JP2724246B2 - 光ファイバ式分布形温度センサ - Google Patents

光ファイバ式分布形温度センサ

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JP2724246B2 JP2307040A JP30704090A JP2724246B2 JP 2724246 B2 JP2724246 B2 JP 2724246B2 JP 2307040 A JP2307040 A JP 2307040A JP 30704090 A JP30704090 A JP 30704090A JP 2724246 B2 JP2724246 B2 JP 2724246B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はラマン散乱光を利用した光ファイバ式分布形
温度センサに関するものである。
[従来の技術] ラマン散乱光を利用した光ファイバ式分布形温度セン
サは、次のようにして光ファイバに沿った線状の温度分
布を測定する装置である。まず、第27図の如く、センサ
用光ファイバの一端から波長λ0,パルス幅Tw,パルス周
期Tpの光を入射させる。そして、光ファイバ内で発生す
るラマン散乱光の二成分である波長λsのストークス光
と、波長λasのアンチストークス光の後方散乱光(反射
光)とを、パルス光入射時刻をt=0として、それぞれ
第28図に示すサンプリング時間間隔Tsで計測する。次
に、アンチストークス光やストークス光の強度の時間関
数Ia(t),Is(t)をサンプリング時間間隔Tsの関数
として求め、これらの比Ia(t)/Is(t)が純粋に温
度の関数であること、及び光パルス入射後、光ファイバ
内の距離Xの位置で発生した反射光が光パルス入射端
(反射光光計測部)に戻ってくるまでの時間が2×X/Co
であること(Co;光ファイバ中の光速)を利用して、光
ファイバに沿った線状の温度分布測定を行う。なお、反
射光が計測される時間幅Tr(第28図)は2×L/Coであり
(L;光ファイバ長さ)、この時間Tr内の計測値が有効な
温度分布情報を与える。ストークス光及びアンチストー
クス光の後方散乱光測定は、光ファイバの破断点検知等
に用いるOTDR(Optical time Domain Reflectometry)
装置とほぼ同じ測定方法で行う。
このラマン散乱光利用光ファイバ式分布形温度センサ
は、例えば電力ケーブルに沿わせてセンサ用光ファイバ
を敷設することにより、電力ケーブルの長手方向の温度
分布を知ることができ、送電容量の制御等に利用した
り、ケーブルの劣化等により部分的な温度の高い箇所の
検知等が行なえる。また、各種プラントの生産ライン
や、設備の温度コントロール、あるいは、ビルやトンネ
ル等の火災検知用として使用すれば、火災発生位置の標
定を行うことができる。
第26図に、従来の光ファイバ式分布形温度センサの構
成例を示す。
温度分布測定装置2のセンサ用パルス光源4からのパ
ルス光は、光ファイバ5a,光分岐器5を通してセンサ用
光ファイバ6に導かれ、センサ用光ファイバ6内で発生
した後方散乱光(反射光)は、その一部が測定装置2側
に戻り、光分岐器5、光ファイバ5bを介して、光分岐器
7に導かれる。
光分岐器7で二分された反射光のうち、光ファイバ7a
に導かれたものは、中心波長λasのアンチストークス光
用の光学フィルタ8a,受光器9a及び平均化処理回路10aで
構成されるアンチストークス光計測系30aに入り、この
光強度からアンチストークス光強度の時間関数Ia(t)
が求められる。他方、光ファイバ7bに導かれたものは、
中心波長λsのストークス光用の光学フィルタ8b,受光
器9b及び平均化処理回路10bで構成されるストークス光
計測系30bに入り、この光強度からストークス光強度の
時間関数Is(t)が求められる。そして温度分布演算回
路11でIa(t)/Is(t)の演算を行うことにより、セ
ンサ用光ファイバに沿った分布測定を行っている。尚、
16は温度分布表示をなす表示装置である。
しかし、従来では、光源の光を光分岐器5を通してセ
ンサ用光ファイバに導き、またセンサ用光ファイバで発
生した後方散乱光を、光分岐器5,7を通して光計測系30
a,30bに導いている。従って、光分岐器を通る度に理論
的計算だけでも、3dBづつ光強度が減少するため、合計
で、9dB以上の損失が光分岐器部分で発生する。
かかる従来技術の欠点を解消すべく、本出願人は、光
合分波器を用いることにより、光ファイバ式分布形温度
センサで取り扱われる3つの波長、つまり光源の波長と
信号のラマン散乱光の二成分であるアンチストークス光
とチストークス光の各波長とを、効率よく分波すること
を提案している(特願平1−158256号)。即ち、光源か
らの光を光合分波器を通してセンサ用光ファイバに入射
させ、センサ用光ファイバから戻ってくる後方散乱光の
反射光のうち特定の波長領域の光を、前期光合分波器を
構成する1枚以上の光学フィルタで反射あるいは透過さ
せて分離し、その光信号を光計測系の受光器に導くこと
により、信号光及び光源の光の損失を小さくして、より
高精度の測定を行い得るようにしたものである。
[発明が解決しようとする課題] しかし、このような光合分波器を使用した場合でも、
実用性ある光ファイバ式分布形温度センサを得る上で
は、更に幾つかの課題を解決しなければならない。
(1)光ファイバ終端の温度測定 狭い場所やパイプの内部または複雑な構造物の隙間の
温度分布を測定しようとする場合にあっては、光ファイ
バを先端からこれらの場所に挿入して測定を行うことが
多い。この時、光ファイバの先端ほど目的とする測定対
象に近付くケースが多く、せっかく光ファイバを付設し
ても、光ファイバ先端付近の温度分布が測定出来ない
と、温度分布センサの適用効果が稀薄になってしまう。
従って、光ファイバ終端部付近の温度分布まで高精度
で測定できる新規な光ファイバ式温度分布センサの提供
が望まれる。
(2)APDの感度と限界値 上記ラマン散乱光あるいはレーリ散乱光はいずれも微
弱な散乱光であり、受光器9a,9bとしては、高感度の光
/電気(O/E)変換素子、通常はAPD(アバァランシェ
フォト ダイオード)を用いる。但し、このような高感
度の受光素子ほど、受光感度は温度の影響を受けやすい
ため、周囲温度が変わるごとに最適な受光感度となるよ
うにAPDのバイアス電圧を調整しなければならない。
しかし、高いS/N比で測定を行うことができるように
アンチストークス光強度とストークス光強度の目標値を
大きく設定すると、周囲温度がある範囲(例えば20〜40
℃)では精度のよい測定を行うことができるが、周囲温
度がこの範囲からずれた場合、例えば20℃未満になる
と、温度分布波形に第14図に示すような緩和現象が生じ
る。このため、S/N比の高い温度分布測定を困難にする
ことがある。
(3)伝送損失の差の除去 ラマン式温度センサは、ラマン散乱光の二成分である
アンチストークス光とストークス光の比から温度分布を
求める。この二成分の伝送損失の差Δαは非常に小さい
ので、光ファイバ長が短い場合には無視しても差支えな
いが、長い場合には無視できなくなる。そこで、ラマン
後方散乱光から温度分布を求めるには、二成分の伝送損
失の差を考慮し、補正等をする必要がある。但し、検出
部の構造が複雑,高価なものとならないことが望まれ
る。
(4)距離分解能より小区画の検出 従来の光ファイバ型温度センサでは、装置の最小検出
可能距離より小さい測定対象物の温度を検出することに
はできない。検出可能距離を短くする方法としては、光
源のパルス幅を小さくし、サンプリングを大きくすれば
良いが、極めて高速のパルス発生器とデータ処理装置が
必要になり経済性に欠ける。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目
的とするところは、光合分波器を使用した光ファイバ式
分布形温度センサにおいて、光ファイバ終端部付近の温
度分布まで高精度で測定できる新規な光ファイバ式分布
形温度センサを提供することにある。
本発明の他の目的は、S/N比を向上させるためにアン
チストークス光強度とストークス光強度の目標値を高く
設定した場合でも、周囲温度変化に対して安定した温度
分布測定のできる光ファイバ式分布形温度センサを提供
することにある。
本発明の更に他の目的は、温度分布を計算するのに必
要なラマン散乱光の二成分の伝送損失の差を考慮した光
ファイバ式分布形温度センサを提供することである。
本発明の他の目的は、ラマン散乱光の1成分のみで温
度情報を得られる簡単で安価な光ファイバ式分布形温度
センサを提供することにある。
本発明の他の目的は、距離分解能より小区画の検出が
できる経済的な光ファイバ式分布形温度センサを提供す
ることにある。
[課題を解決するための手段] 本発明の光ファイバ式分布形温度センサは、光源から
の光を光合分波器を通してセンサ用光ファイバに入射さ
せ、センサ用光ファイバから戻ってくる後方散乱光の反
射光のうち特定の波長領域の光を上記光合分波器を通し
て分離し、その光信号を光計測系の受光器に導き、光フ
ァイバ中で発生するラマン散乱光強度の温度依存性よ
り、OTDRの手法で光ファイバに沿った長手方向の温度を
測定する構成を前提としている。この光合分波器は1枚
以上の光学フィルタで構成される。
本発明の第1の形態は、かかる構成の光ファイバ式分
布形温度センサにおいて、上記センサ用光ファイバの終
端部に無反射処理を施した構成のものである(請求項
1)。具体的には、センサ用光ファイバの終端部を球面
状の形状に加工し、プラスチックチューブ或いは金属パ
イプ等の保護管内に密閉収納したり(請求項2)、ま
た、センサ用光ファイバの終端部を高屈折率物質で包囲
する構成とすることができる(請求項3)。
第2の形態は、センサ用光ファイバの終端部に、GaAs
及び反射膜で構成したGaAsセンサを設けた構成のもので
ある(請求項4)。この場合において、上記センサ用光
ファイバの一箇所又は複数箇所に光分岐器を設け、該光
