JP2731234B2 - 香気性にすぐれかつ感作性の低いクローブ油の製造法 - Google Patents

香気性にすぐれかつ感作性の低いクローブ油の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、クローブ油に含まれる接触皮膚アレルギー
を起こす性質(以下、感作性という)を有する物質(以
下、感作性性質という)を減圧蒸留によって除去し、留
出した精油に、デヒドロジオイゲノールを配合すること
によって、香気性(匂い、残香性)にすぐれかつ感作性
の低いクローブ油を製造する方法に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
クローブ油は、マダガスカルや東南アジア等に産する
Eugenia Caryophyllataのつぼみを水蒸気蒸留して得ら
れる精油であり、古くより食品用着香料として用いられ
ている。またオーデコロン、ヘアートニック等、特に男
性用化粧料全般の着香料の1つとして広く用いられてい
るものである。
近年、香粧品に用いられているいくつかの天然精油に
おせる感作性物質の存在が報告されている。
しかしながら、クローブ油に関する安全性については
検討がなされていない。
そこで本発明者らは、天然精油の安全性について鋭意
検討を行った結果、クローブ油にも強い感作性が確認さ
れた。
本発明者等は、クローブ油の香りとその安全性につい
てより詳細に検討するためにクローブ油を減圧下に蒸留
し分画を行い、マキシミゼイションテスト(後述参照)
により留出精油と高沸点部である蒸留残渣について検討
した結果、クローブ油の感作性物質は、その高沸点部に
存在することを第1表に示したように決定した。クロー
ブ油の感作性物質が蒸留残渣に含まれていることから、
減圧下に蒸留し、留出精油と高沸点部である蒸留残渣を
分別する蒸留法が用いることが出来る。
しかしながら、蒸留法にてはクローブ油の香気性に重
要な高沸点部が失われ、香料精油としての価値が低下す
ると共に、低沸点部(留出精油)だけでは匂い(香り立
ち)も残香性(香気の持続性)も劣り満足できるもので
はない。
〔課題を解決するための手段〕 本発明者等は、従来技術の難点を解消せんとしてクロ
ーブ油の高沸点部の成分について鋭意研究を行いフェノ
ール骨格を有するコニフェニルアルデヒド,デヒドロジ
オイゲノールBをクローブ油の感作源として同定した。
また安全性の高くクローブ油の香気に重要な高沸点部成
分としてデヒドロジオイゲノールを同定した。それぞれ
の化合物の構造式を下記に分析結果を第2表に示した。
また感作性試験の結果を第3表に示した。これらの検討
の結果、クローブ油の減圧蒸留によって留出した精油
(低沸点部、留出精油)にデヒドロジオイゲノールを配
合することによって、クローブ油の香気、色調、成分バ
ランスに悪影響を与えることなく、源精油や留出油より
も残香性(香気の持続性)が高く匂い(香り立ち)のよ
い、かつ感作性の低いクローブ油が安易に得られること
を見出し、本発明を完成した。
本発明は、クローブ油の香気成分を変化せしめない程
度の温度で減圧蒸留を行なって留出精油を取得した後、
前記留出精油に、構造式 で表されるデヒドロジオイゲノールを配合せしめること
を特徴とする、香気性に優れかつ感作性の低いクローブ
油の製造法である。
本発明は、クローブ油の有する低沸点部の香気成分を
天然精油が有するそのままのバランスで保持するため、
クローブ油の香気成分を変化せしめない程度の温度で減
圧蒸留することによりはじまる。クローブ油の香気成分
を変化せしめない程度の温度とは、蒸留装置の蒸留缶内
の液温が140℃を越えないことであり、好ましくは120℃
以下が適当である。この場合の操作減圧度は低い程良い
が通常10mmHg以下の条件が採用される。一般に温度およ
び減圧度とも低い方を選択するのが好ましい。
また減圧蒸留による留出量は、一般に仕込みのクロー
ブ油(原精油)対して約80%程度の留出量が採用され
る。香気が損わない程度でできるだけ留出させることが
好ましい。
上述の如く適当条件下でクローブ油(原精油)を減圧
蒸留すると、クローブ油中の感作性物質が高沸点の香気
成分と共に蒸留残渣中に残留し、留出精油と分別され
る。
かくして得られた留出精油は、感作性物質を含有して
いない。
次に、前記の留出精油に対する前記のデヒドロジオイ
ゲノールの配合は、通常留出精油を撹拌しながらこれに
前記のデヒドロジオイゲノールを所要適当量添加して、
均一に溶解せしめることによって行なわれる。
デヒドロジオイゲノールの配合量(使用量)は、前期
留出油の重量を基準として0.5〜10重量%、好ましくは
1.0〜5.0重量%である。本発明に使用されるデヒドロジ
オイゲノールは藤田らの方法(日本化学雑誌 第87巻
第9号 B110〜B112(1966))により安易に入手でき
る。また本化合物は皮膚刺激や感作性がなく、安全であ
り、そして、前記留出油に易溶である。
本発明に使用するデヒドロジオイゲノール誘導体は皮
膚刺激や感作性が無く、安全であり、そして前記留出精
油に易溶である。
本発明により、天然のクローブ油の香気,色調,成分
バランスに悪影響を与えることなく、残香性にすぐれ、
匂いも佳良でかつ感作性のほとんど認められない高品質
のクローブ油を工業的容易にかつ再現性よく得られ、そ
の作用効果の特異性は著しい。
〔実施例〕
以下、実施例について説明する。
実施例に示す%は、重量%を意味する。また感作性,
残香性,香り立ち(匂い)等の試験方法は下記の通りで
ある。
(1)感作性の試験方法 マキシミゼイションテストにより感作性を評価した。
体重350〜400gのハートレイ系モルモット(メス)の
肩甲骨上の4×6cmの皮膚に刈毛し、1列に3つの皮内
注射を次の順序にしたがって2列に行なった。
フロイント コンプリート アジュバンド(Freund's
complete adjuvant:以下FCA溶液と略記する)を左右2
ヶ所に0.05mlずつ皮内注射。
未処理クローブ油等の試験サンプル10%オリーブ油溶
液を左右2ヶ所に0.05mlずつ皮内注射。
未処理クローブ油等の試験サンプル20%含有FCA溶液
に同量の減菌水を加え乳化した溶液を左右2ヶ所に0.05
ml皮内注射。
これらの操作1週間後に同じ部位を刈毛し、10%ラウ
リル硫酸ソーダ含有ワセリンを塗擦し、軽度の炎症を起
こさせた。塗布24時間後に同部位に未処理クローブ油等
の試験サンプル10%含有オリーブ油溶液0.2mlをガーゼ
に塗布して、48時間閉塞貼付した。皮内注射後21日目に
腹側部を刈毛し、未処理クローブ油等の試験サンプル5
%,10%各オリーブ油溶液を24時間閉塞貼付した。判定
は、24時間後と48時間後に第4表に示した評価基準に従
って肉眼により行なった。
(2)残香性の試験方法 本発明の方法によって得られた本発明精油の残香性の
原精油および留出精油の残香性を比較するために下記の
官能テストを採用した。
試料精油150mgを5.5×15cmの匂い紙に均一に塗布し、
官能検査室(温度25℃,湿度60%,風速0.1m/秒以下)
中に垂直状態に放置する。塗布後適当時間(例えば0
分,30分,1時間,2時間,4時間)経過した時点で、それぞ
れの匂い紙に付着した試料精油の残香強度の比較を10名
の調香専門パネラーにより10回繰返して判定する。
(3)香り立ち(匂い)の試験方法 本発明の方法によって得られた本発明精油の香り立ち
と原精油および留出精油の香り立ちを比較するために下
記の官能テストを採用した。
試料精油を80%アルコール溶液とし、匂い紙に同量ず
つ塗布し、それぞれの匂い紙に付着した試料精油の香り
立ちの比較を10名の調香専門パネラーにより10回繰返し
て判定する。
実施例1 クローブ油(インドネシア産)1kgを減圧度2mmHg、缶
温120℃にて、減圧蒸留し無色透明の留出精油823gを得
た。
この留出油の高速液体クロマトグラフィー分析の結
果、コニフェリルアルデヒド、デヒドロジオイゲノール
Bのピークは認められなかった。次にこの留出精油100
重量%に対しデヒドロジオイゲノール5重量%の割合で
均一に溶解して、本発明によるクローブ油を得た。次に
本発明によるクローブ油(本発明油)、減圧蒸留に使用
した市販のクローブ油(原精油)及び前記流出精油の感
作性試験を行った。その結果、第5表に示すように、本
発明によるクローブ油(本発明油)にはほとんど感作性
を有しないことが確認された。
次に、前記残香性試験方法により、本発明精油の残香
性と、留出精油の残香性を比較した。その結果、第6表
の如く、本発明精油は、残香強度も高く(強く)すぐれ
た残香性を有していることを認めた。
次に、前記本発明精油と、留出精油および原精油の香
り立ち(匂い)について、前記方法により官能テストを
行なった。その結果を第7表に示した。
前記第7表の結果からも明らかなように、香り立ち
(匂い)においても、本発明精油の方が、留出精油およ
び原精油より良く、香気的にも好ましい。
実施例2 実施例1で使用した市販クローブ油を同一条件で減圧
蒸留して得られた留出精油に対して、デヒドロジオイゲ
ノールを第8表に示す各配合量添加し、均一に溶解して
本発明によるクローブ油(本発明油)を得た。これらの
クローブ油(本発明油)の感作性試験を誘発濃度3%に
て行った結果、いずれもほとんど感作性は認められなか
った。(ほとんど検出されなかった。) また、前記放置時間2時間後の残香性について前記留
出油と比較した結果、本発明油はいずれも留出油より高
い残香性を示した。更に、前記原精油との香り立ち(匂
い)についての比較試験結果では、本発明油の方が良好
で香気的にも優れていた。これらの結果を第8表に示し
た。
〔発明の効果〕 本発明の方法によって得られたクローブ油は、感作性
物質が除かれ、天然のクローブ油の有する香気をそのま
ま保有し、いわゆるナチュラリティーに富んだ香りを有
している。しかもその残香性(香気の持続性)は、当該
留出精油よりもすぐれている。また匂い(香り立ち)も
当該留出精油や当該原精油よりも良く、皮膚刺激や感作
性はほとんど認められなかった。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クローブ油の香気成分を変化せしめない程
    度の温度で減圧蒸留を行なって留出精油を取得した後、
    前記留出精油に、構造式 で表されるデヒドロジオイゲノールを配合せしめること
    を特徴とする、香気性に優れかつ感作性の低いクローブ
    油の製造法。
  2. 【請求項2】クローブ油の香気成分を変化せしめない程
    度の温度が、140℃以下である請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】デヒドロジオイゲノールが、留出精油の重
    量を基準として0.5〜10重量%配合される請求項1記載
    の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Agr.Biol.Chem.,Vol.37,No.4(1973)p.889−895

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CN102888280A (zh) * 2012-10-16 2013-01-23 九三粮油工业集团有限公司 一种紫丁香花精油的提取方法

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