JP2717565B2 - 高温下における色相の安定なポリアリーレンサルファイド樹脂組成物 - Google Patents

高温下における色相の安定なポリアリーレンサルファイド樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はポリフェニレンサルファイド樹脂(以下「PP
S」という)その他のポリアリーレンサルファイド樹脂
の高温下における色相の安定化に関する。更に詳しく
は、ポリマーの分解や熱架橋に起因する溶融成形時の着
色を防止すると共に当該成形物の高温下における経時変
色が防止されたPPSその他のポリアリーレンサルファイ
ド樹脂の組成物に関する。
PPSは耐熱性、耐薬品性、成形品の寸法安定性等の特
性に優れた熱可塑性樹脂であり、主として自動車部品、
電気・電子部品、機械部品等として利用されている。し
かしながら、これら成形品の色相は茶褐色であったり、
または白色であっても100℃以上の高温下では徐々に茶
褐色に変色するという現象があり、カラーリングは著し
く制限され、用途が限定されていた。一方、PPSは耐熱
性のフィルムや繊維への応用も検討されている。これら
の用途には、直鎖状で分子量が十分に高いこと、着色が
少ないすなわち白色であることおよび高温下での色相の
変化が少いことが必要であり、従来の低分子量ポリマー
を熱架橋させて分子量を増大せしめたものでは十分な物
性が得られず且つ茶褐色に着色するという欠点を有して
いた。本発明はこれら問題点を解決したポリアリーレン
サルファイド樹脂組成物を提供するものである。
〔従来の技術〕
従来の市販PPSは、比較的低分子量のものを酸素の存
在下で高温処理することによって架橋、分岐反応等を起
こさせて高分子量化したものがほとんどであった。この
ような方法で高分子量化したPPSは着色が激しいこと、
架橋分岐構造が多いために機械的強度が不十分であるこ
となど多くの問題点があった。
上記問題点を解決する方法として、重合反応時に各種
の重合助剤を用いる方法(特開昭52−12240号、特開昭5
9−219332号、米国特許4,038,263号など)、および或る
程度重合反応を行った後、水を添加し、更に昇温して後
段の重合を行う方法(特開昭61−7332)が提案されてい
る。これらの方法によれば、架橋、分岐等を起こさせる
ことなしに線状構造を維持したまま高分子量化すること
が可能であり、生成したPPSも着色の小さいものとな
る。しかしながら、このようにして得られ線状構造を有
し、十分に高分子量化された着色の小さいPPSを用いた
場合でも、成形に先立って、工業的に通常実施されるペ
レット化、すなわち押出機を用いて粉末状ポリマーをシ
リンダー内で加熱・溶融して押出しペレット化するに際
し、酸素等の影響によりラジカルや過酸化物が発生して
着色が起こり易く、着色の少ない成形物を得ることは困
難であった。
このようにペレット化時の着色の改善方法として、特
開昭47−1735号ではフェニルホスフィン酸等の有機ホス
フィン酸またはジオクチルホスファイト等の有機ホスフ
ァイト類をペレット化前に添加する方法、および特開昭
59−213759号ではアミン誘導体、フェノール誘導体、ハ
イドロキノン誘導体、カテコール誘導体、亜リン酸エス
テル、アルキルチオエーテルの中から選ばれた1種以上
を添加する方法が提案されている。さらに特開昭63−15
9470ではスピロ環を有するリン化合物を添加する方法が
提案されている。しかしながら、本発明者らの研究によ
れば、これらの方法の場合、上記着色防止剤の耐熱性が
不十分であって、ペレット化時の温度300℃以上では分
解や揮散が生じ、着色防止の効果が満足できるものでは
なく、また、成形時のガスが異常に多くなったり、金型
のベント部に分解物がヤニとして付着する様な問題点を
生ずる。
さらに、特開昭62−97821号には、重合反応時、反応
液との接液部がチタンで構成された反応機を用いるとと
もに、反応後、有効量のハロ置換有機化合物を添加して
再反応し、分子末端を安定化させる方法が開示されてい
る。しかしながら、この方法の場合、ある程度の着色防
止効果は得られるものの、PPS中の残存有機アミド溶媒
量を或る量以下にすると共に着色防止剤の併用なくして
は白色またはそれに近い色相を得ることは困難である。
さらに、成形直後の成形品が白色であった場合におい
ても100℃以上の高温下では時間の経過と共に徐々に変
色するという現象があり、着色防止剤を使用した場合に
この傾向は顕著となる。従来技術ではこの高温下での経
時着色を防止することは困難である。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、白色度が高く、溶融成形時その他の
高温下においても経時変色が非常に小さいペレットひい
ては成形品を得ることができるポリアリーレンサルファ
イド樹脂組成物であって、工業的有利に得られる樹脂組
成物を提供するにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明のポリアリーレンサルファイド樹脂組成物は、
ポリアリーレンサルファイド樹脂と、該ポリアリーレン
サルファイド樹脂100重量部に対して、0.05〜5重量部
のリン系着色防止剤と0.02〜5重量部の水素化ホウ素化
合物及び無機イオウ化合物の中から選ばれた還元剤とか
らなることを特徴とする。
本発明で安定化されるポリアリーレンサルファイド樹
脂は、実質的に繰り返し単位−R−S−(R:アリール
基)からなるポリマーである。好ましくは、パラフェニ
レン基を繰り返し単位とし、 で表されるポリマー、ならびに主成分としてパラフェニ
レン基を含み、少量成分として、その他のアリーレン
基、例えば、m などを有するランダム共重合体およびブロック共重合体
が挙げられる。また、これらのポリアリーレンサルファ
イド樹脂は混合物であってもよい。特に好ましい樹脂
は、ポリパラフェニレンサルファイド樹脂(PPS)であ
る。
PPSとしては、例えば、特公昭45−3368号に開示され
ている有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とポリハ
ロ芳香族化合物を反応させる方法により得られるPPS、
各種の重合助剤、例えばアルカリ金属カルボン酸塩、芳
香族カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ金属ハライ
ド等を用いて得られる高分子量のPPS、アルカリ金属硫
化物とポリハロ芳香族化合物とをまず180〜235℃にて50
〜98%まで反応した後、水を添加し、更に昇温して2段
階で重合して得られるPPS、アルカリ金属硫化物とポリ
ハロ芳香族化合物とを有機アミド溶媒中で反応させたの
ち、有機アミド溶媒で熱時洗浄して重合阻害物質及び未
反応物質を除去し、さらに200〜260℃にて反応させて得
られるPPS、更に、反応時1,3,5−トリクロロベンゼン等
の分岐剤を添加して重合して得られる分岐したPPSなど
が挙げられる。
本発明において使用するリン系着色防止剤の具体例と
しては、3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサホスファン−
2−オキサイド(下記式(II)で表される。以下、「D.
O.P.O.」と略記する。); 下記一般式(I)で表される第三ホスフィンオキサイド
〔式中、R,R′,R″は置換基をもっていてもよいアリー
ル基またはアルキル基であって、R,R′,R″は同一であ
っても相違してもよい。〕(例えば、トリメチルホスフ
ィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド、
メチル・エチル・フェニルホスフィンオキサイド、ジメ
チル・エチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフ
ィンオキサイド、メチル・エチルペンチルホスフィンオ
キサイド、トリ−n−ブチルホスフィンオキサイド、ト
リオクチホスフィンオキサイド等);トリフェニルホス
ファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリデシル
ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホ
スファイト、ビス(2,6−ジ−tent−ブチル−4−メチ
ルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト
等の亜リン酸エステル類;トリフェニルホスフィン、ト
リ−n−ブチルホスフィン、n−ブチルジフェニルホス
フィンなどのホスフィン類;ジアルキルジチオホスフィ
ン酸金属塩、およびトリアルキルホスフィンサルファイ
ドが挙げられる。
上記リン系着色防止剤の中でも、D.O.P.O及び式
(I)で表されるホスフィンオキサイド類は熱安定性が
よく、耐酸性が良いところから、300℃以上における溶
融混練、成形時における過酷な条件に耐える点で特に好
ましい。
本発明で使用する着色防止剤の添加量はポリアリーレ
ンサルファイド樹脂100重量部に対して0.05〜5重量
部、好ましくは0.1〜1重量部である。着色防止剤の添
加量が0.05重量部未満では着色を防止する効果が十分で
なく、5重量部を越えると、これ以上の着色防止効果を
期待することは難しく、経済的見地からも好ましくな
い。
本発明において還元剤を使用する目的は高温下におけ
る変色を防止するところにあり、還元剤を添加すること
により成形品の高温下での色相の安定性を増すことがで
きる。
本発明で使用する還元剤としては、水素化ホウ素ナト
リウムおよび水素化ホウ素カリウムのような水素化ホウ
素化合物、ならびにハイドロサルファイトおよび亜硫酸
ソーダのような無機イオウ化合物が挙げられ、特に水素
化ホウ素ナトリウムが好ましい。
本発明で使用する還元剤の添加量はポリアリーレンサ
ルファイド樹脂100重量部に対して0.02〜5重量部、好
ましくは0.1〜1重量部である。還元剤の添加量が0.02
重量部未満では高温下での変色を防止する効果が十分で
なく、5重量部を越えるとこれ以上の変色防止効果を期
待することは難しく、経済的見地からも好ましくない。
ポリアリーレンサルファイド樹脂に対する着色防止剤
及び還元剤の添加の時期はペレット化する直前または樹
脂製造過程の最終工程である。乾燥工程前に行うのが良
い。また、着色防止剤及び還元剤を添加する方法として
は、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等の通常の
混合機を用いて、樹脂と着色防止剤と還元剤をそのまま
混合する方法、または、適当な溶媒を用いて、常温また
は加温下に混合溶解し、その後使用した溶媒を蒸発等に
より除去する方法が採られる。溶媒としては水、メタノ
ール、エタノール、アセトン、ジオキサン、ベンゼン、
トルエン、テトラクロルエチレン、クロロホルム等を単
独又は二種類以上の混合溶媒として使用できる。まお、
乾燥工程前のウェットケーキの段階で添加する場合に
は、ウェットケーキが多量の水を含んでいるので、混合
効果を増すためにオレイン酸ソーダ等の界面活性剤を使
用してもよい。
ポリアリーレンサルファイド樹脂の製造には通常重合
反応時に有機アミド溶媒(例えば、N−メチル−2−ピ
ロリドン)が使用されるが、このアミド溶媒が樹脂中に
多量に残存すると、ペレット化時に酸化や分解により発
色団を形成し、樹脂を着色させる。この着色を防止する
ためにはできるだけ有機アミド溶媒を除去する必要があ
り、樹脂中の有機アミド溶媒含有量は1,000ppm以下に下
げておくことが好ましい。有機アミド溶媒を除去する方
法としては、反応後のスラリー(ポリアリーレンサルフ
ァイド樹脂、副生食塩及び有機アミド溶媒の混合物)を
有機溶媒で洗浄するのが好適である。使用する有機溶媒
としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール
等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン等の芳香族炭化水素、1,1,2,2−テトラクロロエタ
ン、トリクロロエチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭
化水素が挙げられる。
洗浄方法としては、反応後のスラリーにスラリーの重
量に基づき1〜2倍量の有機溶媒を加え、常圧又は加圧
下に20〜120℃なる温度で0.5〜1時間洗浄する方法が好
ましい。ポリアリーレンサルファイド樹脂中の有機アミ
ド溶媒量を1,000ppm以下にするためは上記操作を3〜4
回繰返す必要がある。また、洗浄は窒素ガス気流中で行
うのことが好ましい。
また、ポリアリーレンサルファイド樹脂中の重金属イ
オン類の量はできるだけ少ないことが望ましい。ここで
重金属イオン類とは鉄、ニッケル、クロム、モリブデ
ン、マンガン等のイオンをいい、主として鉄イオンを指
す。これらの重金属イオンは原料に含まれる不純物とし
て、また、反応器等の製造装置からの溶出イオンとして
樹脂中に混入する。樹脂中に重金属イオンが含有すると
ペレット化時にキレート化合物を形成して発色すると考
えられる。従って、樹脂中の重金属イオンの総含有量は
20ppm以下におさえることが望ましい。
ポリアリーレンサルファイド樹脂中の金属イオンの総
含有量を20ppm以下におさえるためには反応器等の製造
装置の接液部を非鉄金属(例えば、チタン)で構成し、
且つ主原料であるアルカリ金属硫化物(例えば硫化ソー
ダ)及びポリハロ芳香族化合物(例えば、ジクロロベン
ゼン)として実質的に重金属イオンを含有しないものを
使用する必要がある。
さらに、ペレット化前に酸または酸性塩の水溶液で処
理しておくことが望ましい。ポリアリーレンサルファイ
ド樹脂の分子末端にはSNa基またはSH基で構成されてい
るものが存在する。分子末端がSNa基で構成された場
合、ペレット化時の架橋反応を促進するとともに少量の
有機アミド溶媒や重金属イオンの存在により、発色団を
形成しがちである。従って、酸または酸性塩の水溶液で
処理し、SH基に変換しておくことが好ましい。
上記処理に使用する酸としては塩酸、リン酸、硫酸等
が挙げられるが、装置の腐食、樹脂の変質防止を考慮す
ると、水溶液が酸性を示すリン酸塩を使用することが好
ましい。このようなリン酸塩としてはリン酸二水素ナト
リウムNaH2PO4、ヘキサメタリン酸ナトリウム(NaPO3
酸性ヘキサメタリン酸ナトリウムNamHn(PO3m+n、H
Hヘキサメタリン酸ナトリウムNamHn(PO3m+n、リン酸
二水素アンモニウム(NH4)H2PO4等が挙げられる。これ
らの水溶液による処理は濃度1〜5重量%において常圧
または加圧下に50〜200℃、好ましくは100〜150℃の温
度で0.5〜3時間撹拌下に行うことが望ましい。
〔作用および発明の効果〕
着色防止剤の使用は溶融成形時の着色を防止するに効
果があり、また、還元剤の使用は溶融成形後の成形物の
高温下での経時変色を防止するのに効果がある。
一般に溶融成形時の着色を防止するためにはフリーラ
ジカル連鎖禁止剤と過酸化物分解剤を使用することが知
られており、一般に、前者としてはアミン誘導体、ハイ
ドロキノン誘導体が、また、後者としては亜リン酸エス
テル類、アルキルチオエーテル類等が用いられる。しか
しながら、PPSの溶融成形時には300℃以上の温度が必要
であり、低沸点(低分子量)の着色防止剤は溶融成形時
に分解したり、揮散したりして多量に用いないと効果を
発揮せず、また、使用できる着色防止剤の種類も限定さ
れる。また高沸点(高分子量)の着色防止剤を使用した
場合、着色防止の効果は満足できるものでなくなり、必
然的に多量の使用が必要となる。この着色防止剤を多量
に使用した場合、溶融成形時に架橋反応を促進し、溶融
粘度が上昇するという現象を招くので好ましくない。
本発明で使用するリン系着色防止剤、特に、D.O.P.O.
及び一般式(I)で表わされるホスフィンオキサイド類
はフリーラジカル連鎖禁止剤と過酸化物分解剤の両方の
効果を発揮し、300℃以上の耐熱性を有し、少量で十分
な着色防止効果を示し、架橋反応等の好ましくない反応
を生じることがない。
本発明の樹脂組成物はペレット化後の白色度が高く、
特に本発明によるリン系着色防止剤を配合することに加
えて、樹脂中の有機アミド溶媒量を1000ppm以下、重金
属イオン量を20ppm以下に制御し、かつリン酸二水素ナ
トリウム水溶液で処理したもののペレット化後のハンタ
ー白色度は40%以上である。
ところで一般に、PPSの成形物はその高耐熱性から多
くの場合、高温下で使用される。しかしながら、PPSは
成形直後の色相が白色であっても、高温下(例えば100
℃以上)においては徐々に茶褐色に変色し、カラーリン
グした成形物であっても高温下に長時間放置した場合、
元の色とは異なった色に変化するという現象があり、こ
の傾向は着色防止剤を配合した時に顕著となる。
本発明においては、着色防止剤とともに還元剤を添加
することにより上記の課題が解決される。還元剤による
高温下における変色防止機構の理論的解明はなされてい
ないが以下のごとく推察される。着色防止剤のみを使用
した場合、高温下においては成形物中の着色防止剤が徐
々に分解してその着色防止の効果が減少し、PPSそのも
のの着色とともに着色防止剤の分解生成物により着色が
促進される。しかしながら、還元剤を併用した場合、こ
の着色防止剤の分解を防止し、高温下における変色を防
ぐことができる。
一般に、着色防止剤のみを配合した成形物の場合、20
0℃の温度に設定したオーブン中で1ケ月間放置した後
のハンター白色度は43%から約15%に減少するのに対
し、還元剤として例えば水素化ホウ素ナトリウムを併用
した場合のハンター白色度は43%から39%に減少するに
すぎない。
上記のように白色かつ高温下において色相の安定化さ
れた本発明のポリアリーレンサルファイド樹脂組成物
は、耐熱性フィルム、シート、繊維等に成形できるほ
か、射出成形、押出し成形などによって自動車部品、電
気・電子部品、機械部品等に成形することができる。
本発明のポリアリーレンサルファイド樹脂組成物には
紫外線吸収剤、金属不活性剤、着色剤、滑剤、結晶核
剤、カーボン黒、炭酸カルシウム、シリカ粉末等の粉末
状充填剤、炭素繊維、ガラス繊維等の繊維状充填剤を配
合することもできる。
更に本発明の樹脂組成物はポリカーボネート、ポリフ
ェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリアセタール、ポ
リイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエステル、
ABS等の合成樹脂の一種以上と混合して使用することも
できる。
〔実施例〕
以下、実施例について本発明を具体的に説明する。
実施例において、樹脂の色相(ハンター白色度)およ
び溶融粘度は以下の方法、条件により測定した。
色 相 樹脂の色相は色差計〔東京電色(株)製TC−8600型〕
を用いて測定したハンター(Hunter)白色度によって評
価した。ハンター白色度測定用の樹脂試料は以下の方法
で調製した。すなわち窒化鋼シリンダーを備えた二軸押
出機を用い300℃の温度にてペレット化し、このペレッ
トをホットプレスを用いて窒素気流下325℃にて3分間
予熱し、さらに325℃にて1分間加圧してシート状に成
形し、これを急冷して得られた約2mmの無定型シートを
試料として用いた。
溶融粘度 上記色相の判定の項で得られたペレットをフローテス
ター〔(株)島津製作所CFT−500型〕を用いて測定し
た。温度300℃、予熱6分、荷重20kg/cm2、ノズル1φ
×10mm。
高温下における色相の変化 色相の項で得られた約2mmの無定型シートを200℃に設
定した熱風循環乾燥機(楠本化成(株)製HISPEC HT220
型)に入れ、30日間放置した後の色相の変化を色差計を
用いて測定したハンター白色度によって評価した。
実施例1〜10、比較例1〜9 100チタン内張りオートクレーブにフレーク状の硫
化ソーダ12.91kg(純度60.47%)、N−メチル−2−ピ
ロリドン30kgを仕込み、窒素気流下に内温が204℃に達
するまで加熱撹拌して脱水した。流出液7.4kg中の水量
は37.8重量%であった。脱水工程中の硫化水素としての
損失分は硫化ソーダに換算して1.56モル%であった。脱
水後160℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン144.72kg
をN−メチル−2−ピロリドン10kgに溶解して加え、窒
素ガスにて1kg/cm2の加圧にし、系を閉じて210℃にて5
時間、さらに250℃にて3時間反応後、150℃まで冷却し
て、400メッシュの金網を濾材として熱時加圧濾過し
た。得られた固形物にN−メチル−2−ピロリドン50kg
を加え、窒素気流下に150℃にて30分間撹拌洗浄後、熱
時加圧濾過した。以下同様な洗浄、濾過操作を2回行っ
たのち、固形分を前記オートクレーブに移し、N−メチ
ル−2−ピロリドン40kgを加えて窒素置換後、240℃に
て4時間高分子化反応を行った。
150℃まで冷却後濾過し、固形分にメチルエチルケト
ン50kgを加え、70℃にて30分間撹拌洗浄後熱時加圧濾過
した。以下同様な洗浄、濾過操作を3回行って残存する
N−メチル−2−ピロリドンを除去した。得られた固形
分を60mmHg、120℃の条件下で乾燥したのち、前記オー
トクレーブに移し、純水40kg、リン酸二水素ナトリウム
2水和物0.8kgを加えて150℃にて1時間水洗して濾過し
た。食塩がなくなるまで水洗いを繰返し、乾燥して粉末
状のPPS10.3kgを得た。このものの溶融粘度は3,800ポイ
ズ、残存するN−メチル−2−ピロリドン量は700ppm、
鉄イオン含量は8ppmであった。
上記PPSに表−1に示す所定量の着色防止剤と還元剤
をメタノールと水からなる混合溶媒に溶解した溶液を加
え、よくかき混ぜたのち、乾燥してメタノール及び水を
除去した。得られたPPSの物性と200℃の熱風循環乾燥機
で処理した後のハンターを白色度の変化を表−1に示
す。
実施例11 重合反応時1,3,5−トリクロロベンゼン54.45g(p−
ジクロロベンゼンに対して0.3モル%)を加えたこと、
及び反応終了後N−メチル−2−ピロリドン洗浄及び高
分子化反応を行なわなかったこと以外は実施例1と同様
な方法によって粉末状のPPS10.3kgを得た。このものの
溶融粘度は2,200ポイズ、残存するN−メチル−2−ピ
ロリドン量は780ppm、鉄イオン含量は7ppmであった。
このPPSに所定量のD.O.P.O.と水素化ホウ素ナトリウ
ムをメタノールと水からなる混合溶媒に溶解した溶液を
加え、よくかき混ぜたのち、乾燥してメタノール及び水
を除去した。得られたPPSの物性と200℃の熱風循環乾燥
機で処理した後のハンター白色度の変化を表−1に示
す。
実施例12 実施例1と同様な方法で反応して得た反応液スラリー
に水6.1kgを加え、さらに窒素気流下にて250℃に昇温し
て10時間反応させた。150℃まで冷却後、濾過し、固形
分にメチルエチルケトン50kgを加え、70℃にて30分間撹
拌洗浄後熱時加圧濾過した。以下、同様な洗浄、濾過を
3回行って、残存するN−メチル−2−ピロリドンを除
去した。以下実施例1と同様な処理を行い粉末状のPPS1
0.2kgを得た。このものの溶融粘度は1,500ポイズ、残存
するN−メチル−2−ピロリドン量は680ppm、鉄イオン
含量は7ppmであった。
このPPSに所定量のD.O.P.O.と水素化ホウ素ナトリウ
ムをメタノールと水からなる混合溶媒に溶解した溶液を
加え、よくかき混ぜたのち、乾燥してメタノール及び水
を除去した。得られたPPSの物性と200℃の熱風循環乾燥
機で処理した後のハンター白色度の変化を表−1に示
す。
表−1の結果から判るように、着色防止剤としてD.O.
P.O.、ホスフィンオキサイド類を配合することによりハ
ンターを白色度の高い樹脂が得られる。すなわち、着色
防止剤を添加しなかった場合(比較例1)のハンター白
色度が24%であるのに対して、本発明の着色防止剤を0.
3〜1PHR添加した場合(実施例1〜12)のそれは43〜53
%と優れており、ペレット化する際の溶融粘度の上昇も
ないことが判る。
従来広く用いられた着色として2,6−ジ−第三ブチル
−p−クレゾール、トリフェニルホスファイトを用いた
場合(比較例8,9)のハンター白色度は本発明の着色防
止剤を使用した場合に比較して劣ると共にペレット化し
た際の溶融粘度が上昇していることが判る。
着色防止剤に還元剤を配合することにより200℃にて3
0日間処理した後のハンター白色度の低下が少く、変色
を防止していることが判る。還元剤を併用しなかった場
合(比較例2)は200℃にて30日間処理した後のハンタ
ー白色度が43から15に低下しているのに対して還元剤を
併用した場合(実施例1)のそれは43から39に低下して
いるにすぎない。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアリーレンサルファイド樹脂と、該ポ
    リアリーレンサルファイド樹脂100重量部に対して、0.0
    5〜5重量部のリン系着色防止剤と、0.02〜5重量部の
    水素化ホウ素化合物及び無機イオウ化合物の中から選ば
    れた還元剤とからなる樹脂組成物。
  2. 【請求項2】ポリアリーレンサルファイド樹脂がポリフ
    ェニレンサルファイド樹脂である請求項1記載の樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】リン系着色防止剤が3,4,5,6−ジベンゾ−
    1,2−オキサホスファン−2−オキサイドおよび下記一
    般式(I): 〔式中、R、R′、R″は置換基をもっていてもよいア
    リール基またはアルキル基であって、R、R′、R″は
    同一であっても相違してもよい〕で表わされる第三ホス
    フィンオキサイドの中から選ばれた少くとも一種である
    請求項1記載の組成物。
  4. 【請求項4】還元剤が水素化ホウ素ナトリウム、水素化
    ホウ素カリウム、ハイドロサルファイトおよび亜硫酸ソ
    ーダの中から選ばれる請求項1〜3のいずれかに記載の
    組成物。
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