分岐器から分岐した光ファイバの終端にGaAs及び反射膜
で構成したGaAaセンサを設けることもできる(請求項
5)。
第3の形態は、センサ用光ファイバの特定場所あるい
は特定区間に設けた制御信号測定部と、この制御信号測
定部で発生した反射光強度に比例する信号の値を利用し
て上記受光器を高感度に制御する受光感度制御系とを有
するものにおいて、制御信号測定部にスポット形温度セ
ンサの検出温度を用いて、上記受光感度制御系が、上記
反射光強度に比例する信号の値に演算処理を行い、この
変換値が予め定めた目標値になるように、受光器の受光
感度を制御する構成のものである(請求項6)。
この構成は、更に次のような具体的態様を含む。
(1)受光感度制御系が、上記制御信号測定部で発生し
た反射光の光強度の平均化処理値を利用して上記受光器
のゲイン制御を行う系であり、スポット形温度センサの
検出温度を用いて、上記反射光強度の平均値に演算処理
を行い、この変換値が予め定めた目標値になるように、
受光器の受光感度を制御する。(2)上記受光感度制御
系が、上記制御信号測定部で発生したアンチストークス
光とストークス光の光強度の平均化処理値を利用して上
記受光器のゲイン制御を行う系である。(3)受光感度
制御系が、上記制御信号測定部で発生した実際の反射光
の光強度を利用して上記受光器のゲイン制御を行う系で
あり、スポット形温度センサの検出温度を用いて、上記
反射光強度の値に演算処理を行い、この変換値が予め定
めた目標値になるように、受光器の受光感度を制御す
る。(4)上記受光器がアバァランシェ・フォト・ダイ
オードであり、そのバイアス調整によって受光感度が制
御される。
第4の形態は、上記受光器に導かれる後方散乱光がラ
マン散乱光の二成分であるアンチストークス光とストー
クス光であり、これらの光強度からセンサ用光ファイバ
の温度を求め、光パルスの入射時刻と反射光が計測系へ
到達する時刻の差から後方散乱光の発生位置を求めるこ
とにより、温度と位置を同時計測し、該光ファイバの温
度分布を計測する温度分布演算回路を備え、該演算回路
が、計測されるラマン散乱光の強度とラマン散乱光の発
生確率の関係式とから、アンチストークス光とストーク
ス光それぞれに対する減衰係数あるいは両者に対する伝
送損失の差を求め、その減衰係数あるいは伝送損失の差
から温度分布を演算により求める演算処理機能を備える
構成のものである(請求項7)。
この場合において、上記演算処理機能は、例えば、ラ
マン後方散乱光二成分の計測値とセンサ用光ファイバの
伝送損失との間で成立する関係式を導出して、温度計測
への光ファイバ伝送損失の影響を除去し、この温度に依
存する項を除去した関係式から、アンチストークス光と
ストークス光それぞれに対する減衰係数あるいはラマン
散乱光二成分の伝送損失の差を求めるような機能であ
る。そして、上記減衰係数あるいは伝送損失の差は、上
記温度に依存する項を除去した関係式の中から任意の3
つの式を選び、この3つの式を解いて得られるレーレ散
乱光,アンチストークス光,ストークス光の伝送損失α
r,αa,αsから導出することができる。また、上記伝送
損失αr,αs,αaの3つの未知数を求める際に、上記温
度に依存する項を除去した関係式の中から3つの式を2
組以上とり、それらの平均を取って最終的に用いる伝送
損失とすることもできる。更にまた、伝送損失αr,αs,
αaを、それぞれ仮に設定した値の第1の項と仮定値と
真値の差を示す第2の項とから成る形とし、ラマン後方
散乱光二成分の計測値とセンサ用光ファイバの伝送損失
との間で成立する各サンプリング点ごとの関係式から求
めた伝送損失を、この第1の項の仮に設定した値とし、
第2の項を同様な方法で求めるといった繰返計算を行
い、精度の良い伝送損失を求めることもできる。
第5の形態は、測定装置から入射した光が全反射する
ようにセンサ用光ファイバの終端に反射板を設置し、該
測定装置内には、センサ用光ファイバの後方散乱光の二
成分のうちの一方を測定する光測定系と、該光測定系で
測定される後方散乱光であって、光源から出射された光
パルスの透過光による散乱光強度と、上記反射板で反射
した光による散乱光強度とを処理してセンサ用光ファイ
バに沿った温度分布を求める温度分布演算回路とを備え
る構成のものである(請求項8)。
この場合において、上記温度分布演算回路は、センサ
用光ファイバに沿った各位置で、光源から出射した光パ
ルスの透過光による散乱光強度と、上記反射板で反射し
た光による散乱光強度との和を演算し、光ファイバの伝
送損失による散乱光変化を除去する構成とすることがで
き、また、上記光測定系で測定される後方散乱光はアン
チストークス光とすることができる。
第6の形態は、布設してあるセンサ用光ファイバの任
意箇所を切断、融着接続することなしに、装置の最小検
出可能距離より小さい測定対象物の温度を検出するため
に最小検出可能距離の2倍以上のセンサファイバ長さを
取り出し、これを捻れないように“8"字型に巻いて楕円
形のケースに収納し、以て光ファイバ形スポットセンサ
とする構成のものである(請求項9)。この場合におい
て、上記ケースを金属で構成し、内部にコンパウンドや
油等を充填することができる。
[作用] 光源からの光をセンサ用光ファイバに導く部分及びセ
ンサ用光ファイバから戻ってくる信号光を光計測系に導
く部分で用いられていた光分岐器を、光学フィルタで構
成される光合分波器で置き換えているため、信号光及び
光源の光の損失が小さくなり、光フィバ式分布形温度セ
ンサの測定精度が大巾に向上する。
本発明の第1の形態では、光ファイバの終端部に無反
射処理を施し、この部分での反射光を著しく低下させた
ことにより、後方散乱光への終端部反射光の影響を消去
し、終端部まで高精度で温度分布を測定することができ
る。従って、狭い場所やパイプの内部または複雑な構造
物の隙間の温度分布も、光ファイバの終端を目的とする
対象物に挿入設置するだけで、容易に測定することがで
きる。また、光ファイバの設置が容易で、省スペース化
に有効であると共に、光ファイバ先端に加工を行うだけ
で済むので、他に大幅な変更を必要とせず、経済性に優
れる。
第2の形態では、光ファイバ中を伝搬してきた光は終
端部のGaAsセンサで反射し、再び光ファイバ中を伝搬し
ていく。このとき、レーザ光源の光はGaAsで吸収される
ため、反射光は減少する。一方、レーザ光源の光はGaAs
で吸収されないため、反射光は一定となる。受光器でGa
Asセンサの吸収端近傍の波長の光であるレーレー散乱光
を検出し、受光器でGaAsセンサの参照光を検出し、二つ
の光の強度比をとると、光ファイバ先端の温度を計算す
ることができる。
第3の形態では、APDの受光感度制御に用いる制御用
信号測定部のアンチストークス光強度とストークス光強
度それぞれの平均化処理値(計測結果)をそのまま用い
ずに、制御用信号測定部の温度も制御情報として演算処
理した後に、APD受光感度制御に用いるものであり、S/N
比を向上させるためにアンチストークス光強度とストー
クス光強度の目標値を高く設定した場合でも、周囲温度
変化に対して安定した温度分布の測定ができる。
第4の形態では、温度分布を計算するのに必要なラマ
ン散乱光の二成分(アンチストークス光とストークス
光)の伝送損失の差を、計測したラマン散乱光強度から
求めることができる演算処理装置を追加することによ
り、任意の光ファイバに対して、あるいは伝送損失が時
間的に変化する場合にも、温度計測への光ファイバ伝送
損失の影響を除去し、精度の良い温度分布が計測できる
ようにする。具体的には、例えば、計測されるラマン散
乱光強度とラマン散乱光発生確立の関係式からアンチス
トークス光とストークス光それぞれに対する減衰係数あ
るいは、両者に対する伝送損失の差から、ラマン後方散
乱光二成分の計測値と光ファイバ伝送損失間で成立する
関係式を導出して、この関係式からラマン散乱光二成分
の伝送損失の差を計測する。
第5の形態は、測定装置から入射した光が全反射する
ようにセンサ用光ファイバの終端に反射板を設置し、該
測定装置内には、センサ用光ファイバの後方散乱光の二
成分のうちの一方(例えばアンチストークス光)を測定
する光測定系と、該光測定系で測定される後方散乱光で
あって、光源から出射した光パルスの透過光による散乱
光強度aと、上記反射板で反射した光による散乱光強度
a′とを処理してセンサ用光ファイバに沿った温度分布
を求める温度分布演算回路とを備えるものである。
ラマン散乱光の1成分のみ(例えばアンチストークス
光のみ)で温度情報が得られ、しかも上記散乱光強度の
和を演算処理することにより光損失の影響が除去される
ため、温度分布センサの測定精度が大幅に向上する。ま
た、ラマン散乱光の1成分のみで温度情報を得られるた
め、簡単で安価な光ファイバ式温度分布センサが提供さ
れる。
第6の形態は、最小検出可能距離の2倍以上のセンサ
ファイバ長さを取り出し、これを捻れないように“8"の
字型に巻いて楕円形のケースに収納し、以て光ファイバ
型スポットセンサとしたものであり、布設してあるセン
サ用光ファイバの任意箇所を切断、融着接続することな
しに、装置の最小検出可能距離より小さい測定対象物の
温度を検出することができる。
なお、8字に巻くのは以下の理由による。即ち、光フ
ァイバを必要長だけ切断してコイル状に巻く場合には、
光ファイバをねじらないで巻くことが可能であるが、切
断しないでコイル化する場合には、コイルを1ターン形
成するごとに、光ファイバは1回転分(360度)ねじら
れ、ターン数に比例して、ねじり数が増える。しかし、
8字に巻くと、半周目で180度ねじられるが、残りの半
周で、逆方向に180度ねじられるため、1ターン分では
総裁されて、ねじり数は増加しない。
[実施例] 以下本発明を図示の実施例に基づいて説明する。
第1図に示す光ファイバ式分布形温度センサの構成
は、従来の第26図に示したものとほぼ同じであるが、パ
ルス光源4,センサ用光ファイバ6及び受光系30a,30bの
三者間に光合分波器15が使用されていること、及び、セ
ンサ用光ファイバ6の構成において従来と異なる。
この光合分波器15は、第2図に示すごとく、接続口P
1,P2,P3及びP4と光学フィルタF1,F2,F3,F4とから構成さ
れている。各光学フィルタには第3図に示す特性の光学
フィルタが使用されている。
第3図において、λ0は光源の中心波長、λaはアン
チストーク光の波長、λsはストーク光の波長であり、
斜線部は光を透過するか反射させるかについて規定して
いない領域を示す。
光源からの波長λ0の光は、接続口P1から入射し、2
枚の光学フィルタF11、F21を透過した後、接続口P2のセ
ンサ用光ファイバ6に入射する。そして、センサ用光フ
ァイバ6から戻ってくる後方散乱光のうち、波長λaの
アンチストークス光は、接続口P2から入射した後、それ
ぞれ、F21(反射)→F22(反射)→F23(透過)→接続
口P3の経路で、光合分波器15から出射し、アンチストー
クス光計測系30aに導かれる。また、波長λsのストー
クス光は、接続口P2から入射した後、F21(透過)→F11
(反射)→F12(反射)→F13(透過)→接続口P4の経路
で、光合分波器15から出射し、ストークス光計測系30b
に導かれる。
(a)光ファイバ終端の温度測定1 上記第1図の光ファイバ式温度分布センサでは、光源
4から光ファイバに入射する光パルスの波形において、
波頭が比較的長い場合、第4図に示すように、光ファイ
バ終端に透過光パルス19の波頭部20が先に到着するた
め、ピーク位置が終端に着く前に、この波頭部20の光パ
ワーに対して、後方散乱光パルス成分21よりも極めて大
きな反射成分22を発生させ、これが後方散乱光成分に重
畳されて入射端に戻って行くことになる。
このため、サンプリングして得られる後方散乱光分布
は23に示す波形となり、終端の不安定な反射成分の影響
により、この分布から求められる温度分布24は実際の光
ファイバ長よりも短くなり、終端付近の温度を求めるこ
とができない場合が多い。
これを回避するには波頭の短かい光パルスを入射すれ
ばよいが、後方散乱光をS/N良く検出できるのに必要な
高出力パルスでこれを実現することは、極めて困難な技
術となっており、先端付近の温度分布は通常、測定値と
して採用していないのが現状である。
しかし、狭い場所やパイプの内部または複雑な構造物
の隙間の温度分布を測定しようとする場合にあっては、
光ファイバを先端からこれらの場所に挿入して測定を行
うことが多い。この時、光ファイバの先端ほど目的とす
る測定対象に近付くケースが多く、せっかく光ファイバ
を付設しても、光ファイバ先端付近の温度分布が測定出
来ないと、温度分布センサの適用効果が稀薄になってし
まう。
第5図の実施例は、光ファイバの終端部に無反射処理
を施し、この部分での反射光を著しく低下させたことに
より、後方散乱光への終端部反射光の影響を消去し、終
端部まで高精度で温度分布を測定できるようにしたもの
である。
第5図において、センサ用光ファイバ6は、測定対象
物に挿入し設置可能な保護管25内に密閉収納されてい
る。この保護管25はここでは金属パイプ26から成るが、
プラスチックチューブで構成することもできる。27はこ
のセンサ用光ファイバ6の終端部であり、終端部27は無
反射処理されている。本実施例では、終端部27を球面状
の形状に加工し、これを以て終端部27を無反射処理して
いる。
この様な球面加工した終端部27を持つセンサ用光ファ
イバ6を用いた場合の動作について、第6図を用いて説
明する。
第1図の光源から光ファイバに入射された光パルス
は、光ファイバ6中を伝搬しながらラマン後方散乱光を
発生させる。透過光パルス19が光ファイバの終端部27に
伝搬する。この終端部27は光ファイバ端を球面加工して
あり、このために無反射状態になっていることから、透
過光パルス19の波頭成分20aはそのまま外部に透過し、
その時点で入射端に戻っていく後方散乱光パルス28には
端面での反射成分は含まれない。従って、透過光パルス
7において、波頭成分20aを除く部分に対して発生する
後方散乱光成分が測定装置2に戻ることになる。
したがって、光ファイバ6の入射端でOTDRの手法によ
って得られる後方散乱光分布31は、第6図に示すように
なる。即ち、透過光パルス19の全体が光ファイバ内にあ
り、伝搬している区間では、光ファイバ損失に基づき対
数表示で勾配をもつ直線31aで示され、波頭成分20aが外
部に透過した後の区間(光ファイバ終端区間)29では、
徐々に勾配が変化しレベルが低下する曲線31bとなる。
この光ファイバ終端区間29の後方散乱光分布31aは、
前記したごとく徐々に勾配が変化しレベルの低下する分
布となるが、これは反射光成分のように反射面の状況な
どでその都度変わるなど不安定な要素を含まず、透過光
パルス19が光ファイバ6中に存在しているエネルギー成
分に対して発生した散乱光によって、決定されている。
従って、ラマン後方散乱光の2成分であるアンチスト
ークス光とストークス光の分布から温度を求める温度分
布センサでは、終端区間29での各散乱光は、両者共、第
6図に符号31bで示すごとく同じ形態の分布となり、こ
れらを演算して得られる温度分布は第6図に32で示すよ
うになり、光ファイバ6の終端まで高精度で測定でき
る。
上記実施例では、光ファイバ6の終端部27を球面状に
形成したが、終端部27を高屈折率物質で包囲,密封した
構造とすることにより、光ファイバの終端部27に無反射
処理を施すこともできる。
上記構成によれば、光ファイバ先端部の温度分布まで
測定でき、光ファイバの終端を目的とする対象物に挿入
設置するだけで、温度を測定することができる。また、
光ファイバの設置が容易で、省スペース化に有効であ
る。更に、光ファイバ先端に加工を行うだけで、他に大
幅な変更を必要としないため、経済性に優れる。
(b)光ファイバ終端の温度測定2 既に述べたように、光ファイバ温度分布センサは、長
さ方向の温度分布計測には対応できるが、センサ用光フ
ァイバの終端(先端)の温度を計測することは原理上困
難である。例えば、第7図に示すように、測定対象物33
のガイド管34内に光ファイバ6を設置し、光ファイバ6
の途中の温度分布と光ファイバ6の先端の温度とを同時
に計測したい場合があるが、温度分布の計測は出来るも
のの、先端温度の計測は、フレンネル反射などの影響を
受けて、実施不能である。
第8図及び第9図は、センサ用光ファイバの終端部
に、GaAs及び反射膜で構成したGaAsセンサを設け、これ
によりセンサ用光ファイバの終端部の温度をも測定でき
るようにした実施例である。
第8図の光ファイバ温度分布センサも、基本的には第
1図で述べた温度分布センサと同様な構成である。光合
分波器15の構成は第10図に示す通りであり、その構成要
素たる光学フィルタF11,F21,F12,F22,F01,F02,F31,F32,
F33,F34には、第11図に示す特性のものが使用されてい
る。尚、第10図中「半透過」とは、一部を透過し一部を
反射するという特性を意味し、必ずしも50%透過の場合
に限られない。
更に、ここでは、光ファイバ6の終端に、GaAsセンサ
35が取り付けてある。GaAsは急峻な光学的吸収帯をも
ち、この吸収端より長波長の光を透過し、短波長の光を
吸収する。従って、GaAsの吸収端近傍の短波長の光と、
吸収端から離れた長波長の光との比を取れば、温度計測
ができる。
GaAsセンサ35は、具体的には、第9図のように、光フ
ァイバ6の後端にGaAs36を、更にこのGaAs36の後に反射
膜37を付けたものを、ホルダ38内に収納し、スペーサ39
で固定した構造であり、GaAs36を通った後の長波長の光
を反射膜37で反射させ、光ファイバ6に参照光として入
射させるようにしている。
また、パルス光源4として、2つのレーザ光源40,41
及びこれを駆動するパルス駆動回路42,43を設けてい
る。レーザ光源40は、短波長、即ちGaAsの吸収端近傍の
波長のレーザ光を発生するレーザダイオードLDから成
り、温度分布測定に用いる。レーザ光源41は、長波長、
即ちGaAsの吸収端から離れた波長のレーザ光を発生する
レーザダイオードLDから成り、温度分布測定の際の参照
光用として用いる。
パルス駆動回路42,43で駆動されてレーザ光源40,41か
ら発生された光パルスは、接続口P1,P5より合分波器15
に入り,合分波器15を通して接続口P2より光ファイバ6
に入射される。レーザ光源40の光パルスで発生する後方
散乱光の一部が再び光ファイバ6中を入射側へと近い方
から順次戻って来る。また、特に光ファイバ終端のGaAs
センサ35において、短波長の光がGaAs36で吸収され、Ga
Asの吸収端より長波長の参照光がGaAsを透過した後、反
射膜37で反射され、光ファイバ6に戻される。即ち、レ
ーザ光源40の光はGaAs36で吸収されるため、反射光は減
少する。一方、レーザ光源41の光はGaAs36で吸収されな
いため、反射光は一定となる。
合分波器15の接続口P3,P4より得られるラマン散乱光
の2成分(ストークス光とアンチストークス光)につい
ては、それぞれ受光器9a,9bに導かれ、その検出信号
は、高速平均化装置10で平均化処理された後に温度分布
演算回路(データ処理装置)11で演算処理される。
また、短波長のレーザ光源40により発生するレーレ散
乱光は、接続口P6より受光器46に導かれる。更に、長波
長のレーザ光源41の参照光は、接続口P7より受光器47に
導かれる。
このように、受光器46は短波長のレーザ光源40により
発生したレーレ散乱光を検出し、また受光器47は長波長
のレーザ光源41によるGaAsセンサ35の参照光を検出し、
それらの検出信号がそれぞれ温度分布演算回路(データ
処理装置)11へ導かれる。ラマン散乱光は極めて微弱な
光であるため、受光器9a,9bの検出信号については高速
平均化装置10で平均化処理し、ランダムノイズを除去し
てS/N比を改善する必要があるが、レーレ散乱光及びレ
ーザ光源41の光はこの必要がないため、受光器46,47の
検出信号は、直接、温度分布演算回路11に入力される。
温度分布演算回路11は、受光器9a,9bの2つの検出信
号から温度分布を計算する。また温度分布演算回路11
は、受光器46,47の2つの検出信号の比を求め、光ファ
イバ6の終端部の温度を計算する。比を求めるのは次の
理由による。
即ち、光ファイバ中を伝搬してきた光は終端部のGaAs
センサ35で反射し、再び光ファイバ6中を伝搬してい
く。このとき、レーザ光源40の光はGaAs36で吸収される
ため、反射光は減少する。一方、レーザ光源41の光はGa
As36で吸収されないため、反射光は一定となる。受光器
46でGaAsセンサ35の吸収端近傍の波長の光であるレーレ
散乱光を検出し、受光器47で光GaAsセンサ35の参照光を
検出し、二つの光の強度比から温度を計算する。尚、演
算で求められた温度分布は、表示装置16で表示される。
上記のように、従来、測定が出来なかったセンサ用光
ファイバ終端部の温度が測定できる。また、既設のラマ
ン散乱光利用の温度分布測定装置が殆どそのまま利用で
き、全体として安価な装置を提供出来る。GaAs及び反射
膜から構成した光式の先端部センサを使用するため、先
端部センサは無電源で動作可能であると共に、サージや
外来ノイズの影響を全く受けない。そして先端部センサ
での監視対象物の常時監視が可能である。
第8図の例では光ファイバ6を1本だけとしたが、第
12図のように光ファイバ6の途中の適当な箇所に光分岐
器48を挿入し、この光分岐器48から分岐した光ファイバ
枝路6a,6bの終端に、それぞれGaAsセンサ35を取り付け
ても構わない。
第13図に、光分岐器48の分岐比率を、枝路6a側>枝路
6b側とし、枝路6a,6bの長さL1,L2をL1<L2とした場合に
得られる光ファイバ終端部の出力波形の例を示す。枝路
6aのGaAsセンサ35からの信号が先に、枝路6bのGaAsセン
サ35′からの信号が遅れて、それぞれ測定装置2に到達
するため、2つの信号を分離できる。なお、光分岐器48
は複数個あっても問題がない。
上記第8図の例では、GaAsを用いたが、この代わりに
燐光物質を充填し、光源に紫外線を用いて蛍光を検出し
ても構わない。
また、第8図の例では、光ファイバ枝路6a,6bの先端
部のポイント温度検出用光源がパルス光であるとして説
明したが、温度分布計測用情報として用いるラマン散乱
光の波長領域を外せば、必ずしもパルス光を用いる必要
はない。一定強度の光源を用いても、同様の機能を発揮
できるものである。
(c)APDの感度と限界値 第15図を用いて、再度、ラマン式温度分布センサの概
要を説明する。
光源4からパルス光をセンサ用光ファイバ6に導く
と、該光ファイバ内で発生した散乱光の一部は後方散乱
光として計測装置2側に戻り、光合分波器15に入射す
る。光合分波器15では入射した後方散乱光から波長λa
のアンチストークス光と波長λsのストークス光を分波
し、アンチストークス光は光ファイバ7a,受光器9a,増幅
器56a,平均化処理回路10aで構成されるアンチストーク
ス光計測系30aに入る。受光器9aでは入射したアンチス
トークス光を電圧信号に変換し、増幅器56aでは、これ
を増幅し、後段の平均化処理回路10aの入力レベルを適
正値にする。 パルス光源4と平均化処理回路10a,10b
の同期合せはトリガ回路3の同期信号によって行い、反
射光のサンプリングは平均化処理回路10a,10b内で、第2
8図に示す一定の時間間隔Tsで行われる。平均化処理回
路10aでは、更に、時間間隔Tsでサンプリングされた信
号のS/N比を改善するために、トリガ回路3の同期信号
に同期して、多数回平均化処理を行う。
この一連の変換・増幅・平均化処理は下記(1)式で
表すことができ、これを変形した下記(2)式から受光
器に入射するアンチストークス光強度の時間関数の平均
化処理値Ia(t)が求められる。また、ストークス光の
時間関数の平均化処理値▲▼も同様にして求
められる(下記(3)式)。
▲▼=▲▼/(ηa・Ga) …(2) ▲▼=▲▼/(ηs・Gs) …(3) ▲▼:平均化処理回路の出力 ▲▼:受光器に入射した光強度の平均化処理値 η:受光器の光−電圧変換係数 G:増幅器のゲイン (但し、サフイックスa,sはそれぞれアンチストークス
光、ストークス光を表す) ところで、上記ラマン散乱光あるいはレーレ散乱光を
利用した光ファイバ式温度分布センサでは、いずれも微
弱な散乱光を扱っているため、受光器9a,9bとして通常
はAPD(アバランシェ フォト ダイオード)を用い
る。但し、このような高感度の受光素子ほど、受光感度
は温度の影響を受けやすいため、周囲温度が変わるごと
に、最適な受光感度となるようにAPDのバイアス電圧を
調整しなければならない。
そこで通常は、第15図に示すように、センサ用光ファ
イバ6の一部に制御用信号測定部60を設け、この場所で
発生するアンチストークス光の光強度の平均化処理値Ia
(t)とストークス光の光強度の平均化処理Is(t)と
が、それぞれ予め定めた目標値になるように、APDの受
光感度を調整し、これにより、安定した受光感度で測定
を行うようにしている。
しかし、高いS/N比で測定を行うことができるように
アンチストークス光強度とストークス光強度の目標値を
大きく設定すると、周囲温度がある範囲(例えば20〜40
℃)では精度のよい測定を行うことができるが、周囲温
度がこの範囲からずれた場合、例えば20℃未満になる
と、温度分布波形に第14図に示すような緩和現象が生じ
る。つまり、センサ用光ファイバ6の一部(制御用信号
測定部60)を恒温槽に入れて、光ファイバ6に第14図
(a)のようにステップ状の温度変化を与えたにもかか
わらず、この部分の温度分布の測定結果は、第14図
(b)に実線で示すように、ステップ状の温度変化が距
離方向に緩和された分布となる。これは温度分布一般の
測定結果にも緩和現象が生じることを意味する。
そこで、第15図の実施例では、APDの受光感度制御に
用いる制御用信号測定部のアンチストークス光強度とス
トークス光強度それぞれの平均化処理値(計測結果)を
そのまま用いずに、制御用信号測定部の温度も制御情報
として演算処理した後に、APD受光感度制御に用い、こ
れにより、S/N比を向上させるためにアンチストークス
光強度とストークス光強度の目標値を高く設定した場合
でも、周囲温度変化に対して安定した温度分布測定を可
能とする。
第14図の緩和現象について吟味した点を次に述べる。
まず、アンチストークス光及びストークス光のう
ち、アンチストークス光の時間関数Ia(t)について検
討したところ、周囲温度の高いときにはアンチストーク
ス光の時間関数Ia(t)に緩和現象が見られなかった
が、周囲温度が低くなるとIa(t)に緩和現象が見られ
ることが分かった。さらに、この原因を検討したとこ
ろ、実際のAPD受光感度が、目標とすべき限界値よりも
若干高いことが分かり、これが温度分布測定結果の緩和
現象の原因と推定された。
ここで、上記受光感度の限界値はAPDの周波数特性か
ら定まるものである。即ち、APDの周波数特性は、APD受
光感度で変化し、ある受光感度値(限界値)までは、高
周波領域までほぼ平坦な特性を有するが、その値を越え
ると高周波領域での特性が劣化する。そして、このAPD
受光感度はアンチストークス光及びストークス光強度の
目標値で制御される。このため、温度分布測定のS/N比
を高くするためにアンチストークス光及びストークス光
強度の目標値をむやみに大きくすると、温度分布測定結
果に緩和現象の生ずる原因となる。緩和現象が生ずるの
を避けるためには、アンチストークス光及びストークス
光強度の目標値は、APDの周波数特性が劣化しない限界
値以下に設定することが重要である。
ところで、上記アンチストークス光の時間関数Ia
(t)に緩和現象が発生したのは、この限界値を考慮
し、アンチストークス光とストークス光の両者の光強度
の目標値を限界値ギリギリに設定し使用していた場合で
ある。従って、アンチストークス光の時間関数Ia(t)
に緩和現象が発生したのは、アンチストークス光及びス
トークス光強度の目標値が変化し、即ち制御用信号測定
部60への光強度が何らかの原因で変化し、実際のAPDの
受光感度が目標とした限界値を越えてしまったためと推
定した。
そこで、この点に絞って原因を検討したところ、AP
D受光感度が同じであっても、周囲温度が低い場合に
は、制御用信号測定部60のアンチストークス光強度が、
周囲温度が高いときに比べて小さく、周囲温度0℃のと
きは周囲温度が40℃のときと比べて約20%も小さいこと
が分かった。このような現象があると、周囲温度が低い
ときに、アンチストークス光強度に対応した平均化処理
回路11の出力が目標値になるようにAPD受光感度の制御
を行うと、実際のAPD受光感度は限界値よりも大きくな
ってしまう。このためAPDの周波数特性が劣化し、アン
チストークス光の時間関数Ia(t)と温度分布測定結果
に緩和現象が生じたものと考えられた。
同様な現象がわずかではあるが、ストークス光に対
して認められた。
上記(3)の点より、周囲温度により、APD受光感
度が同じであるにもかかわらず、制御用信号測定部60の
アンチストークス光及びストークス光強度が変化したの
は、この部分のアンチストークス光及びストークス光強
度も、それぞれ下記(4),(5)式に従って温度によ
り変化しており、この変化を無視して、制御していたた
めと考えられる。
Ia ∝ β(t)/{1−β(t)} …(4) Is ∝ 1/{1−β(t)} …(5) β(t)=exp{−(h.v.ν)/(k・T)} …(6) Ia:アンチストークス光強度 Is:ストークス光強度 h:プランク定数 v:光ファイバ中の光速 ν:ラマンシフト波数 k:ボルツマン定数 T:温度 このようなことが生じないようにするには、制御用信
号測定部60の実際の温度Tcを検出し、光ファイバ6上の
制御用信号測定部60の部分について計測したアンチスト
ークス光とストークス光強度を、この実際の温度Tcによ
り修正し、その修正後の結果を用いてAPD受光感度の制
御を行えばよいことになる。
この一実施例を第15図にて説明する。
第15図において、61は制御用信号計測部60の温度Tcを
計測するためのスポット形温度センサである。このスポ
ット形温度センサ61には、熱電対、白金抵抗体、サーミ
スタ等の温度感知素子が使用できる。
受光器9a,9bのAPD受光感度の制御は、次のようにして
行われる。
即ち、温度分布演算回路11は、制御用信号測定部60に
おけるアンチストークス光とストークス光の光強度測定
結果▲▼,▲▼から直接に求めるので
はなく、まず、スポット形温度センサ61から入力される
制御用信号測定部60の温度Tcを用いて、アンチストーク
ス光とストークス光の光強度測定結果▲▼,▲
▼を、それぞれ下記(7),(8)式により変
換する。
Tc:スポット形温度センサの測定温度 (制御用信号測定部の温度) Ts:基準温度 次に、この変換値(▲▼,▲▼)がそれ
ぞれ予め定めた目標値Iat,Istになるような制御信号
を、APDのバイアス調整回路に付与する。
制御用信号測定部60のアンチストークス光及びストー
クス光強度の目標値Iat,Istは、制御用信号測定部60の
温度Tcが基準温度Tsのときに、高い周波数でもAPDの周
波数特性が劣化せず、温度分布測定結果に緩和現象が生
じないような値に選ぶ。
上記(7),(8)式から導出した換算値▲
▼,▲▼を用いて行うAPD受光感度の具体的な制
御手法には、公知の制御技術一般が採用できる。ここで
は、換算値▲▼,▲▼を目標値のIat,Ist
とそれぞれ比較し、換算値▲▼,▲▼が対
応する目標値よりも小さければ対応するAPDの受光感度
を上げ、目標値よりも大きければ対応するAPDの受光感
度を下げる、といった簡単な制御技術により行ってい
る。しかし、これ以外の方法、例えばPID制御によるこ
ともできる。
かかる制御を行うことは、上記(1)〜(3)式で述
べた受光器9a,9bの光−電圧変換係数ηを一定にするこ
とに対応し、任意のAPD温度に対して、一定の光−電圧
変換係数ηで計測することになる。したがって、APD受
光感度を一定に保持することができ、この結果として、
APDの温度が変化しても受光感度が限界値を越すことは
なくなり、従来技術で発生していたAPDの周波数劣化に
伴う緩和現象が生じなくなる。
前記第15図の実施例では、APD受光感度の制御に用い
る制御用信号測定部60のアンチストークス光とストーク
ス光の信号として、それぞれ受光器9a,9bに入射するア
ンチストークス光強度の平均化処理値▲▼と
ストークス光強度の平均化処理値▲▼とを用
いたが、これらを用いる代わりに、平均化処理回路10a,
10bの出力である▲▼,▲▼を用
いてもよい。また、▲▼,▲▼は
受光器に入射するアンチストークス及びストークス光強
度の平均化処理値であるが、この値から求められる制御
用信号測定部60で実際に発生したアンチストークス光及
びストークス光強度を使用してもよい。要するに、制御
用信号測定部60で発生したアンチストークス光及びスト
ークス光の光強度に比例するものであれば、何をパラメ
ータに使っても差し支えない。
また、制御用信号測定部60には、サンプリング時間間
隔Tsによるサンプリング点が何点含まれていてもよい。
サンプリング点を複数含む場合には、これらの平均を用
いることにより、1点の場合よりも高精度のAPD受光感
度制御が行える。
(d)伝送損失の差の除去 計測されるラマン散乱光の二成分(アンチストークス
光とストークス光)の光強度からセンサ用光ファイバの
温度を求める具体的な方法は、次のようにして行ってい
る。
計測される散乱光強度はサンプリング間隔毎に検出さ
れるが、n番目(n=1、2、…、n0)に計測されるア
ンチストークス光とストークス光のそれぞれの強度及
び、それぞれの減衰係数をIa(n),Is(n)、γa
(n)、γs(n)とすると、それぞれの強度は Is(n)=Ks・γs(n)・Bs{T(n)} Ia(n)=Ka・γa(n)・Ba{T(n)} …(9) で示される。
ここに、 Bs(T)=1/{1−β(T)} Ba(T)=β/{1−β(T)} β(T)=exp{−(h・νk・c)/(nc・k・
T)} γs(n)=exp{−(αr+αs・n・Δx) γa(n)=exp{−(αr+αa・n・Δx) …(10) Ks,Ka:定数 γs,γa:減衰係数 Bs(T),Ba(T):ラマン散乱光発生確率 β(T):ラマン散乱光発生確率を定める温度関数 h:プランク定数 ν:光ファイバ・コアの構成物質で決定されるシフト
波数 c:光速 nc:光ファイバ・コアの屈折率 k:ボルツマン定数 T:絶対温度 αr:レーレ散乱光の伝送損失 αs:ストークス光の伝送損失 αa:アンチストークス光の伝送損失 Δx:サンプリング間隔に対応した距離である。
ここで、(9)式から、アンチストークス光とストー
クス光の光強度の比を求めると、 となり、減衰係数γs、γaが既知の場合には、計測さ
れたIa(n)、Is(n)と(11)式を用いて、ラマン散
乱光発生確率を定める温度関数β(T)を求め、(10)
式を用いて、n番目のサンプリング点に対応した温度T
(n)を計測している。
また、n番目のサンプリング点に対応する距離x
(n)は、これを往復伝搬するのに要する時間t(n)
に比例するので、両者の関係は下記(12)式となる。
x(n)={c・t(n)}/(2・nc) …(12) この様にして、各サンプリング点に対応する距離と温
度を求め、光ファイバの長手方向に沿った温度分布を計
測している。温度は、(11)式で示したように、ラマン
散乱光の二成分であるアンチストークス光とストークス
光の比から求められるため、この二成分とも同じ損失と
なる光ファイバの接続損失やマイクロベンド損失等につ
いては、その影響は受けないという利点がある。
なお、(11)式から温度関数β{T(n)}を計算す
るのに必要な減衰係数の比{γa(n)/γs(n)}
は、下記(13)式の様にΔα(伝送損失αaとαsの
差)で表せるので、Δαが分かれば、温度関数β{T
(n)}を求めることができる。
この伝送損失の差Δαは非常に小さいので、光ファイ
バ長が短い場合にはこの項を無視しても差し支えない
が、長い場合にはこの項を考慮する必要がある。
現状では、光ファイバを布設する前に、これらの伝送
損失を測定して、これらに対処するか、あるいは別の温
度計で光ファイバ長さ方向の温度を数点測定して対応し
ている。即ち、光ファイバ全長を同一温度に設置してお
き、各サンプリング時刻ごとにアンチストークス光とス
トークス光を計測して、任意区間の伝送損失の差Δαを
求める。例えば、サンプリング点n1、n2間の伝送損失の
差Δαは、温度関数β(T)が全長で一定であることを
考慮して、(9)(10)式から求められ、その結果は下
記(14)式のようになる。
Δα=[1/{(n2−n1)・}Δx]・1n[{Ia(n1)/I
a(n2)}÷{Is(n1)/Is(n2)}] …(14) しかし、この様な方法では、正確な伝送損失が把握さ
れていない既設ファイバをセンサとして用いた場合、あ
るいは伝送損失が長期的に変化することも考えられる安
価な光ファイバを使用する場合などに対しては、測定精
度の信頼性の面で難点があり、また、別の温度計を併用
する場合には、経済性の面で難点がある。
また、光ファイバの伝送損失は、第17図(a)に示す
ように、特定の波長領域で吸収損失が発生する場合があ
り、この波長領域で長期間使用すると、伝送損失が変化
することも考えられる。このため、現状のラマン式温度
センサでは、この波長領域を外して使用している。この
ように、使用する波長領域に制約があるため、任意の光
源を使用できず、装置として高価になる場合がある。
そこで、次に述べる実施例では、ラマン後方散乱光二
成分の計測値と光ファイバ伝送損失間で成立する関係式
を導出して、温度計測への光ファイバ伝送損失の影響を
除去する。
以下、ラマン散乱光二成分(アンチストークス光とス
トークス光)の伝送損失の差Δαを計測する手法を、第
16図に基づいて具体的に説明する。
パルス光源4は、トリガ回路(コントローラ)3から
の同期信号に同期して波長λ0で発光する。この光源4
のパルス光を、光ファイバ5a,光合分波器15を介してセ
ンサ用光ファイバ6に入射させる。光ファイバ6内で発
生した散乱光の一部は、後方散乱光として計測装置2に
戻り、光合分波器15に入射する。光合分波器15では、入
射した後方散乱光からの波長λaのアンチストークス光
と波長λsのストークス光とを分波する。
分波された波長λaのアンチストークス光は、光ファ
イバ7aを通って、受光器9a,増幅器56a、A/Dコンバータ5
7a,平均化処理回路10aで構成されるアンチストークス光
測定系30aに入る。受光器9aで電気信号に変換されたア
ンチストークス光の信号は、増幅器56aで増幅された
後、A/Dコンバータ57aでサンプリング距離1mに相当する
サンプリング時間10n secでサンプリングされ、デジタ
ル信号ia(n)に変換される。サンプリングした光ファイ
バ上の各点(位置)からのアンチストークス光強度に対
応するデータia(n)は、平均化処理回路8aにより、例え
ば216回の加算平均を行うことにより、S/Nの高いサンプ
リングデータIa(n)を得ることができる。
一方、光分波器15で分波された波長λsのストークス
光は、ストークス光測定系30bに入り、アンチストーク
ス光の信号と同様の処理が行われた後、平均化処理回路
10sよりサンプリングデータIs(n)が出力される。
温度分布演算回路11では、平均化処理されたサンプリ
ングデータIa(n),Is(n)を、サンプリングの各点
につき下記(16)式に代入し、サンプリング点数分の関
係式を得る。
この(16)の減衰係数γa(n),γs(n)は、
(10)式より分かるように、伝送損失αr,αa及びαs
のみで表わすことができる。尚、この(8)式は、(1
0)式を展開して得られた下記(15)式の関係を、上記
(1)式に適用し、温度に依存する項を除去したもので
ある。
Bs(T)−Ba(T)=1 …(15) 次に、温度分布演算回路11は、上記で得られたサンプ
