JP2636958B2 - ウォーム減速機付小型モータ - Google Patents

ウォーム減速機付小型モータ

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は，自動車の窓ガラスの開閉の防犯安全用に用
いられるウォーム減速機付小型モータについての，特に
ウォーム減速機のウォームに特定の表面処理を施し，モ
ータ出力特性を保持しつつ所望の耐逆転性を維持するよ
うにしたウォーム減速機付小型モータに関するものであ
る。
〔従来の技術〕
一般に，ウォーム減速機付小型モータにおいては，歯
面及びその他摺動部の初期摩耗（なじみ）時には伝達効
率が非常に良くなり，さらに歯面の摩耗が進むと，逆に
噛み合い率が低下する傾向にある。そのため使用時間に
対し耐逆転性（セルフロック）とモータ出力性能とが第
２図及び第３図の各点線で示される様に大きく変化する
結果となり，耐逆転性が必要な例えば窓ガラスの上下開
閉をさせる自動車のパワーウインドウに使用する用途例
では，窓ガラスが外部から開けられるといった不都合が
生じる。
従って，耐逆転性が必要とされる場合，従来のウォー
ム減速機付小型モータにおいては，ウォームの進み角を
極端に小さくするか，又はモータ内部にブレーキ装置を
蔵し，耐逆転性を確保するようにしていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら，前者のウォームの進み角による耐逆転
性の確保では，耐逆転性を確保できる状態にまでウォー
ムの進み角を極端に小さくすると，ウォーム外径が必然
的に大きくなり，ウォーム減速機付小型モータの小型化
ができない欠点があった。
後者のモータ内部にブレーキ装置を蔵する耐逆転性の
確保では，部品点数が増加し，組立工数が増加する欠点
があった。
さらに上記いずれの手法もモータ出力性能を大きく犠
牲にしなければならない欠点もあった。
本発明は，上記の欠点を解決することを目的としてお
り，ウォームに特定の表面処理を施すことにより，ウォ
ーム歯面に適度な表面粗さを持たせ，噛み合いのなじん
だ状態においてもその表面粗さが維持され得るウォーム
減速機付小型モータを提供することを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために，本発明のウォーム減速機
付小型モータは小型モータの出力をウォームとヘリカル
ギアで構成されるウォームホィールとのウォーム減速機
を介して出力するウォーム減速機付小型モータにおい
て、上記ウォームはその歯面において、梨地状に荒らす
処理が施されており、かつその上に、当該梨地状に荒ら
された歯面を維持する耐摩耗性を向上させる表面処理が
施されている ことを特徴としている。
〔実施例〕
第１図は本発明の一実施例説明図であり，第１図
（Ａ）はウォーム減速機部分の断面図，第１図（Ｂ）は
ウォームの拡大断面図を示している。
第１図において，モータ部１はねじ７を介して減速機
部２に取付けられ，そのモータ軸３の先端部は軸受８で
軸止されている。ウォーム４は，第１図（Ｂ）に図示さ
れている如く，上記モータ軸３に嵌合するウォーム嵌合
孔９を備え，当該ウォーム嵌合孔９において上記モータ
軸３に形成されているナール加工部10でモータ軸３に圧
入固定される構造が用いられている。
ウォーム４にはウォームホイールを構成するヘリカル
ギア５が噛み合わされているので，モータ部１から出力
された駆動トルクは，モータ軸３からウォーム４に伝達
され，減速機部２においてウォーム４からヘリカルギア
５に駆動トルクが伝わり，出力軸６から外部にトルクが
取り出される。
実施例の１つとして，モータ部１からの駆動トルクが
伝達されるウォーム４には，モータ軸３に圧入固定され
る前の単体部品の段階で，ショットブラストを行いRz
（10点平均粗さ）にて２〜10μ程度の表面粗さを歯面に
与え，その表面粗さを維持させるために無電解ニッケル
メッキを付け，更に表面の硬度を増すためにベーキング
処理が行われる。
ウォーム４に上記の表面処理が施されているので，す
なわちウォームの歯面の表面粗さがコントロールされて
いるので，ウォーム４とヘリカルギア５との間に適切な
摩擦力を得ることができ，その摩擦力を維持するための
処理，すなわち無電解ニッケルメッキとベーキング処理
が施されているので，その適切な摩擦力が維持される。
つまりウォーム減速機付小型モータの他の性能に悪影響
を与えることなく，耐逆転性の向上及びモータ出力性能
の安定性を第２図及び第３図の実線で示される様に確保
することができる。
更に言えば，まずモータ性能を極力犠牲にせずに耐逆
転性を得る方法としてウォーム減速機の伝達効率が入力
側から出力側の場合と，出力側から入力側の場合とで異
なる事に着目し，歯面の摩擦係数をコントロールする。
すなわち，次の計算式より， γ０＝進み角，ρ＝tan-1（μsecα０），α０＝圧力
角，μ＝摩擦係数 上記前者の効率と後者の効率との差を考慮して最小限
必要な耐逆転性が得られる時の摩擦係数を選定すれば，
モータ性能の犠牲を最小限に押さえることができる。そ
して所望の表面粗さをウォームに与えるために，化学研
磨やショットブラスト等の手法を用い，ウォームが転造
品の場合は転造ダイスに同様の処理を行ってもよい。
更にその表面粗さが変化しないように耐摩耗性を向上
させる処理を施し，噛み合いのなじんだ状態においても
その表面粗さを持続できる様にする。その処理方法とし
ては，無電解Niメッキ後ベーキング処理をしたものや軟
窒化処理などがある。
又，粗さと耐摩耗性を同時に得られるものとして無光
沢硬質クロムメッキなども有効な手段である。
上記の様な，歯面に適度な表面粗さと耐摩耗性を持っ
たウォームを使用して噛み合い部の摩擦力を維持し，耐
逆転性とモータ性能を安定させている。
なお第２図及び第３図の各曲線は多数の実験結果に基
づく傾向表示である。
第２図及び第３図の各曲線を形成する実験結果のデー
タの一部を表−１ないし表−４に示す。表−1,表−２は
ウォームに表面処理を施した本発明の耐逆転性及び出力
トルクをそれぞれ示し，表−3,表−４は従来品の耐逆転
性及び出力トルクをそれぞれ示している。
表−１ないし表−４において，回転方向の「CW,CCW」
は自動車のパワーウインドウにおける右側窓，左側窓用
の各回転方向を表し，また「サイクル」は自動車のパワ
ーウインドウにおける窓ガラスの上げ下げ１回を１サイ
クルと呼び，第２図，第３図の各横軸の時間に対応する
ものである。
第１図に示されたウォーム４とモータ軸３とが分離さ
れる構造の場合，すなわちモータ軸にウォーム４を圧入
固定する構造では，ウォーム４だ けを上記説明の特定の表面処理を施すことが容易にでき
る利点を有するが，モータ軸３とウォーム４とを一体に
形成し，ウォーム４の部分に上記特定の表面処理を施し
ても同様の結果を得ることができる。
〔発明の効果〕
以上説明した如く，本発明によれば，ウォームとウォ
ームホイールとの間に適切な摩擦力を得，しかもその摩
擦力を維持することができるので，耐逆転性の向上及び
モータ出力性能の安定性がはかられたウォーム減速機付
小型モータを実現することができる。
しかも従来と同じ部品点数で構成することができるの
で，上記耐逆転性等の性能を向上させながらウォーム減
速機付小型モータの小型化をすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第１図は本発明の一実施例説明図であり，第１図（Ａ）
はウォーム減速機部分の断面図，第１図（Ｂ）はウォー
ムの拡大断面図，第２図は本発明と従来品との耐逆転性
を比較したモデル特性曲線の一例図，第３図は本発明と
従来品とのモータ出力性能を比較したモデル特性曲線の
一例図を示している。 図中,1はモータ部,2は減速機部,3はモータ軸,4はウォー
ム,5はヘリカルギア,6は出力軸を表している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−41388（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−25928（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−7220（ＪＰ，Ａ) 特開 昭58−116947（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−317963（ＪＰ，Ａ) 実開 昭60−127355（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】小型モータの出力をウォームとヘリカルギ
    アで構成されるウォームホィールとのウォーム減速機を
    介して出力するウォーム減速機付小型モータにおいて、 上記ウォームはその歯面において、梨地状に荒らす処理
    が施されており、 かつその上に、当該梨地状に荒らされた歯面を維持する
    耐摩耗性を向上させる表面処理が施されている ことを特徴とするウォーム減速機付小型モータ。
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