JP2643426B2 - 非経口投与用薬剤組成物 - Google Patents

非経口投与用薬剤組成物

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JP2643426B2 JP1077938A JP7793889A JP2643426B2 JP 2643426 B2 JP2643426 B2 JP 2643426B2 JP 1077938 A JP1077938 A JP 1077938A JP 7793889 A JP7793889 A JP 7793889A JP 2643426 B2 JP2643426 B2 JP 2643426B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、水に不溶性もしくは難溶性であるか、およ
び/または水中で不安定な薬剤を特定のシクロデキスト
リン誘導体と組合せてなる、非経口投与用薬剤水溶液に
関する。この水溶液は、非経口投与後に注射部位および
/または肺その他の器官内での薬剤の析出に伴う問題を
軽減する手段となる。
[従来の技術] シクロデキストリン類は環式オリゴ糖類である。最も
普通のシクロデキストリンは、6単位のグルコース残基
の環からなるα−シクロデキストリン、7単位のグルコ
ース残基の環からなるβ−シクロデキストリン、および
8単位のグルコース残基の環からなるγ−シクロデキス
トリンである。シクロデキストリンの内部の空洞部は親
油性であり、シクロデキストリンの外側は親水性であ
る。この性質の組合せにより、天然のシクロデキストリ
ンに関しては、特に薬剤と組合せることに関して広範な
研究が進められており、多数の包接化合物がこれまでに
報告されている。β−シクロデキストリンは、その内部
空洞部の大きさにより特に注目されてきたが、水溶性が
比較的低いため医薬分野での使用には限界があった。
天然シクロデキストリンの性質を変性する試みの結
果、ヘプタキス(2,6−ジ−O−メチル)−β−シクロ
デキストリン、ヘプタキス(2,3,6−トリ−O−メチ
ル)−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−
β−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン−エ
ピクロロヒドリンポリマーなどのシクロデキストリン誘
導体が開発された。シクロデキストリンおよび医薬分野
での研究におけるその用途については、例えば、Pitha
et al,Controlled Drug Delivery(S.D.Bruck編)、第
1巻、CRS Press,米国フロリダ,pp.125−148(1983)に
包括的に解説されている。より最近の概説としては、Ue
kamaら,CRC Critical Reviews in Therapeutic Drug C
arrier Systems,Vol.3(1),1−40(1987);Uekama,To
pics in Pharmaceutical Sciences 1987(D.D.Breimer
他編),Elsevier Science Publishers B.V.(Biomedica
l Division),1987,181−194;およびPagington,Chemist
ry in Britain,1987年5月,455−458も参照できる。
α−、β−もしくはγ−シクロデキストリンまたはこ
れらの混合物と多様な薬剤との包接化合物に関しては、
これまでにも多数の提案がなされており、またこの包接
化合物の各種の利点が指摘されてきた。米国特許に開示
されたこれらの従来技術を次にまとめて示す。
2,6−ジ−O−メチル−β−シクロデキストリンと、
鎮痛、嘔吐抑制および麻薬増強作用を有するジベンゾ
[bd]ピラン誘導体および塩との包接化合物は、Ngr
diらの米国特許No.4,599,327に記載されており、この
包接化合物について、水溶性が増大し、そのため生物学
的活性が改善されると説明されている。このようなメチ
ル化シクロデキストリン類の医薬への応用に関しては、
Uekama,Pharm,Int.,1985年3月,61−65に解説されてい
る。Pitha,J.of Inclusion Phenomana,2,477−485(198
4)も参照できる。
シクロデキストリンのポリマーについては、Fenyvesi
ら,Chem.Pharm.Bull.32(2),665−669(1984)に、
フロセミドの溶解を改善することが報告されている。水
溶性のβ−シクロデキストリンエピクロロヒドリンポリ
マーを使用して、フェニトインの溶解と吸収とを改善す
ることが、Uekamaら,International Journal of Pharm
aceutics23,35−42(1985)に記載されている。
ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPC
D)およびβ−シクロデキストリンへのプロピレンオキ
シドの付加によるHPCDの製造については、20年近く前の
Grameraらの米国特許No.3,459,731に記載されている。G
rameraらはまた、類似の方法でβ−シクロデキストリン
とエチレンオキシドとを反応させてヒドロキシエチル−
β−シクロデキストリンを製造することも報告してい
る。ずっと最近になって、Pithaとその共同研究者によ
り、このシクロデキストリン誘導体の改善された製造方
法、および各種薬剤分子の溶解に対するその効果が報告
された。1986年6月24日付のPithaの米国特許No.4,596,
795は、性ホルモン、特にテストステロン、プロゲステ
ロンおよびエストラジオールと、特定のシクロデキスト
リン類、好ましくはヒドロキシプロピル−β−シクロデ
キストリンおよびポリ−β−シクロデキストリン、との
包接化合物を開示している。この包接化合物は、性ホル
モンを舌下もしくは頬経路により大循環系にうまく供給
することができる。この供給の有効性は、「シクロデキ
ストリンの親水性誘導体の高い溶解力、これとステロイ
ドとの包接化合物の非凝集構造、ならびにその低毒性お
よび口内組織の低刺激性」に起因するものと考えられ
る。ポリ−γ−シクロデキストリンおよびヒドロキシプ
ロピル−γ−シクロデキストリンを含む他のシクロデキ
ストリン類でもうまくいくことも、上記のPithaの米国
特許に言及されている。上記と同じおよび関連の研究に
関するPithaら,J.Pharm.Sci.,Vol.74,No.9,1985年9
月,987−990も参照できる。PithaらのJ.Pharm.Sci.中の
論文には、テストステロン/ヒドロキシプロピル−β−
シクロデキストリン包接化合物を含有する錠剤の貯蔵安
定性、シクトデキストリン自体に毒性がないこと、なら
びにシクロデキストリン誘導体および薬剤とのその包接
化合物の非晶質性が溶解特性の改善に重要であること、
も記載されている。
ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンの改善
された最適な製造および精製方法が、最近Pithaら,Int
ernational Journal of Phamaceutics29,73−82(198
6)に記載されている。この文献において、著者は、ヒ
ドロキシプロピル−β−シクロデキストリンの濃厚(40
〜50%)水溶液中で次のものを含む32種類の薬剤の水溶
性が増大したと述べている;すなわち、アセタミドフェ
ン、アポモルフィン、ブチル化ヒドロキシトルエン、ク
ロルタリドン、コレカルシフェロール、デキサメタゾ
ン、ジクマロール、ジゴキシン、ジフェニルヒダントイ
ン、エストラジオール、エストリオール、エチニルエス
トラジオール3−メチルエーテル、エチステロン、フロ
セミド、ヒドロフルメチアジド、インドメタシン、リン
酸イソプロニアジド、17−メチルテストステロン、ニト
ログリセリン、ノルエチンドロン、ウアバイン、オクス
プレノロール、プロゲステロン、レチナール、レチン酸
(全transおよび塩型)、レチノール、スピロノラクト
ン、スルピリド、テストステロン、およびテオフィリン
の可溶化が改善されることが認められた。上記文献の著
者はまた、この研究は、性ホルモンのヒトへの経口投与
に有効であることが既に認められているヒドロキシプロ
ピル−β−シクロデキストリンについて彼らがそれ以前
に行った研究の延長上にある、と述べている。Pitha
ら,International Journal of Pharmaceutics29,73
−89(1986)に報告されている彼らのその後の研究は、
ごく最近に発行されたPthaの米国特許No.4,727,064(19
88.2.23)にも記載されている。この米国特許には、シ
クロデキストリンと薬剤との非晶質包接化合物を含有す
る組成物、ならびに(1)薬剤と包接化合物を形成する
ことのできる水溶性の2種以上のシクロデキストリン誘
導体の本質的に非晶質の混合物を水に溶解し、(2)親
油性薬剤を水性媒質に可溶化させて溶液を形成し、可溶
化された薬剤/シクロデキストリン包接化合物を形成す
ることからなる、薬剤とシクロデキストリン混合物との
安定化性非晶質包接化合物の製造方法が記載されてい
る。
Uekamaら、CRC Critical Reviews in Therapeutic Dr
ug Carrier Systems,Vol.3(1),pp.1−40(1987)に
は、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含
む各種シクロデキストリン類の特性が記載されている。
この著者は、カルモフール、ジアゼパム、ジギトキシ
ン、ジゴキシン、フルルビプロフェン、インドメタシ
ン、イソソルビド二硝酸塩、フェニトイン、プレドニゾ
ロン、プロゲステロンおよびテストステロンの各薬剤に
ついて、15mg/mlのHPCDの存在により薬剤の水溶性が改
善されることを示すデータを掲示した。シクトデキスト
リン類の代謝と毒性に関し、Uekamaらは、かなり高濃度
でのシクロデキストリン類は溶血を引起し、特にメチル
化シクロデキストリン類は天然のシクロデキストリン類
に比べて高い溶血作用を示すことを指摘している。ヒド
ロキシプロピル−β−シクロデキストリンは4.5mMで溶
血が起こり始めると言われている。この著者はさらに、
シクロデキストリン類の多量の非経口投与は避けるのが
よいが、γ−シクロデキストリンおよびヒドロキシプロ
ピル−β−シクロデキストリンは、注射用および粘膜に
用いる液体製剤用の薬剤可溶化に有用であるようだと指
摘している。
JANSSEN PHARMACEUTICA N.V.の国際特許出願No.PCT/E
P84/00417(1985年7月4日公開、国際公開No.WO85/027
67)には、水中で不安定であるか水にわずかしか溶解し
ない薬剤と、ヒドロキシアルキル基と場合によりさらに
アルキル基とを有する部分エーテル化β−シクロデキス
トリン誘導体との包接化合物からなる薬剤組成物が記載
されている。このシクロデキストリン誘導体にはヒドロ
キシプロピル−β−シクロデキストリンも包含され、一
方、薬剤には非ステロイド系抗リウマチ薬、ステロイ
ド、強心配糖体、ならびにベンゾジアゼピン、ベンゾイ
ミダゾール、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾールお
よびトリアゾールの誘導体が包含される。好ましい薬剤
としては、エトミデート、ケトコナゾール、ツブラゾー
ル、イトラコナゾール、レボカバスチンおよびフルナリ
ジンが挙げられる。この国際出願の薬剤組成物は、経
口、非経口、および局所投与用の処方のものを含み、各
種薬剤の可溶化にはシクロデキストリン誘導体の4〜10
%溶液が使用される。10%HPCDを使用してインドメタシ
ン、ジギトキシン、プロゲステロン、デキサメタゾン、
ヒドロコルチゾンおよびジアゼパムの水溶性が改善され
ることが示されており、7%HPCD中のジアゼパムの注射
液が具体例として記載されている。比較的低いシクロデ
キストリン濃度を使用したのは、高いシクロデキストリ
ン濃度で認められる溶血作用を避けるか、あるいは最小
限にとどめたいことによる。
Carpenterら,The Journal of Pediatrics,111,507−
512(1987年10月)には、水中5%溶液として調製した
2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンの静
脈内滴注による重度のビタミンA過剰症の治療が記載さ
れている。この滴注中に循環系レチニル(retinyl)エ
ステルが一時的に増大するが、滴注後に尿中に***され
た全ビタミンA量が高くなることが認められた。例え
ば、5%HPCDの静脈内滴注はビタミンAの生体内濃度を
低下させることが判明したが、これは恐らくこのビタミ
ンと包接化合物を形成し、体内から過剰分の一部を除去
することによるものであろう。
その他のシクロデキストリン誘導体の包接化合物の生
成についても文献に記載されている。α−、β−および
γ−シクロデキストリンのグルコシルおよびマルトシル
誘導体である分岐シクロデキストリン誘導体、ならびに
それと薬剤との包接化合物に関する研究が最近報告され
ている。Uekama,Topics in Pharmaceutical Sciences 1
987(D.D.Breimer他編),Elsevier Science Publishers
B.V.(Biomedical Division),1987,181−194には、マ
ルトシルおよびグルコシルシクロデキストリン誘導体の
薬剤吸収性の増大を含む生物薬学的性質に及ぼす効果が
記載されている。コイズミら,Chem.Pharm.Bull.35
(8),3413−3418(1987)には、難水溶性の薬剤とグ
ルコシルシクロデキストリン類、すなわち、6−O−α
−D−グルコシル−a−CD(G1−α−CD)、6−O−α
−D−グルコシル−β−CD(G1−β−CD)および6A,6D
−ジ−O−α−D−グルコシル−β−CD(2G1−β−C
D)との包接化合物が報告されている。オカダら,Chem.
Pharm.Bull.36(6),2176−2185(1988)には、難水
溶液の薬剤とマルトシルシクロデキストリン類、すなわ
ち、6−O−α−マルトシル−α−CD(G2−αCD)、6
−O−α−マルトシル−β−CD(G2−β−CD)、6−O
−α−マルトシル−γ−CD(G2−γ−CD)、6−O−α
−マルトトリオシル−α−CD(G3−α−CD)、6−O−
α−マルトトリオシル−β−CD(G3−β−CD)および6
−O−α−マルトトリオシル−γ−CD(G3−γ−CD)と
の包接化合物が報告されている。
脳への薬剤の供給は、輸送因子および代謝因子によっ
て、より具体的には内皮脳毛細血管壁の機能上の関門、
すなわち血液脳関門(BBB)によって著しく制限される
ことが多い。脳に対する薬剤の部位特異的供給および持
続的供給はさらに一層困難である。
多数の薬剤の脳への供給に対して、ジヒドロピリジン
ピリジニウム塩型レドックス系の適用が好結果を生ず
ることが最近になり判明した。一般的に説明すると、こ
のレドックス系を利用して、生物学的に活性な化合物の
ジヒドロピリジン誘導体を合成する。この誘導体は、そ
の全身投与後に、血液脳関門を通ってCNS(中枢神経
系)に入ることができる。その後、このジヒドロピリジ
ン型化合物が対応するピリジウム塩に酸化されると、薬
剤の脳への供給が起こる。
これまで、このレドックス系を使用した脳への薬剤の
供給に対して、次に述べる3種類の主要な方法が発表さ
れている。
第一の方法は、選択した薬剤から、ピリジニウム核を
一体的構造部分として含有する誘導体を形成する方法で
ある。この方法は、その活性核が第四級ピリジウム塩を
構成しているN−メチルピリジニウム−2−カルブアル
ドキシム・クロリド(2−PAM)を、そのジヒドロピリ
ジン型の潜在化プロドラッグ(前駆薬剤種)形態を経由
して脳に供給するのに最初に応用された。すなわち、親
水性化合物(2−PAM)を、そのジヒドロピリジン形態
(Pro−2−PAM)とすることによってリポイド性(すな
わち、親油性あるいは脂肪親和性)とし、リポイド性の
関門を通過することができるようにした。この単純なプ
ロドラッグによる方法は、この化合物を脳ならびに他の
器官内に導入することはできたが、この操作により脳特
異性は実際には全く得られず、また脳特異性を得ること
も不可能であった。しかも、かかる方法の応用は、比較
的小分子の第四級ピリジニウム環含有薬剤種に限定され
ており、所望薬剤を脳に特異的に持続して放出し、同時
に一般循環系からの急激な排出、薬効の増大および毒性
の減少を伴うという総合的な理想的結果を生ずることは
なかった。脳内で生成した2−PAMの脳内での捕捉(tra
pping)は起こらず、その結果、当然ながら、脳特異的
な持続した供給は起こらなかった。生成した2−PAM
は、一般循環系およびその他の器官から排出されるのと
同様の速さで脳からも急速に排出された。これに関して
は、米国特許第3,929,813号および第3,962,447号;ボー
ダーら(Bodor et al),J.Pharm.Sci.67,No.5,685
(1978)を参照されたい。また、Roche,E.B.編のDesign
of Biopharmaceutical Properties Through Prodrugs
and Analogsに所載の“Novel Approaches for the Desi
gn of Membrane Transport Properties of Drugs"と題
するボーダーの論文,APhA Academy of Pharmaceutical
Sciences,ワシントンD.C.,98−135(1976)も参照され
たい。ただし、この第一の方法のその後の進展により、
ずっと大きな第四級塩であるベルベリンをそのジヒドロ
ピリジン型プロドラッグ形態を経て脳に供給したとこ
ろ、この制ガン薬の脳への部位特異的な持続した供給が
行われることが判明した。ボーダーら,Science,Vol,21
4,pp.1370−1372(1981年12月18日)参照。
上記レドックス系を使用して脳に薬剤を供給する第二
の方法は、生物学的に活性な化合物に、ピリジウムキャ
リアーを化学的に結合させて使用する方法である。前出
のボーダーらScience,Vol.214,pp.1370−1372(1981年1
2月18日)には、この方式による薬種の脳への特異的か
つ持続的供給について、次の図式Iに示すように概説し
ている。
Science中のこの図式によれば、薬剤[D]を第四級
キャリアー[QC]に結合させ、得られた[D−QC]
を次いで、リポイド性のジヒドロ形態[D−DHC]に化
学的に還元する。この[D−DHC]を生体的に投与する
と、これは脳を含む全身に迅速に分配される。ジヒドロ
形態の[D−DHC]は次いでその場で酸化を受け(速度
定数,K1)(NADNADH系による生体内酸化)、理想的に
は不活性なもとの[D−QC]第四級塩になる。この第
四級塩は、そのイオン性かつ親水性のために、身体の一
般循環系からは急速に排出されるが、その脳からの排出
は血液脳関門により妨げられる(K>>K2;K3>>
K7)。こうして脳内に「閉塞」または「閉じ込め」られ
ている[D−QC]の酵素開裂により、薬剤種[D]の
持続した供給が行われ、その後この薬剤種の普通の排出
(K5)、代謝が起こる。適切に選択されたキャリアー
[QC]も脳から急速に排出されよう(K6>>K2)。
[D−QC]は一般循環系からは容易に排出されるの
で、身体にはごく微量の薬剤しか放出されず(K3>>
K4)、[D]は主に脳内に放出されることになる(K4
K2)。以上を総合すると、目標薬剤種の脳特異的な持続
した放出という結果が、理想的には得られよう。具体的
に、ボーダーらはフェニルエチルアミンを薬剤モデルと
して研究した。この化合物をニコチン酸と結合させ、次
いで第四級化して、次式で示される化合物を得た。
この化合物を次いで亜ジチオン酸ナトリウムにより還
元して、次式で示される対応化合物を得た。
上記のN−メチル誘導体の生体内での試験結果は図式
Iに示した概念を支持した。ボーダーらは、上掲または
類似のキャリアー系を使用して各種の薬剤を供給するこ
とができるかもしれないと考え、小ペプチド類を始めと
するアミノもしくはヒドロキシル基含有薬剤の脳への供
給に関して、N−メチルニコチン酸エステルおよびアミ
ド類ならびにこれらのピリジン環置換誘導体の使用につ
いて研究していたことを指摘した。それ以外に可能性あ
るキャリアーの具体例は開示しなかった。
上記ドレックスキャリアー系を使用したこの研究に関
しては、その他にも、The Friday Evening Post,1981年
8月14日(米国フロリダ州、ゲインズビル、フロリダ大
学、ヘルス・センター・コミュニケーションズ);Chem
ical & Engineering News,1981年12月21日,pp.24−25;
ならびにScience News,1982年1月2日,Vol.121,No.1,
p.7にも報告がある。より最近、上記レドックスキャリ
アー系は、可能なキャリアーおよび供給される薬剤に関
して実質的に拡張された。たとえば、国際特許出願No.P
CT/US83/00725(1983年5月12日出願,国際公開番号W08
3/03968として1983年11月24日公開)を参照されたい。
また、Bodor et al,Pharmacology and Therapeutics,Vo
l.19,No.3,pp.337−386(1983);およびボーダーの米
国特許第4,540,564号(1985年9月10日)も参照でき
る。
上記レドックス系を利用して脳に薬剤を供給するため
の第三の方法は、中枢に作用するアミンの第一、第二も
しくは第三アミン官能基をジヒドロピリジンピリジニ
ウム塩型レドックス系で置換した誘導体を使用する方法
である。この中枢作用性アミンの脳特異的類似化合物
は、国際特許出願No.PCT/US85/00236(1985年2月15日
出願,国際公開番号W085/03937として1985年9月12日公
開)に記載されている。ジヒドロピリジン型類似化合物
(誘導体)は、構造式 で示される。式中、Dは中枢に作用する第一、第二また
は第三アミンの残基を意味し、 は下記の式(a)〜(d)で示される基を意味する。
上記式中、式(a)の点線は該ジヒドロピリジン環の
4または5位のいずれかに二重結合が存在することを意
味し;式(b)の点線は該ジヒドロキノリン環の2また
は3位のいずれかに二重結合が存在することを意味し;m
は0または1であり;nは0、1または2であり;pは0、
1または2であるが、ただしpが1または2である場合
には、式(b)の各R基は2個の縮合環のいずれに位置
することもでき;qは0、1または2であるが、ただしq
が1または2である場合には、式(c)の各R基は2個
の縮合環のいずれに位置することもでき;各R基は、ハ
ロゲン、C1〜C7アルキル、C1〜C7アルコキシ、C2〜C8
ルコキシカルボニル、C2〜C8アルカノイルオキシ、C1
C7ハロアルキル、C1〜C7〜アルキルチオ、C1〜C7アルキ
ルスルフィニル、C1〜C7アルキルスルホニル、−CH=NO
R(Rは水素もしくはC1〜C7アルキル基を意味す
る)、および−CONR′R″(R′およびR″は同一でも
異別でもよく、それぞれ水素もしくはC1〜C7アルキル基
を意味する)よりなる群から別個に選択された基を意味
する。
上記のジヒドロピリジン型類似化合物は、生体内で、
対応する生物学的に活性な第四級塩化合物の供給系とし
て作用する。その脂肪親和性(親油性)のために、ジヒ
ドロピリジン型類似化合物は全身に分配され、血液脳関
門を通過して脳にも容易に侵入するこができる。その
後、生体内で酸化されて第四級塩形態に変換されると、
脳内への優先的な「閉じ込め」が起こる。しかし、前出
のボーダーの米国特許第4,540,564号および関連文献に
記載の薬剤−キャリアー誘導体とは異なり、薬剤部分と
第四級塩部分との間に、代謝により容易に開裂しうる結
合は存在しない。脳に供給される活性種は、ジヒドロ型
類似化合物を誘導するのに使用した最初の薬剤(原液
剤)ではなく、第四級塩型の類似化合物それ自体であ
る。
このように、上述した脳を標的とする薬剤供給用のジ
ヒドロピリジンピリジニウム塩型レドックス系を利用
した3種類の主要な方法は、それぞれ独自の特異な性質
を有しているが、すべての方法に共通する性質もある。
どの方法にも共通するのは、薬剤分子中にジヒドロピリ
ジン型の核を導入することであり、その結果、得られた
ジヒドロピリジンを含有する薬剤誘導体は、その誘導に
使用したもとの薬剤(原薬剤)に比べて実質的に親和性
がより高くなる。この親油性の増大により、得られた誘
導体が血液脳関門をはじめとする生体膜を容易に透過す
ることができるようになる。どの方法にも共通する別の
性質は、ジヒドロピリジン型部位の「レドックス」性に
より、この親油性のジヒドロピリジン形態の化合物が生
体内で親水性でイオン性のピリジニウム塩の形態に酸化
されることができ、それにより使用した方法に応じて活
性薬剤自体もしくはその第四級塩前駆物質が脳内に閉じ
込められるという結果を生ずることである。
ジヒドロピリジンピリジニウム塩型レドックスキャ
リアーおよびその類似系は、実験室試験では薬剤を脳に
集中供給するのに非常な成功を収めた。この成功の一部
は、もちろんジヒドロピリジン含有誘導体が持つ高度に
親油性の性質に起因する。この性質により脳への透過が
可能となる。しかし同時に、この親油性の増大により、
これらの誘導体の注射用の水溶液を調製ないし処方する
ことが実際上不可能となるという欠点もある。さらに、
このジヒドロピリジン含有誘導体をジメチルスルホキシ
ドのような有機溶媒に溶解させても、この誘導体は注射
後に溶液から析出する傾向があり、特に濃度が高めの場
合、ならびに注射部位もしくは肺においてその傾向が強
い。実際、認めうるほどの結晶析出がなくても、上記レ
ドックス系誘導体は脳内に所望の濃度を示す以外に、し
ばしば望ましくない高い肺中濃度をも示すことが認めら
れた。その結果、脳中/血液中の薬剤濃度比が適当な高
い水準にある一方で、初期の肺中/脳中薬剤濃度比もま
た高くなる。その上、ジヒドロピリジン含有誘導体は、
乾燥状態にあっても酸化ならびに水の付加に非常に敏感
であるので、安定性の問題でも欠点がある。ジヒドロピ
リジンピリジニウム塩型レドックス系を完全に商品化
できるようにするために克服しなければならないこれら
の問題点は、特願昭64−37号にも指摘されている。特
に、本発明は非経口投与後の注射部位もしくはその付近
および/または肺中におけるジヒドロピリジンピリジ
ニウム塩型レドックス系の望ましくない高濃度や析出に
関連する問題、ならびに水に不溶性もしくは難溶性およ
び/または水中で不安定な他の薬剤の非経口投与に見ら
れる同様の問題に対処するものである。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、水に不溶もしくは難溶性であるか、
および/または水中で不安定な薬剤の改善された非経口
投与用水溶液を提供することである。
本発明の別の目的は、親油性および/または水中で不
安定な薬剤がその非経口投与後に注射部位もしくはその
付近および/または肺中で析出する傾向を軽減する方法
を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、脳を標的とする薬剤供給
用のジヒドロピリジンピリジニウム塩型レドックス系
の還元形態であるジヒドロピリジン化合物を含有する改
善された非経口投与用水溶液を提供することである。
本発明の他の目的は、脳を標的とする薬剤供給用のジ
ヒドロピリジンピリジニウム塩型レドックス系の還元
形態であるジヒドロピリジン化合物がその非経口投与後
に注射部位もしくはその付近および/または肺中で析出
する経口を軽減する方法を提供することである。
[課題を解決するための手段] 上記目的は、水に不溶もしくは難溶性および/または
水中で不安定な薬剤を、β−もしくはγ−シクロデキス
トリンのヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、グル
コシル、マルトシルもしくはマルトトリオシル誘導体を
約20〜50%含有する水溶液中にとかした非経口投与用水
溶液により達成される。本発明はまた、β−もしくはγ
−シクロデキストリンのヒドロキシプロピル、ヒドロキ
シエチル、グルコシル、マルトシルもしくはマルトトリ
オシル誘導体を約20〜50%含有する非経口投与用の水溶
液中に薬剤を溶解した組成物とすることからなる、親油
性および/または水中で不安定な薬剤がその非経口投与
後に注射部位もしくはその付近/およびまたは肺その他
の器官内で析出する傾向を軽減するための新規な方法を
提供する。本発明の1態様において、薬剤は、脳を標的
とする薬剤供給用のジヒドロピリジンピリジニウム塩
型レドックス系の還元形態である生酸化性、血液脳関門
透過性、リポイド性のジヒドロピリジン化合物である。
[作用] 以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書で使用した用語「親油性」とは、その薬剤が
脂質可溶性で疎水性、すなわち水に不溶性または難溶性
(ほとんど溶解しない)であることを意味する。
「非経口」とは、胃腸管もしくは肺を通る以外の投与
経路、ならびにこのような経路での薬剤投与に用いられ
る組成物(処方)を意味する。すなわち、本明細書で用
いた「非経口」とは、例えば、筋肉内、皮下、関節内
(これは関節滑液包内も包含する)、ならびに特に静脈
内の各経路および処方を包含するものである。本明細書
において、「非経口用」と「注射用」という用語は互換
可能な同じ意味で使用している。
非常に多くの薬剤が、水溶性の欠如および/または水
中安定性の欠如に付随した問題をかかえている。このよ
うな親油性および/または水中不安定性の薬剤は、非経
口投与用の水溶液の形態で処方することが実際上不可能
である。その結果、この種の薬剤は注射には利用できな
いか、あるいは望ましくない有機賦形剤(ビヒクル)と
組合せてしか注射用には利用できないのが現状である。
このような有機賦形剤の注射は、全身または局所毒性を
生ずることがあるため望ましくない。賦形剤として一般
に用いられている有機溶剤の例をいくつか挙げると、ジ
メチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(D
MSO)、プロピレングリコール(PG)、ベンジルアルコ
ールおよびエタノールがある。これらの溶剤に伴う毒性
の例としては、中枢神経系抑制、眼振(ニスタグム
ス)、リンパ球増加、肝臓および腎臓障害、血液疾患、
黄疸、体重減少、貧血、けいれん、幻覚、突然変異誘発
作用、チアノーゼ、低血圧、気管支けいれん、心臓停
止、および死亡がある。
さらに、親油性または水中不安定性薬剤を有機賦形剤
にとかした溶液を非経口投与すると、注射部位もしくは
その付近および/または肺その他の器官内でその薬剤が
溶液から析出することがあり、これも毒性の増大につな
がる。例えば、肺の中で薬剤が析出すると、動物実験で
は重度の呼吸困難を生じ、致死する場合もあった。他
方、適当な溶剤がないために経口投与にしか利用できな
いような薬剤の場合、薬剤は一般に非経口形態、特に静
脈内経路による投与に比べて、経口投与では生体利用率
が低くなることが多いので、その薬剤の生体利用率が問
題となる。
本発明に係る非経口投与用水溶液の処方に使用するこ
とが考えられる親油性および/または水中不安定性薬剤
としては、次のような薬剤が包含される:抗新生物薬
(制がん/抗腫瘍薬)、鎮静薬、抗炎症性ステロイド、
精神安定薬、抗けいれん薬、抗ウイルス薬、ビタミン/
栄養因子、催吐薬、抗凝血薬、強心薬(強心配糖体を含
む)、利尿薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ア
ンドロゲン、エストロゲン、血管拡張薬、抗うつ薬、催
眠薬、抗真菌薬、プロゲスチン、抗原生動物薬、麻酔
薬、血管収縮薬、低血糖症薬、抗菌薬/抗生物質、血小
板阻害薬、筋肉弛緩薬、制吐薬、放射性診断薬、鎮けい
薬、抗不整脈薬、炭酸脱水酵素阻害薬、麻薬拮抗薬、麻
薬作用薬、麻薬作用/拮抗混合薬、薬理学的に活性なた
んぱく質(例、ペプチドホルモン、酵素、抗体およびそ
の他の生体産生物質)、抗パーキンソン病/ドパミング
作用薬、ならびにアルツハイマー病治療薬。
本発明によりヒドロキシプロピル−β−シクロデキス
トリンと組合せた非経口投与用薬剤組成物に使用するこ
とが可能な薬剤の具体例としては、次のものが挙げられ
る:クロラムブチル、ロムスチン、メルファラン、メト
トレキサート、ヘキサメチルメラミン、テニポシド、エ
トポシド、セムスチン(メチルCCNU)、ファザラビン
(Ara−AC)、メルカプトプリン、ツブラゾール、カル
モフール、カルムスチン、アムサクリン、ブルセアンチ
ン、ジアジコン、ジデムニンB、エキノマイシンおよび
PCNUなどの抗新生物薬;デキサメタゾン、ヒドロコルチ
ゾンおよびプレドニゾロンなどの抗炎症性ステロイド;1
7β−エストラジオール、17a−エチニルエストラジオー
ル、エチニルエストラジオール3−メチルエーテルおよ
びエストリオールなどのエストロゲン;ノルエチンドロ
ン、酢酸ノルエチンドロン、ノルゲストレル、エチステ
ロン、酢酸メドロキシプロゲステロンおよびプロゲステ
ロンなどのプロゲスチン;フェニトイン(ジフェノール
ヒダントイン)などの抗けいれん薬;ペントバルビター
ル、フェノバルビタールおよびセコバルビタールなどの
催眠薬、抗けいれん薬および鎮静薬などの各種薬理作用
のあるバルビツール型薬剤;ビダラビンなどの抗ウイル
ス薬;レチノール(ビタミンA)、酢酸ビタミンA、コ
レカルシフェロールおよびレチナール、ならびにビタミ
ンE、DおよびKなどの他の脂溶性ビタミンなどのビタ
ミン/栄養因子;アポモルフィンなどの催吐薬;クロル
タリドン、フロセミドおよびスピロノラクトンなどの利
尿薬;ジクマロールなどの抗凝血薬;ジゴキシンおよび
ジギトキシンなどの強心薬;インドメタシン、ピロキシ
カムおよびフルロビプロフェンなどの非ステロイド系抗
炎症薬;17−メチルテストステロンおよびテストステロ
ンなどのアンドロゲン;アルファキサロンなどのステロ
イド系催眠/麻酔薬;スルピリドなどの抗うつ薬;アン
ピシリンおよびペニシリンGなどの抗生物質;ニトログ
リセリンおよびフルナリジンなどの冠動脈血管拡張薬;
エトミデートなどの催眠薬;アセタゾラミドなどの炭酸
脱水酵素阻害薬;ケトコナゾール、イトラコナゾール、
安息香酸メトロニダゾールおよびミコナゾールなどの抗
真菌薬;フルベンダゾールなどの抗原生動物薬;リドカ
インなどの麻酔薬;アセトヘキサミドなどの低血糖症
薬;ジメンヒドリネートなどの制吐薬;コトリモキサゾ
ールなどの抗菌薬;L−ドーパなどのドパミン作用薬;THA
などの抗アルツハイマー病薬;鎮静薬、催眠薬、抗けい
れん薬、精神安定薬および筋弛緩薬などの各種薬理作用
のあるベンゾジアゼピン類、例えば、クロルジアゼポキ
シド、ジアゼパム、メダゼパム、オキサゼパムおよびロ
ラゼパム;ならびに、プロスタグランジン類、例えば、
血管拡張薬であるPGE1(アルプロスタジル)および血小
板阻害薬であるPGI2(プロスタサイクリンもしくはエポ
プロステノール)などのPGE類。
本発明の特に好適な態様にあっては、本発明の非経口
投与用の薬剤組成物における薬剤として抗新生物薬(抗
がん薬)を使用する。クロラムブチル、ロムスチン、メ
ルファラン、ヘキサメチルメラミン、メトトレキサー
ト、セムスチン、テニポシド、エトポシドおよびファザ
ラビンなどの抗新生物薬が特に好適である。
本発明の別の好適態様にあっては、本発明の非経口投
与用組成物における薬剤としてステロイド系麻酔/催眠
薬であるアルファキサロンを使用する。
本発明のさらに別の好適態様にあっては、本発明の非
経口投与用組成物における薬剤として、脳を標的とする
薬剤供給用のジヒドロピリジンピリジニウム塩型レド
ックス系の還元形態であるジヒドロピリジン誘導体を薬
剤として使用する。
脳を標的とする薬剤供給用のレドックス系に関して
は、本明細書において下記の定義が適用される。
用語「リポイド性」とは、脂質可溶性もしくは親油性
であるレドックス形態もしくはレドックス部位を意味す
る。
「レドックスキャリアー系」および「レドックス類似
系」なる用語は、ジヒドロピリジンピリジニウム塩型
の系を用いて脳に薬剤を集中的に供給する2種類の異な
る方法を意味し、これらの方法のいずれかで用いる化合
物を、本発明において選択したシクロデキストリン誘導
体と組合わせて使用するのである。
すなわち、レドックスキャリアー系とは、キャリアー
/薬剤の結合体によって脳を標的とする薬剤供給を行う
ものである。これは、投与に用いられる形態であるその
還元形態においては、次式で示すことができる。
[D−DHC] 上記式中、[D]は中枢に作用する薬剤種を意味し、
[DHC]はジヒドロピリジンピリジニウム塩型レドッ
クスキャリアーの生酸化性、血液脳関門透過性、リポイ
ド性の還元形態(すなわち、ジヒドロピリジン形態)を
意味する。一方、脳内に「閉じ込められる」形態である
上記レドックスキャリアー系の酸化形態(この形態から
有効薬剤が最終的に放出される)は、次式で示すことが
できる。
「D−QC]+X- 上記式中、X-は薬剤に許容される無毒な酸のアニオン
を意味し、[D]は中枢に作用する薬剤種類を意味し、
[QC]はジヒドロピリジンピリジニウム塩型レドッ
クスキャリアーの親水性、イオン性のピリジニウム塩形
態を意味する。このレドックスキャリアー系を利用した
各種の方法については、既に[従来の技術]の項で説明
した。このレドックスキャリアー系は、脳に薬剤を供給
するために開発されたレドックス系のうち、上記説明に
おいて第二の方法として説明した種類のものである。
上記レドックスキャリアー系については各種の利用方
法が下記の特許文献に詳述されている:Boderの米国特許
第4,479,932号(1984.10.30)および同第4,540,564号
(1985.9.10)、Bodorらの米国特許第4,617,298号(198
6.10.14)、並びにユニバーシティ・オブ・フロリダの
国際出願No.PCT/US83/00725(国際公開No.W083/03968,1
983.11.24)。
レドックス類似系も、ジヒドロピリジンピリジニウ
ム塩型部分を含有する新規化合物によって脳を標的とす
る薬剤供給を行うものであるが、レドックスキャリアー
系とは異なり、もとの薬剤分子を放出するように代謝に
より容易に開裂することがない。
レドックス類似系を利用した方法の1例は、中枢に作
用するアミンの第一、第二または第三アミン官能基を、
ジヒドロピリジンピリジニウム塩型レドックス系によ
り置換した誘導体を形成するものであり、既に[従来の
技術]の項で説明した。このレドックス類似系は、脳に
薬剤を供給するために開発された上述したレドックス系
の第三の方法として説明した種類に属するものである。
この類似系の各種の利用方法がユニバーシティ・オブ・
フロリダの国際出願No.PCT/US85/00236(国際公開No.W0
85/03937,1985.9.12)に詳述されている。
別のレドックス類似系を利用した方法は、ジヒドロピ
リジンピリジニウム塩型レドックス部分を含有する新
規なアミノ酸およびペプチドの誘導体を形成するもので
あり、この誘導体は、上記レドックス系をアミノ酸のカ
ルボキシル炭素に隣接した炭素原子に直接またはアルキ
レン結合基を介して結合させたものである。これらのア
ミノ酸およびペプチドは、ユニバーシティ・オブ・フロ
リダの特開昭63−277672号に詳述されている。要約する
と、この新規なレドックスアミノ酸は、その還元形態に
おいて、下記の構造式を有する化合物である。
式中、Zは直接結合またはC1〜C6アルキレン基のいず
れかを意味し、該窒素含有複素環に環炭素原子もしくは
環窒素原子を介して結合することができ;Zが環炭素原子
に結合している場合には、R1はC1〜C7アルキル、C1〜C7
ハロアルキルまたはC7〜C12アラルキル基を意味し;Zが
環窒素原子に結合している場合には、R1は直接結合を意
味し;R2およびR3は同一でも異別でもよく、それぞれ水
素、ハロゲン、シアノ、C1〜C7アルキル、C1〜C7アルコ
キシ、C2〜C8アルコキシカルボニル、C2〜C8アルカノイ
ルオキシ、C1〜C7ハロアルキル、C1〜C7アルキルチオ、
C1〜C7アルキルスルフィニル、C1〜C7アルキルスルホニ
ル、−CH=NOR(Rは水素もしくはC1〜C7アルキル
基を意味する)、または−CONR′R″(R′およびR″
は同一でも異別でもよく、それぞれ水素もしくはC1〜C7
アルキル基を意味する)を意味するか;あるいはR2およ
びR3の一方は隣接する環炭素原子と一緒に、該複素環に
縮合したベンゼン環を形成していてもよく、このベンゼ
ン環は場合により、ヒドロキシ、保護されたヒドロキ
シ、ハロゲン、シアノ、C1〜C7アルキル、C1〜C7アルコ
キシ、C2〜C8アルコキシカルボニル、C2〜C8アルカノイ
ルオキシ、C1〜C7ハロアルキル、C1〜C7アルキルチオ、
C1〜C7アルキルスルフィニル、C1〜C7アルキルスルホニ
ル、−CH=NOR(Rは水素もしくはC1〜C7アルキル
基を意味する)、および−CONR′R″(R′およびR″
は同一でも異別でもよく、それぞれ水素もしくはC1〜C7
アルキル基を意味する)よりなる群から選ばれた、同一
でも異別でもよい1もしくは2個の置換基を有していて
もよく:R4は水素またはカルボキシル保護基を有し;R5
水素またはアミノ保護基を有し;そして点線は該化合物
が1,4−もしくは1,6−ジヒドロピリジン、1,4もしくは
1,2−ジヒドロキノリン、または1,2−ジヒドロイソキノ
リン環系を有していることを意味する。
上に示した新規なジヒドロリジンアミノ酸類似物の還
元形態の化合物およびその相当する酸化形態の塩は、次
式で示される部分構造を有する新規なレドックス含有ペ
プチドの製造に有用である。
および 部分構造(A)を有する新規なペプチド類似物は、生
体内で部分構造(B)の対応する第4級塩の供給系とし
て作用する。この第四級塩型誘導体は、上記ジヒドロ型
化合物を製造するための化学的中間体としても使用され
るが、生体内でそれ自体薬理学的に活性であるが、ある
いは生体内で薬理学的に活性なペプチドに変換可能であ
り、対応する還元型のジヒドロピリジン形態で投与する
と、脳に部位特異的かつ持続した薬剤供給を行うという
特徴を示す。これらのアミノ酸類似物およびペプチド類
似物の製造は、ジヒドロピリジンピリジニウム塩型レ
ドックス部分もしくはその前駆物質を導入するための従
来公知の方法を利用し、例えば、前述した国際公開No.W
083/03968およびW085/03937に記載の方法に、周知のペ
プチド合成方法を組合わせることによって行うことがで
きる。最終的に、前述したBodorの米国特許および上記
国際公開公報に記載の方法に従って、第四級形態のアミ
ノ酸およびペプチドを還元して相当するジヒドロピリジ
ン化合物を生成させ、投与に使用する。
本発明の好適態様にあっては、本発明によりβ−もし
くはγ−シクロデキストリンのヒドロキシプロピル、ヒ
ドロキシエチル、グルコシル、マルトシルもしくはマル
トトリオシル誘導体と組合わせて使用するレドックス系
として、レドックスキャリアー系を選択する。レドック
スキャリアー系の薬剤部分とキャリアー部分とについて
は、後でより詳細に説明するが、もちろん前掲の各種の
キャリアーの特許および特許出願にも詳述されている。
適当な薬剤部分およびキャリアー部分の選択は、上記特
許および特許出願ならびに本出願に開示された具体的な
薬剤および具体的なキャリアーに限定されるものではな
く、選択された薬剤およびキャリアーが上記文献に記載
のような薬剤/キャリアー系の一般要件を満たす限り任
意のものを選択できる。
本明細書において「薬剤」とは、人もしくは動物にお
ける病気の診断、治癒、緩和、治療もしくは予防、また
は望ましい身体的もしくは精神的発達およ状態の増強に
使用するための任意の物質を意味する。
本明細書において「中枢に作用する」あるいは「中枢
作用性」薬剤種、有効成分もしくは化合物とは、その顕
著な(通常は主要な)薬理作用が中枢神経(CNS)であ
って、脳内での直接作用 として生ずるような薬剤種などを意味するものであるこ
とはもちろんである。
このような中枢に作用する薬剤種の例としては、CNS
系アミンおよび他の神経系薬剤(交感神経性および副交
感神経性のいずれも)、例えば、フェニルエチルアミン
(興奮薬)、ドパミン(例えば、パーキンソン症候群お
よび高プロラクチン血症の治療に使用される神経伝達物
質およびドパミン作用薬)、チラミン(興奮薬)、L−
ドーパ(例えば、パーキンソン症候群の治療に用いるド
パミン前駆物質);筋弛緩薬、精神安定薬および坑うつ
病、例えば、ジアゼパムおよびオキサゼパムなどのベン
ゾジアセピン系精神安定薬ならびにカルフェナジン、フ
ルフェナジンなどのフェノチアジン系精神安定薬など;
温和および強力な鎮痛薬および麻薬;鎮静薬および催眠
薬;麻酔拮抗薬;血管作用薬(vascular agent);興奮
薬;麻酔薬;ジ−、トリ−、テトラ−およびペンタペプ
チド類ならびにその他の2〜20個のアミノ酸単位を含有
する小ペプチド類のような小ペプチド類、例えば、エン
ケファリン(例、Try−Gly−Gly−Phe−Leu)(エンケ
ファリンは鎮痛薬であるほかに、鎮痛作用を発揮する用
量の約1/10の用量で脳内に坑てんかん作用を生起させ
る);成長促進物質;一般にフェニトインおよびエトト
インなどのヒダントイン類、フェノバルビタールなどの
バルビツール類を包含する坑てんかんおよび坑けいれん
薬;例えば、エストラジオール、テストステロン、17α
−エチニルテストステロン(エチステロン)などのステ
ロイドホルモンを包含するホルモン類(脳内のホルモン
感受性および特異的ステロイド結合細胞の組織学的マッ
プ形成に関する最近の研究により、性的挙動に及ぼす脳
内でのステロイドの作用の重要性が強調されてきた);
アンフェタミン様薬剤;抗ガンおよび抗パーキンソン病
薬剤;抗高血圧薬;学習能力および記憶過程増強薬(ア
ルツハイマー病などの痴呆症の治療薬を含む)、例え
ば、9−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロアクリジン;
抗菌薬;中枢に作用する降圧薬;中枢に作用するプロス
タグランジン類、例えば、PGD2;診断薬、例えば、放射
性医薬品;モノアミンオキシダーゼ(MEO)、阻害薬;CN
Sもしくは脳に重要/必須のアミノ酸、たとえばトリプ
トファン(これは、栄養素であると同時に抗うつ薬であ
る);ならびにこれらの類似の中枢に作用する化合物が
挙げられる。本発明の目的にとって、ドーパおよびL−
ドーパ(L−DOPA)はアミノ酸には分類せず、例えば、
パーキンソン症候群の治療に使用されるCNSアミンおよ
びドパミン作用薬として分類する。
中枢に作用する他の薬剤種の具体例を例示すると次の
通りである;アンフェタミン、デキストロアンフェタミ
ン、レバンフェタミン、アレタミン、シペナミン、フェ
ンカンファミン、フェノゾロン、ジロフラミン、メタン
フェタミン、フェンメトラジン、およびフェンテルミン
(以上は、交感神経作用アミン/大脳興奮薬および食欲
抑制薬);エトリプタミン(大脳興奮薬);コデイン、
オキシコドン、ペンタゾシン、アニレリジン、ヒドロモ
ルフォン、モルヒネ、およびオキシモルフォン(以上は
麻薬性鎮痛薬);デシプラミン、ノルトリプチリン、オ
クトリプチリン、マプロチリン、オピプラモール、およ
びプロトリプチリン(以上は、例えば内因性うつ病に使
用されるジベンゾアゼピン系の大脳興奮薬/三環式抗う
つ薬);クロニジンおよびメチルドーパ(以上は、例え
ば高血圧症に使用される交感神経遮断薬);ピペリデ
ン、シクリミン、およびプロシクリジン(以上は、中枢
作用性の抗コリン作用薬);トラニルシプロミン(交感
神経作用大脳興奮薬/MAO阻害薬および抗うつ薬);アセ
トフェナジン、カルフェナジン、フルフェナジン、ペル
フェナジン、およびピペラセタジン(以上は、フェノチ
アジン系精神安定薬);ベンゾクタミン(構造的にはフ
ェノチアジン系精神安定薬に類似した鎮静/筋弛緩
薬);クロルジアゼポキシド、クロラゼペート、ニトラ
ゼパム、およびテマゼパム(以上はベンゾジアゼピン系
精神安定薬);ノルマシメタドール(メタドン系の麻薬
性鎮痛薬);ピミノジン(メペリジン系の麻薬性鎮痛
薬);トラカゾレート(鎮静/降圧薬);プリジジロー
ル(中枢作用性の降圧薬);スルピリド(抗うつ/精神
作用薬);ハロペリドールおよびクロペンチキソール
(以上は精神安定薬);ノルエピネフリン(交感神経興
奮薬/アドレナリン作用薬);ナロルフィンおよびナロ
キソン(麻酔拮抗薬);ヒドララジン(降圧薬);エト
トイン、フェノバルビタール、およびアミノグルテチミ
ド(鎮けい薬);エピネフリン(アドレナリン作用
薬);エタミバン(骨髄刺激薬);ビメグリド(バルビ
ツール類拮抗薬);アミノフェナゾール(興奮薬);ヨ
ーピドール、ヨードピラセット、ヨードウプレート(o
−ヨード馬尿酸)、ヨーダミド、およびヨーパノ酸(以
上は放射性診断薬);エフェドリン、シュードエフェド
リン、オキシメタゾリン、およびフェニレフリン(以上
は交感神経作用性アミンおよびうっ血除去薬);エスト
ラジオール、エストロン、およびエストリオール(天然
エストロゲン);アモキシシリン、オキサシリン、カル
ベニシリン、ベンジルペニシリン、フェノキシメチルペ
ニシリン、メチシリン、オフシリン、チカルシリン、バ
カンピシリン、エピシリン、ヘタシリン、ピバンパシリ
ン、ヘタシリンのメトキシメチルエステル、およびアン
プシリン(以上はペニシリン系抗生物質);アモバルビ
タール(鎮痛薬);トリヘキシフェニジル(中枢作用性
の抗コリン作用薬);ヒドロキシジン(精神安定薬);
クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ミノサ
イクリン、ドキシサイクリン、オキシテトラサイクリ
ン、テトラサイクリンおよびメタサイクリン(以上はテ
トラサイクリン系抗生物質);フルラゼパム、ブロマゼ
パム、デキモセパム、およびロラゼパム(以上は、ベン
ゾシアゼピン系精神安定薬);フェニトイン(鎮けい
薬);グルテチミド(温和な催眠/鎮静薬);クリンダ
マイシン、リノコマイシン、ナリジクス酸、オキソリン
酸、およびフェナゾピリジン(抗菌薬/抗生物質);ベ
タニジンおよびグアネチジン(降圧/交感神経遮断
薬);カプトプリル(降圧薬);メチプリロン(温和な
催眠薬);アメダリン、ブプロピオン、カルタゾレー
ト、ダレダリン、ジフルアニン、フルオキセチン、およ
びニソキセチン(以上は大脳興奮薬);プロプラノロー
ル(β遮断薬、抗高血圧症薬);クロキサシリンおよび
ジクロキサシリン(ペニシリン系抗生物質);ブタルビ
タール(バルビツール酸系鎮静薬);GABA、γ−ビニルG
ABA、およびγ−アセチレニックGABA(てんかんに使用
可能性のある神経伝達物質);バルプロ酸ならびにその
代謝産物(5−ヒドロキシ−2−n−プロピルペンタン
酸、4−ヒドロキシ−2−n−プロピルペンタン酸、3
−ヒドロキシ−2−n−プロピルペンタン酸など)(鎮
けい薬として使用);バルプロミド(バルプロ酸誘導
体、鎮けい薬として使用);アポモルフィン(感光性て
んかんの治療に使用されている麻薬性抑制薬/催吐
薬);フォルコジン(麻薬性鎮咳薬);メトトレキセー
ト、ミトキサントロン、ポドフィロキシン誘導体(エト
プシド、テニポシド)、ドキソルビシン、ダウナマイシ
ン、およびシクロホスファミド(制がん/抗腫瘍薬);
メチルフェニデート(興奮薬);チオペンタール(麻酔
薬);エチニルエストラジオールおよびメストラノール
(エストロゲン類);メプタジノール、シクラゾシン、
フェナゾシン、プロファドール、メトポン、ドロコー
ド、およびミファドール(以上は麻薬性鎮痛薬);ブプ
レノルフィン、ナルブフィン、ブトルファノール、レバ
ロルファン、ナルトレキソン、ナルメフェン、アラゾシ
ン、オキシロルファン、およびナルメキソン(以上は麻
薬拮抗薬もしくは作用−拮抗薬);ノルゲストレンおよ
びノルエチンドロン(プロゲスチン類);セファロチ
ン、セファレキシン、セファゾリン、セフォキシチン、
メキサラクタム、セフォラニド、セフロキサジン、およ
びセファピリン(セファロスポリン系抗生物質);アテ
ノロール、ナドロール、チモロール、およびメトプロロ
ール(β遮断薬/降圧薬);ACTH(副腎皮質刺激ホルモ
ンまたはコルチコトロピン)(糖質コルチコイド産性を
刺激するホルモン);LHRH(下垂体ホルモンであるLHお
よびFSHの分泌を刺激する神経伝達物質であって、***
誘発ならびに受胎調節/避妊に作用);スルファジアジ
ンおよび他のスルホンアミド系抗生物質;リバビリンお
よびアシクロビール(抗ウイルス薬);クロラムブチル
およびメルファラン(ナイトロジェンマスタード系の制
がん/抗腫瘍薬);メトトレキセートおよびアミノプテ
リン(以上は、葉酸拮抗型の制がん/抗腫瘍薬);白金
配位錯体、すなわち、シスプラチン類似型の制がん/抗
腫瘍薬);ダクチノマイシンおよびミトマイシンC(が
んの化学療法に使用);チオグアニン(プリン/ピリミ
ジン拮抗薬、がんの治療に使用);ビンクリスチンおよ
びビンブラスチン(制がん制アルカロイド);ヒドロキ
シ尿素およびDON(抗がん性尿素誘導体);FSH、HCG、お
よびHCS(下垂体および非下垂体ゴナドトロピン)(性
腺刺激ホルモン)、例えば、ある種の生殖器障害に使
用);N,N′−ビス(ジクロロアセチル)−1,8−オクタ
メチレンジアミン(フェルチリシン)(男性生殖阻害用
の薬剤);レブルファノール(麻薬性鎮痛薬);ベンゼ
ストロールおよびジエチルスチルベストロール(合成エ
ストロゲン類);β−カルボリン−3−カルボン酸エチ
ル(ベンゾジアゼピン拮抗薬);フロセミド(利尿/抗
高血圧症薬);ジピリダモールおよびニフェジピン(冠
状血管拡張薬);ならびにプロガバイド(GABA作用薬お
よびGABAの前駆薬剤)。
中枢作用性薬剤のさらに別の例としては、非ステロイ
ド系の抗炎症薬/非麻薬性鎮痛薬、例えば、プロピオン
酸誘導体、酢酸誘導体、フェナム酸誘導体、およびビフ
ェニルカルボン酸誘導体が挙げられる。本発明で使用す
ることができる非ステロイド系抗炎症薬/非麻薬性鎮痛
薬の具体例としては、イブプロフェン、ナプロキセン、
フルルビプロフェン、ゾメピラック、スルンダック、イ
ンドメタシン、フェンブフェン、フェノプロフェン、イ
ンドプロキセン、ケトプロフェン、フルプロフェン、ブ
クロキシックアシッド、トルメチン、アルクロフェナッ
ク、フェンクロジックアシッド、イブフェナック、フル
フェニサル、ピルプロフェン、フルフェナム酸、メフェ
ナム酸、クロニキセリル、クロニキシン、メクロフェナ
ム酸、フルニキシン、ジクロフェナック、カルプロフェ
ン、エトドラック、フェンドサル、プロドリックアシッ
ド、セルメタシン、インドキソール、テトリダミン、ジ
フルニサル、ナプロキソール、ピロキシカム、メタザミ
ド、フルチアジン、およびテシカムが挙げられる。
レドックスキャリアーと組合わせて使用する中枢作用
性薬剤の好ましい種類は、中枢神経伝達物質、ステロイ
ド、制がん/抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、精神安定薬、記
憶増進薬、降圧薬、鎮静薬、抗精神病薬、および大脳興
奮薬(特に三環式抗うつ薬)である。
神経伝達物質としては、GABA、GABA誘導体、およびそ
の他のω−アミノ酸類のような上述したアミノ酸類、な
らびにグリシン、グルタミン酸、チロシン、アスパラギ
ン酸およびその他の天然アミノ酸類;ドパミン、ノルエ
ペネフリン、およびエピネフリンなどのカテコールアミ
ン類;セロトニン、ヒスタミンおよびトリプタミン;な
らびにニューロテンシン、黄体形成ホルモン放出ホルモ
ン(LHRH)、ソフトスタチン、エンケファリン類(met5
−エンケファリンおよびleu5−エンケファリン等)、エ
ンドルフィン類(γ−、α−およびβ−エンドルフィ
ン)、オキシトシンM、ならびにバソプレシン等のヘプ
チド類を挙げることができる。合成および半合成の類似
物質、例えばLHRHの1もしくは2以上のアミノ酸を脱離
および/または1もしくは2以上の別のアミノ酸で置換
したLHRHの類似物質(これは作用薬でも拮抗薬でもよ
い)も包含される。例えば第一および第二アミン型LHRH
類似物質が米国特許第4,377,574;3,917,825;4,032,082
および4,338,305号に開示されている。
ステロイドとしては、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾ
ン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルメタゾン、フル
プレドニゾロン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロ
ン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロ
ン、コルトドキソン、フルドロコルチゾン、フルランド
レノロンアセトニド(フルランドレノリド)、パラメタ
ゾンなどの抗炎症性副腎皮質ステロイド類;テストステ
ロンおよびその近縁類似物質、例えば、メチルテストス
テロン(17−メチルテストステロン)などの男性ホルモ
ン(アンドロゲン)類;ならびにエストロゲンおよびプ
ロゲスチンの両方を含む女性ホルモン、例えば、ノルゲ
ストレル、ノルエチンドロン、ノルエチノドレル、エチ
ステロン、ジメチステロン、アリルエストレノール、シ
ンゲストール、エチネロン、リネストレノール、ノルゲ
ステロン、ノルビニステロン、エチノジオール、オキソ
ゲストン、およびチゲストールなどのプロゲスチン類、
ならびにエチニルエストラジオール、メストラノール、
エストラジオール、エストリオール、エストロン、およ
びキネステロールなどのエストロゲン類などを挙げるこ
とができる。
制がん/抗腫瘍薬としては、Ara−AC、ペントスタチ
ン(2′−デオキシコフォルマイシン)、Ara−C(シ
ラタビン)、3−デアザグアニン、ジヒドロ−5−アザ
シチジン、チアゾフリン、サンギバマイシン、Ara−A
(ビタラビン)、6−MMPR、PCNU、FENU、HENUおよびそ
の他のニトロソ尿素類、スピロムスチン、ビスベンゾイ
ミダゾール、L−アラノシン(6−ジアザ−5−オキソ
−L−ノルロイシン)、DON、L−ICRF、トリメチルTM
M、5−メチルテトラヒドロホモ葉酸、グリオキシル
酸、スルホニルヒドラゾン、DACH、SR−2555、SR−250
8、デスメチルミソニダゾール、ミトキサントロン、メ
ノガロール、アクラシノマイシンA、フィラントシド、
バクトボリン、アフィドコリン、ホモハリングトニン、
レボナントラドール、アシビシン、ストレプトゾトシ
ン、ヒドロキシ尿素、クロラムブチル、シクロホスファ
ミド、ウラシルマスタード、メルファラン、5−FU(5
−フルオロウラシル)、5−FUDR(フロクスリジン)、
ビンクリスチン、ビンブラスチン、シトシンアラビノシ
ド、6−メルカプトプリン、チオグアニン、5−アザシ
チジン、メトトレキセート、アドリアマイシン(ドキソ
ルビシン)、ダウノマイシン(ダウノルビシン)、ラル
ゴマイシンポリペプチド、アミノプテリン、ダクチノマ
イシン、ミトマイシンC、ならびにポドフィロトキシン
誘導体、例えば、エトポシド(VP−16)およびテニポシ
ドを挙げることができる。
抗ウイルス薬としては、リバビリン;アシクロビール
(ACV);アマンタジン(抗パーキソン病薬としても有
効可能性あり);5−アミジノ−2−(5−アミジノ−2
−ベンゾフラニル)インドールおよび4′,6−ジイミダ
ゾリノ−2−フェニルベンゾ(b)チオフェン等のジア
リールアミジン類;2−グアニジノ−4,5−ジ−n−プロ
ピルオキサゾールおよび2−グアニジノ−4,5−ジフェ
ニルオキサゾール等の2−アミノオキサゾール類;6
[[(ヒドロキシイミノ)フェニル]メチル]−1−
[(1−メチルエチル)スルホニル]−1H−ベンゾイミ
ダゾール−2−アミンのsynおよびanti異性体のような
ベンゾイミダゾール類似化合物;5,7−ジメチル−2−β
−D−リボフラノシル−s−トリアゾール(1,5−a)
ピリミジンのような橋頭Cヌクレオシド類;2−デオキシ
−D−グルコース、グルコサミン、2−デオキシ−2−
フルオロ−D−マンノース、および6−アミノ−6−デ
オキシ−D−グルコース等のグルコシド類;フェニル−
6−クロロ−6−デオキシ−β−D−グルコピラノシド
などのフェニルグルコシド誘導体;(S)−9−(2,3
−ジヒドロキシプロピル)アデニン;チオゾフリン;セ
レナゾフリン;3−デアザウリジン;3−デアザグアノシ
ン;DHPG;6−アザウリジン;イドクスリジン(5−ヨー
ド−2′−デオキシウリジン);トリフルリジン(トリ
フルオロチミジン);BDVU(ビスジヒドロキシビニルウ
リジン);ジドブジン(AZT);ジデオキシシチジン;
ならびに5,6−ジクロロ−1−β−D−リボフラノシル
ベンゾイミダゾールを挙げることができる。
制がん/抗腫瘍および抗ウイルス薬としては、ヌクレ
オシド系のもの(すなわち、1もしくは2以上のヒドロ
キシル基を持った置換基を有するプリンもしくはピリミ
ジン型塩基構造のもの)が特に有用である。この群の化
合物としては、Ara−AC、ペントスタチン、Ara−C、ジ
ヒドロ−5−アザシチジン、チアゾフリン、サンギバマ
イシン、Ara−A、6−MMPR、デスメチルミソニダゾー
ル、5−FUDR、シトシンアラビノシド、5−アザシチジ
ン、リバビリン;アシクロビール、(S)−9−(2,3
−ジヒドロキシプロピル)アデニン、6−アザウリジ
ン、5,6−ジクロロ−1−β−D−リボフラノシルベン
ゾイミダゾール、5,7−ジメチル−2−β−D−リボフ
ラノシル−s−トリアゾール(1,5−a)ピリミジン、
ジドブジン(AZT)、ジデオキシシチジン、ジデオキシ
アデノシン、ジデオキシイソシン、およびDPHGなどの化
合物が挙げられる。
精神安定薬(トランキライザー)としては、ジアゼパ
ム、オキサゼパム、ロラゼパム、クロルジゼポキシド、
フルラゼパム、ブロマゼパム、クロラゼペート、ニトラ
ゼパムおよびテマゼパムなどのベンゾジアゼピン系精神
安定薬;フェニトイン、エトトイン、メフェニトインな
どのヒダントイン系精神安定/鎮けい薬;アセトフェナ
ジン、カルフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジ
ンおよびピペラセタジンなどのフェノチアジン系精神安
定薬;などを挙げることができる。
降圧薬としては、クロニジン、メチルドーパ、ベタニ
ジン、デブリソキン、ヒドララジンおよびグアネチジン
ならびにその類似化合物を挙げることができる。
鎮静、精神安定および抗精神病薬としては、上に列挙
したこの種の多数の具体的化合物、特にフェノシアジン
系およびベンゾジアゼピン系のもの、ならびにその類似
化合物を挙げることができる。
大脳興奮薬としては、上に列挙した多数の具体的化合
物、特に交感神経作用制アミン型大脳興奮薬および三環
式抗うつ薬を挙げることができ、特に好ましい三環式化
合物はジベンゾアゼピン類およびその類似化合物であ
る。
レドックスキャリアーと組合わせて使用する中枢作用
性の薬剤種の別の例は、中枢作用性薬剤の中枢活性な代
謝産物である。かかる代謝産物の代表例は、三環式抗う
つ薬のヒドロキシル化代謝産物、例えば10−ヒドロキシ
ノルトリプチリン、2−ヒドロキシイミプラミン、2−
ヒドロキシデシプラミンおよび8−ヒドロキシクロリプ
ラミンのE−およびZ−異性体;フェノチアジン系精神
安定薬のヒドロキシル化代謝産物、例えば7−ヒドロキ
シクロルプロマジン;ならびにN−メチルベンゾジアゼ
ピン系精神安定薬のデスメチル代謝産物、例えばデスメ
チルジアゼパムである。これ以外の本発明で有用なCNS
活性な代謝産物も当業者には明らかであろう。例えば、
GABA作用薬であるプロガバイドの活性代謝産物であるSL
−75102、およびニトロソ尿素系制がん薬であるCCNUの
活性代謝産物であるヒドロキシCCNUが例示される。一般
に、これらのCNS活性代謝産物は、科学文献にかかる活
性を示すことが記載されているが、ただしこれ自体を薬
剤として投与することはこれまでなかった。多くの場
合、このような活性代謝産物のCNS活性はその原薬剤(p
arent drug)に匹敵しうると考えられる。しかし、これ
らの代謝産物はそれ自体が血液脳関門を通過することが
できないために、そのままで投与することこれまで行わ
れなかった。
前述したように、放射性医薬を含む診断薬も、「中枢
に作用する薬剤」などに包含される。還元形態でBBBを
通過し、その第四級塩形態で脳内に集中するレドックス
キャリアー系を形成するように誘導体化することがで
き、脳内で検出することができる、任意の診断薬がこれ
に包含される。診断薬は「コールド」、すなわち、X線
で検出できるか(例、X線不透過剤)またはその他の質
量分光光度分析、NMRなどの非侵襲性技法によって検出
できる(例、化合物がC13、N15、O18、S33、およびS34
などの安定同位体を含有する場合)ものでよい。診断薬
はまた「ホット」、すなわち、放射性ヨウ素(I 123、I
125、I 131)などの放射性同位元素によりラベルさ
れ、放射線検出/映像化手段により検出/映像化できる
ものであってもよい。本発明により誘導体を形成するこ
とができる代表的な「コールド」診断薬としては、o−
ヨード馬尿酸、ヨータラム酸、ヨーピドール、ヨーダミ
ドおよびヨーパノ酸が挙げられる。代表的な放射性ラベ
ル診断薬としては、ジオ馬尿酸(I 125,I 131)、ジオ
チロシン(I 125,I 131)、o−ヨード馬尿酸(I 13
1)、ヨータラム酸(I 125,I 131)、チロキシン(I 12
5,I 131)、ヨーチロシン(I 131)、および下記構造式
で示されるヨードメタラミノール(I 123)が挙げられ
る。
診断薬の場合、疾病の治療用の薬剤の場合とは異な
り、もとの原診断薬それ自体ではなく、脳内に「綴じ込
められる」第四級塩形態が、映像もしくはその他の手段
で検出される形態となる。さらに、医学的疾患の治療も
しくは予防を目的とする中枢作用性の薬剤であっても、
例えば、ヨウ素などの放射性同位元素で、あるいは安定
同位元素でラベルすることができるものであれば、この
ようなラベルによりドックスキャリアー系に組み込むた
めの診断薬に変換させて使用することもできる。
上に列挙した多数の薬剤種の既知の構造から明らかな
ように、選択した薬剤は多くの場合、2以上の反応性官
能基を有しており、特に、レドックスキャリアーを結合
させる基のほかに、薬剤がヒドロキシル、キルボキシ
ル、アミノなどの他の官能基をさらに含有していること
があり、これらの官能基は、場合によっては、合成およ
び/または投与時には保護しておくことが有利である。
これらの保護の詳細については、上に挙げた各種の特許
および特許出願に詳しく説明されている。このような保
護された薬剤種も、当然、本発明で用いる「薬剤」なる
用語の定義に包含される。
本明細書において「ジヒドロピリジン型キャリアー」
または[DHC]とは、より大きな塩基性の核の一部であ
るか否かを問わず、また置換もしくは非置換であるかを
問わず、ジヒドロピリジン核を含み、含有し、もしくは
有している任意の無毒なキャリアー部分を意味すること
も認められるよう。その唯一の基準は、BBBを通過する
能力を有し、生体内での酸化により相当する第四級ピリ
ジニウム塩型のキャリアー[QC]に転換されうること
である。既に述べたように、この生体内酸化により生ず
るイオン性のピリジニウム塩型の薬剤/キャリアー前駆
薬剤[D−QC]は、脳からの流出は阻止されるが、一
般循環系からの排出は促進される。その後、薬剤種
[D]を第四級キャリアー[QC]に結合している共有
もしくは等価結合が代謝により開裂し、その結果、脳に
おける薬剤[D]の持続した放出と、キャリアー部分
[QC]の容易な排出とが起こる。このような薬剤と第
四級キャリアーとの「共有もしくは等価結合」は、例え
ばアミド、エステルもしくはその他の類似の任意の結合
といった単純な直接化学結合でもよく、さらには、例え
ばチアゾリジン架橋もしくはペプチド結合といった結合
基もしくは官能基からなるものでもよい。後者の結合基
は、使用する薬剤種がジヒドロピリジン型もしくは第四
級型キャリアーのいずれかと直接化学結合を生ずること
がない場合に一般に必要となる。ただし、[D−QC]
および[D−DHC]なる式における結合は、このような
すべての代替可能な結合および結合基を包含する意味で
あり、またそのように定義される。そして脳内での薬剤
種[D]の接続した放出と同時にキャリアー部分[QC]
の容易な排出とを生ずる[D−QC]型の前駆薬剤の
開裂は、例えば、エステラーゼ、アミダーゼ、コリンエ
ステラーゼ、加水分解酵素、もしくはペプチダーゼなど
の特異的酵素開裂により起こる。
本明細書で使用した「薬剤に許容される無毒な塩」と
は、薬剤に許容される無毒な無機もしくは有機酸HXによ
り生成させた、前記レドックスキャリアー系またはレド
ックス類似系の還元形態であるジヒドロピリジン化合物
の無毒な塩を一般に包含する意味である。例えば、この
塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン
酸、硝酸などの無機酸から誘導した塩;ならびに酢酸、
プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン
酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン
酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェ
ニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スル
ファニル酸、フマル酸、メタンスルホン酸、トルエンス
ルホン酸などの有機酸から得られた塩を包含す。本明細
書においては、例えばレドックスキャリアー系またはレ
ドックス類似系の酸化形態であるピリジニウム塩化合物
に関連して用いた「薬剤に許容される無毒な酸のアニオ
ン」とは、上記のような無機もしくは有機酸HXのアニオ
ンを包含する意味である。
以下の説明には、「アミノ、ヒドロキシル、メルカプ
ト、カルボキシル、アミドおよびイミドよりなる群から
選ばれた少なくとも1個の反応性官能基」なる記載、あ
るいはこの記載の一部が使用されている。この記載にお
いて言及した各官能基の意味は次の通りである。
「アミノ」とは、第一もしくは第二アミノ基、すなわ
ち−NH2または−NHRを意味する。第二アミン基は、本明
細書では、−NH−とも表記される。これは、−NHR基の
R部分の具体的な構造(厳密な種類)は特に重要ではな
く、Rは薬剤残基Dそれ自体の一部であって、薬剤をレ
ドックスキャリアー系に転換させても変化せずに残るか
らである。
「ヒドロキシル」とは、−OH基を意味する。
「カルボキシル」とは、−COOH基を意味する。
「メルカプト」とは、−SH基を意味する。
「アミド」とは、カルバモイル(−CONH2)もしくは
置換カルバモイル(−CONHR)またはスルファモイル
(−SO2NH2)もしくは置換スルファモイル(−SO2NHR)
官能基を意味する。−CONHR基および−SO2NHR基は、そ
れぞれ−CONH−および−SO2NH−と本明細書で表記する
こともある。これは、R部分の具体的な構造は重要では
なく、Rは薬剤残基Dそれ自体の一部であって、薬剤を
レドックスキャリアー系に転換させても変化せずに残る
からである。
「イミド」とは、下記構造で示される官能基を意味
し、 この構造は、イミド化合物(すなわち、スクシンイミド
型もしくはフタルイミド型構造を有する化合物)を特徴
づける構造である。
多数の異なるジヒドロピリジンピリジニウム塩型レ
ドックスキャリアー部分が、前述したキャリアーに関す
る特許文献もしくは公開特許出願に開示されている。下
記は、代表的な主要な種類のジヒドロ化合物および相当
する第四級塩のリストであるが、これは例示であって、
網羅を意図したものではない。
(1)薬剤が少なくとも1個のヒドロキシルまたはメル
カプトまたは第一もしくは第二アミノ官能基を有する場
合:該官能基の少なくとも1個における水素原子を、下
記[DHC]基のいずれかと置換することにより薬剤を結
合させる。
上記式中、式(a′)、(b′)および(c′)にお
ける点線は、該ジヒドロピリジン環の4位または5位の
いずれかに二重結合が存在することを示し;(d′)、
(e′)および(f′)における点線は、該ジヒドロキ
ノリン環の2位または3位のいずれかに二重結合が存在
することを示し;R1はC1〜C7アルキル、C1〜C7ハロアル
キルもしくはC7〜C10アラルキル基を意味し;R3はC1〜C3
アルキレン基を意味し;Xは−CONR′R″(R′および
R″は同一でも異なるものでもよく、それぞれHもしく
はC1〜C7アルキル基を意味する)であるか、またはXは
−CH=NOR(RはHもしくはC1〜C7アルキル基を意
味する)であり;式(a′)および(c′)におけるカ
ルボニル含有基ならびに式(b′)におけるX置換基
は、それぞれ該ジヒドロピリジン環の2位、3位もしく
は4位に結合することができ;(d′)および(f′)
におけるカルボニル含有基ならびに式(e′)における
X置換基は、それぞれ該ジヒドロキノリン環の2位、3
位もしくは4位に結合することができ;そして、式
(g′)および(j′)におけるカルボニル含有基なら
びに式(h′)におけるX置換基は、それぞれ該ジヒド
ロイソキノリン環の1位、3位もしくは4位に結合する
ことができる。
(2)薬剤が少なくとも1個のカルボキシル官能基を有
する場合:このカルボキシル官能基の少なくとも1個に
おける水素原子を、下記[DHC]基のいずれかと置換す
ることにより、薬剤を結合させる。
(a)誘導体形成に利用できる−COOH基を1または2以
上有している場合: 上記式中、式(i′)、(ii′)および(iii′)に
おける点線は、該ジヒドロピリジン環の4位または5位
のいずれかに二重結合が存在することを示し式(i
v′)、(v′)および(vi′)における点線は、該ジ
ヒドロキノリン環の2位または3位のいずれかに二重結
合が存在することを示し;Z′はC1〜C8直鎖もしくは分岐
鎖アルキレン基、好ましくはC1〜C3直鎖もしくは分岐鎖
アルキレン基を意味し;Qは−O−または−NH−であり;R
1はC1〜C7アルキル、C1〜C7ハロアルキルもしくはC7〜C
10アラルキル基を意味し;R3はC1〜C3アルキレン基を意
味し;Xは−CONR′R″(R′およびR″は同一でも異な
るものでもよく、それぞれHもしくはC1〜C7アルキル基
を意味する)であるか、またはXは−CH=NOR(R
はHもしくはC1〜C7アルキル基を意味する)であり;式
(i′)および(iii′)におけるカルボニル含有基な
らびに式(ii′)におけるX置換基は、それぞれ該ジヒ
ドロピリジン環の2位、3位もしくは4位に結合するこ
とができ;式(iv′)および(vi′)におけるカルボニ
ル含有基ならびに式(v′)におけるX置換基は、それ
ぞれ該ジヒドロキノリン環の2位、3位もしくは4位に
結合することができ;そして、式(vii′)および(i
x′)におけるカルボニル含有基ならびに式(viii′)
におけるX置換基は、それぞれ該ジヒドロイソキノリン
環の1位、3位もしくは4位に係合することができる。
(b)誘導体形成に利用できる−COOH基が1個しか存在
しない場合: 上記式中、式(xii′)における点線は、該ジヒドロ
ピリジン環の4位または5位のいずれかに二重結合が存
在することを示し;式(xiii′)における点線は、該ジ
ヒドロキノリン環の2位また3位のいずれかに二重結合
が存在することを示し; は、糖分子の骨格を意味し;nivは上記骨格の誘導に使用
した糖分子中の−OH基の合計数に等しい正の整数を意味
し;nvは上記骨格の誘導に使用した糖分子中の−OH基の
合計数より1だけ少ない正の整数を意味し;構造(xi
i′)、(xiii′)および(xiv′)のそれぞれにおける
Aは、別個に、ヒドロキシル基もしくはD′を意味し
(ここで、D′は反応性カルボキシル官能基を1個含有
する中枢作用性の薬剤の残基であって、この薬剤の該カ
ルボキシル官能基から水素原子1個を除去することによ
り示される残基を意味する);構造(x′)および(x
i′)のそれぞれにおける各R4は、別個に、ヒドロキシ
ル基、 またはD′を意味し〔ここで、点数は構造(xii′)お
よび(xiii′)に関して説明したのと同じ意味であり;
D′は構造(xii′)、(xiii′)および(xiv′)関し
て説明したのと同じ意味であり;R1はC1〜C7アルキル、C
1〜C7ハロアルキルもしくはC7〜C10アラルキル基を意味
し;表示されたカルボニル基は、該ピリジニウムもしく
はキノリニウム環の2位、3位もしくは4位、またはイ
ソキノリニウム環の1位、3位もしくは4位に結合する
ことができる〕;ただし、構造(x′)および(xi′)
のそれぞれにおいて少なくとも1個のR4は、 であり(ここで、R1、点線およびカルボニル含有基の位
置は前記の通りである);さらに、ただし、その化合物
中に存在する2以上のR4基が上記のカルボニル含有基で
ある場合には、この化合物中のかかるカルボニル含有基
はすべて同じものである。
(3)薬剤が、アミドもしくはイミド構造の一部である
少なくとも1個の−NH−官能基、あるいは低pKaの少な
くとも1個の第一もしくは第二アミン官能基を有する場
合:該官能基の少なくとも1個における水素原子を、下
記[DHC]基のいずれかと置換することにより薬剤を結
合させる。
上記式中、Rは、水素、C1〜C7アルキル、C3〜C8シク
ロアルキル、C1〜C7ハロアルキル、フリル、フェニル
基、または1もしくは2以上のハロゲン、低級アルキ
ル、低級アルコキシ、カルバモイル、低級アルコキシカ
ルボニル、低級アルカノイルオキシ、低級ハロアルキ
ル、モノ(低級アルキル)カルバモイル、ジ(低級アル
キル)カルバモイル、低級アルキルチオ、低級アルキル
スルフィニルもしくは低級アルキルスルホニル基で置換
されたフェニル基を意味し;式(k′)、(l′)およ
び(m′)における点線は、該ジヒドロピリジン環の4
位または5位のいずれかに二重結合が存在することを示
し;式(n′)、(o′)および(p′)における点線
は、該ジヒドロキノリン環の2位または3位のいずれか
に二重結合が存在することを示し;R1はC1〜C7アリキ
ル、C1〜C7ハロアルキルもしくはC7〜C10アラルキル基
を意味し;R3はC1〜C3アルキレン基を意味し;Xは−CON
R′R″(R′およびR″は同一でも異なるものでもよ
く、それぞれHもしくはC1〜C7アルキル基を意味する)
であるか、またはXは−CH=NOR(RはHもしくはC
1〜C7アルキル基を意味する)であり;式(k′)およ
び(m′)におけるカルボニル含有基ならびに式
(l′)におけるX置換基は、それぞれ該ジヒドロピリ
ジン環の2位、3位もしくは4位に結合することがで
き;式(n′)および(p′)におけるカルボニル含有
基ならびに式(o′)におけるX置換基は、それぞれ該
ジヒドロキノリン環の2位、3位もしくは4位に結合す
ることができ;そして、式(q′)および(s′)にお
けるカルボニル含有基ならびに式(r′)におけるX置
換基は、それぞれ該ジヒドロイソキノリン環の1位、3
位もしくは4位に結合することができる。
第二もしくは第三ヒドロキシル官能基を含有する薬剤
は、上記の[DHC]群の(k′)ないし(s′)のいず
れかに結合することができる。この場合、 部分は、前記薬剤と反応して、相当するヘミアセタール
を形成することのできるアルデヒドRCH2O(例、クロラ
ール、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、もしくは
ベンズアルデヒド)から誘導される。
次に列記するのは、本発明により特定のシクロデキス
トリン誘導体と組合せた非経口投与用薬剤組成物に薬剤
として使用することができる、脳を標的とした薬剤供給
の目的に特に好ましいジヒドロピリジンピリジニウム
塩型レドックスキャリアー系(これは、本明細書におい
て、化学供給系もしくはCDSとも表記することがある)
の還元形態であるジヒドロピリジン化合物の例示であ
る。
本発明で使用するシクロデキストリン類は、β−シク
ロデキストリンのヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチ
ル、グリコシル、マルトシルおよびマルトトリオシル誘
導体、ならびにγ−シクロデキストリンの相当する誘導
体である。このヒドロキシアルキル基は、例えばヒドロ
キシプロピル、ジヒドロキシプロピルなどのように1ま
たは2以上のヒドロキシル基を含有することができる。
グルコシル、マルトシルおよびマルトトリオシル誘導体
は、例えばグルコシルもしくはジグルコシル、マルトシ
ルもしくはジマルトシルなどのように、1もしくは2以
上の糖残基を含有することができる。シクロデキストリ
ン誘導体の各種の混合物(例、マルトシル誘導体とジマ
ルトシル誘導体との混合物)もまた使用できる。本発明
に有用なシクロデキストリン誘導体の具体例としては、
ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPCDま
たはHPBCD)、ヒドロキシエチル−β−シクロデキスト
リン(HEBCD)、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキ
ストリン(HPGCD)、ヒドロキシエチル−γ−シクロデ
キストリン(HEGCD)、ジヒドロキシプロピル−β−シ
クロデキストリン(2HPBCD)、グルコシル−β−シクロ
デキストリン(G1−β−CDまたはG1BCD)、ジグルコシ
ル−β−シクロデキストリン(2G1−β−CDまたは2G1BC
D)、マルトシル−β−シクロデキストリン(G2−β−C
DまたはG2BCD)、マルトシル−γ−シクロデキストリン
(G2−γ−CDまたはG2GCD)、マルトトリオシル−β−
シクロデキストリン(G3−β−CDまたはG3BCD)、マル
トトリオシル−γ−シクロデキストリン(G3−γ−CDま
たはG3GCD)、ならびにジマルトシル−β−シクロデキ
ストリン(2G2−β−CDまたは2G2BCD)、ならびにマル
トシル−β−シクロデキストリン/ジマルトシル−β−
シクロデキストリンの混合物のような上記の混合物が挙
げられる。
本発明の方法に使用するヒドロキシプロピル−β−シ
クロデキストリンは市販品を入手できる。あるいは、こ
れを公知の方法、特にPithuらのInternational Journal
of Pharmaceutics29,73−82(1986)に記載の最適な
方法を用いて合成することもできる。上記文献に記載の
Pithaらの方法を用いた代表的な合成方法を次に示す。
水酸化ナトリウム31gをフラスコ内で水250mlに溶解し
た。次いでβ−シクロデキストリン100gを添加し、溶媒
を加温して溶液状とした。フラスコを冷却し、プロピレ
ンオキシド50mlを添加した。この添加中、フラスコにド
ライアイス/アセトン冷却器を取り付けた。得られた溶
液を室温に昇温させ、72時間撹拌した。溶液を次いで濃
塩酸で中和し、水で希釈した。溶媒を減圧除去し、得ら
れたシロップ状の残渣をエタノールに溶解させた。室温
で30分間撹拌した後、析出した塩化ナトリウムを濾去し
た。濾過ケーキをエタノールで洗浄し、エタノール層を
合わせて減圧濃縮した。残渣を水に溶解し、酢酸セルロ
ース膜(No.7、38mm、4.6ml/cm、分子量分離=1000、Fi
sher Scientific製)により透析した。0℃で5時間
後、透析管から溶液を取り出し、凍結乾燥した。得られ
た固体をアセトンに懸濁させ、一晩撹拌した。濾過して
得た固体をアセトンに再懸濁させ、24時間撹拌した。固
体を濾別し、200mlの水に溶解した後、凍結乾燥した。7
5gの精製ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン
が得られた。NMR分析結果を真正試料と比較することに
より、置換度を算出した。
E2−CDS(エストラジオール−CDS)との包接化合物を
形成するために、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロ
デキストリン(HPCD)の50%溶液(w/w)を蒸留水を使
用して調製した。過剰のE2−CDSを加えた後、溶液をヘ
リウムでパージした。生成した懸濁液を次いで30分間超
音波処理し、ガラスフィルター(ASTM 10−15M、パイレ
ックスNo.36060)により濾過し、一晩凍結乾燥した。E2
−CDS/HPCD包接化合物の水溶液を少なくとも10時間強く
凍結してから凍結乾燥すると最良の結果が得られた。少
量の乾燥した包接化合物をメタノールに溶解させ、高圧
液体クロマトグラフィー(HPCD)で分析することにより
包接化合物形成度を測定した。こうして求めた包接化合
物形成度は20〜40mg/gの範囲内であり、得られた包接化
合物の溶解度は2.2×104mg/であった。
アルカリ性水溶液中でプロピレンオキシドをβ−シク
ロデキストリンと縮合させてHPCDを調製する上記のPith
aらの方法は、残念ながら難点、特に生成物の精製に関
して、多数の工程を必要とするという難点がある。縮合
反応の終了後、反応混合物を塩酸で中和し、水を減圧蒸
発させ、シロップ状の残渣をエタノールに溶解させて、
反応の主な副生物である塩化ナトリウムを析出させる。
濾過後、エタノールを減圧蒸発させ、残渣を水に溶解
し、残留する塩化ナトリウムおよびプロピレンオキシド
の重合生成物を除去するために透析を行う。透析中に、
生成したヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン
の一部は膜を通過し、失われてしまう。次いで、透析液
を凍結乾燥し、アセトン中で2回撹拌し、洗浄して残留
する重合生成物を除去する。最後に、ヒドロキシプロピ
ル−β−シクロデキストリンを再び凍結乾燥する。この
2回目の凍結乾燥は、アセトンで洗浄した後の生成物が
均質でないために必要となる。
Pithaらの方法に伴う上記の難点を解決するため、フ
ロリダ大学のM.SmulkowskiによりHPCDの新たな合成方法
が開発された。この新たな方法は、反応混合物からイオ
ン交換樹脂(H+型)により水酸化ナトリウムを除去する
工程を包含する。その結果、Pithaらの方法の時間のか
かる多くの精製工程を避けることができる。さらに、水
酸化ナトリウムの使用量を、Pithaらの方法で使用した
β−シクロデキストリン1当量につき7当量から、シク
ロデキストリン1分子に対して水酸化ナトリウム2当量
に低下させることができ、しかも適当なNMR特性および
旋光性を持った生成物が生成する。
上記の新たに開発されたHPCDの合成方法によると、ま
ず、β−シクロデキストリンをアルカリ性溶液中でプロ
ピレンオキシドと縮合させ、水酸化ナトリウムをイオン
交換カラム(Dowex 50W−X8、H+型)を用いて除去し、
溶出液を減圧蒸発させて、最初の体積の1/2に濃縮し、
残留する溶液を凍結乾燥し、得られた白色固体をアセト
ンで洗浄し、再び凍結乾燥した後、粉砕し、ふるい分け
する。この方法の可能な変更点としては、(1)反応フ
ラスコ内でイオン交換樹脂を使用して中和を行い、樹脂
を濾別後、濾過漏斗内で洗浄する、(2)シクロデキス
トリンの溶解に水酸化カルシウム、マグネシウム、リチ
ウムもしくはカリウムを使用する、(3)反応後の水酸
化物の除去を、イオン交換樹脂の代りに、反応混合物を
二酸化炭素を飽和させるか、あるいは硫酸での中和によ
り行う、(4)水酸化ナトリウムの使用量をさらに少量
(1〜2当量)とする、および(5)2回目の凍結乾燥
を省略する、ことが挙げられる。
次に、この新たに開発された改良方法を用いた代表的
な操作を例示する。
水751mlに水酸化ナトリウム3.53gをとかし溶液にβ−
シクロデキストリン50gを溶解させ、0℃で29mlのプロ
ピレンオキシドにより処理した。反応混合物をこの温度
に5時間保持した後、室温に42時間保持した。この時間
の経過後、反応嵌合物をDowex 50W−X8のカラム(H
+型)に通し、カラムを水で洗浄し、溶出液を体積100ml
になるまで減圧蒸発した後、凍結乾燥した。得られた白
色固体をアセトンで洗浄すると、51gのHPCDが得られ、
これはPithaらの方法により調製したHPCDと同じ置換度
(4.7)およびNMRスペクトルを示した。強熱残渣は0.0
%であった。旋光性もPithaらの生成物と同一であっ
た。
β−シクロデキストリン25gに対して7.71gの水酸化ナ
トリウムを使用した縮合の実験でも同様の結果が得られ
た。
この新たなHPCDの改良合成方法において、最後の凍結
乾燥の前に活性炭を使用して溶液を精製するとさらに結
果が改善される。すなわち、Dowex 50W−X8のイオン交
換カラムから溶出した水溶液を活性炭で処理すると、HP
CDの損失を伴わなずに重合生成物の大部分が除去される
ので、酢酸エチルで1回洗浄しただけの濾液でも、その
まま最終的に凍結乾燥することができた。こうすれば、
必要な凍結乾燥は1回だけでよくなった。少なくとも小
規模であれば、凍結乾燥に代えて最終生成物の結晶化
(晶析)も可能である。
この修正された新たな方法(活性炭を使用する方法)
により得られた生成物は、修正前の新たな方法およびPi
thaらの方法で得られた生成物に比べて、次の点で優れ
ているようである。まず、修正法では生成物が純白であ
り、無色の水溶液を形成するのに体し、先の二つの方法
の生成物は黄色の水溶液を形成する。次に、修正法での
生成物は油状ではない。これは、より光度に置換され
た、水溶性の低い油状のシクロデキストリン類が除去さ
れたことによるのかも知れない。
HPCDは5ないし7といった各種の置換度で調製するこ
とができる。代表的には、上記方法を使用してHPCD(AS
DS 7)を生成させる。得られたHPCDの異性体混合物の質
量スペクトルは、ほぼ置換度7が中心となる。このスペ
クトルは、高速原子衝撃を使用して試料を「穏やかに」
イオン化することにより得られる。発生したスペクトル
は、既に報告されているもの(カリホルニウム252プラ
ズマ脱着により得られた)と、異性体分布の対称性およ
び生成した異性体の数値分布の両方について類似してい
る。
ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン(HEBC
D)は、上に詳述したHPCDの改良合成方法を使用し、そ
こで使用したプロピレンオキシドに代えて当量のエチレ
ンオキシドを使用することにより、HPCDと同様に調製す
ることができる。
2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン
(HPGCD)も、原料のβ−シクロデキストリンをγ−シ
クロデキストリンに代えることによって、HPCDの場合と
同じ基本操作を使用して同様に合成することができる。
ただし、β−シクロデキスオリンの7個に対して、γ−
シクロデキストリンは8個のグルコース残基を含有して
いるので、置換度を低下させるためにプロピレンオキシ
ドの使用量を低減させるのができる。γ−シクロデキス
トリン0.077モルに対して0.75モルのプロピレンオキシ
ド(8個のOH基を考慮すると約20%過剰)を使用すると
置換度8のHPGCDが得られ、0.56モルのプロピレンオキ
シド(当量より約10%少ない)を使用すると約7の置換
度が得られる。
ヒドロキシエチル−γ−シクロデキストリン(HPGC
D)は、上に述べたHPGCDの合成方法と同様にして、単に
プロピレンオキシドの代わりに当量のエチレンオキシド
を使用することにより合成できる。
このように、本発明において使用するヒドロキシアル
キルシクロデキストリン類は、Pithaらの方法あるいは
その変法により調製することができる。この方法で合成
すると、得られたシクロデキストリン誘導体は本質的に
は非晶質の混合物となる。シクロデキストリン類の非晶
質(無定形)の性質が重要であることは、Pithaら,J.P
harm.Sci.,Vol.74,No.9,1985年9月,987−990に記載さ
れている。この材料の非晶質性の利点は、シクロデキス
トリン濃度が高いほど顕著となる。
本発明で使用するシクロデキストリンの他の1群、す
なわち、β−およびγ−シクロデキストリンのグルコシ
ル、マルトシルおよびマルトトリオシル誘導体は、もと
のシクロデキストリンに比べて非常に水溶性が高い分岐
シクロデキストリン類である。この分岐シクロデキスト
リン類は、出発物質のシクロデキストリンから微生物学
的方法により製造することができる。グルコシル−β−
シクロデキストリンは、バチルス・オーベンシス(Baci
llus ohbensis)シクロマルトデキストリン・グルカノ
トランスフェラーゼにより大規模なβ−シクロデキスト
リン合成の母液から得ることができる;Koizumiら,Che
m.Pharm.Bull.,35(8),3413−3418(1987)およびそ
の中で引用されている文献を参照。マルトシルおよびマ
ルトトリオシル−β−およびγ−シクロデキストリン
は、原料のシクロデキスリンとマルトースもしくはマル
トトリオースとから、シュードモナス(Pseudomonas)
イソアミラーゼもしくはクレブシエラ・アエロゲネス
(Klebsiella aerogenes)プルラナーゼの逆作用により
調製することができ、グルコシル−γ−シクロデキスト
リンは、マルトシル−γ−シクロデキストリンの酵素加
水分解により調製することができる;Okadaら,Chem.Pha
rm.Bull.,36(6),2716−2158(1988)およびその中で
引用されている文献を参照。プルラナーゼの存在下でマ
ルトースをβ−シクロデキストリンと反応させることに
よるマルトシル−β−シクロデキストリンの製造は、特
開昭61−287902号および特開昭61−197602号公報にも記
載されている。マルトシル−β−シクロデキストリンお
よび各種のジマルトシル−β−シクロデキストリン類の
混合物、例えば、エンスイコ製糖株式会社から市販のIS
OELEAT も支障なく使用できる。
キャリアー媒介ジヒドロピリジンピリジニウム塩型
レドックス系〔これは、そのジヒドロピリジン形態で
は、化学供給系(CDS)とも呼ばれる〕の開発により、
多様な薬剤の中枢神経系への供給の増強および/または
持続が可能となった。このCDSの物理化学的性質は脳で
の吸収および保持に対して最適なものであるが、水溶液
状の処方もしくは水溶液としての使用には不向きである
ことが多い。その顕著な1例は、E2−CDS、すなわちエ
ストラジオールから得られたCDSである。このジヒドロ
ニコチネート(E2−CDS)はBBBを通過し、脳内で相当す
る第四級塩のE2Q+に酸化される。こうして生成したE2Q+
の濃度が脳内で持続し、これからエストラジオールが徐
々に放出され、このエストラジオールが顕著な中枢エス
トロゲン効果を発揮するのである。このような効果とし
ては、卵巣を摘出したラットのLH(黄体形成ホルモン)
抑制、およびこのような去勢をしていない雌性ラットの
周期性の可逆的抑制が含まれ、これらの効果は長期間持
続する。E2−CDSは親油性が高く、水溶性は非常に低い
(0.2μg/ml)。そのため、E2−CDSはジメチルスルホキ
シド(DMSO)もしくはジメチルアセトアミド(DMA)と
いった水混和性有機溶媒に溶かして投与することが必要
であった。この操作は、実験室での動物実験では必ずし
も不適当ではないが、人に投与する場合には、上に列挙
したように明らかに不適当である。従って、E2−CDSの
水性組成物もしくは水溶液の開発が検討されてきた。こ
のような組成物に対する要求基準としては、毒性が低い
こと、E2Q+の脳への供給の効果がE2−CDSのDMSOもしく
はDMA溶液の場合と同等であること、および開発された
技術が他のジヒドロピリジンピリジニウム塩型レドッ
クス系にも応用できること、が挙げられる。
次に本発明の効果を実証するために行った実験例の詳
細および実験結果を説明する。
実験例 使用材料 3−ヒドロキシ−17β−[(1−メチル−1,4−ジヒ
ドロピリジン−3−イル)カルボニル]オキシエストラ
−1,3,5(10)−トリエン(E2−CDS)、1−メチル−3
−〔N−{β−[3,4−ビス(ピバリルオキシ)フェニ
ル]エチル}カルバモイル〕−1,4−ジヒドロピリジン
(DA−CDS)、17β−[(1,4−ジヒドロ−1−メチル−
3−ピリジニルカルボニル)オキシ]アンドロスト−4
−エン−3−オン(T−CDS1)、1−メチル−3−N−
[3−(ベンジルオキシカルボニル)プロピル]カルバ
モイル−1,4−ジヒドロピリジン(GABA−CDS1)、1−
メチル−3−{[2−(9−グアニルメトキシ)エトキ
シ]カルボニル}−1,4−ジヒドロピリジン(ACV−CD
S)、および17β−{[(1−メチル−1,4−ジヒドロピ
リジン−3−イル)カルボニル]オキシ}−19−ノルプ
レグン−4−エン−20−イン−3−オン(N−CDS)
を、公知の方法により合成した。
2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン
(HPCD)(統計平均置換度=5.1または7)をPithaらの
方法により調製した。他のシクロデキストリン類(α、
βもしくはγ)は、Aldrich Chemical Co.から入手し、
他のステロイド類(エストラジオール、エストラジオー
ル・17−バレレート、エストリオール、エストロン、エ
ストラジオール・3−メチルエーテルおよびテストステ
ロン17−プロピオネート)は、Sigma Chemical.Co.から
購入した。
調製した化合物はすべて、実験前に分光分析と微量燃
料(microcombustion)分析(Atlantic Microlabs)と
により十分に確認した。質量分光分析は、高速原子ガン
を備えたKratos MS80RFA二重焦点装置を使用して行っ
た。シクロデキストリン混合物は、グリセロールマトリ
ックス中で調製した試料の高速原子衝撃により分析し
た。置換度は、異性体質量分布から求めた。核磁気共鳴
スペクトル(NMR)は、Varian EM360 60 MHz分光計によ
り得た。測定値は内部標準[3−(トリメチルシリル)
プロピオン2,2,3,3−d4酸、ナトリウム塩、DDS]に対し
て記録し、全試料をD2O中で測定した。置換度は、アノ
マー性水素に帰属する積分面積を、ヒドロキシプロピル
官能器に帰属するものと対比することに算出した。
溶解剤の効果 過剰のE2−CDSを適当な溶解剤の水溶液と共に30分間
超音波処理した。次いで、得られた懸濁液を遠心分離
し、孔経0.45μmのポリ二フッ化ビニリデン(PVDF)製
濾過膜[Millex−HV4、Millipore ]により濾過し、HP
LC(高圧液体クロマトグラフィー)により分析した。2
−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPC
D)を用いた実験では、過剰のE2−CDSを各種濃度(%w/
v)のHPCDに添加し、溶解度(mg/ml)を分光分析(UV=
360nm、メタノール中ε=6487)により測定した。全体
の平衡定数の概算値を、溶解したE2−CDSのミリモル濃
度と添加したシクロデキストリンのミリモル濃度との関
係により求めた。シクロデキストリンのミリモル濃度値
は、質量分光分析により測定した異性体混合物の平均分
子量を用いて算出した。さらに、HPCDの50%w/w溶液の
溶解効果を、一連のステロイドとジヒドロピリジンの組
合わせ(CDS)について検査した。これらの実験も前記
と同様に実施した。
固体包接化合物の調製 過剰のE2−CDSもしくは他のCDSをHPCDの50%w/w溶液
に添加した。得られた懸濁液を30分間超音波処理した
後、0.45μmのPVDF濾過膜で濾過し、凍結乾燥した。混
入度(包接化度)は、分光光度法もしくはHPLC法により
測定した。場合によっては、混入度に及ぼす溶解剤の効
果を調べた。これは、凍結乾燥の前の水溶液に、溶解剤
として少量のポリオキシエチレン20セチルエーテル(Br
ij)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート
(Tween 80)もしくはエタノールを添加することにより
行った。
分析方法 分光光度法による濃度の測定には、Cary 219(Varia
n)もしくはHP 8415A Diode Array(Hewlett Packard)
分光光度計を使用した。メタノール中での標準曲線を作
製し、これは0.999より大きな相関係数を与えた。CDSに
ついては監視波長を360nmとし、エストロゲン類につい
ては220nmを使用した。
HPCD装置は、Rheodyneインジェクタを付設したAutoch
rom M500ポンプもしくはPerkin−Elmerシリーズ4ポン
プのいずれか、Kratos Spectroflow 757可変波長検出
器、ならびにBeckman記録器もしくはLCI−100積分器(P
erkin−Elmer)のいずれか、から構成した。分離は、An
alytical Sciences,Inc.(ASI)、粒度10μm、C18逆
相、30cm×3.9mm(内径)の分析カラムで行った。流速
は16ml/minとし、化合物は360nmで検出し、すべての測
定で温度は室温であった。82:1:1:16のアセトニトリ
ル:テトラヒドロフラン:酢酸:水を含有する移動相
は、E2−CDSを4.4分で、DA−CDSを4.4分で、T−CDS1
6.8分で、N−CDSを5.2分でそれぞれ溶出させた。GABA
−CDS1については、同じ成分の50:1:1:48の混合比から
なる移動相が必要であった。保持時間は5.2分であっ
た。他の化合物は分光光度法により分析した。
動物実験 意識のある拘束されたSprague−Dawley系ラット(雌
性、体重200g)に、DMSO溶液状のE2−CDS15mg/kg、ある
いはHPCDとの包接化合物(E2−CDS−HPCD)の水溶液状
のE2−CDS 5 mg/kgを、静脈内注射(尾静脈)により投
与した。投与後のさまざまな時点で動物を解剖し、脈幹
血液および器官を採取した。次いで、各器官を秤量し、
水中でホモジナイズし、冷アセトニトリルにより脱タン
バク処理した。得られた器官ホモジネートを遠心分離
し、上清液を、後で詳述するプレカラム濃化法(precol
umn enrichment technique)を使用してE2Q+およびE2
CDSについて分析した。
結果および考察 前述したように、シクロデキストリン類は、ステロイ
ドを含む多数の薬剤の水溶液を増大させるのに使用され
てきた。この環式オリゴマーは、異なる数のα−1.4−
結合グルコース単位を含有している。これらの単位の数
(α=6、β=7、γ=8)により、多数の薬剤を包接
するのに使用できる円錐形キャビティ(内部空間)の寸
法が決まる。生成した包接化合物の安定性は、シクロデ
キストリン中への薬剤の嵌まり具合(嵌合性)とシクロ
デキストリンの濃度とに異存する。残念ながら、ステロ
イド類との包接化合物形成に最も適したシクロデキスト
リンであるβ−シクロデキストリンは水溶性が低い。こ
の性質は、結晶格子内で起こる高度の水素結合に由来す
る。この問題に加えて、β−シクロデキストリンはラッ
トに腎障害を引き起こすことが知られている。この毒性
も、少なくとも部分的には水溶性が低いことに原因があ
る。いずれにしても、E2−CDSの水溶性は、非置換のα
−、β−もしくはγ−シクロデキストリンのいずれかの
各種濃度の溶液中で平衡状態とした場合には、あまり変
化が認められなかった。後出の第1表に示すように、50
mMまでの濃度のα−シクロデキストリンではE2−CDSの
水溶性はわずか25倍しか増大せず、β−およびγ−シク
ロデキストリンではこのCDSの水溶性はそれぞれ135倍お
よび110倍に増大しただけであった。E2−CDSの水溶性と
非置換シクロデキストリンの濃度との関係は直線的では
なく、これは原薬剤であるステロイドを包接化合物とし
た場合に認められるとの同じ状況であった。いずれにせ
よ、α−、β−もしくはγ−シクロデキストリンでは、
得られる水溶性が低く、包接化合物形成が比較的少ない
ことから、薬剤の開発の目的には不適切である。β−シ
クロデキストリンに毒性があることは、この評価をさら
に強めるものである。
シクロデキストリン類の水溶性、従って有用性を増大
させる試みがいくつかなされてきた。各種のメチル化誘
導体がこれまでに報告されているが、この変性化合物の
急性毒性は原化合物(非置換シクロデキストリン)より
一般に大きい。最近になって、β−シクロデキストリン
のヒドロキシプロピル化により非晶質のシクロデキスト
リン誘導体が得られることが報告された。この生成物で
ある2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン
(HPCD)は、平均統計的置換度(ASDS)により表すこと
ができる異性体混合物である。このASDS値は、NMRもし
くは質量分光分析法を用いて決定することができる。こ
の非常に水溶性の高い異性体混合物は、Pithaらによ
り、性腺ステロイドを含む多数の化合物の溶解度を著し
く増大させることが示された。さらに、予備的な毒性実
験では、経口もしくは静脈内投与後の副作用は、あった
としても極く少ないことが示された。
Pithaらの方法に従ってHPCD(ASDS 5.1または7)を
調製した。HPCDの異性体混合物の質量スペクトルは、置
換度7付近に中心があった。このスペクトルは、高速原
子衝撃を用いて試料を「温和に」イオン化することによ
り得た。得られたスペクトルは、以前に報告されたスペ
クトル(カリホルニウム−252プラズマ脱着に得られた
もの)と、異性体分布の対称性および生成した異性体の
数値的な広がりの両方において類似していた。引用した
例では、ASDS 5.1の置換度が低い場合であっても、毒性
のある非置換のβ−シクロデキストリンは検出されなか
った。
このHPCDのE2−CDSへの適用にあたっては、ASDSの低
いHPCDを選択した。置換度が増すにつれて、恐らく立体
相互作用によりシクロデキストリンの包接化合物を形成
する傾向が低下する上、生成した包接化合物の表面活性
が増大する。一般に、表面活性が増大すると、その物質
が溶血作用を引き起こす傾向も増大することから、表面
活性の増大は望ましいことではない。ASDS5.1および7
のいずれのHPCDも、E2−CDSの溶解度に対して顕著な効
果を示した。ASDS 7の場合、HPCDの濃度の増大に伴うE2
−CDSの溶解度の直線的な増大(r=0.995)が明白に示
された。HPCD濃度62.5% w/wで30.2mg/mlを溶解させる
ことができた。ASDS 5.1のHPCDでは、濃度62.5% w/wで
35mg/mlのE2−CDSを溶解させることができた。ASDSが低
い方のHPCDは混入度の15%の増大を与えた。これらのデ
ータは、E2−CDSの水中での溶解度に比べて5桁もの(1
50,000 倍の)溶解度の増大を示す(第1表参照)という結果を
反映している。ASDS 7のHPCDによる実験で得られたデー
タを、添加したHPCDのミリモル濃度(異性体混合物の平
均分子量に基づいて算出)に対する溶解したE2−CDSの
ミリモル濃度としてプロットすると、傾きが0.2の直線
になった。この傾きはシクロデキストリン包接化合物の
全体の安定性の評価基準となり、他の系との適当な比較
材料となる。
得られた溶液は凍結乾燥して固体の包接化合物とする
ことができた。HPCDの50%w/w溶液は、包接化合物1gに
ついて37mgのE2−CDSを固有する固体(混入度37mg/g)
を生じた。この包接化合物は乾燥粉末として安定であ
り、水で容易に溶液状に戻すことができた。これらの操
作において、HPCD成分の濃度を20%w/v以上に保持する
ことが重要であった。この濃度より低いと沈澱が起こる
ことがある。各種添加剤(溶解剤)、例えばBrij(0.7
%w/w)、Tween80(0.8%w/w)もしくはエタノール(10
%v/v)の添加により包括化合物の混入度を増大させる
試みをいくつか行った。Brijの添加により混入度は189m
g/gに増大したが、得られた包接化合物が安定ではな
く、12日で混入度が42mg/gに低下した。残りの溶解度は
あまり効果がなかった。従って、安定な包接化合物の形
成に対する混入度の上限は、上記の例にあっては約40mg
/gであると思われた。
E2−CDSとシクロデキストリン混合物中の各種異性体
成分との間で包接化合物が形成されることから、E2−CD
Sの一部は急速には解離せず、E2−CDSの生物学的に有効
な濃度を低下させる可能性がある。この可能性を検討す
るために、HPCD(ASDS 5.1)にE2−CDSを含有させた薬
剤組成物(E2−CDS−HPCD)が脳にE2Q+を供給する能力
を測定し、E2−CDSをDMSOに溶解させて投与した場合のE
2Q+の供給と比較した。DMSO中の15mg/kgのE2−CDSまた
はHPCD水溶液中の5mg/kgのE2−CDSのいずれかを全身投
与した後の、E2Q+の脳中濃度を測定した。投与量の差異
を考慮する、すなわち、データをg当たりの投与量%と
して示した場合、DMSO中でのE2−CDSの投与後と水性媒
質中でのE2−CDS−HPCDの投与後とで、E2Q+の脳中濃度
に顕著な差異は存在しない。ただし、後者は、顕著に変
動が少なく、より一定したデータを生じた。興味あるこ
とに、肺中のE2Q+の濃度は、E2−CDS−HPCD投与後の方
が低い。これに対する説明としては、E2−CDSをDMSOの
ような水混和性有機溶媒にとかして投与した場合には、
この非常に水不溶性のE2−CDSが析出する傾向がいくら
かあるのではないかと考えられる。多量の(bolus)静
脈内注射後、肺内のイオン性の水性環境は、この析出に
適した部位を提供しうる。E2−CDS−HPCD投与後に肺中
で得られた濃度が低いことは、この包接化合物の水溶性
が高いことを反映しているだけでなく、その生体内解離
定数の何らかの特性をも示しているかも知れない。全く
予想外なことに、この解離の速度は、CNS中でのE2−CDS
の分布を変化させないほどには速く、著しい析出を伴わ
ずに肺を通過する(あるいは肝臓のような器官を通過す
る)ことができるほどには遅いようである。さらに、各
種器官での濃度の値も、E2−CDS−HPCDの投与後の方が
はるかに変動が少ない。これも、この包接化合物の水溶
性が高いこと、およびその析出傾向が低いことにより説
明できる。同時に行った薬理実験でも、脳への選択的供
給に対するE2−CDS−HPCD組成物の有効性が確証され
た。
HPCDの50%w/w溶液が多数のステロイドおよび他のCDS
の溶解性に及ぼす効果を次の第2表に示す。
このように、E2−CDSおよび多数の他のCDSがHPCDによ
りうまく可溶化されたが、これは万能ではなく、例えば
ノルエチンドロン−CDSは簡単には可溶化されなかっ
た。E2−CDSの最大の可溶化がHPCD(ASDS 5.1または
7)の水溶液中で起こった。これらの包接化合物は冷凍
乾燥することができ、安定であった。この乾燥粉末は、
シクロデキストリン成分が20%w/v以上であれば、水に
溶かすことにより容易に溶液状に戻った。この包接化合
物の水溶液は、ラットの脳へのE2Q+の供給効果が、E2
CDSをDMSO溶液として投与した場合と同等であった。さ
らに、この組成物は、E2Q+の肺中濃度を顕著に低下させ
た。現在までに入手したデータでは、この賦形薬(HPC
D)は毒性が低く、錠剤に容易に圧縮でき、急速に溶解
し、合成が容易かつ再現性があることが示されている。
E2−CDSおよびその他のCDSはまた、本明細書に説明し
たように、他のシクロデキストリン誘導体を使用しても
うまく包接化合物を形成することができた。他のシクロ
デキストリン/CDS包接化合物も、HPCD包接化合物につい
て既に述べたように改善された特性を示す。
固体包接化合物の組成物の1例において、代表的なCD
SであるE2−CDSを、エンスイコ製糖株式会社から得た、
ロット番号88190のマルトシル−β−シクロデキストリ
ン(71%)と各種のジマルトシル−β−シクロデキスト
リン(29%)との混合物の40%水溶液に過剰に添加し、
数時間混合した。得られた懸濁液を次いで濾過し、凍結
乾燥し、包接化合物を形成した薬剤の量を、紫外分光光
度法による分析で求めた。混入度の測定値は81.88mg/g
であった。HPCDの場合の対応する値は約36.2mg/gであ
る。
さらに別の試験で、各シクロデキストリンの各種濃度
の水溶液中に溶解しうる各CDSの最大濃度を測定した。C
DSがE2−CDSである場合の最大濃度(mg/ml)を次に示
す。シクロデキストリン 20% 40% HPCD 6.73 11.9 HEBCD 3.09 6.07 HEGCD − 4.0 ノルエチンドロン−CDSの濃度(mg/ml)は、40%HPCD
中で7.13、40%HPGCD中で15.9であった。
上に述べたように、代表的なジヒドロピリジンレドッ
クス系薬剤であるE2−CDSを代表的なシクロデキストリ
ン誘導体であるHPCDとの包接化合物として使用すること
により、DMSO中の溶液の状態でこのレッドクス系薬剤を
投与する場合に比べて、第四級形態の初期の肺中濃度が
低くなる(したがって、初期の脳中/肺中濃度比が増大
する)。別の代表的なレドックス系薬剤であるテストス
テロン−CDS(T−CDS1)の実験でも、次に詳述するよ
うに同様の実験結果が得られた。
実験操作 使用材料 2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン
(HPCD、置換度5.1)をPithaらの方法に従って調製およ
び精製した。テストステロン・プロピオネートもしくは
T−CDS1のいずれかの過剰量を2−ヒドロキシプロピル
−β−シクロデキストリン50%w/v水溶液と混合して平
衡状態にすることにより、シクロデキストリン包接化合
物を調製した。この溶液を脱気し、懸濁液を30分間超音
波処理した後、これを濾過し、濾液を凍結乾燥した。乾
燥した濾液は、シクロデキストリン包接化合物1g当たり
65.6mgのテストステロン・プロピオネートもしくは29.6
mgのT−CDS1を含有していた。薄層クロマトグラフィー
および紫外吸光により化合物を分解について分析した。
動物 体重250〜275gの雄性Sprague−DawleyラットをCharle
s River Breeding Laboratories(マサチューセッツ州
ウィルミントン)から購入し、照明(14時間、0500時間
でライト・オン)および温度(23±1℃)が制御されて
いる動物質で飼育した。血清中黄体形成ホルモン(LH)
を高め、内生テストステロン供給を少なくするために、
軽エーテル麻酔下に左右の精巣を腹中線切開により摘出
した。すべての実験を、この精巣摘出から2週間後に開
始した。
実験1 精巣摘出から15日目に、ラットをエーテル麻酔し、右
外頚静脈を露出させた。次いで、下記のいずれかを動物
に投与した:テストステロン−CDS(T−CDS1またはT
−CDS2)、テストステロン(ニューハンプシャー州ウイ
ルトンのSteraloids Inc.製)、または賦形剤であるジ
メチルスルホキシド(DMSO、ニュージャージー州フェア
レインのFisher Scientific製)。テストステロン−CDS
はテストステロン(25mg/kg)と等しい投与量となるよ
うに投与した。すなわち、T−CDS1は36.5mg/kgで、T
−CDS2は45.1mg/kgの量でラットに投与した。DMSOは1ml
/kgの量を注射した。すべての化合物を2分間の注入に
より投与した。薬剤投与の直前(1000時間)に1mlの血
液を外頚静脈から採取し、6、12、24時間後、ならびに
4日目および7日目に心臓穿刺により血液の検体を採取
した。4℃、500×gで20分間遠心分離して血清を分離
し、−20℃で保存した。
実験2 精巣摘出から2週間後、テストステロンの脳への供給
をより効果的に高める目的で、T−CDS1、テストステロ
ン・プロピオネート(TP、Steraloids Inc.)またはDMS
Oのいずれかを、右外頚静脈への静脈内注入によりラッ
トに投与した。ゆっくりした注入がこの化学供給系に結
合した薬剤の脳への供給を改善することが示されてい
た。TPを比較用に選択した理由は、いずれのT−CDS化
合物とも同様に、17位の炭素(C17)に結合したエステ
ル基(プロピオネート基)を有しているからである。精
巣摘出をしなかった動物には、薬剤の賦形剤のみを投与
した。4匹の動物に同時に注入を行うことができるよう
に、2台のHarvard Apparatus往復注入/抜き取りポン
プ(944型)を使用した。注入度は15μ/minであり、
動物の注入には17〜25分間を要した。TPの投与量は25mg
/kgであり、T−CDSはTPと等モル量の用量で注入した
(体重1kgに対してT−CDS129.7mg)。この薬剤の賦形
剤であるDMSOは、1ml/kgの用量で投与した。血液1mlを
薬剤の注入前に外頚静脈から採取し、さらに1、3、5
および7日目には眼窩下洞から採取した。血清の分離お
よび保存は前記と同様に行った。
実験3 精巣を摘出したラットに、HPCDに溶解させたテストス
テロン−CDS(T−CDS1)(T−CDS1−HPCD)、シクロ
デキストリンに溶解させたテストステロン・プロピオネ
ード(TP−HPCD)または賦形剤であるシクロデキストリ
ン(HPCD)のいずれかを、1回の尾静脈注射により投与
した。T−CDS1−HPCDの投与量(11.9mg/kg)は、TP−H
PCDの用量(10mg TP/kg体重)と等モル量のT−CDS1
動物が受け取るように決めた。対照のラットは、3.0ml/
kgの25%HPCD(w/v)を投与された。0、1、3、5お
よび7日目に心臓穿刺により血液を採取し、分離および
貯蔵は前記と同様に行った。
薬剤の末梢作用を評価するために、右精嚢、精管およ
び腹側前立腺を摘除し、清浄化し、液体を除き、0.1mg
単位まで秤量した。測定値は、体重100g当りの重量(m
g)として記録した。
LHの放射化免疫検定(ラジオイムノアッセイ) 血清LH濃度は、NIADDKの下垂体ホルモン分布プログラ
ムにより提供されたタジオイムノアッセイ・キット(参
照製剤LH−RP−2)により2回測定した。アッセイ内お
よびアッセイ間の変動係数はそれぞれ2.9および15.6で
あった。
テストステロンのラジオイムノアッセイ 血清テストステロン濃度は、コートAカウント(Cort
−A−Count)ラジオイムオアッセイ・キット(Diagnos
itic Products、カルフォルニア州、ロスアンジェル
ス)を用いて2回測定した。
統計的処理 LHおよび末梢組織の平均値における差の有意性を分散
(ANOVA)およびStudent−Newman−Keuls(SNK)の各検
定の解析により求めた。有意水準はいずれの検定法でも
0.05であった。
結果および考察 DMSOを薬剤の賦形剤として使用した実験1および2で
は、注射後の薬剤の不溶性の徴候、すなわち、注射もし
くは注入の速度に関係なく肺の病変に伴う呼吸障害が認
められた。ステロイドの水溶性を増大させるために、実
験3ではT−CDS1およびTPをHPCD中に溶解させた。T−
CDS1の溶解度の改善により、より低い用量(25mg/kgに
対して10mg/kg)を投与することができ、恐らくその結
果、動物への毒性の危険も低減することが示唆された。
T−CDS1の用量を2.5倍少なくしても、先の二つの実験
(実験1および2)で認められたのと同程度の血清LH濃
度の抑制効果を生じた。T−CDS1−HPCDの注射は、24時
間までに血清LHの50%の低下を生じ、この抑制作用は3
日間にわたって認められた。TP−HPCDで処理された動物
では、LHの抑制作用は1日目しか起こらなかった。
T−CDS1−HPCDによる精嚢の温和な刺激、およびT−
CDS1−HPCDとTP−HPCDによる腹側前立腺の温和な刺激
が、注射後7日目に観察された。前に認められたのと同
様に、T−CDS1−HPCDまたはTP−HPCDによる刺激の程度
は、対照のラット(性腺を摘出していない)で認められ
た組織重量に対してわずかであった。
ラットにT−CDS1−HPCDを投与してから1日目に血清
テストステロン濃度の5.5倍の増大が認められ、血清テ
ストステロン濃度は3日目まで高いままであった。しか
し、テストステロン濃度は注射から5日目には注射前の
水準に戻った。TP−HPCDやHPCDでは、血清テストステロ
ン濃度の増大はどこの時点でも起こらなかった。
以上の実験は、代表的なレドックスキャリアー薬剤で
あるT−CDS1を代表的なシクロデキストリンであるHPCD
との包接化合物とした場合に、脳へのテストステロンの
供給が改善されることを裏付けている。実験データで
は、T−CDS1をHPCDとの包接化合物とすると、T−CDS1
の有効1回用量を2.5倍低減させても、LHの同等の抑制
を示す。この知見は、T−CDS1のジヒドロピリジン形態
が水性媒質(例、血液)中で溶液状態としてより長時間
とどまり、それにより薬剤の脳血液関門の通過が改善さ
れることを暗示している。先に行った実験で、DMSOを賦
形剤として投与すると、T−CDS1は恐らく血液中(およ
び肺中)で析出してしまうために、ラットの呼吸障害お
よび/または死亡を引き起こすことが明らかにされてい
る。これに対して、T−CDS1をHPCDとの包接化合物の形
態で投与した場合には、呼吸障害や動物の死亡は起こら
なかった。 代表的なシクロデキストリンであるHPCDに
より得られる、レドックスキャリアー化合物の初期肺中
濃度を脳中濃度に比べて低減させる作用の改善効果を定
量化するたに、E2−CDSのHPCD包接化合物を用いて別の
一連の実験を行った。以下に詳述するこの実験では、逆
相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)法を使用し
て、生物体液中および組織中のE2−CDSとその酸化形態
である第四級代謝産物E2−Quatを分析した。この分析法
は、プレカラム濃化技法を利用し、10ng/mlのE2−Quat
および20ng/mlのE2−CDSまでの血漿中濃度を検出するも
のである。検体(試料)の調製は、迅速かつ簡単な方法
である。検体をまずアセトニトリルと共にホモジナイズ
し、遠心分離し、上清液を直接HPLC装置中に注入する。
水供給ポンプにより検体をプレカラムに注入し、ここで
薬剤を濃縮させる。移動相は保持された化合物を分析カ
ラムに逆流させる。同時に、別の検体を別のプレカラム
に注入することができる。この交互のプレカラム検体濃
化法により、1800μまでの多量の注入を行うことがで
きる。
実験操作 使用材料 E2−CDS、E2−QuatおよびE2−CDS−HPCDは、前記と同
様に合成した。ステロイド(エストラジオールおよびエ
チニルエストラジオール)はSigma Chemical Co.から入
手した。移動相の調製には、HPCD用アセトニトリルと蒸
留した脱イオン水とを使用した。使用した他の試薬はす
べて分析用の品質のものであった。
使用器具 HPLC装置は、LDC/Milton Roy Constametric III高圧
ポンプ、LDC/Milton Roy可変波長UVUV検出器、2000μ
のループを備えたPerkin−Elmer ISS−100自動注入器、
および15cm×内径4.6mmのDuPont Zorbax ODSカラム(粒
度6μm)から構成されるものであった。DuPont Zorba
x ODSが乾式充填されたVydacガードカラム(5cm×内径
3.2mm)を使用した。クロマトグラムは、Hewlett−Pack
ard 3390A型コンピュータ積分器に0.2cm/minのチャート
速度で記録した。さらに、このプレカラム濃化装置で
は、タンデム・アクチュエータ(Rheodyne 7163型)に
より空気圧で切り替わる2個の高圧切り換え弁を備えた
濃化注入器(Rheodyne 7067−005型)を自動注入器と分
析カラムとの間に介在させた。弁の切り換えは、前記の
自動注入器により制御した。この装置はさらに、検体を
濃化カラムに流すためにBodine Electric Co.RP/035 HP
LC溶媒ポンプも備えていた。
分析方法 分析条件:直接オンラインHPLC E2−CDS、E2−Quatおよびエストラジオール(E2)の
分析のクロマトグラフィー条件を定めた。全部の化合物
の最適波長は224nmであったが、E2−CDSはジヒドロピリ
ジン構造のために360nmでも検出できる。この波長での
吸光度の高さは224nmでの吸光度の高さの約半分に過ぎ
ないが、選択性が高くなることから、E2−CDSの分析波
長としては360nmを選択した。各種の分析カラムを試験
し、3種類の化合物のすべての逆相クロマトグラフィー
について、移動相は水相:有機相の比および緩衝液濃度
およびpHに関して広範に変動させた。ある適当な保持時
間の範囲内で満足すべきピークの幅および分離度で3種
類の化合物すべてを検出できるようなすべてに適合でき
る(isocratic)系は見出すことができなかった。従っ
て、分析には2種類の別個の系を使用した。
E2−QuatおよびE2:最適な移動相は、オクタンスルホ
ン酸のナトリウム塩0.03M/とリン酸テトラブチルアン
モニウム0.003M/とを含有するアセトニトリル/水の4
0:60混合物からなることが見出された。pHは5〜5.5に
調整された。流速は1.5ml/minであり、ピークは224nmで
記録した。
E2−CDS:E2−CDSの分析に使用した移動相は、流速1.5
ml/minのアセトニトリル/水の70:30混合物であった。
吸光度は360nmで監視した。
E2、E2−CDSおよびE2−Quatのプレカラム濃化法による
分析: 生物学的検体の予備処理に最適な操作で行う希釈過程
(抽出によらない検体調製の項を参照)により生ずる感
度の低下は、多量の注入が可能なHPLC装置を開発するこ
とにより補償することができた。文献[Rothら,J.Chro
matogr.222:13−22(1981)]に記載された好適なHPLC
法は、交替式プレカラム検体濃化について基づいた方法
である。本実験で採用した方法は次の通りである:薬剤
を含有する検体を、純水を供給する第一ポンプAにより
2個のプレカラムの一つに注入する。この2個のプレカ
ラムは、2個の空気圧により駆動される弁により注入装
置に交互に連結するようになっている。ある程度の親油
性があれば、薬剤はこのプレカラムに保持・濃縮され、
同伴されるタンパク質のような水溶性の共生成物は、ポ
ンプにより水がプレカラム内を通過している限り洗い流
される。これにより、体液を直接注入することが可能と
なる。一定の濃化時間(6もしくは8分間)経過後、2
個の弁の同時回転を生じさせ、注入された薬剤を吸収し
終わったプレカラム1を第二ポンプBの溶媒流に切り換
える。また、この時点で、記録積分器を開始させる。ポ
ンプBは、分離とクロマトグラフィーに必要な移動相を
供給し、プレカラム1からの検体を分析カラムに逆流さ
せる。この操作と並行して、プレカラム2は、検体の注
入と濃化を行うことができるようにポンプAの水流に切
り換えられ、同時に、先のプレカラムは溶離を行う(交
替モード)。濃化相の濃縮効果により1800μまでの量
を注入することができる。
クロマトグラフィー条件:この装置は、E2、E2−CDS
およびE2−Quatの定量化に適用できた。E2−CDSの移動
相は、流速1.8ml/minのアセトニトリル/水の80:20混合
物であった。E2およびE2−Quatの最適のピーク形状およ
び保持時間は、ポンプBが1−オクタンスルホン酸ナト
リウム塩0.025M/とリン酸テトラブチルアンモニウム
0.003M/とを含有するアセトニトリル/水の42:58混合
物を供給する場合に得られた。pHは5に調整し、流速は
1.5ml/minであった。
標準溶液および安定性 各50μg/mlを含有するE2−CDS、E2−Quat、E2および
エチニル−E2の試料の原溶液をアセトニトリル溶媒によ
り調製した。すべての溶液を6℃で保存した。E2−CDS
については、原溶液を2週間毎に新たに調製した。他の
溶液はすべて少なくとも6ヵ月の期間は安定であった。
この4種の全部の化合物を含有するスパイクした血漿
(spiked plasma)の試料を−20℃で凍結し、異なる時
間間隔で反復分析した。この保存条件で2ヵ月の間、薬
剤の損失は認められなかった。
E2−CDSのようなジヒドロピリジン誘導体は、酸性溶
液中では容易に酸化され、非常に不安定であることが知
られている。E2−CDSの安定性を室温で各種条件下に調
査した。この実験は、E2−CDSの原溶液をさまざまなpH
値の各種の溶媒もしくは溶液により1:2の割合で希釈
し、上述した直接オンラインHPLC法の下記の変法を使用
して24時間の最終的なピーク高さの低下を監視すること
により行った。変更点として、E2−CDSの移動相中の水
をpH7の0.05Mリン酸緩衝液に取り替え、検出波長を224n
mに設定すると、E2−Quatは6.33分で同時に検出するこ
とができる。ただし、このピークは比較的ブロードであ
る。この条件を使用して、試験条件下でのE2−CDSの酸
化の程度を測定した。
検体の調製 E2−QuatおよびE2の抽出:血漿からの各種の抽出操作
を、異なる条件および数種の溶媒および溶媒混合物につ
いて検討した。エストロンを内部標準として使用するこ
とできたが、これはエストラジオールの代謝産物の可能
性があることが知られている。従って、17β−エチニル
エストラジオールを内部標準として選択した。そのピー
クはE2、E2−Quatもしくはエストロンを妨害しなかっ
た。アニオン試薬を添加しないと、E2−Quatは水溶液か
ら抽出することができなかった。最適の結果は、第4級
塩の抽出を促進するためにイオン対試薬としてヨウ化カ
リウムを使用した、1工程の抽出後に得られた。適用し
た方法は次の通りであった。200μの飽和ヨウ化カリ
ウム溶液を1mlのスパイクした血漿に添加した。旋回撹
拌を数秒間行った後、クロロホルム/酢酸エチル9:1の
混合液を10ml添加した。試験管を10分間振盪した後、20
00rpmで10分間遠心分離した。上層の水相を捨て、有機
層を清浄な試験管に移して、タンパク質および痕跡量の
水相の完全な分離を達成した。有機相を次いで窒素下に
40℃で蒸発乾固し、150μの移動相により溶液に戻し
た。40μをHPLC装置に注入した。適当なブランクを上
記に従って調製した。
E2−CDSの抽出:E2−CDSを含有する血漿および水を、
クロロホルム、ヘキサン、トルエン、ベンゼン、酢酸エ
チルなどの各種の有機溶媒で繰り返し抽出した。しか
し、E2−CDSを水相から再現性よく抽出することは、こ
の化合物が、室温および無酸素の窒素雰囲気下であって
も蒸発中に再現性のない劣化を示したことから不可能で
あった。従って、この化合物は、抽出操作を行わずに、
体液から分析しなければならなかった。
抽出を行わずにE2−CDSとE2−Quatとを分析するための
血漿および組織の調製:上述したプレカラム濃化による
HPLC法を使用して、検体の調製を行わず、直接注入され
た血漿から薬剤を検出することができる。ただし、感度
を上げるために多量を注入した場合、プレカラムをたび
たび充填するのを防止するために、注入の前にタンパク
質をかなり除去しておくことが望ましい。必要な検体の
調製工程が1工程のみですむように、その後のE2−CDS
およびE2−Quatの両方の分析に適用することのできるタ
ンパク質除去方法を選択した。
少量を体液に添加しただけでタンパク質を除去するこ
とのできる酸性脱タンパク(沈殿)剤は、E2−CDSの分
解による損失を招くため使用することができなかった。
ZnSO4/NaOH、CuSO4/Na2SO4、または飽和(NH42SO4
どの、タンパク質除去に効率よく使用される中性ないし
弱塩基性の水性試薬の方が、有機溶媒より濃化カラムに
注入するのにより理想的であろう。しかし、これらの試
薬はどれも、沈澱に付着した水不溶性のE2−CDSを吸収
することが示された。従って、不安定性の問題を避け、
同時にすべての化合物を溶液状に保持するために選択し
た方法は、アセトニトリルによるタンパク質除去であっ
た。
これらの結果を得るために、次の検体調製操作を血漿
および組織に対して使用した。血漿:0.6mlの血漿を1.2m
lのアセトニトリルに添加した。この混合物を5秒間旋
回撹拌した後、室温で10分間放置し、再び旋回撹拌し、
2000rpmで10分間遠心分離した。1000〜1500μの上清
液をプレカラム濃化装置に注入した。組織(例、脳):1
mlの水を1個のラットの脳に添加し、器官を十分にメッ
シュ(mesh)する。2分間超音波処理し、2000rpmで10
分間遠心分離した後、上清液(1000〜1500μ)を濃化
装置に注入する。
動物実験 第一の実験では、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶
解させた15mg/kgのE2−CDSを、各体重190〜300gの意識
のある拘束された雄性のSprague−Dawley系ラットに静
脈内投与した。4匹づつの群に分けた動物を、薬剤の注
射から5、15および30分後、ならびに1、2、4、8、
24および48時間後に解剖した。体幹血液をヘパリン化試
験管中に捕集し、血漿を得て、直ちに分析まで−20℃で
凍結した。器官は、死亡から2分以内に切除してドライ
アイス上に置き、後での上述したHPLC法による分析のた
めに−20℃で保存した。
第二の実験では、上記と同じ操作に従って行ったが、
ただし5mg/kgのE2−CDSをヒドロキシプロピル−β−シ
クロデキストリン(HPCD)との包接化合物として水溶液
状で投与した。5mg/kgの量のE2−CDSを約20%w/vのHPCD
を含有する水溶液1ml中で供給した。この水溶液は、3.5
mg/gのE2−CDSを含有する凍結乾燥した包接化合物(置
換度5.1のHPCDの50%水溶液にE2−CDSをとかした溶液か
ら調製)を20%HPCD水溶液に溶解することにより調製し
た。
結果および考察 結果は第1図および第2図に示した。第1図は肺組織
中のE2−CDS(左側のグラフ)とE2−Quat(右側のグラ
フ)の濃度を、投与量1g当たりのμg量(CB/D)として
投与量について補正して比べた、片対数目盛りでの一対
のプロットからなる。第1図から、E2−CDSをDMSO中の
溶液として投与すると、初期の肺中濃度(すなわち、薬
剤注射後の最初の1時間以内の濃度)は、E2−CDSおよ
びE2−Quatの両方とも、E2−CDSをHPCDとの包接化合物
として水溶液状で投与した場合に認められた初期肺中濃
度に比べて著しく(10倍以上)高かったことがわかる。
脳内組織中に対応するE2−Quatの濃度(やはり投与量に
ついて補正すみ)は、第2図に特定の時点での投与量1g
当たりのng量として脳中濃度(CB/D)を示す棒グラフの
形で示す。1時間後の脳中濃度は、DMSO溶液状での投与
に比べて、HPCD包接化合物として水溶液状で投与した場
合にも著しい差異はないことがわかる。したがって、キ
ャリアー−薬剤を本発明で使用する、HPCDのような特定
のシクロデキストリンとの包接化合物として水溶液状で
投与することができ、その場合にも所望の生物学的効果
(薬理作用)を生じさせるのに必要な脳中濃度を得るこ
とができ、同時に呼吸困難やディスニア(dysnia)の原
因となる高い初期肺中濃度を避けることができることは
明らかである。
本発明で使用する2−ヒドロキシプロピル−β−シク
ロデキストリン(HPCD)およびその他のシクロデキスト
リン誘導体による包接化合物の形成は、ジヒドロピリジ
ン型レドックス系を安定させる点で特に有利であること
が判明した。水溶液状での安定性の直接比較は、ジヒド
ロピリジン型レドックス系薬剤の水中溶解度が低い
(例、E2−CDSの水中溶解度はわずか0.0002mg/mlであ
る)ため、もちろん不可能である。E2−CDS−HPCD包接
化合物は1gに約40mgのE2−CDSを含有し、20%のw/vのシ
クロデキストリン濃度で1mlに5mgのE2−CDSを含有する
水溶液を容易に形成する。したがって、包接化合物の形
成は、E2−CDSの水溶性の25,000倍の増大を生ずる。暗
所で室温に置いた時のこの水溶液中のE2−CDSの半減期
は約12.5日である(速度:0.0554±0.0047d-1)。
ジヒドロピリジン型レドックス系薬剤は特に酸化によ
う劣化を受けやすいので、本発明で使用するHPCDなどの
シクロデキストリン誘導体がこれらの薬剤の酸化速度に
及ぼす影響を定量化する実験を行なった。代表的なキャ
リアー−薬剤であるE2−CDSをこの実験に使用した。
フェリシアン化物を媒介とするE2−CDSの酸化速度を
以前に発表された方法(Okamotoら,J.Chem.Soc.Comm.,
1977,181)を用いて測定した。この実験操作では、5×
10-3M濃度のE2−CDSのアセトニトリル溶液27.5μを、
1×10-4MのFe(CN)6 -4、0.06MのK+、0.001MのFe(C
N)6 -3を含有する溶液2.75mlに添加した。すべての溶液
の調製は、30分間沸騰させた後、ピロガロールでスクラ
ンビングした窒素気流を流通させながら冷却した水を使
用して行った。E2−CDSは、サーモスタッド付セルホル
ダー内で37℃に保持され、嫌気式スクリュートップ型キ
ュベット中に収容された溶液に、注射器から導入した。
このキュベットはテフロンで内張りされた隔壁を有して
おり、この隔壁を介して化合物を注入した。一定濃度の
フェリシアン化物イオン(6×10-4ないし8×10-3M)
について、E2−CDSの消失速度を測定した。これは、基
線吸光度(500±10nm)から減じた360nm(±10nm)での
吸光帯の低下を算出することにより行った。時間に対し
て1n(吸光度)をプロットして、擬一次速度定数の傾き
を得た。これを数種類の異なるフェリシアン化物イオン
濃度で行った。得られた一次速度定数を次いでフェリシ
アン化物イオン濃度に対してプロットし、得られた傾き
から二次速度定数(k0 s-1 M-1)を求めた。E2−CDSの
酸化速度に対する2−ヒドロキシプロピル−β−シクロ
デキストリンの効果の検討においては、HPCDならびに上
記第1段階の実験に存在させた各イオンを含有する溶液
を調製した。各シクロデキストリン濃度について二次速
度定数を求め、プロットを作成した。それにより得た結
果は、シクロエキストリンの存在が酸化速度を急激に低
下させることを示している。シクロデキストリン濃度が
2%w/vを超えると、酸化速度の大きな変化は認められ
なくなり、飽和効果があるようである。二次酸化速度
は、0.5%w/vのシクロデキストリンで42%、1.0%w/vの
シクロデキストリンでは60%、2%w/vのシクロデキス
トリンでは81%も抑制され、濃度5〜20%w/vでは酸化
速度の約90%の低下が得られた。
以上から、本発明で使用する代表的なシクロデキスト
リン誘導体を用いて薬剤組成物を調製すなわち処方する
ことにより、脳を標的とする薬剤供給用のジヒドロピリ
ジンピリジニウム塩型レドックスキャリアー系のリポ
イド性の還元形態の投与に伴う問題点が克服されること
は明らかである。具体的には、上記の特定のシクロデキ
ストリン誘導体、好ましくはヒドロキシプロピル−β−
シクロデキストリンを約20〜50%w/wまたはw/vの濃度で
含有する水溶液状の非経口投与用キャリアー/薬剤組成
物を投与すると、予想外にも薬剤の分布状況が変化し、
有機溶剤の使用に付随する薬剤の肺での析出の問題が避
けられ、毒性の低下が得られることが判明した。また、
注射後にシクロデキストリンから薬剤が分離するまでの
時間は、肺もしくはその他の器官(例、肝臓)内で薬剤
分子の凝固(すなわち薬剤凝固物の析出)が起こるのを
防止するのに十分な長さであるが、所望の薬理作用を達
成するように薬剤分子の容易な分配を与えるのに適当な
時間で薬剤/シクロデキストリンの分解を生じさせる程
度には短いという、有利な時間的条件となることも、予
想しえないことであった。
これまで非経口投与には全く利用不可能であったか、
あるいは有機溶剤を使用しなければ非経口投与用に処方
できなかったような他の親油/疎水性および/または水
中不安定性の薬剤も、程度の違いはあっても、上記レド
ックスキャリアー系に見られるのと同様の種類の問題を
抱えていたが、このような他の薬剤についても上述した
のと同様の改善された薬剤の分配および有利な時間的条
件という利点を享受できる。本発明の非経口投与用薬剤
組成物および方法に使用するのに特に有用な薬剤は、水
に比較的不溶であるが、水中に濃度20〜50%の特定のシ
クロデキストリン誘導体(例、HPCD)を共存させて処方
することによりその水溶性が実質的に増大しうるもので
ある。このような性質は、次に代表的な薬剤について説
明するような種類の簡単な実験で決定することができ
る。
装置 Cary 210ダブル・ビーム分光光度計(Varian)で紫外
スペクトルを記録した。Micromeritics 728自動サンプ
ラー、Beckmann 112溶剤供給モジュール、Waters Lambd
a−Max 481 LC型分光光度計およびFisher Recordall 50
00シリーズ記録装置という構成の装置でHPLC(高圧液体
クロマトグラフィー)を行った。試料は、Fisher Brans
onic超音波洗浄器で超音波処理し、MGW Lauda恒温水槽
中で温度を平衡化した。
溶解度の実験 各種の量で2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキ
ストリンを含有する水溶液に過剰量の被験薬剤を加え、
この混合物を1時間超音波処理することによって相溶解
度の実験を行った。暗所において25±1℃の水槽中で少
なくとも48時間平衡化処理した後、上記混合物の一部を
0.45μmの膜フィルターで濾過し、希釈し、薬剤濃度を
逆相HPLC法により測定した。
比較のために薬剤の水中溶解度も測定した。
HPLC法 クロルジアゼポキシド 波長:245nm カラム:Waters μBondapak CN、内径3.9mm×30cm 移動相:0.1%の1−ヘキサンスルホン酸ナトリウム塩を
含有するアセトニトリル/酢酸/水(60:1:39) 流量2.00ml/min;保持時間:4.0分 デキサメタゾン 波長:263nm カラム:ASI C18、10μm、内径3.9mm×30cm 移動相:アセトニトリル/水(55:45) 流量:1.00ml/min;保存時間:3.6分 ジアゼパム 波長:241nm カラム:Waters μBondapak CN、内径3.9mm×30cm 移動相:アセトニトリル/水(6:4) 流量:2.00ml/min;保持時間3.2分 17β−エストラジオール 波長:280nm カラム:ASI C18、10μm、内径3.9mm×30cm 移動相:アセトニトリル/水(55:45) 流量:2.00ml/min;保存時間:4.4分 17α−エチニルエストラジオール 波長:248nm カラム:Fisher Resolvex C18、内径4.6mm×25cm 移動相:アセトニトリル/水(6:4) 流量:1.50ml/min;保持時間:4.4分 エチニルエストラジオール3−メチルエーテル 波長:248nm カラム:Fisher Resolvex C18、内径4.6mm×25cm 移動相:アセトニトリル/水(7:3) 流量:2.00ml/min;保存時間:6.0分 メダゼパム 波長:253nm カラム:Waters μBondapak CN、内径3.9mm×30cm 移動相:0.1%の1−ヘキサンスルホン酸ナトリウム塩を
含有するアセトニトリル/酢酸/水(60:1:39) 流量:2.00ml/min;保持時間:2.8分 メトトレキサート 波長:308nm カラム:Fisher Resolvex C18、内径4.6mm×25cm 移動相:0.1%の1−オクタンスルホン酸ナトリウム塩を
含有するメタノール/酢酸/水(50:1:49) 流量:2.00ml/min;保持時間:3.5分 ノルエチンドロン 波長:240nm カラム:Fisher Resolvex C18、内径4.6mm×25cm 移動相:アセトニトリル/水(6:4) 流量:1.50ml/min;保持時間:3.6分 酢酸ノルエチンドロン 波長:240nm カラム:Fisher Resolvex C18、内径4.6mm×25cm 移動相:アセトニトリル/水(7:3) 流量:2.00ml/min;保存時間:5.0分 D(−)−ノルゲストレル 波長:241nm カラム:Fisher Resolvex C18、内径4.6mm×25cm 移動相:アセトニトリル/水(7:3) 流量:2.00ml/min;保存時間:3.4分 オキサゼパム 波長:230nm カラム:Waters μBondapak CN、内径3.9mm×30cm 移動相:アセトニトリル/水(35:65) 流量:2.00ml/min;保持時間2.6分 フェニトイン 波長:258nm カラム:Fisher Resolvex C18、内径4.6mm×25cm 移動相:アセトニトリル/水(55:45) 流量:2.00ml/min;保存時間:1.6分 全−trans−レチノール 波長:325nm カラム:Waters μBondapak C18、内径3.9mm×30cm 移動相:アセトニトリル/水(55:45) 流量:2.00ml/min;保持時間5.8分 第4表 25±1℃でのヒドロキシプロピル−β−シクロデキスト
リン25%w/v水溶液による薬剤の溶解度増大薬 剤 溶解度(mg/ml) デキサメタゾン 24.18 17β−エストラジオール 19.13 17α−エチニルエストラジオール 34.47 17α−エチニルエストラジオール 3−メチルエーテル 7.13 ノルエチンドロン 9.13 酢酸ノルエチンドロン 9.41 D(−)−ノルゲストレル 2.19 装置 Perkin−Elmer 550 SEダブル・ビーム分光光度計で紫
外スペクトルを測定した。Rheodyne 7125インジェク
タ、LKB 2150 HPLC ポンプ、LKB 2138 Lichrosorb RP 1
8 10 mmカラム(4×250mm)、LKB 2138 Uvicord 5検出
器および0mniscribe記録装置という構成の装置で高圧液
体クロマトグラフィーを行った。試料は、Kerry超音波
浴で超音波処理し、Tecam TE−Tempette恒温水槽中で温
度を平衡化処理した。
溶解度の実験 各種の量で2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキ
ストリン(HPCD)を含有する水溶液に過剰量の被験薬剤
を加え、この混合物を4時間までの時間で超音波処理す
ることによって相溶解度の実験を行った。暗所において
30±0.2℃の水槽中で72時間までの時間で平衡化した
後、上記混合物の一部を0.45μmの膜フィルターで濾過
し、希釈し、薬剤濃度をHPLC法またはUV法により測定し
た。薬剤が不安定であることから、超音波処理および平
衡化処理の時間は最小限にとどめた。
HPLC法 クロラムブチル 波長:245nm 移動相:アセトニトリル/酢酸/水(45:1:54) 流量:2.00ml/min 保持時間:4.4分 ロムスチン 波長:254nm 移動相:メタノール/水(7:3) 流量:2.00ml/min 保持時間:3.6分 メルファラン 波長:254nm 移動相:メタノール/酢酸/水(60:1:39)+0.19%1
−ペンタンスルホン酸ナトリウム塩 流量:2.00ml/min 保持時間:3.6分 結果 クロラムブチル 予備的実験では50% w/w HPCD水溶液中で約30mg/gの
溶解度(30分の超音波処理後、30℃で4時間平衡化処
理)を示した。この薬剤は水にはほとんど不溶であり、
経口用量は約100mg/kg/日である。さらに実験を行って
得た結果を下記の第5表に示す。実験中に著しい分解が
起こった(3.5日)。
ロムスチン 最初の実験では50% w/w HPCD水溶液中で約12mg/gの
溶解度を示した。追跡実験の結果は下記第6表に示す。
若干の分解が起こった。
メルファラン 最初の実験では50% w/w HPCD水溶液中で約21.9mg/g
の溶解度を示した(1時間の超音波処理後、30℃で4時
間平衡化処理)。追跡実験の結果は下記第7表に示す。
若干の分解が起こった。
第6表 30.0±0.2℃のHPCD水溶液中でのロムスチンの溶解度HPCD濃度(% w/v) 溶解度(mg/ml) 0 0.18 1 0.38 5 1.68 10 3.33 15 6.26 20 8.44 25 8.9 *)表示の数値は4回までの実験の平均値 第7表 30.0±0.2℃のHPCD水溶液中でのメルファランの溶解度HPCD濃度(% w/v) 溶解度(mg/ml) 0 1.26 1 4.16 2 4.3 3 6.24 4 7.14 5 7.2 7 10.5 10 13.37 15 17.64 20 24.75 25 31.36 *)表示の数値は数回の実験の平均値を示す 溶解度の実験 特定のシクロデキストリン誘導体を20% w/vの濃度で
含有するリン酸緩衝液に過剰量のアルファキサロンを添
加し、この混合物を少なくとも1時間超音波処理するこ
とによって相溶解度の実験を行った。(このリン酸緩衝
液は1.183gのKH2PO4と4.320gのNa2HPO4を水に溶解し、
1に希釈することにより調製したものである。)この
混合物を0.45μmのミリポア注射器型フィルターにより
濾過し、希釈して、薬剤濃度を逆相HPLC法により測定し
た。アルファキサロン自体は実質的に水に不溶性であ
る。
アルファキサロンのHPLC法 波長:294nm 移動相:メタノール/水(65:35) 流量:1.5ml/min 保持時間:〜14分 この実験結果を、次の第9表にまとめて示す。
第9表 室温で各種シクロデキストリン誘導体の20% w/v溶液中
のアルファキサロンの溶解度シクロデキストリン 溶解度(mg/ml) マルトシル−β−シクロ デキストリン混合物 20.02 ヒドロキシプロピル−γ− シクロデキストリン 18.41 ヒドロキシプロピル−γ− シクロデキストリン 15.11 ヒドロキシプロピル−β− シクロデキストリン 22.83 ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 24.42 以下の実施例は、本発明によるシクロデキストリン誘
導体(例、HPCD)と組合わせて使用することのできる脳
を標的とする薬剤供給用のジヒドロピリジンピリジウ
ム塩型レドックスキャリアー系の還元形態(ジヒドロピ
リジン化合物)の好適な具体例の合成方法を例示するも
のである。なお、これらは今まで刊行物に具体的に記載
されたことはない。
実施例1 N−ニコチノイルドパミンの合成 ドパミン臭化水素酸塩11.7g(0.05mol)とニコチン酸
6.15g(0.05mol)とを含有する0℃のピリジン溶液に、
ジシクロヘキシカルボジイミド(DCC)10.3g(0.05mo
l)を添加した。この反応混合物を室温で24時間撹拌
し、副生したシジクロヘキシル尿素をを濾去した。ピリ
ジンを減圧除去し、残渣を0℃で水から結晶化させた。
生成物を濾別し、五酸化リンで乾燥した。イソプロパノ
ールから再結晶させると、9.0g(0.035mol)のN−ニコ
チノイルドパミン(70%)が得られた。融点159〜162
℃。この化合物の水溶液は、Fe3+により緑色を呈し、Ag
NO3を還元した。
IR(KBr):3300,2960,1725,1630,1590,1520,1430,1290,
1190,1115,720,710cm-1; NMR(d6−DMSO)δ9.25−6.25(m,7H),3,3(m,2H),2.
65(m,2H)ppm; 元素分析:C14H14N2O3に一致。
実施例2 1−メチル−3−{N−[β−(3,4−ジヒドロキシフ
ェニル)エチル]}カルバモイルピリジニウム・ヨージ
ドの合成 N−ニコチノイルドパミン2g(7.7mol)を乾燥メタノ
ール40mlに溶解した溶液に、ヨウ化メチル2.5g(17.6mm
ol)を添加した。この反応混合物を撹拌しながら6時間
還流加熱した。ヨウ化メチル1.5g(1.05mmol)を追加
し、還流を一晩続けた。メタノールを除去し、酢酸エチ
ルを添加して、黄色結晶状の目的生成物を得た。収量2.
4g(77%)。融点173〜174℃。
実施例3 1−メチル−3−{N−〔β−[3,4−ビス(イソブチ
リルオキシ)フェニル]エチル〕}カルバモイルピリジ
ニウム・トリフルオロアセテートの合成 実施例2の生成物3g(7.5mmol)を30mlのトリフルオ
ロ酢酸に溶解した氷***液に、イソブチリルクロリド2.
4g(22.5mmol)を撹拌しながら徐々に添加した。室温で
撹拌を一晩続けた。トリフルオロ酢酸を減圧下に蒸発さ
せ、残渣をエチルテーテル/ヘキサン(3:1)から結晶
化させた。収量1.2g(30.4%)。融点87〜91℃。
実施例4 1−メチル−3−{N−〔β−[3,4−ビス(イソブチ
リルオキシ)フェニル]エチル〕}カルバモイル−1,4
−ジヒドロピリジンの合成 10mlのメタノールを含有する脱気水50mlに1−メチル
−3−{N−〔β−[3,4−ビス(イソブチリルオキ
シ)フェニル]エチル〕}カルバモイルピリジニウム・
トリフルオロアセテート0.55g(1mmol)をとかした溶液
を、30mlづつのエーテルで3回抽出した。得られた水溶
液にNaHCO30.25g(3mmol)とエチルエーテル50mlとを添
加し、この混合物を窒素雰囲気下に保持した。この氷冷
混合物に、亜ジチオン酸ナトリウム0.52g(3mmol)を添
加し、混合物を30分間激しく撹拌した。エーテル層を分
離し、水層をエーテルで2回抽出した。合わせたエーテ
ル抽出液を洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。エーテ
ルを減圧除去すると、油状生成物が残った。NMR分析に
より、この生成物が下記構造式で示されるものであるこ
とを確認した。
実施例5 5,5−ジフェニル−3−ヒドロキシメチル−2,4−イミダ
ゾリジンジオンの合成 フェニトイン5g(0.02mol)を180mlの水に懸濁させ、
ホルムアルデヒド(37%水溶液)20mlとK2CO30.25gを添
加し、得られた混合物を25〜30℃で24時間撹拌した。析
出した白色固体を濾別し、3%ホルムアルデヒド水溶液
で数回洗浄した後、3〜4時間風乾し、減圧デシケータ
に入れてP2O5上で乾燥した。収率91〜93%。融点185〜1
89℃。
元素分析(C16H14O3として) 計算値:C,68.07;H,5.00;N,9.93 実測値:C,67.97;H,5.05;N,9.93。
この生成物は次式で示される。
実施例6 5,5−ジフェニル−3−[(3′−ピリジル)カルボニ
ルオキシメチル]−2,4−イミダゾリジンジオンの合成 実施例5の生成物3.00g(0.011mol)を乾燥ピリジン1
50mlに溶解し、次に無水ニコチン酸4.25g(0.019mol)
を加えた。得られた溶液を乾燥条件下に室温(25〜30
℃)で40時間撹拌した。この溶液を2.5の水に投入
し、析出した白色固体を濾別し、水でよく洗浄し、減圧
デシケータに入れてP2O5上で乾燥した。収率95%。融点
178〜182℃。
元素分析(C22H17N2O4として) 計算値:C,68.21;H,4.42;N,10.85 実測値:C,68.12;H,4.43;N,10.83。
この生成物は次式で示される。
実施例7 5,5−ジフェニル−3−[(1′−メチル−3′−ピリ
ジニウム)カルボニルオキシメチル]−2,4−イミダゾ
リジンジオン・ヨージドの合成 実施例6の生成物0.5g(0.0013mol)を50mlのアセト
ニトリルに溶解し、次にヨウ化メチル0.3mlを添加し、
得られた反応混合物を室温に6日間保持した。溶媒を減
圧留去し、残渣にエチルエーテルを加えた。エーテル溶
液を冷蔵庫で2時間冷却した後、析出した黄色の吸湿性
結晶を減圧デシケータに入れてP2O5上で乾燥すると、目
的生成物が85%の収率で得られた。UVおよびH1NMRスペ
クトルにより、得られた生成物が下記構造式で示される
ものであることを確認した。
上記反応操作を、溶媒としてニトロメタンを使用し、
浴温を50〜70℃とし、過剰のヨウ化メチルを使用して5
〜6時間で徐々に添加することによって反復したとこ
ろ、ほぼ定量的収率で同じ生成物が得られた。
実施例8 5,5−ジフェニル−3−[(1′−メチル−1′,4′−
ジヒドロピリジン−3′−イル)カルボニルオキシメチ
ル]−2,4−イミダゾリジンジオンの合成 実施例7で得た第四級塩0.4g(0.0008mol)を水40m
l、メタノール3mlおよび酢酸エチル15mlからなる混合溶
媒に溶解した。反応混合物を0〜5℃に冷却し、脱気し
た後、重炭酸ナトリウム0.39g(0.0046mol)と亜ジチオ
ン酸ナトリウム0.54g(0.0032mol)とを添加した。この
混合物を窒素雰囲気下0〜5℃で35分間撹拌した。有機
層を分離し、水層を15mlづつの酢酸エチルで2回抽出し
た。これらの有機溶液を冷脱気水10mlで抽出した。硫酸
ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去し、残渣の油
状黄色固体をエーテルの添加により結晶化させた。収率
70%。UVおよびH1NMRスペクトルにより、得られた生成
物が下記構造式で示されるものであることを確認した。
実施例9 3−ブロモアセチルオキシメチル−5,5−ジフェニル−
2,4−イミダゾリジンジオンの合成 5,5−ジフェニル−3−ヒドロキシメチル−2,4−イミ
ダゾリジンジオン2g(0.0071mol)をブロモアセチルク
ロリド15g(8ml、0.096mol)中に、HClの発生が止まる
まで約15分間油浴(浴温70〜80℃)中で加熱することに
より溶解させた。得られた混合物を冷却し、エチルエー
テル30mlを加えた。白色結晶が析出した。この混合物を
0℃に冷却してから結晶を濾別し、P2O5により乾燥し
た。収量2.15g(75%)。融点179〜183℃。
元素分析(C18H15N2O4Brとして) 計算値:C,53.61;H,3.75;N,6.95;Br,19.82 実測値:C,53.60;H,3.79;N,6.92;Br,19.90 この生成物は次式で示される。
実施例10 3−(3′−ブロモプロピオニル)オキシメチル−5,5
−ジフェニル−2,4−イミダゾリジンジオンの合成 実施例9に記載の方法に従って、5,5−ジフェニル−
3−ヒドロキシメチル−2,4−イミダゾリジンジオン5g
(0.018mol)を、100℃の油浴温度を使用して、3−ブ
ロモプロピオニルクロリド6.8g(0.04mol、4ml)と反応
させた。白色結晶状の生成物4.9g(収率65%)が得られ
た。融点133〜134℃。
元素分析(C19H17N2O4Brとして) 計算値:C,54.69;H,4.11;N,6.72;Br,19.15 実測値:C,54.79;H,4.12;N,6.69;Br,19.25 この生成物は次式で示される。
実施例11 3−(2′−ブロモプロピオニル)オキシメチル−5,5
−ジフェニル−2,4−イミダゾリジンジオンの合成 2g(0.0071mol)の5,5−ジフェニル−3−ヒドロキシ
メチル−2,4−イミダゾリジンジオンを2−ブロモプロ
ピオニルクロリド8.5g(5ml、0.05mol)中に、100〜110
℃の油浴で30分間加熱することにより溶解させた。反応
混合物を冷却し、エチルエーテル20mlを加え、得られた
溶液を炭酸カリウム水溶液で抽出し、乾燥した後、結晶
化させた。生成物を白色固体物質(1g、3%)として得
た。融点112〜115℃。
元素分析(C19H17N2O4Brとして) 計算値:C,54.69;H,4.11;N,6.72;Br,19.15 実測値:C,54.77;H,4.15;N,6.69;Br,19.25 この生成物は次式で示される。
実施例12 3−(3′−カルバモイル−1′−ピリジニウム)アセ
チルオキシメチル−5,5−ジフェニル−2,4−イミダゾリ
ジンジオン・ブロミドの合成 15mlのニトロメタンに溶解した実施例9の生成物2.02
g(0.005mol)をニコチンアミド(0.61g、0.005mol)と
混合した。得られた溶液を90〜100℃の浴温の油浴中で
2時間撹拌した。この混合物を60〜70℃に冷却し、析出
した白色結晶を濾別し、ニトロメタンで洗浄した。収率
61%(1.65g)。
融点193〜197℃(分解)。
元素分析(C24H21N4O5Brとして) 計算値:C,54.87;H,4.03;N,10.67;Br,15.21 実測値:C,54.70;H,4.05;N,10.64;Br,15.25 この生成物は次式で示される。
実施例13 3−[3′−(3″−カルバモイル−1″−ピリジニウ
ム)プロピオニルオキシメチル]−5,5−ジフェニル−
2,4−イミダゾリジンジオン・ブロミドの合成 実施例10の生成物2.09g(0.005mol)を15mlのアセト
ニトリルに溶解し、次いでニコチンアミド0.61g(0.005
mol)を添加した。得られた溶液を6日間還流加熱した
後、溶媒を除去した。得られたガム状残渣にエチルエー
テル30mlを添加し、混合物を2時間撹拌した。析出した
白色物質を濾別し、エーテルで洗浄した。収率78%(2.
1g)。融点98〜100℃(分解)。UVおよびH1NMRスペクト
ルは予想の通りであった。この生成物は次式で示され
る。
実施例14 3−[2′−(3″−カルバモイル−1″−ピリジニウ
ム)プロピオニルオキシメチル]−5,5−ジフェニル−
2,4−イミダゾリジンジオン・ブロミドの合成 実施例11の生成物0.69g(0.00165mol)を8mlのアセト
ニトリルに溶解し、次いでニコチンアミド0.2g(0.0016
5mol)を添加し、得られた溶液を22時間還流加熱した。
生成した褐色非結晶質物質から50℃で溶媒を除去し、次
いでエチルエーテル15mlを添加し、混合物を2時間撹拌
した。得られた淡褐色物質を濾別し、エーテルで洗浄し
た。収率56%(0.5g)。融点158℃(分解)。この生成
物は次式で示される。
実施例15 3−[(3′−カルバモイル−1′,4′−ジヒドロピリ
ジン−1′−イル)アセチルオキシメチル]−5,5−ジ
フェニル−2,4−イミダゾリジンジオンの合成 実施例12の生成物0.52g(0.001mol)を、水60mlと酢
酸エチル30mlとの混合液に溶解した。この溶液を5℃に
冷却し、脱気した後、重炭酸ナトリウム0.5g(0.006mo
l)と亜ジチオン酸ナトリウム0.7g(0.004mol)とを添
加し、得られた混合物を脱気・冷却しながら30分間撹拌
した。分液後、水層を30mlの酢酸エチルで抽出した。有
機溶液を冷却・脱気した水20mlで抽出した。硫酸ナトリ
ウムにより乾燥した後、溶媒を除去した。融点155 〜160℃(分解)の黄色結晶が55%の収率(0.25g)で得
られた、この生成物は硝酸銀のアルコール溶液を還元
し、次式で示されるものであった。
実施例16 3−[3′−(3″−カルバモイル−1″,4″−ジヒド
ロピリジン−1″−イル)プロピオニルオキシメチル]
−5,5−ジフェニル−2,4−イミダゾリジンジオンの合成 実施例15の記載の一般的な反応操作に従って、実施例
13の生成物を使用して亜ジチオン酸ナトリウムによる還
元を実施例15と実質的に同様に繰り返したところ、目的
生成物が85%の収率で得られた。この生成物の融点は10
0℃(分解)であり、下記構造式で示されるものであっ
た。
実施例14の生成物も同様に還元して相当するジヒドロ
誘導体に転換できた。融点105℃(分解)。
実施例17 4−アミノ酪酸シクロヘキシルエステル塩酸塩の合成 GABA8g(77.6mmol)を100ml(0.96mmol)のシクロヘ
キサノールに懸濁させた。この混合物に塩化チオニル40
mlを0℃で滴下した。得られた混合物を4時間還流加熱
した後、冷却し、エチルエーテルから結晶化された。こ
うして得た白色結晶を濾別し、乾燥した。NMR分析によ
り標記生成物であること確認した。
実施例18 3−{N−[(3′−シクロヘキシルオキシカルボニ
ル)プロピル]}カルバモイルピリジンの合成 ニコチン酸2.2g(18mmol)を乾燥ピリジン50mlに懸濁
させた。この懸濁液にジシクロヘキシルカルボジイミド
3.68g(17.9mmol)を撹拌しながら溶解させた。4−ア
ミノ酪酸シクロヘキシルエステル塩酸塩4g(18mmol)を
添加し、混合物を48時間撹拌した。析出したジシクロヘ
キシル尿素を濾去し、濾液を蒸発乾固した。残渣を25ml
の氷冷水で洗浄し、酢酸エチル中に抽出した。分液し、
有機層を蒸発乾固した。NMR分析により標記生成物の構
造を確認した。
実施例19 1−メチル−3−{N′−[(3′−シクロヘキシルオ
キシカルボニル)プロピル]}カルバモイルピリジニウ
ム・ヨージドの合成 実施例18の生成物1.74g(6mmol)を最少量のアセトン
に溶解し、析出した白色沈殿を濾去した。得られた溶液
に0℃で撹拌しながらヨウ化メチル(1.5ml、24mmol)
を一度に加えた。混合物を一晩穏やかに還流させた。白
色沈殿を濾別し、残った黄色濾液を蒸発させると赤味を
帯びた油状物が残った。これをアセトンに溶解し、濾過
し、蒸発乾固した。
元素分析(C22H23N2O3Iとして) 計算値:C,47.26;H,5.79;N,6.48;I,29.38 実測値:C,47.03;H,5.85;N,6.44;I,29.26 実施例20 1−メチル−3−{N−[(3′−シクロヘキシルオキ
シカルボニル)プロピル]}カルバモイル−1,4−ジヒ
ドロピリジンの合成 実施例19の生成物0.11g(0.26mmol)を25mlの氷冷脱
気水に溶解した。NaHCO30.09g(4倍過剰)、続いてNa2
S2O40.14g(3倍過剰)を添加した。酢酸エチル25mlを
添加し、混合物を窒素雰囲気下に30分間撹拌した。有機
層を抽出し、乾燥して、橙色油状物を得た。これは硝酸
銀のメタノール溶液を直ちに還元した。NMR分析によ
り、生成物が下記構造のものであることを確認した。
実施例21 バルプロ酸塩化物(2−プロピルペンタノイルクロリ
ド)の合成 氷浴中のバルプロ酸4.32g(30mmol)に塩化チオニル
3.60g(30mmol)を撹拌しながら徐々に添加した。この
無溶媒の混合物を室温に昇温させ、次いで50℃の水浴で
30分間加熱した。乾燥ベンゼン50mlづつを2回添加し、
減圧下で除去した。得られた生成物を、それ以上精製せ
ずに次の反応に使用した。
実施例22 バルプロ酸2−ヨードエチルエステル(2′−ヨードエ
チル・2−プロピルペンタノエート)の合成 実施例21の生成物4.87g(30mmol)を氷浴中で冷却お
よび撹拌しながら、これに2−ヨードエタノール5.16g
(30mmol)を添加した。この無溶媒の混合物を次いで10
0℃に10分間水浴加熱した後、水浴から取り出し、さら
に10分間撹拌した。反応混合物を次いで50mlのエーテル
に溶解し、水(1×30ml)、5%NaOH(2×30ml)、お
よび再び水(2×30ml)で洗浄した。エーテル層を無水
硫酸ナトリウムにより乾燥し、溶媒を減圧除去した。淡
黄色の液状生成物がバルプロ酸から67%の収率(6.0g)
で得られた。硝酸銀により鮮黄色の沈殿が生成した。NM
R分析により標記生成物であることを確認した。
実施例23 1−[2′−(2″−プロピル)ペンタノイルオキシ]
エチル−3−カルバモイルピリジニウム・ヨージドの合
成 ニコチンアミド1.22g(10mmol)に実施例22の生成物
3.28g(11mmol)とジメチルホルムアミド50mlとを添加
した。この混合物を3時間還流加熱した後、冷却した。
溶媒を減圧除去すると褐色油状残渣が得られた。これを
エーテル60mlと共に30分間撹拌すると黄色粉末が得られ
た。エーテルを傾斜除去し、新たなエーテル50mlを加え
た。この粗生成物を窒素雰囲気下に減圧濾過した後、イ
ソプロパノール/エーテルから再結晶して、目的生成物
3.5g(収率84%)を得た。融点111〜112℃。この生成物
は下記構造式で示されるものであった。
実施例24 1−[2′−(2″−プロピル)ペンタノイルオキシ]
エチル−3−カルバモイル−1,4−ジヒドロピリジンの
合成 氷冷脱気した脱イオン水50mlに、実施例23の生成物42
0mg(1mmol)を添加した。得られた溶液にNaHCO3366mg
(4mmol)とNa2S2O4696mg(4mmol)とを撹拌しながら添
加した。この溶液に窒素ガスを30分間通気した。次い
で、この水溶液をエーテル(6×25ml)で、エーテル層
が黄色を呈しなくなるまで抽出した。エーテル抽出液を
合わせて水(1×50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムに
より乾燥した。エーテル層を乾燥剤から傾斜により分離
し、溶媒を減圧除去した。得られた油状残渣にエーテル
を添加した後、真空ポンプにより除去した(10×5m
l)。泡が発生し、これは大気に触れると油状に戻っ
た。NMR分析により構造を確認した。
実施例25 N−ニコチノイルチロシンエチルエステルの合成 乾燥ピリジン300mlにニコチン酸12.3g(0.1mol)を溶
解した。この溶液を冷却し、ジシクロヘキシルカルボジ
イミド20.6g(0.1mol)を添加した。溶解した後、チロ
シンエチルエステル塩酸塩24.6g(0.1mol)を添加し、
得られた溶液を一晩撹拌した。析出したジシクロヘキシ
ル尿素(DCU)を濾過により除去した。得られた油状物
を熱湯と共に研和して、さらにDCUを除去した。この生
成物をアセトンで精製した。
元素分析(C17H18Na2O4・1/2H2Oとして) 計算値:C,63.16;H,5.88;N,8.66 実測値:C,63.10;H,5.96;N,8.59 この生成物は、N−[1−エトキシカルボニル−2−
(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ニコチンアミド
とも命名できる。
実施例26 N−[(1−メチル−3−ピリジニウム)カルボニル]
チロシンエチルエステル・ヨージドの合成 N−ニコチノイルチロシンエチルエステル20g(0.06m
ol)を200mlのアセトンに溶解した。2倍量モル過剰の
ヨウ化メチル(25.6g、0.18mol)を添加し、混合物を6
時間還流加熱した。溶媒を減圧下に除去して、目的生成
物を固体状で得た。NMR分析により、下記構造式で示さ
れる標記化合物であることを確認した。
この化合物は、1−メチル−3−{N−[(1′−エ
トキシカルボニル)−2′−(4″−ヒドロキシフェニ
ル)エチル}カルバモイルピリジニウム・ヨージドとも
命名できる。
実施例27 1−メチル−3−{N−[(1′−エトキシカルボニ
ル)−2′−(4″−ピバロイルオキシフェニル)エチ
ル]}カルバモイルピリジニウム・トリフルオロアセテ
ートの合成 実施例26の生成物6g(0.013mol)を氷浴中で0℃の冷
トリフルオロ酢酸50mlに溶解した。塩化ピバロイル3.14
g(0.026mol)を徐々に添加し、溶液を室温に昇温させ
た。24時間後、溶媒を減圧下に除去した。得られた暗色
の油状物を石油エーテルで研和したが、固体の析出は起
こらなかった。生成物の同定はNMR分析で確認した。こ
の生成物をメタノール水溶液(10%)に溶解し、エチル
エーテルで抽出して、高度に着色した夾雑物を除去して
から、後出の実施例29で出発物質として使用した。
実施例28 1−メチル−3−{N−[(1′−エトキシカルボニ
ル)−2′−(4″−イソブチルオキシフェニル)エチ
ル]}カルバモイルピリジニウム・トリフルオロアセテ
ートの合成 実施例26の生成物6g(0.013mol)を氷浴中で0℃に冷
却されたトリフルオロ酢酸50mlに溶解した。この溶液
に、撹拌しながら塩化イソブチリル2.77g(2.76ml)を
徐々に添加した。この溶液を室温で一晩撹拌し、溶媒を
減圧下に除去した。得られた油状物を石油エーテルと共
に一晩撹拌し、減圧乾燥したが、固体の析出は起こらな
かった。生成物の同定はNMR分析で確認した。この生成
物をメタノール水溶液(10%)に溶解し、エチルエーテ
ルで抽出して、高度に着色した夾雑物を除去してから、
後出の実施例30で出発物質として使用した。
実施例29 1−メチル−3−{N−[(1′−エトキシカルボニ
ル)−2′−(4″−ピバロイルオキシフェニル)エチ
ル]}カルバモイル−1,4−ジヒドロピリジンの合成 実施例27の生成物4.07g(0.0079mol)を25%メタノー
ル水溶液10mlに溶解した。この溶液に窒素ガスを通気し
た。この溶液を氷浴中で撹拌しながら、これにNaHCO32.
02g(0.024mol)を加えた。エチルエーテル100mlを加
え、次にNa2S2O44.12g(0.024mol)を加えた。得られた
黄色の2相溶液を30分間撹拌した後、分液し、水層を75
mlづつのエチルエーテルで2回抽出した。合わせた有機
抽出液を硫酸ナトリウムにより乾燥し、溶媒を減圧除去
すると、固体の発泡体が得られた。これは硝酸銀エタノ
ール溶液により酸化された。
元素分析(C23H20Na2O5・1/2H2Oとして) 計算値:C,65.23;H,7.33;N, 実測値:C,65.76;H,7.28;N,6.95 実施例30 1−メチル−3−{N−[(1′−エトキシカルボニ
ル)−2′−(4″−イソブチリルオキシフェニル)エ
チル]}カルバモイル−1,4−ジヒドロピリジンの合成 実施例28の生成物2.20g(0.0044mol)をメタノール水
溶液100mlに溶解した。この溶液を、これに窒素ガスを
通気しながら氷浴中で冷却した。この溶液にNaHCO31.11
g(0.0132mol)とエーテル100mlとを添加した。次いで
亜ジチオン酸ナトリウム2.30g(0.0132mol)を加え、溶
液を30分間撹拌した。分液した後、水層をエチルエーテ
ルで洗浄した。合わせた有機層を無水Na2SO4により乾燥
し、濃縮した。得られた橙色の油状物は硝酸銀エタノー
ル溶液により酸化された。生成物の同定はNMR分析によ
り確認した。
実施例31 クロロメチル・[2S−(2α,5α,6β)]−3,3−ジメ
チル−7−オキソ−6−[(2,6−ジメトキシ)ベンズ
アミド]−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプ
タン−2−カルボキシレートの合成 メチシリンナトリウム塩4.02g(0.01mol)を水10mlと
塩化メチレン10mlとに溶解した溶液に、重炭酸ナトリウ
ム2.4gと硫酸水素テトラブチルアンモニウム0.34gとを
添加した。次いで、3mlの塩化メチレンに溶解したクロ
ロ硫酸クロロメチル1.9g(0.0115mol)を、温度30℃以
下に保持しながら5分間かけて撹拌下に添加した。さら
に30分間撹拌した後、有機相を分離し、水で2回洗浄
し、MgSO4により乾燥した。溶媒を減圧除去すると、目
的生成物4.24gが融点88〜90℃の黄色固体として得られ
た。
実施例32 クロロメチル・[2S−(2α,5α,6β)]−3,3−ジメ
チル−6−(5−メチル−3−フェニル−4−イソオキ
サゾールカルボキサミド]−7−オキソ−4−チア−1
−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレ
ートの合成 オキサシリンナトリウム塩2.12g(0.005mol)を、NaH
CO31.2g、硫酸水素テトラブチルアンモニウム0.17gおよ
びクロロ硫酸クロロメチル0.95gと共に使用して、実施
例31に記載の反応操作を実質的に繰り返すことにより、
融点78〜80℃(分解)の目的生成物を1.87gを得た。
実施例33 クロロメチル・[2S−(2α,5α,6β)]−6−[3−
(2−クロロフェニル)−5−メチル−4−イソオキサ
ゾールカルボキサミド]−3,3−ジメチル−7−オキソ
−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2
−カルボキシレートの合成 実施例31と同様の反応操作により、ただし、反応物質
としてクロキサシリンナトリウム塩2.38g(0.005mol)
(1mol水)、NaHCO31.2g、硫酸水素テトラブチルアンモ
ニウム0.17gおよびクロロ硫酸クロロメチル0.95gを使用
して融点97〜100℃(分解)の目的生成物2.27gを得た。
実施例34 クロロメチル・[2S−(2α,5α,6β)]−6−[3−
(2,6−ジクロロフェニル)−5−メチル−4−イソオ
キサゾールカルボキサミド]−3,3−ジメチル−7−オ
キソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン
−2−カルボキシレートの合成 同様に実施例31の方法に従って、ただし、反応物質と
してジクロキサシリンナトリウム塩2.55g(0.005mol)
(1mol水)、NaHCO31.7g、硫酸水素テトラブチルアンモ
ニウム0.17g、およびクロロ硫酸クロロメチル0.95gを使
用して、融点98〜101℃(分解)の目的生成物2.43gを得
た。
実施例35 [(3−ピリジニルカルボニル)オキシ]メチル・[2S
−(2α,5α,6β)]−3,3−ジメチル−7−オキソ−
6−[(2,6−ジメトキシ)ベンズアミド)−4−チア
−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキ
シレートの合成 ジメチルホルムアミド70ml中の実施例31で得たメチシ
リンクロロメチルエステル3.8g(0.0089mol)とニコチ
ン酸カリウム1.6g(0.01mol)とを、室温(20〜25℃)
で6日間撹拌したが。酢酸エチル300mlを添加し、析出
した固体を濾別し、溶液を50mlづつの濃NaCl水溶液で4
回抽出し、MgSO4により乾燥した。溶媒を減圧除去し、
得られた残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル)によ
り精製した。融点151〜157℃の目的生成物3gが白色固体
として得られた。
実施例36 [(3−ピリジニルカルボニル)オキシ]メチル・[2S
−(2α,5α,6β)]−3,3−ジメチル−6−(5−メ
チル−3−フェニル−4−イソオキサゾールカルボキサ
ミド)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.
2.0]ヘプタン−2−カルボキシレートの合成 実施例35の方法に従って、ただし実施例32で得られた
オキサシリンクロロメチルエステル1.81g(0.004mol)
とニコチン酸カリウム0.75g(0.0046mol)とを反応させ
ると、クロマトグラフィーでの精製後に、目的生成物0.
75gが融点79〜82℃(分解)の白色固体として得られ
た。
実施例37 [(3−ピリジニルカルボニル)オキシ]メチル・[2S
−(2α,5α,6β)]−6−[3−(2−クロロフェニ
ル)−5−メチル−4−イソオキサゾールカルボキサミ
ド]−3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−ア
ザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレート
の合成 実施例35の方法を利用し、ただし実施例33で得られた
クロキサシリンクロロメチルエステル2.1g(0.0043mo
l)およびニコチン酸カリウム0.8g(0.005mol)を反応
させると、融点83〜85℃(分解)の生成物1.2gが得られ
た。
実施例38 [(3−ピリジニルカルボニル)オキシ]メチル・[2S
−(2α,5α,6β)]−6−[3−(2,6−ジクロロフ
ェニル)−5−メチル−4−イソオキサゾールカルボキ
サミド]−3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1
−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレ
ートの合成 同様に、実施例35の方法を利用し、ただし実施例34で
得られたジクロキサシリンクロロメチルエステル2.27g
(0.0047mol)とニコチン酸カリウム0.87g(0.0054mo
l)を反応させると、目的生成物11gが融点87〜90℃(分
解)の白色固体として得られた。
実施例39 [2S−(2α,5α,6β)]−3−[[[[[3,3−ジメ
チル−7−オキソ−6−[(2,6−ジメトキシ)ベンズ
アミド]−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプ
ト−2−イル]カルボニル]オキシ]メトキシ]カルボ
ニル]−1−メチルピリジニウムヨージドの合成 ニトロメタン35ml中の実施例35で得られたメチシリン
誘導体1.25g(0.0024mol)とヨウ化メチル1.14g(0.5m
l)(0.008mol)とを室温(20〜25℃)の密閉装置内で
7日間反応させた。溶媒を減圧除去し、残った残渣をエ
ーテルと共に撹拌し、濾過し、エーテルで洗浄し、乾燥
した。こうして融点95〜100℃の黄色の吸湿性生成物が
得られた。これは下記構造で示されるものであることを
確認した。
実施例40 [2S−(2α,5α,6β)]−3−[[[[[3,3−ジメ
チル6−(5−メチル−3−フェニル−4−イソオキサ
ゾールカルボキサミド)−7−オキソ−4−チア−1−
アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−イル]カルボニ
ル]オキシ]メトキシ]カルボニル]−1−メチルピリ
ジニウムヨージドの合成 実施例39の方法を利用し、ただし、反応物質をニトロ
メタン25ml中で実施例36で得られたオキサシリン誘導体
0.5g(0.0009mol)とCH3I0.45g(0.2ml)(0.003mol)
に代えると、6日後に、下記構造式で示される融点75〜
80℃の目的生成物0.6gが得られた。
実施例41 [2S−(2α,5α,6β)]−3−[[[[[6−[3−
(2−クロロフェニル)−5−メチル−4−イソオキサ
ゾールカルボキサミド]−3,3−ジメチル−7−オキソ
−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−
イル]カルボニル]オキシ]メトキシ]カルボニル]−
1−メチルピリジニウムヨージドの合成 同様に、実施例39の方法を利用し、ただし、ニトロメ
タン25ml中で実施例37で得られたクロキサシリン誘導体
0.44g(0.0008mol)とCH3I0.45g(0.2ml)(0.003mol)
を反応させると、下記構造式で示される融点90〜95℃
(分解)の生成物0.45gが得られた。
実施例42 [2S−(2α,5α,6β)]−3−[[[[[6−[3−
(2,6−ジクロロフェニル)−5−メチル−4−イソオ
キサゾールカルボキサミド]−3,3−ジメチル−7−オ
キソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−
2−イル]カルボニル]オキシ]メトキシ]カルボニ
ル]−1−メチルピリジニウムヨージドの合成 同様に、実施例39の方法を利用し、ただし、ニトロメ
タン25ml中で実施例38で得られたジクロキサシリン誘導
体0.5g(0.0007mol)とCH3I0.45g(0.2ml)(0.003mo
l)とを反応させると、下記構造式で示される融点95〜1
00℃(分解)の生成物0.55gが得られた。
実施例43 [[(1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−ピリジニル)
カルボニル]オキシ]メチル・[2S−(2α,5α,6
β)]−3,3−ジメチル−7−オキソ−6−[(2,6−ジ
メトキシ)ベンズアミド]−4−チア−1−アザビシク
ロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレートの合成 脱気した酢酸エチル25mlと水70mlとの混合溶媒に溶解
した実施例39の生成物0.45g(0.0007mol)をNaHCO30.34
g(0.004mol)と亜ジチオンナトリウム0.48g(0.0028mo
l)との混合物により、0〜5℃で70分間かけて還元し
た。紫外スペクトルにおける268nmの極大吸収の消失と3
66nmの極大吸収の増加とを追跡した。分液した後、水層
を2×25mlの酢酸エチルで抽出し、次いで有機層を2×
20mlの冷脱気水で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムに
より乾燥し、溶媒を減圧除去した。0.25gの生成物が、
融点88〜90℃(分解)の黄色固体として得られた。生成
物は次式で示されるものであった。
実施例44 [[(1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−ピリジニル)
カルボニル]オキシ]メチル・[2S−(2α,5α,6
β)]−3,3−ジメチル−6−(5−メチル−3−フェ
ニル−4−イソオキサゾールカルボキサミド)−7−オ
キソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン
−2−カルボキシレートの合成 実施例43の一般的な反応方法を繰り返したが、ただ
し、水15mlと酢酸エチル15mlとの混合溶媒中で実施例40
の生成物0.17g(0.00025ml)、NaHCO30.08g(0.0001mo
l)およびNa2S2O40.51g(0.001mol)を反応させた。融
点93〜100℃(分解)の生成物0.1gが得られた。この生
成物は次式で示される構造のものであった。
実施例45 [[(1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−ピリジニル)
カルボニル]オキシ]メチル・[2S−(2α,5α,6
β)]−6−[3−(2−クロロフェニル)−5−メチ
ル−4−イソオキサゾールカルボキサミド]−3,3−ジ
メチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.
2.0]ヘプタン−2−カルボキシレートの合成 同様に、実施例43の方法に従って、ただし、反応物質
として、実施例41の生成物0.18g(0.00025ml)、NaHCO3
0.089gおよびNa2S2O40.17gを反応させると、融点80〜85
℃(分解)の黄色固体状の生成物0.13gが得られた。こ
の生成物は次式で示される構造のものであった。
実施例46 [[(1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−ピリジニル)
カルボニル]オキシ]メチル・[2S−(2α,5α,6
β)]−6−[3−(2,6−ジクロロフェニル)−5−
メチル−4−イソオキサゾールカルボキサミド]−3,3
−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ
[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレートの合成 同様に、実施例42の生成物0.19g(0.00025ml)、NaHC
O30.08gおよびNa2S2O40.17gを使用して実施例43の方法
を繰り返すと、融点98〜102℃(分解)の下記構造式で
示される目的生成物0.14gが得られた。
実施例47 [(3−ピリジニルカルボニル)オキシ]メチル・[2S
−(2α,5α,6β)]−3,3−ジメチル−7−オキソ−
6−[(フェニルアセチル)アミノ]−4−チア−1−
アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレー
トの合成 ジメチルホルムアミド100ml中のベンジルペニシリン
のクロロメチルエステル、即ちクロロメチル・[2S−
(2α,5α,6β)]−3,3−ジメチル−7−オキソ−6
−[(フェニルアセチル)アミノ]−4−チア−1−ア
ザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレート
3.83g(0.01mol)とピリジン−3−カルボン酸カリウム
1.93g(0.012mol)との懸濁液を20〜25℃で6日間撹拌
した。次いで、酢酸エチル300mlを添加し、析出した固
体を濾別した。溶液を濃塩化ナトリウム水溶液で4回抽
出し、硫酸マグネシウムにより乾燥した。溶媒を減圧除
去すると、泡状の固体4.5gが得られた。シリカゲルによ
るクロマトグラフィーにより、酢酸エチルを溶離剤とし
て精製すると、融点127〜130℃の生成物2.5gが得られ
た。
実施例48 [2S−(2α,5α,6β)]−3[[[[[3,3−ジメチ
ル−7−オキソ−6−[(フェニルアセチル)アミノ]
−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−
イル]カルボニル]オキシ]メトキシ]カルボニル]−
1−メチルピリジニウムヨージドの合成 乾燥ニトロメタン100ml中に溶かした実施例47の生成
物2.5g(0.053mol)を、ヨウ化メチル2.25g(1ml)(0.
016mol)と20〜25℃の密閉装置内で6日間反応させた。
この反応期間の終了時に、薄層クロマトグラフィーの結
果から反応は完結していた。溶媒を減圧除去し、固体残
渣をエーテルによりスラリー化し、濾過し、P2O5上で減
圧乾燥した。融点90〜95℃(分解)の生成物が、黄色固
体(2.91g)として得られた。この生成物には下記構造
式が帰属された。
実施例49 [[1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−ピリジニル)カ
ルボニル]オキシ]メチル・[2S−(2α,5α,6β)]
−3,3−ジメチル−7−オキソ−6−[(フェニルアセ
チル)アミノ]−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.
0]ヘプタン−2−カルボキシレートの合成 実施例48において調製した第四級塩化合物3.25g(0.0
053mol)を、水350mlと酢酸エチル150mlの混合溶媒に溶
解した。得られた混合物を0〜5℃に冷却し、窒素で脱
気した後、重炭酸ナトリウム2.67g(0.032mol)と亜ジ
チオンナトリウム3.69g(0.021mol)との混合物を2〜
3分間かけて添加した。反応混合物を上記と同じ条件下
1時間撹拌した後、分液した。水層を50mlづつの酢酸エ
チルで2回抽出し、合わせた有機抽出液を30mlづつの冷
脱気水で2回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにより
乾燥し、溶媒を減圧除去すると、下記構造式で示され
る、融点98〜100℃の黄色固体状の生成物1.7gが得られ
た。
実施例50 クロロメチル・N−[3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジ
ベンゾ[b,f]アゼピン−5−イル)]プロピル−N−
メチルカルバメートの合成 方法A デシプラミン塩酸塩(1.5g、0.005mol)を、0〜5℃
に冷却された20mlの塩化メチレンに溶解させた。次い
で、NaHCO31g、つづいてクロロギ酸クロロメチル0.92g
(0.007mol)を添加した。反応混合物を1時間撹拌した
後、析出した塩を濾去し、溶液を10mlづつの5%HClで
2回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥
し、溶媒を減圧除去すると、目的化合物が無色油状物質
として76%の収率(1.35g)で得られた。
方法B イミプラミン塩酸塩(1.59g、0.005mol)を15mlの水
に溶解し、次いで4%水酸化ナトリウム水溶液5mlを冷
却しながら加えた。生成したイミプラミン塩基を10mlづ
つのベンゼンで2回抽出した。抽出液を10mlに濃縮し、
次いでクロロギ酸クロロメチル0.7g(0.0054mol)を5ml
のベンゼンにとかした溶液を10℃に冷却しながら添加し
た。反応混合物を20〜25℃で30分間撹拌した後、1時間
還流加熱した。少量のイミプラミン塩酸塩が生成し、こ
れを濾去した。得られた溶液を20mlづつの4%HClで2
回抽出し、硫酸マグネシウムにより乾燥した。溶媒を減
圧除去すると、方法Aで得られたのと同じ特性値を示す
生成物1.2g(66%)が得られた。
実施例51 1−クロロエチル・N−[3−(10,11−ジヒドロ−5H
−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−イル)]プロピル−
N−メチルカルバメートの合成 実施例50に記載の一般的な反応操作に従い、ただし、
デシプラミン塩酸塩1.5g(0.005mol)とクロロギ酸クロ
ロエチル0.86g(0.006mol)とを使用し、反応を5〜10
℃で2時間行って、無色油状の標記化合物1.6g(86%)
を得た。
実施例52 [{N−[3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,
f]アゼピン−5−イル)]プロピル−N−メチルアミ
ノ}カルボニルオキシ]メチル・3−ピリジンカルボキ
シレートの合成 ニコチン酸0.57g(0.046mol)とトリエチルアミン0.4
5gとを5mlのジメチルホルムアミドに溶解して調製した
溶液に、5mlのジメチルホルムアミドに溶解した実施例5
0の生成物(1.35g、0.0037mol)を添加した。得られた
混合物を25〜30℃で24時間撹拌し、次いで酢酸エチル30
mlを加えた。析出した塩を濾別し、得られた溶液を15ml
づつの飽和塩化ナトリウム水溶液で4回抽出した。硫酸
マグネシウムにより乾燥し、溶媒を減圧除去すると、油
状の純生成物1g(61%)が得られた。
実施例53 [1−{N−[3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ
[b,f]アゼピン−5−イル)]プロピル−N−メチル
アミノ}カルボニルオキシ]エチル・3−ピリジンカル
ボキシレートの合成 実施例52に記載の一般的な反応操作に従い、ただし、
実施例51の生成物1.05g(0.0028mol)、ニコチン酸0.45
g(0.036mol)およびトリエチルアミン0.36gを使用し、
反応を10mlのジメチルホルムアミド中、25〜30℃で48時
間行って、黄色油状の標記化合物0.5gを得た。
実施例54 3−[{N−[3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ
[b,f]アゼピン−5−イル)]プロピル−N−メチル
アミノ}カルボニルオキシ]メトキシカルボニル−1−
メチルピリジニウム・ヨージドの合成 ニトロメタン30ml中の実施例52の生成物0.8g(0.0018
mol)を、ヨウ化メチル0.8mlにより25〜30℃で48時間メ
チル化反応させた。溶媒を減圧除去した後、残渣をエチ
ルエーテルによりスラリー状とし、濾過し、P2O5上で乾
燥した。標記の第四級塩が83%の収率(0.88g)で得ら
れた。生成物は融点172〜175℃(分解)の淡黄色固体状
であり、下記構造式で示される。
実施例55 3−[1−{N−[3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベ
ンゾ[b,f]アゼピン−5−イル)]プロピル−N−メ
チルアミノ}カルボニルオキシ]エトキシカルボニル−
1−メチルピリジニウム・ヨージドの合成 実施例54に記載のアルキル化反応操作に一般に従い、
ただしニトロメタン15ml中の実施例53の生成物0.5g(0.
0011mol)とヨウ化メチル0.5mlとを使用い、反応を20〜
25℃で6日間行うことにより、下記構造を有する目的の
第四級塩0.33g(50%)を、融点101〜103℃(分解)の
暗黄色固体として得た。
実施例56 [{N−[3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,
f]アゼピン−5−イル)]プロピル−N−メチルアミ
ノ}カルボニルオキシ]メチル・1,4−ジヒドロ−1−
メチル−3−ピリジンカルボキシレートの合成 水30mlと酢酸エチル15mlとの混合溶媒に溶解した実施
例54の生成物0.3g(0.005mol)を、重炭素ナトリウム0.
25g(0.003mol)と亜ジチオンナトリウム0.35g(0.002m
ol)とにより、0〜5℃で脱気しながら60分間かけて還
元処理した。分液した後、水層を30mlづつの酢酸エチル
で2回抽出した。次いで、有機層を合わせて、20mlづつ
の冷脱気水で2回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムに
より乾燥し、溶媒を減圧除去すると、下記構造式で示さ
れる融点59〜63℃(分解)の標記化合物0.22g(95%)
が得られた。
実施例57 [1−{N−[3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ
[b,f]アゼピン−5−イル)]プロピル−N−メチル
アミノ}カルボニルオキシ]エチル・1,4−ジヒドロ−
1−メチル−3−ピリジンカルボキシレートの合成 実施例56の方法に従って、ただし水10mlと酢酸エチル
6ml中の実施例55の生成物0.1g(0.0017mol)、NaHCO30.
11gおよびNa2S2O40.15gを使用し、反応を60分間行う
と、下記構造式で示される融点60〜65℃(分解)の黄色
固体状の標記化合物0.07g(88%)が得られた。
実施例58 N−(2−ヒドロキシエチル)−3−ピリジンカルボキ
サミドの合成 ニコチン酸エチル49.2g(0.32525mol)とエタノール
アミン72g(1.17mol)との溶液を70℃に60時間加熱し
た。過剰のエタノールアミンを減圧下で除去し、得られ
た粘稠なクリーム状の油をエーテルと共に48時間撹拌し
た。析出した白色固体を濾別すると、標記化合物46g(8
5.1%)が得られた。融点75〜78℃ 実施例59 3−[2′−(2″−プロピル)ぺンタノイルオキシ]
エチルカルバモイルピリジンの合成 実施例58の生成物1.0g(0.006021mol)とトリエチル
アミン0.61g(0.00598mol)とを乾燥ジクロロメタン40m
lに溶かした溶液を撹拌し、この溶液に、(2−プロピ
ル)ペンタノイルクロリド1.96g(0.012047mol)を添加
し、混合物を4時間還流加熱した。得られた溶液を5%
NaHCO330ml、5%HCl30mlおよび水30mlで順に洗浄し
た。有機層をMgSO4により乾燥し、溶媒を減圧除去する
と、淡褐色の油状の生成物0.6g(34.3%)が得られた。
実施例60 1−メチル−3−[2′−(2″−プロピル)ぺンタノ
イルオキシ]エチルカルバモイルピリジニウム・ヨージ
ドの合成 実施例59の生成物1g(0.00342mol)を乾燥酢酸エチル
20mlにとかした溶液に、ヨウ化メチル0.73g(0.00513mo
l)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。析
出した淡黄色固体を濾別し、酢酸エチルから再結晶する
と、標記第四級塩1.35g(90.9%)が黄色結晶質固体と
して得られた。この生成物は次式で示され、この構造を
IR、NMR、およびUV分析により確認した。
実施例61 1−メチル−3−[2′−(2″−プロピル)ぺンタノ
イルオキシ]エチルカルバモイル−1,4−ジヒドロピリ
ジンの合成 脱気した脱イオン水50mlを氷冷しながら激しく撹拌
し、これに、酢酸エチル50ml中の実施例60の第四級生成
物3.0g(0.006909mol)の溶液を添加した。反応中、窒
素を反応混合物に通気しながら、温度およびpHはそれぞ
れ0℃および8にずっと保持した。重炭酸ナトリウム3.
5g(0.04145mol)と亜ジチオン酸ナトリウム4.8g(0.02
763mol)との混合物を少しづつ添加した。45分後、有機
層を分離し、水層を氷冷した酢酸エチル100mlで抽出し
た。有機層を合わせて氷冷水で洗浄し、MgSO4により乾
燥した。溶媒を減圧除去すると、次式で示される生成物
2.1g(98.8%)が淡黄色固体として得られた。
上記構造はIR、NMRおよびUV分析により確認した。
実施例62 3−ピリジンカルボン酸(2−ヒドロキシ)エチルエス
テル塩酸塩の合成 冷(−10℃)エチレングリコール120mlに、塩化チオ
ニル16mlを滴下した。滴下終了後、ニコチン酸24.6g
(0.2mol)を少しづつ添加し、得られた反応混合物を60
℃に一晩加熱した。次いで、熱テトラヒドロフラン700m
lを添加し、混合物を冷却した。析出した固体を濾別
し、エーテルで洗浄すると、標記化合物28.5gが白色結
晶として得られた。
実施例63 3−[2′−(2″−プロピル)ぺンタノイルオキシ]
エトキシカルバニルピリジンの合成 実施例62の生成物10.0g(0.0491mol)を乾燥塩化メチ
レン150mlに溶解した溶液、トリエチルアミン10.7g(0.
09819mol)を添加した。固体が全部溶解した後、2−プ
ロピルペンタノイルクロリド11.92g(0.07364mol)を添
加し、反応混合物を室温で36時間撹拌した。得られた溶
液を順に5%NaHCO3、5%HClおよび水で洗浄した後、
この有機層を無水MgSO4により乾燥した。溶媒を減圧除
去すると、黄褐色の油状物が得られ、これをエーテルと
石油エーテルの40:60混合液と共に研和すると、橙色油
状の生成物9.7gが得られた。
実施例64 1−メチル−3−[2′−(2″−プロピル)ぺンタノ
イルオキシ]エトキシカルボニルピリジニウム・ヨージ
ドの合成 実施例63の生成物2.0g(0.006816mol)を乾燥アセト
ン10mlにとかした溶液にヨウ化メチル1.45g(0.01022mo
l)を添加し、この混合物を一晩還流加熱した。溶媒を
減圧除去すると、標記第四級塩1.84gが褐色油状物とし
て得られた。この生成物は次式で示される。
実施例65 1−メチル−3−[2′−(2″−プロピル)ぺンタノ
イルオキシ]エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロピリ
ジンの合成 脱気した脱イオン水50mlを氷冷しながら激しく撹拌
し、これに、酢酸エチル50ml中の実施例64の第四級生成
物1.84g(0.004226mol)の溶液を添加した。反応中、ア
ルゴンを反応混合物に通気しながら、温度およびpHはそ
れぞれ0℃および8にずっと保持した。NaHCO32.13g
(0.02536mol)とNa2S2O42.94g(0.0169mol)との混合
物を少しづつ添加した。55分後、有機層を分離し、水層
を氷冷した酢酸エチル100mlで抽出した。有機層を合わ
せて氷冷水で洗浄し、MgSO4により乾燥した。溶媒を減
圧除去すると黄色油状の標記化合物0.9gが得られた。こ
の生成物は次式で示されるものであった。
実施例66 3,17β−ビス[(3−ピリジニルカルボニル)オキシ]
−19−ノル−17α−プレグナ−1,3,5(10)−トリエン
−20−インの合成 乾燥ピリジン50mlに溶解したエチニルエストラジオー
ル2.0g(6.7mmol)に、無水ニコチン酸6.16g(0.027mo
l)と触媒量の4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMA
P)とを添加した。得られた溶液を穏やかに50℃に加温
して、溶解を完了させた。2週間後、このピリジン溶液
を氷上に投入し、析出した固体を濾取した。得られた固
体をP2O5上で減圧乾燥して、淡黄白色の粉末3g(85%)
を得た。
実施例67 3−ヒドロキシ−17β−[(3−ピリジニルカルボニ
ル)オキシ]−19−ノル−17α−プレグナ−1,3,5(1
0)−トリエン−20−インの合成 KHCO3の0.5%メタノール溶液200mlに、実施例66の生
成物2.0g(3.9mmol)を添加した。6時間後、得られた
スラリーを200mlの水で希釈し、この混合物をクロロホ
ルムで抽出した。有機層を合わせ、MgSO4により乾燥
し、減圧濃縮した。得られた油状物をヘキサンで研和す
ると、白色固体1.48g(94%)が得られた。NMRおよびUV
スペクトルおよび元素分析により、標記化合物の構造を
確認した。
実施例68 1−メチル−3−{[(19−ノル−17α−プレグナ−1,
3,5(10)−トリエン−20−イン−17β−イル)オキ
シ]カルボニル}ピリジニウム・ヨージドの合成 アセトン50mlに実施例67の生成物1.0g(2.5mmol)を
添加し、続いてヨウ化メチル2mlを添加した。反応混合
物を12時間還流加熱した。析出した固体を濾取すると、
下記構造物で示される第四級塩1.15g(85%)が黄色固
体として得られた。
帰属させた構造は、UVおよびNMRスペクトル、ならび
に元素分析により確認した。
実施例69 3−ヒドロキシ−17β−{[(1−メチル−1,4−ジヒ
ドロピリジン−3−イル)カルボニル]オキシ}−19−
ノル−17α−プレグナ−1,3,5(10)−トリエン−20−
インの合成 水とtert−ブタノール50:50の混合溶媒100ml中の実施
例68の生成物1.0g(1.8mmol)の冷却した懸濁液に、NaH
CO30.77gとNa2S2O40.96gとを添加した。反応混合物を0
℃で1時間撹拌した後、100mlづつのジクロロメタで2
回抽出した。有機抽出液を合わせ、MgSO4により乾燥
し、減圧濃縮して、黄色発泡体状の標記化合物520mg(6
9%)を得た。この生成物には下記構造を帰属させた。
この構造は、UVおよびNMRスペクトル値ならびに元素
分析結果と一致した。
実施例70 3,17β−ビス[(3−ピリジニルカルボニル)オキシ]
−エストラ−1,3,5(10)−トリエンの合成 0℃の乾燥ピリジン30ml中の塩化ニコチノイル5.3g
(0.03mol)に、β−エストラジオール2.0g(0.0073mo
l)を添加した。この反応混合物を1時間還流加熱した
後、100mlの氷水上に投じ、析出した沈澱を濾取した。
この沈澱をP2O5上で減圧乾燥して、融点148〜150℃の標
記化合物3.18g(90%)を得た。
実施例71 1,1′−ジメチル−3,3′−{[(エストラ−1,3,5(1
0)−トリエン−3,17β−ジイル)ジオキシ]ジカルボ
ニル}ジピリジニウム・ヨージドの合成 アセトン50mlとヨウ化メチル2ml(0.032mol)に、実
施例70の生成物2.0g(0.004mol)を添加した。得られた
溶液を一晩還流加熱した。析出した沈澱を濾別し、アセ
トンで洗浄し、乾燥して、下記構造で示される、融点25
1〜252℃の第四級塩2.75g(88%)を得た。
上記構造は、UV、NMRおよび元素分析により確認し
た。
実施例72 3,17β−ビス{[(1−メチル−1,4−ジヒドロピリジ
ン−3−イル)カルボニル]オキシ}エストラ−1,3,5
(10)−トリエンの合成 実施例71の生成物1g(1.31mmol)を乾燥アセトニトリ
ル100mlに溶解した。この溶液に窒素を通気し、1−
(フェニルメチル)−4−(アミノカルボニル)−1,2
−ジヒドロピリジン0.28g(1.31mmol)を添加し、反応
混合物を0℃で1時間撹拌した。溶媒を減少除去し、得
られた固体を塩化メチレンに懸濁させ、濾別した。濾液
を、塩化メチレンにより調製した中性アルミナカラムで
数回クロマトグラフィー処理した。精製後、溶媒を減圧
除去すると、固体の発泡が得られた。この生成物は次式
で示され、構造はUV,NMRおよび元素分析により確認し
た。
実施例73 3−(フェニルカルボニルオキシ)−17β−[(3−ピ
リジニルカルボニル)オキシ]−エストラ−1,3,5(1
0)−トリエンの合成 エストラジオール・ベンゾエート2.5g(6.6mmol)を
乾燥ピリジン50mlに溶解した後、無水ニコチン酸1.66g
と触媒量の4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)と
を添加した。反応混合物を室温で5日間撹拌した後、氷
水上に投じた。析出した沈澱を濾取し、減圧乾燥して、
融点151〜154℃の白色固体状の生成物3.01g(94%)を
得た。
実施例74 1−メチル−3−〔{[(3−フェニルカルボニルオキ
シ)エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17β−イル]
オキシ}カルボニル〕ピリジニウム・ヨージドの合成 アセトン2.5mlに実施例73の生成物1.5g(3.1mmol)を
懸濁させた。次いで、ヨウ化メチル2mlを添加し、反応
混合物を一晩還流加熱した。析出した黄色固体(1.8g、
93%)を濾取し、減圧乾燥した。UV、NMRおよび元素分
析により、生成物が下記の帰属された構造を有すること
を確認した。
実施例75 3−(フェニルカルボニルオキシ)−17β−{[(1−
メチル−1,4−ジヒドロピリジン−3−イル)カルボニ
ル]オキシ}エストラ−1,3,5(10)−トリエンの合成 実施例74で調製した第四級塩1.2g(1.93mmol)をtert
−ブチルアルコール/水の50:50混合溶媒100mlに懸濁さ
せた。次いで、NaHCO30.81gとNa2S2O41.0gとを添加し、
反応を1.5時間続けさせた。得られた溶液を塩化メチレ
ンで抽出し、有機相をMgSO4により乾燥し、減圧濃縮し
て、黄色発泡体状の標記化合物650mgを得た。生成物の
構造は、UV,NMRおよび元素分析により確認した。この生
成物には下記構造を帰属させた。
実施例76 N−〔2−{4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]
ブタノイルオキシ}エチル〕−3−ピリジンカルボキサ
ミドの合成 クロラムブチル20g(0.0657mol)を800mlの乾燥アセ
トニトリル溶解した後、N−(2−ヒドロキシエチル)
−3−ピリジンカルボキサミド13.1g(0.079mol)を加
えた。溶液が透明になるまでアセトニトリルを加えた。
この段階で使用したアセトニトリルの合計量は850mlで
あった。この溶液をアルゴン雰囲気に保持しながら撹拌
し、これにジシクロヘキシルカルボジイミド1.492g(0.
072mol)と4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)0.
802g(0.0066mol)とを添加した。反応混合物を乾燥条
件下にて室温で一晩撹拌し、反応の進行を薄層クロマト
グラフィーにより追跡した。上記反応時間の経過後、析
出した固体を濾去し、冷アセトニトリル50mlで洗浄し
た。濾液を30℃で減圧蒸発し、得られた黄色固体を最少
量(15ml)のクロロホルム/テトロヒドロフラン8:2の
混合溶媒に溶解させ、シリカゲル900gを充填したカラム
に投入した。このカラムクロロホルム/テトラヒドロフ
ラン8:2の混合液で溶出させた。付加生成物とクロラム
ブチルが最初の500mlで溶出し、次いで目的とするエス
テルを溶出液の減圧蒸発により取得した。標記化合物
が、融点73〜75℃の黄色固体として82.7%の収率で得ら
れた。これは下記構造式で示されるものであった。
実施例77 1−メチル−3−[(N−{2−[4−({4−ビス
(2−クロロエチル)アミノ}フェニル)ブタノイルオ
キシ]エチル})カルバモイル]ピリジニウム・メタノ
サルフェノートの合成 実施例76の生成物2g(0.04mol)を200mlの乾燥アセト
ニトリルに溶かした。ジメチルサルフェート0.613g(0.
0486mol)を加え、混合物を一晩還流させた。第四級化
されていないエステルが残留しなくなるまで、反応を薄
層クロマトグラフィー(クロロホルム/テトラヒドロフ
ラン8:2)により追跡した。溶媒を減圧除去し、得られ
た残渣を乾燥エーテルで数回洗浄した。残留する赤色の
粘稠な液体を、その後の使用時までアルゴン雰囲気下に
保存した。収率97.35%。生成物はNMR分析により目的と
する第四級塩であることが同定された。これには下記構
造式を帰属させた。
実施例78 1−メチル−3−[(N−{2−[4−({4−[ビス
(2−クロロエチル)]アミノ}フェニル)ブタノイル
オキシ]エチル})カルバモイル]−1,4−ジヒドロピ
リジンの合成 実施例77で得た第四級塩2.49g(0.0043mol)を水350m
lに溶解させた。反応中ずっと窒素をこの溶液に通気し
た。この水溶液を水浴により5℃に冷却した後、NaHCO3
2.17g(0.026mol)を5分間かけて添加し、続いて、亜
ジチオン酸ナトリウム2.997g(0.017mol)を10分間かけ
て添加した。反応混合物を5℃に120分保持した後、分
液した。水層を酢酸エチルで4回抽出した。酢酸エチル
抽出液を合わせ、MgSO4により乾燥し、減圧下に蒸発乾
固した。得られた半固体を乾燥してエーテルで数回洗浄
すると、下記構造で示される標記化合物が融点90〜92℃
の黄色固体として得られた。
実施例79 N−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−3−ピリジン
カルボキサミドの合成 エタノール50mlにtrans−4−アミノシクロヘキサノ
ール塩酸塩5.05g(0.033mol)を懸濁させ、次いで反応
混合物を10℃に冷却しながら、この懸濁液に1N NaOH33m
lを徐々に添加した。得られた均質な混合物を蒸発乾固
させた後、ベンゼンとアセトンの50:50混合溶媒を添加
して減圧下に蒸発乾固する操作を3回繰り返した。こう
して処理した乾燥固体を、クロロホルム100mlで抽出
し、濾過し、濾液を蒸発乾固した。残渣エーテルによ
り、研和し、乾燥して、融点111〜112℃の遊離アミノシ
クロヘキサノール3.50g(91.23%)を得た。
乾燥テトロヒドロフラン75mlにニコチン酸2.14g(0.0
17mol)を懸濁させ、次いで、蒸留したばかりのトリエ
チルアミン1.76を加えた。得られた透明な溶液をアルゴ
ン雰囲気下に氷浴中で−4℃に冷却した後、テトラヒド
ロフラン10ml中のクロロギ酸エチル1.88g(0.014mol)
を、温度0℃を超えないような速度で添加した。この冷
却した反応混合物に、上記の遊離アミノシクロヘキサノ
ール2.0g(0.017mol)を粉末状で添加した後、反応混合
物を室温に昇温させ、2時間撹拌した。析出した沈澱を
濾別し、熱水28mlに溶解させ、再結晶させて、下記構造
を有する標記化合物3.35g(85%)を、融点208〜210℃
の微細な無色針状結晶として得た。
上記構造例は元素分析により確認した。
実施例80 N−{4−[4−({4−[ビス(2−クロロエチル)
アミノ}フェニル)ブタノイルオキシ]シクロヘキシ
ル}−3−ピリジンカルボキサミドの合成 クロラムブチル1.38g(0.0045mol)とN−(4−ヒド
ロキシシクロヘキシル)−3−ピリジンカルボキサミド
1.1g(0.0049mol)とを、ジシクロヘキシルカルボジイ
ミド1.03g(0.0459mol)、および4−(ジメチルアミ
ノ)ピリジン(DMAP)55mg(0.000453mol)と共に、蒸
留したばかりのアセトニトリル50ml中で混合した。反応
混合物をアルゴンの存在下に室温で2日間撹拌した。反
応の進行をクロロホルム/テトラヒドロフランの8:2混
合溶媒を使用した薄層クロマトグラフィーにより追跡し
た。上記反応時間の経過後、折出した固体を濾去し、濾
液を低温で減圧下に蒸発乾固した。残渣をシリカゲルカ
ラムに入れ、クロロホルム/テトラヒドロフラン8:2で
溶離した。適当な溶離分画を合わせ、減圧下に蒸発乾固
した。下記構造を有する、融点120〜122℃の薄クリーム
色の粉末状の生成物1.86g(81%)が得られた。
生成物の構造は、元素分析により確認した。
実施例81 1−メチル−3−(N−{4−[4−(4−{[ビス
(2−クロロエチル)]アミノ}フェニル)ブタノイル
オキシ]シクロヘキシル}カルバモイル)ピリジニウム
・メタノサルフェートの合成 実施例80の生成物1g(0.0019mol)を30mlの乾燥アセ
トニトリルに溶かし、ジメチルサルフェート0.249g(0.
0019mol)を加えた。この混合物を、薄層クロマトグラ
フィー(シリカカラム、クロロホルム/テトラヒドロフ
ラン8:2)で第四級化反応が完結したことを示すまで
(約1日半)、アルゴン雰囲気下に還流させた。溶媒を
減圧除去し、得られた橙色残渣を無水エーテルで数回洗
浄し、減圧蒸発させた。目的とする第四級塩1.04g(80.
6%)が粘着性のある黄色い物質として得られた。これ
は下記構造式で示されるものであった。
実施例82 1−メチル−3−(N−{4−[4−(4−{[ビス
(2−クロロエチル)]アミノ}フェニル)ブタノイル
オキシ]シクロヘキシル}カルバモイル)−1,4−ジヒ
ドロピリジンの合成 実施例81で得た第四級塩0.34g(0.0005mol)をアセト
ニトリル0.5mlに溶解させ、0℃中に冷却された脱気し
た水、(反応中、窒素ガスを通気)20mlに吸収させた。
得られた溶液を撹拌し、これに重炭酸ナトリウム0.27g
(0.003mol)を添加し、続いてまず亜ジチオン酸ナトリ
ウム0.37(0.002mol)、次に酢酸エチル20mlを添加し
た。90分後、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで3〜
4回抽出した。酢酸エチル抽出液を合わせ、硫酸ナトリ
ウムにより乾燥し、減圧蒸発した。残渣の固体を無水エ
ーテルで数回洗浄し、乾燥した。こうして得た残渣を中
性アルミナカラムに入れ、加圧下にクロロホルムで溶出
させた。溶出液からクロロホルムを蒸発させると、下記
構造式で示される標記化合物0.18g(65%)が吸湿性の
黄色固体として得られた。
生成物の構造はUV分析により確認した。
実施例83 N−(2−ヒドロキシ)プロピル−3−ピリジンカルボ
キサミドの合成 ニコチン酸4.29g(0.039ml)を乾燥テトラヒドロフラ
ン120mlに懸濁させ、これに蒸留したばかりのトリエチ
ルアミン4.04g(0.039mol)を一度に加えた。得られた
透明な溶液をアルゴン雰囲気下に氷浴中で−4℃に冷却
した。次いで、テトラヒドロフラン25mlに溶かしたクロ
ロギ酸エチル4.33g(0.039mol)を、溶液の温度が0℃
を超えないような速度で添加した。次に、この冷却した
反応混合物に1−アミノ−2−プロパノール3g(0.039m
ol)を直接添加した。反応混合物を室温に昇温させ、2
時間撹拌した。析出した沈澱を濾去し、濾液を減圧蒸発
させた。得られた油状残渣を無水エーテルで数回洗浄
し、放置した。下記構造を有する標記化合物6.11g(85
%)を、融点40℃の吸湿性、低融点の白色ロウ状固体と
して得た。
実施例84 N−{2−[4−({4−[ビス(2−クロロエチ
ル)]アミノ}フェニル)ブタノイルオキシ]プロピ
ル}−3−ピリジンカルボキサミドの合成 クロラムブチル1.0g(0.003mol)とN−(2−ヒドロ
キシ)プロピル−3−ピリジンカルボキサミド0.065g
(0.0036ml)を、ジシクロヘキシルカルボジイミド0.68
g(0.003mol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン
(DMAP)41mg(0.003mol)と共に、蒸留したばかりのア
セトニトリル40ml中で混合した。反応混合物をアルゴン
の存在下に室温で2日間撹拌し、反応の進行を塩化メチ
レン/酢酸エチルの8:2混合溶媒を使用したシリカカラ
ムでの薄層クロマトグラフィーにより追跡した。上記反
応時間の経過後、析出した固体を濾過し、濾液を30℃で
減圧下に蒸発乾固した。残渣をシリカゲルカラムに入
れ、塩化メチレン/酢酸エチル8:2で溶出させた。適当
な溶出液を捕集して合わせ、減圧下に蒸発乾固した。粘
着性物質状の標記化合物が84%の収率(1.53g)で得ら
れた。これは下記構造式で示されるものであった。
実施例85 1−メチル−3−[(N−{2−[4−({4−[ビス
(2−クロロエチル)]アミノ}フェニル)ブタノイル
オキシ]プロピル})カルバモイル]ピリジニウム・メ
タノサルフェートの合成 実施例84の生成物2.2g(0.0047mol)を45mlの乾燥ア
セトニトリルに溶かし、ジメチルサルフェート0.59g
(0.0047mol)を加え、この混合物をアルゴン雰囲気下
に還流させた。反応の進行を、塩化メチレン/酢酸エチ
ル8:2を用いた薄層クロマトグラフィーにより追跡し
た。1日半経過後、溶媒を減圧蒸発により除去し、得ら
れた橙色残渣を無水エーテルでよく洗浄し、減圧乾燥し
た。目的とする第四級塩生成物が黄色い粘着性物質とし
て92.47%の収率で得られ、これは下記構造式で示され
るものであった。
実施例86 1−メチル−3−[(N−{2−[4−({4−[ビス
(2−クロロエチル)]アミノ}フェニル)ブタノイル
オキシ]プロピル})カルボモイル]−1,4−ジヒドロ
ピリジンの合成 実施例85で得た第四級塩2.39g(0.004mol)を1mlのア
セトニトリルに溶解させ、氷水浴中で0℃に冷却された
脱気した水(反応中、窒素ガスを通気)100mlに吸収さ
せた。得られた溶液を攪拌しながら、重炭酸ナトリウム
2.03g(0.024mol)を添加し、次に亜ジチオン酸ナトリ
ウム2.81g(0.016mol)を添加した。得られた混合物に
酢酸エチル60mlを添加した。反応を90分間進行させた
後、分液し、水層を酢酸エチル30mlづつで3〜4回抽出
した。酢酸エチル抽出液を合わせ、硫酸ナトリウムによ
り乾燥し、減圧蒸発した。残渣を中性アルミニウムカラ
ムに入れ、加圧下にクロロホルムで溶出させた。適当な
溶出液を捕集し、蒸発すると、吸湿性の黄色い固体が60
%の収率で得られた。この生成物は下記構造を有してい
た。
生成物の構造はUV分析により確認した。
実施例87 N−(2−ヒドロキシ−2−フェニル)エチル−3−ピ
リジンカルボキサミドの合成 ニコチン酸1.79g(0.014mol)を乾燥テトラヒドロフ
ラン60mlに懸濁させ、これに蒸留したばかりのトリエチ
ルアミン1.48g(0.014mol)を加えた。得られた透明な
溶液を氷浴中で−4℃に冷却し、アルゴンをこれに連続
的に通気した。次いで、テトラヒドロフラン10mlに溶か
したクロロギ酸エチル1.58g(0.014mol)を、溶液の温
度が0℃を超えないような速度で添加した。次に、2−
アミノ−1−フェニルエタノール2.0g(0.014mol)をテ
トラヒドロフラン5ml中の溶液状で添加した。反応混合
物を室温に昇温させ、2時間攪拌した。析出した沈澱を
濾去し、濾液を減圧蒸発して、下記構造を有する融点12
2〜124℃の白色結晶質の固体3.22g(91.1%)を得た。
元素分析により生成物の構造を確認した。
実施例88 N−({2−フェニル−2−[4−({4−[ビス(2
−クロロエチル)]アミノ}フェニル)ブタノイルオキ
シ]}エチル)−3−ピリジンカルボキサミドの合成 クロラムブチル1.0g(0.003mol)とN−(2−ヒドロ
キシ−2−フェニル)エチル−3−ピリジンカルボキサ
ミド0.88g(0.003mol)を、ジシクロヘキシルカルボジ
イミド0.68g(0.003mol)および4−(ジメチルアミ
ノ)ピリジン(DMAP)41mg(0.0003mol)と共に、蒸留
したばかりのアセトニトリル35ml中で混合した。反応混
合物をアルゴンの存在下に室温で3日間攪拌した。塩化
メチレン/酢酸エチルの8:2混合溶媒を使用した薄層ク
ロマトグラフィーにより反応の信行を追跡した。反応
後、析出した固体を濾去し、アセトニトリルを減圧蒸発
させた。得られた残渣をシリカゲルカラムに入れ、塩化
メチレン/酢酸エチル8:2で溶出させた。適当な溶出液
を捕集して合わせ、減圧蒸発して、融点99〜101℃の下
記構造で示される薄黄褐色の粉末1.21g(70%)を得
た。
実施例89 1−メチル−3−[(N−{2−フェニル−2−[4−
({4−[ビス(2−クロロエチル)]アミノ}フェニ
ル)ブタノイルオキシ]}エチル)カルバモイル]ピリ
ジニウム・メタノサルフェートの合成 実施例88の生成物0.5g(0.00094mol)を20mlの乾燥ア
セトニトリルに溶かし、ジメチルサルフェート0.12g
(0.00094mol)を加えた。この混合物をアルゴン雰囲気
下に2日間還流させた後、溶媒を減圧蒸発により除去し
た。得られた残渣を無水エーテルで数回洗浄し、乾燥し
て、下記構造式で示される粘着性の黄色い生成物0.54g
(91%)を得た。
実施例90 1−メチル−3−[(N−{2−フェニル−2−[4−
({4−[ビス(2−クロロエチル)]アミノ}フェニ
ル)ブタノイルオキシ]}エチル)カルバモイル]−1,
4−ジヒドロピリジンの合成 実施例89で得た第四級塩0.53g(0.0008mol)を0.5ml
のアセトニトリルに溶解させ、0℃に冷却された脱気し
た脱イオン水20mlに吸収させた。得られた溶液を0℃で
攪拌しながら、重炭酸ナトリウムを添加し、次に亜ジチ
オン酸ナトリウム0.56g(0.0032mol)を添加した。さら
に酢酸エチル20mlを添加し、反応を2時間進行させた。
有機層を分離し、水層を酢酸エチルで、有機層に色が認
められなくなるまで数回抽出した(合計量70ml)。酢酸
エチル抽出液を合わせ、酢酸ナトリウムにより乾燥し、
減圧蒸発した。残渣を中性アルミナカラムに入れ、クロ
ロホルムで溶出させた。適当な溶出液を捕集し、クロロ
ホルムを蒸発させると、次式で示される吸湿性の橙黄色
化合物0.2g(45%)が得られた。
生成物の構造はUVスペクトル分析により確認した。
実施例91 N−(2−ヒドロキシエチル)−3−ピリジンカルボキ
サミドの合成 2−アミノエタノール6.1g(0.10mol)とニコチン酸
エチル15.1g(0.10mol)との無溶媒の混合物を一晩還流
させた。この混合物を室温に冷却すると生成物が結晶質
固体として析出した。これを濾別し、エーテルで洗浄
し、次いで2−プロパノール/エーテルから再結晶し
た。最終滴な生成物を減圧濾過により捕集し、エーテル
で洗浄した。得られた白色化合物の乾燥後の重量は10.7
gであり、収率64.5%、融点88.5〜89.5℃(文献値:92
℃)であった。
実施例92 (+)N−[2−(6−メトキシ−α−メチル−2−ナ
フタレニルアセトキシ)エチル]−3−ピリジンカルボ
キサミドの合成 ナプロキセン2.30g(10.0mmol)を、アセトニトリル1
50ml中でジシクロヘキシルカルボジイミド2.30g(11.0m
mol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン122mg(1.
00mmol)を使用して、実施例91の生成物1.71g(10.0mmo
l)と結合させた。反応混合物を室温で48時間攪拌し
た。析出した沈澱を濾別し、アセトニトリルでゆすぎ、
乾燥すると、2.3gの量があった。溶液から溶媒を減圧除
去し、残留する透明な油状物を無水エーテルと共に攪拌
した。得られた白色固体を減圧濾過し、エーテルで洗浄
し、風乾した。この粗生成物の量は2.80gであった。こ
の化合物を2−プロパノールから再結晶した。最終生成
物を濾別し、0.5%重炭酸ナトリウム水溶液、水、およ
び最後にエーテルで洗浄した。この化合物をP2O5を入れ
たデシケータ内で乾燥した。再結晶後の生成物の量は2.
40gであり、総合収率63.4%、融点79〜82℃であった。
実施例93 N−(2−{[1−(p−クロロベンゾイル)−5−メ
トキシ−2−メチル−3−インドリル]アセトキシ}エ
チル)−3−ピリジンカルボキサミドの合成 インドメタシン1.79g(5.00mmol)と実施例91の生成
物0.820g(5.00mmol)との反応を、結合剤としてジシク
ロヘキシルカルボジイミド1.10g(5.50mmol)および溶
媒としてアセトニトリルを使用して行った。最初の2種
類の反応成分を溶媒に完全に溶解し、得られた溶液を0
℃に冷却した。ジシクロヘキシルカルボジイミドを添加
し、混合物を一晩攪拌した。反応を48時間続行させた。
析出した沈澱(1.2g)を減圧濾過により除去した。濾液
から溶媒を減圧除去すると、油状残渣が得られた。この
生成物を無水エーテルと共に攪拌して固化させた。析出
物を濾過し、風乾し、エタノール/エーテルから再結晶
した。最終生成物を減圧濾過し、エーテルで洗浄し、風
乾した。生成物の収量は1.65gであり、収率65.2%、融
点123〜125℃であった。
実施例94 1−メチル−3−{N−[2−(6−メトキシ−α−メ
チル−2−ナフタレニルアセトキシ)エチル]カルバモ
イル}ピリジニウム・ヨージドの合成 実施例92で調製したナプロキセンエステル1.0g(2.6m
mol)の第四級化を、アセトン45ml中でヨウ化メチル2.3
g(16mmol)を使用して行った。得られた溶液を20時間
還流加熱した。反応フラスコにヨウ化メチル1.1g(8.0m
mol)を追加した。さらに反応を4時間続けた後、析出
した生成物を濾別した。得られた薄黄白色の粉末を乾燥
した。この生成物の収量は2.2gであり、分析上純粋であ
り、再結晶は必要ないことが判明した。濾液のアセトン
溶液から溶媒を除去し、残渣を無水エーテルで固化させ
た。得られた濃黄色粉末を水に溶解させ、エーテル(4
×30ml)で洗浄した。次いで、水を減圧除去すると、黄
色の着色が薄くなった粉末0.2gが得られた。反応の総合
収率は93%であり、融点169〜170℃であった。生成物は
下記構造式で示されるものであり、UV、MNRおよび元素
分析により構造を確認した。
実施例95 1−メチル−3−[N−(2−{[1−(p−クロロベ
ンゾイル)−5−メトキシ−2−メチル−3−インドリ
ル]アセトキシ}エチル)カルボモイル]ピリジニウム
・ヨージドの合成 実施例93で得たインドメタシンエステル0.50g(1.0mm
ol)の第四級化を、アセトン中でヨウ化メチル1.7g(12
mmol)を使用して行った。反応系を一晩還流加熱した。
溶媒を減圧除去すると、黄色の固体が得られた。この生
成物をエタノールと極く少量のエーテルを使用して再結
晶した。淡黄色の小さなカビ状の結晶が得られた。反応
生成物の収量は043gであり、精製生成物の収率は66%で
あった。融点178〜179℃。UV、MNRおよび元素分析によ
り、生成物が下記構造式で示されるものであることを確
認した。
実施例96 1−メチル−3−{N−[2−(6−メトキシ−α−メ
チル−2−ナフタレニルアセトキシ)エチル]カルバモ
イル}−1,4−ジヒドロピリジンの合成 実施例94で調製した第四級塩780mg(1.5mmol)を、脱
気した脱イオン水200mlとアセトニトリル10mlとの混合
溶媒に溶かした。亜ジチオン酸ナトリウム780mg(4.5mm
ol)と重炭酸ナトリウム630mg(7.5mmol)とを混合し、
上記溶液に室温で添加した。この溶液に窒素ガスをゆっ
くり通気しながら1時間反応を続けた。不完全に析出し
た生成物をエーテルで反復抽出した(8×30ml)。抽出
液を合わせ、水(25ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムに
より乾燥した。乾燥剤を濾去し、濾液から溶媒を減圧除
去した。得られた油状残渣を塩化メチレン5mlに溶解
し、溶媒を減圧除去する操作を3回繰り返した。得られ
た発泡体を無水エーテル(3ml)で洗浄し、溶媒を減圧
除去した。最終生成物の量は390mgで、収率は66%であ
った。この吸湿性の固体発泡体は、−100℃で窒素雰囲
気下に保存した。その構造式は次の通りであり、UV、NM
Rおよび元素分析により構造を確認した。
実施例97 1−メチル−3−[N−(2−{[1−(p−クロロベ
ンゾイル)−5−メトキシ−2−メチル−3−インドリ
ル]アセトキシ}エチル)カルバモイル]−1,4−ジヒ
ドロピリジンの合成 実施例95で調製したインドメタシン系第四級塩140mg
(0.22mmol)を、最少量の水:アセトニトリル(8:2)
に溶解させた。この水は、使用前に20分間窒素を通気さ
せておいた。この溶液を0℃で攪拌しながら、重炭酸ナ
トリウム91mg(1.1mmol)と亜ジチオン酸ナトリウム110
mg(0.65mmol)とを添加した。溶液を次いで室温に昇温
させた。反応を約1時間続けた。生成物の一部は反応中
に析出した。これをエチルエーテルに溶解させた。水層
を、有機層に黄色の色が移らなくなるまでエーテルで数
回抽出した。エーテル層を合わせ、硫酸マグネシウムに
より乾燥し、濾過し、エーテルを減圧除去した。残留す
る油状物をアセトン10mlに溶解し、溶媒を減圧除去する
操作を2回反復して、乾いた発泡体を得た。この最終生
成物の量は92mgであった。収率82%、融点60〜65℃。生
成物の構造式は次の通りであり、UV、NMRおよび元素分
析により構造を確認した。
実施例98 N−[(1−ヒドロキシシクロヘキシル)メチル]−3
−ピリジンカルボキサミドの合成 ニコチン酸1.48g(0.012mol)を乾燥テトラヒドロフ
ラン50mlに懸濁させ、これに蒸留したばかりのトリエチ
ルアミン2.44g(0.014mol)を攪拌しながら加えた。得
られた透明な溶液をアルゴン雰囲気下に氷浴中で−4℃
に冷却した。次いで、テトラヒドロフラン10mlに溶かし
たクロロギ酸エチル1.3g(0.012mol)を、反応混合物の
温度が0℃を超えないような速度で添加した。次に、こ
の冷却した反応混合物に1−アミノメチル−1−シクロ
ヘキサノール塩酸塩2.0g(0.012mol)を粉末のまま直接
添加した。反応混合物を室温に昇温させ、2時間攪拌し
た後、析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾去し、濾液
を減圧蒸発させて白色固体を得た。この固体を水から再
結晶し、アセトンおよびエーテルで洗浄し、乾燥した。
110℃付近で溶融する標記化合物を85%の収率(2.4g)
で得た。これは、元素分析により下記構造式で示される
化合物であることを確認した。
実施例99 N−({1−[4−({4−[ビス(2−クロロエチ
ル)アミノ}フェニル)ブタノイルオキシ]シクロヘキ
シル}メチル)−3−ピリジンカルボキサミドの合成 クロラムブチル1.18g(0.0038mol)とN−[(1−ヒ
ドロキシシクロヘキシル)メチル]−3−ピリジンカル
ボキサミド0.99g(0.004mol)を、ジシクロヘキシルカ
ルボジイミド0.8g(0.0038mol)及び4−(ジメチルア
ミノ)ピリジン(DMAP)47mg(0.00038mol)と共に、蒸
留したばかりのアセトニトリル60ml中で混合した。反応
混合物をアルゴン雰囲気下に室温で7日間攪拌した。こ
の反応時間の経過後、析出した固体を濾別し、濾液を低
温で減圧下に蒸発乾固した。残渣をシリカゲルカラムに
入れ、まず塩化メチレン/酢酸エチル8:2で、次にクロ
ロホルム/テトラヒドロフラン8:2で溶出させた。適当
な溶出液を捕集して合わせ、減圧下に蒸発乾固した。標
記化合物が融点92〜94℃の薄黄色固体として26%の収率
で得られた。これは下記構造式で示されるものであり、
元素分析で構造を確認した。
実施例100 1−メチル−3−[N−({1−[4−(4−{[ビス
(2−クロロエチル)]アミノ}フェニル)ブタノイル
オキシ]シクロヘキシル}メチル)カルバモイル]ピリ
ジニウム・メタノサルフェートの合成 乾燥アセトニトリル25mlに溶解した実施例99の生成物
0.69g(0.0013mol)に、ジメチルサルフェート0.17g
(0.0013mol)を添加した。この混合物を、クロロホル
ム/テトラヒドロフラン8:2を使用した薄層クロマトグ
ラフィーで調べて反応が完結するまで(約2日間)還流
加熱した。溶媒を減圧下に蒸発除去し、得られた橙色残
渣を無水エーテルで数回洗浄し、乾燥した。得られた生
成物は粘着性の黄色い物質0.72g(85%)であり、これ
は次式で示される構造の化合物である。
実施例101 1−メチル−3−[N−({1−[4−(4−{[ビス
(2−クロロエチル)]アミノ}フェニル)ブタノイル
オキシ]シクロヘキシル}メチル)カルバモイル]−1,
4−ジヒドロピリジンの合成 実施例100で得た第四級塩0.78g(0.0012mol)を0.5ml
のアセトニトリルに溶解させ、0℃に冷却され、窒素の
通気により脱気されている20mlの水に吸収させた。得ら
れた溶液を攪拌しながら、重炭酸ナトリウム0.61g(0.0
072mol)を添加し、次に亜ジチオン酸ナトリウム0.84g
(0.0048mol)および酢酸エチル20mlを添加した。反応
を75分間進行させた後、分液し、水層を酢酸エチル20ml
づつで3〜4回抽出した。有機抽出液を合わせ、硫酸ナ
トリウムにより乾燥し、減圧蒸発した。残渣を中性アル
ミナカラムに入れ、加圧下にクロロホルムで溶出させ
た。適当な溶出液を捕集し、蒸発すると、生成物が粘着
性の黄色い物質として得られた(0.31g、49%)。この
生成物は下記構造を有していた。
実施例102 1−メチル−3−{[2−(9−グアニルメトキシ)エ
トキシ]カルボニル}ピリジニウム・ヨージドの合成 無水トリゴネリン・ジヨージド(1−メチルピリジニ
ウム−3−カルボン酸無水物ジヨージド)を、Brewster
ら,Synthetic Communications17(4),451−455(1
987)に記載の方法で調製した。
新たに蒸留した乾燥ピリジン25mlにアシクロビール1.
0g(4.4mmol)をとかした溶液に、無水トリゴネリン・
ジヨージド2.27g(4.4mmol)と触媒量(5.4mg、4mmol)
の4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)とを加え
た。得られた懸濁液をアルゴン雰囲気下に室温で4日間
攪拌した。反応の進行につれて、上記酸無水物の橙色が
黄色に変わっていった。アシクロビールが全部消費され
てから、反応を停止し、析出物(目的生成物のエステル
の他に副生したトリゴネリンを含有)を濾別し、アセト
ンとエーテルとで洗浄して、DMAPを除去した。次いで、
この黄色の固体を室温で乾燥メタノール中で攪拌してト
リゴネリン、未反応の無水物およびアシクロビールを除
去した。標記化合物が87%の収率(1.82g)で得られ
た。融点201〜202℃。NMRおよびUV分析により、この生
成物が下記構造式で示されるものであることを確認し
た。
施例例103 1−メチル−3−{[2−(9−グアニルメトキシ)エ
トキシ]カルボニル}−1,4ジヒドロピリジンの合成 実施例102の生成物1.58g(3.3mmol)を脱気した水120
mlに溶解した溶液に、NaHCO31.69g(20.1mmol)を一度
に添加した。この混合物を0℃で攪拌しながら、亜ジチ
オン酸ナトリウム2.33g(13.18mmol)を5分間かけて添
加した。反応中、フラスコには窒素ガスを流し続けた。
生成したジヒドロピリジン生成物は水に不溶性であり、
水層の上にクリーム色の結晶が生成した。この結晶を濾
別し、まず氷冷水で、次に無水エーテルで洗浄した。−
15℃に保持されたデシケータ内でP2O5により乾燥する
と、融点163〜165℃の標記化合物0.626g(54%)が得ら
れた。NMRおよびUV分析により、この生成物が下記構造
式で示されるものであることを確認した。
実施例104 5′−ピバロイルトリフルオロチミジンの合成 トリフルオロチミジン150mgを5mlのピリジンに溶解し
た溶液を攪拌し、これに塩化ピパロイル90mgを1mlのピ
リジンに溶かした溶液を冷却しながら添加した。室温で
攪拌を10時間続けた後、反応混合物を20mlの氷水に投入
し、酢酸エチル50mlで抽出した。抽出液を水洗し、硫酸
ナトリウムにより乾燥した。酢酸エチルを除去し、残渣
をクロロホルム/メタノール20:1を溶離液とするシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。エーテ
ルとn−ヘキサンとの混合溶媒から再結晶後に、融点13
0〜132℃の標記化合物を得た。
実施例105 3′−(3−ピリジルカルボニル)−5′−ピバロイル
トリフルオロチミジンの合成 ピリジン10mlに5′−ピバロイルトリフルオロチミジ
ン450mgを溶かした溶液を攪拌し、これに氷冷下に塩化
ニコチノイル塩酸塩1.0gを添加した。反応混合物を室温
で3日間攪拌した後、100mlの氷水に投入し、酢酸エチ
ル100mlで抽出した。抽出液を水洗し、無水硫酸ナトリ
ウムにより乾燥し、減圧蒸発して、油状物を得た。n−
ヘキサンから結晶化させると、融点175〜177℃の無色針
状結晶500mg(87%)が得られた。この生成物の構造は
次式に示す通りであり、NMRスペクトル分析により構造
をさらに確認した。
実施例106 3′−(1−メチル−3−ピリジニウムカルボニル)−
5′−ピバロイルトリフルオロチミジン・ヨージドの合
成 10mlのアセトンに溶解した実施例105の生成物440mgに
ヨウ化メチル1.0gを添加した。この混合物を10時間還流
加熱した後、析出した沈澱を吸引濾過により集めると、
目的生成物550mgが、融点188〜190℃(分解)の黄色葉
状結晶として得られた。NMR分析によりこの生成物が下
記構造式で示されるものであることを確認した。
実施例107 3′−(1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−ピリジニル
カルボニル)−5′−ピバロイルトリフルオロチミジン
の合成 水20mlと酢酸エチル20mlとの混合溶媒に実施例106の
生成物100mgを溶かした溶液を攪拌し、これにNaHCO364m
gとNa2S2O4115mgとを窒素ガス通気下に添加した。得ら
れた混合物を室温で1時間攪拌した後、有機層を分離
し、水洗した。有機層を無水Na2SO4により乾燥し、減圧
蒸発した。残渣をエーテルとn−ヘキサンとの混合液で
研和し、析出した黄色針状結晶を吸引濾過により回収し
た(50mg、62%)。この生成物の融点は168〜170℃であ
った。NMR分析によりこの生成物が下記構造式で示され
るものであることを確認した。
実施例108 3′−アジド−3′−デオキシ−5′−(3−ピリジル
カルボニル)チミジンの合成 アジドチミジン1.18g(4.42mmol)、無水ニコチン酸
1.11g(4.86mmol)およびN−(ジメチルアミノ)ピリ
ジン0.15g(1.22mmol)からなる混合物をピリジン50ml
と混合した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。得られ
た無色透明な反応混合物を不透明な半固体状になるまで
減圧濃縮し、エーテルで一晩研和処理した。得られた懸
濁液を濾過し、乾燥して、1.97gの固体を得た。次い
で、この固体1.0gを10%エタノール/クロロホルムを溶
離液としてシリカゲル20gによりクロマトグラフィー処
理した。目的の画分を分離し、白色発泡体0.53gを得
た。これをエタノール、ジエチルエーテルおよびヘキサ
ンからなる混合溶媒から結晶化させた。融点138.5〜14
1.5℃の生成物が得られ、これはNMRおよびIRにより下記
構造式で示されるものであることを確認した。
実施例109 3′−アジド−3′−デオキシ−5′−[(1−メチル
−3−ピリジニウム)カルボニル)チミジン・ヨージド
の合成 アジドチミジン0.53g(2.0mmol)、無水トリゴネリン
・ジヨージド1.02g(2.2mmol)およびN−(ジメチルア
ミノ)ピリジン67mg(0.5mmol)からなる混合物をピリ
ジン25ml中で混合した。反応混合物を室温で5日間攪拌
した後、濾過した。濾液を残渣が得られるまで減圧濃縮
し、残渣をアセトンと共に一晩研和した。得られた懸濁
液を濾過し、濾液を減圧濃縮して発泡体を得、これを水
で処理した後、濾過して、少量の不溶物を除去した。濾
液を減圧濃縮してガラス状の黄色固体(0.50g、49%)
を得た。NMRおよびUV分析により、この生成物が次式で
示される構造のものであることを確認した。
実施例110 3′−アジド−3′−デオキシ−5′−[(1−メチル
−1,4−ジヒドロ−3−ピリニジル)カルボニル]チミ
ジンの合成 実施例109に記載の方法により調製した粗製のアジド
チミジン第四級誘導体1.45g(2.82mmol)を50mlの水に
溶解し、濾過した。濾液を氷浴で冷却し、アルゴンを飽
和させた。次いで、100mlの酢酸エチルと2.90gのNaHCO3
とを添加し、続いて5分後にNa2S2O41.45gを添加した。
反応を1時間進行させた後、酢酸エチル層を分離し、別
の酢酸エチルを添加して反応を続けた。この操作を繰り
返して、合計反応時間3時間で3種類の有機抽出液を得
た。これらの抽出液を合わせ、減圧濃縮して、1.01g(9
2%)の量の発泡体を得た。この発泡体をメタノールか
ら結晶化させて、次式で示される、融点138〜140℃の標
記化合物を得た。その構造は元素分析ならびにNMRおよ
びUVにより確認した。
実施例111 ドパミン・ジピバレートシュウ酸塩の合成 塩化ピバロイル28.1gとトリフルオロ酢酸150mlとの攪
拌された混合物に、ドパミン臭化水素酸塩18.01gを加え
た。この混合物を2時間攪拌した後、水14mlを加え、混
合物を減圧濃縮した。残留する油状物をクロロホルムに
溶解し、CO2の発生が止まるまで冷10%KHCO3水溶液で洗
浄した。分液し、クロロホルム層を水洗し、MgSO4によ
り乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。残渣を酢酸エチル10
0mlに溶解させ、シュウ酸7gを酢酸エチル100mlと共に加
えた。得られた溶液を濾過して不溶物を除去し、酢酸エ
チル25ml中のシュウ酸1.6gを添加した。この混合物を減
圧濃縮し、冷却した。析出した結晶を濾別すると、標記
化合物13gが得られた。母液の冷却により別に結晶5.9g
を得た。この生成物は次式で示されるものであった。
実施例112 N−{β−[3,4−ビス(ピバリルオキシ)フェニル]
エチル}アミノカルボン酸クロロメチルの合成 乾燥テトラヒドロフラン15mlにドパミンジピバレート
・シュウ酸塩822mg(2mmol)を懸濁させた。トリエチル
アミン289ml(1mmol)を添加し、混合物を15分間攪拌し
た後、さらに278ml(1mmol)のトリエチルアミンを添加
した。ClCO2CH2Cl390mg(6mmol)を添加すると、直ちに
重い白色沈澱が析出し、ガスが発生した。反応混合物を
室温で一晩攪拌した後、沈澱を濾去し、濾液を10mlの0.
1M塩酸で洗浄した。有機層を次いで硫酸マグネシウムに
より乾燥し、蒸発乾固すると、下記構造式で示される金
色の油状物1.1gが得られた。
この生成物の構造は元素分析により確認した。
実施例113 N−{β−[3,4−ビス(ピバリルオキシ)フェニル]
エチル}アミノカルボニルオキシメチル・3−ピリジン
カルボキシレートの合成 実施例112で得られたクロロメチルカルバメート誘導
体1.26g(.04mmol)を乾燥ジメチルホルムアミド10mlと
混合し、この混合物を、ニコチン酸375mg(3.04mmol)
とトリエチルアミン445ml(5%過剰)とを室温で15ml
の乾燥ジメチルホルムアミド中で予め混合して得た溶液
に添加した。反応混合物を4日間攪拌した後、析出した
沈澱を濾去した。濾液を蒸発乾固し、残渣を20mlの塩化
メチレンに溶解させた。この溶液を10mlづつの水で2回
洗浄した。溶媒を減圧除去すると、次式で示される標記
化合物が得られた。
この化合物の構造はNMRにより確認した。
実施例114 N−{β−[3,4−ビス(ピバリルオキシ)フェニル]
エチル}アミノカルボニルオキシメチル・1−メチル−
3−ピリジニウムカルボキシレートヨージドの合成 実施例113の生成物860mg(1.78mmol)を乾燥アセトニ
トリル15mlと混合し、この混合物をヨウ化メチル223ml
(3.56mmol)により処理した。得られた混合物を室温で
6時間攪拌し、さらに223ml(3.56mmol)のヨウ化メチ
ルを添加し、混合物を一晩攪拌した。次いで、蒸発乾固
すると、次式で示される標記化合物が橙赤色の油状物と
して得られた。
この生成物の構造はNMR分析により確認した。
実施例115 N−{β−[3,4−ビス(ピバリルオキシ)フェニル]
エチル}アミノカルボニルオキシメチル・1,4−ジヒド
ロ−1−メチル−3−ピリジンカルボキシレートの合成 10mlの水中の実施例114で調製した第四級塩54mg(0.0
84mmol)を窒素雰囲気下に0℃でNaHCO330mg(4当
量)、Na2S2O460mg(4当量)および酢酸エチル20mlに
より処理した。反応を1時間20分進行させた後、水層と
有機層とを分液し、水層を20mlの酢酸エチルで再抽出し
た。有機層を合わせて硫酸マグネシウムにより乾燥し
た。溶媒を減圧除去、得られた赤橙色の油状物をクロロ
ホルムに溶解させ、短い中性アルミナカラムからクロロ
ホルムによる溶離で不完全に精製した。所望の画分をク
ロロホルム/アセトン80:20を使用したシリカの合成用
薄層クロマトグラフィーで処理した。最も高いバンドを
下記構造で示される標記化合物として回収した。
この生成物の同定は、血漿および脳ホモジネートから
ドパミンを遊離させる能力についてHPLC(高圧液体クロ
マトグラフィー)で測定を行うことにより確認した。
実施例116 9−フルオロ−11β,17−ジヒドロキシ−16α−メチル
−21−[(3−ピリジニルカルボニル)オキシ]プレグ
ナ−1,4−ジエン−3,20−ジオンの合成 デキサメタゾン1g(2.5mmol)を50mlの乾燥ピリジン
に溶解した。この溶液に、無水ニコチン酸680mg(3.0mm
ol)と痕跡量の4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMA
P)とを加えた。反応を4時間進行させた後、反応混合
物を氷水に投入し、一晩冷蔵した。析出した固体を濾別
し、乾燥して、下記構造式で示される融点262〜265℃の
生成物1.08g(87%)を得た。
構造は元素分析により確認した。
実施例117 1−メチル−3−{[(9−フルオロ−11β,17−ジヒ
ドロキシ−16α−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3,20
−ジオン−21−イル)オキシ]カルボニル}ピリジニウ
ム・ヨージドの合成 実施例116の生成物0.74g(1.5mmol)を50mlのアセト
ンに溶解し、これにヨウ化メチル2mlを加えた。次い
で、溶解度を増大させるために、少量(10ml)のCH3NO3
を添加した。反応を2日間進行させた後、析出した固体
を濾別して、次式で示される融点218〜221℃の標記化合
物0.54g(収率56%)を得た。
生成物の構造は元素分析により確認した。
実施例118 9−フルオロ−11β,17−ジヒドロキシ−16α−メチル
−21−{[(1−メチル−1,4−ジヒドロピリジン−3
−イル)カルボニル]オキシ}プレグナ−1,4−ジエン
−3,20−ジオンの合成 米国特許No.4,617,298の実施例11に記載の一般的な還
元方法に従って、実施例117で調製したステロイド系第
四級塩0.78mmol、NaHCO30.33gおよびNa2S2O40.41gを使
用して、50%メタノール水溶液中、0℃で窒素パージを
行いながら反応させた。下記構造式で示される生成物が
得られた。
実施例119 11β,17−ジヒドロキシ−21−[(3−ピリジニルカル
ボニル)オキシ]プレグン−4−エン−3,20−ジオンの
合成 ヒドロコルチゾン2g(5.5mmol)を50mlの乾燥ピリジ
ンに溶解した。この溶液に、無水ニコチン酸1.38g(6.0
5mmol)と痕跡量の4−(ジメチルアミノ)ピリジン(D
MAP)とを加え、反応を室温で4時間進行させた。この
ピリジン溶液を氷水に投入し、析出した固体を濾別し
た。この固体をP2O5上で減圧乾燥して、下記構造式で示
される標記化合物2.4g(93%)を得た。
この構造は元素分析およびUVスペクトル分析により確
認した。
実施例120 1−メチル−3−{[(11β,17−ジヒドロキシプレグ
ン−4−エン−3,20−ジオン−21−イル)オキシ]カル
ボニル}ピリジニウム・ヨージドの合成 実施例119の生成物1g(2.1mmol)を50mlのアセトンに
溶解し、これにヨウ化メシル4mlを加えた。この溶液を
一晩還流温度で攪拌した。溶媒を除去すると、標記化合
物が黄色粉末として98%の収率で得られた。元素分析に
より、この生成物が次の構造式で示されるものであるこ
とを確認した。
実施例121 11β,17−ジヒドロキシ−21−{[(1−メチル−1,4−
ジヒドロピリジン−3−イル)カルボニル]オキシ}プ
レグン−4−エン−3,20−ジオンの合成 米国特許No.4,617,298の実施例11に記載の一般的な還
元方法に従って、実施例120で調製したステロイド系第
四級0.8mmol、NaHCO30.34gおよびNa2S2O40.42gを使用し
て、50%メタノール水溶液中、0℃で窒素パージを行い
ながら反応させた。下記構造式で示される生成物が得ら
れた。
実施例122 N−(2−クロロエチル)−N′−[2−(3−ピリジ
ンカルボニルオキシ)エチル]−N−ニトロソ尿素の合
成 1.25g(52mmol)のニコチン酸2−アミノエチルエス
テル二酸塩酸と2g(6mmol)の2,4,5−トリクロロフェニ
ル−N−(2−クロロエチル)−N−ニトロソカルバメ
ートとを40mlのピリジンに溶解した溶液を窒素雰囲気下
に室温で24時間攪拌した。反応を薄層クロマトグラフィ
ー(シリカ、クロロホルム/酢酸エチル1:1、Rf0.26)
により監視した。反応終了後、溶媒を減圧除去し、残渣
をシリカゲルカラムを使ってクロマトグラフィー処理
し、まずベンゼンで溶離して未反応のニトロソカルバメ
ート化合物と副生したトリクロロフェノールとを除去
し、次にクロロホルムで溶離して目的生成物を得た。得
られた油状物をフリーザーで固化させた。この生成物は
融点63〜64℃で、下記構造式で示されるものであった。
実施例123 N−(2−クロロエチル)−N′−[2−(1−メチル
−3−ピリジニウムカルボニルオキシ)エチル]−N−
ニトロソ尿素・ヨージドの合成 実施例122の生成物1.5g(5mmol)を40mlのテトラヒド
ロフランに溶解した溶液を過剰のヨウ化メチルで処理し
た。この混合物を50℃で4時間攪拌した。こうして得ら
れた微細な結晶質の黄色固体(1.8g、82%)は融点が12
0〜121℃であり、下記構造で示されるものであることを
元素分析により確認した。
実施例124 N−(2−クロロエチル)−N′−[2−(1,4−ジヒ
ドロ−1−メチル−3−ピリジンカルボニルオキシ)エ
チル]−N−ニトロソ尿素の合成 実施例123で調製した第四級塩型のニトロソ尿素誘導
体1.48g(1.1mmol)と1−ベンジル−1,2−ジヒドロイ
ソニコチンアミド0.23g(1mmol)とを無水メタノール25
mlに溶解した溶液を0℃で窒素雰囲気下に4時間攪拌し
た。析出した固体を濾別し、メタノールおよびエーテル
で洗浄した。この固体はNMRにより1−ベンジル−4−
カルバモイルピリジニウム・ヨージドであると同定され
た。濾液を約30℃で減圧蒸発し、残渣を塩化メチレンに
懸濁させた。析出した固体を濾過し、塩化メチレンで洗
浄した。濾液を減圧蒸発し、残渣をクロロホルムに溶解
した。中性アルミナの短いカラムで溶離液としてクロロ
ホルムを使用してフラッシュクロマトグラフィーを行
い、目的生成物を含有するクロロホルム溶液を減圧蒸発
すると、ガム状残渣0.2g(63%)が得られた。これはNM
Rにより次式で示される目的生成物であることが同定さ
れた。
こうして得られた化合物は、硝酸銀のアルコール溶液
を容易に還元した。
実施例125 N−(2−フルオロエチル)−N′−[2−(3−ピリ
ジンカルボニルオキシ)エチル]−N−ニトロソ尿素の
合成 ニコチン酸2−アミノエチルエステル二塩酸塩1.5g
(6.3mmol)と2,4,5−トリクロロフェニル−N−(2−
フルオロエチル)−N−ニトロソカルバメート2.18g
(6.9mmol)とを50mlのピリジンに溶解した溶液を窒素
雰囲気下に室温で24時間攪拌した。反応を薄層クロマト
グラフィー(シリカ、クロロホルム/酢酸エチル1:1、R
f0.25)により監視した。反応終了後、溶媒を減圧除去
し、残渣をシリカゲルカラムを使ってクロマトグラフィ
ー処理し、まずベンゼンで溶離して未反応のニトロソカ
ルバメート化合物と副生したトリクロロフェノールとを
除去し、次にクロロホルムで溶離して目的生成物を溶出
させた。融点75〜77℃の標記化合物1.56g(87.4%)が
得られ、これは下記構造式で示されるものであった。
実施例126 N−(2−フルオロエチル)−N′−[2−(1−メチ
ル−2−ピリジニウムカルボニルオキシ)エチル]−N
−ニトロソ尿素・ヨージドの合成 実施例125の生成物1.56g(5.4mmol)を40mlのテトラ
ヒドロフランに溶解した溶液を過剰のヨウ化メチルで処
理した。この混合物を50℃で4時間攪拌した。こうして
得られた微細な結晶質の黄色固体(2.20g、94.1%)は
融点が123〜125℃であり、下記構造で示されるものであ
ることを確認した。
実施例127 N−(2−フルオロエチル)−N′−[2−(1,4−ジ
ヒドロ−1−メチル−3−ピリジンカルボニルオキシ)
エチル]−N−ニトロソ尿素の合成 実施例126で調製した第四級塩型のニトロソ尿素誘導
体0.426(1mmol)と1−ベンジル−1,2−ジヒドロイソ
ニコチンアミド0.21g(1mmol)とを無水エタノール25ml
に溶解した溶液を0℃で窒素雰囲気下に4時間攪拌し
た。溶媒を約30℃で減圧蒸発させ、残渣をクロロホルム
に懸濁させ、濾過し、中性アルミナの短いカラムでフラ
ッシュクロマトグラフィー処理した。クロロホルムで溶
離を行うと、標記化合物が55%の収率で得られた。この
生成物には下記構造を帰属させ、この構造はUV分析結果
と一致した。
実施例128 ニコチン酸クロロメチルの合成 水10mlとテトラヒドロフラン20mlとの混合液中のニコ
チン酸1.23g(0.01mol)の懸濁液に、硫酸水素テトラブ
チルアンモニウム0.34g(1mmol)と重炭酸ナトリウム3.
19g(0.038mol)とを激しく攪拌しながら添加した。次
いで、テトラヒドロフラン5ml中のクロロ硫酸クロロメ
チル1.81g(0.011mol)を、温度を30℃以下に保持しな
がら滴下した。反応混合物を1時間攪拌した後、分液
し、有機層をアセトニトリル/ベンゼン1:1と共に共沸
蒸留することにより乾燥した。残渣を中性アルミナのカ
ラムに通し、クロロホルムで溶出させた。クロロホルム
層を蒸発させて、1.28g(74.8%)の油状残渣を得た。
これはNMR分析により下記構造式で示されるものである
ことを確認した。
実施例129 1−(ピリジン−3−カルボニルオキシメチル)−5−
フルオロウラシルの合成 5−FU(1.31g、0.01mol)を5mlのジメチルアセトア
ミドに溶解し、2.78ml(0.02mol)のトリエチルアミン
で処理した。5mlのジメチルアセトアミド中のニコチン
酸クロロメチル2.95g(0.012mol)を一度に加え、混合
物を24時間攪拌した後、濾過し、酢酸エチルで洗浄し、
蒸発させた。残渣をシリカゲルのカラムでクロマトグラ
フィー処理し、まずベンゼンで、次にベンゼン/クロロ
ホルム3:1で、次にベンゼン/クロロホルム1:1で、次に
クロロホルム/ベンゼン3:1で、次にクロロホルムで、
最後にクロロホルム/メタノール99:1で溶離した。未反
応のニコチン酸エステルが最初に、次に1,3−ビス異性
体が、最後に目的とする1−異性体が溶出した。この1
−異性体(1.3g、50%)は融点が、190〜192℃であり、
次式で示されるものであることをNMR分析により確認し
た。
実施例130 1,3−ビス(ピリジン−3−カルボニルオキシメチル)
−5−フルオロウラシルの合成 5−FU(1.31g、0.01mol)を5mlのジメチルアセトア
ミドに溶解し、5.6ml(0.04mol)のトリエチルアミンで
処理した。ジメチルアセトアミド15ml中のニコチン酸ク
ロロメチル6.8g(0.04mol)を一度に加えた後、混合物
を48時間攪拌し、濾過し、濾滓を酢酸エチルで洗浄し
た。濾液を減圧蒸発させ、残渣を水100mlで希釈してか
らクロロホルムで抽出した。有機層を蒸発させ、残渣を
アセトニトリル/ベンゼン1:1と共に共沸蒸留すること
により乾燥した。残渣を中性アルミナのカラムでクロマ
トグラフィー処理し、順にベンゼン、ベンゼン/クロロ
ホルム1:1、およびベンゼン/クロロホルム/メタノー
ル50:50:1により溶離して、目的化合物のビス異性体3.2
g(80%)を得た。この化合物が次式で示されるもので
あることはNMR分析により確認した。
実施例131 3−(ピリジン−3−カルボニルオキシメチル)−5−
フルオロウラシルの合成 実施例130で調製した1,3−ビス異性体を10mlのメタノ
ールに溶解し、20mlの炭酸カリウム/重炭酸ナトリウム
緩衝液(0.1M),pH10.00と混合した。この混合物を室温
で2時間攪拌すると、薄層クロマトグラフィーによる監
視で、その時までにビス異性体が完全に消失したことが
示された。得られた反応混合物を蒸発させ、残渣をアル
ミナのカラムでクロマトグラフィー処理し、順次クロロ
ホルム、クロロホルム/メタノール99:1、およびクロロ
ホルム/メタノール96:4で溶離した。各画分を捕集し、
目的とする3−異性体を含有する画分を集めて蒸発させ
ると、下記構造式で示される標記化合物が融点179〜180
℃の固体(0.2g、30%)として得られた。この生成物の
構造はNMR分析により確認した。
実施例132 1−(1−メチル−3−ピリジニウムカルボニルオキシ
メチル)−5−フルオロウラシル・ヨージドの合成 実施例129で得られた1−異性体1.93gを十分量のヨウ
化メチルおよびアセトニトリルと混合し、得られた混合
物を4時間還流加熱し、次いで冷却し、濾過して、淡黄
色のふわふわした固体2.5gを得た。濾液を蒸発し、残渣
をアセトニトリルと共に研和し、濾過して、別に目的生
成物0.23gを得た。合計収量は2.73g(92.25%)であっ
た。UVおよびNMR分析によりこの生成物が下記構造式で
示されるものであることを確認した。
実施例133 1−(1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−ピリジニルカ
ルボニルオキシメチル)−5−フルオロウラシルの合成 実施例132の生成物1gを氷浴で冷却され、アルゴンに
より脱気されている脱イオン水20mlに溶解させ、次いで
酢酸エチル20mlを添加した。この溶液を攪拌し、これに
重炭酸ナトリウム1.24gを添加し、約1分後に亜ジチオ
ン酸ナトリウム1.75gを添加した。反応をアルゴン雰囲
気下に進行させ、UVにより監視した。約75分後、エタノ
ールを添加し、析出した固体を濾別し、水および塩化メ
チレンで洗浄し、アルゴン雰囲気下に乾燥すると、標記
化合物400mgが得られた。UVおよびNMR分析により、この
生成物が下記構造式で示されるものであることを確認し
た。
分離した水層をクロロホルムで繰り返し抽出し、反応
に使用した酢酸エチル層と合わせた。有機溶媒の除去後
に得られた固体をアセトニトリルに懸濁させ、濾過する
と、さらに250mgの生成物が得られた。融点173〜174
℃。
実施例134 3−(1−メチル−3−ピリジニウムカルボニルオキシ
メチル)−5−フルオロウラシル・ヨージドの合成 実施例131で得た3−異性体を使用して、実施例132に
記載の方法を繰り返すと、次式で示される相当する第四
級塩を得ることができる。
実施例135 3−(1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−ピリジニルカ
ルボニルオキシメチル)−5−フルオロウラシルの合成 実施例134の生成物を使用して、実施例133に記載の方
法を繰り返すと、次式で示される相当するジヒドロピリ
ジン化合物を得ることができる。
本発明の方法で用いる非経口投与用薬剤組成物は、投
与の目的に選択した薬剤の薬理学的性質に応じて、多様
な症状を治療する目的で使用することができる。レドッ
クスキャリアー型薬剤の場合には、このキャリアー型薬
剤の誘導に使用した原薬剤自体の薬理学的性質が決定因
子となろう。キャリアー型薬剤に関しては、例えば、好
適態様の1例にあっては、ドパミンもしくはL−ドーパ
もしくはこれらの保護誘導体からレドックス系を誘導
し、得られたレドックス誘導体/シクロデキストリン混
合物(包接化合物)を含有する非経口投与用組成物は、
これを投与された動物において持続した脳に特異的なド
パミン型(例、抗パーキンソン病もしくは抗高プロラク
チン血症)の応答を誘起させる目的で使用できる。同様
に、他の中枢作用性薬剤から誘導された本発明にかかる
レドックス誘導体/ジクロデキストリン系非経口投与用
薬剤組成物のいずれについても、その原薬剤自体を脳に
供給した場合に得られるような種類の薬理学的応答を引
き出すために使用することができる。すなわち、中枢作
用性の原薬剤が抗腫瘍/制がん薬である場合には、本発
明の非経口投与用薬剤組成物は抗腫瘍/制がん応答を引
き出すために使用され;原薬剤が交感神経刺激薬である
場合には、本発明の薬剤組成物は交感神経刺激すなわち
アンフェタミンと同様の応答を誘起させるために使用さ
れ;原薬剤が抗けいれん性化合物である場合には、本発
明の薬剤組成物は抗けいれん応答を誘起させるために使
用され;原薬剤が精神安定薬である場合には、本発明の
薬剤組成物は精神安定応答を誘起させるために使用さ
れ;原薬剤が抗うつ薬である場合には、本発明の薬剤組
成物は抗うつ応答を誘起させるために使用されるといっ
たように用いられる。
本発明の方法に用いる非経口投与用薬剤組成物は、β
−またはγ−シクロデキストリンのヒドロキシプロピ
ル、ヒドロキシエチル、グルコシル、マルトシルまたは
マルトトリオシル誘導体、好ましくはヒドロキシプロピ
ル−β−シクロデキストリンを約20〜50%の濃度で含有
する水溶液中に薬理学的に有効量の少なくとも1種の投
与すべき親油性および/または水中安定性薬剤を含有さ
せてなる。
この組成物は、無菌かつ無パイロゲンとし、例えば、
Alfonso R.Gennaro編,Remington′s Pharmaceutical S
ciences第17版(1985),pp.1518−1552(Mack Publishi
ng Co.)に記載の許容されている薬剤方法に従って製造
される。この水性無菌注射液は、非経口投与用に許容さ
れている酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、等張性調節剤な
どの添加剤をさらに含有していてもよい。この技術分野
で周知のように、各種の1回用および複数回用の容器
(例、密封アンプルもしくはバイアス)を使用できる。
この無菌非経口投与用組成物の必須成分、すなわち、薬
剤、水および特定のシクロデキストリン誘導体は、最終
的に患者に投与される溶液がこれらの必須成分をそれぞ
れ適当量含有する限り、多様な方法で組成物中に存在さ
せることができる。例えば、本発明の薬剤/シクロデキ
ストリン/水からなる組成物を、そのまま注射できるよ
うに1回用または多数回容器に入れた形態として供する
ことができる。別の例としては、薬剤/シクロデキスト
リン/水からなる濃厚溶液を、希釈用の液体(水または
シクロデキストリン/水混合物)とは別の容器に入れて
供することもできる。この場合には、二つの容器の内容
物を混合して注射用に適した濃度の非経口用薬剤組成物
としてから使用する。さらに別の例として、薬剤または
薬剤/シクロデキストリン混合物(もしくは包接化合
物)を凍結乾燥状態で一方の容器に入れ、別の容器に入
れた希釈用液体(もう一方の容器の中のシクロデキスト
リンの量に応じて水またはシクロデキストリン/水混合
物)と組合わせて使用する。この場合にも、やはり両方
の容器の内容物を混合して、必須成分を適当な濃度で含
有する組成物を調製して使用に供する。いずれの場合
も、各容器の内容物は無菌とする。
本発明の非経口投与用組成物中の薬剤を投与するのた
めの治療用量範囲は、一般には、その薬剤自体(薬剤が
キャリアー型薬剤の場合には、キャリアーと結合する前
の原薬種自体)を投与するために通常使用される用量と
同量ないしそれより少量(場合によっては、かなり少
量)となろう。もちろん、このような治療用量範囲は、
患者の種と体重、その薬剤組成物の投与条件、採用する
非経口投与の種類などの条件によって変動する。所望の
量の有効成分を供給するのに必要な本発明の非経口投与
用薬剤組成物の投与量は、もちろん、その組成物中の薬
剤の濃度によっても変動する。
以上に本発明を各種好適態様に関して説明したが、本
発明の範囲内でさまざまな修正、置換、省略、および変
更を成すことができることは当業者には明らかであろ
う。
【図面の簡単な説明】
第1図は、エストラジオール−CDSである17β−[(1
−メチル−1,4−ジヒドロ−3−ピリジニル)カルボニ
ルオキシ]エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オ
ール(以下E2−CDSと略記)を、ジメチルスルホキシド
中のE2−CDSを15mg/kg(○)または水中のヒドロキシプ
ロピル−β−シクロデキストリンとの包接化合物の状態
のE2−CDSを5mg/kg(△)の量でラットに全身投与した
後の、肺組織中のE2−CDCの濃度(左側)、および同じE
2−CDS投与後の、相当する第四級カチオンである17β−
[(1−メチル−3−ピリジニウム)カルボニルオキ
シ]エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール
(以下E2Q+またはQuatと略記)の肺中濃度(右側)を、
投与量1g当たりのμg[CB/D,μg/g]として投与量を補
正して比較した、一対の片対数グラフ、 第2図は、ラットにジメチルスルホキシド中のE2−CDS
を15mg/kg(□)または水中のヒドロキシプロピル−β
−シクロデキストリンとの包接化合物の状態のE2−CDS
を5mg/kg(■)全身投与した後の、特定時点での脳内の
第四級カチオンであるE2Q+またはQuatの濃度を、投与量
1g当たりのngとして投与量を補正して示す棒グラフであ
る。

Claims (33)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】親油性および/または水中で不安定な薬剤
    が非経口投与後に注射部位もしくはその付近での析出お
    よび/または肺もしくは他の器官自体の内部での析出に
    より肺もしくは他の器官内に集まる傾向を軽減する方法
    であって、β−もしくはγ−シクロデキストリンのヒド
    ロキシプロピル、ヒドロキシエチル、グルコシル、マル
    トシルもしくはマルトトリオシル誘導体を約20〜50%含
    有する非経口投与用水溶液中に前記薬剤が溶解した組成
    物とすることからなる方法。
  2. 【請求項2】親油性および/または水中で不安定な薬剤
    が非経口投与後に注射部位もしくはその付近での析出お
    よび/または肺もしくは他の器官自体の内部での析出に
    より肺もしくは他の器官内に集まる傾向を軽減する方法
    であって、β−もしくはγ−シクロデキストリンのヒド
    ロキシプロピル、ヒドロキシエチル、グルコシル、マル
    トシルもしくはマルトトリオシル誘導体を約20〜50%含
    有する非経口投与用水溶液中に前記薬剤が溶解した組成
    物とすることからなり、ただし、前記水溶液が約20〜50
    %のヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含
    有する場合には、前記薬剤は脳を標的とする薬剤供給用
    のジヒドロピリジンピリジニウム塩型レドックス系の
    還元形態である生酸化性、血液脳関門透過性、リポイド
    性のジヒドロピリジン化合物以外のものである方法。
  3. 【請求項3】前記水溶液がほぼ等張溶液である、請求項
    1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】前記薬剤が抗新生物(抗腫瘍)薬である、
    請求項1または2記載の方法。
  5. 【請求項5】前記薬剤が鎮静薬、精神安定薬、抗けいれ
    ん薬、抗うつ薬、催眠薬、筋弛緩薬または鎮けい薬であ
    る、請求項1または2記載の方法。
  6. 【請求項6】前記薬剤がアンドロゲン、エストロゲン、
    プロゲスチンまたは抗炎症性ステロイドである、請求項
    1または2記載の方法。
  7. 【請求項7】前記薬剤がステロイド系催眠薬または麻酔
    薬である、請求項1または2記載の方法。
  8. 【請求項8】前記薬剤が抗凝血剤、強心薬、血管拡張
    薬、血管収縮薬、血小板阻害薬または抗不整脈薬であ
    る、請求項1または2記載の方法。
  9. 【請求項9】前記薬剤が抗真菌薬、抗原生動物薬、抗菌
    薬、抗生物質もしくは抗ウイルス薬である、請求項1ま
    たは2記載の方法。
  10. 【請求項10】前記薬剤がビタミン/栄養因子、催吐
    薬、制吐薬、利尿薬、非ステロイド系抗炎症薬、麻酔
    薬、低血糖症薬、放射性診断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、
    麻酔薬拮抗薬薬、麻薬作用薬、麻薬作用−拮抗混合薬、
    薬理作用のあるタンパク質、ドパミン作用/抗パーキン
    ソン病薬、またはアルツハイマー病治療薬である、請求
    項1または2記載の方法。
  11. 【請求項11】前記薬剤が、クロラムブチル、ロムスチ
    ン、メルファラン、メトトレキサート、ヘキサメチルメ
    ラミン、テニポシド、エトポシド、セムスチン、ファザ
    ラビン、メルカプトプリン、ツブラゾール、カルモフー
    ル、カルムスチン、アムサクリン、ブルセアンチン、ジ
    アジクオン、ジデムニンB、エキノマイシンまたはPCNU
    である、請求項4記載の方法。
  12. 【請求項12】前記薬剤がバルビツール誘導体もしくは
    ベンゾジアゼピン系化合物である、請求項5記載の方
    法。
  13. 【請求項13】前記薬剤がフェニトイン、ペントバルビ
    タール、フェノバルビタール、セコバルビタール、スル
    ピリド、エトミデート、クロルジアゼポキシド、ジアゼ
    パム、メダゼパム、オキサゼパムまたはロラゼパムであ
    る、請求項5記載の方法。
  14. 【請求項14】前記薬剤がデキサメタゾン、ヒドロコル
    チゾン、プレドニゾロン、17β−エストラジオール、17
    α−エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオ
    ール3−メチルエーテル、エストリオール、ノルエチン
    ドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルゲストレル、エチ
    ステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、プロゲステ
    ロン、17−メチルテストステロンまたはテストステロン
    である、請求項6記載の方法。
  15. 【請求項15】前記薬剤がアルファキサロンである、請
    求項7記載の方法。
  16. 【請求項16】前記薬剤がジクマロール、ジゴキシン、
    ジギドキシン、ニトログリセリン、フルナリジン、アル
    プロスタジルまたはプロスタサイクリンである、請求項
    8記載の方法。
  17. 【請求項17】前記薬剤がアンピシリン、ペニシリン
    G、ケトコナゾール、イトラコナゾール、安息香酸メト
    ロニダゾール、ミコナゾール、フルベンダゾールまたは
    コ−トリモキサゾールである、請求項9記載の方法。
  18. 【請求項18】前記薬剤がレチノール、酢酸ビタミン
    A、コレカルシフェロール、レチナール、ビタミンE、
    DもしくはK、アポモルフィン、クロルタリドン、フロ
    セミド、スピロノラクトン、インドメタシン、ピロキシ
    カム、フルルビプロフェン、アセタゾラミド、リドカイ
    ン、アセトヘキサミド、ジメンヒドリネート、L−ドー
    パまたはTHAである、請求項10記載の方法。
  19. 【請求項19】前記薬剤が、脳を標的とする薬剤供給用
    のジヒドロピリジンピリジニウム塩型レドックス系の
    還元形態である生酸化性、血液脳関門透過性、リポイド
    性のジヒドロピリジ化合物である、請求項1または2記
    載の方法。
  20. 【請求項20】前記水溶液がほぼ等張溶液である、請求
    項19記載の方法。
  21. 【請求項21】前記ジヒドロピリジン化合物が、一般式 [D−DHC] (式中、[D]は中枢に作用する薬剤種であり、[DH
    C]はジヒドロピリジンピリジニウム塩型レドックス
    キャリアーの生酸化性、血液脳関門透過性、リポイド性
    の還元形態である)で示される化合物である、請求項19
    記載の方法。
  22. 【請求項22】前記中枢に作用する薬剤種が、ドパミン
    作用薬、アンドロゲン作用薬、抗けいれん薬、不安緩解
    薬、神経伝達物質、抗生物質もしくは抗菌薬、抗うつ
    薬、抗ウイルス薬、制がんもしくは抗腫瘍薬、抗炎症
    薬、エストロゲン、またはプロゲスチンである、請求項
    21記載の方法。
  23. 【請求項23】前記中枢に作用する薬剤種が、ドパミ
    ン、テストステロン、フェニトイン、GABA、バルプロ
    酸、チロシン、メチシリン、オキサシリン、ベンジルペ
    ニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、デシプ
    ラミン、アシクロビール(アシクログアノシン)、トリ
    フルオロチミジン、ジドブジン、ヒドロキシ−CCNU、ク
    ロラムブチル、トリプタミン、デキサメタゾン、ヒドロ
    コルチゾン、エチニルエストラジオール、ノルエチンド
    ロン、エストラジオール、エチステロン、ノルゲストレ
    ル、エストロン、エストラジオール3−メチルエーテ
    ル、安息香酸エストラジオール、ノルエチノドレル、メ
    ストラノール、インドメタシン、ナプロキセン、FENU、
    HENU、または5−FUである、請求項22記載の方法。
  24. 【請求項24】前記一般式[D−DHC]で示される化合
    物が、1−メチル−3−〔N−{β−[3,4−ビス(ピ
    バリルオキシ)フェニル]エチル}カルバモイル〕−1,
    4−ジヒドロピリジン、1−メチル−3−〔N−{β−
    [3,4−ビス(イソブチリルオキシ)フェニル]エチ
    ル}〕カルバモイル−1,4−ジヒドロピリジン、N−
    {β−[3,4−ビス(ピバリルオキシ)フェニル]エチ
    ル}アミノカルボニルオキシメチル・1,4−ジヒドロ−
    1−メチル−3−ピリジンカルボキシレート、17β−
    [(1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−ピリジニルカル
    ボニル)オキシ]アンドロスト−4−エン−3−オン、
    17β−{[(3″−カルバモイル−1′,4′−ジヒドロ
    ピリジニル)アセチル]オキシ}アンドロスト−4−エ
    ン−3−オン、5,5−ジフェニル−3−[(1′−メチ
    ル−1′,4′−ジヒドロピリジン−3′−イル)カルボ
    ニルオキシメチル]−2,4−イミダゾリジンジオン、3
    −[(3′−カルバモイル−1′,4′−ジヒドロピリジ
    ン−1′−イル)アセチルオキシメチル]−5,5−ジフ
    ェニル−2,4−イミダゾリジンジオン、3−[3′−
    (3″−カルバモイル−1″,4″−ジヒドロピリジン−
    1″−イル)プロピオニルオキシメチル]−5,5−ジフ
    ェニル−2,4−イミダゾリジンジオン、1−メチル−3
    −N−[3−(ベンジルオキシカルボニル)プロピル]
    カルバモイル−1,4−ジヒドロピリジン、1−メチル−
    3−{N−[(3′−シクロヘキシルカルボニル)プロ
    ピル]}カルバモイル−1,4−ジヒドロピリジン、1−
    メチル−3−[2′−(2″−プロピル)ペンタノイル
    オキシ]エチルカルバモイル−1,4−ジヒドロピリジ
    ン、1−メチル−3−[2′−(2″−プロピル)ペン
    タノイルオキシ]エトキシカルボニル−1,4−ジヒドロ
    ピリジン、1−[2′−(2″−プロピル)ペンタノイ
    ルオキシ]エチル−3−カルボキサミド−1,4−ジヒド
    ロピリジン、1−メチル−3−{N−[(1′−エトキ
    シカルボニル)−2′−(4″−ピバロイルオキシフェ
    ニル)エチル]}カルバモイル−1,4−ジヒドロピリジ
    ン、1−メチル−3−{N−[(1′−エトキシカルボ
    ニル)−2′−(4″−イソブチリルオキシフェニル)
    エチル]}カルバモイル−1,4−ジヒドロピリジン、
    [[(1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−ピリジニル)
    カルボニル]オキシ]メチル・[2S−(2α,5α,6
    β)]−3,3−ジメチル−7−オキソ−6−[(2,6−ジ
    メトキシ)ベンズアミド]−4−チア−1−アザビシク
    ロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレート、
    [[(1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−ピリジニル)
    カルボニル]オキシ]メチル・[2S−(2α,5α,6
    β)]−3,3−ジメチル−6−(5−メチル−3−フェ
    ニル−4−イソオキサゾールカルボキサミド)−7−オ
    キソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン
    −2−カルボキシレート、[[(1,4−ジヒドロ−1−
    メチル−3−ピリジニル)カルボニル]オキシ]メチル
    ・[2S−(2α,5α,6β)]−3,3−ジメチル−7−オ
    キソ−6−[(フェニルアセチル)アミノ]−4−チア
    −1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキ
    シレート、[[(1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−ピ
    リジニル)カルボニル]オキシ]メチル・[2S−(2
    α,5α,6β)]−6−[3−(2−クロロフェニル)−
    5−メチル−4−イソオキサゾールカルボキサミド]−
    3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシ
    クロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレート、
    [[(1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−ピリジニル)
    カルボニル]オキシ]メチル・[2S−(2α,5α,6
    β)]−6−[3−(2,6−ジクロロフェニル)−5−
    メチル−4−イソオキサゾールカルボキサミド]−3,3
    −ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ
    [3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレート、[{N−
    [3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピ
    ン−5−イル)]プロピル−N−メチルアミノ}カルボ
    ニルオキシ]メチル・1,4−ジヒドロ−1−メチル−3
    −ピリジンカルボキシレート、[1−{N−[3−(1
    0,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−
    イル)]プロピル−N−メチルアミノ}カルボニルオキ
    シ]エチル・1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−ピリジ
    ンカルボキシレート、1−メチル−3−{[2−(9−
    グアニルメトキシ)エトキシ]カルボニル}−1,4−ジ
    ヒドロピリジン、3′−(1,4−ジヒドロ−1−メチル
    −3−ピリジニルカルボニル)−5′−ピバロイルトリ
    フルオロチミジン、3′−アジド−3′−デオキシ−
    5′−[(1−メチル−1,4−ジヒドロ−3−ピリジニ
    ル)カルボニル]チミジン、N−(2−クロロエチル)
    −N′−[4−(1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−ピ
    リジンカルボニルオキシ)シクロヘキシル]−N−ニト
    ロソ尿素、N−(2−フルオロエチル)−N′−[2−
    (1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−ピリジンカルボニ
    ルオキシ)エチル]−N−ニトロソ尿素、N−(2−ク
    ロロエチル)−N′−[2−(1,4−ジヒドロ−1−メ
    チル−3−ピリジンカルボニルオキシ)エチル]−N−
    ニトロソ尿素、1−メチル−3−[(N−{2−[4−
    ({4−[ビス(2−クロロエチル)]アミノ}フェニ
    ル)ブタノイルオキシ]エチル})カルバモイル]−1,
    4−ジヒドロピリジン、1−メチル−3−(N−{4−
    [4−(4−{[ビス(2−クロロエチル)]アミノ}
    フェニル)ブタノイルオキシ]シクロヘキシル}カルバ
    モイル)−1,4−ジヒドロピリジン、1−メチル−3−
    [(N−{2−[4−({4−[ビス(2−クロロエチ
    ル)]アミノ}フェニル)ブタノイルオキシ]プロピ
    ル})カルバモイル]−1,4−ジヒドロピリジン、1−
    メチル−3[(N−{2−フェニル−2−[4−({4
    −[ビス(2−クロロエチル)]アミノ}フェニル)ブ
    タノイルオキシ]}エチル)カルバモイル]−1,4−ジ
    ヒドロピリジン、1−メチル−3−[N−({1−[4
    −(4−{[ビス(2−クロロエチル)]アミノ}フェ
    ニル)ブタノイルオキシ]シクロヘキシル}メチル)カ
    ルバモイル]−1,4−ジヒドロピリジン、1−メチル−
    3−N−[2−(3−インドリル)エチル]カルバモイ
    ル−1,4−ジヒドロピリジン、9−フルオロ−11β,17−
    ジヒドロキシ−16α−メチル−21−{[(1−メチル−
    1,4−ジヒドロピリジン−3−イル)カルボニル]オキ
    シ}プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン、11β,17−
    ジヒドロキシ−21−{[(1−メチル−1,4−ジヒドロ
    ピリジン−3−イル)カルボニル]オキシ}プレグン−
    4−エン−3,20−ジオン、3−ヒドロキシ−17β−
    [(1−メチル−1,4−ジヒドロピリジン−3−イル)
    カルボニル]オキシエストラ−1,3,5(10)−トリエ
    ン、3−ヒドロキシ−17β−{[(1−メチル−1,4−
    ジヒドロピリジン−3−イル)カルボニル]オキシ}−
    19−ノル−17α−プレグナ−1,3,5(10)−トリエン−2
    0−イン、3−[(1−メチル−1,4−ジヒドロ−3−ピ
    リジニル)カルボニルオキシ]エストラ−1,3,5(10)
    −トリエン−17−オン、17β−[(1−メチル−1,4−
    ジヒドロ−3−ピリジニル)カルボニルオキシ]エスト
    ラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール・3−メチル
    エーテル、3,17β−ビス−{[(1−メチル−1,4−ジ
    ヒドロピリジン−3−イル)カルボニル]オキシ}エス
    トラ−1,3,5(10)−トリエン、3−(フェニルカルボ
    ニルオキシ)−17−β−{[(1−メチル−1,4−ジヒ
    ドロピリジン−3−イル)カルボニル]オキシ}エスト
    ラ−1,3,5(10)−トリエン、3−メトキシ−17β−
    {[(1−メチル−1,4−ジヒドロピリジン−3−イ
    ル)カルボニル]オキシ}−19−ノル−17α−プレグナ
    −1,3,5(10)−トリエン−20−イン、17β−{[(1
    −メチル−1,4−ジヒドロピリジン−3−イル)カルボ
    ニル]オキシ}−19−ノルプレグン−4−エン−20−イ
    ン−3−オン、17β−{[(1−メチル−1,4−ジヒド
    ロピリジン−3−イル)カルボニル]オキシ}プレグン
    −4−エン−20−イン−3−オン、13−エチル−17β−
    {[(1−メチル−1,4−ジヒドロピリジン−3−イ
    ル)カルボニル]オキシ}−18,19−ジノルプレグン−
    4−エン−20−イン−3−オン、17β−{[(1−メチ
    ル−1,4−ジヒドロピリジン−3−イル)カルボニル]
    オキシ}−19−ノルプレグン−5(10)−エン−20−イ
    ン−3−オン、1−メチル−3−[N−(2−{1−
    (p−クロロベンゾイル)−5−メトキシ−2−メチル
    −3−インドリル]アセトキシ}エチル)カルバモイ
    ル]−1,4−ジヒドロピリジン、1−メチル−3−{N
    −[2−(6−メトキシ−α−メチル−2−ナフタレニ
    ルアセトキシ)エチル]カルバモイル}−1,4−ジヒド
    ロピリジン、3−(1,4−ジヒドロ−1−メチル−3−
    ピリジニルカルボニルオキシメチル)−5−フルオロウ
    ラシル、または1−(1,4−ジヒドロ−1−メチル−3
    −ピリジンカルボニルオキシメチル)−5−フルオロウ
    ラシルである、請求項23記載の方法。
  25. 【請求項25】前記水溶液が約20〜50%のヒドロキシプ
    ロピル−β−シクロデキストリンを含有する、請求項1
    〜18のいずれか1項に記載の方法。
  26. 【請求項26】前記薬剤が脳を標的とする薬剤供給用の
    ジヒドロピリジンピリジニウム塩型レドックス系の還
    元形態である生酸化性、血液脳関門透過性、リポイド性
    のジヒドロピリジン化合物であり、前記水溶液が約20〜
    50%のヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを
    含有するものである、請求項1記載の方法。
  27. 【請求項27】薬剤の非経口投与後に注射部位もしくは
    その付近での析出および/または肺もしくは他の器官自
    体の内部での析出により肺もしくは他の器官内に集まる
    傾向が軽減した改善された非経口投与用薬剤組成物であ
    って、前記組成物が、β−もしくはγ−シクロデキスト
    リンのヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、グルコ
    シル、マルトシルもしくはマルトトリオシル誘導体を約
    20〜50%含有する水溶液中に親油性および/または水中
    で不安定な薬剤を溶解してなるものであることを特徴と
    する、非経口投与用薬剤組成物。
  28. 【請求項28】薬剤の非経口投与後に注射部位もしくは
    その付近での析出および/または肺もしくは他の器官自
    体の内部での析出により肺もしくは他の器官内に集まる
    傾向が軽減した改善された非経口投与用薬剤組成物であ
    って、前記組成物が、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシ
    エチル、グルコシル、マルトシルもしくはマルトトリオ
    シルシクロデキストリンを約20〜50%含有する水溶液中
    に親油性および/または水中で不安定な薬剤を溶解して
    なるものであることを特徴とし、ただし、前記水溶液が
    約20〜50%のヒドロキシプロピル−β−シクロデキスト
    リンを含有する場合には、前記薬剤は脳を標的とする薬
    剤供給用のジヒドロピリジンピリジニウム塩型レドッ
    クス系の還元形態である生酸化性、血液脳関門透過性、
    リポイド性のジヒドロピリジン化合物以外のものであ
    る、非経口投与用薬剤組成物。
  29. 【請求項29】前記水溶液がほぼ等張溶液である、請求
    項27または28記載の非経口投与用薬剤組成物。
  30. 【請求項30】前記薬剤が請求項4〜18のいずれか1項
    に記載のものである、請求項27または28記載の非経口投
    与用薬剤組成物。
  31. 【請求項31】前記薬剤が請求項19および21〜24のいず
    れか1項に記載のものである、請求項27または28記載の
    非経口投与用薬剤組成物。
  32. 【請求項32】前記水溶液が約20〜50%のヒドロキシプ
    ロピル−β−シクロデキストリンを含有するものであ
    る、請求項27〜30のいずれか1項に記載の非経口投与用
    薬剤組成物。
  33. 【請求項33】前記薬剤が脳を標的とする薬剤供給用の
    ジヒドロピリジンピリジニウム塩型レドックス系の還
    元形態である生酸化性、血液脳関門透過性、リポイド性
    のジヒドロピリジン化合物であり、前記水溶液が約20〜
    50%のヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを
    含有するものである、請求項27記載の非経口投与用薬剤
    組成物。
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