リング点数分の関係式から、任意の3つの式を選びだ
し、その連立方程式を解くことにより、3個の未知数と
して伝送損失αr,αa及びαsを求める。
さらに、温度分布演算回路11は、この求まった伝送損
失αr,αa及びαsを用いて、サンプリングの各点に対
応した減衰係数γa(n)、γs(n)を求める。な
お、定数KaとKsは、減衰係数が既知である光ファイバを
用いてIs(n),Is(n)を測定し、(16)式を用いる
ことにより、予め求めておく。
さらに減衰係数γa(n)、γs(n)を上記(11)
式に代入して、各サンプリング点の温度T(n)を求め
る。
このようにすれば、光ファイバの伝送損失が未知であ
っても、この光ファイバをセンサとして、光ファイバに
沿った温度分布T(n)を求めることができる。
上述の例では、伝送損失αr,αs,αaの3つの未知数
を求める際に、3つの式を任意の1組だけ選択して用い
たが、この計算に使用できる式はサンプリング点数分だ
けあるので、この他の3つの式と組み合わせることもで
きる。例えば、2組以上の3つの式の組み合わせから求
めた伝送損失αr,αs,αaの平均を取り、これを最終的
に用いることにすれば、1組の式の組み合わせから求め
たαr,αs,αaを用いる場合よりも高精度の温度分布測
定を行うことができる。
また、次に示す繰り返し計算によって減衰係数を求め
てもよい。
説明の便宜上、上記(16)の代わりに用いる(20)式
の導出方法から説明する。
まず、伝送損失αr,αs,αaを下記(17)式に変形す
る。
ここに、(17)式の右辺第1項は仮に設定した値であ
り、第2項は仮定値と真値の差を示す。
(10)式に(17)式を代入し、整理すると、減衰係数
は(18)式で近似できる。
γs(n)=ksn・(1−n・εs) γa(n)=kan・(1−n・εa) …(18) 但し、 ks=exp{−(αr0+αs0)・Δx} ka=exp{−(αr0+αa0)・Δx} εs=(Δαr0+αs0)・Δx εa=(Δαr0+αs0)・Δx …(19) (16)式に(18)式を代入して変形し、(20)式を得
る。
Ys(n)・(1+n・εs)−Ya(n)・(1+n・ε
a)=1 …(20) 但し、 Ys(n)=Is(n)/{Ks・Ksn} Ya(n)=Ia(n)/{Ka・Kan} …(21) 上記(20)式は各サンプリング点ごとに成立するもの
であり、未知数はεs,εaだけであって、これ以外は計
測結果から求められる。
そこで、まず計測したIa(n),Is(n)の各サンプ
リング点ごとに成立した対応する式に代入し、最小二乗
法の計算を行うことにより、εs,εaを求める。(Ks,K
aは前述したように予め求めておき、また、Ks、Kaは仮
定値αr0,αa0,αs0より決まる。) 次に、このεs,εaを用いて、(17)〜(19)式より
減衰係数γa、γs及び伝送損失αr,αs,αaを求め
る。
この計算により求めた伝送損失αr,αa,αsを、(1
7)式の右辺第1項の仮に設定した値とし、つまりαr0
=αr,αs0=αs,αa0=αaと置いて、上述した計算を
再度行う。これにより(17)式の仮定値と真値の差Δα
r,Δαs,Δαaの大きさは、初回の計算時よりも小さく
なり、2回目の計算結果のαr,αs,αaは、初回のもの
より確度が高いものを得ることができる。
この計算を多数回、例えば100回行い、最終的に高確
度の伝送損失αr,αs,αaを求め、これらの値を用いて
サンプリングの各点に対応した減衰係数γa(n),γ
s(n)を求め、さらにこれらの値を(11)式に代入し
て温度分布T(n)を求める。
第17図(b)に、このような繰り返し計算を行った場
合のセンサ用光ファイバの伝送損失の差Δαの実測結果
(白丸印)を示す。この測定結果は、同時に計測した分
光特性測定器で得られた結果(実線)と一致し、上記繰
り返し計算を行う計測法が妥当であることが分かる。
上記例では、いずれもラマン散乱光を温度情報とした
光ファイバ式温度分布センサを対象としたものである
が、レーレ散乱光とラマン散乱光の組合わせを用いた光
ファイバ式温度分布センサに於いても適用することがで
き、同様な機能を発揮できるものである。
上記した方法によれば、吸収損が発生する波長領域で
も、温度分布を計測できるようになり、任意の波長の光
源を活用できるので、安価に温度分布センサを製作でき
る。また、センサ用光ファイバの伝送損失が何等かの原
因で変化しても、この損失を正確に把握できるので、安
価な光ファイバを使用できるようになると共に、温度分
布センサ装置としての信頼性を向上できる。更に、セン
サ用光ファイバの温度分布が不明でも、伝送損失が分か
るので、事前に伝送損失を求める必要がない。
(e)光損失の影響の除去 既に述べたように、ストークス光とアンチストークス
光の波長が異なるため、センサ用光ファイバ中の伝送損
失が異なる。そこで、ストークス光とアンチストークス
光の強度比をとり、温度情報にする場合、ストークス光
とアンチストークス光の伝送損失の違いを考慮した補正
が必要であり、これら定数を正確に把握する必要があ
る。
しかし、上記方法(第16図,第17図)では、ストーク
ス光とアンチストークス光の異なる波長の光を検出する
ため、検出部の構造が複雑となり、高価なものとなって
いる。
第18図は、ラマン散乱光の1成分のみで温度情報を得
られる簡単で安価な光ファイバ式温度分布センサの実施
例でなる。これは、測定装置から入射した光が全反射す
るようにセンサ用光ファイバの終端に反射板を設置し、
該測定装置内には、センサ用光ファイバの後方散乱光の
二成分のうちの一方(例えばアンチストークス光)を測
定する光測定系と、該光測定系で測定される後方散乱光
であって、光源から出射した光パルスの透過光による散
乱光強度aと、上記反射板で反射した光による散乱光強
度a′とを処理してセンサ用光ファイバに沿った温度分
布を求める温度分布演算回路とを備えるものである。
ラマン散乱光の1成分のみ(例えばアンチストークス
光のみ)で温度情報を得られ、しかも上記散乱光強度a,
a′の和を演算処理することにより光損失の影響が除去
されるため、温度分布センサの測定精度が大幅に向上す
る。
具体的に説明する。
第18図において、センサ用光ファイバ6の終端には、
入射した光が全反射するミラー等から成る反射板64が配
設されている。測定装置2は、OTDRの手法により光ファ
イバ6の各部の温度を検出するものであって、既に述べ
た光源4、光分波器15、受光器9a,9b、平均化処理回路1
0a,10b、温度分布演算回路11等で構成される。但し、ラ
マン散乱光の1成分のみを扱えば良いため、OTDR計測回
路としては、アンチストークス光測定系30a又はストー
クス光測定系30bの一方を備えれていれば良い。
ここではアンチストークス光を取り扱う場合について
説明する。
いま、測定装置2の光源より出射した光パルスが、セ
ンサ用光ファイバ6を通過し、反射板64に到達し、反射
されて測定装置2に戻る時、センサ用光ファイバ6の各
点において後方散乱光が発生し、測定装置2に導かれ、
光合分波器15によりアンチストークス光が分波され、該
装置内部のアンチストークス光測定系30aの受光器9aに
て検出される。
この散乱光強度の時間変位の一例を第19図に示す。散
乱光強度は、光ファイバ6の伝送損失により図のような
傾斜をもつ。
また、センサ用ファイバ6の全長をL、光ファイバ中
の光速をCとすると、光源4からの出射光パルスが反射
板64の直前に進んだ位置での後方散乱光として戻って来
るまでの時間は、即ち、光パルスが出射した時点から上
記後方散乱光が装置2内部の受光器に到達する時点まで
の時間は、2L/Cである。一方、出射光パルスが反射板64
で反射され、装置2の入射直前における位置で発生した
散乱光のうち、反射板64の方向に進行したものが反射板
64で反射されて、装置2に到達するまでの時間は4L/Cと
なる。
このようなことから、後方散乱光強度の時間的変化
は、第19図に示すようになる。即ち、後方散乱光強度
は、光源4から出射した光パルスが反射板64に到達する
までの時間では、第19図のA部のように変化し、B部で
ファイバ終端のフレネル反射を示し、そして、反射板64
で反射され装置2に戻ってくる光パルスによる後方散乱
光の変化は、まずeのように反射板64の反射による損失
があり、その後A′部のように変化する。また、時間2L
/Cを中心として±Δt(時間)の散乱光強度は、センサ
用光ファイバの同一位置(距離)における散乱光強度に
対応している。尚、D,D′は高温部の後方散乱光強度で
ある。
上記A′で示した後方散乱光は、反射板64を設けるこ
とにより、入射端で測定可能なレベルになったものであ
り、従来のように反射板64がないときには、光ファイバ
遠端で反射する光量が弱くeの損失が大きいために測定
できないものである。
次に、この散乱光強度の対数表示の時間変位を光ファ
イバ6の距離に対応させると、第20図に示すようにな
る。即ち、光源4から出射した光パルスが反射板64に到
達するまでに発生する散乱光強度は、第20図のa部のよ
うになり、光パルスが反射板64で反射される以後の散乱
光強度は、第20図のa′部のようになる。
これを装置2内部の温度分布演算回路11により、光フ
ァイバ6に沿った各位置で、(a+a′)を演算する
と、図中の光ファイバ6の伝送損失による散乱光変化を
除去することができ、第21図に示すような温度にだけ依
存する散乱光強度変化を得ることができる。これによ
り、温度情報が得られる。
さらに、この方法を第22図を利用して具体的に証明す
ると、次のようになる。
センサ用光ファイバ全長をL、センサ用光ファイバ入
射端より反射板に到達するまでの透過光パルスによる後
方散乱光強度変化をI1、反射板64で反射した以後の透過
光パルスによる後方散乱光強度変化をI2、光ファイバ入
射端におけるI1の値をI1O,反射板設置位置におけるI2
の値をI2Oとすると、光ファイバ入射端から距離xの位
置におけるI1,I2の値は、次式で表わされる。
I1(x)=I1O・exp(−α・x)・f(Tx) I2(x)=I2O・exp{−α・(L−x)}・f(Tx) α:定数, f(Tx):温度関数 そこで、I1(x)とI2(x)の幾何学平均をとり、そ
の値をI*(x)とすると、 となる。
かくして、得られる情報I*(x)は伝送損失の項が無
くなり、温度情報f(Tx)のみの関数となる。
従って、この情報を用いれば、光ファイバの伝送損失
を考慮する必要はなく、任意の光ファイバをセンサとし
て用いることができる。また、ラマン散乱光の1成分の
みで温度検出ができるので、装置を安価に構成できる。
本例では反射板64として、ミラーを考えているが、光
学的に光が全反射するものであれば、いかなるもので
も、同じ機能を発揮できるものである 上記の光ファイバ式温度分布センサは、検出する後方
散乱光かストークス光かアンチストークス光のどちらか
一方でよいため、従来の方法に比べて測定装置の簡略
化、低コスト化、調整時間の短縮化が可能となる。
(f)距離分解能より小区間の検出 従来の光ファイバ型温度センサには次の問題があっ
た。
装置の最小検出可能距離より小さい測定対象物の温度
を検出することにはできない。検出可能距離を短くする
方法としては光源のパルス幅を小さくし、サンプリング
を大きくすれば良いが、極めて高速のパルス発生器とデ
ータ処理装置が必要になり経済性に欠ける。
布設してある光ファイバの一部をコイル化して光ファ
イバ型スポットセンサとする場合には、光ファイバの捻
れにより、光損失が大きくなり、温度分布センサのダイ
ナミックレンジが制約され、光ファイバの距離,スポッ
トセンサ個数を減らす必要が生ずる。また、捻れによる
歪で強度劣化が生じやすくなり、長期信頼性上問題とな
る。
光ファイバを切断し、この切断部に、予め捻れないよ
うに巻いた光ファイバ型スポットセンサを挿入し融着接
続する方法もあるが、融着接続を必要とするため、工事
が複雑になる。又、一度付けたセンサを外して、他に取
り付けることも同じ理由により難しくなる。
第23図,第24図は、上記の点を考慮した実施例であ
り、布設してあるセンサ用光ファイバの任意箇所を切
断、融着接続することなしに、装置の最小検出可能距離
より小さい測定対象物の温度を検出するために最小検出
可能距離の2倍以上のセンサファイバ長さを取り出し、
これを捻れないように“8"の字型に巻いて楕円形のケー
スに収納し、以て光ファイバ形スポットセンサとしたも
のである。
第23図,第24図において、65は金属等の熱伝達性の良
い材料から成る楕円形のケースであり、該ケースは、こ
の内部に収納される光ファイバ心線66と共に、光ファイ
バ形スポットセンサを構成する。
布設してあるセンサ用光ファイバ6は、その一部が切
断しない状態で取り出され、光ファイバコード67の形で
ケース65まで導かれる。そして、光ファイバコード67は
ケース入口でコード固定金具68により固定された後、ケ
ース65内で往路復路の光ファイバ心線66に別れ、且つケ
ブラ固定金具69でケース65内に止められる。
ケース65内において、上記光ファイバ心線66は、温度
分布測定装置2の最小検出可能距離より小さい測定対象
物の温度を検出可能とするために、最小検出可能距離の
2倍以上の長さ分が“8"の字形に巻かれて、ケース65内
の空洞部分に収納される。
光ファイバ心線66を“8"の字状に巻いて楕円形のケー
ス65内に収納するのは、外力に対して曲げ,側圧などの
歪が光ファイバ心線66に加わらないようにするためであ
る。特に、光ファイバ心線66を“8"の字状に巻くこと
は、捻れの発生を防止する上で重要である。
即ち、光ファイバを必要長だけ切断してコイル状に巻
く場合には、光ファイバをねじらないで巻くことが可能
であるが、切断しないでコイル化する場合には、コイル
を1ターン形成するごとに、光ファイバは1回転分(36
0度)ねじられ、ターン数に比例して、ねじり数が増え
る。しかし、8字に巻くと、半周目で180度ねじられる
が、残りの半周で、逆方向に180度ねじられるため、1
ターン分では相殺されて、ねじり数は増加しない。
今回は、センサ用光ファイバに200/250μmのQSI(Qu
asi−Step−Index)形光ファイバを用い、上記“8"の字
形の長軸方向の長さを140mm、短軸方向の長さを70mm、
曲げ径を直径40mmとした。
第25図は、単に楕円型に巻いて捻れが入った場合の曲
げ損失と、8の字形状に巻いた場合との曲げ損失とを、
光ファイバ長を3m一定として、比較した図である。曲げ
径が小さくなるほど巻き数が多くなるため、捻れが多く
なり、損失が増加する。今回の曲げ径φ40mmでは8の字
形状に巻くことで、光損失が0.1dB低減でき、光ファイ
バの距離を長く、センサ個数を増やすことができる。
上記例では、センサ用光ファイバは単にケースの空洞
部分に収納しただけであるが、熱伝達性の点からコンパ
ウンドや油等を充填してもよい。
上記第23図,第24図のように光ファイバ形スポットセ
ンサを構成することにより最小検出可能距離よりも小さ
い対象物の温度測定ができる。融着接続が不要なため工
事が簡単であると共に、接続損失がないため測定距離を
長く、センサ個数を増やすことができる。また、融着接
続が不要なため、センサ部分の変更が容易に行える。
[発明の効果] 以上述べたように、本発明によれば、以下の顕著な効
果を奏することができる。
(1)光源からの光をセンサ用光ファイバに導く部分及
びセンサ用光ファイバから戻ってくる信号光を光計測系
に導く部分で用いられていた光分岐器を、光学フィルタ
で構成される光合分波器で置き換えているため、信号光
及び光源の光の損失が小さくなり、光フィバ式分布形温
度センサの測定精度が大巾に向上する。従って、測定条
件や測定精度を従来のままとした場合、従来より測定距
離を長くすることができる。
(2)光ファイバの終端部に無反射処理を施した第1の
形態(請求項1〜3)では、この部分での反射光を著し
く低下させたことにより、後方散乱光への終端部反射光
の影響を消去し、光ファイバ終端部まで高精度で温度分
布を測定することができる。従って、狭い場所やパイプ
の内部または複雑な構造物の隙間の温度分布も、光ファ
イバの終端を目的とする対象物に挿入設置するだけで、
容易に測定することができる。また、光ファイバの設置
が容易で、省スペース化に有効であると共に、光ファイ
バ先端に加工を行うだけで済むので、他に大幅な変更を
必要とせず、経済性に優れる。
(3)センサ用光ファイバの終端部にGaAsセンサを設け
た第2の形態(請求項4,5)では、従来、測定が出来な
かったセンサ用光ファイバ終端部の温度が測定できる。
また、既設のラマン散乱光利用の温度分布測定装置が殆
どそのまま利用でき、全体として安価な装置を提供出来
る。GaAs及び反射膜から構成した光式の先端部センサを
使用するため、先端部センサは無電源で動作可能である
と共に、サージや外来ノイズの影響を全く受けない。先
端部センサでの監視対象物の常時監視が可能である。
(4)第3の形態(請求項6)では、温度分布測定のS/
N比を向上させるためにAPD受光感度の目標値をAPDの高
周波での周波数特性が劣化しない限界値に近いところに
設定した場合でも、周波温度変化に対して、温度分布測
定結果に緩和現象が生じるのを防ぐことができ、S/N比
の高い温度分布測定を周囲温度変化の影響を受けること
なく行うことができる。
(5)ラマン散乱光二成分の伝送損失の差を計測し、温
度計測への光ファイバ伝送損失の影響を除去する第4の
形態(請求項7)では、吸収損が発生する波長領域で
も、温度分布を計測できるようになり、任意の波長の光
源を活用できるので、安価に温度分布センサを製作でき
る。また、センサ用光ファイバの伝送損失が何等かの原
因で変化しても、この損失を正確に把握できるので、安
価な光ファイバを使用できるようになると共に、温度分
布センサ装置としての信頼性を向上できる。そして、セ
ンサ用光ファイバの温度分布が不明でも、伝送損失が分
かるので、事前に伝送損失を求める必要がない。
(6)光源から出射した光パルスの透過光による散乱光
強度aと、上記反射板で反射した光による散乱光強度
a′とを処理してセンサ用光ファイバに沿った温度分布
を求める第5の形態(請求項8)では、ラマン散乱光の
1成分のみ(アンチストークス光のみ又はストークス光
のみ)で温度情報を得られる。しかも上記散乱光強度a,
a′の和を演算処理することにより光損失の影響が除去
されるため、温度分布センサの測定精度が大幅に向上す
る。また、ラマン散乱光の1成分のみで温度情報を得ら
れるため、従来の方法に比べて測定装置の簡略化、低コ
スト化、調整時間の短縮化が可能となる。
(7)第6の形態(請求項9)では、布設してあるセン
サ用光ファイバの任意箇所を切断、融着接続することな
しに、装置の最小検出可能距離より小さい測定対象物の
温度測定ができる。融着接続が不要なため、低損失であ
り、測定距離を長く、センサ個数を増やすことができ
る。また、現在の装置に簡単に挿入,付加できるため、
工事が簡単であると共にセンサ部分の変更が容易に行え
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の光ファイバ式分布形温度センサの一実
施例を示す構成図、第2図はそれに使用した光合分波器
の一構成例を示す図、第3図はその光合分波器で使用す
る光学フィルタの特性図、第4図は従来の光ファイバ式
温度分布センサの動作の説明に供する図、第5図は本発
明の光ファイバ式温度分布センサの光ファイバ終端部の
構造例を示す断面図、第6図は本発明の光ファイバ式温
度分布センサの動作の説明に供する図、第7図は測定対
象物の概要図、第8図は本発明の光ファイバ温度分布セ
ンサの他の実施例を示す構成図、第9図はその終端部セ
ンサの構造図、第10図は第8図で使用した光合分波器の
構成例を示す図、第11図はその光合分波器で使用する光
学フィルタの特性図、第12図は第8図の光ファイバ温度
分布センサの変形例を示す構成図、第13図は第12図の測
定装置で得られる信号波形図、第14図は温度分布測定結
