JP2722394B2 - 鉄筋定着治具 - Google Patents

鉄筋定着治具

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JP2722394B2 JP35951992A JP35951992A JP2722394B2 JP 2722394 B2 JP2722394 B2 JP 2722394B2 JP 35951992 A JP35951992 A JP 35951992A JP 35951992 A JP35951992 A JP 35951992A JP 2722394 B2 JP2722394 B2 JP 2722394B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に鉄筋コンクリート
構造における柱と梁の接合部等に用いるに好適な鉄筋定
着治具に関する。
【0002】
【従来の技術】図10乃至図12は、それぞれ、従来行
われていた鉄筋の定着方法の一例を示す図である。従
来、鉄筋コンクリート構造において梁筋を柱躯体に定着
させる場合のように、鉄筋の端部をコンクリート中に定
着させる場合には、図10乃至図12に示すように、定
着すべき鉄筋33の端部を、図10に示すようにU字状
に曲げたり、或いは図11に示すようにL字状に曲げて
柱中に埋め込む形で、所定の長さ分だけ定着長をとるこ
とにより、設計上の引き抜き強度が確保されている。し
かし、このように鉄筋33の端部をいちいち曲げるの
は、鉄筋加工手間がかかって煩雑であると共に、柱と梁
の接合部において、柱側と梁側の配筋が互いに干渉し合
う形で、配筋が複雑になり、施工がやり辛い、という不
都合がある。そこで、こういった鉄筋の曲げ加工を省略
するための方法として、図12に示すように、その全長
或いは少なくとも端部にネジを切った鉄筋34を用い
て、これにナット35、35等を用いて適当なる反力プ
レート36を装着し、当該反力プレート36により引き
抜き抵抗を増大させる形で、その端部を曲げ加工してい
ない直筋のままの鉄筋34をコンクリート中に定着させ
ようとする方法もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような直
筋のままの鉄筋34に十分なる定着強度をもたせるため
には、かなり大きなナット35や反力プレート36が必
要とされるが、図12に示す例においては、鉄筋34の
径φnは予め設計されているために、これによって該鉄
筋34の端部に螺合されるナット35のナット径D6も
限定されている。従って、鉄筋34に十分なる引き抜き
抵抗を発現させるには、反力プレート36の幅W1を大
きくするか、ナット35、35と反力プレート36によ
って形成される定着部の長さL3を大きくとる必要が生
じるが、そのいずれの方法を行うにしても、柱主筋51
との間に干渉が生じる懸念があり、好ましくない。ま
た、こういったナット35と反力プレート36の鉄筋3
4への装着は、施工現場において行われるものである
が、2ヶのナット35、35間に反力プレート36を挟
むのはなかなか煩雑な作業であるために、施工状態によ
って仕上がりのバラツキが大きい。即ち、2ヶのナット
35、35相互の締め付けが十分でなければ、実際上の
定着強度が不十分になってしまう鉄筋が発生する危険性
がある。そこで本発明は、上記事情に鑑み、鉄筋の端部
をコンクリート中に埋め込む際に、施工が簡単でありな
がら、均質且つ確実なる定着強度を得ることが出来るよ
うにした、鉄筋定着治具を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、コンクリ
ート構造体(2)中に埋設され得る本体(9)を有し、
前記本体(9)に、その外周に雄ネジ(61b)が形成
された形の定着されるべき鉄筋(61)がネジ込まれる
ネジ込み部(92)を、その内部に該鉄筋(61)の雄
ネジ(61b)と螺合自在な雌ねじ(93)を形成した
形で設け、前記本体(9)に鉄筋押圧手段(8)を、前
記ネジ込み部(92)にネジ込まれる鉄筋(61)の端
面(61c)を押圧し得る形で設けて、構成される。ま
た、前記鉄筋押圧手段(8)は前記ネジ込み部(92)
中に収容された弾性体(11)からなるようにして、鉄
筋定着治具(7)が構成される。また、前記本体(9)
に貫通孔(94)を、前記ネジ込み部(92)の底部
(92a)と該本体(9)の外部を連通させる形で設
け、前記貫通孔(94)に鉄筋係合確認部材(10)
を、その先端部(10e)を前記本体(9)に対して突
出させ得る形で該貫通孔(94)に沿って摺動自在に設
け、前記鉄筋係合確認部材(10)の前記ネジ込み部
(92)側に鉄筋当接部(10c)を設けて、鉄筋定着
治具(7)が構成される。また、前記本体(9)に貫通
孔(94)を、前記ネジ込み部(92)の底部(92
a)と該本体(9)の外部を連通させる形で設け、該貫
通孔(94)に鉄筋押圧手段(8)としてのボルト体
(17)を、前記ネジ込み部(92)に対して進入後退
自在に螺合して、鉄筋定着治具(7)が構成される。さ
らに、前記鉄筋押圧手段(8)は、前記ネジ込み部(9
2)の底部(92a)を該ネジ込み部(92)にネジ込
まれる鉄筋(61)により弾性変形自在に形成したこと
を特徴として、鉄筋定着治具(7)が構成される。な
お、( )内の番号等は、図面における対応する要素を
