JP3194577B2 - 鉄を主成分とする針状晶金属磁性粒子粉末の製造法 - Google Patents

鉄を主成分とする針状晶金属磁性粒子粉末の製造法

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JP3194577B2 JP31560589A JP31560589A JP3194577B2 JP 3194577 B2 JP3194577 B2 JP 3194577B2 JP 31560589 A JP31560589 A JP 31560589A JP 31560589 A JP31560589 A JP 31560589A JP 3194577 B2 JP3194577 B2 JP 3194577B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高い保磁力と大きな飽和磁化とを有し、し
かも微粒子であって、S.F.D.(Switching Field Dist
ribution)が優れている鉄を主成分とする針状晶金属磁
性粒子粉末の製造法に関するものである。
〔従来の技術〕
近年、磁気記録再生用機器の小型軽量化が進むにつれ
て磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体に対する
高性能化の必要性が益々高まってきた。即ち、高密度記
録、高出力特性、殊に、周波数特性の向上及びノイズレ
ベルの低下が要求されるようになった。磁気記録媒体に
対する種々の要求を満足させる為には、磁気記録媒体の
製造に際して使用される磁性粒子粉末が、高い保磁力と
大きな飽和磁化を有し、しかも、微粒子であって、S.F.
D.が優れていなければならない。
そのため近年は、高出力並びに高密度記録に適する磁
性粒子粉末、即ち、高い保磁力と大きな飽和磁化とを有
する磁性粒子粉末の開発が盛んであり、そのような特性
を有する磁性粒子粉末として第一鉄塩と、水酸化アルカ
リ、炭酸アルカリ等のアルカリ性水溶液との中和沈澱物
を酸化することにより得られた針状晶含水酸化第二鉄粒
子又は該針状晶含水酸化第二鉄粒子を加熱焼成して笑ら
れた針状晶ヘマタイト粒子を出発原料粒子とし、該出発
原料粒子を還元性ガス中で加熱還元して鉄を主成分とす
る針状晶金属磁性粒子粉末とした後、該粒子表面に酸化
被膜を生成させることにより得られる鉄を主成分とする
針状晶金属磁性粒子粉末が知られており、実用化がなさ
れている。
次に、磁気記録媒体のノイズレベルは、磁気記録媒体
の製造に際して使用される鉄を主成分とする針状晶金属
磁性粒子粉末の粒子サイズや1個の粒子を構成する一次
粒子、即ち、X線粒径の大きさと密接な関係があり、粒
子サイズやX線粒径の大きさが小さくなればなる程、ノ
イズレベルは低くなる傾向にあることが広く知られてい
る。
更に、磁気記録媒体の高出力化を望むためには前述の
磁気特性の改良に加えて、更に鉄を主成分とする針状晶
金属磁性粒子粉末のS.F.D.が優れていることが要求され
る。
特開昭62−26821号公報に記載されているように磁気
記録媒体のS.F.D.と記録再生出力との関係をグラフで表
わすと、S.F.D.の値が小さくなる程、記録再生出力が直
線上に向上しており、このことはS.F.D.の小さい磁性粒
子粉末を使うことで、記録再生出力が上がることを示し
ている。即ち、磁気記録媒体の記録再生出力を向上させ
るためには、磁性粒子粉末のS.F.D.は小さい方が望まし
く、通常以上の出力を得るには、0.6以下のS.F.D.が必
要である。
一般的に、鉄を主成分とする針状晶金属磁性粒子粉末
の粒子サイズが微細になればなる程、保磁力は向上し、
磁気記録媒体のノイズレベルは低下する傾向にあるが、
粒子の表面活性が非常に大きくなるので、通常の方法に
より酸化被膜を形成すると空気中の酸素と急激に反応し
て、粒子に対する酸化被膜の割合が相対的に増加し、し
かも、酸化被膜が粗く且つ不均一となる。その結果、大
幅な磁気特性、殊に、飽和磁化の減少をきたし、また、
同時に保磁力の分布が生じてS.F.D.の低下をきたすこと
となるのである。この現象は、粒子サイズが微細化すれ
ばする程生じやすくなる傾向があり、酸化被膜形成後の
鉄を主成分とする針状晶金属磁性粒子粉末の飽和磁化の
値は、通常、粒子サイズ0.3μm程度で150emu/g程度、
0.2μm程度で125emu/g程度である。
尚、従来、鉄を主成分とする針状晶金属磁性粒子粉末
