JP2740953B2 - 主軸定位置停止制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、工作機械の主軸を停止制御する主軸定位置
停止制御装置に関する。

（従来の技術） 通常の主軸を駆動する主軸モータは、速度制御モード
と位置制御モードとに切替可能な停止制御装置により制
御される。これにより、工作機械による加工に際しては
速度制御指令に従って主軸モータは所定の速度で工具等
を回転駆動し、工具交換時指令等には、指令された停止
位置に停止制御することができる。

（発明が解決しようとする課題） このような従来の主軸モータの制御方式においては、
位置制御のための原点復帰動作を行なう必要があり、そ
のために、モータ速度が一度零になってから位置制御モ
ードに切換え、停止制御を行なっていた。つまりモード
切替を必要とする従来の方式では、位置制御に移行した
後でないと基準停止位置から停止位置までのモニタが行
なわれず、しかも通常の速度制御から位置制御に滑らか
に移行することが困難であるため、一旦停止したモータ
を指令速度とは別のオリエンテーション速度で回転駆動
しなければならない等の問題があった。

本発明は、上記課題を解決するためになされたもの
で、主軸モータを位置制御する場合に、その制御の切替
を円滑に行なえるようにした主軸定位置停止制御装置を
提供することを目的としている。

（課題を解決するための手段） 本発明によれば、主軸の一定角度回転毎に形成される
パルス列信号と指令された速度信号とを比較して主軸回
転速度を指令速度に一致させるとともに、主軸の基準位
置に対応する１回転信号を検出し、この１回転信号を基
準にして主軸の定位置停止制御を行う主軸定位置停止制
御装置において、前記１回転信号発生から主軸停止位置
までのパルス数を記憶する記憶手段と、前記パルス列信
号に基づく主軸回転速度を所定値と比較する第１の比較
手段と、主軸回転速度が所定値に達したことを検知した
前記第１の比較手段の信号発生直後の１回転信号を検出
する手段と、主軸の制御モードを位置制御モードに切り
換えるとともに、前記１回転信号が検出された後に入力
するパルス数を計数する計数手段と、前記パルス数を計
数する計数手段の計数値と前記記憶手段に記憶されてい
るパルス数を比較する第２の比較手段と、前記第２の比
較手段において計数手段の計数値と記憶手段が記憶する
パルス数が一致したとき、主軸を停止せしめる制御手段
と、を具備したことを特徴とする主軸定位置停止制御装
置を提供できる。

（作用） 本発明の主軸定位置停止制御装置では、主軸速度が前
記比較手段に設定された所定値より低下したとき、前記
計数手段により計数されるパルス数に従って主軸回転角
度を計測し、前記記憶手段で記憶している主軸停止位置
で停止制御することができる。

（実施例） 以下、本発明の一実施例を図面に従って詳細に説明す
る。

第１図は、主軸モータの制御システムの一例を示すブ
ロック図である。主軸モータ１には、速度検出及び位置
検出機能を有するパルスコーダ２と、主軸の基準位置に
対応する１回転信号を発生するパルス発生器３とが接続
され、例えば主軸１回転当り数万パルスのパルス列信号
と、１回転信号とが制御回路にフィードバックされてい
る。またモータ電流を検出する電流検出器４からは電流
フィードバック信号が制御回路５に供給されている。上
記制御回路５は、所定の演算機能を有し、NC装置等から
の速度指令が与えられ、それに基づいてモータ駆動回路
６に指令速度に対応する電流指令を出力している。また
この制御回路５には、停止制御可能な速度V₀がモータデ
ータとしてその制御パラメータ領域に事前に設定され
る。

上記パルスコーダ２は、モータの高速回転する領域で
は速度検出信号を検出し、低速領域では、位置検出器と
して主軸の回転角度に比例するパルス列信号を計数する
ものである。また、パルス発生器３は、このパルス列信
号から検出される主軸モータ１の１回転毎に、１つの１
回転信号を発生している。

第２図は、上記制御回路５における制御のフローを示
す図である。

主軸モータ１がある速度V₀以上で回転しているとき
は、通常の速度制御が実行され、その後に減速モードに
移行して指令速度が低下し、それに伴なってモータ速度
Ｖが遅くなると、比較手段、例えば制御回路５内のレジ
スタ等により、主軸回転速度が所定値を下回ったことが
検出される（ステップａ）。ステップｂではパルス発生
器３からの１回転信号の有無が検出されており、Ｖ≦V₀
となった後に発生する１回転信号と同期して、制御回路
５に入力するパルスコーダ２からのパルス数が、所定の
計数手段により計数される（ステップｃ）。

