JP2627605B2 - 工程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム状物およびその製法 - Google Patents

工程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム状物およびその製法

Info

Publication number
JP2627605B2
JP2627605B2 JP13137593A JP13137593A JP2627605B2 JP 2627605 B2 JP2627605 B2 JP 2627605B2 JP 13137593 A JP13137593 A JP 13137593A JP 13137593 A JP13137593 A JP 13137593A JP 2627605 B2 JP2627605 B2 JP 2627605B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinylidene fluoride
resin layer
film
ethylene
paper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP13137593A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06316043A (ja
Inventor
正道 赤津
健夫 東
斌也 水野
Original Assignee
呉羽化学工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 呉羽化学工業株式会社 filed Critical 呉羽化学工業株式会社
Priority to JP13137593A priority Critical patent/JP2627605B2/ja
Publication of JPH06316043A publication Critical patent/JPH06316043A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2627605B2 publication Critical patent/JP2627605B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は工程紙付きフッ化ビニリ
デン系樹脂積層フィルム状物に関する。さらに詳しく
は、耐候性や耐汚染性を必要とする内照式看板又は展示
装置の表示板もしくは展示板(パネル)、シート、テー
プ、壁等にフッ化ビニリデン系樹脂を含むオーバーレイ
フィルムをラミネートする際の作業性を改善した工程紙
付きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム状物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】パネル、シート、テープ、壁等に耐候
性、耐汚染性、耐薬品性を付与する方法として、それら
の前面に薄く透明で耐候性に富む保護フィルムとしての
オーバーレイフィルムを貼付ける(ラミネートする)方
法が簡便であり、また一般的である。
【0003】前記保護対象基材にオーバーレイフィルム
をラミネートする作業としては、連続的に行うロール方
式と、ラミネート工程を一回ずつ行うバッチ方式の2種
類がある。両方式は保護基材の種類、保護基材の表面状
態、例えば保護基材上にプリントされているもの、ある
いは保護基材の形状等により使い分けられている。後者
は内照式看板等のプリントされた基材へラミネートする
場合等に採用され、通常熱転写方式(アプリケーター)
が使用される。その手順は一般にシート、パネル等の保
護対象基材にオーバーレイフィルムを載せ、熱転写機内
を減圧にし、保護対象基材とオーバーレイフィルムの間
の空気を抜き加熱し、保護対象基材表面に融着させる方
式である。
【0004】オーバーレイフィルムとしてはフッ素系樹
脂、特にフッ化ビニリデン系樹脂やフッ化ビニル樹脂が
多用されている。しかし、オーバーレイフィルムにはそ
のラミネート作業性の点で種々の改善すべき課題があ
る。例えばオーバーレイフィルムは薄いことが望まれる
結果、ラミネートの際にシワや弛み(タルミ)が生じ易
いこと、加熱融着によるフィルムの収縮等による変形が
生じ易いこと、多様な形状および大きさの保護対象に能
率よく、正しい位置でラミネートする必要があること等
が挙げられる。
【0005】ところで前記の課題を解決した工程紙付き
フッ化ビニル樹脂フィルムが知られている。そのフィル
ム構成は紙基材層の表面にポリエチレン層を、紙基材層
のセルロース繊維模様が残る程度に少量分散的に含浸さ
せ、その上にポリフッ化ビニル樹脂フィルムが積層され
ている。これによりラミネート後に容易に工程紙をフッ
化ビニル樹脂フィルムから剥離できる程度の、適度な強
度で両者を接着させる(仮着)ことができ、ラミネート
する前においては、オーバーレイフィルムの剛性を高め
たものである。しかし、このようなセルロース繊維の模
様が残る工程紙をオーバーレイフィルムに用いると、オ
ーバーレイフィルムに前記模様が転写され、好ましくな
い場合がある。
【0006】前記の工程紙付きフッ化ビニル樹脂フィル
ムのほかにも、類似積層フィルムとして下記の諸種のも
のが提案されている。特開昭58−220735号公報
にはラミネート化粧板製造用の離型フィルムが開示さ
れ、その内訳は平滑度の高い紙基材層と、艶消しキャレ
ンダー加工表面を有する離型合成樹脂層と、該樹脂層表
面に塗布した着色インキ層および該インキ層表面にコー
ティングした低圧メラミン層からなるラミネート化粧板
製造用離型フィルムである。この離型フィルムの意図は
表面の艶消し光沢、透明感および意匠性を向上させたラ
ミネート化粧板を製造する離型用フィルムを提供するこ
とにあるとされている。特に経済性および作業性におい
て生産ラインに馴染まない傾向のある熱圧着型化粧板の
中でも木目等のパターンを用いた場合にも透明性および
意匠性が著しく劣り易い低圧メラミン艶消し化粧板の改
良を意図しているとされている。しかし、上記の公報に
は本発明の解決課題である多種多様な大きさおよび形状
の保護対象に、透明性および耐候性に富むオーバーレイ
フィルムを貼付けるという困難な目的に使用し得る積層
フィルムを提供することは全く意図されていない。
【0007】特開昭60−258280号公報には、両
面加工紙の表面に放射線硬化型シリコーン樹脂層が積層
された剥離紙が開示され、該両面加工紙は紙基体の両面
に特定値の水蒸気透過率および特定値の紙中水分含有率
を備えた被膜が積層され、その効果は吸湿時の寸法安定
性を改良した点にあるとされている。この効果を発現さ
せた原因はシリコーン樹脂層の材質を放射線硬化型のも
のに変えたことにあり、その結果として硬化樹脂層に硬
化に伴うピンホールの発生を極めて低く抑えることに成
功したことが記載されている。しかし、この文献には本
発明の解決課題は全く示唆されていない。
【0008】特開平1−319579号公報には、「カ
バーレイフィルム」の名称で耐熱性絶縁フィルムと離型
紙とからなる積層体であって、特定範囲の相対湿度にお
いて両者の寸法変化率間の関係が数式で規定されている
ものについて、製法が開示されている。この絶縁フィル
ムはBステージの耐熱性接着剤付きのものである。その
効果はカールの発生を殆ど完全に防止することにあると
されている。しかし、この文献には本発明の解決課題に
ついての言及は無く、その解決手段の開示も示唆も無
い。
【0009】特開平4−1043号公報には、剥離紙の
製造方法が開示されている。該剥離紙を製造するにはエ
チレン系樹脂層を樹脂温度200〜300℃で押出して
溶融薄膜とし、これを特定処理した紙基材に圧着ラミネ
ートした後にエチレン系樹脂層上に熱硬化型シリコーン
系剥離剤を塗布したものを加熱硬化させることが開示さ
れている。その解決課題はエチレン系樹脂層にピンホー
ルが発生することを抑制することにあって、その為には
該樹脂の押出温度の上限が重要であることが実施例と比
較例との対比で示されている。 しかし、本発明の解決
課題については全く言及されず、その解決手段を示唆す
るものも無い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなオーバー
レイフィルムに関する課題は、前記従来技術にも見られ
るように工程紙を仮着させることにより解決されてい
た。しかし、耐候性や耐汚染性の優れたフッ化ビニリデ
