JP2710781B2 - ダブルロックを有する電気コネクター - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、ダブルロックを有する電気コネクターに関
し、さらに詳しくは、ハウジング内の接触子装着用の空
洞に設けた該接触子の第１のロック手段のほかに、該ハ
ウジングとは別に形成した部材に該接触子に対する第２
のロック手段を有し、さらに、該接触子のガタ防止手段
を有する該コネクターに関する。

（従来技術とその課題） 従来、この種のダブルロックを有する電気コネクター
は、たとえば、自動車の電装部に多用されている。ハウ
ジング内の接触子装着用の空洞に設けた該接触子のロッ
ク手段には多種のものが知られているが、該ハウジング
とは別に形成した部材に設けた第２のロック手段にも多
種のものが知られている。

前記第２のロック手段としては、ハウジングにヒンジ
を介して連設した部材にロック機能を付与したものと、
ハウジングとは別に形成した部材にロック機能を付与し
たものとが知られ、かつ、後者には、ハウジングに長孔
を形成し、該長孔から櫛状部材を挿入して接触子のイン
シュレーションバレルを押えるものと、ハウジングに長
孔を形成する一方、接触子にスタビライザーを付加し、
該長孔から該スタビライザー押えを有する櫛状部材を挿
入してそれを押えるものとが知られている。

しかし、前記ヒンジタイプのものにおいては、ヒンジ
部に欠損が起こってロックが不確実になり、成形性が不
安定であるなどの課題がある。前記インスバレル押えタ
イプのものにおいては、ワイヤーが曲がったり絡らんで
いたりすると、前記櫛状部材を挿着することができなく
なり作業性が悪いなどの課題がある。前記スタビライザ
ー押えタイプのものにおいては、接触子の押え込み作業
が不確実になるなどの課題がある。

一方、従来、前記ガタ防止手段としては、前記櫛状部
材を利用したものがあるが、該部材のガタ防止部と接触
子との間にクリアランスが生じたり、該防止部が破損し
たりして、その機能が不充分であるなどの課題がある。

本発明の目的は、比較的簡単な手段で前記課題を一挙
に解決することができる新規なダブルロックを有するコ
ネクターを提供することにある。

（課題を解決するための手段） 本発明に係るダブルロックを有する電気コネクターに
おいては、下面に突出したスタビライザーを有する接触
子を受容する空洞、及び該空洞の内壁に設けられて前記
スタビライザー以外の前記接触子の部分と係合する第１
のロック手段を有するハウジングと、前記接触子が挿入
される空洞、及び前記スタビライザーに当接して前記接
触子の後退を阻止する第２のロック手段を有し、前記ハ
ウジングに摺動可能に挿入されるロックケースとからな
り、前記ハウジング及び前記ロックケースは、前記ロッ
クケースを前記ハウジングに第１の位置まで挿入したと
きに前記ロックケースを前記ハウジングに仮止めする仮
止め手段と、前記ロックケースを移動終端位置まで移動
させたときに前記ロックケースを前記ハウジングに本止
めする本止め手段と、前記ロックケースの移動に伴い前
記ロックケース全体を該第１の位置よりも高い面の第２
の位置に移動させる移動手段とを有し、前記ロックケー
スが前記移動手段により前記第２の位置に移動したとき
にのみ、前記第２のロック手段が前記スタビライザーに
当接することを特徴とする。

さらに、本発明に係るコネクターにおいては、前記ロ
ックケースは、前記接触子の挿入接触域に前記接触子の
ガタ防止用のランスを有する。そして、前記ハウジング
は、前記接触子の挿入接触域に前記ランスを強制的に前
記接触子に圧接させるべく押し上げるリブを有する。

（実施例） 第１図ないし第３図において、プラスチック材料から
なるハウジング１は、後記接触子を装着すべく配列した
複数の空洞２を有し、かつ、該ハウジングの前端近傍に
おける底板３に複数の仮止孔４と、該前端近傍における
上板５に連設した仕切部6aの内面に後記ロックケースの
浮上防止突起７と、両側板８に案内条溝９と、該両側板
の係止孔（または凹部）10とを有する。浮上防止突起７
は、図示してないが、その後端に斜面を有する。案内条
溝９は、斜面部9aを介して前記よりも後部が高い段差面
に形成してある。

一方、プラスチック材料からなるロックケース11は、
複数の空洞12を有し、かつ、ハウジング１の底板３と、
仕切部６と、両側板８との間に摺動可能に挿入する大き
さ・形状に形成してある。また、ロックケース11は、底
板13の下面に前記仮止孔４に係合する仮止突起14と、前
端開口における上板15に前記浮上防止突起７に摺動可能
に挿入する案内条溝16と、両側板の外面に前記案内条溝
９に摺動可能に係合する摺動突起17と、該両側板に、該
ロックケースをハウジング１に完全に挿入したとき前記
係止孔10に係合する係止突起18（本止め手段）と、前記
仕切部６の両側に配置した仕切板6bが摺動可能に挿入す
る案内条溝19とを有する。仮止突起14は斜面部14aを、
かつ、案内条溝16は斜面部16aを有する。第３図におい
て、ハウジング１の底板３、すなわち、空洞２の底面の
ほぼ中央部位に斜面部20aを介して高い段差面部20を形
成してある。段差面部20の後端には、後記接触子用のロ
ックレバー突起21（第１のロック手段）を一体に連設
し、かつ、該レバーは、前部に斜面部21aと、後部に係
合端面21bとを有し、該段差面部との連続部を基点とし
て上下方向への弾性を付与してある。ロックレバー21の
後端には、後記接触子のスタビライザー用のストッパー
22を一体に連設してある。ストッパー22は、後端に屈曲
部23を有する。ハウジング１は、段差面部20、ロックレ
バー21およびストッパー22を設けてあり、その点で底板
３と同様の機能を果たす仕切上板３′を有し、かつ、そ
の後端に屈曲部23と対向して後端開口を形成する屈曲部
24を有する。

第２図および第４図に示すように、前述の構成を有す
る本発明のコネクターにおいては、ハウジング１にロッ
クケース11を、ロックケース11の底板13の先端部13aが
ハウジング１の底板３の斜面部20aに衝接するに至るま
で、挿入する。もとより、このとき、ロックケース11の
上板15の先端部15aもハウジング１の仕切板３′の斜面
部20aに衝接するが、以下では、これら間の関係につい
ては省略する。このように挿入したとき、案内条溝９に
摺動突起17が係合するとともに、仮止孔４に仮止突起14
（仮止め手段）が係合し、これにより、ロックケース１
は、ハウジング１に仮止めされる。この仮止状態の下
で、接触子26をロックケース11の前端開口からハウジン
グ１の空洞２に挿入する。接触子26は、先部を中空状に
形成し、後部で電線27を圧着接続してあって、下面に突
出するスタビライザー26aと、下面に開口する係止孔26b
とを有する。第４図においては、接触子26がハウジング
１の空洞２に充分に挿入されていない状態を示してあ
る。この状態の下では、接触子26のスタビライザー26a
がロックケース11の底板19の先端部13aの上面に位置し
ているとともに接触子26の上面がハウジング１の仕切板
３′の下面（空洞２の上面）に圧接し、かつ、接触子26
の係止孔26bにハウジング１のロックレバー21が係合し
ていない。

このように、スタビライザー26aが先端部13aの上面と
仕切板３′の下面に圧接している状態の下では、ロック
ケース11をハウジング１に前記仮止状態からさらに押し
込んで正常に至らせようとすると、先端部13aが斜面部2
0aへ乗り上げられようとするので、先端部13aと仕切板
３′との間に強く圧着される状態になり、そのように押
し込むことができない。したがって、こうした場合に、
接触子26が正常に挿入されていないことを検知すること
ができる。

一方、第５図に示すように、接触子26がハウジング１
の空洞２に正常に挿入されてはいないが、スタビライザ
ー26aがハウジング１の底板の段差面部20の上面に位置
している状態の下では、ロックケース11をハウジング１
に前記仮止状態からさらに押し込むべくロックケース11
を押圧すると、第２図に示す摺動突起17が案内条溝９の
斜面部9a（移動手段）をすべって上方向へ移動し、同時
に、ロックケース11の底板の先端部13aがハウジング１
の底板の斜面部20a（移動手段）をすべって段差面部20
の上面に移動し、かつ、仮止突起14が仮止孔４から抜脱
する。したがって、第２図に示す摺動突起17を案内条溝
９の高い部分に沿って後方向へ摺動させながら、ロック
ケース11をハウジング１の内方向へ摺動させることがで
きる。この摺動時においては、先端部13aが、スタビラ
イザー26aに衝接し、これを介して接触子26をさらに内
方向へ移動させるとともに、接触子26がロックレバー21
の斜面部21aをすべって該レバーの弾性に抗してこれを
押し下げる。

第６図においては、第２図に示す摺動突起17が案内条
溝９を摺動し終え、接触子26が正常に位置し、接触子26
の前記係止孔26bにロックレバー21の係止部21bがその弾
性復帰で係入すると同時に、スタビライザー26aが先端
部13a（第２のロック手段）と前記ストッパー22との間
に位置し、かつ、同時に、第２図に示す係止孔10に係止
突起18（本止め手段）が係合している。この状態は、接
触子26が正常位置で完全にダブルロックされていること
を示している。また、このロック状態の下では、第１図
に示す浮上防止突起７が、案内条溝16を後方向へ乗り超
えてロックケース11の上板15の上面に圧接し、ロックケ
ース11がハウジング１との嵌合状態の下で浮き上がるの
を防止している。第７図ないし第９図において、ハウジ
ング１およびロックケース11の前記構造、すなわち、ダ
ブルロック手段に加え、接触子26のガタ防止手段を有す
るコネクターを示してある。

前記接触子26の挿入接触域におけるロックケース11の
底板13および上板15には、それらの一部を切り起して形
成した弾性ランス28を有する。

一方、前記接触子26の挿入接触域におけるハウジング
１の底板３および仕切板３′には、斜面部29aを有する
ランス強制リブ29を有する。第10図において、ロックケ
ース11をハウジング１に挿入する過程で、ランス28がラ
ンス強制リブ29の斜面部29aをすべりながら該リブに乗
り上げて浮き上がる。その結果、ランス28が接触子26の
下面に弾性的に圧接し、空洞２における接触子26のガタ
を防止する。

なお、前記開口25は、これを通して別のコネクターの
接触子を前記接触子26に挿入し、該両接触子を電気接続
するために設けてある。

（発明の効果） 本発明の請求項１記載の構成によれば、ロックケース
をハウジングに押し込むと、ロックケースが移動手段に
より第１の位置からそれより高い面の第２の位置に移動
し、第２のロック手段が接触子のスタビライザーに当接
するので、該ハウジングの空洞に充分に挿入されていな
い接触子をさらに押し込んで正常位置に移動させ、その
位置で安定かつ確実にダブルロックをはかることができ
る。また、前記ダブルロックをはかるための作業におい
ては、前記ロックケースを単に押し込むだけであり、か
つ、その押し込みにともなうロックケースの前記ハウジ
ングにおける摺動が円滑であり、その作業能率を向上さ
せることができる。しかも、その押し込み操作によって
破損するおそれがある部分を有しておらず、きわめて堅
牢であり、かつ、構造も比較的簡単で型製作も容易であ
り、廉価量産がはかられる。

さらに、本発明の請求項２記載の構成によれば、前記
接触子に弾性的に圧接するランスと、そのように圧接さ
せるランス強制リブとにより、前記空洞における該接触
子のガタ防止をはかり、かつ、該ランスと該接触子との
間にクリアランスがなんら生ぜず、そのガタ防止効果が
向上するととももに、それらのガタ防止機構が破損する
おそれもない。

したがって、本発明によれば、既述した従来技術の課
題を有効に解決することができ、この種のダブルロック
を有するコネクター、とくに自動車の電装部に使用する
それとして実用に供しきわめて有益である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、ハウジングとロックケースとの斜視図。 第２図は、ロックケースのハウジングに対する仮止状態
を示す斜視図。 第３図は、前記仮止状態を示す断面斜視図。 第４図は、前記仮止状態であって、かつ、接触子がハウ
ジングの空洞に充分に挿入されていない状態を示す断面
図。 第５図は、前記仮止状態からハウジングへのロックケー
スの挿入およびハウジングの空洞への接触子の挿入過程
を示す断面図。 第６図は、前記挿入の終了状態を示す断面図。 第７図は、ガタ防止ランスを有するロックケースの斜視
図。 第８図は、前記仮止状態における前記ランスとハウジン
グの底板に有するランス強制リブとの位置関係を示す断
面斜視図。 第９図は、前記終了状態における前記ランスの浮き上が
り状態を示す断面斜視図。 第10図は、前記終了状態における前記ランスと前記ラン
ス強制リブとの関係を示す断面図。 1:ハウジング 2:空洞 4:仮止孔（仮止め手段） 9:案内条溝（仮止め手段） 9a:斜面部（移動手段） 10:係止孔（本止め手段） 11:ロックケース 12:空洞 13a:先端部（第２のロック手段かつ移動手段） 14:仮止突起（仮止め手段） 17:摺動突起（仮止め手段かつ移動手段） 18:係止突起（本止め手段） 20:段差面部 20a:斜面部（移動手段） 21:ロックレバー（第１のロック手段） 26:接触子 26a:スタビライザー 28:ランス 29:リブ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下面に突出したスタビライザーを有する接
   触子を受容する空洞、及び該空洞の内壁に設けられて前
   記スタビライザー以外の前記接触子の部分と係合する第
   １のロック手段を有するハウジングと、 前記接触子が挿入される空洞、及び前記スタビライザー
   に当接して前記接触子の後退を阻止する第２のロック手
   段を有し、前記ハウジングに摺動可能に挿入されるロッ
   クケースとからなり、 前記ハウジング及び前記ロックケースは、前記ロックケ
   ースを前記ハウジングに第１の位置まで挿入したときに
   前記ロックケースを前記ハウジングに仮止めする仮止め
   手段と、前記ロックケースを移動終端位置まで移動させ
   たときに前記ロックケースを前記ハウジングに本止めす
   る本止め手段と、 前記ロックケースの移動に伴い前記ロックケース全体を
   該第１の位置よりも高い面の第２の位置に移動させる移
   動手段とを有し、 前記ロックケースが前記移動手段により前記第２の位置
   に移動したときにのみ、前記第２のロック手段が前記ス
   タビライザーに当接することを特徴とする、ダブルロッ
   クを有する電気コネクター。
2. 【請求項２】請求項１記載のコネクターであって、 前記ロックケースは、前記接触子の挿入接触域に前記接
   触子のガタ防止用のランスを有し、かつ、 前記ハウジングは、前記接触子の挿入接触域に前記ラン
   スを強制的に前記接触子に圧接させるべく押し上げるリ
   ブを有する ことを特徴とする、前記コネクター。