JP3149033B2 - ダニ主要アレルゲンDer f II中のペプチド - Google Patents

ダニ主要アレルゲンDer f II中のペプチド

Info

Publication number
JP3149033B2
JP3149033B2 JP31006991A JP31006991A JP3149033B2 JP 3149033 B2 JP3149033 B2 JP 3149033B2 JP 31006991 A JP31006991 A JP 31006991A JP 31006991 A JP31006991 A JP 31006991A JP 3149033 B2 JP3149033 B2 JP 3149033B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
der
gene
protein
plasmid
ige
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP31006991A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05125099A (ja
Inventor
敏朗 高井
敏文 結城
康 奥村
哲資 杉山
洋志 山川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Breweries Ltd
Torii Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Asahi Breweries Ltd
Torii Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Breweries Ltd, Torii Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Asahi Breweries Ltd
Priority to JP31006991A priority Critical patent/JP3149033B2/ja
Publication of JPH05125099A publication Critical patent/JPH05125099A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3149033B2 publication Critical patent/JP3149033B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ダニの主要アレルゲン
Der f IIのヒト抗Der f II IgE抗体が結合するのに必須
なアミノ酸配列で示されるペプチド、このペプチドをコ
ードするDNA関する。
【0002】
【従来の技術】アレルギー疾患の多くは、その疾患の原
因抗原に感作されることにより、血清および組織でアレ
ルゲンに特異的なIgE 抗体(レアギン抗体)が産生さ
れ、再びその抗原に暴露されることにより、各組織上で
抗原とIgE 抗体が抗原抗体反応を起こし、その際、生じ
る種々の症状によるものと考えられている。
【0003】このアレルギー疾患を根本的に治療する方
法として、減感作療法がある。この方法は、その原因抗
原を少量ずつ、また、症状に応じて投与量を徐々に増量
しながら、反復投与する方法である。この療法により遮
断抗体産生、IgE 抗体産生抑制、マスト細胞から遊離す
るヒスタミン量の低下が起こり、治療効果が得られると
考えられている。
【0004】一方、気管支喘息、小児喘息、アトピー性
皮膚炎などのアレルギー性疾患は、室内塵中に生息して
いるダニに対するアレルギーが主な原因であることが明
らかになっており、既にいくつかのダニ主要アレルゲン
蛋白質が同定されている (プラッツミルズ(Platts-Mil
ls) ら、ザ・ジャーナル・オブ・アレルギー・アンド・
クリニカル・イムノロジー(J. Allergy Clin. Immuno
l.)、80巻、755頁1987年) 。従って、この主要アレルゲ
ン、特にそのIgEが結合するのに必須な部位を用いた上
記アレルギー疾患の減感作療法は、きわめて有効である
が、精製アレルゲンおよびアレルゲン中の結合必須部位
の多量調製が必要である。精製ダニ主要アレルゲンを多
量に調製する方法は、結城らにより既に開示されている
(アレルギー(Japanese J. Allergology)、39巻、557
頁、1990年)。しかしダニ主要アレルゲンの抗Der f II
IgE抗体結合必須領域部位はこれまで特定されておら
ず、従ってその多量調製は不可能であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、既に開
示されているダニ主要アレルゲンDer f IIに対応する遺
伝子を遺伝子操作によって種々改変して発現させた後、
アレルギー患者血清との反応性を検討することにより、
Der f II IgE抗体結合必須部位の特定、並びにその多
量調製が可能となることを見出した。
【0006】それゆえ、本発明の目的は遺伝子工学を使
ってダニ主要アレルゲン蛋白質中のIgE 結合必須部位を
コードするDNA配列を得ることであり、かつそのDN
Aがコードしているダニ主要アレルゲンのIgE 結合必須
領域を発現して、目的とするアレルゲンにIgE 抗体が結
合する必須領域を大量に製造する方法を提供することで
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ヒョウヒダニ
主要アレルゲン(Der f II)のアレルギー患者IgE 抗体
が結合する必須な部位をコードするDNAおよび結合部
ペプチドである。ダニ主要アレルゲンDer f IIをコ
ードする遺伝子、およびその調製法は、既に結城らによ
り開示されている(アレルギー(Japanese J. Allergol
ogy)、39巻、557 頁、1990年)。アレルゲン蛋白質中の
エピトープ部位の特定には種々の方法を用いることがで
きるが、当該蛋白質をコードする遺伝子を用いることが
できる本発明の場合は、その遺伝子を改変し適当なベク
ターを用いて適当な宿主中で発現させ、発現蛋白質と患
者血清との反応で検索する方法が有利である。この一連
の操作には従来用いられている種々の方法を使うことが
可能である(マニアティス(Maniatis)ら、モレキュラ
ー・クローニング(Molecular Cloning)、コールド・ス
プリング・ハーバー・ラボラトリー (Cold Spring Harb
or Laboratory)、1982年) 。
【0008】Der f II遺伝子は単独あるいは適当なベク
ターへ挿入した後に種々の改変を加えることができる
が、特に発現ベクター、例えばpMAL-cのクローニングサ
イトへ挿入した状態で改変する方法が有利である。本ベ
クターを用いる場合、当該遺伝子はマルトース結合蛋白
質との融合蛋白質として発現し、その発現量が多いこと
から検出は容易である。
【0009】Der f II遺伝子は結城らが開示した方法
(アレルギー(Japanese J. Allergology)、39巻、557
頁、1990年)に従って調製した。得られたDer f II遺伝
子を含むプラスミドは、種々の制限酵素で改変を行っ
た。まず、制限酵素KpnI で切断し、3’突出末端をT4
ポリメラーゼで削除した。しかして得られたDer f II遺
伝子を含む直鎖状のプラスミドをエクソヌクレアーゼII
I で5’末端より欠失させた。反応時間を加減すること
により、順次欠失の程度の異なるDer f II遺伝子を含む
直鎖状のプラスミドが得られた。得られたプラスミドを
HindIIIで完全消化した後、アガロースゲル電気泳動を
行い欠失Der f II遺伝子を含む断片を得た。一方、プラ
スミドpMAL-c (ニューイングランドバイオラブ社製) を
StuI 及びHindIIIで完全消化した。先に調製しておいた
欠失Der f II遺伝子をT4リガーゼを用いてライゲーショ
ンして環状プラスミドとした。得られた欠失程度の異な
Der f II遺伝子を含むプラスミドで大腸菌を形質転換
した。方法は全てニューイングランドバイオラブ社のプ
ロトコールに従った。形質転換の後に、抗Der f IIポリ
クローナル抗体を用いたコロニーイムノアッセイでDer
f II蛋白を産生しているクローンを選択した。
【0010】形質転換した大腸菌をLブロス寒天培地
(1%バクトトリプトン、 0.5%イーストエキストラク
ト、0.5 %塩化ナトリウム、 1.5%バクトアガー、50μ
g/mlアンピシリン、pH7.4)上に生育させた後、生じた
コロニーを適宜Lブロス液体培地(Lブロス寒天培地か
ら寒天を除いたもの)へ接種した。37℃で約3時間培養
した後、IPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノ
シド)を0.1mMになるように加え、さらに2時間培養を
継続した。集菌後、全菌体蛋白質をSDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動に供した。電気泳動後のゲルをウ
エスタンブロッティング法(トゥビン(Towbin,H.) ら、
プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー
・オブ・サイエンス (Proc. Natl. Acad. Sci. U. S.
A.)、76巻、4350頁、1979年) で産生された蛋白質をセ
ルロースフィルターに転写した。蛋白質が転写されたフ
ィルターを0.1 %ツイーン20(Tween 20)でブロッキング
し、アレルギー患者血清を反応させた。その後、緩衝液
(トリス塩酸緩衝液、10mM、pH7.4 、塩化ナトリウム、
150mM 、ツイーン20、0.05%)で洗浄した。洗浄したフ
ィルターを、パーオキシダーゼで標識した抗ヒトIgE 抗
体(ICN 社製)と反応させた。しかる後に、反応しない
で残存しているパーオキシダーゼ標識抗体を除去した。
さらに、このフィルターを過酸化水素および色素4−ク
ロロ−1−ナフトールを用いて反応させた。
【0011】その結果、Der f II遺伝子の欠失がある程
度進むと、Der f II蛋白質はアレルギー患者IgE と反応
しなくなった。Der f II遺伝子は制限酵素Bam HIによる
完全分解で切り出すことができる。切り出されたDNA
断片はダイデオキシ法(サンガー(Sanger) ら、ジャー
ナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J. Mol.Bio
l.) 162巻、729 頁、1982年) などを用いてその塩基配
列を決定することができる。しかして、アレルギー患者
IgE と結合するDer f II蛋白質をコードする遺伝子のう
ち最も欠失程度が大きなものと、アレルギー患者IgE と
結合しないDerf II蛋白質をコードする遺伝子のうち最
も欠失程度が小さいものの塩基配列を決定した。決定さ
れた2株の塩基配列の重複しない部分の配列、すなわち
IgE との結合能を失う前後で欠失した塩基配列を次式I
に示す。また、式Iには対応するアミノ酸も示してあ
る。
【0012】式I: GAT-CCA-TGC-ATC-ATC Asp-Pro-Cys-Ile-Ile 本DNA断片および本DNA配列を含むDNA断片は、
Der f II遺伝子から適当な制限酵素やエクソヌクレアー
ゼ処理によって得ることができるが、DNA合成機を用
いて合成することもできる。しかる後に適当なベクター
および適当な宿主を用いて発現させ、目的とするペプチ
ドを製造することができる。あるいは化学合成によって
目的とするペプチドを製造することができる。
【0013】化学合成あるいは遺伝子工学により調製し
た、本発明に従うダニアレルゲン蛋白質Der f IIのエピ
トープ部位、その一部およびそれらが他のペプチド、蛋
白質などと融合した形のもので、生化学的、免疫学的に
ダニ主要アレルゲンDer f IIエピトープの性質を有する
ペプチドは、ダニに起因する各種のアレルギー疾患の予
防、治療あるいは診断に使用できる。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、遺伝子工学を使ってヒ
ョウヒダニ主要アレルゲン蛋白質Derf IIのIgE 結合必
須部位を決定したことにより、結合必須部位ペプチドを
コードするDNA断片を得ることができた。それ故、こ
のDNAがコードしているダニ主要アレルゲン蛋白質の
IgE結合必須部位を発現し、あるいは化学合成し、大量
に製造する方法を提供することができ、このIgE 結合必
須部位を用いて各種アレルギー疾患の予防、治療あるい
は診断に使用することができる。
【0015】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明をさらに具体的
に説明する。これらの実施例は単に本発明を説明するた
めのものであり、本発明の範囲を限定するものではな
い。 実施例1Der f II発現プラスミドpFL11 の改変 既に結城らにより開示されているところの、ダニ主要ア
レルゲンDerf IIのcDNAを保持しているプラスミドp
FL11(アレルギー(Japanese J. Allergology,39 巻、55
7 頁、1990年)からDer f IIをコードする遺伝子だけを
調製した。その概略を図1に示す。
【0016】pFL11 は発現用プラスミドpUEX1(アマシ
ャム社)を基にして構築されたものであって、その制限
酵素BamHI部位にDer f IIのcDNA遺伝子が合成ヌク
レオチドのアダプター(アマシャム社)を介して挿入さ
れている。このpFL11 を合成ヌクレオチドアダプター中
の制限酵素KpnI で完全消化し、0.7 %アガロース電気
泳動に供し消化DNA断片を分離した。Der f IIcDN
Aを完全に含んでいる約500 塩基対のKpnI 断片を泳動
後のアガロースゲルから抽出精製した。虫体由来成熟体
Der f IIのN末端アミノ酸アスパラギン酸に対応するコ
ドンGATの位置に丁度切断部位が存在する制限酵素Sa
u3AI で精製したKpnI 断片を、完全切断し、DNAポリ
メレースI クレノウ(Klenow)フラグメントを用い、切
断部位の突出末端を平滑化した。その後、制限酵素NcoI
で完全切断し、5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動
に供し、63塩基対のSau3AI(filled)-NcoI 断片を分離精
製した。同じように、KpnI 断片をポリA配列の直前に
切断部位が存在する制限酵素HinfIで完全切断した後、
末端を平滑化した。その後、やはりNcoI で切断後、5
%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離精製し、389
塩基対のNcoI-HinfI(filled)断片を得た。
【0017】大腸菌での発現ベクターにはpMAL-c( ニュ
ーイングランドバイオラブ社製) を用いた。同発現プラ
スミドにコードされたマルトース結合蛋白質遺伝子の
3’末端に異種蛋白質を融合する事によりlac プロモー
タの制御下マルトース結合蛋白質と異種蛋白質の融合蛋
白質を誘導発現する事が可能である(メイナ(Maina)
等、ジーン(Gene)、74巻、365 頁、1988年) 。このpMAL
-cを制限酵素StuI で完全消化しアルカリフォスファタ
ーゼ処理した。得られたベクターDNA断片と、先の63
塩基対のSau3AI(filled)-NcoI 断片と389 塩基対のNcoI
-HinfI(filled)断片を混合し、DNAライゲーションキ
ット(宝酒造株式会社製)を用いてライゲーション反応
を行い、大腸菌TBl(ニューイングランドバイオラブ社、
遺伝子型 ara, △(lac - proAB), rpsL, (φ80lacZ
△M15), hsdR) を形質転換した。ここで用いた遺伝子操
作の基本実験法 (制限酵素処理、修飾酵素処理等) はマ
ニアテス(Maniatis)らの方法 (モレキュラー クローニ
ング(Molecular Cloning) 、コールド スプリング ハ
ーバー プレス、1982年) に準拠した。また大腸菌の形
質転換には電気パルス法(バイオ ラッド社、ジーン
パルサー)を用いた。アンピシリン耐性のコロニーよ
り、プラスミドをアルカリ法(バーンボイム(Birnboi
m) 等、ヌクレイック アシッド リサーチ(Nucl. Acid
s Res.)、7巻、1513頁、1979年) にて分離した。得ら
れたプラスミドを制限酵素BamHIにより完全消化し、Der
f II遺伝子が挿入されていることを確認した。このよ
うにして得られた菌株を、pMFL11-c/TB1とした。
【0018】実施例2Der f II遺伝子の5’末端領域欠失遺伝子の作製 前記のpMFL11-cを用いて、Der f II遺伝子の5’末端が
段階的に欠失しているプラスミドシリーズを作製した
(図2)。この段階的欠失は、エキソヌクレアーゼIII
(ExonucleaseIII)とムング ビーン ヌクレアーゼ (Mu
ng Bean Nuclease) を併用するヘニコフ(Henikoff)の方
法(ジーン(Gene) 、28巻、351 頁、1984年) で行っ
た。
【0019】pMFL11-cを制限酵素StuI で消化し直鎖状
にした後、DNAブランティングキット(宝酒造株式会
社)を用いてKpnI 切断部位の突出末端を平滑化した。
この直鎖状DNA5μg を 105μl のExoIII緩衝液 (50
mM Tris-HCl, pH8.0、100mM 塩化ナトリウム、5mM塩化
マグネシウム、10mM 2−メルカプトエタノール) に溶解
し、180unit のエキソヌクレアーゼIII を1μl 加え23
℃で反応を開始した。20秒毎に7.5 μl ずつサンプリン
グして、反応を止めるために 100μl のムング ビーン
ヌクレアーゼ緩衝液(40mM 酢酸ナトリウム pH4.5、10
0mM 塩化ナトリウム、2mM塩化亜鉛、10%(v/v) グリセ
リン) の中へ順次加えていった。ムング ビーン ヌク
レアーゼ処理を行った後、DNAポリメレースI クレ
ノウ(Klenow) フラグメントによる末端修復を行った。
この一連の操作は、キロ シークエンス用デリーション
キット (宝酒造株式会社) を用いた。得られた直鎖状
DNAを、制限酵素HindIIIで完全切断し、10%ポリア
クリルアミドゲル電気泳動を行い、5’末端より順次欠
失の導入されたDer f II遺伝子を含む断片を分離精製し
た。
【0020】一方、プラスミドpMAL-cをStuI 及びHindI
IIで完全消化した。このDNA断片と先に調製した欠失
Der f II遺伝子を、DNAライゲーションキットを用い
てライゲーションして環状DNAとした。この反応液を
用い大腸菌TB1 を形質転換した。形質転換株が保持する
プラスミドにコードされたマルトース結合蛋白質遺伝子
と欠失Der f II遺伝子のコドンの読み枠が一致していれ
ば、Der f II蛋白質のN末端が欠失した融合蛋白質を発
現すると考えられる。そこで、得られたアンピシリン耐
性株よりコロニーイムノアッセイ法(アグリカルチュア
ル アンド バイオロジカル ケミストリー(Agric. B
iol. Chem.) 55巻、1233頁、1991年) によりマウス由来
Der f II抗体と反応する、すなわちDer f II融合蛋白
質を産生する株を選択した。陽性株を、L液体培地(1
%バクトトリプトン (Tryptone、ディフコ社製) 、0.5
%イースト・イクストラクト(Yeast Extract、ディフコ
社製) 、0.5 %塩化ナトリウム)に接種し、培養した
後、プラスミドを抽出し、制限酵素BamHI及びClaI で完
全消化しポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、Der
f II遺伝子の欠失程度を調べた。このようにして、Der
f II遺伝子の5’末端が0〜 200bp、順次欠失している
プラスミド及びそれぞれのプラスミドを保持しN末端欠
Der f II融合蛋白質を発現する大腸菌TB1 を100 種
類、得た。
【0021】実施例3 N末端欠失Der f II融合蛋白質のIgE 抗体結合能の検出 実施例2で得られた100 種の形質転換株が発現するN末
端欠失Der f II融合蛋白質のIgE 抗体との結合能を、ウ
エスタン ブロット法 (タウビン(Towbin)等、プロシー
ディング イン ナショナル アカデミー オブ サイ
エンス (Proc.Natl. Acad. Sci. USA)、69巻、1409
頁、1972年) を用いて調べた。
【0022】得られた形質転換株を100 μg/mlアンピシ
リンを含むL液体培地に接種し、37℃で振盪培養し、OD
660nm が0.4 になったところで、IPTG(イソプロピ
ル−β−チオガラクトピラノシド)を0.1mM になるよう
に添加し、さらに2時間培養した。培養後の菌体を遠心
分離で回収した後、サンプル バッファー(10%(v/v)グ
リセリン、5%(v/v) 2−メルカプトエタノール、3%
(w/v) SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、62mM Tris-
Cl pH6.8) に懸濁し、100 ℃で5分間、加熱処理するこ
とで全菌体蛋白質を抽出した。得られた蛋白サンプル
を、SDS−アクリルアミドゲル電気泳動(テフコ株式
会社製電気泳動装置、ゲル濃度8%) で分離した。泳動
後のゲルから、ニトロセルロース (バイオラッド社)も
しくは合成ポリマー(ミリポア社、商品名イモビロン)
のメンブランフィルター上に蛋白質を電気的に転写し
た。この転写は、セミドライ型蛋白質転写装置(アトー
社、ホライズ ブロット)を用いて行った。転写後のメ
ンブランを、抗体の非特異的吸着を防ぐためのブロッキ
ング操作として、0.1 %ツイーン20(Tween20) を含むPB
S 緩衝液 (ダルベッコ(Dulbecco)等、ジャーナル オブ
イクスペリメンタルメディシン(J. Exp. Med.)、99
巻、167 頁、1954年) で1時間、振盪した。一次抗体と
しては、ヒョウヒダニに対してアレルギーを持つ患者の
血清(RAST試験でIgE 量の多い一人の患者の血清もしく
は数人のアレルギー患者の血清を混ぜたプール血清) を
用いた。血清をPBS 緩衝液で4倍に希釈した溶液にメン
ブランを浸し一晩振盪した。その後、0.05%ツイーン20
を含むPBS 緩衝液で3回清浄して、吸着しなかった一次
抗体を洗い流した。二次抗体はパーオキシダーゼ標識し
た抗ヒトIgE 抗体(ICN社製)を用い、一次抗体の時
と同様にPBS で希釈(400倍)し、吸着(4時間)、洗浄
操作を行った。発色試薬のクロロナフトール(4-chloro
-1-naphthol)を0.5mg/mlの濃度でPBS 緩衝液に溶解し、
過酸化水素水を最終濃度0.05%になるように添加した
後、メンブランを浸し発色を行った。
【0023】この方法で欠失操作前のpMFL11-c/TB1の発
現する融合蛋白質は明らかに患者血清中のIgE 抗体と反
応した。それに対して、N末端欠失Der f II融合蛋白質
は欠失程度が少ないうちはIgE 抗体と反応するが、ある
程度以上欠失するとその反応性を失った。ここで、IgE
抗体と反応しない融合蛋白質をコードするプラスミドの
うち欠失が最も少ない株、及びIgE 抗体と反応する融合
蛋白質をコードするプラスミドのうち欠失が最も多い株
を選択し、その塩基配列の決定を試みた。
【0024】実施例4 欠失プラスミドの塩基配列の決定 前述した、IgE 抗体と反応しない融合蛋白質をコードす
るプラスミドのうち欠失が最も少ないもの、およびIgE
抗体と反応する融合蛋白質をコードするプラスミドのう
ち欠失が最も多いものの塩基配列を決定した。
【0025】得られたプラスミドをBamHIで完全消化
し、1.5 %アガロースゲル電気泳動を行い、Der f II遺
伝子を含むDNA切断を分離精製した。得られたDNA
切断をBam HIで完全消化し、サンガー(Sanger)の塩基配
列決定法(サイエンス(Science) 214巻、1205−1210
頁、1981年) に適したベクター pUC118(メッシング(Mes
sing) 等、メソッズ イン エンザイモロジー(Methods
in Enzymology) 101巻、20〜78頁、1987年) に挿入し
た後に、大腸菌宿主MV1184 (宝酒造社、遺伝子型 ara,
thi, strA, △(lac proAB ),(φ80 lacZ △M15),
(srlrecA)306::Tn10(tetr )F' (proAB + , lacI qZ
△DM15, traD36))を形質転換した。この組換えプラスミ
ドの一本鎖DNAを単離精製し、サンガー(Sanger)の方
法に従い、塩基配列を決定した。配列決定には、蛍光式
自動DNAシークエンサー (アプライド バイオ シス
テム社製、Model 373A) を用いた。その結果、欠失プラ
スミドがDer f II遺伝子中の上記式Iで示される塩基配
列を欠失すると、IgE 結合能が失われることが判明し
た。このことは翻訳蛋白質がIgE 結合能を失う前後で、
式Iで示されたアミノ酸のみが欠失していることを示唆
している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1においてダニ主要アレルゲンDer f II
の cDNAを保持しているプラスミドpFL11 を改変して
エピトープ部位を探索するためのプラスミドpMFL11-cを
構築するまでの工程を示す図。
【図2】実施例2においてpMFL11-cを用いてDer fII遺
伝子の5’末端が段階的に欠失しているプラスミドシリ
ーズを作製する工程を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥村 康 東京都大田区大森北2−13−1 アサヒ ビール株式会社応用技術研究所内 (72)発明者 杉山 哲資 千葉県市川市南八幡3丁目14番3号 鳥 居薬品株式会社研究所内 (72)発明者 山川 洋志 千葉県市川市南八幡3丁目14番3号 鳥 居薬品株式会社研究所内 (56)参考文献 特開 平3−254683(JP,A) J.Allergy Clin.Im munol.,Vol.83,No.6, (1989),p.1055−1067 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/12 C07K 7/06 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) MEDLINE(STN) WPIDS(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒョウヒダニ主要アレルゲン(Der f II)
    中のヒト抗Der f IIIgE抗体が結合するのに必須な次の
    式I: Asp-Pro-Cys-Ile-Ile アミノ酸配列で示されるペプチド。
  2. 【請求項2】次の式II: GAT-CCA-TGC-ATC-ATC 塩基配列で示される請求項1記
    載のアミノ酸配列をコードするDNA。
JP31006991A 1991-10-30 1991-10-30 ダニ主要アレルゲンDer f II中のペプチド Expired - Fee Related JP3149033B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31006991A JP3149033B2 (ja) 1991-10-30 1991-10-30 ダニ主要アレルゲンDer f II中のペプチド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31006991A JP3149033B2 (ja) 1991-10-30 1991-10-30 ダニ主要アレルゲンDer f II中のペプチド

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05125099A JPH05125099A (ja) 1993-05-21
JP3149033B2 true JP3149033B2 (ja) 2001-03-26

Family

ID=18000798

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31006991A Expired - Fee Related JP3149033B2 (ja) 1991-10-30 1991-10-30 ダニ主要アレルゲンDer f II中のペプチド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3149033B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU7195194A (en) * 1993-07-16 1995-02-13 Meiji Milk Products Co., Ltd. Antiallergic agent
SE9403526D0 (sv) 1994-10-14 1994-10-14 Astra Ab New Peptides

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2594123B2 (ja) * 1987-09-12 1997-03-26 株式会社林原生物化学研究所 減感作剤
JP2596466B2 (ja) * 1990-03-03 1997-04-02 アサヒビール株式会社 ダニの主要アレルゲンの還伝情報を有するdnaおよび該アレルゲンの製造方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
J.Allergy Clin.Immunol.,Vol.83,No.6,(1989),p.1055−1067

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05125099A (ja) 1993-05-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2596466B2 (ja) ダニの主要アレルゲンの還伝情報を有するdnaおよび該アレルゲンの製造方法
Chua et al. High-frequency binding of IgE to the Der p allergen expressed in yeast
Chua et al. IgE binding studies with large peptides expressed from Der p II cDNA constructs
JP2009005709A (ja) ダーマトファゴイデス(家ほこりダニ)からの主要なアレルゲンのt細胞エピトープの製造方法
JPH04288100A (ja) 組換えダニアレルゲン
JPS62228286A (ja) ボルデテラ・パ−タツシス染色体DNAのEcoRIフラグメント
JP3316535B2 (ja) ダニアレルゲンの改変体およびその製造法
JP3149033B2 (ja) ダニ主要アレルゲンDer f II中のペプチド
JP2632603B2 (ja) ヒト抗DerfIIIgE抗体が結合するペプチド
JP3451572B2 (ja) 改変したダニ主要アレルゲン及びその製造方法
JP2657861B2 (ja) ダニ主要アレルゲンの製造方法
EP1317484B1 (en) Variants of the phleum pratense phl p 1 allergenic protein
CA2370393C (en) Dna sequence, and recombinant production of a gramineae allergen
JP2011236217A (ja) 牧草花粉Phlp6アレルゲンの非アナフィラキシー形態及びそれらの使用
JP3805466B2 (ja) 組換えダニアレルゲンDer f 1およびその製造方法
JPH01503514A (ja) 免疫原性ポリペプチドとその精製法
JPH0795887A (ja) 改変したダニ主要アレルゲン及びその製造方法
Mohapatra et al. Molecular cloning of grass pollen allergens: progress and perspectives
CA2487915C (en) Allergen from mugwort pollen
JPWO2004099406A1 (ja) 改変ダニ主要アレルゲンの精製方法
JPH09501043A (ja) Dermatophagoides(室内塵ダニ)由来の主要アレルゲンのt細胞エピトープ
JPH11318475A (ja) マラリア特異性dna配列物、それらの発現産物およびそれらの使用
US6559121B2 (en) Vaccines for the protection of cattle from psoroptic scabies
JP2002512528A (ja) ストレプトコッカス イクイの保護m−様タンパク質をコードする化合物及びその検定
JPH06256390A (ja) IgE結合性ペプチド

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees