JP2657861B2 - ダニ主要アレルゲンの製造方法 - Google Patents

ダニ主要アレルゲンの製造方法

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JP2657861B2
JP2657861B2 JP3262538A JP26253891A JP2657861B2 JP 2657861 B2 JP2657861 B2 JP 2657861B2 JP 3262538 A JP3262538 A JP 3262538A JP 26253891 A JP26253891 A JP 26253891A JP 2657861 B2 JP2657861 B2 JP 2657861B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遺伝子工学によるヒョ
ウヒダニの主要アレルゲン(Der f II)の製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】アレルギー疾患の多くは、その疾患の原
因抗原に感作されることにより、血清および組織でアレ
ルゲンに特異的なIgE抗体(レアギン抗体)が産生さ
れ、再びその抗原に暴露されることにより、各組織上で
抗原とIgE抗体が抗原抗体反応を起こし、その際、生じ
る種々の症状によるものと考えられている。
【0003】このアレルギー疾患を根本的に治療する方
法として、減感作療法がある。この方法は、その原因抗
原を少量ずつ、また、症状に応じて投与量を徐々に増量
しながら、反復投与する方法である。この療法により遮
断抗体産生、IgE抗体産生抑制、マスト細胞から遊離す
るヒスタミン量の低下が起こり、治療効果が得られると
考えられている。
【0004】一方、気管支喘息、小児喘息、アトピー性
皮膚炎などのアレルギー性疾患は、室内塵中に生息して
いるダニに対するアレルギーが主な原因であることが明
らかになっており、既にいくつかのダニ主要アレルゲン
タンパク質が同定されている(プラッツミルズ(Platts-
Mills) ら、ザ・ジャーナル・オブ・アレルギー・アン
ド・クリニカル・イムノロジー(J. Allergy Clin. Imm
unol.)80巻、755 頁、1987年) 。従って、この主要アレ
ルゲンを用いた上記アレルギー疾患の減感作療法は、き
わめて有効であるが、多量の精製アレルゲンを必要とす
る。しかし、これまで精製ダニ主要アレルゲンを多量に
調製することは、実質的に不可能であった。また結城ら
によって開示されている精製ダニ主要アレルゲンの調製
法では、他の蛋白質、例えばβ−ガラクトシダーゼとの
融合蛋白質として得られ、ダニ虫体から得られる本来の
ダニ主要アレルゲンとは形が異なるものしか得られなか
った。すなわち、DNAによって得られるダニアレルゲ
ン蛋白質を、他の蛋白質との融合状態で得ることができ
た (特願平2−50848 号) 。しかし、この蛋白質から必
要なアレルゲンのみを単離することは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、既に開
示されているダニ主要アレルゲンDer f IIをコードして
いる遺伝子を遺伝子操作によって種々改変して発現させ
た後に、生成蛋白質を調べた結果、ダニ主要アレルゲン
Der f IIを融合蛋白質としてではなく、虫体由来のアレ
ルゲンとほぼ同等のアレルゲンを多量に調製できること
を見出した。
【0006】それ故、本発明の目的は遺伝子工学を用い
てダニ主要アレルゲン蛋白質をコードするDNA配列を
得ることであり、かつそのDNAがコードしているダニ
主要アレルゲンを直接発現させ、目的とするアレルゲ
ン、Der f IIを多量に製造する方法を提供することであ
る。すなわち、ダニアレルゲンの有効物のみを効率的に
製造することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、コナヒョウヒ
ダニ主要アレルゲン(Der f II)を遺伝子工学的に大量
に調製する方法であり、ダニ主要アレルゲンDer f IIを
コードする遺伝子を含む複製ベクターで形質転換した原
核生物または真核生物を培養し、培養物からダニ主要ア
レルゲンを採取することを特徴とする。
【0008】ダニ主要アレルゲンDer f IIをコードする
