JP2676784B2 - 結合剤 - Google Patents

結合剤

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JP2676784B2
JP2676784B2 JP63124737A JP12473788A JP2676784B2 JP 2676784 B2 JP2676784 B2 JP 2676784B2 JP 63124737 A JP63124737 A JP 63124737A JP 12473788 A JP12473788 A JP 12473788A JP 2676784 B2 JP2676784 B2 JP 2676784B2
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    • D21PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、新規なるシリカゾルを含有する結合剤に関
する。更に特質的に述べれば、本発明の結合剤は、新規
なる細長い形状のコロイダルシリカ粒子からなる安定な
ゾルを含有することに特徴を有し、セラミック繊維、ガ
ラス繊維等のバインダー、鋳型のバインダー、塗料、接
着剤等のバインダー、或いはガラス、セラミック、金属
等の表面処理剤、プラスチック等基材表面のハードコー
ト剤のバインダー等として、また、繊維又は繊維製品、
紙等の表面処理剤或いは更にセメント材料、石膏材料等
多孔質材料の含浸剤としても用いられる。
(従来の技術) シリカゾルは一般に、低粘度の状態から高粘度の状態
を経て終局的に不可逆的ゲルを形成する性質を有し、結
合剤として有用であることが知られている。けれども従
来から知られているシリカゾルは、それを構成するコロ
イダルシリカ粒子の形状が球状又は球状に近い形状のも
のであり、米国特許第2680721号明細書に添付された図
面に、代表的に三つのタイプが示されている。その一つ
は、上記の如き球状のものであり、同図面第1図に示さ
れ、その二は、短径に対する長径の比がほぼ2〜3の非
球状ものであり同図面第2図下段に示されている。そし
てその三は、同図面第3図下段に示されている不定形の
ものである。この3番目の不定形の粒子は、この米国特
許第2680721号明細書に説明されているように、より小
さいシリカ粒子が鎖状に連結することによって形成され
た3次元網目構造体からその鎖の切断によって生じた分
断片が粒子成長した結果生じたものであり、1個の粒子
に着目すると、細長い形状を有するが、その伸長が同一
平面内に存するように制御されてはいない。
ゾル中のコロイダルシリカ粒子の形状は、そのゾルの
製造方法によって定まり、上記米国特許第2680721号発
明によると上記第1のタイプの球状のコロイダルシリカ
粒子が生成する。これに対し、米国特許第2900348号発
明の製造方法は所謂解膠法と呼ばれるものであって、こ
の方法により得られたシリカゾルのコロイダルシリカ粒
子は、上記2番目又は3番目のタイプの形状を有するも
のである。
(発明が解決しようとする課題) 粒子径4〜150ミリミクロンの球状のコロイダルシリ
カからなるゾルは安定性が高く、結合剤として用いられ
ているが、この良好な分散性を与えている粒子の球形
は、場合によっては、例えば、このシリカゾル含有組成
物から形成された被膜にクラックを生じ易くさせたり、
また、このシリカゾルとセラミックファイバーを含有す
る組成物を乾燥するときにも、コロイダルシリカ粒子の
移行が起り、その乾燥物表面が粉立ち易い等の実用上の
問題を生起させる。このような問題が起ると、シリカゾ
ルに更に別の成分を加えて改良することが行われるが、
充分な改良を達成することは容易でない。
上記通常の解膠法によって得られるシリカゾルは、そ
の安定性が充分でなく、場合によっては、保存中にシリ
カの沈澱が生じるこもある。そのコロイダルシリカ粒子
は非球状であるが、このゾルを結合剤として用いると、
上記球状のコロイダルシリカからなるシリカゾルを用い
た場合に生じる問題をやはり生じさせる。
本発明は、新規なる細長い形状を有するコロイダルシ
リカ粒子からなる安定なゾルを結合剤成分とする改良さ
れた性能を示す結合剤を提供しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明の結合剤は、5〜20ミリミクロンの範囲内のほ
ぼ一様な太さで一平面のみの伸長を有し、かつ、動的光
散乱法による粒子径が40〜300ミリミクロンである細長
い形状のシリカ粒子からなる安定なゾルを含有すること
を特徴とする。
本発明の結合剤に用いられるゾルを構成するコロイダ
ルシリカ粒子は、電子顕微鏡を用いた撮影写真によって
その形状を見ることができる。このゾル中に存在する多
数のコロイダルシリカ粒子は、形状が同一に限られては
いるが、共通して細長い形を有する。この多数のコロイ
ダルシリカ粒子は、ほぼ真直なもの、屈曲しているも
の、分枝を有するもの、環を有するものの4種類に大別
されるが、それらの分率を正確な数字で表わすことは困
難である。けれども写真によれば、屈曲しているものと
分枝を有するものの分率が最も高く、これらのタイプの
ものが大半を占める。1個の粒子に着目すると、この粒
子の一端から他端まで太さがほぼ一様である。このほぼ
一様であることは、ゾルの製造条件に由来するものであ
り、そして太さもゾルの製造条件により変り、製造の経
験則に従って定められる。一定の方法でつくられたゾル
中の多数のコロイダルシリカ粒子の太さは5〜20ミリミ
クロンの範囲内にある。しかし、一定の方法でつくられ
たゾル中の多数のコロイダルシリカ粒子の長さは一定し
ていない。けれども写真によれば、長さは太さの3倍以
上であり、通常、数倍〜数十倍の長さを有する粒子が大
半を占める。
本発明の結合剤に用いられるゾルを構成する上記の如
き細長い形状のコロイダルシリカ粒子は、更にもう一つ
特徴を有している。それは、この細長い伸長が同一平面
内に存するということである。屈曲していても、また、
分枝状であっても同一平面内の伸長を有するから、全て
の粒子は形状が異なっていても重ならない限り、同一平
面内に、これら粒子の太さに相当する高さで横たえるこ
とができる。このゾルのコロイダルシリカ粒子の電子顕
微鏡による撮影写真では、通常、これら細長い形状のコ
ロイダルシリカ粒子は重なっているために、1個の粒子
の一端と他端とを見定め難く、従ってその粒子の長さを
測定し難い。また、写真では、平面から垂直な方向に
も、つまり、3次元方向の粒子の伸長が存するか否かも
見定め難い。けれどもこの3次元方向の伸長が存在する
と、シリカゾルは、3次元網目構造又はそれに近い構造
の存在に特有の性質、例えば、著しく高い粘度乃至非流
動性を示し、不安定であるが、本発明の結合剤に用いら
れるゾルは安定な中粘度の液体である。従って、このゾ
ルを構成するコロイダルシリカ粒子は、3次元方向には
伸長を有しないものである。本発明の結合剤に用いられ
るゾルを構成するコロイダルシリカ粒子の形状の一特徴
である同一平面内の伸長とは、純粋に数学的に厳密な同
一平面内の伸長であるという意味ではない。むしろ、3
次元網目構造又はそれに近い構造を有するシリカゾルが
示す特性を示さないということによって意味付けられる
ものである。
このような本発明の結合剤に用いられるゾルを構成す
るコロイダルシリカ粒子の大きさは、これを写真から推
定される長さで表わすことは適切でなく、長さに対応す
る粒子の大きさとして測定できる動的光散乱法による測
定値で表わすのが適切である。この動的光散乱法による
測定値で表わすと、本発明の結合剤に用いられるゾルを
構成するコロイダルシリカ粒子の大きさは、40〜300ミ
リミクロンである。
本発明の結合剤の用いられるシリカゾルは、通常、30
重量%以下、好ましくは5〜30重量%のSiO2を含有す
る。このゾルの粘度は、ゾル中のSiO2の含有率が高い程
高い値となるが、上記SiO230重量%以下では、室温で数
cp〜500cp程度である。そしてこのゾルは、安定性が極
めて高く、保存中にシリカの沈澱が生ずることも、増粘
が起ることもない。更にこのゾルは、媒体が水、有機溶
媒、水溶性有機溶媒と水との溶液のいずれであってもよ
い。
媒体が水である水性のシリカゾルとしては酸性のも
の、アルカリ性のもののいずれも本発明の結合剤として
用い得る。また、媒体が有機溶媒であるオルガノゾル
は、水性のシリカゾルの水を、通常の方法、例えば蒸留
置換法等によって有機溶媒で置換することにより容易に
得られ、このオルガノゾルも本発明の結合剤に用いられ
る。このオルガノシリカゾルの媒体である有機溶媒とし
ては、このコロイダルシリカ粒子の活性を阻害しないよ
うな通常のものでよく、例えば、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、
エチレングリコール等多価アルコール類、ジメチルエー
テル、エチレングリコールのモノメチルエーテル等エー
テル類、トルエン、キシレン等炭化水素溶媒、ジメチル
アセトアミド、ジメチルホルムアミド、その他等が挙げ
られる。上記水性のゾル及びオルガノゾルのいずれも、
そのコロイダルシリカ粒子表面に存在するシラノール基
によって活性であり、媒体の除去につれて終局的に不可
逆的にゲルに変わる。
本発明の結合剤に用いられるシリカゾルは、下記
(a),(b)及び(c)の各工程、 (a) SiO2として2〜6重量%を含有する活性珪酸の
コロイド水溶液に、水溶性のカルシウム塩、マグネシウ
ム塩又はこれらの混合物を含有する水溶液を、上記活性
珪酸のSiO2に対してCaO、MgO又はこの両者として重量比
1500〜8500ppmとなる量加えて混合する工程、 (b) (a)工程により得られた水溶液に、アルカリ
金属水酸化物、有機塩基又はそれらの珪酸塩をSiO2/M2O
(但し、SiO2は上記活性珪酸に由来するシリカ分と上記
珪酸塩のシリカ分の合量を、そしてMは上記アルカリ金
属原子又は有機塩基の分子を表わす。)モル比として20
〜200となるように加えて混合する工程、及び (c) (b)工程によって得られた混合物を60〜150
℃で0.5〜40時間加熱する工程 を包含することを特徴とする方法によって、SiO2/M2O
(但し、Mはアルカリ金属原子又は含窒素有機塩基化合
物の分子を表わす。)モル比として20〜200程度のアル
カリにより安定化されたアルカリ性の水性シリカゾルと
して製造される。そして更にこのゾルから過剰の陰イオ
ンを除くことにより安定なゾルが得られ、濃縮すれば高
濃度のゾルが得られる。更にこれを陽イオン交換処理す
れば、酸性の水性シリカゾルが得られ、これに別のアル
カリを加えることにより上記とは別のアルカリ性の水性
シリカゾルを得ることもできる。また、これら酸性の水
性ゾルから、陽に帯電したコロイダルシリカ粒子からな
る水性ゾルを、通常の方法により得ることができる。
本発明の結合剤としては、上記新規なるシリカゾル単
独の他、従来から知られているバインダー、その他任意
の併用成分を含有することができる。
併用される従来のバインダーの例としては、前記球形
のコロイダルシリカからなるゾル及び所謂解膠法によっ
て得られる前記非球形のシリカゾル、アルカリ金属シリ
ケート、アルキリシリケート加水分解液、アルミナゾ
ル、その他金属酸化物ゾル等が挙げられる。上記新規な
シリカゾルに併用して本発明の結合剤に含有される他の
成分の例としては、従来からシリカゾルに混用されてい
る水溶性樹脂及びその水溶液、樹脂エマルジョン、増粘
剤、消泡剤、界面活性剤、耐火物粉末、無機繊維粉末、
金属粉末、ベントナイト、顔料、カップリング剤等が挙
げられる。
本発明の結合剤は種々の用途に使用される。例えば、
金属を鋳造するのに用いられる鋳型成形用のバインダ
ー、耐火物成形用バインダー、触媒担体用バインダー、
吸着剤用バインダー、ガラス繊維、セラミック繊維等の
成形体又はマット、シート等をつくるのに用いられるバ
インダー、無機塗料、耐熱塗料、防食塗料、無機−有機
複合塗料等のバインダー、無機接着剤、耐熱接着剤、無
機−有機複合接着剤等のバインダー等として用いられ
る。これら塗料、接着剤等は種々の基材、例えば、ガラ
ス、セラミック、金属、プラスチックス、木材、繊維、
紙等の表面に適用することができる。本発明の結合剤
は、繊維、繊維製品、紙、木材等の処理剤として、或い
はコンクリート、モルタル、セメント、石膏、粘土等の
多孔質硬化体の表面から含浸処理を施すための表面処理
剤として、或いは更に鋳物の封孔処理剤等としても用い
ることができる。
(作 用) 本発明の結合剤は、これに含有されたシリカゾルに由
来するコロイダルシリカ粒子を含有する。このコロイダ
ルシリカ粒子はその表面に活性なシラノール基を有する
から、本発明の結合剤は、例えば乾燥等により結合剤か
ら水、有機溶媒等が除かれると、終局的にゲルに変る。
また、前記の如き種々の固体表面に対しても、そのコロ
イダルシリカ粒子表面の活性によって、この粒子は付
着、吸着或いは化学結合する。本発明の結合剤が含有す
るコロイダルシリカ粒子は、前記の如き一平面内のみに
伸長を有する細長い形状の粒子である。そしてその太さ
が5〜20ミリミクロンの範囲内にあってほぼ一様であ
り、その長さに対応する動的光散乱法による粒子径が40
〜300ミリミクロンである。本発明の結合剤の新規な性
能或いは改良された性能は、このコロイダルシリカ粒子
の特殊な形状によるものである。
例えば、本発明の結合剤を加えたガラス繊維フェル
ト、セラミック繊維フェルト等の乾燥においては、その
溶媒の蒸発に伴なって起る繊維表面上での溶媒の流動の
際、上記細長い形状によってこのコロイダルシリカ粒子
は溶媒と一緒になって移動することが困難となり、繊維
表面上に殆ど固定され、この固定されたコロイダルシリ
カ粒子が更に別の細長い形状のコロイダルシリカ粒子を
捕捉することによって、フェルト内部に当初に存在した
コロイダルシリカはフェルト内部でゲルを形成するに至
り、フェルト内部の繊維の結合性を向上させ、乾燥フェ
ルト表面の粉立ちが減少する結果をもたらすものと考え
られる。本発明の結合剤は、前記の如く種々の用途に用
いられるが、いずれにおいても、ガラス、セラミック、
セメント質硬化体、石膏硬化体、粘土硬化体、金属、プ
ラスチック、木材、天然又は合成繊維、紙等の基材表面
に接触し、そして乾燥に伴ってゲルの生成が起るが、上
記と同等にこれら基材表面での、或いは基材表面間での
当初に存在したコロイダルシリカ粒子の非移動性によっ
て一様なゲルの生成をもたらし、これによってやはり結
合性が向上するものと考えられる。
更に、本発明の結合剤を含有する塗料から形成された
乾燥塗膜の良好な柔軟性は、塗料中の上記細長い形状の
コロイダルシリカ粒子が合体してゲルを形成する際、形
状粒子の合体に比べ層状構造の形成が起り易いことによ
るものと考えられる。この柔軟性は、塗膜に生じた応力
を緩和して塗膜に耐クラック性を与える。また、塗膜の
高度平滑性についても、一平面内のみの伸長を有するコ
ロイダルシリカ粒子は、合体の階層構造の形成が容易と
なるため、生じたゲルの平滑性が高まるものと考えられ
る。
コロイダルシリカ粒子が一平面内のみの伸長を有して
いても、その粒子径が動的光散乱法の測定値として300
ミリミクロンより大であると、そのような粒子からなる
シリカゾルは保存中にシリカの沈澱が生じ易く好ましく
ない。反対に上記測定値として40ミリミクロン以下の粒
子径では、上記細長い形状に基づく作用効果に乏しくな
る。このコロイダルシリカ粒子の太さが5ミリミクロン
以下である安定なゾル及び20ミリミクロン以上である安
定なゾルのいずれも製造し難く、安定なゾルとしては太
さが5〜20ミリミクロンであるコロイダルシリカからな
るゾルが好ましい。
上記本発明に用いられる細長い形状のコロイダルシリ
カ粒子からなるゾルと従来の球状又は球状に近い形状の
コロイダルシリカ粒子からなるゾルとを混合して結合剤
として用いると、これらの協働作用によって用途によっ
ては更に好ましい結合剤が得られる。
(実施例) 実施例1 市販のJIS3号ナトリウム水ガラス(SiO2/Na2Oモル比
3.22、SiO2含有率28.5重量%)に水を加えて、SiO2濃度
3.6重量%の珪酸ナトリウム水溶液を得た。別途用意さ
れた商品名アンバーライト120Bの陽イオン交換樹脂充填
のカラムに、上記珪酸ナトリウム水溶液を通すことによ
り、SiO2濃度3.56重量%、pH2.81、電導度731μS/cmの
活性珪酸のコロイド水溶液を得た。この液には、Al2O3
とFe2O3が合計75ppm残留していた。
上記活性珪酸のコロイド水溶液2000gをガラス製容器
に投入し、次いで10重量%の塩化カルシウム水溶液8.0g
を撹拌下に室温で添加し、30分の後更に10重量%の水酸
化ナトリウム水溶液12.0gを撹拌下に室温で添加した。
得られた混合液は、pH7.6を示し、SiO2/Na2Oモル比80で
ある。
次いで、上記混合液をステンレス製オートクレーブに
仕込み、130℃で撹拌下6時間加熱した後冷却して内容
物を取り出した。得られた液はシリカゾルであり、SiO2
3.52重量%を含有し、SiO2/Na2O滴定法モル比101及びpH
9.64であり、CaOはSiO2に対し重量比5400ppm含まれ、遊
離のカルシウムイオンは検出されなかった。
次いで、上記シリカゾルを限外濾過装置により濃縮し
たところ、SiO2濃度21重量%の濃縮シリカゾル(A)が
得られた。この濃縮ゾルは、分析の結果溶解又は遊離の
カルシウムイオンを含まず、比重1.136、pH9.24、粘度1
24cp(20℃)、SiO2/Na2O滴定法モル比126、CaO含有率
0.113重量%、塩素イオン含有率0.019重量%、硫酸イオ
ン含有率0.0020重量%、電導度2080μS/cmであった。こ
のゾル(A)のコロイダルシリカ粒子は、電子顕微鏡写
真から観察すると、細長い粒子であり、太さは12ミリミ
クロンであった。そしてこのゾル(A)は、動的光散乱
法によるコロイダルシリカ粒子径が84.6ミリミクロンで
あった。また、BET法から算出するとこのコロイダルシ
リカ粒子径は12ミリミクロンであった。
この濃縮シリカゾル(A)を密閉下60℃で保存したと
ころ、1ケ月後にも変質が認められなかった。
このゾルをガラス板上に塗布し、乾燥したところ、従
来のゾルを用いた場合よりも良好な被膜が形成された。
この被膜は水に接触しても、水に溶解しなかった。
更に別に、上記オートクレーブ中での加熱温度及び時
間を変えた他は上記製造法と同様にして濃縮水性シリカ
ゾル(E)及び(F)を得た。この水性ゾル(E)はコ
ロイダルシリカの太さが10mμ、動的光散乱法粒子径150
mμ、SiO2濃度15重量%であり、水性ゾル(F)はコロ
イダルシリカの太さが9mμ、動的光散乱法粒子径250m
μ、SiO2濃度8重量%であった。
実施例2 実施例1で得られたシリカ濃度21.0重量%のシリカゾ
ル(A)を純水でシリカ濃度16重量%に希釈し、陽イオ
ン交換樹脂を充填したカラムを通してシリカ濃度15.7重
量%の酸性シリカゾル(B)を得た。
得られたゾル(B)は比重1.092、pH2.20、粘度13c
p、SiO215.7重量%、Na2O190ppm、CaO185ppm、Cl144pp
m、SO216ppm、電導度3,030μS/cm、B.E.T.法粒子径12.0
mμ、動的光散乱法粒子径84.6mμであった。このゾル
(B)は室温3ケ月以上安定であった。
実施例3 実施例2で得られた酸性シリカゾル(B)800gを回転
式減圧濃縮器に採り、この器内を真空度650〜720Torr、
液温20〜40℃に保ちながら、これに無水メタノール12,0
20gを14時間かけて加えると共に水を共沸除去すること
によりゾル中の水分をメタノールで置換した。
得られたメタノールシリカゾル(C)は比重0.876、
粘度14.5cpであり、SiO2含有率14.3重量%、H2O含有率
1.0重量%であった。このゾル(C)は室温3ケ月以上
安定であった。
実施例4 実施例2で得られた酸性シリカゾル(B)を更に陰イ
オン交換樹脂で処理した後蒸留置換法により分散媒の水
をエチルセロソルブで置換することにより、エチルセロ
ソルブシリカゾル(D)を得た。このゾル(D)は、比
重1.025、粘度28c.p.、SiO215.2重量%及び水分0.3重量
%であった。
実施例5 実施例1で得られた水性シリカゾル(A)100gと、球
状の水性シリカゾル(比重1.144、pH9.69、粘度4.3c.
