JP2637250B2 - Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金 - Google Patents

Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、高温酸化雰囲気中で合金表面に緻密でか
つ合金との密着性に優れた均一なAl2O3(アルミナ。以
下同様)を主体とする皮膜を生じ、耐高温酸化性、引張
り強さ、0.2%耐力、伸び、および、硬度に極めて優れ
たFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
高温酸化により均一なAl2O3皮膜を生じる耐高温酸化
合金としては、特開昭54−141314号公報および特開昭60
−262943号公報にみられるように、Fe−Cr−Al系合金が
ある。これらの合金は、Niを含まないものである。ま
た、特開昭52−78612号公報および特開昭62−174352号
公報には、Fe−Ni−Cr−Alを主成分とするオーステナイ
ト相の合金が提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕 上記Fe−Cr−Al系合金の強度は、フェライト系ステン
レス鋼とほぼ同程度であり、また、何らかの熱処理を施
しても、上述の機械的性質を大幅に改善することができ
ない。さらに、厚みが数μm以上のAl2O3皮膜を生じさ
せるためには、数時間以上1100℃以上の高温にさらさな
ければならず、この間に合金の結晶粒が著しく成長し、
機械的性質の低下をもたらす。他方、上記Fe−Ni−Cr−
Al系合金は、表面Al2O3の膜を形成すると、均一な膜が
形成されず、剥離するという問題がある。
この発明は、強度および硬度が従来の耐高温酸化合金
よりもはるかに優れた合金を提供することを課題とす
る。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決するために、この発明は、Cr:25〜35
重量%、Ni:15〜25重量%、Al:4〜8重量%、Zr、Y、H
f、Ce、La、NdおよびGdのうちのいずれか1種または2
種以上:0.05〜1.0重量%、C:0.01重量%以下、Fe:残部
を含み、NiAl系金属間化合物が分散析出し、表面にAl2O
3皮膜を形成させたFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金で
ある。
さらに、この発明は、Cr:25〜35重量%、Ni:15〜25重
量%、Al:4〜8重量%、Ti:0.5重量%以下、Zr、Y、H
f、Ce、La、NdおよびGdのうちのいずれか1種または2
種以上:0.05〜1.0重量%、C:0.01重量%以下、Fe:残部
を含み、NiAl系金属間化合物が分散析出し、表面にAl2O
3皮膜を形成させたFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金で
ある。
以下、「Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金」を単に
「フェライト合金」と称する。
この発明にかかるフェライト合金は、フェライト相を
基地とするところに特徴を持ち、さらに高強靭化に大き
な役割を果たすといわれているNiAl系金属間化合物を微
細かつ均一に分散析出させた合金である、このため、通
常のフェライト系ステンレス鋼やNiを含まないFe−Cr−
Al系合金に比べて、強度が飛躍的に向上している。
この発明にかかるフェライト合金は、高温の酸化性雰
囲気中で加熱された場合、表面に緻密でかつ合金との密
着性にすぐれたAl2O3を主成分とする酸化物皮膜を形成
し、耐高温酸化性が非常に優れている。前記高温の酸化
性雰囲気の温度は、800℃以上、1300℃以下が好まし
い。800℃未満だと、全面に均一なAl2O3皮膜が形成され
ず、また、1300℃を越えると母材が脆化することがあ
る。また、加熱時間は0.5時間以上が好ましい。0.5時間
よりも短いと全面に均一なAl2O3皮膜が形成されないこ
とがある。Al2O3皮膜の厚みは、特に限定されない。
従来からある耐高温酸化合金であるFe−Cr−Al系合金
は、フェライト系固有の高温強度が小さいという弱点を
持っているのに対し、この発明のフェライト合金は、オ
ーステナイト系耐熱鋼に比肩しうる高温強度を備えてい
る。また、表面に均一なAl2O3皮膜を形成させるために
高温加熱処理を施した場合、一般の合金では結晶粒の粗
大化が認められるのに対し、この発明のフェライト合金
では、合金基地中に微細かつ均一に分散分析したNiAlの
存在により、結晶粒の粗大化が制御される。このため、
この発明のフェライト合金は、高温加熱処理による合金
基地の機械的性質の低下はほとんど生じず、高強靭な合
金の製造が可能となる。
一例として、この発明のフェライト合金と従来のNiを
含まないFe−Cr−Al系合金について同等な熱処理を施し
た場合について比較すると、引張強さに関しては、この
発明のフェライト合金は、従来のものの2倍以上の値を
持つことが認められた(後述の第2表および第3表参
照)。
表面形成する酸化皮膜は、Fe−Cr−Al系合金のそれと
同様の性質を持つため、腐食性のガスや水溶液に対して
優れた耐食性を示し、合金素地の保護膜としての機能を
十分に発揮する。すなわち、この発明の合金は、Fe−Cr
−Al系合金と同程度の優れた高温耐酸化性を示し、その
欠点である高温強度の改善をはかり、さらに、合金を酸
化性雰囲気中で加熱処理することにより、合金表面にAl
2O3皮膜を形成させ、耐食性を飛躍的に向上させるとと
もに、NiAlの分散析出により合金表面にAl2O3皮膜を形
成させるという加熱処理による合金の機械的性質の劣化
防止ならびに後の熱処理によって機械的性質の改善をは
かることができる。
以下に、この発明の合金の含有元素について、その含
有量とこれを限定した理由を説明する。この発明の合金
は、フェライト生成元素であるCrおよびAlと、オーステ
ナイト生成元素であるNiとを多量に含有したFe基合金で
あり、合金が主としてフェライト相で構成されるように
各元素の量を選ばねばならない。この発明の合金を主と
してフェライト相にする理由は次のとおりである。フェ
ライト相の合金は、酸化加熱処理により、表面に緻密で
下地との密着性の良い厚いAl2O3皮膜を形成しやすい
が、オーステナイト相の合金はAl2O3の膜が均一に生じ
ず、剥離するからである。合金をフェライト相にする場
合、Ni量を増加させると、(Cr+Al)量も増加させる必
要がある。なお、わずかのオーステナイト相が混合して
もこの発明のフェライト合金の性質を損なうことはな
い。
この発明で合金では、Crは、全体の25〜35重量%を占
める。Fe−Cr−Al系合金において、Crは、緻密で表面に
均一なAl2O3皮膜を形成させるために必要であるが、こ
の発明の合金では多量のNiを含有するため、合金をフェ
ライト相にするためには、Niが下限値でAlが上限値の場
合でも24重量%以上のCrが必要である。後述の第1表の
試料NO.15に見るように、Ni量が下限値、Al量が上限値
付近、Cr量が24重量%未満の合金ではAl2O3皮膜の形成
が不完全である。このため、Crの下限は25重量%であ
る。また、合金中のCr含有量が増加するにつれて脆化の
傾向が強くなるので、Crの上限は35重量%である。
この発明の合金では、Niは、全体の15〜25重量%を占
める。この発明では、微細なNiAlを合金中に析出させる
ことにより、機械的性質の向上をはかっているが、Alと
の共存下でNiAlを析出させるためにNiは不可欠の元素で
ある。機械的性質の向上に十分効果的であるだけのNiAl
を析出させるためには、15重量%程度以上のNiを必要と
するので、Niの下限は15重量%である。Ni量が増加すれ
ば、NiAlの析出や機械的性質の向上に好都合であるが、
この発明の合金はフェライト相で構成されねばならない
ので、オーステナイト生成元素であるNiの含有量を増加
すればそれに伴ってCrおよびAlの含有量を増加させる必
要がある。しかし、Ni量が25重量%を越えると、Cr量を
増加させねばならず、そうすると脆化しやすくなるの
で、Niの上限値は25重量%である。
この発明の合金では、Alは、全体の4〜8重量%を占
める。Alは合金中にNiAlを析出させ、さらに、高温酸化
処理により合金表面にAl2O3皮膜を形成されるためには
不可欠は元素である。特に、緻密で均一な皮膜を形成さ
せるためには、4重量%以上のAlを含有することが必要
である。Al含有量の増加は、NiAlの析出やAl2O3皮膜の
形成に有利であるが、8重量%を越えると合金の加工性
が低下するので、Alの上限は8重量%である。
この発明の合金では、Zr、Y、Hf、Ce、La、Nd、Gd等
のチタン族元素や希土類元素はAl2O3皮膜内に混入して
皮膜の脆さを改善するとともに、皮膜直下の合金内に内
部酸化部物粒子として分散し、皮膜の密着性を著しく向
上させる。これらの効果が発揮されるには、Zr、Y、H
f、Ce、La、NdおよびGdのうちの1種または2種以上が
少なくとも0.05重量%必要である。他方、1.0重量%を
越えて含有すると、合金の加工性が急激に低下するので
上限は1.0重量%である。
Tiは合金中に0.5重量%程度含有されている場合、適
当な熱処理により微細な金属間化合物を形成し、合金の
強靭化に役立つ。この発明の合金は、Tiを含んでいない
ものであってもよいが、このような理由によりTiを含ん
でいてもよい。ただし、Tiの含有量が0.5重量%を越え
るとAl2O3皮膜の密着性や緻密性を損なうおそれがある
ので0.5重量%以下が望ましい。
この発明の合金は、以上の成分以外の残部をFeが占め
る。ただし、残部がすべてFeである場合のみに限定され
ず、たとえば、残部がFe以外に不可避的に存在している
不純物も含んでいる場合を含める。なお、不純物の中で
も、Si、C、Nの3元素は、下記の理由により、下記の
範囲となるようにすることが好ましい。
Siは高温酸化処理中にSiO2となり、Al2O3皮膜に混入
して皮膜の緻密性を損なうおそれがあることから、0.3
重量%以下とすることが望ましい。
Cは高温でCrと反応してCr炭化物を形成し、合金を脆
化させる。また、COがCO2ガスとなり、Al2O3皮膜を破壊
する。さらに、希土類元素と容易に反応し皮膜の密着性
向上に対する希土類元素の効果を低下させる。これらの
ことから、Cは0.01重量%以下が望ましい。
Nは合金の靭性を低下させ、また、高温加熱中にCrと
反応しCr系窒化物となり、合金の脆化の原因となりう
る。このため、0.015重量%以下が望ましい。
この発明のフェライト合金は、以上の成分限定理由に
述べたように、基本的にはフェライト相であるが、数
%、より好ましくは5%(体積率)以下のオーステナイ
ト相が混合しても合金の性質を損なうことはなく、均質
な膜を形成することが可能である。この発明の合金は、
微細なNiAl系金属間化合物を分散させ、高温強度を改善
した耐高温酸化合金であり、さらに、800℃以上、1300
℃以下の高温の酸化性雰囲気中で0.5時間以上加熱処理
することにより緻密で密着性の優れた均一なAl2O3皮膜
を形成させ、その後、場合によっては、熱処理、たとえ
ば、後述の第3表に示す熱処理により機械的性質を改善
する。これにより、Al2O3皮膜を耐酸化性、耐腐食性保
護膜とした高強度材料となる。
この発明のフェライト合金は、表面に酸化アルミニウ
ム皮膜が形成されて高耐酸化性、高耐食性を示すので、
電熱材料、自動車排ガス浄化材料、ボイラ管、内燃機関
用排気バルブ、その他、高温腐食性雰囲気にさらされる
部材に適している。また、内外装建築材料などにも応用
できる。しかし、用途はこれらに限定されない。
〔実 施 例〕
以下に、この発明の具体的な実施例および比較例を示
すが、この発明が下記実施例に限定されない。
−実施例1〜8、比較例1〜7および従来例1,2− 第1表に示す試料No.1〜16の組成の合金を高周波誘導
加熱式真空溶解炉で溶製し、熱間で2mmの板状に圧延し
た。すなわち、5×10-4Torr以上の高真空中で、電解
鉄、電解クロムおよびNiペレットをアルミナるつぼに入
れて溶解し、溶融液中に、アルミニウム鉄合金、FeZr合
金、FeTi合金、ならびに、Hfおよび希土類元素小片を添
加した。さらに、同じ真空中で炉内にある鉄あるいは銅
鋳型に鋳込んで合金のインゴットを得た。得られたイン
ゴットを800℃〜1100℃に加熱し、ハンマーで鍛造、さ
らに、同温度で圧延した。試料No.17は、市販材を用い
た。これらの試料NO.1〜17を2mm×15mm×20mmの大きさ
に切断して、600番のエメリーペーパーで表面を仕上
げ、1150℃で20時間大気中で加熱処理を施し、表面に酸
化皮膜を形成した。
(試験1) 上記実施例1〜8、比較例1〜7および従来例1,2で
形成された酸化皮膜の組成および密着性を調べ、結果を
第2図に示した。第2図中、○は密着性に優れたAl2O3
皮膜を形成した試料(実施例の合金)を、×はFe、Cr、
NiおよびAlの混合酸化物皮膜を形成し、皮膜が部分的に
剥離した試料(比較例の合金)を表す。第2図におい
て、○および×印の横の数字は、それぞれ、実施例およ
び比較例の番号である。
Ni、CrおよびAl各成分を上記特定の範囲内で、密着性
に優れたAl2O3皮膜が生成するようになる成分構成は、
第2図に示すように、Ni量の増加に伴い(Cr+Al)量も
増加させねばならず、第2図の実線の曲線よりも上にな
るように各成分を選ばねばならない。このように選んだ
試料No.1〜8の合金は、X線回折によると、フェライト
相であり、形成した皮膜の主成分はAl2O3である。Al2O3
皮膜形成後の試料No.1の合金表面の走査型電子顕微鏡に
よる二次電子像を第5図(a)に写真(倍率4200倍)で
示す。第5図(a)にみるように、緻密で均一な表面皮
膜が形成されていることがわかる。上述試料サイズのど
の部分も全く同様の結果が得られた。試料No.2〜8の合
金についても同様であった。
試料No.1〜8の合金の皮膜断面を同様に調べた。その
結果、試料bNo.16のFe−Cr−Al系合金と同様、第1図に
みるように、合金マトリックス2と皮膜1の境界は複雑
に入り込み、密着性は極めて優れたものであることがわ
かった。これらの皮膜は酸化温度から水中に急冷しても
まったく剥離しなかった。なお、第1図中、4は析出し
たNiAlである。一方、第2図に×印で示した比較例1〜
7の合金および試料No.17の合金は、X線回折による
と、フェライト+オーステナイトの2相またはオーステ
ナイト相よりなり、酸化皮膜はCr、Ni、Feの酸化物およ
びAl2O3の混合物で構成されたいた。また、皮膜の密着
性が劣り、酸化温度より室温へ冷却した場合、剥離が生
じた。前述の試料サイズの全面にわたってこの剥離が生
じていた。試料No.11の合金表面の一部の2次電子像を
第5図(b)に写真(倍率420倍)で示す。この図にみ
るように、中央の菱形の部分が、上述の残存する酸化皮
膜であり、他の部分は剥離しているのが明らかにわか
る。
(試験2) 第3図に、この発明のフェライト合金(試料No.2)、
Fe−Cr−Al合金(試料No.16)およびSUH660(試料No.1
7)を大気中で100〜1115℃の温度に加熱した場合の酸化
増量曲線を示す。第3図中、実線の曲線が試料No.2の酸
化増量曲線、一点鎖線の曲線が試料No.16の酸化増量曲
線、破線の曲線が試料No.17の酸化増量曲線で、各曲線
の横に加熱温度を記した。第3図から明らかなように、
実施例の合金の酸化増量は、Fe−Cr−Al合金とほぼ同程
度で、耐酸化性は極めて優れている。また、1000℃で20
時間の加熱でのSUH660の酸化増量と比較した場合、その
1/9程度であることがわかる。
−実施例9〜12および比較例8,9− 試料No.2、3、16および17と同一組成の合金に対し
て、第2表に示す条件で熱処理を行って試料No.18〜23
の合金を得た。ここでの熱処理は、圧延材の機械的性質
の改善のためのものであり、酸化皮膜を形成するための
ものではない。
(試験3) 試料No.18〜23の合金について、機械的性質(0.2%耐
力、引張強さ、および、伸び)を調べた。結果を第2表
に示した。
第2表から明らかなように、この発明の合金(試料N
o.18〜21)の強度はFe−Cr−Al合金や時効処理されたオ
ーステナイト系耐熱鋼のSUH660より大幅に優れている。
(試験4) 第4図に、この発明のフェライト合金の1実施例であ
る試料No.2の組成で高温酸化処理前後の合金および耐熱
鋼SUH660についての高温硬さ(Hv)を示した。第4図
中、○は試料No.2の合金を970℃から空冷したもの、△
は試料No.2の合金を大気中で1150℃で16時間処理したあ
と水冷し、さらに、950℃から空冷したもの、×は試料N
o.17の合金を982℃から油冷し、さらに、719℃から空冷
したものをあらわす。SUH660は600℃あたりから硬さが
急激に低下し、800℃ではHv100以下になる。これに対
し、この発明の合金は、高温酸化熱処理の有無にかかわ
らず、800℃でHv200の値を保持することができる。さら
にこの発明の合金は、上記試験2で示したように、耐高
温酸化性が極めて優れているので、Fe−Cr−Al合金なみ
の耐高温酸化性と、オーステナイト系耐熱合金と同等か
それ以上の強度とを兼ね備えた合金としての利用が考え
られる。
−実施例13〜20および比較例10− これらの実施例は、この発明の合金の表面にAl2O3
膜を形成させるため、高温で酸化処理を施した場合であ
る。この熱処理により、合金の機械的性質が低下するこ
とが十分予想される。しかし、この発明の合金の場合、
酸化処理後、所定の熱処理を施すことにより改善でき
る。第3表にこの発明の合金(試料No.2および3)と同
組成の合金について1150℃で15時間酸化処理(高温酸化
熱処理)した後、所定の熱処理による機械的性質を示
す。
第3表にみるように、試料No.24〜31の間では、引張
強度に大きな変化はないが、0.2%耐力は酸化直後の35
〜40kg/mm2に比べて、約2倍の70〜80kg/mm2に改善され
た。この値は、試料No.16のFe−Cr−Al合金の2倍以上
に達し、第2表に見られる時効処理されたSUH660より優
れたものである。なお、Fe−Cr−Al合金は、高温酸化処
理後の熱処理による機械的性質の改善は認められない。
この発明のフェライト合金は、上の高温酸化処理により
8μmのAl2O3皮膜を形成し、合金の引張試験の際、弾
性限度内においては皮膜に何ら亀裂は生じなかった。合
金が塑性変形するに伴い、亀裂が生じ、その数も増加す
るが、剥離は全く生じなかった。
(試験5) この発明の合金は、高温の酸化雰囲気下で酸化処理す
れば表面に緻密で密着性の優れた均一なAl2O3皮膜を形
成することは既に述べたが、皮膜を形成させた時の合金
成分の溶出試験を行った。試料No.2と同一組成の合金を
1150℃で15時間酸化処理した後、5%NaCl水溶液中に浸
漬し、主な成分元素の溶出量を測定した。25℃、14日間
でFe、Cr、NiおよびAlの溶出量は、各々1ppm未満であ
り、沸騰液中で5時間では、Feが2.5ppm、他は1ppm未満
であった。これはAl2O3皮膜が非常に緻密であり、水溶
性の腐食液に対しても優れた耐食性を備えていることを
示す。
〔発明の効果〕
以上に述べたように、この発明のフェライト合金は、
Cr:25〜35重量%、Ni:15〜25重量%、Al:4〜8重量%、
Zr、Y、Hf、Ce、La、NdおよびGdのうちのいずれか1種
または2種以上:0.05〜1.0重量%、C:0.01重量%以下、
Fe:残部を含み、NiAl系金属間化合物が分散析出し、表
面にAl2O3皮膜が形成されているので、強度および硬度
が従来の耐高温酸化合金よりもはるかに優れたものであ
る。
同フェライト合金において、Tiを0.5重量%以下の割
合で含んでいると、合金の強靭化に役立ち好ましい。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明のフェライト合金のマトリックスと
皮膜とを模式的に表す断面図、第2図は、高温酸化でAl
2O3皮膜が生成するためのNiと(Cr+Al)量との関係を
示すグラフ、第3図は、高温酸化処理時間と酸化増量の
関係を表すグラフ、第4図は高温硬さの変化を示すグラ
フ(横軸はHv測定時の温度)、第5図(a)は実施例1
のフェライト合金の金属組織を表す写真、第5図(b)
は比較例3の合金の金属組織を表す写真である。 1……皮膜、2……マトリックス
フロントページの続き (72)発明者 山田 修司 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電 工株式会社内 (72)発明者 辻 栄治 大阪府吹田市佐井寺1丁目18―16 (72)発明者 水越 朋之 大阪府豊能郡能勢町片山325 (56)参考文献 特開 昭52−78612(JP,A) 特開 昭59−53658(JP,A) 特開 昭62−174352(JP,A) 特公 昭31−7253(JP,B1)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cr:25〜35重量%、Ni:15〜25重量%、Al:4
    〜8重量%、Zr、Y、Hf、Ce、La、NdおよびGdのうちの
    いずれか1種または2種以上:0.05〜1.0重量%、C:0.01
    重量%以下、Fe:残部を含み、NiAl系金属間化合物が分
    散析出し、表面にAl2O3皮膜を形成させたFe−Cr−Ni−A
    l系フェライト合金。
  2. 【請求項2】Cr:25〜35重量%、Ni:15〜25重量%、Al:4
    〜8重量%、Ti:0.5重量%以下、Zr、Y、Hf、Ce、La、
    NdおよびGdのうちのいずれか1種または2種以上:0.05
    〜1.0重量%、C:0.01重量%以下、Fe:残部を含み、NiAl
    系金属間化合物が分散析出し、表面にAl2O3皮膜を形成
    させたFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金。
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