第３図は、従来の定位置停止制御と本発明の方式とを
比較するタイムチャートである。同図（ａ）に示す従来
方式のものでは、速度制御モードから位置制御モードに
なってから実際に位置制御が行なわれるタイミングにＴ
の遅れがあって、しかも、主軸モータ１の速度が零にな
ったことを確認してからであるのに対し、本発明の方式
（同図（ｂ））では、主軸速度が比較手段に設定された
所定速度V₀より低下したとき、前記計数手段によりパル
ス数を計数して位置モニタが開始され、位置制御モード
になるとすぐに位置制御が行なわれている。

なお、このパルス数の計数は、指令速度とモータの実
速度との偏差を演算する誤差演算器により実行すること
も可能である。停止位置が指令されたあと、誤差演算器
にフィードバックされるパルス列信号をカウントして指
令された停止位置データとの間で比較し、それにより主
軸モータ１の現在位置のモニタが行なわれる。すなわ
ち、原点復帰動作を行なわずに、主軸が回転している状
態で主軸の絶対位置を検出することが可能になる。そし
て、この時点で主軸モータ１の速度が零になっていれ
ば、位置制御モードにし、位置制御ができる。また、主
軸モータ１が停止するまでの間に複数回回転しても、上
記制御動作も繰り返すことにより、主軸を設定された停
止位置で停止制御することは可能である。また、主軸モ
ータ１にギヤ結合された主軸から速度検出する構成の制
御システムであっても、同様に停止制御することができ
る。

以上、この発明をある程度詳細にその最も好ましい実
施態様について説明したが、その好ましい実施態様の説
明は、構成の詳細な部分についての変形、特許請求の範
囲に記載された本発明の精神に反しない限りでの種々な
変形、あるいはそれらを組み合わせたものに変更するこ
とができることは明らかである。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明は、１回転信号発生から
主軸停止位置までのパルス数を記憶する記憶手段と、パ
ルス列信号に基づく主軸回転速度を所定値と比較する第
１の比較手段と、主軸回転速度が所定値に達したことを
検知した前記第１の比較手段の信号発生直後の１回転信
号を検出する手段と、主軸の制御モードを位置制御モー
ドに切り換えるとともに、前記１回転信号が検出された
後に入力するパルス数を計数する計数手段と、前記パル
ス数を計数する計数手段の計数値と前記記憶手段に記憶
されているパルス数とを比較する第２の比較手段と、前
記第２の比較手段において計数手段の計数値と記憶手段
が記憶するパルス数が一致したとき、主軸を停止せしめ
る制御手段と、を具備しているので、主軸を定位置に停
止させるとき、定位置停止指令とは関係なく、前もって
現在位置のモニタを開始しているため、その後位置制御
モードに切換ったときより少ない回転動作およびより短
い停止時間にて定位置停止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例を示すブロック図、第２図
は、同実施例の動作説明するフローを示す図、第３図
（ａ），（ｂ）は、従来方式の制御のタイミングと比較
して示す説明図である。 １……主軸モータ、３……パルス発生器、５……制御回
路。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】主軸の一定角度回転毎に形成されるパルス
   列信号と指令された速度信号とを比較して主軸回転速度
   を指令速度に一致させるとともに、主軸の基準位置に対
   応する１回転信号を検出し、この１回転信号を基準にし
   て主軸の定位置停止制御を行う主軸定位置停止制御装置
   において、 前記１回転信号発生から主軸停止位置までのパルス数を
   記憶する記憶手段と、 前記パルス列信号に基づく主軸回転速度を所定値と比較
   する第１の比較手段と、 主軸回転速度が所定値に達したことを検知した前記第１
   の比較手段の信号発生直後の１回転信号を検出する手段
   と、 主軸の制御モードを位置制御モードに切り換えるととも
   に、前記１回転信号が検出された後に入力するパルス数
   を計数する計数手段と、 前記パルス数を計数する計数手段の計数値と前記記憶手
   段に記憶されているパルス数を比較する第２の比較手段
   と、 前記第２の比較手段において計数手段の計数値と記憶手
   段が記憶するパルス数が一致したとき、主軸を停止せし
   める制御手段と、 を具備したことを特徴とする主軸定位置停止制御装置。