p.、SiO221.9重量%、SiO2/Na2O滴定法モル比126、電導
度2140μS/cm、BET法粒子径11.0mμ、動的光散乱法粒子
径26.8mμ)100gとを混合し、得られた混合物ゾルを密
閉下室温に放置したが6ケ月以上安定であった。
上記混合物ゾルは、水性シリカゾル(A)を50重量%
含有するが、この他に、上記水性シリカゾル(A)を30
重量%含有する混合物ゾル及び70重量%含有する混合物
ゾルの場合にも、上記同様密閉下室温で6ケ月以上安定
であり、従来のゾルとこの細長い形状のシリカゾルとは
任意の割合に混合して使用できることを示している。
実施例6 この実施例は、実施例1で得られた水性シリカゾル
(A)をバインダーとして鋳型をつくった例である。
上記シリカゾル(A)1000重量部にジルコンフラワー
(#350)2900重量部と界面活性剤2重量部と消泡剤1
重量部を混合して初層用スラリーを作成した。このスラ
リーにワックス模型を浸漬してコーティングを施し、こ
れにジルコンサンド(#80)をサンディングした後乾燥
させ第1層を形成させた。次いで上記シリカゾル1000重
量部に対してジルコンフラワー(#200)3450重量部と
界面活性剤2重量部と消泡剤1重量部を混合して得たバ
ックアップ用スラリーに浸漬して2度目のコーティング
を施し、次いで粒径0.3〜0.7mmのハイアルミナサンドで
サンディングして乾燥させることにより第2層を形成さ
せた。その後は同様の方法で第3〜6層を順次積層させ
た。その後ワックス模型をオートクレーブ中加熱により
除去し、更に1000℃1時間焼成してシェル鋳型を造型し
た。上記得られた乾燥後のシェル及び焼成後のシェル
は、ともにクラックの発生は認められず、肌荒れなどの
異常もなかった。シェルの抗折強度は生型で56kg/cm2
焼成型で98kg/cm2であり、そして繰り返しテストの結果
再現性も良好であった。得られた焼成鋳型に注湯を行な
ったところ良好な鋳型製品が得られた。
比較例1 上記シリカゾル(A)の代わりに市販の球状シリカゾ
ル(比重1.210、pH9.95、粘度3.5c.p.、SiO230.2重量
%、BET法粒子径12.5mμ、動的光散乱法粒子径23mμ)
を用いた以外は実施例6と同じ方法でスラリーを作成
し、シェル鋳型を作成した。得られた乾燥後のシェル、
焼成後のシェルのいずれにも小さなクラックの発生が認
められた。生型及び焼成型の抗折強度はそれぞれ48kg/c
m2、89kg/cm2であったが、繰り返しテストの結果強度は
かなり変動した。又、得られた鋳造製品には肌不良、割
れなどの不良が発生した。
実施例7 この例は、本発明の結合剤を含有する無機接着剤の例
である。
上記水性シリカゾル(A)500gに325メッシュパス電
融アルミナ粉末100gと200〜250メッシュに90%入る電融
アルミナ粉末1500gを万能ミキサーで30分混合し、本発
明の結合剤を含有する無機接着剤を調製した。この接着
剤は4300c.p.の粘度有していた。この接着剤を竹下エン
ジニアリング(株)製の自動デスペンサーで小型ハロゲ
ンランプのセラミックス座具と石英ガラス管球の間隙に
充填した所、接着剤が座具の底から流れ出ることなく、
又、一箇所からの充填でも接着部全面に流動して廻り込
み、量産自動化用接着剤として極めて適することを認め
た。このランプは90℃30分乾燥後650℃で2時間加熱し
ても何ら接着に異常は認められなかった。
比較例2 SiO220重量%、BET法粒子径28mμの球状粒子からなる
水性シリカゾル500gに前記と同一の電融アルミナを同量
添加し万能ミキサーで30分混合し無機接着剤を調製し
た。この接着剤は3900c.p.の粘度を有していた。この接
着剤を前記と同様にして小型ハロゲンランプのセラミッ
クス座具と石英ガラス管球のすきまに充填した所、底か
ら少し流れ出し、この用途に適さない事を認めた。この
接着剤に更に325メッシュパス電融アルミナ粉末55gを加
え15分混練し、4320c.p.の粘度の無機接着剤を調製し
た。実施例7と同様にしてこの接着剤を前記デスペンサ
ーで一箇所から充填したが、この接着剤は全体に廻り込
むことが出来ず、この様な用途に適さない事を認めた。
本発明の結合剤で調製した無機接着剤は細長い粒形によ
り、チクソトロピーな物性を附与する為、良い結果が得
られた。
実施例8 上記水性シリカゾル(E)1800gをオムニミキサーに
加え、これにチタン酸カリ繊維500gとアルミノシリケー
ト繊維バルク300gを更に加え10分混練後、更に混練下、
10%硫酸礬土水溶液120gを加え更に5分混練し、スラリ
ーを調製し、吸引濾過法で金属メッシュ上に約4m/m厚の
湿潤状態のボードを作成し、70℃で3時間乾燥し耐熱性
無機繊維ボードを作成した。
このボードはスラリー調製時、礬土による強力な凝集
効果により相互に良く繊維とのからみ合いに沈着し、JI
S A5424の曲げ強度で52kg/cm2であった。
比較例3 細長い形状のシリカゾルの代りに、比較例2に使用し
たシリカゾル1800gを用いた他は実施例8と同様にして
ボードを作成し、強度を測定したところ、38kg/cm2であ
り、実施例8で得られたボードの強度よりも約20%低
い。
実施例9 実施例6に用いられたシリカゾル(A)150gに水50g
と短繊維綿状シリカアルミナセラミックス繊維15gを加
え均一に混合した後、この混合物を直径6cmのロートに
移し、余剰液をプレス下で濾別した。得られた含水成形
水をロートから取り出し、150℃で熱風乾燥することに
より厚さ2cmの板状無機繊維成形体を得た。この成形体
をカッターを用いてほぼ直径線に沿って切断し、切断面
にコロイダルシリカに対する発色剤溶液を塗布したとこ
ろ切断面全面が均一に発色し、バインダーであるコロイ
ダルシリカの分布が均一であることを確認した。又成形
体の引っ張り強度も0.35kg/cm2と大きかった。更に粉立
ちも少なく良好であった。この例は、上記細長い形状の
シリカゾルを用いると、マイグレーションが少なく強度
の大きい成形体が得られることを示している。
比較例4 細長い形状のシリカゾルの代りに、市販の球状の水性
シリカゾル(SiO220.2重量%、比重1.129、pH9.85、粘
度2.8c.p.、BET法粒子径12.5mμ、動的光散乱法粒子径2
2mμ)を用いた他は、実施例9と同様にして成形体を作
成した。その結果バインダーであるシリカゾルの定着率
が小さく引っ張り強度は0.2kg/cm2と小さく、成形体断
面を観察するとシリカの分布が不均一であり、中心部は
シリカが少なく、マイグレーションが大きいことを示し
ている。又、粉立ちも顕著であった。
実施例10 上記水性シリカゾル(F)の300gを高速撹拌機付1
の容器に投入し、これに撹拌下タルク粉末110gとチタン
酸カリウム繊維5gとガラス繊維の磨砕粉末25gを順次添
加し、更に30分撹拌し、充分に分散を行って完全無機質
柔軟性コート剤を調製した。
このコード剤をガラス繊維で被覆されている耐熱電線
の端末部から100m/mの長さまで約400g/m2コートし、100
℃で1時間乾燥した。この被覆層は10サイクルの屈曲テ
ストでも剥離や粉化する事ない強い密着力と柔軟性を維
持している事を認めた。
比較例5 SiO212重量%含有し、BET法粒子径15m/mの球状粒子か
らなる水性シリカゾル300gに実施例10で用いたものと同
一のタルク粉末、チタン酸カリウム繊維、ガラス繊維磨
砕粉末を同量添加し、同一条件で完全無機質コート剤を
調製した。
このコート剤を実施例10と同一条件でコートし、110
℃1時間乾燥後10サイクルの屈曲テストをした所2サイ
クルからクラックが発生し、一部剥離が発生し、粉化も
起り、柔軟性と密着性の不足を認めた。
実施例11 実施例3で得られたメタノールシリカゾル(C)2kg
を10の撹拌機付混合槽に加え、撹拌下ベントナイト粉
末15g、325メッシュ90%パス珪石粉末3.5kg、325メッシ
ュパス炭酸カルシウム粉末5.1kg、パーライト粉末20gを
順次加え、その後2時間撹拌し、粘度約3200c.p.のコン
クリート壁面用厚塗り塗材を作成した。この塗材は撹拌
を止めて1日静置しておいても沈降分離は殆んどなく均
質に分散している使い易い塗材であった。本発明の結合
材は、増粘分散効果もたとらすことが認められる。
比較例6 SiO230重量%を含み、BET法粒径16mμの球状粒子から
なるメタノールシリカゾル2kgを使用し実施例11と全く
同一条件で塗材を作成した。この塗材は約3000c.p.の粘
度を有し、1日静置しておくと珪石粉末の主として層状
分離が起り、下層が固結し易い使いにくい塗材であっ
た。この塗材を実施例11の如く沈降分離しにくくするに
はポリアクリル酸ソーダ粉末17gの添加混合が必要であ
った。この塗材の乾燥塗膜は火焔であぶると悪臭と発煙
があり、灰色に変色し、耐火性が劣ってくる欠点があ
る。
実施例12 実施例1で得られたシリカゾル(A)200重量部に樹
脂エマルジョン(アクリルスチレン共重合樹脂エマルジ
ョン、ヘキスト合成(株)製の商品名モビニールDM−6
0)50重量部、トリエタノールアミン4重量部、炭酸カ
ルシウム200重量部、珪砂500重量部及び酸化チタン50重
量部を加え約30分間サタケ式撹拌機にて撹拌混合し、無
機質塗料を作成した。作成した塗料をスレート板にスプ
レー塗布し、室温で1日乾燥した。得られた塗膜につい
て常法により性能評価を行ない、第1表記載の結果を得
た。細長い形状を有するシリカゾルを用いた塗膜にはク
ラックがなく、表面性状、耐水性、耐汚染性などが良好
であった。耐汚染性は帯電防止性が良好であることを示
す。
尚、密着性は、塗膜にナイフでごばん目状にクロスカ
ットを入れた後、セロハンテープで瞬間剥離させたとき
の残存目数を%で表わした。
比較例7 細長い形状を有するシリカゾルの代わりに市販の球状
の水性シリカゾル(比重1.129、pH9.85、粘度2.8c.p.、
SiO220重量%、RET法粒子径12.5mμ、動的光散乱法粒子
径22mμ)を用い、増粘剤としてベントナイトを使用し
た以外は実施例12とほぼ同じ組成の塗料を作成し、実施
例12と同じ方法で塗膜を形成させ評価を行なった。結果
は第1表に示すが、この塗膜にはクラックが多数発生
し、従って耐水性、表面性などが不良であった。○印は
良好であることを、そして△印はやや良好でないことを
表わす。
上記実施例12の結果によれば、塗膜中で細長い形状の
コロイダルシリカのゲルは有機樹脂成分との内部での分
離が起らないことを示し、多量の樹脂中に細長い形状の
コロイダルシリカを含有させると、補強された樹脂が得
られることを示している。
実施例13 無水クロム酸を水に溶解し、これにサッカロースを添
加して加温することによりCr3+/Cr6+モル比0.3、クロム
酸として4重量%のクロム酸溶液を作成し、このクロム
酸溶液1000gに実施例2で得た酸性の水性シリカゾル
(B)250を加え処理液を作成した。別途、ブラスト処
理を行ない表面を充分清浄にした普通鋼板(厚さ3.2m
m、縦150mm、横150mm)を用意し、これに上記処理液を
乾燥重量で1.5g/m2塗布し、150℃の熱風乾燥機中で20分
間乾燥後直ちにホットプレスにて180℃10分間ポリエチ
レンを厚さ3mmに圧着した。得られた鋼板について常法
により、塩水噴霧試験、温塩水浸漬試験、陰極剥離試験
を行ない防蝕性能を評価したところ、優れた防蝕性を示
した。
比較例8 細長い形状を有する酸性のシリカゾルの代りに市販の
球状の酸性水性シリカゾル(SiO220重量%、BET法粒子
径12.5mμ)を用いた以外は、実施例13と同じ方法でポ
リエチレン圧着鋼板を作成し、同様の試験を行なったと
ころ、陰極剥離試験ではかなり劣ったものとなり、また
塩水噴霧試験でも、若干発錆時間短かかった。
実施例14 実施例1で得られたシリカゾル(A)を陽イオン交換
樹脂で処理することによりナトリウムイオンを除去した
後、アンモニア水を添加してアンモニア安定型の水性シ
リカゾルを作成した。得られたゾルは比重1.129、pH9.4
0、粘度130c.p.、SiO220.2重量%及びNH30.20%であっ
た。水性エチレン−アクリル酸共重合樹脂エマルジョン
(固形分20重量%)100重量部に対して上記アンモニア
安定型の細長い形状を有するシリカゾルを20重量部加
え、充分撹拌して塗料を作成した。この塗料をクロメー
ト処理された亜鉛メッキ鋼板に塗布乾燥させ被膜を形成
させた。塗布量は5g/m2(乾燥重量)であった。実施例1
3と同様にしてテストされた被膜の性能評価の結果を第
2表に示す。得られた被膜は密着性、耐蝕性などが良好
で特に曲げ及び絞り加工に対してクラックの発生が認め
られず良好であった。
比較例9 上記実施例14のアンモニア安定型の細長い形状を有す
るシリカゾルの代りに、市販の球状のアンモニア安定型
の水性シリカゾル(比重1.128、pH9.30、粘度2.5c.p.、
SiO220.2重量%、NH30.20重量%、BET法粒子径12.5m
μ、動的光散乱法粒子径22mμ)を用いた他は実施例14
と同様にして被膜を形成させた。実施例13と同様にして
テストされた被膜の評価結果は第2表に示すが、密着
性、耐蝕性などが充分ではなく特に曲げ及び絞り加工時
クラックが発生し被膜の部分的なハガレが起った。
実施例15 東都化成(株)製の商品名フェノトートYP−50として
市販されているフェノキシ樹脂をエチルセロソルブに溶
解し、架橋剤としてメラミン樹脂を添加し、樹脂分50重
量%の溶液を調製した。次いでこの溶液100重量部に実
施例4で得られたエチルセロソルブゾル(D)65重量部
を添加して塗料とした。この塗料をクロメート処理され
た亜鉛メッキ鋼板に塗布し、焼付け乾燥させることによ
り被膜を形成させた。塗布量は7g/m2(乾燥重量)であ
った。実施例13と同様にしてテストされた被膜の評価結
果は第2表に示すが、密着性、耐蝕性、加工性のいずれ
も良好であった。◎印は極めて良好であることを、○印
はやや良好でないことを、そして△印はかなり良好でな
いことを示す。
比較例10 市販の球状の水性シリカゾルの水を蒸留置換法により
エチルセロソルブで置換することにより、エチルセロソ
ルブシリカゾルを得た。このゾルは、比重1.140、粘度
4.3c.p.、SiO230.3重量%、水分0.3重量%、BET法粒子
径12.5mμ、動的光散乱法粒子径23mμであった。
実施例15の細長い形状のシリカゾル(D)65重量部の
代りに、上記球状のエチルセロソルブシリカゾル33重量
部とエチルセロソルブ32重量部との混合物を用いた他は
実施例15と同様にしてクロメート処理された亜鉛メッキ
鋼板上に被膜を形成させ、性能をテストした。結果は第
2表に示すように密着性、耐蝕性等が実施例15に比べ充
分でなく、また、曲げ加工性テストでもクラック発生が
起った。
実施例16 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン100重
量部に塩酸水溶液30重量部を加えて撹拌することによ
り、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加
水分解液を調製した。次いで、この加水分解液130重量
部に実施例3で得られたメタノールシリカゾル(C)56
0重量部とイソプロピルアルコール50重量部、アルミニ
ウムアセチルアセトン14重量部及びシリコーン系界面活
性剤0.6重量部を加えて充分撹拌することにより、コー
ティング組成物(ハードコート剤)を得た。
別途、商品名CR−39として市販されているジエチレン
グリコールビスアリルカーボネート重合体の板を基材と
して用意し、これに上記コーティング組成物を浸漬法に
て塗布し、室温で放置後110℃で加熱硬化させることに
より上記基材上に被膜を形成させた。
次いで常法により、耐摩耗性、密着性、外観、耐熱
性、耐薬品性などをテストしたが、いずれも優れた性能
を示した。特にクラックの発生がなく均一な被膜が得ら
れた。
比較例11 実施例16の細長い形状を有するメタノールシリカゾル
560重量部の代わりに球状のメタノールシリカゾル(BET
法粒子径12.5mμ、比重0.995、粘度2.0c.p.、SiO230.5
重量%、水分1.4重量%)260重量部とメタノール300重
量部の混合物を用いた以外は実施例16と同様にしてコー
ティング組成物をつくり被膜を形成させた。得られた被
膜の性能を実施例16と同様にしてテストしたところ、実
施例16の結果に比べ、この被膜は密着性、外観、耐熱性
などが不充分であった。
実施例17 防水処理していないライナー紙に実施例1で得られた
シリカゾル(A)の水希釈液(SiO25重量%)をハケに
て塗布し、105℃で10分間乾燥した後、23℃相対湿度50
%の恒温恒湿室に一晩放置することにより処理紙を得
た。この処理紙について上記恒温恒湿室内にて静止摩擦
係数測定装置を用いてスベリ角を測定した。この処理紙
のシリカ塗布量はSiO20.04g/m2であり、スベリ角は35゜
であった。又、この処理紙は、同一紙面上のスベリを繰
り返した後もスベリ角の低下傾向は小さく、10回目の測
定時のスベリ角は34.5゜であった。そしてシリカの脱落
は少なく粉立ちも少なかった。尚、ライナー紙のみのス
ベリ角は19゜であった。このテスト結果は、細長い形状
を有するシリカゾルは紙への定着率が高く、良好なスリ
ップ防止効果を与えることを示している。
比較例12 上記実施例17の細長い形状のシリカゾルの代りに市販
の球状の水性シリカゾル(BET法粒子径12.5mμ、SiO23
0.2重量%、pH9.9)を用いた他は実施例17と同様にして
テストを行なった。シリカの塗布量はSiO20.04g/m2でス
ベリ角は29.5゜であった。10回目の測定時のスベリ角は
28゜で、測定回数が多くなるとスベリ角は低下する傾向
を示した。そして粉立ちが大きくシリカの脱落は多かっ
た。
(発明の効果) 従来のシリカゾルが結合剤として種々の用途に用いら
れていたが、この従来のシリカゾルを本発明の結合剤に
用いられる細長い形状のシリカゾルに代替又は従来のシ
リカゾルと混合して結合剤として用いると、従来の種々
の用途において様々な改良を達成することができる。本
発明に用いられる細長い形状のシリカゾルは、従来の球
状又は球状に近い形状のシリカゾルに比べ、同一のSiO2
含有率では粘度が高い他は、外観及び性状において殆ど
差異が認められず、また、シリカ粒子表面のシラノール
基による活性も同様である。けれども、独特の細長い粒
子形状によっては、このゾルがゲルを形成する際に従来
のシリカゾルによるものとは異なった構造のゲルが生成
し、また、このゾルが固体表面上でゲルを形成するとき
には、このゾルのコロイダルシリカ粒子が固体表面上で
非移動性を示すことによって、固体表面とゲルの結合性
を向上させる。そしてこの細長い形状のコロイダルシリ
カ粒子からなるゾルは、従来のシリカゾルと同様に種々
の成分との良好な混和性を有するから、当該技術分野で
用いられる公知の成分を通常の比率でこの細長い形状の
シリカゾルに混合することにより、種々の性能の結合剤
組成物を得ることができる。
本発明の結合剤を含有する塗料から形成された乾燥塗
膜には、ピンホールが少なく、クラックも殆ど見られ
ず、平滑性を有し、衝撃力を吸収し易い柔かさがあり、
基材との密着性、保水性、更に帯電防止性のいずれも良
好である。本発明の結合剤を含有する無機塗料から形成
された焼成塗膜は良好な耐熱性を示す。また、本発明の
結合剤は若干チクソトロピックな性質を有し、塗料用結
合剤として適する。
本発明の結合剤を用いて金属鋳造用の鋳型をつくる場
合には、この結合剤と耐火物粉末とのスラリーの乾燥ゲ
ル化速度が速く、鋳型生産能率が向上し、また焼成鋳型
にはクラック発生率が少なくなる。
本発明の結合剤をガラス繊維、セラミック繊維等の結
合剤として用いてマット又はシートをつくるときには、
乾燥後の表面の粉立ちが少なく、高い強度を有するマッ
ト又はシートが得られる。本発明の結合剤を天然繊維、
合成繊維等の処理剤として用いると、それら繊維表面と
の付着性及び微細繊維間の結合性が良好であるから改良
された繊維又は繊維製品が得られる。コンクリート、石
膏等多孔質材料に対しても、その表面から含浸させると
やはり乾燥時に起り易いコロイダルシリカ粒子の表面移
行性が少ないから、充分に改良された表面層が得られ
る。更にこのゾルと有機樹脂との良好な混和性は、プラ
スチック、フィルム、繊維、その他成形品等に補強効
果、耐汚染性、表面堅さ、親水性等の改良をもたらし、
重合前のモノマーにこのゾルを加えてから重合させるこ
とにより得られた樹脂組成物の場合にも同様の改良を達
成できる。
本発明の結合剤に用いられる細長い形状のコロイダル
シリカからなるゾルを結合剤として用いた例においても
既に言及されたように、このゾルを含有する組成物は、
従来の球状シリカゾルを含有する組成物に比べ、増粘乃
至ゲル化する性質が強く、このゾルは結合剤以外の用途
にもこの性質を利用して用いることができる。例えば、
コロイダル電池の電解液の希硫酸には従来から球状のシ
リカゾルが添加され、生じたゲルによって電池が横転し
ても電池から電解液が流出することが防止されている。
この電池に添加される球状のシリカゾルの代りに上記細
長い形状のシリカゾルを用いると、その高い増粘乃至ゲ
ル化性能によって更に改良することができ、或いは添加
すべきシリカゾルの使用量を半減させることができる。
更に、酸類、例えば、りん酸、蓚酸、酪酸、クロム酸等
を増粘乃至ゲル化させ、ペースト状或いは可塑状で使用
する用途に従来から球状のシリカゾルが用いられていた
が、これを上記細長い形状のシリカゾルに代替すること
により改良を達成することができ或いはシリカゾルの使
用量を半減させることができる。更に別の例として、軟
弱地盤或いは土壌の強化のために、これら地盤或いは土
壌に注入される薬剤、所謂グラウト剤のゲル形成成分と
して上記細長い形状のシリカゾルを用いると、従来から
この用途に用いられている球状のシリカゾルに比べ結合
力、耐流水性、強度等の改良を達成することができる。
上記細長い形状のシリカゾルは、上記用途の他に従来
の球状のシリカゾルが用いられる用途においても、この
球状のシリカゾルの代りに用いると様々の改良をもたら
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 19/38 D06M 11/12 (72)発明者 田崎 桂子 千葉県船橋市坪井町722番地1 日産化 学工業株式会社中央研究所内 審査官 雨宮 弘治

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】5〜20ミリミクロンの範囲内のほぼ一様な
    太さで一平面内のみの伸長を有し、かつ動的光散乱法に
    よる粒子径が40〜300ミリミクロンである細長い形状の
    シリカ粒子からなる安定なゾルを含有する結合剤。
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