JP2672585B2 - Bcg菌由来のmpb57蛋白及びその製造法 - Google Patents

Bcg菌由来のmpb57蛋白及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は組換えDNA法により生産したBCG菌由来のMPB5
7蛋白(カラム操作で得られたBCG菌の57番目のミコバク
テリアル プロテインのことをMPB57蛋白と略する)、B
CG菌由来のMPB57蛋白をコードする遺伝子、及びBCG菌由
来のMPB57蛋白をコードする遺伝子を含有するプラスミ
ドにより形質転換された形質転換体を培養して、目的と
するBCG菌由来のMPB57蛋白を生産する製造法に関する。
<従来技術> 臨床医が胸部写真と病状から結核症と疑われる場合で
も、一般に患者の痰から鏡検で結核菌を見出すことが困
難な場合が多い。このような場合には菌の培養を行なっ
て菌を検出するが、この培養に約3週間かかる。また、
肺結核と肺ガンの症状の類似性から肺ガンを肺結核と誤
診して抗結核薬を試験投与するうちに肺ガンが進行して
手遅れになるケースが増えている。そこで、本発明者等
は、BCG菌や結核菌に存在する蛋白MPB57に着目し、MPB5
7を遺伝子工学的手法により純粋な形で大量に取得すべ
き研究を開始した。何故ならば、このMPB57を利用する
抗原抗体反応(ELISA法)を駆使する診断薬を開発でき
たならば極めて正確かつ迅速に肺ガンと結核、を見分け
ることができるからである。
しかし、現実的には、結核菌及びBCG菌が分泌する蛋
白は約300種にのぼり、この中から結核菌及びBCG菌由来
のMPB57蛋白を純粋にとり出すためには、電気泳動や数
種類の複雑なカラム操作が必要である。
従って菌の培養でMPB57蛋白を大量にしかも純粋な形
で得ることは極めて難しい。
このことより、遺伝子工学的手法により、結核菌及び
BCG菌が分泌するMPB57蛋白を純粋な形で大量に提供する
ことが望まれている。
<本発明が解決すべき課題> 本発明の課題は、BCG菌由来のMPB57蛋白をコードする
遺伝子、該遺伝子を含有する組換えDNAにより形質転換
された形質転換体を用いるBCG菌由来のMPB57蛋白の製造
法、及び組換えDNA法で生産されたBCG菌由来のMPB57蛋
白の提供である。
<課題を解決するための手段> 本発明者等は、上記課題を解決する為に、まず、MPB5
7蛋白のN末端アミノ酸配列を調べた。その結果、1984
年にP.Mindonらが報告しているBCG菌由来のBCG−a蛋白
のN末端アミノ酸配列20コと1個の相違で一致してい
た。
(INFECTION AND IMMUNITY 1984Vol46No.2519〜525) しかしながら、その後、彼らがその遺伝子の単離、お
よびその遺伝子の発現に成功したという報告はされてい
ない。そこで決定したMPB57のN末端アミノ酸配列に対
応する化学合成オリゴヌクレオチドプローブを作成し、
これを基に、MPB57蛋白を分泌するBCG菌からMPB57蛋白
をコードする遺伝子を単離し、その塩基配列を決定し、
次に該遺伝子を適当な発現ベクターに組み込むことによ
り、大腸菌で、該MPB57蛋白を大量に製造することがで
き、本発明を完成に至らしめた。
以下に本発明を、 (1) BCG菌染色体DNAの調製 (2) MPB57蛋白をコードする遺伝子のクローニング (3) MPB57をコードする遺伝子の形質発現に分けて
説明する。
(1) BCG菌染色体DNAの調製 BCG菌の染色体DNAは、鈴木らの方法(J.Bacteriol.16
9(2)839(1987))により調製できる。抽出したDNA
は、塩化セシウム−エチジウムプロミド密度勾配遠心分
離法により精製する。
(2) MPB57蛋白をコードする遺伝子のクローニング 上記(1)で得た染色体DNAの種々の制限酵素による
消化物をアガロースゲル電気泳動による分画し、次に、
サザンらの方法〔J.Mol.Biol.98,503(1975)〕によりD
NA断片を結合したフィルター(ニトロセルロース又はナ
イロンメンブラン)を調製する。
ついで、このフィルターに対し、5′リン酸基を32P
で標識した合成オリゴヌクレオチドプローブをハイブリ
ダイゼーション〔メソッド イン エンザイモロジー6
8,419(1975)〕させることにより、MPB57遺伝子を含む
DNA断片を検出することができる。このDNA断片をアガロ
ースゲル電気泳動により分画した後回収バッファー(50
%グリセール泳動バッファー)で溶出することにより、
目的DNAバンドを回収する。
次に、このDNA断片をプラスミドpUC18に導入し、ハナ
ハンの方法(J.Mol.Biol.,166,557(1983)〕に準じて
宿主細胞(例えばE.coli JM109株など)に導入して形質
転換され選択(E.coli JM109株であれば、アンピシリン
耐性でβ−ガラクトシダーゼ活性非保有株を選択)する
ことによりDNAライブラリーを作製する。
このDNAライブラリーについて、前述の32P標識オリゴ
ヌクレオチドプローブを用いたコロニーハイブリダイゼ
ーションテスト(メソッド イン エンザイモノジー68
379 (1979))を行ない、目的のクローンをスクリ
ーニングする。
かくして得たクローンからクローン化DNA断片を調製
し、メッシング等の方法〔N.A.R.,,309(1981)〕に
よって塩基配列を解析し、MPB57蛋白のアミノ末端部分
のアミノ酸配列をコードする塩基配列を求め、最終的に
MPB57蛋白の金翻訳領域に対応する塩基配列を含むクロ
ーン化DNAを得ることができる。
(3) MPB57蛋白をコードする遺伝子の形質発現上記
(2)で得たMPB57蛋白をコードする遺伝子を用いてMPB
57蛋白を生産するにはまず、クローン化DNAの実質的な
配列を形質発現ベクターに組み込むことにより、MPB57
蛋白生産用の組み換えDNAを作製する。ついで、この組
み換えDNAを適当な宿主細胞に導入して形質転換する。
このようにして得られた形質転換株を培地中で培養す
ることにより、目的とするMPB57蛋白を得ることができ
る。
本発明において、クローン化したMPB57蛋白の遺伝子
を形質発現させる際には、広範囲の原核生物もしくは、
真核生物の宿主細胞と形質発現ベクターの組み合わせを
採用することができる。
宿主細胞として原核生物を用いる場合には、特に制限
はないが例えば大腸菌K12株(尚、以下、大腸菌をE.col
iと表わす)に属するE.coli X1776株、E.coli JM103株
(N.A.R.,309(1981)E.coli JM109株が好ましい。ま
た、この他、枯草菌をも用いることができる。また真核
生物を用いる場合にも特に制限はないが、例えば、サッ
カロマイセス セレビシェ等が好ましい。
また、形質発現用ベクターとしては、上記宿主細胞に
適合し得るレプリコンと調節機能を含むベクター及び該
宿主細胞がそれ自身の蛋白質発現するのに必要なプロモ
ーターを含有するか、もしくは含有するように改良され
たものが好ましい。
これらの各組み合わせの具体例を示すと以下の通りで
ある。
・宿主細胞がE.coliの場合: プラスミドとしてpBR322〔Gene,,95(1977)〕、プ
ロモーターとしてラクトース(lae)プロモーター〔Nat
ure,281,544(1979)〕、トリプトファン(trp)プロモ
ーター〔N.A.R.,4507(1980)〕およびタック(tac)
プロモーター〔Pro.N.A.S.,78,21(1983)〕などを有す
るものがあげられる。
形質発現用ベクターとしては、pBR322に前記プロモー
ターを含有するpUC18などのpucベクター〔メソッド イ
ン エンザイモロジー101,20(1983)〕あるいはpKK233
−2(スウェーデン、ファルマシア社製)などがあげら
れる。
・宿主細胞がサッカロマイセス セレビシェの場合: プラスミドとしてYRp7(Nature,282,39(1979))
が、またプロモーターとしてグリセルアルデヒド−3−
ホスフェート デヒドロゲナーゼプロモーター〔J.B.
C.,254,9839(1979)〕や、α−ファクタープロモータ
ーなどがあげられる。
本発明においては宿主細胞として、原核生物細胞を用
いても真核生物を用いてもよいが、より好ましくは、原
核生物を用いる方が良い。
かくして得られるMPB57蛋白生産用の組み換えDNAを含
有する宿主細胞(形質転換体)の培養は、液体培地中、
好気的に行なえばよい。培地としては、例えばポリペプ
トン、酵母抽出物、食塩、グルコースなどを含有する通
常の栄養培地の他、M9最小培地などを用いることができ
る。培養は、約30〜40℃で行なうのが好ましい。
また培養に際し用いたプロモーターに応じて適当な誘
導剤、例えばlaeプロモーターの場合であれば、イソプ
ロピル−β−D−チオガラクトシドを培地中に添加する
ことにより、形質転換体の培養をより効率的に行うこと
ができる。
尚、本発明においては以下の略号を使用する。
A:アデニン C:シトシン G:グアニン T:チミン dCTP:デオキシシチジン三リン酸 EDTA:エチレンジアミン四酢酸 kb:キロ塩基 kbp:キロ塩基対 DEAE:ジエチルアミノエチル SDS:ドデシル硫酸ナトリウム SSC:0.15M塩化ナトリウム 0.015Mクエン酸ナトリウム(pH7.0)緩衝液 IPTG:イソプロピル−β−D−チオガラクトシド X−gal:5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β
−D−ガラクトピラノシド 以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。
<実施例1> (1) BCG菌染色体DNAの調製 Mycobacterium bovis BCG Tokyo株をソートン培地
(組成:アスパラギン0.4%、クエン酸0.2%、クエン酸
ナトリウム0.28%、リン酸カリウム0.05%、硫酸マグネ
シウム0.05%、クエン酸第1鉄アンモニウム0.005%、
グリセリン6%)1中、37℃で培養し、対数増殖期に
達した時点で遠心分離により集菌した。菌体を10mMトリ
ス−塩基(pH8.0)1mM EDTAバッファー5mlに懸濁し、リ
ゾチーム5mgを加えて、37℃15分間インキュベートした
のち、10%SDS水溶液0.5mlを加えた。フェノール:クロ
ロホルム:イソアミルアルコール=25:24:1の混合液6ml
で3回抽出したのち、水層をとって、エタノール10mlを
加え、沈澱するDNAをガラス棒にまきとった。このDNAを
10mMトリス−塩酸(pH8.0)1mM EDTAバッファー6.6mlに
溶解し、塩化セシウム7g、エチヂウムプロミド水溶液
(5mg/ml)0.7mlを加えて溶解した。
該溶液を遠心チューブ(米国ベックマン社製クイック
シールチューブ)中に入れ、60000rpm.6時間遠心して、
染色体DNAのバンド遠心チューブ上方より採取した。こ
のDNA溶液を10mMトリス−塩酸(pH8.0)1mM EDTAバッフ
ァーに対して透析することにより脱塩して精製BCG染色
体DNAを得た。
(2) 合成オリゴヌクレオチドプローブの調製 今回、決定したBCG菌由来のMPB57蛋白のN末端より20
個のアミノ酸配列、即ち1 Ala Lys Val Aan Ile Lys Pro Leu Glu Asp10 Lys Iie
Leu Val Gln Ala Asn Glu Ala Glu20 に対する3種類の合成オリゴヌクレオチドプローブを調
製した。つまり、下記のプローブI,II及びIIIである。
プローブI(14Val−20Gluに対応): プローブII(9Giu−17Asnに対応): プローブIII(2Lys−19Alaに対応): 具体的に合成操作を以下に示した。まず、自動DNA合
成装置(米国、アプライド バイオシステムズ社、380A
型)で目的とするDNAプローブを合成したのち、ジメト
キシトリチル基以外の保護基を除去し、逆相中圧カラム
クロマトグラフィー(条件:C18−シリカゲルカラムを用
い、移動相として100mMトリエチルアミンアセテートバ
ッファー(pH7.0)中、アセトニトリルからなる濃度勾
配液を用いる)で精製した。
ついで80%酢酸を用いてジメトキシトリチル基を除去
した後、逆相HPLC(条件:YMC PACK AM−314ODSカラムを
用い、移動相として100mMトリエチルアミンアセテート
バッファー(pH7.0)中アセトニトリルからなる濃度勾
配液を用いる)で精製し、凍結乾燥した。
かくして、得られた3種類のオリゴヌクレオチドプロ
ーブを0.002OD/μの濃度になるように10mMトリス塩酸
(pH8.0)1mM EDTAバッファーに溶解した。このオリゴ
ヌクレオチド溶液100pmolとキナーゼ反応バッファー〔5
0mMトリス−塩酸バッファー(pH7.5)、10mM塩化マグネ
シウム、10mMジチオスレイトール、0.66μM ATP、100μ
Ci〔γ−32P〕ATP(比活性3000Ci/mmol)、15単位ポリ
ヌクレオチドキナーゼ〕の総量50μで37℃1時間反応
させた。この反応液をフェノール抽出し、クロロホルム
で洗浄後、NEN SORETM20DNA精製用カートリッヂを通
し、未反応の32Pや共存蛋白質、塩を取り除き、50%メ
タノール溶液としてラベル化ヌクレオチドプローブを回
収した。次に溶媒を留去した後32Pのcountを測定し、10
5cpm/μ以上の濃度になるように10mMトリス−塩酸(p
H8.0)1mM EDTAバッファーに溶解した。
(3) サザンハイブリダイゼーション MPB57蛋白の遺伝子を持つ染色体DNA断片を検出、分画
するため、サザンハイブリダイゼーションテストをSout
hernらの方法(J.Mol.Biol98 503(1975))に従って行
なった。すなわち、(1)で得た染色体DNA約3μgを
制限酵素BamH I,Kpn I,Pst Iで完全消化し、0.8%アガ
ロースゲル電気泳動にて分画したのち、このアガロース
ゲルを1.5M塩化ナトリウム0.5M水酸化ナトリウム水溶液
中で、40分間振とうした。
次に、このゲルを3M塩化ナトリウム、0.5トリス−塩
酸バッファー(pH7.0)中で、1時間振とうした。最後
に20倍濃度のSSC(3M塩化ナトリウム0.3Mクエン酸ナト
リウムバッファー(pH7.0)中で30分間振とうする。こ
のゲルに、20倍濃度のSSC溶液にひたしたナイロンメン
ブランフィルター(米国、NEN社製Gene Screen Plus)
をのせ、DNAを吸着させた。このフィルターを2倍濃度
のSSCで洗浄したのち、室温で30分間、37℃で18時間乾
燥することによりDNA結合フィルターを調製した。
このフィルターをハイブリダイゼーション溶液〔5倍
濃度Denhardt(0.1%フィコール,0.1%ポリビニルピロ
リドン,0.1%ウシ血清アルブミン)、5倍濃度SSC,0.1S
DS溶液〕に浸し、65℃で6時間静置した。次に上記ハイ
ブリダイゼーション溶液5mlに前記(2)の32P標識プロ
ーブ40μに加え、55℃で18時間静置した。次にフィル
ターを2倍濃度のSSC0.1%SDS中55℃20分間洗浄した。
この操作を3回繰り返し行なった後風乾し、オートラジ
オグラフィーを行ないMPB57蛋白の遺伝子を含むDNA断片
を検出した(第1図)。
第1図の結果より分かるようにプローブI,II及びIII
のいずれにも反応したのは約9000bpにバンドを示したDN
A断片だけであった。
(4) DNAライブラリーの作成 Pat I DNA断片の調製 (3)によって検出できた約9000bpの制限酵素Pat I
消化DNA断片をクローン化するためBCG染色体DNA20μg
を制限酵素Pat Iで完全消化した後、0.8%アガロースゲ
ル電気泳動により分画した。目的とする9000bpのバンド
の下流に溝を作り、回収バッファ(50%グリセロース,4
0mMトリス,20mM酢酸ナトリウム,2mM EDTA18mM NaCl)を
加え、DNAを泳動させ回収した。この溶液に2倍量のエ
タノール、0.05倍量の5M NaClを加え、DNAを沈澱させ
た。この沈澱を減圧乾燥後10mMトリス−塩酸(pH8.0)1
mM EDTAバッファーに溶解してPat I DNA断片溶液とし
た。
クローニングベクターpUC18の処理 10mMトリス塩酸バッファー(pH7.5)、10mM塩化マグ
ネシウム、1mMジチオスレイトール、4μgベクターpUC
18(宝酒造製)、20単位制限酵素Pat Iの混合物を37℃
で2時間反応させた後、フェノール、クロロホルムでそ
れぞれ1回ずつ抽出したのち、エタノール沈澱させた。
この沈澱を減圧乾燥したのち、50mMトリス塩酸バッファ
ー(pH8.4)194μに溶解し、1.5単位アルカリホスフ
ァターゼ(E.coli C75)を加えて、65℃で1時間反応さ
せた。さらに、1.5単位のアルカリホスファターゼを加
えて、65℃で1時間反応させた後、フェノール、クロロ
ホルムでそれぞれ2回ずつ抽出し、水層にエタノールを
加えて、DNAを沈澱させた。この沈澱を10mMトリス塩酸
バッファー(pH8.0)1mM EDTA20μに溶解し、約2.7kb
pのベクターDNA溶液を調製した。
組み換えDNAおよびDNAライブラリーの作成 (4)−で調製したPat I DNA断片溶液4μ(0.1
μg)、(4)−で調製したベクターDNA溶液1μ
(0.1μg)とDNAライゲーションキット(宝酒造製)の
A溶液30μ、B溶液5μの混合物を16℃で30分間反
応させた後、反応混合物16μをE.coli JM109株コンピ
テントセル(宝酒造製)100μに加え、0℃で60分間
静置した。この後、更に42℃で90秒間、次いで0℃で5
分間静置した。
この混合物にバクトトリプトン1%、酵母抽出液0.5
%、塩化ナトリウム0.5%、グリコース0.1%、からなる
L−ブロス培地300μを加えて37℃で30分間静置し
た。次に5000rpm5分間遠心し、上清を半分量捨てた後再
懸濁し、アンピシリン50μg/ml、0.1mM IPTG、0.004%
X−galを含むL−寒天培置(L−brothに1.3%寒天を
加える)に塗布し、37℃で約16時間培養し、アンピシリ
ン耐性、β−ガラクトシダーゼ活性非保持菌のクローン
を得て、形質転換株からなるDNAライブラリーを作成し
た。
(5) MPB57蛋白の遺伝子を有するクローンの選択
(コロニーハイブリダイゼーションテスト) 上記(4)−のBCG DNAライブラリーについてMPB57
遺伝子を含む形質転換株を選択するため、上記(2)で
調製した32P標識オリゴヌクレオチドプローブを用いる
コロニーハイブリダイゼーションテストを行なった。即
ち、ニトロセルロースメンブレンフィルター(ミリポア
社製HAフィルター)上で、上記(4)−で調製したDN
Aライブラリーの形質転換株を培養し常法に従ってフィ
ルターをアルカリ処理後、1Mトリス−塩酸バッファー
(pH7.5)による中和を行い、そして1Mトリス塩酸バッ
ファー(pH7.5)1.5M塩化ナトリウムで処理した。次に
2培濃度のSSCバッファーに浸した後、室温で風乾した
後、80℃で3時間ベイキングし、DNA結合フィルターを
調製した。
このフィルターを上記(3)のサザンハイブリダイゼ
ーションと同様の操作を行ない、プローブI,プローブI
I,プローブIIIに強く結合する塩基配列を含む組み換えD
NA分子を有する形質転換株を選択することにより、約30
0個のコロニーから1個のコロニーを得た。
この形質転換株からプラスミドDNAを抽出精製した後
制限酵素Xho I及びBamH Iでそれぞれ別々に消化し
(3)と同様の操作により、サザンハイブリダイゼーシ
ョンを行なった。この結果、1.0kbのXho I切断フラグメ
ント、及び0.6kbのBamH I切断フラグメントいずれにも
結合した。そこで、両方のフラグメントをクローン化し
た。
即ち、上記で得た形質転換株のプラスミドDNAを制限
酵素Xho I及びBamH Iでそれぞれ別々に切断後、ベクタ
ーpUC18の制限酵素Sal I(Xho Iと同じ切断末端となる
サイト)及びBamH I切断物と各々ライゲーションし、宿
主E.coli JM109を形質転換した後、再度コロニーハイブ
リダイゼーションを行ない前述したプローブI,II及びII
Iのいずれにも結合するクローンを取得した。
(6) クローン化DNAの塩基配列の決定 (5)で得られたクローンからプラスミドを調製し、
このDNAをメッシングらの方法(Gene,33 103(1985),P
ro.N.A.S.,74,5463(1967))により1.0kb Xho I切断フ
ラグメント及び0.6kb BamH I切断フラグメントの塩基配
列を決定した。
このようにして決定したBCG菌由来のMPB57蛋白をコー
ドする遺伝子の塩基配列を第2図に示した。
尚、1.0kb Xho I切断フラグメントは第2図に示す246
番目〜252番目のXho Iサイトから下流の約1.0kbの塩基
を含むフラグメントであり、0.6kb BamH I切断フラグメ
ントとは第2図に示す395〜400番目のBamH Iサイトから
上流の約0.6kbの塩基を有するフラグメントである。
この両方のフラグメントの塩基配列を総合勘案して第
2図に示すような塩基配列を決定した。
この決定した塩基配列と既に知られているMPB57蛋白
のN末端付近のアミノ酸配列を比較することにより、第
2図の226〜228番目GCGがMPB57蛋白のN末端アミノ酸Al
aに対応し、523〜525番目のTAGが終止コドンに該当する
と判断した。
従って、BCG菌由来のMPB57蛋白をコードする遺伝子、
即ちMPB57蛋白の構造遺伝子は第2図の226〜522番に該
当することを見い出した(図中の下線部分)。
MPB57蛋白をコードする塩基配列から翻訳されるアミ
ノ酸残基数は99個であり、その計算分子量は、10.818で
そのアミノ酸配列を第3図に示した。
<実施例2> 形質発現ベクターpKK233−2(スウェーデン,ファル
マシア社製)と化学合成オリゴヌクレオチドを用いて、
MPB57蛋白の遺伝子を連結させ、MPB57蛋白を生産した。
このMPB57蛋白の生産の詳細は以下に示した。
(1) MPB57蛋白の遺伝子を含むフラグメントの調製 これについては実施例1−(5)で得られた1.0kb Xh
o Iフラグメントを用いた。
(2) 化学合成オリゴヌクレオチドの調製 の2種をそれぞれ<実施例1>−(2)と同様に合成、
精製した。
このリンカー(上),(下)各々を100pmolずつと
り、ATP存在下、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(E.coli
A19)(宝酒造製)2unitsを加え、37℃30分間の条件で
反応させた。
反応終了後、フェノール処理、クロロホルム処理を行
った後に65℃、5分間加熱した。
加熱後、徐冷することにより、目的のする下記のよう
なリンカーを得た。
このようにして調製されたリンカーは、前述<実施例
2>の(1)のXho IフラグメントのMPB57蛋白の遺伝子
の不足部分、即ち、226番目〜247番目の塩基配列(第2
図参考)を補うばかりではなく、pKK233−2のNco Iサ
イトにも連結する構造をも有していた。
(3) 形質発現ベクターpKK233−2の処理 ベクターpKK233−22μgを10mM Tris−HClpH8.5,7mM
MgCl2,80mM NaCl中において制限酵素Nco I(12unita)
で37℃2時間処理した。
次に、アルカリホスファターゼ(E.coli A19)(宝酒
造製)3ユニットを加え、65℃で1時間、さらにアルカ
リホスファターゼ3ユニットを追加し、65℃で1時間反
応させた。
この後、フェノール処理、クロロホルム処理、エタノ
ール沈澱、更には80%エタノール水で洗浄した後乾燥さ
せることにより目的とするNco I切断、pKK233−2を調
製した。
(4) 発現ベクターpKKM57の構築 <実施例2>の(3)で得たベクターpKK233−2(Nc
o I切断)0.1μg,<実施例2>の(1)で得たXho Iフ
ラグメント0.12μg,<実施例2>の(2)で得たリンカ
ー3.3pmolおよびDNAライゲーションキット(宝酒造製)
のA溶液24μ,B溶液4μの混合物を16℃で30分間反
応させた。即ち、この操作によりMPB57蛋白の構造遺伝
子含有する発現ベクターpKKM57を構築した(第4図)。
さて、次に、この反応混合物16μをE.coli JM109株
コンピテントセル(宝酒造製)100μに加え、60分間
静置、更に、42℃で90秒間、次いで0℃で5分間静置す
ることにより形質転換させた。
この反応溶液をL−ブロス培置300μを加え、37℃
で30分間静置した。
次に5000rpm5分間遠心し、上清を半分量捨てた後再懸
濁し、アンピシリン50μg/ml,を含むL−寒天培地(L
−brothに1.3%寒天を加える)に塗布し、37℃で約16時
間培養し、アンピシリン耐性,のクローンを得た。
即ち、このようにして発現ベクターpKKM57を含むクロ
ーンを得た。
(5) 大腸菌によるMPB57の蛋白の生産 発現ベクターpKKM57を含むE.coli JM109株(E.coli A
J12407,FERM P−10151)及びコントロールとしてpKK233
−2を含むE.coli JM109株を2倍濃度のYT倍地(トリプ
トン16g/,抽出物イーストイクストラクト10g/,NaC
l5g/)10ml(アンピシリン50μg/ml含有)中で37℃で
5時間培養した後、IPTGを200μg/mlになるように添加
し、さらに15時間培養した。この培養液を遠心(12,000
rpm10分間)し、集菌した後、この菌体を1mlの滅菌水中
に懸濁し、超音波処理を行なった。そして再度、集菌
し、上清に2倍濃度の試料緩衝液を等量加え、100℃3
分間煮沸し、菌体抽出液とした。2種の菌体抽出液およ
び標準のMPB57蛋白をSDS−ポリアクリルアミド電気泳動
をした後、ニトロセルロースフィルターに蛋白を移し、
抗MPB57蛋白ポリクローナル抗体との反応を調べた(第
5図)。
第5図に示したように、標準サンプルと全く同じ位置
に生じるバンドはpKKM57ベクターを含む大腸菌(FERM P
−10151)の菌体抽出液にのみにしか見られなかったこ
とより、大腸菌内でMPB57蛋白の遺伝子が発現され、MPB
57蛋白が生産されていたことが確認できた。
<効果> 本発明により提供されるBCG菌由来のMPB57蛋白は、抗
原抗体反応(ELISA法)による結核の診断薬として使用
できる。
また、本発明により提供されるBCG菌のMPB57蛋白をコ
ードする遺伝子及びそれを用いた遺伝子工学的手法によ
るBCG菌由来のMPB57蛋白の製造法は結核の診断薬として
有用なMPB57蛋白を大量かつ純粋に提供する為に重要で
ある。
更に本発明により提供されるMPB57蛋白をコードするD
NA配列から好ましい配列を選び、ピオチン又はラジオア
イソトープで標識したDNAプローブを調製すれば、これ
による結核の診断も可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、BCG菌染色体DNAの制限酵素BamH I,Kpn I及び
Pat Iによる消化物に対するプローブI,II,IIIのサザン
ハイブリダイゼーションを示す図であり、矢印で示した
9kb Pat I断片をクローニングした。 第2図は、MPB57蛋白をコードするDNAの塩基配列を示
す。 第3図は、MPB57蛋白のアミノ酸配列を示す。 第4図は、発現ベクター・pKKM57の構築を示す図であ
る。 第5図は、pKK233−2を含む大腸菌JM109とpKKM57を含
む大腸菌JM109の菌体抽出液をウェスタンブロット法で
分析した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 平田 和男 (56)参考文献 Infect.Immun.46[2 ] (1984) P.519−525

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記のアミノ酸配列(I)を有するミコバ
    クテリウム ボビスBCG(Mycobacterium bovis BCG,以
    下BCG菌と称する)由来のMPB57蛋白をコードする遺伝
    子。 アミノ酸配列(I):
  2. 【請求項2】遺伝子が下記の塩基配列(a)で示される
    ものである請求項(1)記載の遺伝子。 塩基配列(a):
  3. 【請求項3】請求項(1)記載の遺伝子が組み込まれた
    プラスミドにより形質転換された形質転換体を培地中で
    培養し、生産されたMPB57蛋白を採取することを特徴と
    するBCG菌由来のMPB57蛋白の製造法。
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