JP2732398B2

JP2732398B2 - 高耐食性亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼ワイヤ

Info

Publication number: JP2732398B2
Application number: JP62096249A
Authority: JP
Inventors: 純一関; 寿佳高沢; 雄三松平; 重治松田; 益雄汐谷; 和久山木
Original assignee: Nippon Telegraph and Telephone Corp; Tokyo Seiko Co Ltd
Current assignee: Nippon Telegraph and Telephone Corp; Tokyo Seiko Co Ltd
Priority date: 1987-04-21
Filing date: 1987-04-21
Publication date: 1998-03-30
Anticipated expiration: 2013-03-30
Also published as: JPS63262451A

Description

【発明の詳細な説明】【産業上の利用分野】本発明は耐食性の極めて良好なZn-Al合金めっき鋼ワ
イヤに関する。【従来の技術】腐食環境、例えば、海岸地帯や海洋で使用されるワイ
ヤ製品は、高耐食性を得るためにZn、Cd、Al等の単体で
被覆されるか、あるいは、Zn-Mg系、Zn-3〜20％Al系等
の合金めっきが施されている。【発明が解決しようとする問題点】しかし、Znめっきでは耐食性の不足、Cdめっきでは毒
性、Al被覆では局部腐食の発生等の難点がある。また、
近年開発が進んでいるZn系合金による溶融めっきも耐食
性が十分とはいえず、ワイヤ製品の長寿命化の要望が強
い今日、要求を完全に満足させ得ないという問題があっ
た。本発明は前記問題を解決するためになされたものであ
り、その目的は高耐食性の鋼ワイヤを提供することにあ
る。【問題点を解決するための手段】本発明は鋼ワイヤに関する発明であって、めっき構造
が、上層がZn固溶体とAl固溶体の混合体で、下層が実質
的にFe-Zn-Al3元金属間化合物である亜鉛−アルミニウ
ム合金めっき鋼ワイヤにおいて、鋼ワイヤにめっき温度
440〜460℃、浸漬時間５〜10秒で溶融Znめっきを施し、
引続き、めっき温度420〜450℃、浸漬時間５〜30秒で溶
融Zn-Al系合金めっきを施して形成した前記下層の厚さ
が２〜10μｍであることを特徴としている。本発明者は、Zn-Al系合金めっきの高耐食性に着目
し、ワイヤ等への適用を検討してきた。この過程でZn-A
l系合金めっきを施したワイヤの塩水噴霧試験（以下SST
という）において、めっき上層に比べ、めっき下層の腐
食減量速度が小さいことを見出した。この原因を追究す
るため、めっき層の分析を進めた結果、耐食性が高いめ
っき下層部分にはFe-Zn-Alを主成分とする金属間化合物
層が形成されていることを確認した。更に、めっき下層に当たる「Fe-Zn-Alを主成分とする
金属間化合物」とめっき上層部に当る「Zn固溶体−Al固
溶体混合相合金」の腐食試験サンプルをそれぞれ製造し
SSTを行ったところ、前者の腐食減量速度が後者の1/2以
下であることが認められた。本発明は上記の発見に基づき、Fe-Zn-Alを主成分とす
る金属間化合物の高耐食性を積極的に活用して長寿命な
ワイヤ製品を得ようとするものであり、従来のZn固溶体
−Al固溶体混合相合金の耐食性を利用したZn-Al系合
金、例えば、Zn-5％Al-0.03％La-0.025％Ce合金、Zn-5
％Al-0.1％Mg合金等を１層めっきした製品と異なる。本発明において、金属間化合物層の厚さを２〜10μｍ
としたのは、２μｍ未満の場合２層めっきによる耐食性
向上効果が少なくなり、10μｍを超す金属間化合物層が
あるとワイヤの曲げ加工時にひび割れを生じやすく、か
つワイヤのねじり特性の低下が見られるためである。上述の２層構造めっきは、後記の実施例に示すよう
に、ワイヤに溶融Znめっきを施したのち、更にZn-Al系
合金溶融めっきを施せば実現することができる。なお、本発明のワイヤあるいはその撚合体の表面に３
層目として樹脂被覆やクロム酸、タンニン酸などの化学
処理、又は他金属、例えば鉛、アルミニウム等を被覆す
ることも可能で耐食性、耐疲労性を高めることができ
る。【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されない。なお、各例における％は重量％を意味する。【実施例１】 2.3mm径の硬鋼線に最初、純Znめっきを施した後、更
に、その上にAl濃度が4.2％、残りがZnを主成分とするZ
n-Al系合金めっきを施した。硬鋼線材JIS G 3506 SWRH62Aを原料とする2.3mm径の
ワイヤに最初、純Znめっきを浴温440〜460℃、浸漬時間
５〜10秒で施した後、更に、その上にAl濃度が4.2％、
残りがZnを主成分とするZn-Al系合金めっきを浴温420〜
450℃、浸漬時間５〜30秒で施した。このプロセスにより、ワイヤ地金に接する部分には厚
さが６μｍのFe-Zn-Alを主成分とする金属間化合物層、
その上に厚さ37μｍのZn固溶体−Al固溶体混合層の２層
めっき構造を有するめっきワイヤを得た。第１表は、この２層めっきワイヤあるいはこれを７本
撚合させた撚線の耐食性及び機械的性質を、Zn-Al系合
金を１層めっきしたワイヤあるいはこれを７本撚合せた
撚線と比較した結果である。また、第２表は、２層めっ
き７本撚線を更に３本撚合せロープを形成し、これを海
岸道路に１年間架設して通常のZnめっきを施したロープ
と実用比較試験した結果である。これらの結果から明らかなように、本発明の２層めっ
きのワイヤあるいはこれから成る撚合体は、Zn-Al系一
層合金めっきあるいはZnめっきの製品に比較して高度な
耐食性を有し、機械的性質に関してもそん色がない。なお、Zn-5％Al-0.5％ミッシュメタル合金、Zn-5％
Al-0.5％Mg合金を用いて上記実施例と同様な比較試験を
行った結果、２層化による耐食性の改善効果が認められ
た。また、耐曲げ疲労試験を行った結果、下層厚さが９
μｍ以下では100万回の曲げに対しても素線の断線が発
生しないが、下層厚さが15μｍ以上では10万回程度の曲
げでも素線が断線するものが見られた。【発明の効果】以上説明したように、本発明による２層めっきワイヤ
あるいはこれから成る撚合体を腐食環境で使用した場
合、従来の製品に比べ長寿命が期待されるため、海洋、
海岸地帯、温泉地帯でケーブル吊線、電柱支線、架空地
線、金網、ガードロープ、じゃかご、かき養殖用ワイヤ
等に使用すれば経済化を図ることができる。とくに風圧
により繰り返し曲げ変形を受けるケーブル吊線に対して
長寿命が期待できる。また、ぶどう棚用のワイヤ等厳し
い腐食環境で使用されるワイヤ類にも極めて有効であ
る。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者高沢寿佳武蔵野市緑町３丁目９番11号日本電信電話株式会社電子機構技術研究所内 (72)発明者松平雄三武蔵野市緑町３丁目９番11号日本電信電話株式会社電子機構技術研究所内 (72)発明者松田重治茨城県新治郡出島村大字宍倉5707番地東京製綱株式会社研究所内 (72)発明者汐谷益雄茨城県新治郡出島村大字宍倉5707番地東京製綱株式会社研究所内 (72)発明者山木和久茨城県新治郡出島村大字宍倉5707番地東京製綱株式会社研究所内 (56)参考文献特開昭56−112452（ＪＰ，Ａ) 特表昭57−500475（ＪＰ，Ａ) 特公昭54−33223（ＪＰ，Ｂ２) 「鉛と亜鉛」第120号ｐ21−38（昭59 −７−15)

Claims

(57)【特許請求の範囲】１．めっき構造が、上層がZn固溶体とAl固溶体の混合体
で、下層が実質的にFe-Zn-Al3元金属間化合物である亜
鉛−アルミニウム合金めっき鋼ワイヤにおいて、鋼ワイ
ヤにめっき温度440〜460℃、浸漬時間５〜10秒で溶融Zn
めっきを施し、引続き、めっき温度420〜450℃、浸漬時
間５〜30秒で溶融Zn-Al系合金めっきを施して形成した
前記下層の厚さが２〜10μｍであることを特徴とする高
耐食性亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼ワイヤ。