、 という条件の下でひざ関節のための人工骨を形成でき
る。

【００３１】そうするとそのモジュール型構造は少なく
とも２つの大腿部と、少なくとも２つの第２の中間部す
なわち連結部と、少なくとも１つの脛骨部と、少なくと
も１つのメニスカル部すなわち第１の中間部とを含むこ
とができる。脛骨部とメニスカル部は上記の３つのケー
ス１），２），３）の全てにおいて用いられる。しか
し、大腿部と連結部は異なるケース１）においては、安
定化要素は使用する必要はない。２つのケース２），
３）においては、安定化要素は互いに異ならせることが
できる。脛骨部とメニスカル部に追加の付属品を取りつ
けることも可能である。大腿部からメニスカル部までの
関節の回転部の全体的形と全体的な寸法は、基本的には
不変である。同様に、回転構造、および連結部と脛骨部
におけるその回転構造の保持、ならびに案内部、案内ト
ラックおよびメニスカル部は不変のままにでき、それに
より全ての部品の相互間の互換性を確保する。

【００３２】関節の種々の部品と、特定の案内要素と、
安定化部分とのうちの少なくとも１つを構造、またはモ
ジュールあるいはセットの態様で供給することにより、
同じ手術技術を持つ外科医は、手術器具を変更すること
なしに、人工ひざ関節を構成し、手術中にそれを組立て
ることができる。以後の手術を必要とするならば、変換
を行うために脛骨部分を保持できまたは、たとえば、ひ
ざが最初に考えていた以上の安定化を必要とすることが
手術中に判明したとすると、変換を行うために脛骨部分
を保持できる。

【００３３】ひざ関節セットは単一要素大腿部を含むこ
とができ、またはベース大腿部を含むことができる。複
合大腿部を形成するためにそのベース大腿部に安定化構
造を取りつけることができる。大腿部と、メニスカル部
すなわち第１の中間部と、脛骨部とは種々の寸法で供給
でき、同じ第２の中間部または連結部へ全て使用でき
る。

【００３４】

【実施例】図１〜４は、たとえば脛骨１へ固定されてい
る脛骨部１７へ大腿骨または大腿部１１により力Ｆ１が
加えられた時の力の関係、および力の伝達条件を極めて
概略的に示す。図４は中間要素すなわちメニスカル部１
７も示す。実際の関節においては、大腿部１１は大腿骨
（図示せず）へ固定される。本発明によれば、図５およ
び図１０に最も良く示されているように、連結部１５が
設けられる。したがって、第１のすなわち大腿部の人工
骨部１１と、中間部すなわちメニスカル部１３と、第２
の中間部すなわち連結部と、脛骨（図示せず）へ取りつ
けられるようにされている第２の人工骨部１７とにより
全体の人工関節が形成される。

【００３５】第１の大腿部の人工骨部（以下単に大腿部
という）１１には周知のアタッチメント、または係止要
素（図５には示されていない）が供給されることが好ま
しい。それは少なくとも１つの回転関節部を有する。も
ちろん、第１の大腿部１１の回転関節部が第１の中間部
すなわちメニスカル部１３と一緒にはめ合わされること
が重要である。図５に示すように、第１の大腿部１１は
２つの突起すなわち顆状突起１９を含む。それらの顆状
突起１９は第１の中間部１３の対応する一致支承面２１
にはめ込まれる。第２の中間部すなわち脛骨部１７はプ
レート２３を有する。そのプレート２３の上に滑り面２
４が設けられる。円錐形の取りつけポスト２７がプレー
ト２３から下方へ延びる。追加の中空取りつけポスト２
５が同様に下方へ延びる。図８と図１０に最も良く示さ
れているように、プレート２３は全体として長円形であ
って、本物の脛骨顆状突起の輪郭に一致し、背面の十字
形じん帯のための背面くぼみ２９を含む。中央係止ポス
トすなわち中央係止部２５は比較的大きい。本発明の特
徴によれば、ポスト２５は中空であって、連結部１５の
回転ピン３３を受けるための穴３１が形成される。第１
の中間部すなわち、メニスカル部１３には案内トラック
３５が形成される。この案内トラックは、連結部１５の
案内部１６に関して鳩の尾形すなわち相互係合案内トラ
ックを形成するような形にされる。図１１、図１２、図
１３、図１４に示すような他の適当な横断面形状も使用
できる。案内トラック３５は第１の中間部１３のほぼ中
央に位置させられて、図７に最も良く示されているよう
に、中間方向にわん曲させられているわん曲路内をほぼ
矢状に延長する。