ン系樹脂は非粘着性又は非接着性ため、粘着剤を使用し
ないで工程紙を仮着させることは容易ではない。前記工
程紙付きフッ化ビニル樹脂フィルムもこの仮着性を改善
したものと考えられるが、前記のように工程紙の表面模
様がオーバーレイフィルムへ転写してしまうという新た
な問題点が生じている。従って耐候性、耐汚染性および
耐薬品性に優れたフッ化ビニリデン系樹脂フィルムをオ
ーバーレイフィルムとして用いる際し、工程紙の表面模
様がオーバーレイフィルムに転写されず、オーバーレイ
フィルムの表面模様が保護され、しかも工程紙とフッ化
ビニリデン系樹脂フィルムが仮着状態にある工程紙付き
オーバーレイフィルムが望まれる。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上述のオー
バーレイフィルムのラミネート時の問題点、さらには従
来から知られている工程紙付きオーバーレイフィルムの
諸問題を解消するため種々検討した結果、特定条件で製
造された特定構成を有する工程紙付きフッ化ビニリデン
系樹脂積層フィルム状物が前記問題点を解決できるとの
知見を得て、本発明を完成させることが出来た。
【0012】すなわち本発明は、紙基材層(A)とエチ
レン系樹脂層(B)とからなる工程紙(X)のエチレン
系樹脂層(B)側に、前記エチレン系樹脂層(B)とフ
ッ化ビニリデン系樹脂層(C)とが接するようにフッ化
ビニリデン系樹脂層(C)含有フィルム(Y)が積層さ
れた積層フィルム状物であって、エチレン系樹脂層
(B)の厚さ(TB)、エチレン系樹脂層(B)と接す
るフッ化ビニリデン系樹脂層(C)の表面の平均粗さ
(RC)およびエチレン系樹脂層(B)と接する紙基材
層(A)の表面の平均粗さ(RA)の間にRC+RA+5
≦TB≦RC+RA+100(単位は全項ともμm)の関
係が成立することを特徴とする工程紙付きフッ化ビニリ
デン系樹脂積層フィルム状物に関する。
【0013】本発明の前記工程紙付きフッ化ビニリデン
系樹脂積層フィルム状物において、エチレン系樹脂層
(B)とフッ化ビニリデン系樹脂層(C)の接着強度
(S1)が0.1〜3g/mmであり、紙基材層(A)
とエチレン系樹脂層(B)の接着強度(S2)が(S1
の1.5倍以上であることが好ましく、またエチレン系
樹脂(B)のメルトインデックス{MI(190℃,
2.16kg,JIS6760)}が1〜20g/10
分の範囲にあることが好ましい。
【0014】さらに本発明は、紙基材とフッ化ビニリデ
ン系樹脂層(C)含有フィルム(Y)とを、剪断速度1
20sec-1における粘度が500〜2500ポイズの
範囲になるように樹脂温度を調節した溶融エチレン系樹
脂で接着させることを特徴とする前記工程紙付きフッ化
ビニリデン系樹脂積層フィルム状物の製法に関する。
【0015】本発明で提供される工程紙付きフッ化ビニ
リデン系樹脂積層フィルム状物は、オーバーレイフィル
ムとして貯蔵、運搬およびラミネートの際には工程紙が
剥離せず、フッ化ビニリデン系樹脂層含有フィルム
(Y)に剛性、すなわち形状保持性を付与すると共に、
保護対象にラミネートする際にはオーバーレイフィルム
の熱収縮を防止し、ラミネート後には必要に応じて工程
紙を均一にしかも容易にフッ化ビニリデン系樹脂層含有
フィルム(Y)から剥離できる程度の適度な層間接着強
度(仮着)で接着されている。なお、本発明の工程紙付
きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム状物において、
「フィルム状物」とは、フィルムからシートに亙る形状
を包括する概念を示す。
【0016】本発明の工程紙の紙基材層(A)に用いら
れる紙基材としては、木材パルプを原料とする通常の紙
であって、その坪量50〜85g/m2、好ましくは6
0〜70g/m2の範囲のものである。
【0017】工程紙(X)を構成する(B)層としては
エチレン系樹脂が使用される。その理由としては、それ
が後記する製法によりフッ化ビニリデン系樹脂層(C)
に対して熱圧着され、仮着できる程度の適度な層間接着
強度を発現すると共に、その際に前記フッ化ビニリデン
系樹脂層(C)表面の状態や性状に影響を及ぼさないこ
と、およびその影響を残存させないことが挙げられる。
このようなエチレン系樹脂の好適例としては、メルトイ