遺伝子およびその調製方法は、すでに結城らにより開示
されている(アレルギー(Japanese J. Allergology)、
39巻、557 頁、1990年) 。この遺伝子を種々の遺伝子工
学的手法によって改変し、さらにベクター及び宿主を選
択することによりダニ虫体由来のDer f IIと免疫学的に
同等であり、物質的にもほぼ同等のダニ主要アレルゲン
Der f IIを大量に調製することができることを見いだし
本発明を完成した。
【0009】結城らが報告しているプラスミドpFL11 を
制限酵素KpnIで完全に消化した後アガロースゲル電気泳
動を行い、消化DNA断片を分離した。電気泳動終了後
のアガロースゲルからDer f II遺伝子を含む約 500塩基
対の KpnI 断片を得た。本DNA断片はN末端アミノ
酸、アスパラギン酸に対応するコドン、GATの上流に
シグナル配列をコードすると思われる30塩基の配列があ
る。虫体由来のDer f IIと同じ配列を持つ蛋白質を産生
させるためにこの配列を除去し、また翻訳効率を上げる
ために、終止コドン以降のポリA配列を除去した。
【0010】まず、得られたKpnI断片を制限酵素 Sau3A
I で完全消化、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、切出
し溶出して72塩基対の Sau3AI 断片を得た。この断片の
付着末端を埋めた後、制限酵素NcoIで消化して63塩基対
の断片とした。また、 KpnI断片を制限酵素 HinfIで消
化し生じた付着末端を埋めた後に、制限酵素NcoIで消化
した。しかる後にアガロースゲル電気泳動に供して 389
塩基対のDNA配列を単離した。
【0011】一方、ベクタープラスミドpKK233-2を制限
酵素NcoIで切断した後、付着末端を埋め、さらにアルカ
リフォスファターゼで処理した。直鎖状にしたベクター
と既に調製してある二つのDNA断片を混合し、T4リ
ガーゼで連結した。大腸菌JM105 を、この溶液で形質転
換し、得られた形質転換株を前記結城らによって開示さ
れている方法に従って、抗Der f II抗体を用いたコロニ
ーイムノアッセイに供した。ただし、発現を誘導するた
めに本プラスミドの場合はイソプロピル−β−チオガラ
クトピラノシドを用いた。抗Der f II抗体と反応する蛋
白を産生するコロニーを選択し、プラスミドの抽出を行
った。
【0012】しかして得られたプラスミドを図1に示す
ようにpFLK11と命名した。得られたプラスミドへ挿入さ
れているDNA断片の塩基配列を、ダイデオキシ法(サ
ンガー(Sanger F.) ら、ジャーナル・オブ・モレキュラ
ー・バイオロジー (J. Mol.Biol.) 162巻、729-773
頁、1982年) で決定し、後記の配列表の配列番号1に示
される塩基配列であることを確認した。
【0013】プラスミドpFLK11で形質転換された大腸菌
の生産する蛋白で抗Der f II抗体と反応する蛋白が虫体
由来の当該蛋白と同じかどうかについて、さらに検討を
行った。形質転換株をアンピシリン (50μg/ml) の存在
下にLブロス(1%バクトトリプトン、0.5 %イースト
エキストラクト、0.5 %塩化ナトリウム、pH 7.4) 中で
37℃、660nm の吸光度が0.7 まで培養し、その後、イソ
プロピル−β−チオガラクトピラノシドで発現を誘導
し、37℃でさらに2時間培養を継続した。培養終了後の
ブロスから目的とする蛋白を精製した。精製は、従来か
ら用いられている種々の精製法(生化学実験講座第1
巻、タンパク質の化学、山川民夫、今掘和友編、東京化
学同人)を組み合わせて使用できるが、逆相高速クロマ
トグラフィーを用いる方法が有利である。
【0014】得られた形質転換株の生産するDer f II蛋
白を、ペプチドシーケンサー473A型(アプライドバイオ
システムズ社製) に供し、そのアミノ酸配列を決定し
た。N末端から24アミノ酸までを決定したところ、N末
端にメチオニンが一残基余分に付いている以外は、アミ
ノ酸配列は虫体由来の当該蛋白と全く同じであった。従
って、本発明によって生産されるダニ主要アレルゲン蛋
白、Der f IIは虫体由来の当該蛋白とほぼ同等のもので
あり、従来得られていた他の蛋白との融合ではないこと
が判明した。本発明で開示した遺伝子工学的手法によっ
て生産されるダニ主要アレルゲン、Der f IIのアレルギ
ー患者IgE との反応性を虫体由来の同蛋白と比較したと
ころ、全く同じ反応性が得られた。
【0015】次に、発現量を増加させる目的で作成した
プラスミド、pFLK11の複製開始点の変更を実施した。De
r f II遺伝子を含むプラスミド、pFLK11は複製開始点が
pBR系であり宿主内におけるコピー数が少ない。そこ
で、コピー数の多いpUC 系の複製開始点に変更した。プ
ラスミドpUC118を、制限酵素 PvuI 及び PvuIIで完全消
化して、複製開始点を含む約 1.4キロ塩基対のDNA断
片を得た。またプラスミドpFLK11も制限酵素 PvuI 及び
PvuIIで完全消化して、Der f II遺伝子を含む約3.4 キ
ロ塩基対のDNA断片を得た。調製した二つのDNA断
片をT4リガーゼで連結した。
【0016】しかる後に、大腸菌JM105 を形質転換し、
アンピシリン50μg/mlの存在下、37℃、Lブロス寒天培
地上(1%バクトトリプトン、0.5 %イーストエキスト
ラクト、0.5 %塩化ナトリウム、1.5 %バクトアガー、
pH7.4 ) で一晩培養した。生じたコロニーを、イソプロ
ピル−β−チオガラクトピラノシド200mM に浸漬して風
乾かしておいたニトロセルロースフィルター上に転写
し、フィルターを前述したLブロス寒天培地上で37℃、
2時間培養し、外来蛋白質を生産させた。このフィルタ
ーをクロロホルム蒸気に暴露して溶菌させ、産生してい
る蛋白質をこのフィルター上に固定した。抗Der f II抗
体に反応する陽性クローンを選択し、保存しておいた元
の寒天プレートから大腸菌コロニーを選択した。前述し
たアンピシリン含有のLブロス培地へ接種し、37℃で約
18時間培養後、培養液から菌体を集め常法のアルカリ抽
出法によってプラスミドを回収した。
【0017】得られたプラスミドを種々の制限酵素で消
化した後、あるいは消化せずに、アガロースゲル電気泳
動に供し、図2に示す目的とするプラスミドpFLU11であ
ることを確認した。しかして得られたプラスミドpFLU11
及びpFLK11を大腸菌JM105 に導入し、得られた形質転換
株でDer f IIを産生させ両者の生産性を調べた。複製開
始点をpBR系からpUC 系に変更することにより当該蛋白
の生産性が向上した。
【0018】さらにDer f IIを産生させる宿主を選択す
るために、大腸菌JM105 、JM109 、DH1 、HB101 および
MV1184を各々プラスミドpFLU11で形質転換させ、当該蛋
白の生産量を比較した。その結果、JM109 およびDH1 を
用いた場合、生産性が向上することが明らかとなった。
上記のごとく調製し大腸菌で発現させることができるダ
ニ主要アレルゲンDerf II遺伝子は、適当なベクター、
例えば YEp13(ブローチ(Broach J. R.)ら、ジーン(Gen
e)、8 巻、121-133 頁、1979年) などを用いて、酵母中
で発現させることができる。本発明によるダニDer f II
遺伝子を伴う発現カセットを持つ酵母ベクターを用い、
適当な酵母細胞を形質転換することができる。この目的
のため本発明によるDNA配列は、大腸菌プロモータで
はなく強力な真核性プロモータ、例えばΔP8(大竹
ら、アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケ
ミストリー(Agric. Biol. Chem.) 、52巻、2753-2762
頁、1988年) などの制御下におかなければならない。
【0019】遺伝子工学により調製した、本発明による
ダニDer f II蛋白質はダニに起因する各種のアレルギー
疾患の治療あるいは診断に使用できる。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、遺伝子工学を使ってヒ
ョウヒダニ主要アレルゲン蛋白質Derf IIを発現してい
るクローンを培養し、目的とするアレルゲン蛋白を、従
来得られていた他の蛋白との融合状態で生産させるので
はなく、虫体から得られるアレルゲンと殆ど同じアレル
ゲンを大量に調製することができた。
【0021】それゆえ、本発明に従えばダニ虫体由来の
Der f IIとほぼ同じダニ主要アレルゲンを大量に調製す
る方法を提供することができる。この蛋白質を用いて各
種のアレルギー疾患の治療あるいは診断に使用すること
が可能となった。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき一層具体的に
説明する。 実施例1Der f IIをコードする遺伝子の調製と発現ベクターへの
挿入 既に開示されているところのダニ主要アレルゲンDer f
IIのcDNAを保持しているプラスミドpFL11 (アレル
ギー(Japanese J. Allergology 、39巻、557頁、1990
年))からDer f IIをコードする遺伝子だけを調製した。
その概略を図1に示す。
【0023】pFL11 は発現用プラスミドpUEX1(アマシャ
ム社製) を元にして構築されたもので、その制限酵素 B
amHI部位にDer f IIのcDNA遺伝子が合成ヌクレオチ
ドのアダプター(アマシャム社製)を介して挿入されて
いる。このpFL11 を合成ヌクレオチドアダプター中の制
限酵素KpnIで完全消化し、0.7 %アガロース電気泳動に
供し消化DNA断片を分離した。Der f IIcDNAを完
全に含んでいる約500塩基対の KpnI 断片を泳動後のア
ガロースゲルから抽出精製した。Der f II遺伝子とその
アダプターの塩基配列および推定されるアミノ酸配列を
図3に示す。
【0024】虫体抽出Der f II蛋白質は図3の34番目の
アスパラギン酸がそのN末端アミノ酸であり、その上流
の配列はプレ配列であると考えられる(アレルギー(Ja
panese J. Allergology 、39巻、557 頁、1990年))。そ
こで成熟型Der f II蛋白質を産生させるために、プレ配
列領域が欠損した遺伝子を調製した。また、翻訳効率に
影響するとされている3' 末端ポリA配列(図3)の除
去も同時に行った。すなわち、N末端アミノ酸アスパラ
ギン酸に対応するコドンGAT の位置に丁度切断部位が存
在する制限酵素 Sau3AI で、精製した KpnI 断片を完全
切断し、DNAポリメレースIクレノウ(Klenow) フラ
グメントを用い、切断部位の突出末端を平滑化した。そ
の後、制限酵素 NcoI で完全切断し、5%のアクリルア
ミドゲル電気泳動に供し、63塩基対の Sau3AI(filled)-
NcoI 断片を分離精製した。同じようにKpnI断片をポリ
A配列の直前に切断部位が存在する制限酵素HinfI で完
全分解した後、末端を平滑化した。その後、やはり Nco
I で切断後、アクリルアミドゲル電気泳動で分離精製し
389 塩基対の NcoI-HinfI(filled) 断片を得た。
【0025】大腸菌での発現ベクターには pKK233-2(フ
ァルマシア社製) を用いた (アマン(Amann) ら、ジーン
(Gene)、25巻、167 頁、1983年) 。同発現プラスミドは
転写プロモーターに強力なtrp-lac 融合プロモーターを
持ち、その開始コドンの位置に NcoI 切断配列が導入さ
れている。この位置に外来遺伝子を翻訳のフレームを合
わせて挿入すれば、その遺伝子の誘導発現を行うことが
できる。このpKK233-2を、 NcoI で完全切断し、突出末
端を平滑化した後、アルカリフォスファターゼ処理し
た。
【0026】得られたベクターDNA断片と、先の63塩
基対の Sau3AI(Filled)- NcoI 断片と389 塩基対の Nco
I-HinfI(filled) 断片を混合し、DNAライゲーション
キット(宝酒造株式会社製) を用いてライゲーション反
応を行い、大腸菌JM105(遺伝子型 thi, rpsL, endA, s
bcB15, hsdR4, Δ ( lac pro AB), 〔F', pro AB,la
cI q ΔDM15, tra D36〕) を形質転換した。
【0027】ここで用いた遺伝子操作の基本実験法 (制
限酵素処理、修飾酵素処理等) はマニアテス (Maniati
s) らの方法 (モレキュラー クローニング(Molecular
Clon-ing)、コールド スプリング ハーバープレス 19
82 年) に準拠した。また大腸菌の形質転換には電気パ
ルス法 (バイオラッド社、ジーンパルサー) を用いた。
得られたアンピシリン耐性株よりコロニーイムノアッセ
イ法 (アグリカルチュアル アンド バイオロジカル
ケミストリー (Agric. Biol. Chem.) 55巻、1233頁、19
91年) により、ウサギ由来抗Der f II抗体と反応する、
すなわち、Der fII蛋白質を産生する株を選択した。陽
性株をL液体培地(1%バクトトリプトン(Tryptone,
ディフコ社) 、0.5 %イースト・イクストラクト(Yeas
t Extract,ディフコ社) 、0.5 %塩化ナトリウム) に接
種し、培養した後プラスミドを調製し、Der f II断片と
ベクターの連結部付近の塩基配列を決定し、予想される
塩基配列である事を確認した。塩基配列はサンガーのダ
イデオキシ法で決定し (サイエンス(Science) 214 巻、
1205〜1210頁、1981年) 、それに適したベクター(pUC11
8 及びpUC119 (メッシング(Messing) 等、メソッズ イ
ン エンザイモロジー(Methods in Enzymology) 101
巻、20〜78頁、1987年) を使用した。この様にして得ら
れた菌株をpFLK11/JM105と命名した (図1参照)。
【0028】実施例2 Der f IIの発現量の検討 発現量を増加させる事を目的に、実施例1で得られたプ
ラスミドの改良および大腸菌ホストの検討をおこなっ
た。一般的に組換え蛋白質の発現量は、菌体あたりの遺
伝子の数、すなわちプラスミドコピー数に依存すること
が知られている。実施例1で発現ベクターとして用いた
pKK233-2の菌体あたりのコピー数は約50と考えられる。
プラスミドコピー数をより高くすることを目的に、pFLK
11の複製開始点をpUC118 (コピー数:約200)のものと入
れ替えた (図2)。pUC118を、制限酵素 PvuI および P
vuIIで完全切断し、0.7 %のアガロースゲル電気泳動で
断片を分離後、複製開始点を含む1.4キロ塩基対の断片
のみをゲルから抽出精製した。またpFLK11も PvuI と P
vuIIで完全切断し、1.7 キロ塩基対と3.4 キロ塩基対の
断片から、複製開始点を含まない3.4 キロ塩基対の断片
を精製した。抽出した両断片をライゲーションし、次い
で、大腸菌JM105 を形質転換した。アンピシリン耐性の
コロニーよりプラスミドを単離し、 PvuI および PvuII
にて消化して、断片の大きさを確認した。得られた菌株
をpFLU11/JM105と命名した (図2参照)。
【0029】pFLK11/JM105と、pFLU11/JM105を、それぞ
れ50μg/mlアンピシリンを含むL液体培地に接種し37℃
で振盪培養し、OD660nm が0.7 になったところで、イソ
プロピル−β−D−チオガラクトピラノシド (ナカライ
テスク社製) を最終濃度1mMになるように加え、さらに
2時間培養した。培養後の菌体を遠心分離で回収した
後、SDSサンプルバッファー(10%(V/V) グリセリ
ン、5%(V/V)2−メルカプトエタノール、3%(W/V)
SDS(Sodium Dodecyl Sulfate) 、62mM Tris-HCl pH6.8)
に懸濁し、100 ℃で5分間、加熱処理することで菌体蛋
白質を抽出した。得られた蛋白質サンプルをSDS-ポリア
クリルアミドゲル電気泳動(第一化学、垂直型カセット
電気泳動システム、ゲル濃度18%) で分離し、クマシー
ブリリアントブルーで染色した。その結果、pFLU11/JM1
05のDer f II産出量は明らかにpFLK11/JM105の産出量に
比べて向上していた。また、コピー数の増加について
は、等菌体量からそれぞれ抽出したpFLK11とpFLU11をア
ガロース電気泳動に供し、エチジウムブロマイドで染色
して、そのプラスミドDNA量を比較した。その結果、
pFLK11に比し 3〜5 倍、pFLU11のコピー数が多いのが確
認された。
【0030】さらにDer f II産生に適した大腸菌ホスト
を選択するために、pFLU11で大腸菌JM109(遺伝子型;re
cA1, endA1, gyrA96, thi, hsdR17, supE44, relA1, λ
- ,Δ(lac-proAB),〔F', proAB, lacI q Z ΔM15, traD
36 〕) 、DHI ( 遺伝子型;F - , recA1, endA1, gyrA9
6, thi-1, hsdR17 (rk - ,mk + ), supE44, relA1,
λ- ) 、HB101(遺伝子型 ; F- , hsdS20(rB - ,mB - ),
recA13, ara-14, proA2, lacY1, galK2, rpsL20(Sm'),
xyl-5, mtl-l, supE44,λ- , mcrA+ , mcrB- )およびM
V1184 (遺伝子型;Δ(srl-recA)306::TnΔ(lac-pro),
ara, thi, rpsL,φ80dlacZ ΔM15,〔F', proAB, lacI
q , lacZΔM15, traD36 〕) を各々形質転換した。得ら
れた形質転換株をそれぞれpFLU11/JM109、pFLU11/DH1、
pFLU11/HB101およびpFLU11/MV1184 と命名した。それぞ
れの菌株を前述した方法で培養し、発現産物の解析をお
こなったところ、JM109 およびDH1 を用いた場合、生産
性がより向上する事が明らかとなった。
【0031】実施例3 組換えDer f IIの抽出、精製 実施例2で得られたpFLU11/JM109をアンピシリンを含む
L培地にて37℃で一晩振盪培養した。この培養液10mlを
50μg/mlアンピシリンを含む1,000ml のL液体培地に加
え、37℃で振盪培養し、OD660nm が0.7 になったところ
でイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド (ナ
カライテスク社製)を最終濃度1mMになるように加え、
さらに2時間培養した。この培養液を遠心分離(8,000
×g、10分) して菌体を得た。得られた菌体を TEP緩衝
液(100mM Tris-HC1 (pH7.4)、10mM EDTA、1mM PMSF
(phenylmethy-sulfonyl fluoride ;シグマ社製))25ml
に懸濁し、急速凍結、融解をおこなった後に、氷中で超
音波処理し菌体を破砕した。この懸濁液を8,000 ×gで
15分、遠心分離した。
【0032】残渣を TEP緩衝液で一回洗浄した後、25ml
の6M 尿素溶液に混合し、攪拌しながら一晩放置して可
溶化した。10,000×gで10分間、遠心分離して、不溶画
分を除いた後の上清を TEP緩衝液100ml に対して2回、
つづいて PBS緩衝液(ダルベッコ(Dulbecco) 等、ジャ
ーナル オブ イクスペリメンタル メディシン(J.Ex
p. Med.)、99巻、167 頁、1954年) 500ml に対して3回
透析して尿素を段階的に除いた。透析中に析出した不溶
画分を遠心分離(8,000 ×g、10分) して除いたものを
組換えDer f IIサンプルとした。得られたDer f II蛋白
質の収量は10mgで、その純度は70%以上であった。
【0033】実施例4 組換えDer f IIの各種抗体との
反応性 実施例3で得られた組換えDer f IIのウサギ由来抗Der
f II抗体、およびヒトIgE 抗体との反応性をウェスタン
ブロット法 (トウビン(Towbin)等、プロシーディング
イン ナショナル アカデミー オブ サイエンス
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA) 、69巻、1409頁、1972
年) を用いて、ダニ虫体由来の精製Der fIIと比較し
た。
【0034】組換えDer f IIサンプルと虫体由来精製De
r f IIを、前述した方法を用いてSDS-ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動に供し分離した。泳動後のゲルから合成
ポリマーPVDF(Polyvinylidene difluoride)膜、ミリポ
ア社製、商品名、イモビロン) のメンブラン フィルタ
ー上に蛋白質を電気的に転写した。この転写はセミドラ
イ型蛋白質転写装置 (アトー社、ホライズ ブロット)
を用いておこなった。ウサギ由来抗Der f II抗体との反
応は次のようにおこなった。
【0035】転写後のメンブランを抗体の非特異的吸着
を防ぐため (ブロッキング操作) 、3%ウシ血清アルブ
ミンを含む PBS緩衝液で1時間振盪した。一次抗体とし
ては精製Der f IIで免疫したウサギの血清を PBS緩衝液
で2,000 倍に希釈して用いた。希釈抗体溶液にメンブラ
ンを浸し1時間振盪した。その後0.05%ツイーン20を含
む PBS緩衝液で3回洗浄して吸着しなかった一次抗体を
洗い流した。二次抗体はパーオキシターゼ標識した抗ウ
サギIgG 抗体 (バイオラッド社製) を用い、一次抗体の
時と同様に PBSで希釈(1,500 倍) し、吸着(1時
間)、洗浄操作をおこなった。発色試薬のクロロナフト
ール(4-chloro-1-naphthol) を、0.5mg/mlの濃度で P
BS緩衝液に溶解し、過酸化水素水を最終濃度0.05%にな
るように添加した後、メンブランを浸し染色をおこなっ
た。
【0036】ヒトIgE抗体に関しては、次のように条件
を変更しておこなった。ブロッキング操作は0.1 %ツイ
ーン20(Tween20) を含む PBS緩衝液で1時間、振盪し
た。一次抗体としては、ダニに対してアレルギーを持つ
患者の血清(RAST試験でIgE量の多い一人の患者の血清
もしくは数人のアレルギー患者の血清を混ぜたプール血
清)を用いた。血清を PBS緩衝液で4倍に希釈した溶液
にメンブランを浸し、一晩、振盪した。二次抗体はパー
オキシターゼ標識した抗ヒトIgE抗体(ICN社製)を
用い、PBS で希釈(500 倍) し、5時間、吸着させた。
【0037】この結果、組換えDer f IIはウサギ由来抗
Der f II抗体とも患者血清中のIgE抗体とも、虫体由来
Der f IIと全く同じ反応性を示す事が確認された。
【0038】実施例5 組換えDer f IIのN末端からの
アミノ酸配列決定 組換えDer f II蛋白質のN末端からのアミノ酸配列を、
エドマン法により決定した。配列決定用サンプルは松平
らの方法(ジャーナル オブ バイオロジカルケミスト
リー(J. Biol. Chem.) 262 巻、10035 頁、1987年) で
調製した。すなわち組換えDer f IIをSDS-ポリアクリル
アミド電気泳動後、PVDF膜(バイオラッド社製)に転写
し、クマシーブリリアントブルーで染色し、Der f II蛋
白質のバンド部分だけを切りとって直接、自動アミノ酸
シークエンサー(アプライド バイオ システム社製
(モデル473A))で分析した。24アミノ酸までを決定した
ところ、N末端に開始コドン由来のメチオニンが、1残
基余分に付いている以外は、虫体由来のDer f IIと全く
同じであった。
【0039】
【配列表】
【0040】配列番号:1 配列の長さ:393 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類: cDNA to mRNA 配列の特徴 起源:デルマトファゴイデス ファリナエ(Dermatopha
goides farinae) 特徴を決定した方法:E
【図面の簡単な説明】
【図1】ダニ主要アレルゲンDer f IIのcDNAを保持
しているプラスミドpFL1からDer f II遺伝子のみを調製
して、発現ベクターpKK233-2に挿入する工程を示した図
である。
【図2】Der f II発現プラスミドpFLK11のプラスミドコ
ピー数を増大させるために、複製開始点をpUC118のもの
と交換する工程を示した図である。
【図3】クローニングしたDer f IIcDNAと合成ヌク
レオチドアダプターのDNA塩基配列およびそれより推
定されるアミノ酸配列を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥村 康 東京都大田区大森北2−13−1 アサヒ ビール株式会社応用技術研究所内 (72)発明者 山川 洋志 千葉県浦安市入船2丁目16番101号 (56)参考文献 特表 平6−500993(JP,A) Japanese J.Allerg ology,Vol.39,P.557−561 (1990)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダニ主要アレルゲンDer fIIをコ
    ードする遺伝子であって、かつ次の配列表で示されるD
    NA配列を有する該遺伝子を含むプラスミドで形質転換
    した大腸菌を培養し、培養物からダニ主要アレルゲンを
    採取することを特徴とす 〔配列表〕 配列番号:1 配列
  2. 【請求項2】 プラスミドがpFLU11である請求項
    1記載のダニ主要アレル
  3. 【請求項3】 プラスミドで形質転換した大腸菌がpF
    LU11/JM109ま 製造方法。
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