JP2625708B2 - 超高保磁力金属粉末の製造方法 - Google Patents

超高保磁力金属粉末の製造方法

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JP2625708B2 JP62055319A JP5531987A JP2625708B2 JP 2625708 B2 JP2625708 B2 JP 2625708B2 JP 62055319 A JP62055319 A JP 62055319A JP 5531987 A JP5531987 A JP 5531987A JP 2625708 B2 JP2625708 B2 JP 2625708B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は磁気記録用磁性金属粉末に関するものであ
り、特にビデオ用のマスターテープや磁気カード等に使
用するのに適した超高保磁力を有する磁気記録媒体用の
磁性金属粉末に関するものである。
近年、家庭用VTRの普及に伴ってビデオソフトの需要
も益々増加してきている。そこで、ビデオソフトの大量
複製が必要となっているが、これに適した方式として接
触転写方式が検討され、一部実用化されている。これ
は、原信号を記録したマスターテープと未記録のスレー
ブテープとを互いに磁性面に接触させ、磁界または熱を
加えることによりマスターテープの信号をスレーブテー
プに転写する方式である[菅谷汎、ナショナルテクニカ
ルリポート(Natl Tech Rep)20,92(1972)]。
この方式に使うマスターテープはスレーブテープ(現
在のVHS用ビデオテープの保磁力:650Oe)の2.5倍以上の
高保磁力が要求されており、この目的に沿った磁性金属
粉末として保磁力が1900Oe程度以上のものが必要とされ
ている。[今西、井上、小野、宮武、ナショナルテクニ
カルリポート25,153(1979)]。
一方、磁気カードは現在保磁力250〜360Oeのγ−Fe2O
3あるいは600〜700Oeのコバルト被着γ−Fe2O3粉末が汎
用されている。磁気カードは、その用途上日常携帯する
ので、種々の永久磁石を用いた物品(ハンドバックの口
金、事務用品、収納庫扉、冷蔵庫、テレビ、スピーカー
等々)の近傍におかれたり、あるいは触れたりして大切
な記録内容が消磁されたり滅棄されたりするトラブルが
多くなっている。そこで高保磁力を有し外部磁界に対し
て極めて消磁されにくい磁気カードが要求されている
(特公昭61−18258号)。
本発明は以上のように、超高保磁力を利用した磁気記
録媒体の分野に適用されるものである。
<従来の技術> 保磁力1900Oe以上の金属磁性粉を製造する方法として
は、従来2種類のものがある。
第1の方法は、液相還元法によるもので、Fe2+とCo2+
の金属塩水溶液を1KOeの磁界中で、水素化ホウ素ナトリ
ウム水溶液と反応させて、Fe−Co合金粉を沈殿させ、こ
れを水洗・乾燥後、約400℃の非酸化性雰囲気で熱処理
することによるものである。[ワタナベ他、アイイーイ
ーイー トランザクションズ オン マズネティクス
(IEEE Trans Magn)MAG−17,1455(1981)]。
第2の方法は、不活性ガス中での蒸発法によるもの
で、タングステンフィラメントまたはボートにのせたFe
−Co合金をヘリウムもしくはアルゴンガスの数Torr〜数
百Torrの低圧雰囲気中で蒸発させるものである[タサキ
他、ジャパニーズ ジヤーナル オブ アプライド フ
ィジクス(Jpn J Appl Phys)4,707(1965)、タサキ
他、IEEE Tras Magn(前出)MAG−15,1540(1979)]。
<発明が解決しようとする問題点> 上述の二つの方法は、性能的にはすぐれた金属粉が得
られているものの、いずれも製造コストが高価で大量生
産には向いていない。実際、現在8mmVTR用またはデジタ
ルオーディオ用の金属磁性粉の製造には上述の方法は用
いられておらず、気相還元法によるものが使用されてい
る。
詳しくは、第1の方法においては、約1KOeの磁界中
で、金属粉を析出させるが、このような磁界を供給でき
る空間体積は磁石の性質上あまり大きくすることができ
ない。従って、反応装置の大きさは比較的小さいものに
限定されるため、鉄粉の量産が困難である。次に、金属
粉は水溶液中で作成されるため、鉄粉表面には水分が多
量に吸着しており、放置しておくと腐食が急速に進む。
更には、鉄粉表面に水分が吸着していると、磁気塗料を
つくる際に有機系バインダー樹脂に均一に分散すること
が困難となり、ひいては、テープ性能を向上することが
できなくなる。そこで、反応後の生成鉄粉は、水分を出
来る限り除去しなければならず、これがために有機溶剤
で十分洗浄し、鉄粉表面の水分を除去する工程が必要と
なっている。
製造コスト上の次の問題点は還元剤として用いる水素
化ホウ素ナトリウムが、22,000円/Kg(PrG)と値段が高
く、更にその使用量がFeとCoの金属塩と同程度のモル数
が必要であるため、原料費が著しく高価となることであ
る。
次に、第2の方法、即ち蒸発法による金属磁性粉の製
造においては、不活性ガス中で合金塊を蒸発させ、煙粒
子状にベルジャ内壁に付着させて製造する。従って、真
空蒸発装置によるバッチ式生産方式によるため、生産コ
ストが非常に高価なものとなる(10〜30万円/Kg)。こ
れは、気相還元法による鉄粉の生産コストに比較して約
1桁高い。
以上のように、従来の方法による超高保磁力鉄粉の製
造は生産コストが非常に高価であることと、材料がFe−
Co合金(約30%Co)系の場合にしか保磁力1900Oe以上の
ものが得られない、という技術的問題点があった。
<問題を解決するための手段> 金属磁性粉は、生産プロセスの簡便性および製造設備
の簡易性から、その生産コストは気相還元法によるもの
が最も安価であり、従って汎用の金属磁性粉の生産に
は、この気相還元法が用いられている。即ち、あらかじ
め合成した針状のゲータイト粒子(α−FeOOH)また
は、これを脱水処理して得られる酸化鉄粒子(α−Fe2O
3)あるいはこれらにニッケル、コバルト等の他の金属
を含有させた粒子の表面に、酸化アルミニウムまたは酸
化珪素等の焼結防止剤を被着させ、これを水素気流中で
400〜500℃の温度で還元し、針状の鉄または鉄コバルト
合金粒子を得る方法である。
本発明は、この種の方法の改良法として、本出願人が
提案している方法、即ち、鉄もしくは鉄を主体とし、N
i、Coなどの他の金属を含む金属の酸化物または水和酸
化物を還元して鉄または鉄を主体とする磁性金属粉末を
製造する方法において、該酸化物または水和酸化物の表
面にAl、Cr、CeまたはNdの水溶性塩、周期律表II a族元
素の水溶性塩並びに水溶性のホウ酸化合物または過ホウ
酸化物を付着し、次いで還元性ガス中で該粉末を還元す
ることを特徴とする強磁性金属粉末の製造方法(特開昭
61−186410号)を更に鋭意検討してなしたものである。
本発明の新たな特徴点は、出発酸化物または水和酸
化物の粒子サイズを特定範囲にする、CeまたはNd化合
物の使用量を特定範囲にする、ホウ酸または過ホウ酸
化合物の使用量を特定範囲にする、の3点を行なった。
その結果、従来の方法では到底実現し得なかった保磁力
1900Oe以上の特性を有する超高保磁力金属粉末に到達す
ることに成功した。Coを含有しない鉄粉においてもこの
様な超高保磁力が実現されることは、驚くべきことと言
えよう。
即ち、本発明は、鉄もしくは鉄を主体とする金属の酸
化物または水和酸化物の粒子表面に、CeまたはNdを主体
とする化合物並びにホウ酸化物もしくは過ホウ酸化物あ
るいはこれらの全ての化合物と更に周期律表II a族元素
の化合物とを付着し、次いで還元性ガス中でそれを還元
して強磁性金属粉末を製造する方法において、 前記鉄系化合物粒子の平均長軸径が0.08〜0.4μm、
平均短軸径0.01〜0.06μm、平均軸比が3〜20であり、 前記鉄系化合物に対してCeまたはNdを主体とする化合
物が1〜20wt%、ホウ素系化合物が1〜30wt%であり、
かつ、 水酸化ナトリウムで、前記粒子表面に、前記各種の化
合物を付着させることを特徴とする、 鉄もしくは鉄を主体とする金属原子の全量に対し、Ce
またはNd原子が0.1〜5原子%、B原子が1〜25原子%
であり、金属粉末粒子の平均長軸径が0.09〜0.2μm、
平均短軸径0.01〜0.04μm、平均軸比が4〜20であり、
磁気特性が保磁力1900Oe以上、飽和磁化量100emu/g以上
の超高保磁力金属粉末の製造方法である。
次に、この様な本発明を更に具体的に詳述する。
まず、CeまたはNdの水溶性塩あるいは状況に応じてこ
れらの他にAl、Cr等の他の3価の元素の水溶性塩を任意
成分として混合し、pH=2〜5の水溶液を調製し、これ
に長さ0.08〜0.4μm、幅0.01〜0.06μmの針状の酸化
鉄またはオキシ水酸化鉄あるいはこれらにNi、Coなどの
他の金属を任意成分として含有させた粉末を分散させ
る。次いで、撹拌を行ないながら、周期律表II a族元素
の水溶性塩の水溶液を加えた後、ホウ素を主とする化合
物例えばホウ酸、ホウ酸塩またはペルオキソホウ酸塩等
のホウ酸化合物もしくは過ホウ酸化物の1種以上を含む
水溶液を添加する。次に、1規定の水酸化ナトリウム水
溶液を少しずつ加え、この懸濁液のpHを約8に合わせ
る。これにより、懸濁液は、前記鉄系化合物の粒子表面
にCe、Nd、B、II a族元素等の化合物が付着して凝集気
味となり、スラリーの濾別が容易となる。濾別したスラ
リーは、約100℃で乾燥後、水素ガス中で約400℃で加熱
還元することによって金属粉末となる。
本発明において用いられる鉄系化合物粒子のサイズ
は、平均長軸径が0.08〜0.4μm、平均短軸径が0.01〜
0.06μm、平均軸比が3〜20、とりわけ、各々0.1〜0.3
μm、0.02〜0.04μm、4〜20の範囲であれば良好な結
果を得る。また、これら鉄系化合物としてゲータイト中
にコバルトを添加したものを用いる場合には、得られる
金属粉末の飽和磁化量が増加するので、形状異方性因子
により保磁力が更に大きくなることはいうまでもない。
本発明において用いられる、CeまたはNdを主体とする
化合物あるいはこれらと併用し得る他の3価の元素の水
溶製塩としては、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、ギ
酸塩が推奨し得る。しかし、塩酸塩または硫酸塩をもち
いた場合には鉄粉の表面に塩素や硫黄元素が吸着され残
存するので、耐食性が幾分劣り、また、酢酸塩やギ酸塩
の場合は水溶液のpHが6付近であるため、被表面処理物
質を1次粒子まで分散させるのが多少難しい。従って、
とりわけ硝酸塩が、分散と耐食性の観点から最も好適で
ある。
本発明においてII a族元素としてはMg,Ca,SrおよびBa
等があげられ、またそれらの水溶性塩としてはギ酸塩、
酢酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩(例えばMg(HCOO)
・2H2O,Mg(CH3COO)・4H2O,MgCl2・6H2O,MgSO4・7H2
O,Mg(NO3・6H2O,Ca(CH3COO)・H2O等)が挙げ
られる。ここで、酢酸塩または硝酸塩を用いた場合に
は、得られた金属粉末の耐食性が優れるので好適であ
る。これらII a族元素は、金属粉末の超高保磁力の発現
には直接寄与しないが、還元時において、多少の還元促
進効果をもたらすことの他に、金属磁性粉の表面に存在
して、塗料中における磁界配向性を良好にさせる作用を
有し、本発明金属粉末において重要な存在である。
これら各塩の使用量は、鉄系化合物に対して述べる
と、CeまたはNdあるいは両者の混合物の水溶性塩、例え
ば、硝酸第一セリウムまたは硝酸ネオジウムの使用量
は、1〜20wt%とりわけ2〜15wt%となる範囲が好まし
い。換言すると、これらの希土類イオンは全量鉄系化合
物粒子表面に付着するので、鉄もしくは鉄を主体とする
金属原子に対するCeまたはNd原子の割合は、0.1〜5原
子%なる範囲である。付着量が少ないと焼結防止効果が
不十分で、粒子形状が損なわれ、保磁力が低下する。一
方、付着量が多すぎると、鉄系化合物自身の還元が進ま
なくなり、また、粒子分解が生じやすくなり、大きな保
磁力は得られにくくなる。
次に、II a族元素の水溶性塩、例えば、酢酸マグネシ
ウムの使用量は鉄系化合物に対して0.1〜10wt%となる
範囲、換言すると、鉄系金属原子に対するMg原子の付着
量として0.01〜3原子%となる範囲が好ましい。付着量
がこれより多すぎると還元時の焼結が進みやすくなり、
保磁力制御がしにくくなる。
最後に、ホウ酸、ホウ酸塩またはペルオキソホウ酸塩
等のホウ素系化合物の使用量は、鉄系化合物に対して1
〜30wt%、換言すると鉄系金属原子に対するB原子の付
着量として、1〜25原子%となる範囲である。付着量が
これより少なすぎると粉末粒子または粒子間の焼結が生
じ、超高保磁力を出すことが出来なくなる。一方、付着
量が多すぎると還元が困難となるほかに、塗料化時の金
属粉末の分散性が悪くなる。
上記の如く、焼結防止表面処理されたゲータイトある
いはこれを空気中で加熱脱水処理して得られた酸化鉄等
の鉄系化合物、即ち被還元物を加熱還元する温度は、30
0〜500℃の範囲が好適である。これより還元温度が低い
と還元が不十分となり、高いと粒子の焼結が生じるよう
になり、保磁力が低下する。
還元後の鉄粉はトルエン等の有機溶媒に浸漬して、空
気を吹き込み徐酸化後空気中に取り出すか、もしくは酸
素ガスを混入した窒素ガスを通気し、酸素ガス濃度を少
しずつ高めながら徐酸化を行ない、空気中に取り出して
も良い。
この様にして得られた金属粉末は、Ni、Coなどの鉄以
外の金属を任意成分として含有することのある、鉄を主
体とする金属粉末であって、鉄もしくは鉄を主体とする
金属原子の全量に対し、CeまたはNd原子が0.1〜5原子
%、B原子が1〜25原子%を含有している。しかもこれ
は、場合により必要とされたときは、更にMg、Ca、Sr、
Ba等のII a族元素の少なくとも1種を併せて包含してい
る。そしてこの金属粉末は、その粉末粒子の平均長軸径
が0.06〜0.5μm、平均短軸系が0.01〜0.04μm、平均
軸比が4〜20であり、保磁力1900Oe以上、飽和磁化量10
0emu/g以上という超高保磁力の磁気特性を有するもので
ある。
本発明のこの超高保磁力金属粉末は、常法に従って、
例えばポリウレタン樹脂や塩ビ−酢ビ共重合体等のバイ
ンダー成分中に、要すれば各種溶剤の存在下に、分散す
ることにより塗料化することができる。更にその塗料
を、常法により、例えばポリエチレンテレフタレートフ
ィルムの如き非磁性支持体上に塗膜化することにより、
超高保磁力の磁性層を有する磁気記録媒体が得られる。
そしてこの様な磁気記録媒体は、保磁力1900Oe以上、飽
和磁束密度2500Gauss以上の磁気特性を有する。
<発明の効果> 以上の如く、本発明の超高保磁力金属粉末は、その製
造法が汎用の金属磁性粉製造法即ち気相還元法で製造で
きるという、工業的メリットをもち、かつ材料的には必
ずしもコバルトを用いなくても鉄のみでも済むというメ
リットをもつ。性能的には、保磁力1900Oe以上のすぐれ
た磁気特性を示すだけでなく、塗料分散性にすぐれてい
るので種々の超高保磁力磁気記録媒体の製造が可能であ
り、非磁性支持体上にバインダー成分と共に磁性層を形
成すると、保磁力1900Oe以上、飽和磁束密度2500Gauss
以上の超高保磁力磁気記録媒体が得られる。従って、高
性能マスターテープが極めて安価に提供できる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明の内容を更
に具体的に説明する。(尚、%は特に記載がない限り、
重量基準を意味する。) 実施例1 平均の長さ0.2μm、幅0.03μm、針状比約7のゲー
タイト(α−FeOOH)粒子の粉末30gをとり、これをx%
の硝酸ネオジウム[Nd(NO3・H2O]を溶かした硝酸
ネオジウム水溶液300ml(硝酸ネオジウム30/100xg含
有)に浸漬し、撹拌機と超音波分散機をもちいて分散さ
せた。次いで、酢酸マグネシウム[Mg(CH3COO)・4H
2O]がゲータイトに対してy%となるようにした酢酸マ
グネシウム水溶液20ml(酢酸マグネシウム30/100yg含
有)を加えて該粉末スラリーを撹拌した後、ホウ酸をゲ
ータイトに対してz%となるようにしたホウ酸水溶液13
0ml(ホウ酸30/100zg含有)を加えて該粉末スラリーを
再び撹拌分散させた。その後、この懸濁液に1Nのカセイ
ソーダ水溶液を滴下してpHを8とした後、濾別して固形
分約30%のウエットケーキとし、次いで、このウエット
ケーキを空気中で約100℃で乾燥した。
次に、この乾燥ケーキを粉砕した後、20gを取り、固
定床式管状還元炉に入れ、窒素ガスで空気を置換した
後、温度を上昇し420℃とした。次いで、窒素ガスを止
めて水素ガスを4l/minの流量で流通させ、6時間還元を
行なって金属鉄粉末とした。これを、室温に下げ、再び
窒素ガスで置換後、トルエン中に、20時間浸漬した。そ
の後、この金属鉄粉を空気中で濾別乾燥を行なって安定
化した鉄粉を得た。
このようにして得た鉄粉の磁気特性をゲータイトに対
する焼結防止表面処理剤の濃度(x,y,z)に対して示す
と表1のようになる。ここで、磁気特性は東英工業社製
振動試料型磁力計を用いて最大測定磁界10KOeにて行な
った。尚、測定サンプルの充填率は約1.2g/cm3で行なっ
た。表にみるように、硝酸ネオジウム5wt%ゲータイト
付近で保磁力が最大となり、2150Oeに達する。ホウ酸は
添加量を増加していくと保磁力が単調に増大するように
なる。他方、酢酸マグネシウムは小量の添加では保磁力
にほとんど変化がみられないが、5wt%を越えるように
なると還元が進み飽和磁化量が少し大きくなり、保磁力
が減少するようになる。ホウ酸一定量のところで硝酸ネ
オジウムを増加すると保磁力が減少するが、ホウ酸量を
増すとこの傾向が抑えられることがわかる。
実施例2 実施例1において、硝酸ネオジウムの代わりに、硝酸
セリウムを用いた以外は実施例1と同様にして鉄粉を製
造した。得られた鉄粉の磁気特性を表2に示すが、ホウ
酸添加量もしくは硝酸セリウムの添加量の変化に対し
て、実施例1の硝酸ネオジウムの場合と同様の保磁力の
大きさと変化を示すことがわかる。
実施例3 実施例1と同様の操作方法で、NdまたはCeの水溶性
塩、周期律表II a族元素の水溶性塩、水溶性のホウ酸化
合物の種類と濃度を代えて種々の鉄粉を製造し、その磁
気特性を測定した。その結果をまとめて表3に示すが、
実施例1とほぼ同様の磁気特性を示しているのがわか
る。
実施例4 実施例2において、硝酸セリウムの一部を他の3価の
元素の水溶性塩の1例としての硝酸アルミニウムで置換
し、かつ、ホウ酸添加量を20wt%/FeOOHとした以外は、
実施例2と同様にして鉄粉を製造した。得られた鉄粉の
磁気特性を表4に示すが、Ce添加量の増加とともに保磁
力が増大していくのがわかる。
比較例1 実施例1において、酢酸マグネシウムおよびホウ酸を
用いず、酢酸ネオジウムのみをゲータイト表面処理剤と
して用いて、実施例1と同様な方法で鉄粉を製造した。
得られた鉄粉の磁気特性を表5に示すが、保磁力が1000
Oe以下に小さくなっている。電子顕微鏡観察の結果、鉄
粉粒子の焼結が大きく、針状性が非常に悪くなってい
た。
比較例2 比較例1において、硝酸ネオジウムの代わりに、硝酸
セリウムを用いた場合であるが、比較例1と同様の結果
となっている。
比較例3 実施例1において、ゲータイトの焼結防止表面処理剤
として、ホウ酸のみを用いた場合であるが、保磁力が15
00〜1600Oeと比較的大きく、ホウ酸の焼結防止処理剤と
しての効果が大きいことを示している。
比較例4 実施例1において、ゲータイトの焼結防止表面処理剤
として硝酸マグネシウムとホウ酸を用いた場合である。
比較例3のホウ酸のみの場合より、保磁力が若干大きく
なる程度となっている。
比較例5 実施例1において、硝酸ネオジウムの代わりに硝酸ア
ルミニウムを用いた以外は実施例1と同様な方法で鉄粉
を製造した。得られた鉄粉の磁気特性は表5にみるよう
に、保磁力が1800Oe付近の大きな値を示すが、硝酸ネオ
ジウムあるいは硝酸セリウムを用いた場合のように、19
00Oeを越すに至らない。
比較例6 実施例1において、硝酸ネオジウムの代わりに硝酸ク
ロムを用いた以外は実施例1と同様な方法で鉄粉を製造
した場合であるが、比較例5の硝酸アルミニウムを用い
た場合と同程度の保磁力を示している。
実施例5 実施例1において、用いるゲータイト粒子のサイズを
長さ0.06μmから0.3μmまで種々に変化させ、また、
焼結防止表面処理剤として、硝酸ネオジウム5wt%、酢
酸マグネシウム3wt%、ホウ酸20wt%を用いた以外は実
施例1と同様な方法で種々の粒子サイズの鉄粉を製造し
た。得られた鉄粉の平均粒子径、軸比、比表面積および
磁気特性を表6に示す。表にみるように、鉄粉の長軸径
が0.06μm、軸比4付近からHcが急激に増加し、長軸径
が0.09μmになると、Hcが2000Oeを越えるようになる。
長軸径0.13〜0.15μm付近でHcは極大をとった後、粒子
径の増大とともに減少の傾向を示す。Hcが極大を示す粒
子径は、短軸径が200Åであることから、単磁区粒子の
臨界寸法となっていると考えられる。[ルボルスキー
(F.E.Luborsky)他、ジヤーナル オブ アプライド
フィジクス(J Appl Phys)31 68S(1960)]ここで、
注目すべきは、鉄粉のBET法で求めた比表面積が粒子サ
イズが小さいにもかかわらず低い値を示すことである。
これは次の比較例7で示す方法で製造した鉄粉のBET値
と比較すると明瞭である。電子顕微鏡観察の結果による
と、これら鉄粒子では、粒子内部の空孔が少なく粒子表
面もなめらかとなっている。
比較例7 実施例5において、ゲータイト粒子の焼結防止表面処
理剤として硝酸アルミニウム5wt%、酢酸マグネシウム3
wt%、ホウ酸5wt%を用いた以外は実施例4と同様な方
法で、種々の粒子サイズの鉄粉を製造した。得られた鉄
粉の平均粒子径、軸比、比表面積および磁気特性を表6
に示す。実施例5との比較で明らかなように、同一粒子
サイズでも比表面積は10〜5m2/g大きく、保磁力は最大1
600Oeと小さい。
実施例6 実施例5で製造した鉄粉のうち、鉄粒子の長軸径0.1
μm、0.13μm、および0.2μmのものについて、以下
の処方で磁性塗料を製造した。即ち、鉄粉9gをとり、ポ
リウレタン樹脂(Pandex−B、大日本インキ化学社商品
名)1.5g、塩ビ・酢ビ共重合体(U−528、ユニオンカ
ーバイド社商品名)1.5g、メチルイソブチルケトンとト
ルエンの1:1混合液39gおよびレシチン0.27gおよびガラ
スビーズ40gとを混合して東洋精機製ペイントシエーカ
ーで4時間分散して磁性塗料を製造した。この塗料を50
μm間隙のアプリケーターを用いてポリエステルフィル
ムに塗布し、約4KOeの対極配向型磁石の中を通過させた
後、室温にて乾燥した。次いで、温度80℃、線圧100Kg/
cmでカレンダリング処理を行なって磁性塗膜を得た。得
られた塗膜のカレンダー前(後)の光沢およびカレンダ
ー後の磁気特性を表7に示す。ここで、光沢は村上色彩
技術研究所製GMX−200型(入射角60゜)を用いて測定し
た。磁気特性は鉄粉の場合と同様にVSM磁力計を用いて
最大印加磁界10KOeにて測定した。表にみるように、本
方法にて得た超高保磁力鉄粉は塗料分散性と充填性が良
く、高い光沢値と飽和磁束密度Bsおよび角型比を示す。
また、保磁力の値も鉄粉のときよりもわずか低下するの
みであり、十分高い値を保つことがわかる。
比較例8 実施例5において、用いた鉄粉を市販の8mmVTR用鉄粉
に変えた以外は実施例5と同様にして磁性塗膜を作製し
た。この結果を同じく表7に示すが、粒子サイズが大き
いにもかかわらずBET値が大きく光沢および磁気特性も
実施例6に及ばないことがわかる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄もしくは鉄を主体とする金属の酸化物ま
    たは水和酸化物の粒子表面に、CeまたはNdを主体とする
    化合物並びにホウ酸化物もしくは過ホウ酸化物あるいは
    これらの全ての化合物と更に周期律表II a族元素の化合
    物とを付着し、次いで還元性ガス中でそれを還元して強
    磁性金属粉末を製造する方法において、 前記鉄系化合物粒子の平均長軸径が0.08〜0.4μm、平
    均短軸径0.01〜0.06μm、平均軸比が3〜20であり、 前記鉄系化合物に対してCeまたはNdを主体とする化合物
    が1〜20wt%、ホウ素系化合物が1〜30wt%であり、か
    つ、 水酸化ナトリウムで、前記粒子表面に、前記各種の化合
    物を付着させることを特徴とする、 鉄もしくは鉄を主体とする金属原子の全量に対し、Ceま
    たはNd原子が0.1〜5原子%、B原子が1〜25原子%で
    あり、金属粉末粒子の平均長軸径が0.09〜0.2μm、平
    均短軸径0.01〜0.04μm、平均軸比が4〜20であり、磁
    気特性が保磁力1900Oe以上、飽和磁化量100emu/g以上の
    超高保磁力金属粉末の製造方法。
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