JP2665320B2 - 熱交換用循環水系微生物防除剤及び熱交換用循環水系微生物防除方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、各種工場やビル等の温
度調整設備等における熱交換用循環水系内に藻類や細菌
類などの微生物が発生することを防止し、スライムの形
成を抑制するための熱交換用循環水系微生物防除剤及び
熱交換用循環水系微生物防除方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、製紙パルプ工場の抄紙工程、工業
用冷却水循環工程などの循環水系内には、藻類、細菌類
その他の微生物が繁殖しやすく、種々の障害を引き起こ
すことが知られている。特に循環使用されている用水系
でスライムが発生すると、配管内の流れを阻害し、冷却
効率を低下させるなどの経済的な損失につながることが
知られている。

【０００３】そのために用水系におけるスライムを形成
する有害微生物の防除剤として、従来から種々の化合物
が提案され使用されてきている。こうした微生物防除剤
の中で、四級アンモニウム化合物は泡立ちが激しいと云
う欠点があり、またイソチアゾロン類の化合物も有効で
はあるが、毒性、皮膚刺激性、粘膜刺激性が強く、取り
扱いにくい。

【０００４】一方、これらの刺激性が少ないｏ−フタル
アルデヒドが微生物を防除する効果を有することは、特
開昭６３−３１３７０５号公報及び特開平６−２３３６
８号公報で公知である。しかし、このものは低濃度（１
０mg／ l程度）となるとその微生物防除性が極端に低下
するという欠点があった。同様に、２−ブロモ−２−ニ
トロプロパン−１，３ジオールの微生物防除性は特公昭
５８−４６８２号公報で知られているが、この微生物防
除性も、低濃度では不充分なものであり、工業用水等の
分野へ応用する場合に不利であった。また、この２−ブ
ロモ−２−ニトロプロパン−１，３ジオールに類似する
化合物であり、特開平２−１３４３０２号公報によって
微生物防除剤として知られている２，２−ジブロモ−２
−ニトロエタノールの防除性能も、低濃度では同様に極
端に低下するものであった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、特に循
環水系等に発生する藻類や細菌類等の微生物の防除に適
した薬剤について研究を進めていたところ、上記公知の
化合物のうち特定の化合物を組み合わせて使用すると際
立った相乗作用が見られ、低濃度でも効果的な微生物防
除効果を得ることができることを見出した。本発明は斯
かる新しい事実に基づいてなされたもので、低濃度で高
い効果を示し、低毒性で発泡性がなく、更に取り扱いが
容易な熱交換用循環水系微生物防除剤及び斯かる熱交換
用循環水系微生物防除剤を用いる熱交換用循環水系微生
物防除方法を提供することを目的としたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成すること
ができる本発明の熱交換用循環水系微生物防除剤は、ｏ
−フタルアルデヒド（以下「Ａ成分」と云う。）と２−
ブロモ−２−ニトロプロパン−１，３ジオール（以下
「Ｂ成分」と云う。）とを有効成分として含有するもの
である。

【０００７】また、本発明の熱交換用循環水系微生物防
除方法は、ｏ−フタルアルデヒドと２−ブロモ−２−ニ
トロプロパン−１，３ジオールとを、微生物防除対象の
熱交換用循環水系に添加するものである。

【０００８】本発明の熱交換用循環水系微生物防除剤に
おけるＡ成分とＢ成分との混合比は、１：１０〜１０：
１の間であることが好ましい。特に１：１〜１：４の範
囲であると防除性能の相乗効果が高いのでより好まし
い。

【０００９】

【作用】本発明の熱交換用循環水系微生物防除剤は、特
定成分の組合せによる相乗作用のために、低い添加量で
も効果的な微生物防除作用を発揮し、かつ、各種刺激性
が低い。

【００１０】

【実施例】循環冷却水系の冷却塔から採取した微生物性
スライムを、肉エキス１０ｇ、ポリペプトン１０ｇ、塩
化ナトリウム２ｇを水１ ｌに溶解した肉エキスブイヨ
ン培地を用いて、２４時間、前培養しておき、これを１
ｍｌ中の細菌数が１．５×１０^６になるように滅菌水に
接種したものを用意した。次いでこれに薬剤主成分とし
て、ｏ−フタルアルデヒドを用い、また、併用成分とし
て、２−ブロモ−２−ニトロプロパン−１，３ジオール
を用いて、表１に示すような重量比率で添加し、３０℃
で振盪培養を行った（実施例１〜実施例３）。

【００１１】比較例として、Ａ成分及びＢ成分のそれぞ
れ単独の薬剤添加系について同様に培養実験を行った
（比較例１〜比較例６）。また、同時に、他の系とし
て、Ｂ成分に類似の化合物であり、かつ、微生物防除剤
である２，２−ジブロモ−２−ニトロエタノール（以下
「Ｃ成分」と云う。）について、その単独添加系（比較
例７〜比較例９）及び、ｏ−フタルアルデヒド（Ａ成
分）と表１に示すような重量比率で混合して添加した系
（比較例１０及び比較例１１）についても同様に培養実
験を行った。なお、参照として、薬剤を添加しない系に
ついても同じく培養実験を行った（比較例１２）。これ
ら各試料について、その培養開始１時間後及び２４時間
後の１ｍｌ中の細菌数をＪＩＳ・Ｋ０１０１−６３．２
に記載の測定方法に従って調査した。結果を表１に示
す。

【００１２】

【表１】

【００１３】表１において、 （１）Ａ成分及びＢ成分混合添加系は、Ａ成分単独添加
系及びＢ成分単独添加系に比較して、その微生物防除性
は極めて高く、このＡ成分及びＢ成分の両者の混合によ
って相乗効果が発現する。 （２）Ｃ成分は、単独で濃度が高くなるとある程度の微
生物防除性を発揮する。しかし、Ａ成分と混合しても、
相乗効果は認められない。ことが判る。

【００１４】

【発明の効果】以上のように、本発明の熱交換用循環水
系微生物防除剤は、低濃度で充分な微生物防除効果を発
揮し、低刺激性でかつ発泡性もなく、安全に使用できる
特徴を有する。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ｏ−フタルアルデヒドと２−ブロモ−２
   −ニトロプロパン−１，３ジオールとを有効成分として
   含有することを特徴とする熱交換用循環水系微生物防除
   剤。
2. 【請求項２】 ｏ−フタルアルデヒドと２−ブロモ−２
   −ニトロプロパン−１，３ジオールとを、微生物防除対
   象の熱交換用循環水系に添加することを特徴とする熱交
   換用循環水系微生物防除方法。