JP2662908B2 - 酸化物超伝導装置の作製方法 - Google Patents

酸化物超伝導装置の作製方法

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JP2662908B2
JP2662908B2 JP3176023A JP17602391A JP2662908B2 JP 2662908 B2 JP2662908 B2 JP 2662908B2 JP 3176023 A JP3176023 A JP 3176023A JP 17602391 A JP17602391 A JP 17602391A JP 2662908 B2 JP2662908 B2 JP 2662908B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酸化物超伝導装置の作製
方法に関する。その中でも特にジョセフソン接合ないし
近接効果を利用した超伝導性を利用した電子装置の作製
方法に関する。
【0002】より具体的には、本発明は高歩留りで、生
産性の高い薄膜型の超伝導電界効果型トランジスタ(以
下STFTと記す)の作製方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】従来、超電導材料はNb-Ge(例えばNb3Ge)
の金属材料が用いられている。これらの材料において
は、コヒーレント長が比較的長い為、超電導材料の間に
絶縁物を挟んだジョセフソン素子等の作製も比較的容易
であり、また近接効果を用いたトランジスターの様な素
子も実際に作製可能であった。また従来の金属を用いた
超電導材料の場合には、構造として異方性がないために
配向性等を考えることなく電子装置の作製が可能である
という利点も確かにあった。
【0004】しかし、これらの金属材料を用いた超電導
材料はTc( 超電導臨界温度を以下単にTcという) が小さ
く23K またはそれ以下しかない。これに対し、工業上の
応用を考えるならば、このTcが液体窒素温度(77K )以
上であるとさらに有効であることは言うまでもなく、そ
のため酸化物超伝導材料を用いた電子装置の確立が強く
求められていた。
【0005】にもかかわらず、今まで酸化物超伝導材料
を用いた電子装置の確立が果たされていなかった背景に
は、酸化物超伝導材料が本質的に持つコヒーレント長の
短さと、構造の異方性、及びプロセスにおける高温アニ
ールの必要性からであった。
【0006】しかしながら、最近になって複数個の酸化
物超伝導材料の間に酸化物超伝導材料のペアレントマテ
リアルのごときペロブスカイト型構造を有する非超伝導
材料を挟むと、従来の近接効果よりも酸化物超伝導材料
間が離れていても超伝導電流が流れるという現象が確認
され、長距離近接効果と呼ばれている。この現象の理由
は定かではないが、長距離近接効果を用いれば、酸化物
超伝導材料を使用したトランジスターの如き電子装置が
作製できる可能性がある。しかし、他の問題によって現
在のところ、長距離近接効果を用いた電子装置の確立に
は至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の遠距
離近接効果を用いた電子装置、中でも特に超伝導トラン
ジスターのプロセスを確立することを目的とするもので
ある。
【0008】構造としては、酸化物超伝導材料がabプレ
ーン方向にコヒーレント長が長く、単結晶の薄膜を用い
るのが望ましいことは自明であるので、必然的にc 軸配
向膜を用いたプレーナー型の構造が望ましい。しかしな
がら、この理想の構造を作製するプロセスが発見されて
いなかったため、従来はコヒーレント長が短いab軸方向
に接合した積層型や、不完全なプレーナー型の電子装置
しか得られていなかった。
【0009】また、プロセスから見ても、従来の半導体
プロセスで用いられたレジスト等は、酸化物超伝導材料
の成膜温度に耐えられず、そのためレーザー等を用い
た、サブミクロンを加工するためには決して適している
とはいえない方法に頼ってきた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる酸化物超
電導材料を用いた、理想的な構造を有する電子装置を作
製する手段を提供することを目的とする。ここでいう理
想的な電子装置、具体的には理想的なトランジスターと
は、酸化物超伝導材料を利用した電界効果型トランジス
タであって、ゲート電極に印加する電界によってソー
ス、ドレイン間に流れる超伝導電流を制御するために、
絶縁基板上に前記酸化物超伝導材料と概略同一のペロブ
スカイト型構造を有する非超伝導体層からなるチャネル
形成領域とゲイト電極となる導電体の層とからなる積層
を有し、前記チャネル形成領域に対して横接合となるべ
く、酸化物超伝導材料が前記基板に対してc軸配向した
膜よりなるソース、ドレイン領域を有し、全体としてコ
ヒーレント長が長いabプレーン方向にプレイナー型の
構造を有することを特徴とする超伝導トランジスタであ
る。もちろん前記超伝導トランジスタは集積化が可能な
ように薄膜トランジスターであることは言うまでもな
い。
【0011】本発明による前述の超伝導トランジスタを
作製するプロセスにおいて、絶縁基板はその種類は問わ
ないが、前記基板上に超伝導材料よりなる薄膜をエピタ
キシャルに成長させることが可能であり、かつ酸素イオ
ン導電性を有する必要がある。そのような基板材料とし
て例えばYSZ(イットリア・スタビライズド・ジルコン)
等の固体電解質がある。しかしながらYSZ 基板は、その
上に超伝導薄膜を作製した場合、熱膨張係数の適合性は
高いが格子定数の不適合性が大きい。そのため、前記YS
Z 基板上にチタン酸ストロンチウム等からなる中間層を
積層し、この様にして得られた複合基体上に超伝導薄膜
を成膜することは有効である。
【0012】また、超伝導トランジスターにおいてはソ
ース、ドレインを形成する酸化物超伝導材料もその種類
は問わないが、本発明の趣旨より液体窒素温度以上で動
作することが望ましいため、例えば(A1-X Bx)yCuzOw x
=0.1 〜1.0,y=2.0 〜4.0,z=1.0 〜4.0,w=4.0 〜
10.0を有し、構造としてペロブスカイト型構造を有し、
A はY(イットリウム),Gd( ガドリニウム),Yb( イッテル
ビウム),Eu( ユ−ロピウム),Tb( テルビウム),Dy( ジス
プロシウム),Ho (ホルミウム),Er( エルビウム),Tm( ツ
リウム),Lu( ルテチウム),Sc( スカンジウム) 及びその
他のランタノイドより選ばれた1種または複数種の元素
よりなり、B はBa( バリウム),Sr( ストロンチウム),Ca
( カルシウム) より選ばれた1種または複数種の元素を
有する酸化物超電導材料、または(A1-X Bx)yCuzOw x=
0 〜1.0,y=2.0 〜4.0,z=1.0〜4.0,w=4.0 〜10.0
を有し、構造としてペロブスカイト型構造を有し、A は
Bi(ビスマス)またはその他の5a族の元素より選ばれ
た1種または複数種の元素よりなり、B はBa( バリウ
ム),Sr( ストロンチウム),Ca( カルシウム) より選ばれ
た1種または複数種の元素を有する酸化物超電導材料等
を用いることが望ましいが他の材料でも良い。
【0013】上記の構造を有する超伝導電子装置、望ま
しくは超伝導トランジスターを可能とするためには、従
来とは全く異なったプロセスが必要である。本発明によ
って得られる全く新しいプロセスとは具体的には、最近
注目をあびているSTM (走査型トンネル電子顕微鏡)の
技術と、酸素イオン導電性を有する固体電解質からなる
基板とを組み合わせることによって得られ、酸化物超伝
導材料の有する酸素イオン導電性に似た性質を有効に組
み合わせることによって初めて得られたものである。
【0014】以下に本発明に到った経緯と本発明の構成
について示す。
【0015】まず、本発明の基盤となったのは、出願番
号H2-196868 で示される本発明人による発明である。こ
の発明は、基板上に酸化物超伝導薄膜を作製する工程に
おいて、基板に酸素イオン電導体を接触させて酸素を供
給しながら成膜することを特徴とし、また上記酸化物超
伝導薄膜への酸素供給は酸素イオン導電体に電流を流す
ことによって行なうことを特徴とする発明であった。
【0016】そして、前述の特許にも記述が有った超伝
導材料から酸素を抜く研究を更に進めた結果、超伝導材
料中の拡散速度が比較的遅い400 ℃前後においては、超
伝導薄膜の上部に設けた電極の極近傍のみが非超伝導化
され、その影響が薄膜全体に及ばない状態を見出すに到
った。そして前記非超伝導領域は、電極の形状を工夫す
ることによって非常に狭い領域に限定させることが可能
なこと、及び前記超伝導薄膜は可能な限り薄い方が、前
記非超伝導領域を狭い範囲でシャープに作製可能である
ことを発見するに到った。
【0017】その後、STM によって、単原子を操作して
文字をパターニングするという、日立等による有名な発
表があり、単原子レベルでの電子装置等の作製の可能性
が示唆された。しかしながら、このプロセスをそのまま
利用したと仮定すると、1つの電子装置を作製するの
に、荒く見積もっても数年はかかるであろう。そこで、
発明人はこのSTM の探針を、酸素イオン導電体に対する
対向電極として用いることにより、比較的短時間でジョ
セフソン接合等が作製可能であることを発明するに到っ
た。
【0018】本発明の構成は前述の様に、大きく分けて
2つの要素から構成される。
【0019】1つは基板周辺の構成であって、基板上に
酸化物超伝導薄膜を作製する工程において、酸素イオン
導電性を有する基板上(例えば固体電解質であるYSZ の
ごとき材料からなる基板)、または前記酸素イオン導電
性を有する基板上に酸素透過性を有しつつ超伝導材料と
格子定数の適合性の良い中間層(例えばチタン酸ストロ
ンチウムのごとき材料)を設けた複合基体上、または酸
素透過性を有しつつ超伝導材料と格子定数の適合性の良
い基板(前述の通りチタン酸ストロンチウム等)の裏面
に酸素イオン導電性を有する材料からなる薄膜を形成し
た複合基体上に、酸化物超伝導材料よりなり超伝導性を
有する薄膜をc 軸が基板または基体に対して概略垂直に
なるようにエピタキシャルに成膜することを特徴とす
る。この超伝導薄膜の成膜については本発明ではその方
法は特に問わない。以前であればエピタキシャルに成膜
するためには分子線エピタキシー法等が必要であった
が、現在は技術が進歩したためMOCVD 法等でも十分にエ
ピタキシャルな膜が作製されており、それら成膜プロセ
スはCVD 法、スパッタリング法、蒸着法、クラスターイ
オンビーム法、分子線エピタキシー法、レーザーアブレ
ーション法等何でもよい。ただし前述の様に、超伝導薄
膜は超伝導性を保持できるならば、その厚さは薄ければ
薄いほど良い。具体的にはオングストロームオーダーで
あることが望ましい。尚、超伝導薄膜をエピタキシャル
に成長させるためには、基板及び基体が単結晶ライク、
望ましくは単結晶であることが必要であることは言うま
でもない。
【0020】2つ目はSTM を用いたパターニングに関す
る構成であって、前述の超伝導薄膜の上方極近傍に任意
に走査可能なSTM の探針を配置し、該探針と前記酸素イ
オン導電性を有する基板間に電流を印加しつつ前記探針
を走査することにより、前記超伝導薄膜中に含まれる酸
素の一部または全部を酸素イオンとして外部に放出せし
める、または超伝導性が保持出来ない程度に過剰に吸収
せしめることにより、前記超伝導薄膜の内、前記探針が
走査された部分の極近傍に位置する部分のみを選択的に
非超伝導化する工程とを有することを特徴とする。ここ
で、超伝導薄膜中に含まれる酸素の一部または全部を酸
素イオンとして外部に放出せしめることにより非超伝導
化せしめる構成は、イットリウム系等の超伝導材料に特
に有効であり、超伝導性が保持出来ない程度に過剰に吸
収せしめることにより非超伝導化せしめる構成は、ビス
マス系超伝導材料等に特に有効である。尚、この構成を
とる上で重要なのは、酸素イオン導電体の温度である。
というのも、酸素イオン導電体が、イオン導電性を示す
にはある一定温度以上が必要であり、その温度はYSZ に
おいては一般的に400 ℃程度である。そこでそれ以上の
温度で使用することになるのだが、この使用温度が高過
ぎると超伝導材料内での酸素イオンの拡散速度が速くな
りすぎて、非超伝導化された部分が広くなってしまうた
め注意が必要である。また、パターニングを行う雰囲気
であるが、探針と薄膜表面との距離との兼ね合いから本
当は高真空が望ましいのだが、400 度程度に加熱した状
態で高真空中に保持すると、超伝導薄膜から酸素の脱離
がおこり超伝導性を失ってしまう。そこで我々は10-3To
rr程度の低真空中で行った。尚、これら温度と酸素分圧
との関係は、超伝導材料でも各物質によって異なり、そ
れらは酸素のノンストイキオメトリーのデータとして笛
木らが詳しく研究しており、彼らのデータを参考に実験
の条件を設定した。
【0021】尚、STM 及びその探針は特に特別なものを
必要としない。我々が実験に用いたものは、ピエゾ素子
により任意の方向に可動のもので、探針はタングステン
針を用いた。
【0022】以下に実施例を示し、より詳細に本発明を
説明する。
【0023】
【実施例】「実施例1」本実施例において、超伝導材料
としてイットリウム系の酸化物超伝導材料(A1-X Bx)yCu
zOw x=0.1 〜1.0,y=2.0 〜4.0,z=1.0 〜4.0,w=
4.0 〜10.0を有し、構造としてペロブスカイト型構造を
有し、A はY(イットリウム),Gd( ガドリニウム),Yb( イ
ッテルビウム),Eu( ユ−ロピウム),Tb( テルビウム),Dy
( ジスプロシウム),Ho (ホルミウム),Er( エルビウム),
Tm( ツリウム),Lu( ルテチウム),Sc( スカンジウム) 及
びその他のランタノイドより選ばれた1種または複数種
の元素よりなり、B はBa( バリウム),Sr( ストロンチウ
ム),Ca( カルシウム) より選ばれた1種または複数種の
元素を有する酸化物超電導材料より、A としてY を、B
としてBaを用いた材料を選んで使用したが、他の材料で
も良い。
【0024】本実施例では超伝導薄膜の作製方法として
MOCVD 法を用い、ジョセフソン接合の作製に本発明を応
用した例を示す。
【0025】まず最も重要な基板付近の構造を図1に示
す。基板1は約10mm角のイットリウム安定化ジルコニア
(YSZ )の単結晶板2の〔100 〕面上に、分子線エピタ
キシー法によって約1nmの厚さにチタン酸ストロンチウ
ム3の〔100 〕面を成膜したものを使用した。また下部
白金電極4は、白金網をイットリウム安定化ジルコニア
単結晶板2の下部に押しつけることにより形成した。こ
れら基板部分は、メタルOリング5を使用して高真空に
耐えられる構造としてチャンバーに取りつけた。また、
チャンバーと基板部分の接合面には絶縁層6を設けた。
【0026】次に本実施例で使用したMOCVD 法による薄
膜製造装置の概略を図2に示す。MO原料としてはβ−ジ
ケトン金属錯体を使用した。各MO原料は石英セル10に入
れて、それぞれ別のヒーター7により加熱して蒸発させ
た。蒸発温度は試料に応じて120 〜240 ℃の範囲で調節
して成膜を行なった。蒸発した各MO原料はキャリアーガ
ス9により基板8上に運び、堆積、成膜を行なった。
【0027】尚、キャリアーガス9としてはヘリウムを
使用した。
【0028】また上記MO原料の基板上への堆積速度に合
わせて、活性化酸素を基板の表面近傍に供給した。尚上
記の工程はチャンバー11内を〜10-1Torr程度に真空引き
して行なった。
【0029】最終的に得られた薄膜は、膜厚が約3000Å
で、アズデポで超伝導性を示した。臨界温度Tcは約92K
で、0磁場における臨界電流密度Jcは約3×106 A/cm
2 であった。XRD 測定の結果、c軸配向していることが
確認され、またRHEED によって単結晶薄膜がエピタキシ
ャルに成膜されていることが示唆された。
【0030】次に、得られた超伝導薄膜をKrF エキシマ
レーザーを用いて、図3に示す様にパターニング12を行
った。最も狭いブリッジ部分13の巾は約1μm であっ
た。このパターニング工程もSTM で行うことは可能であ
るが、プロセスにおけるスループットの改善のためには
レーザーパターニング等の方法の方が望ましいと思われ
る。
【0031】ついで、図4に示されているように、この
様にパターニングされた超伝導薄膜14の上方極近傍にST
M の探針15を配置した。探針と超伝導薄膜との距離は、
およそ1nm程度と推測された。そして、酸素イオン導電
性を持たせるべく基板を加熱するために、エネルギー密
度を意識的に小さくしたYAG レーザー16を照射すること
によって局所的な加熱を行ったが、他の方法で加熱して
も良い。もちろんレーザーのスポットを探針の極近傍に
合わせたことは言うまでもない。また、パターニングを
行う際の真空容器内の雰囲気は10-3Torr程度であった。
そして、STM の探針 と下部白金電極4の間に印加する
直流電圧を10V と一定値とし、電源17から供給しながら
ブリッジ部分の約1μm を約1時間かけて横切ることに
よってパターニングを行った。
【0032】得られた素子はシャピロステップが確認さ
れ、ジョセフソン接合が得られていることが確認され
た。また、前記パターニングを施した部分は、STM によ
る観測から、他の超伝導部分とは異なるバンド構造を有
することが示唆された。
【0033】尚、ブリッジ部分をSTM によってパターニ
ングする際に、パターニングに要する時間を変化させる
と、I-V 測定において、SNS 接合からSIS 接合まで比較
的自由に作り分けることが可能であることが判明した。
【0034】「実施例2」本実施例では、本発明によっ
て超伝導トランジスター(以下STFTと省略)を作製した
例を示す。基板付近の構成及び超伝導薄膜の作製プロセ
スまでは実施例1と同一であるので割愛する。
【0035】酸化物超伝導材料は今回は(A1-X Bx)yCuzO
w x=0.1 〜1.0,y=2.0 〜4.0,z=1.0 〜4.0,w=4.
0 〜10.0を有し、構造としてペロブスカイト型構造を有
し、A はY(イットリウム),Gd( ガドリニウム),Yb( イッ
テルビウム),Eu( ユ−ロピウム),Tb( テルビウム),Dy(
ジスプロシウム),Ho (ホルミウム),Er( エルビウム),Tm
( ツリウム),Lu( ルテチウム),Sc( スカンジウム) 及び
その他のランタノイドより選ばれた1種または複数種の
元素よりなり、B はBa( バリウム),Sr( ストロンチウ
ム),Ca( カルシウム) より選ばれた1種または複数種の
元素を有する酸化物超電導材料より、A としてHoを、B
としてBaを用いた材料を選んで使用したが、他の材料で
も良い。
【0036】得られた超伝導薄膜を、実施例1と同様
に、KrF エキシマレーザーを用いて、図5に示す様にパ
ターニング18を行った。このパターンは従来のTFT 等を
参考にした形態である。次に、TFT でいうところのチャ
ネル形成領域を作製するために、STM によるパターニン
グを行った。パターニングの際の各種条件は実施例1と
同様である。
【0037】次にこれら全体にポジ型レジストを、1000
Å〜1μm、好ましくは3000Å〜5000Åの厚さに、スピ
ンコート法によって塗布、成膜し、その後、80度C、30
分間プリベイクを行なった。
【0038】次にクロム製のマスクを用いてg線ステッ
パーによって露光、ポジレジストの除去を行った。
【0039】その後、その上にゲート絶縁膜19を作製す
るのだが、超伝導薄膜を加熱した状態で高真空中に保持
することは避けたいため、基板加熱を必要とせず、比較
的低い真空度で成膜可能な材料として、炭素を主成分と
する膜(当社においてはDLCDiamond Like Carbonと呼ん
でいる)を用いることにした。成膜は、平行平板型のプ
ラズマCVD 装置を用いて、ソースガスとしてエチレン、
水素を用い、反応圧力50Pa、高周波エネルギは13.56 MH
z を10〜50W として、アモルファスな膜、または50〜20
0Wとしてセミアモルファスな膜を約500 Åの厚さに形成
させた。
【0040】この際、プラズマCVD 装置の反応炉には、
ターボ分子ポンプとロータリーポンプを直列に接続し大
気からの反応炉内への逆流を防ぎ、酸素の混入率を極力
抑えた。
【0041】次いで、上述のゲート絶縁膜の上にゲート
電極を形成すべく銀よりなる膜20を真空蒸着法によって
形成した。
【0042】最後に、剥離液に浸し超音波振動を与える
ことにより、前記レジストを除去し、合わせてレジスト
上に積層した炭素を主成分とする膜、及び銀よりなる薄
膜をリフトオフによって除去する。
【0043】素子が一つである場合には、上記工程で全
て終了であるが、素子を集積化せしめるためには、最後
に層間分離を施せばよく、これは従来の技術で対応可能
である。
【0044】上記プロセスによって得られたSTFTの液体
窒素温度(77K)における動作結果を最後に述べる。
【0045】ゲート電極に印加せしめた電圧Vgの絶対値
が約0 〜50mVの場合、ソース、ドレイン間の超伝導電流
は確認されなかったが、それを越えた電圧を印加せしめ
ると、有限の電流Icの存在が観測された。特に、Vgの絶
対値が約100mV を越えた場合に、I-V カーブの立ち上が
りが鋭くなり、実用的であると考えられる。Vgの絶対値
が約100mV の際に、Icは約90μA であり、スイッチング
速度は〜10ps、消費電力は〜μW のオーダーであった。
【0046】「実施例3」本実施例においては、酸化物
超伝導材料は今回は(A1-X Bx)yCuzOw x=0 〜1.0,y=
2.0 〜4.0,z=1.0 〜4.0,w=4.0 〜10.0を有し、構造
としてペロブスカイト型構造を有し、A はBi(ビスマ
ス)またはその他の5a族の元素より選ばれた1種また
は複数種の元素よりなり、B はBa( バリウム),Sr( スト
ロンチウム),Ca( カルシウム) より選ばれた1種または
複数種の元素を有する酸化物超電導材料として一般的に
示されるビスマス系の超伝導材料より、A としてBiを、
B としてSr,Ca を用いた材料(Bi2Sr2CaCu2O y )を選ん
で使用したが、他の材料でも良い。
【0047】本実施例では、超伝導トランジスター(ST
FT)を作製した例を示す。作製プロセス等は実施例2と
同一であるので割愛する。ただ唯一異なるのは、STM に
よるチャネル形成領域を作製する為に、実施例1等のイ
ットリウム系超伝導材料においては酸素を一部抜くこと
によって作製したのに対し、本実施例のビスマス系超伝
導材料では酸素を吸収させるべく、電流の方向を逆(探
針を正極、基板を負極として電流を流した)にしたこと
である。
【0048】上記プロセスによって得られたSTFTの液体
窒素温度(77K)における動作結果を最後に述べる。
【0049】ゲート電極に印加せしめた電圧Vgの絶対値
が約0 〜70mVの場合、ソース、ドレイン間の超伝導電流
は確認されなかったが、それを越えた電圧を印加せしめ
ると、有限の電流Icの存在が観測された。特に、Vgの絶
対値が約120mV を越えた場合に、I-V カーブの立ち上が
りが鋭くなり、実用的であると考えられる。Vgの絶対値
が約120mV の際に、Icは約110 μA であり、スイッチン
グ速度は〜10ps、消費電力は〜μW のオーダーであっ
た。
【0050】
【発明の効果】本発明により、酸化物超伝導材料が本質
的に持つコヒーレント長の短さと、構造の異方性、及び
プロセスにおける高温アニールの必要性から従来不可能
と思われていた超伝導デバイス、その中でも特にジョセ
フソン接合ないし近接効果を利用した超伝導性を利用し
た電子装置、より具体的には、薄膜型の超伝導電界効果
型トランジスタのごとき電子装置を作製することが可能
となった。
【0051】また、その作製プロセスも、従来の粒界を
用いたジョセフソン接合や、自然酸化膜を利用したジョ
セフソン接合の様に、均質性や再現性に乏しいものでは
なく、十分に実用性に耐えうるものである。
【0052】本明細書では、ジョセフソン接合ないしは
近接効果を用いた電子装置の作製を実施例として用いた
が、本発明はそれだけに留まるものではない。例えば、
現在盛んに研究が進められているメゾスコピックな電子
装置の内、量子井戸の作製にも本発明は簡単に応用が可
能である。
【0053】また、酸化物超伝導材料は酸素の拡散速度
が高かったため、酸素イオン導電性の基体と組み合わせ
ることによってパターニングが可能になったが、他のイ
オンの拡散速度が高い材料においては、そのイオンに適
した基板ないし基体を用いることによって、本明細書と
全く同様にパターニング等が可能である。すなわち、本
発明はその応用範囲が非常に広く、産業の発展に大いに
寄与するものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における基板周辺の構成
【図2】本発明で使用したMOCVD 装置の概略図
【図3】本発明におけるパターニングの例
【図4】本発明におけるSTM 周辺の構成
【図5】本発明における超伝導薄膜トランジスターの構
【符号の説明】
1 複合基板 2 YSZ 基板 3 チタン酸ストロンチウム薄膜 4 裏面白金電極 5 メタルOリング 6 絶縁層 7 ヒーター 8 基板 9 キャリアーガス 10 石英セル 11 チャンバー 12 パターン 13 ブリッジ部分 14 酸化物超伝導薄膜 15 探針 16 YAG レーザー光 17 電源 18 パターン 19 ゲート絶縁膜 20 ゲート電極

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素イオン導電性を有する基板上、また
    は前記酸素イオン導電性を有する基板上に酸素透過性を
    有しつつ超伝導材料と格子定数の適合性の良い中間層を
    設けた複合基体上、または酸素透過性を有しつつ超伝導
    材料と格子定数の適合性の良い基板の裏面に酸素イオン
    導電性を有する材料からなる薄膜を形成した複合基体上
    に、酸化物超伝導材料よりなり超伝導性を有する薄膜を
    c軸が基板または基体に対して概略垂直になるようにエ
    ピタキシャルに設ける工程と、前記薄膜の上方極近傍に
    探針を配置し、該探針と前記酸素イオン導電性を有する
    基板間に電流を印加することにより前記超伝導薄膜中に
    含まれる酸素の一部または全部を酸素イオンとして外部
    に放出せしめる、または超伝導性が保持出来ない程度に
    過剰に吸収せしめることにより、前記超伝導薄膜の内、
    前記探針の極近傍に位置する部分のみを選択的に非超伝
    導化する工程とを有することを特徴とする酸化物超伝導
    装置の作製方法。
  2. 【請求項2】 酸素イオン導電性を有する基板上、また
    は前記酸素イオン導電性を有する基板上に酸素透過性を
    有しつつ超伝導材料と格子定数の適合性の良い中間層を
    設けた複合基体上、または酸素透過性を有しつつ超伝導
    材料と格子定数の適合性の良い基板の裏面に酸素イオン
    導電性を有する材料からなる薄膜を形成した複合基体上
    に、酸化物超伝導材料よりなり超伝導性を有する薄膜を
    c軸が基板または基体に対して概略垂直になるようにエ
    ピタキシャルに設ける工程と、前記薄膜の上方極近傍に
    任意に走査可能な探針を配置し、該探針と前記酸素イオ
    ン導電性を有する基板間に電流を印加しつつ前記探針を
    走査することにより、前記超伝導薄膜中に含まれる酸素
    の一部または全部を酸素イオンとして外部に放出せしめ
    る、または超伝導性が保持出来ない程度に過剰に吸収せ
    しめることにより、前記超伝導薄膜の内、前記探針が走
    査された部分の極近傍に位置する部分のみを選択的に非
    超伝導化する工程とを有することを特徴とする酸化物超
    伝導装置の作製方法。
  3. 【請求項3】 酸素イオン導電性を有する基板上、また
    は前記酸素イオン導電性を有する基板上に酸素透過性を
    有しつつ超伝導材料と格子定数の適合性の良い中間層を
    設けた複合基体上、または酸素透過性を有しつつ超伝導
    材料と格子定数の適合性の良い基板の裏面に酸素イオン
    導電性を有する材料からなる薄膜を形成した複合基体上
    に、酸化物超伝導材料よりなり超伝導性を有する薄膜を
    c軸が基板または基体に対して概略垂直になるようにエ
    ピタキシャルに設ける工程と、前記薄膜の上方極近傍に
    任意に走査可能な探針を配置し、該探針と前記酸素イオ
    ン導電性を有する基板間に電流を印加しつつ前記探針を
    走査することにより、前記超伝導薄膜中に含まれる酸素
    の一部または全部を酸素イオンとして外部に放出せしめ
    る、または超伝導性が保持出来ない程度に過剰に吸収せ
    しめることにより、前記超伝導薄膜の内、前記探針が走
    査された部分の極近傍に位置する部分のみを選択的に非
    超伝導化する工程と、前記非超伝導化された領域を被っ
    て絶縁性を有する薄膜を設ける工程と、前記絶縁薄膜に
    接して電極を設ける工程とを有することを特徴とする酸
    化物超伝導装置の作製方法。
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