【００３６】図８および図９はプレート２３の上に重ね
合わされた第１の中間部１３を示す。それらの図からわ
かるように、第１の中間部１３の形はプレート２３の形
に全体として類似しているが、矢の方向ではプレート２
３よりも十分に狭い。中間部１３には背面十字形じん帯
のためのくぼみ３７も形成される。

【００３７】使用および動作 ここで図８、図９および図１０を参照する。第１の中間
部１３は、第２の人工骨１７の中央ポスト２５の穴３１
の中心軸線である軸線３９を中心として旋回運動できる
こと、および前面から背面へ、および背面から前面へ並
進運動できることが明らかにわかる。それらの運動は、
人工関節がひざ内に装着された後で、ひざ関節のじん帯
により導かれ、制限され、制御される。曲げられた時、
および伸ばされた時の全体的な動きはひざ関節の生理学
的運動特性にほぼ対応する。

【００３８】第１の人工骨部１１、第２の人工骨部１
７、およびピボットピン３３を有する連結部１５は、関
節人工骨のために一般に用いられている組成の合金で製
作することが好ましい。第１の中間部１３は金属で製作
できるが、関節人工骨のために一般的に用いられている
プラスチック材料で製作することが好ましい。図示の例
は２つの顆状突起および支承面対１９，２１を示す。１
つの顆状突起／支承面対だけを用いることも可能であ
る。他の可動関節連結、たとえば、ヒンジピンにより連
結されたヒンジ関節を第１の中間部１３に組合わせて使
用できる。これにより回転運動はもちろん並進運動も行
うことができる。そうすると、第１の中間部１３はその
ようなヒンジ要素にはめ合わされ、かつ受けるように構
成せねばならない。

【００３９】図示の例においては、第１の人工骨部１１
の顆状突起１９は凸状である。第１の中間部１３の一致
する支承面２１は凹状であって、顆状突起１９に形が一
致する。これは本物のひざ関節に似せたものである。し
かし、たとえば膝蓋−大腿骨関節により示唆されている
ように、第１の中間部１３上に顆状突起を形成し、第１
の人工骨部に適当な凹面状支承面を図１０に示すように
形成することも可能である。

【００４０】図１１に示す実施例：この人工骨において
はただ１つの顆状突起および１つの支承面がある。しか
し、他の面においては、全体的な構成は図５〜１０に関
連して述べたこととほぼ同じである。しかし、第１の人
工骨部１０１１の支承面１０１９は凹状であり、第１の
中間部１０１３上の一致する支承面１０２１は凸状であ
る。そのような人工骨は膝蓋−大腿骨関節に対しては適
当である。第２の人工骨部１０１７は膝蓋骨へ取りつけ
られる。

【００４１】図１２の実施例：第２の人工骨部１１１７
は中心回転ピン１１３３を含み、このピンを中心として
連結部１１１５が回ることができる。連結部１１１５に
はピン１１３３を受ける穴１１３１があけられる。連結
部１１１５の案内部１１１６には、中間部１１１３の一
部であるリブ４３を受ける横方向溝４１が形成される。
溝４１とリブ４３は関連する部分において交換できる。
したがって、第１の中間部１１１３は第２の人工骨部１
１１７のプレート１１２３の表面２４から隔てられて保
持される。支承面２１は交換可能な支承要素１１２１の
上に形成されて、第１の中間部１１１３のくぼみ４５の
中にはめ込まれ、プレート１１２３の表面２４に係合す
る。溝４１とリブ４３は舌および溝連結を形成する。使
用時には、回転運動と並進運動の少なくとも一方が行わ
れると、第１の中間部１１１３の支承要素１１２１がプ
レート１１２３の表面２４の上で滑る。支承要素１１２
１は、移植される人工関節装置に適当で、一般的に用い
られているプラスチック材料で製作することが好まし
い。第１の中間部１１１３は金属で製作でき、案内部１
１１６はプラスチックで製作できる。あるいは第１の中
間部１１１３と案内部１１１６はそれぞれプラスチック
および金属で製作できる。それぞれの係合面にプラスチ
ックと金属を対として用いることが可能である。