果の緩和現象を示す図、第15図は本発明による光ファイ
バ分布形温度センサの別の実施例を示す構成図、第16図
は本発明の他の実施例を示す構成図、第17図は光ファイ
バの伝送損失の説明図であり、(a)は特定の波長領域
で吸収損失が発生する場合の説明図、(b)は本発明に
より求めた光ファイバ伝送損失の測定例を示す図、第18
図は本発明の光ファイバ式温度分布センサの他の実施例
を示す構成図、第19図は第18図のセンサにより後方散乱
光強度の時間変化を測定した例を示す図、第20図は第18
図のセンサにより光ファイバ各点における後方散乱光強
度を測定した例を示す図、第21図は伝送損失による散乱
光変化を除去し温度にのみ依存する散乱光強度変化とし
た測定結果を示す図、第22図は光ファイバのレーレー散
乱損失を除去したときの光ファイバ各点における後方散
乱光強度の測定例を示す図、第23図は本発明の光ファイ
バ式分布形温度センサの構造を示す横断面図、第24図は
そのB−B断面図、第25図はねじれの効果を曲げ径−光
損失特性で示す図、第26図は従来のラマン散乱光利用分
布形温度センサの構成図、第27図及び第28図は測定概念
の説明に供する図である。 図中、2は温度分布測定装置、3はトリガ回路(コント
ローラ)、4はパルス光源、5は光分岐器、5a,5bは光
ファイバ、6はセンサ用光ファイバ、7は光分岐器、7
a,7bは光ファイバ、8a,8bは光学フィルタ、9a,9bは受光
器、10は平均化処理装置、10a,10bは平均化処理回路、1
1は温度分布演算回路、15は光合分波器、16は表示装
置、18はフレネル反射光、19は透過光パルス、20は波頭
部、20aは透過光パルス波頭成分、21は後方散乱光パル
ス成分、22は反射光パルス成分、23は後方散乱光分布、
24は温度分布、25は保護管、26は金属パイプ、27は終端
部、28は後方散乱光パルス、29は光ファイバ終端区間、
30aはアンチストークス光測定系、30sはストークス光測
定系、31は後方散乱光分布、32は温度分布、33は測定対
象物、34はガイド管、35はGaAsセンサ、36はGaAs、37は
反射膜、38はホルダ、39はスペーサ、40,41はレーザ光
源(LD)、42,43はパルス駆動回路、44,45は干渉フィル
タ、46,47は受光器(APD)、48は光分岐器、50は光分波
器、56a,56bは増幅器、57a,57bはA/Dコンバータ、60は
制御用信号測定部、61はスポット形温度センサ、64は反
射板、65はケース、66は光ファイバ心線、67は光ファイ
バコード、68は光ファイバ固定金具、69はケブラ固定金
具である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋場 圭一 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社電線研究所内 (72)発明者 杉山 耕一 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社電線研究所内 (72)発明者 山本 哲 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社電線研究所内 (72)発明者 遠藤 重広 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社電線研究所内 (72)発明者 川神 裕志 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社電線研究所内 (72)発明者 徳島 彰 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社日高工場内 (56)参考文献 特開 昭58−135928(JP,A) 特開 昭61−107124(JP,A) 特開 平4−118535(JP,A) 実開 昭60−176164(JP,U) 塩田孝夫,稲田浩一,”多点計測が可 能な光ファイバ温度センサの開発とその 適用領域”,計装29巻第9号(1986), P.26−29

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】終端部に無反射処理を施したセンサ用光フ
    ァイバに光源からの光を光合分波器を通して入射させ、
    センサ用光ファイバから戻ってくる後方散乱光の反射光
    のうち特定の波長領域の光を上記光合分波器を通して分
    離し、その光信号を光計測系の受光器に導くことを特徴
    とする光ファイバ式分布形温度センサ。
  2. 【請求項2】上記センサ用光ファイバは、その終端部が
    球面状の形状に加工され、保護管内に密閉収納されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ式分布形
    温度センサ。
  3. 【請求項3】上記センサ用光ファイバは、その終端部が
    高屈折率物質で包囲されていることを特徴とする請求項
    2記載の光ファイバ式分布形温度センサ。
  4. 【請求項4】光源からの光を光合分波器を通してセンサ
    用光ファイバに入射させ、センサ用光ファイバから戻っ
    てくる後方散乱光の反射光のうち特定の波長領域の光を
    上記光合分波器を通して分離し、その光信号を光計測系
    の受光器に導く光ファイバ式分布形温度センサにおい
    て、センサ用光ファイバの終端部に、GaAs及び反射膜で
    構成したGaAsセンサを設けたことを特徴とする光ファイ
    バ式分布形温度センサ。
  5. 【請求項5】上記センサ用光ファイバの一箇所又は複数
    箇所に光分岐器を設け、該光分岐器から分岐した光ファ
    イバの終端にGaAs及び反射膜で構成したGaAaセンサを設
    けたことを特徴とする請求項4記載の光ファイバ式分布
    形温度センサ。
  6. 【請求項6】光源からの光を光合分波器を通してセンサ
    用光ファイバに入射させ、センサ用光ファイバから戻っ
    てくる後方散乱光の反射光のうち特定の波長領域の光を
    上記光合分波器を通して分離し、その光信号を光計測系
    の受光器に導いてセンサ用光ファイバに沿った温度分布
    を測定する一方、センサ用光ファイバの特定場所あるい
    は特定区間に制御信号測定部を設け、この制御信号測定
    部で発生した反射光強度に比例する信号の値に基づいて
    受光感度制御系により上記受光器を高感度に制御する光
    ファイバ式分布形温度センサにおいて、制御信号測定部
    にスポット形温度センサを有し、上記受光感度制御系
    は、該スポット形温度センサの検出温度を用いて、上記
    反射光強度に比例する信号の値に演算処理を行い、この
    変換値が予め定めた目標値になるように、受光器の受光
    感度を制御する系であることを特徴とする光ファイバ式
    分布形温度センサ。
  7. 【請求項7】光源からの光を光合分波器を通してセンサ
    用光ファイバに入射させ、センサ用光ファイバから戻っ
    てくる後方散乱光のうちからラマン散乱光の二成分であ
    るアンチストークス光とストークス光を上記光合分波器
    を通して分離し、その光信号を光計測系の受光器に導く
    光ファイバ式分布形温度センサにおいて、上記受光器に
    導かれるアンチストークス光とストークス光の光強度か
    らセンサ用光ファイバの温度を求め、光パルスの入射時
    刻と反射光が計測系へ到達する時刻の差から後方散乱光
    の発生位置を求めることにより、温度と位置を同時計測
    し、該光ファイバの温度分布を計測する温度分布演算回
    路を備え、該演算回路が、計測されるラマン散乱光の強
    度とラマン散乱光の発生確率の関係式とから、アンチス
    トークス光とストークス光それぞれに対する減衰係数あ
    るいは両者に対する伝送損失の差を求め、その減衰係数
    あるいは伝送損失の差から温度分布を演算により求める
    演算処理機能を備えることを特徴とする光ファイバ式分
    布形温度センサ。
  8. 【請求項8】光源からの光を光合分波器を通してセンサ
    用光ファイバに入射させ、センサ用光ファイバから戻っ
    てくる後方散乱光の反射光のうち特定の波長領域の光を
    上記光合分波器を通して分離し、その光信号を光計測系
    の受光器に導く光ファイバ式分布形温度センサにおい
    て、測定装置から入射した光が全反射するようにセンサ
    用光ファイバの終端に反射板を設置し、該測定装置内に
    は、センサ用光ファイバからの後方散乱光の二成分のう
    ちの一方を測定する光測定系と、該光測定系で測定され
    る後方散乱光であって、光源から出射した光パルスの透
    過光による散乱光強度と、上記反射板で反射した光によ
    る散乱光強度とを処理してセンサ用光ファイバに沿った
    温度分布を求める温度分布演算回路とを備えることを特
    徴とする光ファイバ式分布形温度センサ。
  9. 【請求項9】光源からの光を光合分波器を通してセンサ
    用光ファイバに入射させ、センサ用光ファイバから戻っ
    てくる後方散乱光の反射光のうち特定の波長領域の光を
    前記光合分波器を通して分離し、その光信号を光計測系
    の受光器に導く光ファイバ式分布形温度センサにおい
    て、布設してあるセンサ用光ファイバの任意箇所を切
    断、融着接続することなしに、装置の最小検出可能距離
    より小さい測定対象物の温度を検出するために最小検出
    可能距離の2倍以上のセンサファイバ長さを取り出し、
    これを捻れないように“8"の字型に巻いて楕円形のケー
    スに収納し、以て光ファイバ形スポットセンサとしたこ
    とを特徴とする光ファイバ式分布形温度センサ。
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