JP2741013B2 - ろ過集塵装置におけるはらい落し機構用の給気器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ろ過集塵装置に設けら
れているはらい落し機構のための給気器に関し、特にろ
過集塵装置の外側から接続するのに適した給気器に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】ろ過集塵装置としては種々のタイプのも
のが提案されて使用されているが、中でもバッグフィル
タと呼ばれるろ過集塵装置は、ろ布またはろ紙等の比較
的安価で簡単な構成のろ材（バッグ）に含塵ガスを通す
ことによってダストを分離捕集するようにしたものであ
り、最も一般的に採用されているものである。

【０００３】このバッグを使用したろ過集塵装置では、
数秒〜数分間で初層（１次付着層あるいは粉塵膜）がダ
ストそれ自体によって形成されると、この初層によって
も１μ前後の微小ダストも捕集できるようになるのであ
るが、ろ布またはろ紙からなるバッグに集塵されたダス
ト層が厚くなると圧力損失が大きくなるので、付着ダス
トを適当な時間間隔ではらい落とさなければならない。
これを行うのがはらい落し機構なのである。

【０００４】はらい落し機構としては、バッグに機械的
振動を与えるようにしたものもあるが、バッグそれ自体
の保護をも行う等の理由から、高圧の清浄空気を吹き付
けるようにしたものが一般的に採用されている。すなわ
ち、はらい落し機構としては、バッグのダスト付着面と
反対の方向から高圧空気を吹き込んではらい落とすリバ
ースジェット式（パルスジェット式）、あるいは含塵ガ
スのろ過方向を普通とは逆に外から内側に向け、バッグ
内上部に設けたジェットノズルから、高圧空気を定時間
毎に順次噴出させて、集塵ダストを払い落とす方式のも
のがある。

【０００５】以上のいずれの方式を採用するにせよ、高
圧縮気体（空気）を各バッグ側に供給しなければならな
いし、それを一定時間の間隔をおいて行わなければなら
ない。そのような高圧気体の間欠供給を行うのが、給気
器なのである。

【０００６】従来より一般に採用されている給気器は、
図４及び図５に示すようなものであり、図示しない高圧
気体供給装置から１つのヘッダタンク内に高圧気体を供
給して貯留しておき、このヘッダタンク内の高圧気体を
ろ過集塵装置側に間欠的に供給するようにしたものであ
る。この従来の給気器によって、高圧気体のろ過集塵装
置側に対する間欠供給を行うためには、通常は電磁弁が
使用されるのであるが、この電磁弁は、ヘッダタンクと
ろ過集塵装置間に配置されるものであり、図５に示した
ように、各種のニップルやロッキングジョイントを使用
して接続されるものである。

【０００７】これらのニップルやロッキングジョイント
は、ろ過集塵装置側のはらい落し機構を構成してろ過集
塵装置の外筒から外方に突出している接続管に対して、
各電磁弁やヘッダタンクを接続するものであるが、図５
にも示したように非常に数が多いものであり、かつ全て
「芯合わせ」を行わなければならず、その接続作業は煩
雑を極めているものである。また、この従来のろ過集塵
装置においては、数多くのニップルやロッキングジョイ
ントを使用しているため、これらの配管引き回しやハウ
ジング自体の存在によって流体抵抗が大きくなり、折角
供給した高圧気体の圧力損失を招くものである。勿論、
ろ過集塵装置に対するヘッダタンクの取付位置によって
は、ニップル等の長さ調整も行わなければならず、この
種の給気器のろ過集塵装置に対する接続作業は、全体と
して相当手間が掛り、面倒なものであったのである。

【０００８】そこで、本発明者等は、以上のようにろ過
集塵装置のための給気器として、構成が簡単で取付作業
等ももっと効率的に行えるようなものが提供できないか
と種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのであ
る。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な経緯に基づいてなされたもので、その解決しようとす
る課題は、ろ過集塵装置のための給気器の構造をコンパ
クト化して、その取付作業をも容易に行えるようにする
ことである。

【００１０】すなわち、本発明の目的とするところは、
電磁弁をヘッダタンクに一体化することによって、構造
を簡略化することができ、しかも接続・取付作業やメン
テナンスをも簡単に行うことのできる給気器を提供する
ことにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、本発明の採った手段は、実施例において使用する
符号を付して説明すると、「含塵ガスをバッグに通して
ダストを分離捕集するろ過集塵装置２０において使用さ
れ、各バッグへの付着ダストをはらい落とすはらい落し
機構に適用される給気器１０であって、この給気器１０
を、給気供給源からの気体を貯留するとともに、断面が
四角形状である１つのヘッダタンク１１と、このヘッダ
タンク１１の１つの平面に少なくとも１つ設けられてそ
の弁体１２ａを当該ヘッダタンク１１内にて開閉作動さ
せる電磁弁１２と、これら各電磁弁１２の弁体１２ａに
一端１３ａが対向すべくヘッダタンク１１内に設けら
れ、他端１３ｂがヘッダタンク１１外に開口する分気管
１３とを備えたものとして構成して、この給気器１０の
各分気管１３の他端１３ｂを、ろ過集塵装置２０のはら
い落し機構を構成している接続管２１にロッキングジョ
イント２２を介して接続するようにしたことを特徴とす
る給気器１０」である。

【００１２】すなわち、この給気器１０は、その各分気
管１３の他端１３ｂをろ過集塵装置２０内に設けられた
図示しないはらい落し機構を構成している各接続管２１
の外端に接続しながら、その取付部１１ａ等を利用して
ろ過集塵装置２０の外側に直接接続させるものであり、
断面が四角形状の１つのヘッダタンク１１の１つの平面
に少なくとも１つの電磁弁１２を一体化したものであ
る。そして、そのヘッダタンク１１内には、一端１３ａ
が各電磁弁１２の弁体１２ａに対向する分気管１３を一
体的に設け、この各分気管１３の他端１３ｂを、ろ過集
塵装置２０のはらい落し機構を構成している接続管２１
にロッキングジョイント２２を介して接続したのであ
る。

【００１３】

【発明の作用】以上の通り、本発明に係る給気器１０
は、１つのヘッダタンク１１に対して電磁弁１２及びこ
れに対向する分気管１３を一体化して構成したものであ
るから、例えば図５に示したような従来の給気器に比較
すれば、その構造は非常にコンパクトなものとなってい
るのであり、当該給気器１０を構成するための部品点数
も非常に少なくなっている（図５のものに比較すれば５
点程部品数が減っている）のである。特に、本発明にお
ける給気器１０のヘッダタンク１１は、断面が四角形状
となるようにしたから、断面が丸のものに比較して、弁
の作動空間と空気の流れを確保するためのパイプを、当
該ヘッダタンク１１と電磁弁１２との間に設ける必要が
なく、その分構成が簡単となり、部品点数も減らすこと
ができるのである。また、断面が丸であるヘッダタンク
に必要であったパイプ中では、空気の流れが乱されるこ
とになるのであるが、本発明のヘッダタンク１１では断
面が四角形状となるようにしてあるので、そのようなこ
とはない。

【００１４】このように、本発明の給気器１０が簡単な
構成になっていることから、この給気器１０の製造は勿
論、ろ過集塵装置２０に対する設置作業やメンテナンス
作業も非常に容易なものとなっているのである。例え
ば、各分気管１３はヘッダタンク１１に一体化されてい
るものであるが、その数と間隔とをろ過集塵装置２０側
に接続管２１に対するそれに合わせて予め形成しておく
ことは容易に行えるものであり、そうしておけば、各分
気管１３と接続管２１とのロッキングジョイント２２に
よる接続は、簡単に行えるのである。しかも、各電磁弁
１２はヘッダタンク１１に一体化してあるのであるか
ら、その接続のための従来必要であった「芯合わせ」は
全く不要となっているのである。特に、本発明における
給気器１０のヘッダタンク１１は、断面が四角形状とな
るようにしてその１つの平面に電磁弁１２を一体化する
よにしているので、当該ヘッダタンク１１に対する電磁
弁１２の位置合わせや取付けが容易となり、芯合わせも
良好に行え、このことによっても部品点数が減らせるも
のとなっているのである。

【００１５】以上のように、ろ過集塵装置２０側の接続
管２１に対して、ロッキングジョイント２２を利用して
各分気管１３の他端１３ｂを接続しながら、図２に示す
ように、当該給気器１０の取付部１１ａをろ過集塵装置
２０側の取付部２３に固定するようにすれば、この給気
器１０のろ過集塵装置２０に当する取付けは完了するの
であり、その接続作業は勿論のこと、メンテナンスのた
めの当該給気器１０の取外し作業も簡単に行えるのであ
る。特に、この給気器１０では、その各分気管１３の他
端１３ｂを、ろ過集塵装置２０のはらい落し機構を構成
している接続管２１にロッキングジョイント２２を介し
て接続するようにしているため、ろ過集塵装置２０の円
筒面（高圧に耐えるようにするためには球または円筒と
しなければならない）となっている外面への、当該給気
器１０を構成している各分岐管１３の接続を、ロッキン
グジョイント２２による調整で簡単に行えるのである。
このことは、ろ過集塵装置２０の直径が異なっても、こ
れに対する当該給気器１０の接続を容易に行えることを
意味しており、当該給気器１０が汎用性にも優れたもの
であることをも示している。

【００１６】さて、以上のようにしてろ過集塵装置２０
に取付けられた給気器１０のヘッダタンク１１内には、
図示しない圧縮空気供給装置から図２に示した１本の接
続管を介して高圧気体が供給されるのであるが、各分気
管１３のヘッダタンク１１内にある一端１３ａは、電磁
弁１２によって閉状態にされている弁体１２ａによっ
て、図３に示したように閉じられた状態にある。このた
め、ヘッダタンク１１内には所定の圧力の気体が貯留さ
れることになる。

【００１７】ここで、電磁弁１２が作動されれば弁体１
２ａが分気管１３の一端１３ａを開状態にするから、ヘ
ッダタンク１１内の高圧気体は、従来のもののような電
磁弁ハウジングやそこまでの配管抵抗による圧力損失を
受けることなく、分気管１３を通してろ過集塵装置２０
側の接続管２１から図示しないはらい落し機構に瞬時に
供給されるのである。なお、はらい落し機構は、高圧間
欠供給によってろ過集塵装置２０内のフィルタバッグ表
面に積層したダストをはらい落とす一般的なものであ
り、フィルターバッグからはらい落とされたダストはろ
過集塵装置２０の下端部に堆積されるのである。

【００１８】勿論、一般に、各電磁弁１２は間欠かつ順
次作動されているから、図２に示したもののように電磁
弁１２が複数ある場合であっても、ヘッダタンク１１内
に貯留されていた高圧気体の圧力を急激に下げてしまう
ことはない。仮に、各電磁弁１２を同時作動する必要が
あれば、その分ヘッダタンク１１の容量を予め大きくし
ておけば、各電磁弁１２の作動によってヘッダタンク１
１内の圧力が所定以下になることを防止し得るものであ
る。

【００１９】特に、本発明の給気器１０では、ヘッダタ
ンク１１の形状を四角のものとしているので、これによ
り、このヘッダタンク１１に対する各電磁弁１２及び分
気管１３の気密的取付を容易にしているものである。

【００２０】

【実施例】以下に、本発明を、図面に示した実施例に基
づいて説明すると、図１には、ろ過集塵装置２０側に接
続した給気器１０の側面図が示してあり、この給気器１
０は、図２及び図３に示したように、１つのヘッダタン
ク１１に少なくとも１つ（本実施例では３個）の電磁弁
１２及び分気管１３を一体的に設けて構成したものであ
る。

【００２１】本実施例のヘッダタンク１１は、図２及び
図３に示したように、互いに平行な壁を有する四角形状
のものに形成したものであり、その中に高圧気体を貯留
するために気密的なものとして構成したものである。勿
論、このヘッダタンク１１内には高圧気体が供給される
ものであるから、図２に示したように、そのための１本
の給気管が気密的に取付けてあるものであり、この給気
管には図示しない圧縮気体供給装置が接続されるもので
ある。

【００２２】このヘッダタンク１１の両端には、図３に
示したように、取付部１１ａがそれぞれ一体化してあ
り、これら各取付部１１ａをろ過集塵装置２０側の取付
部２３に取付けるとともに、後述する各分気管１３の他
端１３ｂを各接続管２１に接続することにより、当該ヘ
ッダタンク１１、つまり給気器１０はろ過集塵装置２０
側に取付けられるのである。

【００２３】このヘッダタンク１１には、図３に示した
ように、少なくとも１つの電磁弁１２と、これに対向す
る分気管１３がそれぞれ一体的かつ気密的に取付けてあ
る。なお、実施例では、図３の図示左側に位置するヘッ
ダタンク１１の右側壁に電磁弁１２が取付けてあり、こ
のヘッダタンク１１の左側壁に直交する状態で各分気管
１３が取付けてあり、これにより、電磁弁１２の弁体１
２ａが分気管１３のヘッダタンク１１内に開口している
一端１３ａ側に対向している。

【００２４】電磁弁１２としては一般に採用しているも
のを使用しているのであり、そのヘッダタンク１１内側
に弁体１２ａを有したものである。図３に示した弁体１
２ａは、その電磁弁１２が作動したときに、分気管１３
の一端１３ａを塞いでいた状態から引き離すことによ
り、分気管１３の一端１３ａのヘッダタンク１１内での
開放を行うものであり、通常時は一端１３ａを閉じてい
るものである。この弁体１２ａとしては、さらに、ヘッ
ダタンク１１内の高圧力を利用するようにしたもの、例
えば図３の図示右側にヘッダタンク１１内の圧力が加わ
るようにしたダイアフラム等、種々なものが考えられ
る。

【００２５】分気管１３としては、その一端１３ａが電
磁弁１２の弁体１２ａによって開放され、その他端１３
ｂがロッキングジョイント２２を介してろ過集塵装置２
０側の接続管２１に気密的に接続できるものであれば何
でもよいが、一端１３ａはヘッダタンク１１内に、また
他端１３ｂはヘッダタンク１１外に開口したものである
必要がある。勿論、この分気管１３は、電磁弁１２の数
と同じだけ設けられるものであり、ヘッダタンク１１に
対しては気密的に一体化されるものであることは言うま
でもない。

【００２６】以上のような電磁弁１２及び分気管１３の
対が、図２に示したように３つのように複数のものにし
た場合には、各電磁弁１２の作動が順次移行してなされ
るようにするとよい。その理由は、各電磁弁１２の作動
が一度に行われたとすると、ヘッダタンク１１内の圧力
が所定以下になってしまうことがあり、その場合には、
各分気管１３から供給された圧力気体によって作動する
はずの、図示しないはらい落し機構の作動が十分なもの
とならない可能性があるからである。

【００２７】

【発明の効果】以上詳述した通り、本発明においては、
上記実施例にて例示した如く、「含塵ガスをバッグに通
してダストを分離捕集するろ過集塵装置２０において使
用され、各バッグへの付着ダストをはらい落とすはらい
落し機構に適用される給気器１０であって、この給気器
１０を、給気供給源からの気体を貯留するとともに、断
面が四角形状である１つのヘッダタンク１１と、このヘ
ッダタンク１１の１つの平面に少なくとも１つ設けられ
てその弁体１２ａを当該ヘッダタンク１１内にて開閉作
動させる電磁弁１２と、これら各電磁弁１２の弁体１２
ａに一端１３ａが対向すべくヘッダタンク１１内に設け
られ、他端１３ｂがヘッダタンク１１外に開口する分気
管１３とを備えたものとして構成して、この給気器１０
の各分気管１３の他端１３ｂを、ろ過集塵装置２０のは
らい落し機構を構成している接続管２１にロッキングジ
ョイント２２を介して接続するようにしたこと」にその
構成上の特徴があり、これにより、電磁弁をヘッダタン
クに一体化することによって、構造を簡略化簡単にする
ことができ、しかも接続・取付作業やメンテナンスをも
簡単に行うことのできる給気器を提供することができる
のである。

【００２８】すなわち、本発明に係る給気器１０によれ
ば、 ろ過集塵装置において使用されるはらい落し機構への
高圧気体の供給を、非常に簡略化された配管引き回しに
よって行うことができて、メンテナンスを簡単意行うこ
とができる。 従来必要であったロッキングジョイント２２等の配管
のための各部材の「芯合わせ」を非常に少なくすること
ができるから、その作業の容易化を図ることができる。 従って、この給気器１０は、その取付及び取外し作業
を簡単に行うことができる。 配管引き回しを簡略化することができ、「芯合わせ」
作業を簡単にできるのであるから、コストダウンを図る
ことができる。 当該給気器１０は、その周囲の配管引き回しを簡略化
することができるのであるから、全体をコンパクトなも
のとすることができる。 といった優れた効果を発揮することができるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る給気器を取付けたろ過集塵装置の
側面図である。

【図２】同給気器の取付前の斜視図である。

【図３】同給気器の拡大縦断面図である。

【図４】従来の給気器を取付けたろ過集塵装置の側面図
である。

【図５】同給気器のろ過集塵装置に取付ける前の状態を
示した分解斜視図である。

【符号の説明】

１０ 給気器 １１ ヘッダタンク １１ａ 取付部 １２ 電磁弁 １２ａ 弁体 １３ 分気管 １３ａ 一端 １３ｂ 他端 ２０ ろ過集塵装置 ２１ 接続管 ２２ ロッキングジョイント ２３ 取付部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】含塵ガスをバッグに通してダストを分離捕
   集するろ過集塵装置において使用され、前記各バッグへ
   の付着ダストをはらい落とすはらい落し機構に適用され
   る給気器であって、 この給気器を、給気供給源からの気体を貯留するととも
   に、断面が四角形状である１つのヘッダタンクと、この
   ヘッダタンクの１つの平面に少なくとも１つ設けられて
   その弁体を当該ヘッダタンク内にて開閉作動させる電磁
   弁と、これら各電磁弁の前記弁体に一端が対向すべく前
   記ヘッダタンク内に設けられ、他端がヘッダタンク外に
   開口する分気管とを備えたものとして構成して、 この給気器の各分気管の他端を、前記ろ過集塵装置のは
   らい落し機構を構成している接続管にロッキングジョイ
   ントを介して接続するようにしたことを特徴とする給気
   器。