【００４２】図１３と図１４の実施例：図１２と図１
３，１４にそれぞれ示されている実施例の間の違いは、
支承要素１２２１と中間部１２１３との構造である。図
１３，１４において、中間部１２１３におけるくぼみ１
２４５は第２の人工骨部１２１７のプレート１２２３の
表面２４までは延長しない。それよりも、それらは適当
なポケットの中に保持される。第２の中間部１２１５の
案内部１２１６には段つきの形も与えられ、中心ピン１
２３３の中に保持される。これは別の保持構造を示す。

【００４３】図１５、図１６、図１７の実施例：それら
の図に示されている人工関節の実施例は２つの別々のメ
ニスカル部１３１３，１３１３′と、第２の中間部１３
１５と、第１の人工骨部１１と、第２の人工骨部＃１３
１７とを有する。第２の人工骨部１３１７はプレート１
３２３を有する。このプレートの上に滑り面２４が設け
られる。その滑り面２４はプラスチックの層１３２４に
より形成できる（図１６）。円錐形その他の適当な形の
取りつけポスト、ピンまたはひれ１３２７が、脛骨へ取
りつけるために、プレート１３１７から下方へ延長す
る。図１７に良く示されているように、プレート１３１
７の形はプレート２３（図６、図７参照）の形に類似
し、くぼみ２９が形成される。

【００４４】第２の人工骨部１３１７に上方へ突き出る
ピボットピン１３３３が形成されている。そのピボット
ピンは第２の中間部１３１５に設けられている穴１３３
１の中にはめ込まれる。滑り面２４から第２の中間部１
３１５が分離し、持ちあげられることを阻止するため
に、ピン１３３３（図１５）の上端部には重なり合うラ
ム、またはねじ１３３４′（図１６）、スナップリング
等のようなその他の要素を形成できる。本発明の特徴に
よれば、第２の中間部１３１５には２つの案内手段、た
とえば溝１３１６，１３１６′が形成される。それらの
溝の横断面は鳩の尾の形、またはその他の適当な任意の
形にすることが好ましい。それらの溝はメニスカル要素
１３１３，１３１３′が意図しないのに抜けることを阻
止するための形に製作される。案内手段１３１６，１３
１６′が互いにほぼ平行に延長し、かつほぼ矢の向きに
むけられるようにするために、それらの案内手段は中間
部１３１５に設けられる（図１５、図１７参照）。

【００４５】使用および動作：図１５、図１６は、第２
の中間部１３１５が軸線３９を中心として容易に旋回で
きることを明らかに示す。メニスカル部１３１３，１３
１３′により前面方向と背面方向の間の追加の並進運動
を可能にする。それらの運動は、人工骨の装着の後で、
ひざ関節のじん帯により導かれ、制限される。運動の運
動学はひざ関節の生理学的運動特性に全体として対応す
る。第１の人工骨部１１と、第２の人工骨部１３１７
と、第２の中間部１３１５とは、人工関節のために適当
で、一般的に用いられている合金で製作することが好ま
しい。メニスカル部１３１３，１３１３′は、ひざ関節
置換において一般的に用いられるプラスチックで製作さ
れることが好ましい。支承面１９，２１と脛骨が適合す
るために、メニスカル部１３１３，１３１３′は金属で
製作することもできる。ある場合には、協働する支承
面、たとえば第２の人工骨部１３１７の支承面２４と、
第２の中間部１３１５の支承面２８の一方にプラスチッ
ク層を被覆すると良い。したがって、種々の支承面に対
してプラスチックと金属の組合わせ、または適当な金属
あるいは硬質材料の組合わせを常に用いることが可能で
ある。この実施例には２つの脛骨−支承面対１９，２１
が用いられる。１つの脛骨−支承面対だけを用いること
も可能である。

【００４６】図１８、図１９の実施例：図１５、図１６
および図１７に示す実施例と、この図１８、図１９に示
す実施例との間の違いは、第１の人工骨部１１の脛骨１
９に組合わせるために共通のメニスカル部１５１３が用
いられる。このメニスカル部１５１３には背面十字形じ
ん帯のためのくぼみ１５３８が形成される。メニスカル
部１５１３を単一のユニットとして考えるよりも、ブリ
ッジ１５１２により一緒に結合される（図１８、図１９
参照）、図１５，１６、図１７の２つのメニスカル部１
３１３，１３１３′として考えることもできる。しか
し、図１８と図１９のメニスカル部１５１３は１つのい
ったい構造であることが好ましい。それには２つの支承
面２１が形成される。他の全ての面においては、人工骨
は図１５および図１７に関連して説明したものに類似す
る。

【００４７】図２０、図２１および図２２に示す実施例
は、両方の脛骨１９と共通のメニスカル部１７１３が用
いられることを除き、図１８と図１９に示す実施例に類
似する。それには背面の十字形じん帯を受けるくぼみ１
７３８が形成される。それには、２つの支承面２１と、
中央に位置させられて、第２の中間部１７１８の案内部
１７１６を受ける案内トラック１７３５も形成される。
回転ピンすなわち回転ポスト３３が、図８、図９および
図１０に示されているポストおよびピン受け構造に類似
する受け構造内の第２の中間部１７１５から延長する。
また、軸線３９を中心とする回転運動が可能であって、
案内トラック１７３５において並進運動に組合わされ
る。共通のメニスカル部１７１３には、矢の方向に、背
面のじん帯を受けるくぼみ１７３８が形成される。第２
の中間部１７１５の下側にプラスチック層１７１５′を
形成できる（図２１）。

【００４８】図２３、図２４および図２５は単一コンパ
ートメント人工関節を示すものであって、図１７、図１
８および図１９に示す２コンパートメント人工関節に基
本的に類似する。第１の人工骨部１９１１と第１の中間
部１９１３がある。第２の中間部１９１５には穴１９３
１が形成される。この穴の中には第２の人工骨部１９１
７からの回転ポスト１９３３がはめ込まれる。第２の中
間部１９１５は、ポスト１９３３を中心として、プレー
ト１９２３の上面上で回転できる。第２の中間部１９１
５には、案内トラック１３１６に類似する案内トラック
１９１６が形成される（図１５、図１６、図１７）。図
２３、図２４、図２５は、中間部１９３３の脱臼を阻止
する重なり合うキャップ１３３４（図１５〜１９）に類
似する特定の要素を何ら示すものではない。そのような
意図しない垂直方向の脱臼を阻止する適当な任意の構成
を使用できる。たとえば、内部円周リブまたは内部突起
が中にはめ込まれる溝をポスト１９３３に形成でき、Ｃ
スナップリング等を使用する。図示を簡単にするために
それらの要素は図示していない。案内部１９３５は図１
５、図１６に示されている案内部１７３５に対応する。

【００４９】図２６の実施例：大腿部２１１１は二要素
部分である。図２６はひざ関節のそれぞれの部の構成を
分解斜視図で示すものであって、大腿部２１１１と、メ
ニスカル部２１１３と、連結部２１１５と、使用者の脛
骨へ取りつけるための固定ポスト２１２５を有する脛骨
部２１１７とを示す。大腿部２１１１はベース部２１１
２と安定化部２１１４を有する。安定化部はベース部２
１１２へ別々に取りつけて、固定できる。このようにし
て形成された大腿部は、大腿部２１１１を大腿骨へ取り
つけるための取りつけポストすなわち取りつけ部２１５
６を有する。大腿部取りつけ部から離れて回転関節部が
設けられる。この回転関節部は、球面状にわん曲した２
つの表面２１１９を有して顆状突起を形成する。図２７
に最も良く示されているように、凸状であって、たとえ
ば球面状である表面２１１９は半径ｒを有する。これ
は、破線２１５１で表わされている本物のひざのより長
円形の形から少しずれている。球面状表面２１１９は半
径がｒの凹状支承面２１の中に受けられて適合性を確保
する。これにより関節の材料の摩耗を大幅に減少する。

【００５０】脛骨部２１１７はプレート２１２３を有
し、このプレートの上に滑り面２４が設けられる。円錐
形の係止ポスト２１２５がプレート２１２３から延長す
る。そのプレートの形は、大腿骨の顆状突起のための本
物の脛骨の腔の通常の長円形に一致させられる。それに
は背面十字形じん帯のための背面くぼみ２９が形成され
る。取りつけポスト２１２５は比較的大きく、連結部２
１１５のピン３３を受けるための穴３１が形成される。
メニスカル部２１１３には鳩の尾形の案内トラック２１
３５が形成される。その案内トラックの中に連結部２１
１５の案内部２１１６が入る。図２６のひざ構造のこの
部分は、図８と図９を参照して述べたものにほぼ類似す
る。連結部２１１５の案内溝または案内トラック２１３
５および案内部２１１６のための他のインターロック構
造または相互係合構造を、図８と図９を参照して述べた
ようにして使用できる。案内トラック２１３５はまっす
ぐにでき、または中間部が曲げられた経路に形成できる
ことが好ましい。まっすぐな案内トラックは、メニスカ
ル要素２１１３を右または左のひざ関節のために使用で
きること、および要素の交換により起こり得る失敗を排
除できるから、有利である。

【００５１】メニスカル部２１１３はプレート２１２３
の形に類似する形にできる。矢状方向では、それはプレ
ート２１２３よりも狭い。メニスカル部２１１３には背
面十字形じん帯のためのくぼみ３７も形成される。連結
部２１１５の案内部２１１６はメニスカル部２１１３の
案内溝１９３５の中にはめ込まれる。ピン３３は下方へ
延長する。本発明の特徴によれば、ピン３３が延長する
向きとは逆の向き、すなわち、図２６においては上方、
へ延長する安定化延長部２１３６が連結部２１１５に形
成される。図２６は案内要素２１１５の、鎖線３９で示
されている、回転軸も示す。

【００５２】図２８と図２９は、連結部２１１５の安定
化延長部２１３６が大腿部２１１１の安定化部分２１１
４とどのようにして協働するかを明らかに示す。じん帯
構造が失われるか、損なわれる、たとえば弱くされた場
合で、しかもひざ関節を安定にするためには、その協働
はとくに望ましい。本発明の特徴によれば、安定化突起
２１３６は、中空の箱形構造２１１４の内部に入るよう
に製作される。この箱形構造は、安定化突起２１３６を
内部スペース２１３８の内部で案内する横方向側壁２１
４０を有する。これにより、軸線の中間または横方向の
ずれを阻止し、したがってひざの横方向の弱さによる脚
のひざ内反または内反ひざを阻止する。下方へ傾いた突
出ノーズ２１４２（図２８）によって背面方向の安定度
が確保される、すなわち、脛骨部２１１７の動きが背面
方向では制限される。

【００５３】大腿部２１１１と、脛骨部２１１７と、第
２の中間部すなわち連結部２１１５は、人工関節の製作
に一般的に用いられている種類の合金で全て製作するこ
とが好ましい。メニスカル部２１１３は、人工関節の製
作のために通常用いられるプラスチックで製作できる。
しかし、前記のように、凹状表面２１上の回転関節部の
前記適合構造のために、表面圧力と、摩擦による摩耗と
を最小に保つことができるから、合金で製作できる。全
ての部分をセラミック材料で製作することも可能であ
る。しかし、合金はセラミックよりも可塑性があるから
合金の方が好ましい。図２６、図２８、図２９を参照す
ると、第１の中間部２１１３により、軸線３９を中心と
して旋回運動できることはもちろん、曲げられた時に前
面方向と背面方向の間で並進運動できることがわかる。
運動の全体的な運動学は本物のひざのそれに類似する。

【００５４】図３０〜３２はこの実施例の変更例を示
す。横壁２１４１がメニスカル部２１１３から箱状の安
定化構造２１１４の内部２１３８へ延長して、安定化要
素２１３６が側壁２１４０へ直接接触することを阻止す
る。図３０は、図２８に示すように、回転関節部２５１
９が半径ｒで円筒形状にわん曲させられるような構成を
示す。図３１は、球面状にわん曲した脛骨表面２６１９
が一致する表面２１に取りつけられている状況を示す。
脛骨のわん曲した領域２７１９（図３２）は、それとは
対照的に、半径Ｒでわん曲させられる。その半径Ｒは両
方の脛骨表面２７１９に対して共通であって、半径Ｒは
半径ｒより非常に大きいから、それはほとんど円錐形で
ある。

【００５５】図３３、図３４、図３５は種々の状況に対
する置換ひざ要素の完全なセットの例を示す。図３３の
セットは、横方向のじん帯はもちろん、背面の十字形じ
ん帯が良い条件にあり、維持および保持されるような場
合に適当である。図３４は背面十字形じん帯が失われ、
横のじん帯だけが保持されている人工骨を示す。図３５
は、背面十字形じん帯も、横じん帯も保持されていない
人工骨を示す。

【００５６】それら３つの人工ひざ関節は同じメニスカ
ル部２８１３を利用するから、図３３だけに示されてい
る。３つのセットの全ては同じ脛骨部２８１７を用いる
から、同様に１つだけが示されている。図３４と図３５
に示されている大腿部の２要素構造においては、図３４
だけに一体に示されている同じベースユニット２８１２
が用いられる。しかし、安定化要素は異なり、安定化要
素２８１４（図３４）または２８１４′（図３５）はベ
ース部２８１２に取りつけられる。そのベース部２８１
２は部分２８１４の上で滑らされて、それへ固定され
る。脛骨表面２８１９は、他の所で述べたように、任意
の適当な形にできる。

【００５７】第２の中間部すなわち連結部２８１５は、
それぞれ異なる３つのケースに対して異ならせることが
できる。図３３の連結部２８１５においては、安定化部
分は不要である。図３４においては、連結部２８１５′
は突起２８３６′を有する。この突起は背面方向で単に
安定させるために設けられる。図３５の連結部２８１
５″は突起部２８３６″を有する。この突起部により中
間方向および横方向における安定性を確保されることは
もとろん、背面方向の安定性も確保される。

【００５８】図３６は、ベース部２９１２，２９１
２′，２９１２″をそれぞれ有する一体の大腿部２９１
１を示す。図３７と図３８に示す実施例においては、そ
れぞれの安定化要素２８１５′と２８１５″の延長のた
めの箱状受け構造が、２９１４′（図３７）と２９１
４″（図３８）で示されているように、ベース構造と一
体である。箱状構造２９″の全体に、図３８に示すよう
に、追加の取りつけポスト２９１６を形成できる。図３
９の実施例は図２１に記載されたものと類似する。しか
し、案内手段３０１６が第２人工骨部３０１７の上にあ
り、案内トラック３０３５が第２中間部３０１５にあ
る。さらに回転ポスト３０３３が第２中間部３０１５が
突出して、第１中間部３０１３の穴３０３１へ係合され
る。

【００５９】種々の変更を行うことができる。本発明の
範囲内で、前記実施例の任意の１つに関連して述べた諸
特徴を他の任意の実施例へ使用できる。たとえば、案内
トラックの形を変えることができ、異なる形にされた案
内トラック（図１１、図１２、図１３、図１４）、およ
び支承面２１を有する組合わされた、または独立の、メ
ニスカルユニットを任意の１つの実施例において、図２
６を参照して述べた連結部の安定化突起とともに、また
はその安定化突起なしで、使用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】滑り関節において、並進運動を行わせる、力の
関係を示す非常に簡単にした略図である。

【図２】球関節において生ずるせん断力を示す非常に簡
単にした略図である。

【図３】「開かれている」球関節において生ずる力を示
す非常に簡単にした略図である。

【図４】複合滑り−球関節における力の関係を示す。

【図５】本発明の実施例に従って、ひざ関節をシミュレ
ートするための、組合わされた滑りおよび球関節の概略
分解側面図である。

【図６】関節の第１の中間部すなわちメニスカル部の上
面図である。

【図７】図５の関節のメニスカル部の底面図である。

【図８】連結部とメニスカル部が挿入されている第２の
人工骨すなわち大腿部の上面図である。

【図９】図８の１点鎖線IX−IXに沿う横断面図である。

【図１０】図９の関節の分解斜視図である。

【図１１】人工ひざ関節の別の実施例の横断面図であ
る。

【図１２】人工ひざ関節の別の実施例の横断面図であ
る。

【図１３】人工関節の更に別の実施例の横断面図であ
る。

【図１４】図１３に示す人工関節の分解斜視図である。

【図１５】本発明の別の実施例の図１７のXIII−XIIIに
沿う概略横断面図である。

【図１６】図１５に示す実施例の分解斜視図である。

【図１７】図１５に示す実施例の上面図である。

【図１８】図１９のXV−XV線に沿う横断面図である。

【図１９】図１８の実施例の上面図である。

【図２０】図２２のXVII−XVII線に沿う横断面図であ
る。

【図２１】図２０の関節の分解斜視図である。

【図２２】図２０に示す実施例の上面図である。

【図２３】図２５のXIV−XIVに沿う人工関節の別の実施
例の部分詳細図である。

【図２４】図２３に示す関節の分解斜視図である。

【図２５】図２３の人工関節の実施例の上面図である。

【図２６】安定化突起を有する連結要素を用いる人工ひ
ざ関節の分解斜視図である。

【図２７】大腿部の関節面の単一中心構造を示す。

【図２８】延長時の図２６の人工関節を示す。

【図２９】９０度曲げられた図２６の人工関節を示す。

【図３０】回転関節部の円筒形形成の部分横断面図を示
す。

【図３１】回転関節部の顆状突起の球面状形を示す。

【図３２】回転関節部の球面状形を示す。

【図３３】背面十字形じん帯と横方向じん帯が保持され
る人工関節の分解斜視図である。

【図３４】横方向じん帯だけが保持される人工関節の分
解斜視図である。

【図３５】背面十字形じん帯も、横方向じん帯も保持さ
れない人工関節の分解斜視図である。

【図３６】図３３のセットに用いる単一要素すなわち一
体大腿部の斜視図である。

【図３７】図３４のセットに用いる単一要素すなわち一
体大腿部の斜視図である。

【図３８】図３５のセットに用いる単一要素すなわち一
体大腿部の斜視図である。

【図３９】他の実施例の関節の分解斜視図である。

【符号の説明】

１１ 第１の人工骨部 １３，１３ａ，１３ｂ，１３１３，１７１３，１９１
３，２１１３，２８１３中間部 １６，１６ａ，１６ｂ，１３１６，１７１６，１９１
６，２１１６，２８１６案内手段 １７，１７ａ，１７ｂ，１３１７，１９１７，２１１
７，２８１７ 第２の人工骨部 １９，２１１９，２５１９，２６１９，２７１９，２８
１９ 第１の回転関節部 ２１ 第２の回転関節部 ２５，２７，１３２７，２１２５ 骨取りつけ手段 ３５，１３３５，１７３５，１９３５ 案内トラック手
段

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 骨取り付け部分（２１１６）と、 第１の回転関節部分（１９，２１１９，２５１９，２６
   １９，２７１９，２８１９）とを含む第１の人工骨部
   （１１）と；骨取り付け手段（２５，２７，１３２７，
   ２１２５）と、 本質的に平らな側面（２３，２４）とを含む第２の人工
   骨部（１７，１７ａ，１７ａ，１３１７，１９１７，２
   １１７，２８１７）と；中間部（１３，１３ａ、１３
   ｂ，１１１３，１３１３，１７１３，１９１３，２１１
   ３，２８１３）と、 前記第１の回転関節部分を受けるためにその第１の回転
   関節部分と本質的に調和する回転関節表面を有する第２
   の回転関節部（２１）と、 前記第２の人工骨部（１７）と回転関節部（２１）とを
   結合する回転軸を有する結合手段（１５，１１５，１３
   １５，１７１５，１９１５，２１１５，２８１５）とを
   含む中間部と；を有し、前記中間部を、それの回転に加
   えて、並進方向に動けるようにする装置を備え、この装
   置は、 案内手段（１６，１６ａ，１６ｂ，１３１６，１７１
   ６，１９１６，２１１６，２８１６）と、 前記少なくとも中間部の一つに形成され、前記案内手段
   に係合するための形および寸法にされた案内トラック手
   段（３５，１３３５，１７３５，１９３５）と、を備
   え、この案内トラック手段は、前記人工関節で取替えら
   れる自然関節の滑り運動の生理的な方向に本質的に類似
   する方向に延長する、自然関節の代替用の人工関節、と
   くに人工ひざ関節。