示す、便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の
記載に限定拘束されるものではない。以下の作用の欄に
ついても同様である。
【0005】
【作用】上記した構成により、ネジ込み部(92)にネ
ジ込まれる鉄筋(61)の端面を鉄筋押圧手段(8)が
押圧することにより、鉄筋(61)がその軸方向に沿っ
て押圧されて、該鉄筋(61)の雄ネジ(61b)がネ
ジ込み部(92)の雌ネジ(93)の一方の側に押し付
けられて当接部(60)が形成された状態で、本体
(9)がコンクリート構造体(2)中に埋設されるよう
に作用する。また、弾性体(11)はネジ込み部(9
2)中において、該弾性体(11)自体が保有している
弾性力によって鉄筋(61)の端面(61c)を押圧す
る用に作用する。また、ネジ込み部(92)にネジ込ま
れる鉄筋(61)の端面(61c)が係合確認部材(1
0)の鉄筋当接部(10c)に当接してこれを押し、該
係合確認部材(10)が貫通孔に沿って摺動する形で、
その先端部(10e)が本体(9)の外方に突出するよ
うに作用する。また、ボルト体(17)は、本体(9)
の外部側から貫通孔(94)を介してネジ込み部(9
2)に進入する形で、鉄筋(61)の端面(61c)を
押圧するように作用する。さらに、底部(92a)は鉄
筋(61)の端面(61c)に押されて弾性変形する形
で該鉄筋(61)を押圧するように作用する。
【0006】
【実施例】図1は本発明による鉄筋定着治具の一実施例
を用いて鉄筋が埋め込まれた柱・梁接合構造の一例を示
す図、図2は図1に示す鉄筋定着治具の詳細を示す拡大
図、図3は図2のIII矢視図、図4は図2に示す鉄筋定
着治具において鉄筋が嵌め込まれていない状態を示す断
側面図、図5は図2に示す鉄筋定着治具における係合確
認ピン部分を示す斜視図、図6は本発明による鉄筋定着
治具の別の実施例を示す図、図7は本発明による鉄筋定
着治具のさらに別の実施例を示す図、図8は本発明によ
る鉄筋定着治具のさらに別の実施例を示す図、図9は本
発明による鉄筋定着治具のさらに別の実施例を示す図で
ある。
【0007】柱・梁接合構造1は、図1に示すように、
矩形断面の鉄筋コンクリートからなる柱2を有してお
り、柱2中には、その各々が該柱2の伸延方向である上
下方向に伸延する形の異形棒鋼等からなる柱主筋51
が、該柱2の横断面に所定の本数づつ埋設配筋されてい
る。また、柱2中には、その各々が柱主筋51を包囲す
る形で水平方向に曲げ加工した異形棒鋼等からなる柱フ
ープ筋52が、図1上下方向に略所定のピッチをなす形
で複数埋設配筋されており、柱フープ筋52は、そのそ
れぞれが溶接等により柱主筋51に接続一体化されてい
る。
【0008】柱2の図1上下方向中央近傍左側に示す所
定の位置には、図1に示すように、梁接続部2aが設け
られており、梁接続部2aには、該柱2と同等の鉄筋コ
ンクリートからなる梁3が、該梁接続部2aから図1左
側に示す水平方向に向けて伸延する形で、該柱2とその
図1左方の図示されない部分に配置する柱間に懸架され
て、ここに接続配設されている。梁3中には、その各々
が梁3の伸延方向である水平方向に伸延する形の異形ネ
ジフシ棒鋼等からなり、後述する定着体7のキャップ9
によって柱2中に定着されるべき鉄筋である梁主筋61
が、該梁3の横断面に所定の本数づつ埋設配筋されてお
り、また梁3中には、その各々が梁主筋61を包囲する
形で図1紙面と交差方向に曲げ加工した異形棒鋼等から
なる梁フープ筋62が、そのそれぞれが溶接等により梁
主筋61に接続一体化された形で、図1左右方向に略所
定のピッチで複数埋設配筋されている。
【0009】梁主筋61には、図2に示すように、その
外周に雄ネジが形成された形のネジフシ61bが、該柱
主筋61の図1左右方向に示す全長に亙って螺旋状に突
出する形で連続形成されており、梁主筋61は、その図
1右端に示す端部61aが、図1に示すように、柱2中
の図1右端近傍に配置する形で、該柱2を構成している
鉄筋コンクリート中に埋設定着されている。また、梁主
筋61には、その端部61aに定着体7が、該梁主筋6
1の外周に形成されたネジフシ61bと該定着体7のキ
ャップ9に形成されたネジ溝93(図2に図示)が図2
に示すように、所定の嵌め合い長さL4分だけ螺合され
ることにより、所定の定着強度を保持した形で、ここに
装着されており、梁主筋61は、定着体7のキャップ9
が柱2中に埋設定着されることによって、該柱2からの
引き抜き抵抗が増大された形になっている。
【0010】即ち、定着体7は、図2又は図3に示すよ
うに、コンクリート構造体である柱2中に埋設される形
の本体であるキャップ9を有しており、キャップ9は、
その外径D1が前記梁主筋61の外径より大径をなす形
で鋳鉄或いは鋼材等により帽子型に加工されて構成され
ている。キャップ9の内部には、図2に示すように、定
着されるべき鉄筋である梁主筋61がネジ込まれる鉄筋
ネジ込穴92が、図2左側に向けて開口する形で、即ち
該鉄筋ネジ込穴92の図2左側部である開口部92bを
介して梁主筋61が鉄筋ネジ込穴92にネジ込み自在な
形で、所定の深さL1をなす窪み穴状に形成されてい
る。鉄筋ネジ込穴92の内部には、ネジ溝93が、梁主
筋61の外周に形成された雄ネジである前記ネジフシ6
1bと螺合自在な形で雌ネジ状に形成されており、鉄筋
ネジ込穴92のネジ溝93は梁主筋61のネジフシ61
bと十分なる余裕をもって(即ち、図2に示すようにネ