ンデックス{MI(190℃,2.16kg,JIS6
760)}が1〜20g/10分の範囲にあるものが好
ましく、1〜12g/10分の範囲にあるものがさらに
好ましい。このメルトインデックス範囲は工程紙用紙基
材層(A)とフッ化ビニリデン系樹脂層(C)との間の
適度の層間接着性を実現する為、およびラミネート熱圧
着し、工程紙を剥離した後にフッ化ビニリデン系樹脂層
(C)含有フィルム(Y)表面に工程紙の表面模様の影
響を残さない為に選択される。
【0018】エチレン系樹脂の具体例としては、超低密
度ポリエチレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン
(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDP
E)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエ
チレン(HDPE)に加えて、エチレンとビニル系モノ
マー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エ
ステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル等の1種以
上との共重合体、ポリエチレン主鎖にこれらのビニルモ
ノマーの1種以上がグラフトしたもの、エチレンとメタ
クリル酸との共重合体のアルカリ金属塩もしくはアルカ
リ土類金属塩であって通常アイオノマー類と称されるも
の、並びに上記の重合体類の2種以上の混合物(組成
物)等を挙げることができる。中でも、超低密度ポリエ
チレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDP
E)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)およ
び中密度ポリエチレン(MDPE)が好ましい。
【0019】フッ化ビニリデン系樹脂層(C)含有フィ
ルム(Y)を構成するフッ化ビニリデン系樹脂として
は、フッ化ビニリデンの単独重合体に限らずフッ化ビニ
リデン単位を樹脂の構成単位として70モル%以上含有
する共重合体も包含され、更に前記単独重合体や前記共
重合体の2種以上の混合物でも良い。フッ化ビニリデン
と共重合されるモノマーとしては、テトラフルオロエチ
レン(四フッ化エチレン)、トリフルオロエチレン(三
フッ化エチレン)、トリフルオロクロロエチレン(三フ
ッ化塩化エチレン)、ヘキサフルオロプロピレン(六フ
ッ化プロピレン)およびフッ化ビニル等のフルオロオレ
フィン系モノマーのほか、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル類を
挙げることが出来る。
【0020】もちろん、本発明の効果を阻害しない範囲
で、上記のモノマーからなる単独重合体又は共重合体が
それらと相溶性を備えた他種の樹脂等と混合された組成
物も用い得る。前記相溶性を備えた樹脂としては、アク
リル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、
シアノエチル化されたエチレンビニルアルコール共重合
体等を挙げることが出来る。中でも好ましいものとして
メタクリル酸メチル樹脂を挙げることができる。
【0021】上記のエチレン系樹脂およびフッ化ビニリ
デン系樹脂には必要に応じて、酸化安定剤、熱安定剤、
紫外線吸収剤および耐候安定剤等の安定剤の1種以上、
滑剤、離型剤および可塑剤等の加工助剤の1種以上等を
添加することができる。
【0022】本発明の工程紙付きフッ化ビニリデン系樹
脂積層フィルム状物は、工程紙(X)のエチレン系樹脂
層(B)側に、前記エチレン系樹脂層(B)とフッ化ビ
ニリデン系樹脂層(C)とが接するようにフッ化ビニリ
デン系樹脂層(C)含有フィルム(Y)が積層されてい
る。フッ化ビニリデン系樹脂層(C)含有フィルム
(Y)としては、フッ化ビニリデン系樹脂単層フィルム
のほか、オーバーレイフィルムとして使用されたときフ
ッ化ビニリデン系樹脂層が最外層となるように2層フィ
ルム、3層フィルム等の多層フィルムが挙げられる。多
層フィルムの例としては、フッ化ビニリデン系樹脂層と
メタクリル酸エステル系樹脂層の2層フィルム、フッ化
ビニリデン系樹脂層とメタクリル酸エステル系樹脂層と
他の熱可塑性樹脂層、例えば塩化ビニル樹脂層がこの順
に積層された3層フィルム等を挙げることができる。フ
ッ化ビニリデン系樹脂層(C)含有フィルム(Y)とし
てこのような2層フィルムを用いるときは、例えば前記
メタクリル酸エステル系樹脂層が保護対象物と接するこ
ととなり、同様に3層フィルムを用いるときは、例えば
前記塩化ビニル樹脂層が保護対象物と接することとな
る。
【0023】本発明の工程紙付きフッ化ビニリデン系樹
脂積層フィルム状物を構成するフッ化ビニリデン系樹脂
層(C)含有フィルム(Y)の厚さについては特に制限
されないが、前記フィルム(Y)が低剛性である場合に
特に効果を発揮する本発明の特徴を活用する為には、前
記フィルム(Y)の厚さが2〜100μm、特には4〜
50μmにあるものが好適である。
【0024】エチレン系樹脂層(B)の厚さに(TB)
ついては、工程紙の紙基材層表面の凹凸模様がフッ化ビ
ニリデン系樹脂層(C)含有フィルム(Y)に転写され
ないだけの厚さに加えて、フッ化ビニリデン系樹脂層
(C)含有フィルム(Y)の表面に設けられた形状又は
模様等が損なわれない程度の厚さが必要である。このた
めエチレン系樹脂層(B)の厚さTBの範囲は、式RC+
RA+5≦TB≦RC+RA+100(単位は全項ともμ
m)の関係が成立するものであることが要請される。こ
こで、RCはエチレン系樹脂層(B)と接するフッ化ビ
ニリデン系樹脂層(C)の表面の平均粗さであり、RA
はエチレン系樹脂層(B)と接する紙基材層(A)の表
面の平均粗さをそれぞれ表わす。「表面の平均粗さ」は
中心線平均粗さRaを指す。なお、紙基材層(A)中に
含浸されたエチレン系樹脂の深さ(厚さ)は上記のTB
には含まない。エチレン系樹脂層(B)の厚さTBが上
式の左項「RC+RA+5」(μm)を下回る場合には、
紙基材層(A)表面の凹凸がフッ化ビニリデン系樹脂層
(C)含有フィルム(Y)表面に転写され易い。他方、
エチレン系樹脂層(B)の厚さが上式の右項「RC+RA
+100」(μm)を上回る場合には、技術的意義も経
済的意義も失われる。換言すれば、工程紙の役割である
積層体に剛性を付与する機能は既に紙基材層(A)で達
成されているので、エチレン系樹脂層(B)の厚さ増大
で補強する必要は全く無い。
【0025】本発明の工程紙付きフッ化ビニリデン系樹
脂積層フィルム状物を用いて、保護対象物へオーバーレ
イフィルムとしてフッ化ビニリデン系樹脂層(C)含有
フィルム(Y)をラミネートする際には、工程紙(X)
とフッ化ビニリデン系樹脂層(C)含有フィルム(Y)
が剥離せずに良好な作業性を示し、ラミネート後にはフ
ッ化ビニリデン系樹脂層(C)含有フィルム(Y)から
工程紙(X)を容易に剥離できることが重要である。エ
チレン系樹脂層(B)とフッ化ビニリデン系樹脂層
(C)の接着強度(S1)を0.5〜3g/mmの範囲
に設定することによって、前記要請を満たすことができ
る。工程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム状
物を保護対象に貼付けた後に、工程紙だけをフッ化ビニ
リデン系樹脂層(C)含有フィルム(Y)から剥し得る
ようにする為の他方の条件としては、工程紙(X)を形
成する紙基材層(A)とエチレン系樹脂層(B)の接着
強度(S2)を上記の接着強度S1に対して1.5倍以
上、好ましくは2倍以上に設定することである。これに
より保護対象物にラミネートされたフッ化ビニリデン系
樹脂層(C)含有フィルム(Y)から工程紙全体を容易
に剥離出来ることとなる。
【0026】上記の層間接着強度(S2)は、後記の製
法により紙基材層(A)に溶融エチレン系樹脂を含浸さ
せる方法によって達成されるが、適当な接着剤等を介在
させる方法も採用することができる。溶融エチレン系樹
脂を紙基材層に含浸させる方法では、通常含浸深さは紙
基材層(A)の表面から約3〜30μmとすることによ
り、層間接着強度(S2)が充分に所期の水準に達す
る。上記の層間接着強度(S2)を実現する手段として
接着剤を用いる場合には、例えばシリコーン樹脂接着
剤、ブチルゴム系接着剤もしくはスチレン−ブタジエン
ブロック共重合体等の感圧接着剤、例えば低分子量ポリ
エチレンもしくはエチレン共重合体樹脂等のホットメル
ト接着剤等を挙げることができる。
【0027】本発明の工程紙付きフッ化ビニリデン系樹
脂積層フィルム状物の層構成の一例を図1を参照しなが
ら説明する。図1において、1は紙基材層であって、そ
の片側(図では上面)にエチレン系樹脂層2が紙基材層
1中にある程度含浸された状態で積層されて工程紙3が
形成されている。含浸された部分4を介して紙基材層1
に接着されたエチレン系樹脂層2の上側には、フッ化ビ
ニリデン系樹脂層含有フィルム5が積層されて本発明の
工程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム状物と
なる。後記の製法により含浸部の深さが紙基材層1の表
面から約3〜20μmに達していれば、前記のようにエ
チレン系樹脂層2と紙基材層1の接着強度(S2)はエ
チレン系樹脂2とフッ化ビニリデン系樹脂層含有フィル
ム5の接着強度(S1)の1.5倍以上となり、工程紙
として作業性の改善には充分である。
【0028】図2には本発明の工程紙付きフッ化ビニリ
デン系樹脂積層フィルム状物の製造工程の概略が記載さ
れている。なお、図2は3層同時積層を行なう場合であ
って、工程紙(X)は独立には形成されていない。図2
において、図の左側から工程紙(X)用紙基材22が矢
印の方向へ送り込まれる。工程紙用紙基材22の下面が
支持ロール12に支えられてその右側に位置するシリコ
ンゴム製の圧着ロール14に沿って、圧着ロール14の
右側に接するポリシングロール16との間に流入する。
工程紙用紙基材22の上面はロール12から圧着ロール
14への間においてコロナ放電処理されてもよい。図2
の右上方からフッ化ビニリデン系樹脂層(C)含有フィ
ルム(Y)24が同様に圧着ロール14とポリシングロ
ール16との間へ供給される。紙基材22とフィルム2
4が圧着ロール14およびポリシングロール16に巻き
込まれ圧着される前に、両者の間に両ロール上方に設け
られたTダイ20から溶融エチレン系樹脂26が供給さ
れる。圧着ロール14とポリシングロール16との間で
形成された3層積層体はポリシングロール16に沿って
右側へ移行し、ポリシングロール16の右上に位置する
転向ロール18に沿って転向して右方向へ引き出され本
発明の工程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム
状物28が製造される。なお前記のようにフッ化ビニリ
デン系樹脂層(C)含有フィルム(Y)がフッ化ビニリ
デン系樹脂層(C)とメタクリル酸系樹脂層等との積層
体である場合には、フッ化ビニリデン系樹脂層面をTダ
イ側に向けて供給する。
【0029】本発明の工程紙付きフッ化ビニリデン系樹
脂積層フィルム状物を上記により製造する場合には、紙
基材層(A)とフッ化ビニリデン系樹脂層(C)含有フ
ィルム(Y)との間に供給されるエチレン系樹脂の樹脂
温度を、剪断速度120sec-1における粘度が500
〜2500ポイズの範囲になるように調節することが好
ましい。粘度が500ポイズ以上とすることによりエチ
レン系樹脂層(B)の厚さが均一となり、得られる工程
紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム状物の表面
状態が良好となる。また粘度が2500ポイズ以下とす
ることにより、紙基材層(A)にエチレン系樹脂が含浸
しやすく、前記接着強度(S1)と(S2)の好ましい関
係が容易に達成される。エチレン系樹脂の押出量は、工
程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム状物にお
ける前述のエチレン系樹脂層厚範囲を満たすように調整
すればよい。圧着ロール14およびポリシングロール1
6の表面温度は5〜150℃、好ましくは15〜80℃
に設定する。
【0030】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説
明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではな
い。
【0031】(実施例1)紙基材として坪量65g/m
2(温度20℃,相対湿度65%,厚さ93μm,ポリ
エチレン樹脂と接着する面の「表面の平均粗さ」は1.
89μm)のものを用い、オーバーレイフィルムとなる
フッ化ビニリデン系樹脂層含有フィルム(Y)としては
フッ化ビニリデン樹脂フィルム(呉羽化学工業株式会社
製「KFCフィルム」(登録商標):フッ化ビニリデン
樹脂層とポリメタクリル酸メチル樹脂層からなる積層フ
ィルム,ポリエチレン樹脂と接着する面の「表面の平均
粗さ」は0.006μm)を用いた。なお、「表面の平
均粗さ」は、東京精密(株)製「表面粗さ・輪郭形状測
定機サーフコム554A」により測定した中心線平均粗
さRa値である。
【0032】図2において、工程紙(X)用前記紙基材
を圧着ロール14(シリコンゴム製,直径300mm)
とポリシングロール16(直径1000mm)との間へ
搬送した。同時にオーバーレイフィルムとなる前記フッ
化ビニリデン樹脂フィルムを、フッ化ビニリデン樹脂層
が紙基材側に対向するように、両ロールの間へ導入し
た。ここで、圧着ロール14およびポリシングロール1
6の温度は温水を用いて15〜20℃に調整した。圧着
ロール14およびポリシングロール16の回転数はそれ
ぞれ106rpmおよび32rpmに設定し、両ロール
間の線圧は0.2kg/mmに調整した。
【0033】工程紙(X)用紙基材とフッ化ビニリデン
樹脂フィルムとが圧着ロール14とポリシングロール1
6との間へ巻き込まれる直前に(B)層となる融解ポリ
エチレン樹脂(使用樹脂:LDPE,MI3.5g/1
0分)を図示しない120mmφ押出機から押出量13
0kg/hおよびラミネート時の溶融樹脂温度340℃
でTダイ20(リップ幅0.8mm,ダイ温度330
℃)を経由して押出し、ダイリップ下方250mmの位
置において工程紙(X)用紙基材とフッ化ビニリデン樹
脂フィルム(KFCフィルム)との間に導入した。
【0034】形成された工程紙付きフッ化ビニリデン樹
脂積層フィルムを転向ロール18に沿わせながらライン
速度約100m/分で引き取った。その性状値は表−1
の通りであった。なお紙基材層へのポリエチレン樹脂の
含浸深さは、日立製作所製走査電子顕微鏡「S−80
0」により断面を観察し、写真撮影により求めた。また
表中の接着強度は、T型剥離試験(JIS K685
4)により求めたものである。
【0035】上記で得られた工程紙付きフッ化ビニリデ
ン樹脂積層フィルムを用いて内照式の宣伝装置表示板
(58mm幅×100mm長)の表面に前記フィルムを
重ね合わせ、加熱温度130℃および押圧々力2kg/
cm2でラミネートした。ラミネート後工程紙を引き剥
したところ、全面均一にしかも迅速に除去され、現れた
フッ化ビニリデン系樹脂オーバーレイフィルムにはシワ
もタルミも見当たらなかった。
【0036】(実施例2〜3,比較例1〜4)融解ポリ
エチレン樹脂の溶融樹脂温度と押出量の製造条件を表−
1のように設定した他は実施例1と同じ方法により、工
程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂フィルムを製造した。
各実施例および比較例におけるポリエチレン樹脂(LD
PE)のラミネート時の溶融樹脂温度、押出量および得
られた工程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂フィルムの性
状を表−1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明により提供される工程紙付きフッ
化ビニリデン系樹脂積層フィルム状物を用いれば、フッ
化ビニリデン系樹脂層含有オーバーレイフィルムに適度
の剛性を与えられ、また工程紙との適度な接着強度も確
保されているので、作業性良く保護対象にをラミネート
することができる。またラミネート後のオーバーレイフ
ィルムにはシワやタルミも減少させることができ、オー
バーレイフィルムとしての目的を十分達成することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の工程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積
層フィルム状物の模式的断面図である。
【図2】本発明の工程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積
層フィルム状物の製造工程を表す模式的工程図である。
【符号の説明】
1 紙基材層 2 エチレン系樹脂層 3 工程紙 5 フッ化ビニリデン系樹脂層含有フィルム 12 支持ロール 14 圧着ロール 16 ポリシングロール 18 転向ロール 20 Tダイ 22 工程紙用紙基材 24 フッ化ビニリデン系樹脂含有フィルム 26 溶融ポリエチレン系樹脂 28 工程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム
状物

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙基材層(A)とエチレン系樹脂層
    (B)とからなる工程紙(X)のエチレン系樹脂層
    (B)側に、前記エチレン系樹脂層(B)とフッ化ビニ
    リデン系樹脂層(C)とが接するようにフッ化ビニリデ
    ン系樹脂層(C)含有フィルム(Y)が積層された積層
    フィルム状物であって、エチレン系樹脂層(B)の厚さ
    (TB)、エチレン系樹脂層(B)と接するフッ化ビニ
    リデン系樹脂層(C)の表面の平均粗さ(RC)および
    エチレン系樹脂層(B)と接する紙基材層(A)の表面
    の平均粗さ(RA)の間にRC+RA+5≦TB≦RC+RA
    +100(単位は全項ともμm)の関係が成立すること
    を特徴とする工程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積層フ
    ィルム状物。
  2. 【請求項2】 エチレン系樹脂層(B)とフッ化ビニリ
    デン系樹脂層(C)の接着強度(S1)が0.1〜3g
    /mmであり、紙基材層(A)とエチレン系樹脂層
    (B)の接着強度(S2)が(S1)の1.5倍以上であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の工程紙付きフッ化
    ビニリデン系樹脂積層フィルム状物。
  3. 【請求項3】 エチレン系樹脂(B)のメルトインデッ
    クス{MI(190℃,2.16kg)}が1〜20g
    /10分の範囲である請求項1又は2に記載の工程紙付
    きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム状物。
  4. 【請求項4】 紙基材とフッ化ビニリデン系樹脂層
    (C)含有フィルム(Y)とを、剪断速度120sec
    -1における粘度が500〜2500ポイズの範囲になる
    ように樹脂温度を調節した溶融エチレン系樹脂で接着さ
    せることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記
    載の工程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム状
    物の製法。
JP13137593A 1993-05-08 1993-05-08 工程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム状物およびその製法 Expired - Fee Related JP2627605B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13137593A JP2627605B2 (ja) 1993-05-08 1993-05-08 工程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム状物およびその製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13137593A JP2627605B2 (ja) 1993-05-08 1993-05-08 工程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム状物およびその製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06316043A JPH06316043A (ja) 1994-11-15
JP2627605B2 true JP2627605B2 (ja) 1997-07-09

Family

ID=15056476

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13137593A Expired - Fee Related JP2627605B2 (ja) 1993-05-08 1993-05-08 工程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム状物およびその製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2627605B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06316043A (ja) 1994-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4801668B2 (ja) 金属被覆用積層フィルム、スクリーンボード用金属被覆用積層フィルム
US5691022A (en) Release liner base stock for printed films or labels
US5100709A (en) Multilayer film coating for rigid, smooth surfaces
JP2001097733A (ja) ガラスフィルムの取扱い方法及びガラス積層体
KR20090126275A (ko) 박리시트 및 점착체
JP2009078561A (ja) 積層樹脂シート、エンボス付与シート及び被覆基材
JPH0236286A (ja) 粘着性構造体
JP2627605B2 (ja) 工程紙付きフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム状物およびその製法
JP3332614B2 (ja) マーキングフィルム積層シート
KR19990085757A (ko) 라미네이트용 필림(시트)
CN112368350A (zh) 胶粘剂层压件和胶粘剂层压件的制造方法
EP0593080B1 (en) A print-laminated product
JPS5839066B2 (ja) 熱接着性を有するプラスチックフィルム
JP2002338706A (ja) フッ化ビニリデン系樹脂フィルム
JP2011006523A (ja) プロテクトフィルム
JP2002508719A (ja) グラフィック画像用多層電子式切断フィルム
JPS5851823B2 (ja) カチヤクセイヒヨウメンホゴシ−トノ セイゾウホウホウ
JP2005075886A (ja) 粘着フィルム
JP4423713B2 (ja) 保護フィルム付きアクリル系樹脂板の製造法
JP2010143145A (ja) 共押出積層フィルム、及びその製造方法
JP4602028B2 (ja) 化粧フィルム及び化粧シート
JPH03244682A (ja) マーキングフィルム
JP3939004B2 (ja) 保護フィルム付きアクリル系樹脂板の製造方法
JP3228263U (ja) 両面保護フィルム付き積層シートおよびこれを用いた成形品
JPH10138340A (ja) エンボス加工された熱可塑性樹脂シートの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees