JP2659716B2 - 電気抵抗の温度係数が小さくしかも融点が低い合金およびその製造法ならびにそれを用いた高安定性電気抵抗体あるいは渦電流式変位センサ - Google Patents

電気抵抗の温度係数が小さくしかも融点が低い合金およびその製造法ならびにそれを用いた高安定性電気抵抗体あるいは渦電流式変位センサ

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JP2659716B2 JP62192567A JP19256787A JP2659716B2 JP 2659716 B2 JP2659716 B2 JP 2659716B2 JP 62192567 A JP62192567 A JP 62192567A JP 19256787 A JP19256787 A JP 19256787A JP 2659716 B2 JP2659716 B2 JP 2659716B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は金−コバルト−鉄系電気抵抗合金に関するも
のであり、詳しくは本発明は電気抵抗の温度係数が小さ
く、しかも融点が低い特長を有する高安定性抵抗体ある
いは渦電流式変位センサ用金−コバルト−鉄系電気抵抗
合金に関するものである。
(従来の技術) 近年エレクトロニクス関連機器における部品、例えば
電気抵抗体あるいは渦電流式変位センサ等では、その小
型化、高性能化さらには耐環境性の向上のためにこれら
部品に使用される熱的安定性に優れた電気抵抗合金の素
材開発が強く要望されつつある。
すなわち電気抵抗合金に求められる必要条件として
は、比電気抵抗が適当な値を有すること、比電気抵抗の
温度係数が小さいこと、融点が低いことならびに素材が
軟かいことなどの他に電気抵抗の経時変化が少ないこ
と、ろう付け性に優れていること、加工しやすいこと、
化学的に安定であること、絶縁体とのなじみ性に優れて
いることならびにコストが安価であること等も重要であ
る。
従来電気抵抗が小さい材料としては銀(Ag)、銅(C
u)や金(Au)等の純金属が考えられるが、いずれも電
気抵抗の温度係数が4000ppm/℃以上の極めて大きな値を
有するため本目的の部品への応用化は困難である。
ここで電気抵抗の温度係数Cfは式 Cf=ΔR/ΔT/Rで定義され、その単位は〔10-6/℃〕また
は〔ppm/℃〕である。
(発明が解決しようとする問題点) ところでこれらの元素にニッケル(Ni)、マンガン
(Mn)、コバルト(Co)あるいはクローム(Cr)等を微
量添加することによって電気特性がかなり改善されるこ
とは既に報告されている(「計測材料の進歩」:日本計
測学会材料研究部会編、コロナ社、1959、p.157)。ま
たこれとは別に開示されているものとしては、本発明者
が以前に発明したパラジウム−銀系合金(特開昭55−12
2839号および同60−204846号および同60−204847号各公
報)また銅−ニッケル−金系合金(特開昭59−6345号公
報)等がある。これらの材料はいずれも電気抵抗の温度
係数が負値あるいは100ppm/℃以下の極めて小さい値を
有しているので部品に応用した場合には合金の優れた特
性を十分に発揮し得る。しかし他方合金個々については
多くの欠点、例えば融点が高い、素材が硬く可撓性が劣
る、化学的安定性に欠けるあるいは熱エージングによる
電気抵抗の経時変化が生ずることもあり、また応用上部
品製作における巻線作業が困難であること等多くの問題
があった。
(問題点を解決するための手段) そこで本発明者らは関連産業界の緊急の要請に応える
べく幾多研究の末、電気抵抗の温度係数が小さくしかも
融点が低く素材が軟かい等の優れた特性を有する電気抵
抗合金、さらにはこの合金を使用した高安定性抵抗体あ
るいは渦電流式変位センサを提供しようとするものであ
る。
すなわち本発明者らは比電気抵抗が小さく、融点が低
く、しかも化学的に安定な貴金属の金(Au)に注目し、
これにコバルト(Co)および鉄(Fe)を微量添加した合
金について研究を行った。なおAu−Co2元系合金の電気
特性については前述の専門書「計測材料の進歩」(第14
9頁〜第157頁)によると、電気抵抗の温度係数がかた引
による冷間加工および140℃の低温焼なましにおいて負
値を示すことが記述されている。しかしながらこの合金
の組織がAuの固溶体と共晶相間の不安定な状態にあるた
めに上記の処理では電気的特性の安定性は十分に得にく
いばかりでなく析出の影響による電気抵抗の経時変化の
あることも考慮しなければならない。さらにまた上記の
処理では合金素材が硬く良好な可撓性は得られない。
本発明は上述の諸問題を解決し、優れた特性を有する
Au−Co−Fe系電気抵抗合金とその製造法さらには本発明
合金を使用した高安定性抵抗体あるいは渦電流式変位セ
ンサ等を提供することが目的である。
本発明の目的とする所は、重量%にてコバルト0.01〜
10%、鉄0.01〜8%および残部が実質的に金の組成と、
少量の不純物からなり、比電気抵抗の温度係数が1000pp
m/℃以下および融点が1055℃以下であることを特徴とす
る電気抵抗合金の製造法を提供するにある。
本発明の他の目的とする所は、重量%にてコバルト0.
01〜10%、鉄0.01〜8%および残部が実質的に金の組成
と、少量の不純物からなる合金を鋳造及び鍛造後熱間加
工あるいは冷間加工により線材または板材より選ばれた
所望の形状となし、非酸化性雰囲気中または真空中にお
いて200〜800℃で2秒以上100時間以下加熱することを
特徴とする電気抵抗合金の製造法を提供するにある。
本発明の更に他の目的とする所は、重量%にてコバル
ト0.01〜10%、鉄0.01〜8%および残部が実質的に金の
組成と、少量の不純物からなる電気抵抗合金の素材をス
パイラル状またはトロイダル状より選ばれた所望の形に
成形し、これをそのままの状態で無機質あるいは有機質
の電気絶縁体に固定するかまたは該絶縁体内に埋め込む
ことにより温度に対する電気抵抗の変化が少なく、比電
気抵抗の温度係数が1000ppm/℃以下および融点が1055℃
以下である高安定性電気抵抗体を得ることを特徴とする
渦電流式変位センサの製造法を提供するにある。
本発明の更に他の目的とする所は、重量%にてコバル
ト0.01〜10%、鉄0.01〜8%および残部が実質的に金の
組成と、少量の不純物からなる電気抵抗合金を、電気絶
縁体表面に電着、蒸着またはスパッタリングの何れかの
方法により薄膜として被着した後、エッチング打抜きま
たはトリミング加工により所望のパターンとなし、これ
を別の電気絶縁体に固定するかあるいは該絶縁体内に埋
め込むか、若しくは合金薄膜の表面に絶縁体を塗布ある
いはコーティング処理を行い、絶縁体ケース内に装填す
ることにより温度に対する電気抵抗の変化が少なく、比
電気抵抗の温度係数が1000ppm/℃以下および融点が1055
℃以下である高安定性抵抗体を得ることを特徴とする渦
電流式変位センサの製造法を提供するにある。
本発明の更に他の目的とする所は、重量%にてコバル
ト0.01〜10%、鉄0.01〜8%および残部が実質的に金の
組成と、少量の不純物からなり、比電気抵抗の温度係数
が1000ppm/℃以下および融点が1055℃以下である電気抵
抗合金を用いた渦電流式変位センサを提供するにある。
(発明の構成及び作用) 以下本発明合金の製造法について具体的に説明する。
本発明においてまずコバルト0.01〜10%、鉄0.01〜8
%および残部金の適量を空気中または真空中好ましくは
非酸化性雰囲気中において適当な溶解炉を用いて溶解し
た後、十分に撹拌して均一な溶融合金を造る。この場合
原料としては、あらかじめ用意した金−鉄母合金あるい
は金−コバルト母合金を使用すると合金組成の調整が極
めて容易となる。なお本発明合金の融点は1055℃以下で
あるので、溶解作業において通常の巻線型電気炉あるい
は都市ガス炉等が使用でき取扱いが非常に容易である特
長がある。つぎに溶融合金を適当な形および大きさの鋳
型に注入して健全な鋳塊を得る。その後そのままかある
いは800℃以下の高温で加工して適当な形状のもの、例
えば棒あるいは板を造る。さらにこれをスエージング、
伸線、圧延あるいは押潰し等の方法によって冷間加工を
施し目的の形状のもの、例えば細線あるいは薄板にす
る。最後に電気的特性の安定化および軟化を図るために
非酸化性雰囲気中あるいは真空中で200〜800℃の温度に
2秒以上100時間以下加熱保持後、5〜300℃/hの速度で
冷却し焼鈍を行う。この焼鈍処理は、合金素材のインナ
ーガスや表面の汚れなどが抜け出るので溶接性、ロー付
け性や絶縁物に対するぬれ性が良好となるばかりでな
く、素材が軟化して可撓性も向上するので応用上極めて
有効である。
上述した方法によって得られた合金素材を高安定性抵
抗体あるいは渦電流式変位センサに用いる場合、電気絶
縁物質の被着には種々な方法が考えられるが、以下には
その代表的な工程について説明する。
(A)本発明合金素材例えば線材あるいは板材等のまま
絶縁体に直接巻きつけ、その表面に無機質または有機質
のいずれかの電気絶縁物を塗布乾燥するか、あるいは前
記合金素材を所望の形状、例えばスパイラルあるいはト
ロイダルに成形し、これをそのままの状態で前記絶縁体
に埋め込むか、あるいは絶縁体に接着剤で直接貼付する
か、またあるいは2枚の絶縁体で挟む等の方法により固
定する。
(B)本発明合金を電気絶縁体表面に電着、蒸着、プレ
ーティングあるいはスパッタリング等の適当な方法によ
り薄膜状に被着形成した後、所望のパターンにエッチン
グ打抜きあるいはトリミング加工等により所望のパター
ンとなし必要ならばさらにこれをそのままの状態で別の
絶縁体に固定するか、または絶縁体内に埋め込むか、若
しくは合金薄膜の表面に絶縁体を塗布あるいはコーティ
ング処理を行う。
以上のような工程により製造した成品をそのままで使
用してもよいが、必要ならば成品の安定化のために再び
前述の焼鈍処理を施せば本発明合金自体と同じ特性を発
揮する高安定性抵抗体あるいは渦電流式変位センサの製
造が可能となる。
(実施例) つぎに本発明の実施例について述べる。
実施例1 合金番号No.GCF−10(合金組成Au=95%、Co=2.5%、F
e=2.5%) 原料としては純度99.99%以上の金、純度99.8%以上
のコバルトおよび純度99.9%以上の鉄を用いた。試料を
造るには金重量10gの原料を高純度アルミナ坩堝(SSA−
H,#2)に入れ酸化を防ぐために高純度アルゴンガスを
吹きつけながらタンマン炉によって溶解し、よく撹拌し
て均質な溶融合金とした。ついで融点より約100℃高い
温度1080℃において、内径3.5mmφのシリカパイプ中に
素早く吸い上げ丸棒とした。この後スエージングマシン
および伸線機により減面率〔(A′−A)/A)×100〕
が10〜99%の範囲で冷間加工して線径0.5mmφの細線を
得た。ここでA′およびAはそれぞれ加工以后および加
工以前の断面積である。この細線から長さ105mmに切り
取り、冷間加工のままかあるいは200〜800℃の種々の温
度で2秒〜100時間の種々の時間で加熱を行い室温まで
徐冷する焼鈍を行い電気抵抗測定用試料とした。またこ
れとは別に線径0.5mmの細線をさらに精密冷間圧延機に
より厚さ0.28mmおよび厚さ0.22mmの2種類のリボン状薄
板を作製した。つぎにこれら厚さの異なるリボン状薄板
を重ねてトロイダル状に20〜50回巻いた後、再結晶化温
度よりやや高い350〜400℃で30分間加熱してくせ付けを
施した。その後厚さ0.22mmのリボン状コイルを抜きと
り、残ったもう一方の厚さ0.28mmのトロイダル状センサ
コイルをポリイミド樹脂中に浸漬して、乾燥固着した後
さらにセンサコイル表面の樹脂を研削して平滑となし、
セラミック製ケース内に装填し、ついで電極に同軸ケー
ブルをハンダ付けして渦電流式変位センサを作製した。
まず前述の電気抵抗の測定は室温〜800℃の温度範囲で
真空中において180℃/hの加熱および冷却速度で連続的
に行った。第1図は本発明合金の測定結果を示したもの
である。図からもわかるように焼鈍状態の比電気抵抗ρ
は加工状態のそれより小さく、しかも温度Tに対する変
化も少ない。また焼鈍状態のρ−T特性曲線の場合、加
熱と冷却を繰り返しても同じ曲線をたどるが、加工状態
の場合では加熱途中の温度T1から冷却するとa点に達し
ρは減少する。そして再びa点から加熱しても元の経路
をたどらずT1より高い温度T2において加工状態の曲線に
一致する。しかし上述の不安定な現象は200℃以上の中
程度の温度において数十時間〜数日間の長期間保持する
ことによってρが減少して安定する。ただし加工状態の
材料の場合でも100℃以下の比較的低い温度においては
上述の不安定な現象はほとんどみられないが、ρが大き
いために応用上使用できない。
第2図は第1図における0〜100℃間のρ−T特性曲
線から求めた0℃における比電気抵抗ρおよび比電気
抵抗の平均温度係数 と焼鈍温度との関係を示したものである。図からわかる
ようにρおよびCfは焼鈍温度の増加とともに両者とも
減少する。従って冷間加工の場合より焼鈍処理を行った
場合の特性が優れていることを示している。尚800℃で
1時間加熱後徐冷した合金試料の0℃における比電気抵
抗は63.0μΩ・cm、0〜100℃間の比電気抵抗の平均温
度係数は140ppm/℃、融点は1025℃ならびにビッカース
硬さは50であった。また本発明合金を使用した渦電流式
変位センサについては、コイル径が温度とともに若干変
化するとによってコイルのインピーダンスの温度係数と
合金の電気抵抗の温度係数がほぼ相殺され、本発明合金
の優れた特性が十分に発揮されることが認められた。
実施例2 合金番号No.GCF−6(合金組成Au=98.0%、Fe=2.0
%) 製造原料は実施例1と同じ焼鈍の金および鉄を用い
た。試料の製造方法は実施例1と同じ工程で行った。ま
たこれとは別に原料の適量、例えば金および鉄のそれぞ
れ5gおよび1gを原料毎にアルミナ坩堝に入れ10-6Torrの
真空中においてイオンプレーティング法によって薄いア
ルミナ基板表面に本発明合金の組成配合となるように制
御して薄膜を被着させた。その後被膜表面をグリッド状
にレーザートリミング加工を施して約5×10mmの大きさ
となし真空中800℃で1時間焼成した。ついでこれに電
極2個を取り付け全体を樹脂でモールドして抵抗体素子
を作製した。本発明合金試料のρ−T特性曲線を第3図
に示しておいた。その結果は実施例1の場合と類似して
いるが、比電気抵抗値は約40μΩ・cmで実施例1の場合
に比べて25μΩ・cm以上も小さい。また第3図のρ−T
特性曲線から求めたρあるいはCfと焼鈍温度との関係
を第4図に示す。図にみるようにρの変化は実施例1
の場合と類似しているが、Cfの変化は実施例1の場合と
異なり、焼鈍温度が高くなるにしたがい増加してゆき50
0ppm/℃の一定値となる。尚800℃で1時間加熱後徐冷し
た場合の0℃における比電気抵抗は37.5μΩ・cm、0〜
100℃間の比電気抵抗の平均温度係数は294ppm/℃、融点
は1055℃ならびにビッカース硬さは55であった。また抵
抗体素子の電気抵抗は1kΩで、その他の電気的特性は合
金組成のそれとほとんど同じ結果が得られた。
実施例3 合金番号No.GCF−4(合金組成Au=98.5%、コバルト=
1.5%) 製造原料は実施例1と同じ純度の金およびコバルトを
用いた。試料の製造方法は実施例1と同じ工程で行っ
た。試料のρ−T特性曲線およびρあるいはCfと焼鈍
温度との関係はそれぞれ第5図および第6図である。ρ
−T特性曲線は第1図あるいは第3図のそれとかなり異
っているのがわかる。すなわち加工状態の約300℃以上
および焼鈍状態の約400℃以上の温度において、それぞ
れ極小および加熱と冷却曲線のヒステリシスが観察され
る。つぎに第6図では、ρは実施例1第2図の場合に
より低い温度500℃において極小値11μΩ・cmを、またC
fは約120℃以下の温度において負値を示す。すなわち20
0℃以上の焼鈍温度ではρが小さくCfも400ppm/℃以下
の優れた特性が得られることがわかる。
第7図には800℃で1時間加熱後徐冷したAu−0〜15
%Co−0〜10%Fe3元合金について電気抵抗の平均温度
係数Cfの等値曲線が示してある。Cfが1000ppm/℃以下を
示す合金組成は、図において点A(Au:Co:Fe=99.19:0.
8:0.01)、点B(Au:Co:Fe=99.19:0.01:0.8)、点C
(Au:Co:Fe=91.99:0.01:8)、点D(Au:Co:Fe=86:6:
8)、点E(Au:Co:Fe=86:10:4)および点F(Au:Co:Fe
=89.99:10.0:0.01)を結ぶ点線の内側であることがわ
かる。
またCfが200ppm/℃以下の値は点A′、B′、C′、
D′、E′およびF′の範囲内の組成、すなわちAuが9
0.4〜97.5%、Coが0.1〜5・6%およびFeが0.1〜5・
3%の合金において得られることがわかる。第8図には
第7図と同様の処理を施したAu−Co−Fe3元合金の比電
気抵抗ρの等値曲線を示す。さらに第9図には第7図
および第8図と同じ組成範囲のAu−Co−Fe3元合金の融
点Tmを示す。さらに第10図にはAu−Co−Fe3元合金の組
成比 Fe:Co=1:1における第7図のCf、第8図のρおよび
第9図のTmを〔Co+Fe〕量に対して示してある。この図
から〔Co+Fe〕量が2〜13.7%の広い組成範囲において
Cfが1000ppm/℃以下、ρが92μΩ・cm以下およびTm
1055℃以下の値が得られることがわかる。
上述の実施例の他に多くの合金についても実験を行っ
たが、第1表には代表的な合金試料の電気的特性、融
点、ビッカース硬さならびに可撓性を示す。
以上実施例1〜実施例3および第1表からわかるよう
に、Co0.01〜10%、Fe0.01〜8%および残部Auと少量の
不純物からなる合金は、電気抵抗の温度係数が1000ppm/
℃以下、融点が1055℃以下の優れた特性を有しており、
さらに第7図および第10図にみるように電気抵抗の温度
係数が200ppm/℃以下の小さい値が広い組成範囲にわた
って得られる特長がある。また本発明合金のビッカース
硬さは100以下でしかも可撓性が極めて良好であるの
で、これを応用した高安定性抵抗体および渦電流式変位
センサの製作が極めて容易となりしかも熱エージングに
よる電気的特性の変化が少なくなり本発明合金の優秀な
特性が十分に発揮できる。
つぎに本発明合金の組成および熱処理温度を限定した
理由について述べる。
まず本発明合金の組成範囲についてコバルトを0.01〜
10%および鉄を0.01〜8%に限定した理由は、各実施
例、第7図、第9図および第10図からも明らかなよう
に、電気抵抗の温度係数が1000ppm/℃以下および融点が
1055℃以下の特性を示すが、組成がこの範囲を超えると
上記の値より大きくなり、本発明の目的である高安定性
電気抵抗体あるいは渦電流式変位センサ用合金としては
不適当となるからである。また本発明合金の熱処理の温
度範囲を200〜800℃に限定した理由は、この温度範囲内
では本発明合金の全組成において加熱時間を2秒〜100
時間で保持後徐冷することによって電気抵抗の温度係数
が1000ppm/℃以下の特性を有し、しかも実施例1〜実施
例3からもわかるように加熱と冷却を繰り返しても電気
抵抗の経時変化が少なくなり安定化するばかりでなく合
金素材が軟化して可撓性も良好となる。しかし200℃以
下では電気抵抗が熱的に不安定となりしかも加工硬化に
よる可撓性が悪くまた800℃以上では合金素材間の接触
による融着を起したり極端な軟化による変形を生じさせ
るため高安定性抵抗体あるいは渦電流式変位センサ用合
金の製造法として不適当となるからである。
(発明の効果) 以上実施例1〜実施例3に述べたように本発明合金は
いずれの場合も温度に対する電気抵抗の変化が頗る小さ
い。特に実施例1の合金番号GCF−10の電気抵抗の温度
係数は140ppm/℃で純金属のCu、AgやAuなどのそれに比
べて約1/30またCu−10%Ni合金の約1/3も小さく、また
純金属の可撓性に比べて遜色がないため電気抵抗体ある
いは渦電流式変位センサの熱的安定性が向上し経時変化
も少なくなり巻線作業工程が比較的容易となることが期
待できる。尚また本発明合金の融点が純AuやCu−10%Ni
合金などに比べて低いので特殊な溶解設備を使用する必
要がなくしかも省エネルギー的効果がある。
要するに本発明のAu−Co−Fe合金は電気抵抗の温度係
数が1000ppm/℃以下および融点が1055℃以下の優れた特
長を有するだけでなく合金素材の可撓性が純Auのそれに
比べても遜色がないので、例えば従来渦電流式変位セン
サコイルに実用されている純Cuや純Agの代替材料として
だけでなく電子機器関連のリードワイヤやボンディング
ワイヤとしても、本発明合金が有する優れた特性をより
一層発揮することが可能である工業上大なる利益があ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図、第3図および第5図は加工状態あるいは焼鈍状
態のそれぞれの合金番号GCF−10、GCF−6およびGCF−
4の電気抵抗−温度曲線を示す特性図、 第2図、第4図および第6図は種々の温度で1時間加熱
後焼鈍した場合のそれぞれの合金番号GCF−10、GCF−6
およびGCF−4の比電気抵抗あるいは比電気抵抗の温度
係数と焼鈍温度との関係を示す特性図、 第7図は800℃で焼鈍した金−コバルト−鉄3元系合金
の0〜100℃における電気抵抗の平均温度係数を示す特
性図、 第8図は800℃で焼鈍した金−コバルト−鉄3元系合金
の0℃における比電気抵抗を示す特性図、 第9図は金−コバルト−鉄3元系合金の融点の特性図お
よび 第10図は第7図、第8図および第9図の組成比Fe:Co=
1:1におけるそれぞれの電気抵抗の平均温度係数、比電
気抵抗および融点との〔Co+Fe〕量との関係を示す特性
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01C 7/00 H01C 7/00 D 17/00 17/00 Z 17/06 17/06 M

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%にてコバルト0.01〜10%、鉄0.01〜
    8%および残部が実質的に金の組成と、少量の不純物か
    らなり、比電気抵抗の温度係数が1000ppm/℃以下および
    融点が1055℃以下であることを特徴とする電気抵抗合
    金。
  2. 【請求項2】重量%にてコバルト0.1〜5.6%、鉄0.1〜
    5.3%および残部が実質的に金の組成と、少量の不純物
    からなり比電気抵抗の温度係数が200ppm/℃以下および
    融点が1050℃以下である特許請求の範囲第1項記載の電
    気抵抗合金。
  3. 【請求項3】重量%にてコバルト0.01〜10%、鉄0.01〜
    8%および残部が実質的に金の組成と、少量の不純物か
    らなる合金を鋳造及び鍛造後熱間加工あるいは冷間加工
    により線材または板材より選ばれた所望の形状となし、
    非酸化性雰囲気中または真空中において200〜800℃で2
    秒以上100時間以下加熱することを特徴とする電気抵抗
    合金の製造法。
  4. 【請求項4】重量%にてコバルト0.01〜10%、鉄0.01〜
    8%および残部が実質的に金の組成と、少量の不純物か
    らなる電気抵抗合金の素材をスパイラル状またはトロイ
    ダル状より選ばれた所望の形に成形し、これをそのまま
    の状態で無機質あるいは有機質の電気絶縁体に固定する
    かまたは該絶縁体内に埋め込むことにより温度に対する
    電気抵抗の変化が少なく、比電気抵抗の温度係数が1000
    ppm/℃以下および融点が1055℃以下である高安定性電気
    抵抗体を得ることを特徴とする渦電流式変位センサの製
    造法。
  5. 【請求項5】重量%にてコバルト0.01〜10%、鉄0.01〜
    8%および残部が実質的に金の組成と、少量の不純物か
    らなる電気抵抗合金を、電気絶縁体表面に電着、蒸着ま
    たはスパッタリングの何れかの方法により薄膜として被
    着した後、エッチング打抜きまたはトリミング加工によ
    り所望のパターンとなし、これを別の電気絶縁体に固定
    するかあるいは該絶縁体内に埋め込むか、若しくは合金
    薄膜の表面に絶縁体を塗布あるいはコーティング処理を
    行い、絶縁体ケース内に装填することにより温度に対す
    る電気抵抗の変化が少なく、比電気抵抗の温度係数が10
    00ppm/℃以下および融点が1055℃以下である高安定性抵
    抗体を得ることを特徴とする渦電流式変位センサの製造
    法。
  6. 【請求項6】重量%にてコバルト0.01〜10%、鉄0.01〜
    8%および残部が実質的に金の組成と、少量の不純物か
    らなり、比電気抵抗の温度係数が1000ppm/℃以下および
    融点が1055℃以下である電気抵抗合金を用いた渦電流式
    変位センサ。
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