ジフシ61bとネジ溝93との間に間隙15が形成され
得る形で)螺合自在な形になっている。また、キャップ
9の図2左端部には、フランジ部91が、その外周が、
該フランジ部91以外の該キャップ9本体部分の外径D
1より大なる外径D2をなす形で、略円盤状に形成され
ている。また、キャップ9の図2右端部には、所定の径
D3をなす形の貫通孔94が、鉄筋ネジ込穴92の底部
92aをキャップ9の外部であるその図2右方に向けて
連通させる形でここに形成されており、貫通孔94に
は、鉄筋ネジ込穴92にネジ込まれる鉄筋のネジ込み状
態を確認するための係合確認ピン10が、その軸部10
aが該貫通穴94に嵌合されて、その先端部である図2
右端に示す基端10eをキャップ9に対して図2右方側
に突出させ得る形で、該貫通孔94に沿って摺動自在に
設けられている。
【0011】即ち、係合確認ピン10は、図5に示すよ
うに、その外径D5が前記貫通孔94の径D3より若干
小径をなす形で丸軸状に形成された軸部10aを有して
おり、軸部10aの図5紙面の奥側(図2左側)には、
貫通孔94の径D3より大きな径D4をなす円盤状に形
成されたプレート10bが、溶接等により該軸部10a
と一体をなす形でここに装着されている。プレート10
bには、その図5紙面の裏側、即ち図2左側面に、前記
梁主筋61の図2右端側に示す平面状に形成された端面
61cと当接し得る形の鉄筋当接部である当接部10c
が、略円形に形成されており、即ち、鉄筋ネジ込穴92
に梁主筋61がネジ込まれて柱2中に埋設された状態に
ある定着体7の係合確認ピン10は、図2に示すよう
に、該鉄筋ネジ込穴92中ににおいて、プレート10b
の当接部10cが梁主筋61の端面61cと当接した形
になっている。
【0012】また、係合確認ピン10は、図2に示すよ
うに、その軸部10aの図2右端側に示す基端10e
が、貫通孔94を介してキャップ9の図2右方側に示す
外部に、実施例においては常時突出した形になってお
り、係合確認ピン10には、軸部10aの基端10e近
傍に丸孔10dが、該軸部10aの軸体方向と交差する
方向に穿設形成されている。丸孔10dには該丸孔10
dの径に対応した形の割ピン12が、該軸部10aと交
差する形で嵌合装着されており、割ピン12は、キャッ
プ9の図2右側に示す後側、即ち鉄筋差込穴92の外方
に配置している。従って、係合確認ピン10は、図2に
示すように、鉄筋差込穴92中に配置するプレート10
bと該鉄筋差込穴92の外方に配置する割ピン12によ
って、貫通孔94に摺動自在に嵌合された軸部10aの
図2左右方向の移動距離を限定される形で、該軸部10
aの長さ分だけ、キャップ9に対して図2左右方向に摺
動自在な形で、該キャップ9に対する基端10eの突出
量が可変であるようになっている。
【0013】また、係合確認ピン10には、図2又は図
5に示すように、その軸部10aの前部である図2左端
部(図5紙面の奥側端部)から所定の長さL2分だけ、
該軸部10aの外周部分にペイント13が塗布される形
で、マーキング部10Mが設けられており、係合確認ピ
ン10は、梁主筋61がキャップ9の鉄筋ネジ込穴94
に所定の嵌め合い長さL4だけ螺合された状態におい
て、図2に示すように、該梁主筋61の端面61cに前
記プレート10bが押される形で、マーキング部10M
の端部が貫通孔94の図2左側に示すキャップ9の外方
に突出した状態になっている。なお、係合確認ピン10
は、梁主筋61がキャップ9の鉄筋差込穴92に差込ま
れていない状態(図4に示す状態)のときには、以下に
述べるスプリングワッシャ11のバネ力を介して、該マ
ーキング部10Mの略殆どが鉄筋差込穴92中に配置す
る形で、割ピン12がキャップ9の図4右側面に当接す
るまで、ここに引き込まれた状態になっている。
【0014】さらに、キャップ9には、図2に示すよう
に、係合確認ピン10のプレート10bと鉄筋ネジ込穴
92の底部92aとの間に配置する形で、図2左右方向
に伸縮自在な弾性体であるスプリングワッシャ11が、
該係合確認ピン10の軸部10aに嵌装されており、ス
プリングワッシャ11は、該梁主筋61の図2右端に示
す端面61cを押圧し得る形で、該鉄筋ネジ込穴92中
に収容配設されて、鉄筋押圧手段8を構成している。鉄
筋押圧手段8を構成しているスプリングワッシャ11
は、該スプリングワッシャ11に何等の力も付加されて
いないとき、即ち何等かの部材に拘束されていないと
き、図4に示すように伸長した状態を呈し、この状態か
ら図2に示すように、該スプリングワッシャ11の図2
左右両端が、プレート10bを介して梁主筋61の図2
右側端面と鉄筋ネジ込穴92の底部92aとにより拘束
されることにより、図2左右方向に収縮した状態を呈
し、この状態によってプレート10bの当接部10cを
介して梁主筋61の図2右端側に示す端面61cを矢印
A方向に押圧することが出来るように構成されているも
のである。
【0015】柱・梁接合構造1及び定着体7等は以上の
ような構成を有しているので、該柱・梁構造1を構築す
る際には、まず、柱2を構成しているコンクリートを打
設するための型枠中に柱主筋51及び柱フープ筋52を
配筋し、例えば図1高さLV1に示す位置迄コンクリー
トを打設する。この際、柱主筋51は、その上端部分を
高さLV1より上方位置まで突出配置させておく。こう
して図1高さLV1まで柱2を打設構築したところで、
該高さLV1より上方に突出している柱主筋51を介し
て、いま構築された柱2より更にその上側に打ち継がれ
る柱2のための配筋及び型枠組作業を行うと共に、該柱
2の梁接続部2aに接続される梁3のための梁主筋61
を、その各々の鉄筋軸体方向を図1左右方向に向けて、
その端部61aを該柱2のための型枠中に配置させる形
で、柱主筋51或いは、セパレータ等の該型枠を構成し
ている部材等に仮止め固定する。
【0016】梁主筋61は、その端部61aを柱2中に
埋め込むに際し、まず、未だ鉄筋ネジ込穴92に梁主筋
61がネジ込まれていない図4に示す状態の定着体7
に、該梁主筋61の端部61aを鉄筋ネジ込穴92にネ
ジ込む形で係合させる。梁主筋61と係合していない状
態の定着体7は、図4に示すように、係合確認ピン10
が、そのプレート10bがスプリングワッシャ11のバ
ネによる復元力を介して矢印A方向に付勢されることに
より、マーキング部10Mの略殆どが鉄筋ネジ込穴92
中に配置する形で、割ピン12がキャップ9の図4右側
面に当接するまで、ここに引き込まれた状態になってい
る。そこでこの状態から、鉄筋ネジ込穴92に、その開
口部92bを介して梁主筋61の端部61aを、その図
2右側に示す端面61c側から、ネジ溝93にネジフシ
61bを螺合させる形でネジ込んでいく。そして、梁主
筋61をキャップ9に対して、端面61cを図2左側か
ら右側に向けて移動させる形で、図2に示す所定の嵌め
合い長さL4分だけ鉄筋ネジ込穴92にネジ込む。する
と、鉄筋ネジ込穴92にネジ込まれた梁主筋61は、そ
の端面61cが該ネジ込穴92中を図2左側から右側に
向けて移動する動作を行いながら、軸部10aの周りに
嵌装されたスプリングワッシャ11のバネ力に抗して、
係合確認ピン10のプレート10bの当接部10cを、
図2右方に向けて押す形になる。これによって、係合確
認ピン10は、その軸部10aが貫通孔94に沿って摺
動する形で、梁主筋61の端面61cに押されて、該係
合確認ピン10全体がキャップ9に対して相対的に図2
右側に向けて移動していく。こうして貫通孔94に沿っ
て軸部10bが摺動する形で、係合確認ピン10は、そ
の基端10eがキャップ9に対して図2右側に向けて移
動することになる。この動作によって軸部10bに設け
られたマーキング部10Mは、貫通孔94に対して移動
していき、そして、遂に、梁主筋61が鉄筋ネジ込穴9
2に嵌め合い長さL4分だけネジ込まれたとき、マーキ
ング部10Mは、その図2右端部分が貫通孔94から突
出する形で、キャップ9の外方に配置することになる。
この状態、即ち、キャップ9の外方にマーキング部92
が露出配置した状態になることによって、作業者は、梁
主筋61が鉄筋ネジ込穴92に嵌め合い長さL4分だけ
ネジ込まれたことを確認することが出来る。
【0017】ところで、こうして、梁主筋61をキャッ
プ9の鉄筋ネジ込穴92に嵌め合い長さL4分だけネジ
込む際には、鉄筋ネジ込穴92の外周にネジ溝93が、
梁主筋61のネジフシ61bとの間に間隙15が形成さ
れ得る形で、十分なる余裕をもって形成されているとこ
ろから、梁主筋61は該鉄筋ネジ込穴92に容易にネジ
込まれて、これにより、梁主筋61と定着体7を構成し
ているキャップ9は一応係合される。このように、鉄筋
ネジ込穴92に梁主筋61がネジ込まれた状態におい
て、そのネジフシ61bとネジ溝93の間には、間隙1
5が形成されているところから、該間隙15分だけ両者
61、9は相対的に移動自在になっている。しかし、梁
主筋61は、図2に示すように、該梁主筋61のネジ込
みによって、プレート10bと鉄筋ネジ込穴92の底部
92aとの間で図2左右方向に収縮した状態にされたス
プリングワッシャ11のバネによる付勢力によって、そ
の端面61cが係合確認ピン10の当接部10cに押さ
れる形で、キャップ9に対して相対的に図2左側即ち矢
印A方向側に向けて押圧された形になる。これによっ
て、梁主筋61は、図2に示すように、該梁主筋61の
軸方向に向けて押圧された形で、ネジフシ61bにおけ
る図2矢印A方向側面に、ネジ溝93における矢印A方
向側面との間に当接部60が形成される形になる。する
と、間隙15を介してキャップ9に対してネジフシ61
bが相対移動することなく、即ち梁主筋61に所謂ガタ
ツキが生じることが防止された状態で、梁主筋61の端
部61aに定着体7のキャップ9が確実に螺合係着され
る。従って、キャップ9のネジ込穴92に梁主筋61の
端部61aをネジ込むだけの簡単な動作によって、簡単
且つ確実に、即ちその嵌め合い長さL4を確保して、ま
たガタツキを防止した形で、該梁主筋61に該キャップ
9を螺合係着することが出来る。なお、この状態、即ち
高さLV1より上側の柱2のための型枠中に未だコンク
リートが打設されていない状態においても、該柱2のた
めの配筋を確認する検査作業を行うと同時に、各梁主筋
61の端部61aに装着されたキャップ9の外方、即ち
貫通孔94の図2右側に係合確認ピン10のマーキング
部10Mが露出配置していることを、型枠の上方から目
視確認することにより、梁主筋61とキャップ9との係
合装着状態が完全であることを容易に検査確認すること
が出来る。
【0018】このようにキャップ9を係合装着した状態
の梁主筋61を、先に述べたように図1に示す高さLV
1より上側の柱2のための型枠中に所定の本数だけ仮止
めしたところで、該型枠中にコンクリートを打設する。
すると、柱2を構成している鉄筋コンクリート中には、
所定の本数の梁主筋61が、その端部61aにキャップ
9を係合装着された形で埋設定着される。この状態で、
梁3のための型枠中に梁フープ筋62及び、いま柱2中
に埋設定着された梁主筋61の図1左側に直列に並ぶ梁
主筋61を接続配筋してから、梁3を構成するためのコ
ンクリートを打設する。すると、その端部61aが柱2
中に埋設定着された梁主筋61には、梁3の重量が負荷
される形で、矢印A方向側に向けて引き抜き応力が負荷
される。この際、梁主筋61は、その柱2を構成してい
るコンクリート中に埋め込まれた長さ分の付着力に頼る
だけでなく、梁主筋61の端部61aに装着されたキャ
ップ9が、柱2を構成しているコンクリート中におい
て、該キャップ9の図2矢印A方向側端部近傍にその本
体部分の外径D1より大なる径D2をなす形で形成され
たフランジ部91が被圧板となる形で、図3に示す該フ
ランジ部91の面積に対応した分だけ柱2のコンクリー
トを押圧する形で、当該梁主筋61が負担すべき引き抜
き力に十分抗うことが出来る定着体7となる。即ち、梁
主筋61とキャップ9とは、ネジフシ61bにおける図
2矢印A方向側面に、ネジ溝93における矢印A方向側
面との間に当接部60が形成される形で押し付けられた
形で螺合係着されたことにより、両者9、61は一体と
なって、梁主筋61に載荷される梁3の重量は、該重量
によって梁主筋61がキャップ9の鉄筋ネジ込穴92か
ら抜け出ることなく、該当接部60を介して確実にキャ
ップ9側に支持負担された形なる。故に各々の梁主筋6
1は、キャップ9の引き抜き抵抗力を確実に活かす形
で、梁3の重量に対して十分なる定着力を発現すること
が出来る。こうして、柱2の梁接合部2aには梁3が、
該柱2中に埋設定着された所定の本数の梁主筋61によ
って接続された形で、該柱2と一体に構築される。
【0019】なお、上述した実施例においては、梁主筋
61の端部61aに装着する定着体7には係合確認ピン
10が、キャップ9の貫通孔94に軸部10bが摺動自
在に嵌装された形で、ここに嵌合されている例を述べた
が、定着体7のキャップ9は、図6に示すように、その
図6右側部に単に貫通孔94が貫通形成されているだけ
で、図5に示すような係合確認ピン10が何等装着され
ていないこともある。この場合、定着体7のキャップ9
に梁主筋61の端部61aを装着する際に、これに先立
ち鉄筋ネジ込穴92にスプリングワッシャ11を入れて
おく。そして梁主筋61は、その端部61aに対してキ
ャップ9を所定回数螺転させる形で、所定の嵌め合い長
さL4だけ鉄筋ネジ込穴92にネジ込むが、該梁主筋6
1とキャップ9との係合状態は、貫通孔94を介して目
視することにより、確認される。勿論、図6に示す定着
体7は、先に述べた図4に示す定着体7と同様に、ネジ
溝93中に、ここにネジ込まれる梁主筋61のネジフシ
61bとの間に間隙15が形成される形で、ネジ込みが
容易でありながら、鉄筋押圧手段8を構成しているスプ
リングワッシャ11のバネ力によって梁主筋61の端面
61cが押圧されることにより、該梁主筋61がその軸
方向に押圧された形でキャップ9と確実に螺合されて、
これによって梁主筋61が確実且つ均質なる定着強度を
発現し得る効果は、先に述べて図2に示した実施例にお
ける場合と何等変わることなく得られる。なお、キャッ
プ9に設けられる鉄筋押圧手段8は、スプリングワッシ
ャ11に限定されるものではなく、キャップ9の鉄筋ネ
ジ込穴92にネジ込まれる梁主筋61の端面61c等の
鉄筋端面を押圧することが出来るものであれば何でも良
く、例えば、該鉄筋ネジ込穴92及び梁主筋端面61c
の形状に対応した形に形成されたゴム等の弾性部材であ
っても差し支えない。
【0020】さらに、定着体7には、図7に示すよう
に、前記スプリングワッシャ11に替わる鉄筋押圧手段
8として、頭付きボルト17が用いられても良い。即
ち、図7に示す例においては、キャップ9において、鉄
筋ネジ込穴92の底部92aと該キャップ9の外部を連
通させる形で設けられる貫通孔94にはネジ19が、雌
ネジ状に螺設形成されており、貫通孔94には、鉄筋押
圧手段8としてのボルト体である頭付きボルト17が、
該ネジ19と該頭付きボルト17のネジ17aが螺合す
る形で、矢印A、B方向に移動自在に設けられている。
従って、頭付きボルト17は、その頭部17bを回す形
で貫通孔94のネジ19に対して螺転させることによ
り、鉄筋ネジ込穴92に対して進入後退自在な形になっ
ている。そこで、梁主筋61に定着体7のキャップ9を
取り付ける際には、該梁主筋61を、開口部92b側か
ら鉄筋ネジ込穴92に、所定の嵌め合い長さL4分だけ
ネジ込んで後、キャップ9の図7右方に示すその外部か
ら頭部17bを貫通孔94に螺合させる形で頭付きボル
ト17をネジ込む。すると、頭付きボルト17は、その
図7左側端に示す先端17cが梁主筋61の図7右側端
に示す端面61cに当接する形になるので、先端17c
が端面61cに当接して後、さらに頭付きボルト17に
所定のトルクが発生するまで頭部17bをネジ17aの
締め付け方向に回していく。これによって、先端17c
は梁主筋61の端面61cを図7矢印A方向に向けて押
圧する形で、該梁主筋61を矢印A方向側に移動させ
て、その外周に形成されたネジフシ61bを鉄筋ネジ込
穴92に形成されたネジ溝93の図7矢印A方向側面に
押し付けて当接部60を形成する形で、該梁主筋61と
キャップ9との螺合係着状態を確実にする。従って、頭
付きボルト17は、キャップ9の鉄筋ネジ込穴92に梁
主筋61をネジ込んで後に、キャップ9の外側から頭部
17bを回す形で、容易に梁主筋61を押圧することが
出来る。故に、梁主筋61とキャップ9を螺合させる以
前に、予め鉄筋ネジ込穴94中にスプリングワッシャ1
1等の鉄筋押圧手段を収容しておく必要がなく、当該梁
主筋61とキャップ9の螺合係着作業と、頭付きボルト
17の装着及び締め付け作業、即ち梁主筋61の押圧作
業を互いに独立させた形で進行させることが出来るの
で、施工の自由度が高い。なお、こうして頭付きボルト
17を貫通孔94に螺合すると、その頭部17bがキャ
ップ9の外部に露出した形で、これを目視確認すること
が出来るので、該頭付きボルト17の装着忘れは防止さ
れており、確実な施工が可能である。また、貫通孔94
に螺合されて梁主筋61の端部61cを押圧している頭
付きボルト17は、先端17cが端面61cに当接する
形になっているところから、該頭付きボルト17におけ
るキャップ9の図7右側面からの出代L5が所定の長さ
であることを確認することによって端面61cの位置を
確認することが出来る。これによって、梁主筋61とキ
ャップ9とが長さL4以上の十分なる嵌め合い長さで螺
合係着されていることを確認することが出来る。故に、
頭付きボルト17は、鉄筋ネジ込穴92にネジ込まれる
梁主筋61等の鉄筋の係合状態を確認する役目を果たす
ことも出来る。なお、頭付きボルト17は、キャップ9
の鉄筋ネジ込穴92に梁主筋61がネジ込まれる以前に
貫通孔94に、該貫通孔94中のある程度の深さまで螺
合されていて、該梁主筋61が所定長さL4分ネジ込ま
れて後、追い締めする形で用いられても、該頭付きボル
ト17の締め付け時に生じる上述したトルク及び頭部1
7bの出代L5等はキャップ9の外部から確認すること
が出来るので、何等不都合は生じない。
【0021】さらに、上述した実施例においては、鉄筋
ネジ込穴92にネジ込まれる鉄筋である梁主筋61の端
面61cが平面状である場合について述べたが、該端面
61cは図8に示すように、球面状に形成されていても
良い。そして、図8に示す実施例においては、キャップ
9の底部92aが、図8左右方向に薄肉をなす弾性部材
状に形成されており、即ち、梁主筋61を押圧するため
の手段である鉄筋押圧手段8は、鉄筋ネジ込穴92にネ
ジ込まれる梁主筋61により弾性変形自在に形成された
底部92aにより構成されている。従って、図8に示す
定着体7は極めて簡単な構成で、キャップ9以外の付属
部品を必要とすることなく、梁主筋61を鉄筋ネジ込穴
92にネジ込むことによって該梁主筋61の端面61c
自体が底部92aを図8矢印B方に向けて押圧し、当該
端面61cによる押圧を底部92aがその弾性をもっ
て、矢印A方向に向けて押圧し返す形で、梁主筋61の
ネジフシ61bをネジ溝93の図8左側面に押し付け
て、その螺合係着状態をガタツキ防止した形で確実にす
ることが出来る。即ち、梁主筋61を鉄筋ネジ込穴92
にネジ込んでから、その端面61cをなんらかの手段で
押圧するという、梁主筋61とキャップ9との係合作業
を1工程で簡単に済ませることが出来る。なお、図8に
示すキャップ9は、その底部92aが薄肉であること
と、その鉄筋ネジ込穴92にネジ込まれる梁主筋61の
端面61cが球面状に形成されていることにより、該梁
主筋61を所定の嵌め合い長さL4だけネジ込むと、該
薄肉状に形成された底部92aに貫通形成された貫通孔
94を介して、該球面状をなす端面61cを簡単に目視
確認することが出来る。故に、キャップ9と梁主筋61
との螺合定着長の確認に、他の手段を用いる必要がな
い。
【0022】なお、上述した実施例においては、キャッ
プ9にはその鉄筋ネジ込穴92の底部92aと該キャッ
プ9の外部を連通させる形で貫通孔94が形成されてい
る例を述べたが、本発明においては、定着体7を用いて
梁主筋61等の鉄筋を柱2等のコンクリート構造体中に
埋設定着させる際に、確実且つ均質なる定着強度を得る
ために、鉄筋ネジ込穴92にネジ込まれる梁主筋61等
の鉄筋の端面61cを押圧し得る鉄筋押圧手段8を、キ
ャップ9のいずれかに設けることが出来れば良く、従っ
て、底部92aには必ずしも貫通孔94が形成されてい
なくとも差し支えない。即ち、キャップ9は、その鉄筋
ネジ込み穴92等の鉄筋ネジ込み部に梁主筋61等の定
着されるべき鉄筋がネジ込み自在で、且つ該鉄筋を押圧
し得る形の何等かの鉄筋押圧手段8が設けられることが
出来れば如何なる形状に形成されていても差し支えな
い。従って、キャップ9は例えば、図9に示すように、
フランジ部91の図9左右両側にテーパが形成される形
になっていても良く、これによって嵌め合い長さL4を
より一層大きくとることも出来、また、その他の形状を
呈していても勿論構わない。また、上述した実施例にお
いては、本発明による鉄筋定着治具である定着体7を梁
主筋61の端部61aに用いて、これを柱2中に埋設定
着する例を述べたが、定着されるべき鉄筋は梁主筋61
に限定されるものではない。即ち、柱2以外の他のコン
クリート構造体中に梁主筋61以外の鉄筋を定着させる
為に、本発明による鉄筋定着治具を用いて何等っしつか
えない。また、実施例においては、キャップ9の鉄筋ネ
ジ込穴92に形成されるネジ溝93は、異形ネジフシ棒
鋼からなる梁主筋61のネジフシ61bに対応した形で
雌ネジ状に形成されているが、定着されるべき鉄筋は梁
主筋61に限定されるものではなく、即ち、鉄筋ネジ込
穴92に形成されるネジは定着されるべき鉄筋のネジに
対応した形で任意に形成されるのは勿論である。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、柱
2等のコンクリート構造体中に埋設され得るキャップ9
等の本体を有し、前記本体に、その外周にネジフシ61
b等の雄ネジが形成された形の定着されるべき梁主筋6
1等の鉄筋がネジ込まれるネジ込穴92等のネジ込み部
を、その内部に該鉄筋の雄ネジと螺合自在なネジ溝93
等の雌ねじを形成した形で設け、前記本体に鉄筋押圧手
段8を、前記ネジ込み部にネジ込まれる鉄筋の端面61
cを押圧し得る形で設けて構成したので、ネジ込み部に
ネジ込まれる鉄筋の端面61cを鉄筋押圧手段8が押圧
することにより、該鉄筋がその軸方向に沿って押圧され
て、鉄筋の雄ネジがネジ込み部の雌ネジの一方の側に押
し付けられて当接部60が形成された状態で、本体がコ
ンクリート構造体中に埋設されることが出来る。即ち、
鉄筋押圧手段8によってネジ込み部にネジ込まれる鉄筋
の端面61cを押圧して当接部60を形成することによ
り、鉄筋の雄ネジがネジ込み部の雌ネジに対して相対的
に移動して所謂ガタツキが生じることなく、該鉄筋と該
本体とは確実に螺合係着されて一体化する。従って、定
着体7等の本発明による鉄筋定着治具を用いて、梁筋を
柱躯体に定着させる場合のように鉄筋の端部をコンクリ
ート構造体中に埋め込めば、コンクリート構造体中に埋
設定着された本体から鉄筋が、該鉄筋の雄ネジとネジ込
み部の雌ネジのガタツキに起因して抜け出る懸念がな
く、該鉄筋に載荷される梁の重量等の荷重を無駄なく本
体側に伝達負担させることが出来る。これによって、本
体に十分なる引き抜き抵抗を発現させて、1本1本の鉄
筋について確実なる定着強度を得ることが出来る。そし
て、本体と鉄筋との螺合係着は、ネジ込み部に鉄筋をネ
ジ込むだけの簡単な動作で完了するので、その施工は極
簡単であり、故に1本1本の鉄筋について確実な施工を
行うことが出来るので、常に均質な定着強度を得ること
が出来る。従って施工状態のバラツキによって、実際上
の定着強度が不十分になってしまう鉄筋が発生する危険
性がない。なお、ネジ込み部にネジ込まれる鉄筋は、そ
のネジ込み動作後に鉄筋押圧手段によって該鉄筋の端面
が押圧された形で、その雄ネジがネジ込み部の雌ネジに
向けて鉄筋軸方向に押圧されることが出来るので、ネジ
込み動作以前には、雄ネジと雌ネジの間に、後に該ネジ
込みによって間隙15となるようなネジの遊びが形成さ
れていて構わず、こうしておくことによって一層本体と
鉄筋との螺合を円滑に行うことが出来る。
【0024】また、前記鉄筋押圧手段8は前記ネジ込み
部中に収容された、スプリングワッシャ11等の弾性体
からなるように本発明による鉄筋定着治具を構成する
と、弾性体はネジ込み部中において、該弾性体自体が保
有している弾性力によって鉄筋の端面を押圧することが
出来る。従って、鉄筋を押圧するために、前記本体の外
部等を介して外力を加える必要がないので、一層作業手
間少なく簡単に鉄筋と本体を螺合係着することが出来
る。故に、1本1本の鉄筋定着作業にかかる時間を短縮
化することが出来る。また、鉄筋の押圧力は、弾性体の
弾性力によって決まる形になるので、該鉄筋にかかる押
圧力が施工状態によって変わることなく、本体と鉄筋と
は常に均質な状態で係合することが出来、従って、定着
される鉄筋の定着力にバラツキが生じる懸念がなく、さ
らに信頼性の高い鉄筋構造を得ることが出来る。
【0025】また、前記本体に貫通孔94を、前記ネジ
込み部の底部92aと該本体の外部を連通させる形で設
け、前記貫通孔94に係合確認ピン10等の鉄筋係合確
認部材を、その基端10e等の先端部を前記本体に対し
て突出させ得る形で該貫通孔94に沿って摺動自在に設
け、前記鉄筋係合確認部材の前記ネジ込み部側に当接部
10c等の鉄筋当接部を設けて本発明による鉄筋定着治
具を構成すると、ネジ込み部にネジ込まれる鉄筋の端面
が係合確認部材の鉄筋当接部に当接してこれを押し、該
係合確認部材が貫通孔に沿って摺動する形で、その先端
部が本体の外方に突出することが出来る。従って、鉄筋
係合確認部材の先端の突出を目視確認することにより、
ネジ込み部にネジ込まれた鉄筋の端面が鉄筋当接部に当
接してこれを押したことを検知することが出来る。故
に、鉄筋と本体とをそのネジ込み部を介して螺合させる
際に、嵌め合い長さL4等の鉄筋のネジ込み量を、該本
体の外方側から簡単に検査確認することが出来る。即
ち、鉄筋係合確認部材を用いて鉄筋のネジ込み量を確認
して、本体と鉄筋との係合状態が万全であることをその
1本1本の鉄筋について確かめることが手間なく容易に
出来るので、これを行うことによって鉄筋定着作業の一
層の確実化、均質化を図り、該鉄筋を用いたコンクリー
ト構造体を高品質なものにすることが出来る。なお、さ
らに、鉄筋係合確認部材にその先端の突出量を確認する
ための、マーキング部10M等の何等かの、該先端の突
出量検出手段を設けておけば、本体を鉄筋の端部61a
等の端部にネジ込み係合する作業を行う途中に、さらに
は作業終了後に、より一層簡単に該本体と鉄筋との係合
状態を確認検査することが出来、これを行うことによっ
て、施工現場における作業手間が増える懸念はない。
【0026】また、前記本体に貫通孔94を、前記ネジ
込み部の底部と該本体の外部を連通させる形で設け、該
貫通孔に鉄筋押圧手段8としての頭付きボルト17等の
ボルト体を、前記ネジ込み部に対して進入後退自在に螺
合して、本発明による鉄筋定着治具を構成すると、ボル
ト体は、前記本体の外部側から貫通孔を介してネジ込み
部に進入する形で、鉄筋の端面を押圧することが出来
る。従って、鉄筋に本体を取り付ける以前に、予め鉄筋
押圧手段をネジ込み部等に収容しておく必要なく、該鉄
筋と本体とを取付ける作業を行って後に、該本体の外部
からボルト体を貫通孔に螺合させる形で、任意に鉄筋の
端面を押圧することが出来るので、鉄筋と本体の係合作
業と、鉄筋の端面の押圧作業を互いに独立させた形で別
個に進行させることが出来、施工の自由度が高くなる。
また、ボルト体は、その先端側が鉄筋の端面を押圧し得
る形で該ボルト体を貫通孔94に対して螺転させるため
の頭部17b等の操作部を本体外部に配置させて用いる
ことにより、本体の外部において該ボルトにかけるトル
クを管理する形で該ボルト体の鉄筋押圧量を確認するこ
とが出来、また、該操作部の本体に対する突出量を検出
することにより鉄筋の端面の位置を検知確認することが
出来るので、該ボルト体を前述した係合確認部材の替わ
りとして、該本体と鉄筋との係合状態を確認検査するこ
とが出来る。
【0027】さらに、前記鉄筋押圧手段は、前記ネジ込
み部の底部を該ネジ込み部にネジ込まれる鉄筋により弾
性変形自在に形成したことを特徴として、本発明による
鉄筋定着治具を構成すると、底部は、鉄筋の端面に押さ
れて弾性変形する形で該鉄筋を押圧することが出来る。
従って、鉄筋押圧手段を本体以外の部材として該本体に
収納或いは装着する必要がないので、鉄筋定着治具を構
成している部品点数を削減し、その構成を簡素化するこ
とが出来る。また、鉄筋をネジ込み部にネジ込んでから
該鉄筋の端面を押圧する形での、先に述べたような本体
と鉄筋との係合作業を、鉄筋をネジ込み部にネジ込むと
いう1工程で行うことが出来、作業の簡素化及びこれに
よる作業時間の短縮化を図ることが出来る。故に、確実
なる鉄筋定着を行いながら施工効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による鉄筋定着治具の一実施例を用いて
鉄筋が埋め込まれた柱・梁接合構造の一例を示す図であ
る。
【図2】図1に示す鉄筋定着治具の詳細を示す拡大図で
ある。
【図3】図2のIII矢視図である。
【図4】図2に示す鉄筋定着治具において鉄筋が嵌め込
まれていない状態を示す断側面図である。
【図5】図2に示す鉄筋定着治具における係合確認ピン
部分を示す斜視図である。
【図6】本発明による鉄筋定着治具の別の実施例を示す
図である。
【図7】本発明による鉄筋定着治具のさらに別の実施例
を示す図である。
【図8】本発明による鉄筋定着治具のさらに別の実施例
を示す図である。
【図9】本発明による鉄筋定着治具のさらに別の実施例
を示す図である。
【図10】従来行われていた鉄筋の定着方法の一例を示
す図である。
【図11】従来行われていた鉄筋の定着方法の一例を示
す図である。
【図12】従来行われていた鉄筋の定着方法の一例を示
す図である。
【符号の説明】
2……コンクリート構造体(柱) 61……鉄筋(梁主筋) 61b……雄ネジ(ネジフシ) 61c……端面 7……鉄筋定着治具(定着体) 8……鉄筋押圧手段 9……本体(キャップ) 92……ネジ込み部(鉄筋ネジ込穴) 92a……底部 93……雌ネジ(ネジ溝) 94……貫通孔 10……係合確認部材(係合確認ピン) 10c……当接部 10e……先端部(基端) 11……弾性体(スプリングワッシャ) 17……ボルト体(頭付きボルト)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンクリート構造体中に埋設され得る本体
    を有し、 前記本体に、その外周に雄ネジが形成された形の定着さ
    れるべき鉄筋がネジ込まれるネジ込み部を、その内部に
    該鉄筋の雄ネジと螺合自在な雌ねじを形成した形で設
    け、 前記本体に鉄筋押圧手段を、前記ネジ込み部にネジ込ま
    れる鉄筋の端面を押圧し得る形で設けて構成した、鉄筋
    定着治具。
  2. 【請求項2】前記鉄筋押圧手段は前記ネジ込み部中に収
    容された弾性体からなる請求項1記載の鉄筋定着治具。
  3. 【請求項3】前記本体に貫通孔を、前記ネジ込み部の底
    部と該本体の外部を連通させる形で設け、 前記貫通孔に鉄筋係合確認部材を、その先端部を前記本
    体に対して突出させ得る形で該貫通孔に沿って摺動自在
    に設け、 前記鉄筋係合確認部材の前記ネジ込み部側に鉄筋当接部
    を設けて構成した、請求項1記載の鉄筋定着治具。
  4. 【請求項4】前記本体に貫通孔を、前記ネジ込み部の底
    部と該本体の外部を連通させる形で設け、該貫通孔に鉄
    筋押圧手段としてのボルト体を、前記ネジ込み部に対し
    て進入後退自在に螺合して構成した、請求項1記載の鉄
    筋定着治具。
  5. 【請求項5】前記鉄筋押圧手段は、前記ネジ込み部の底
    部を該ネジ込み部にネジ込まれる鉄筋により弾性変形自
    在に形成したことを特徴とする、請求項1記載の鉄筋定
    着治具。
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