の酸化安定性の改良を目的として還元後の鉄を主成分と
する針状晶金属磁性粒子粉末と気体状態の有機ケイ素化
合物とを接触させる方法が特開昭60−154502号公報で報
告されているが、この方法では加水分解性の強いシラン
化合物を用い、且つ、水を積極的に存在させて加水分解
反応を促進させることによりSi被膜を生成させるもので
あるので加水分解反応が急激に進み、上記諸特性を充分
満足する鉄を主成分とする針状晶金属磁性粒子粉末は得
られなかった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は上記問題点を解決すべくなされたおのであ
り、本発明の目的は、高い保磁力と大きな飽和磁化とを
有し、しかも微粒子であって、S.F.D.が優れている鉄を
主成分とする針状晶金属磁性粒子粉末の製造法を提供す
ることにある。
〔課題を解決する為の手段〕
本発明の上記目的は、長軸径0.1〜0.5μmであり、且
つ、軸比(長軸径/短軸径)3以上の針状晶含水酸化第
二鉄粒子又は該針状晶含水酸化第二鉄粒子を加熱焼成し
て得られた針状晶ヘマタイト粒子を、還元性ガス中で加
熱還元して長軸0.2μm以下の鉄を主成分とする針状晶
金属磁性粒子とした後、当該針状晶金属磁性粒子に下記
一般式(I)で表されるシリコーン化合物モノマーの少
なくとも1種を不活性雰囲気下、70℃以下の気相中で接
触させ、粒子表面をあらかじめ前記シリコーン化合物モ
ノマーから形成されるポリマーで被覆した後、前記シリ
コーン化合物モノマーの供給を停止し、引き続き、不活
性雰囲気下で70℃を越え80℃以下の温度に加熱して余分
なシリコーン化合物を系から取り除いた後、100〜120℃
の温度に加熱して前記ポリマーの被覆層を緻密化し、そ
の後、酸素含有不活性雰囲気下で処理して粒子表面に酸
化被膜を形成することを特徴とする鉄を主成分とする針
状晶金属磁性粒子粉末の製造法によって達成される。
(R1HSiO)(R2R3SiO)(R4R5R6SiO1/2 (I) (式中、R1、R2、R3、R4、R5又はR6はそれぞれ水素原子
または少なくとも1個のハロゲン原子で置換されていて
もよい炭素原子数1〜10の炭化水素基である。また、a
又はbはそれぞれ0または1以上の整数であり、cは0
または2である。但しcが0のときaとbとの和は3以
上の整数である。) 〔作用〕 先ず、本発明において最も重要な点は、還元直後の鉄
を主成分とする針状晶金属磁性粒子が有する優れた諸特
性を空気中に取り出した後も高度に維持することが出来
るという事実である。
本発明者はその理由を、還元直後の鉄を主成分とする
針状晶金属磁性粒子を不活性ガス雰囲気下で、粒子表面
を特定のシリコーン化合物モノマーから形成されるポリ
マーで被覆した後、引き続き、不活性雰囲気下で70℃を
越え80℃以下の温度に加熱して余分なモノマーを系から
取り除いた後、100〜120℃に加熱して前記ポリマーの被
覆層を緻密化し、その後、酸素含有不活性雰囲気下で処
理して粒子表面に酸化被膜を形成した場合には、均一且
つ緻密なポリマーの被膜が形成されることに起因して微
細な、殊に、粒子サイズが0.2μm以下である鉄を主成
分とする針状晶金属磁性粒子粉末であってもその表面活
性を充分抑制することができるものと考えている。従っ
て本発明では粒子表面に出来るだけ薄くしかも緻密且つ
均一な酸化被膜を生成させることが出来たものと思われ
る。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明における出発原料粒子としては、長軸径0.1〜
0.5μm、好ましくは0.1〜0.3μmであり、且つ、軸比
(長軸径/短軸径)3以上、好ましくは5以上の針状晶
含水酸化第二粒子を用いる。ここで、針状晶とは、軸比
(長軸径/短軸径)が3以上の粒子を言い、針状はもち
ろん紡錘状、米粒状、楕円状等の粒子をも含む。
また、本発明における出発原料粒子としては、必要に
より、針状晶含水酸化第二鉄粒子を加熱焼成して得られ
る針状晶ヘマタイト粒子を用いることができる。この場
合の加熱焼成温度は、好ましくは250〜850℃であるが、
出発原料粒子の形状の保持継承の為には350〜700℃の高
温で加熱焼成して針状晶ヘマタイト粒子を高密度化して
おくことが好ましい。
本発明における出発原料粒子には、鉄を主成分とする
針状晶金属磁性粒子粉末の諸特性を向上させる為に通常
使用されるAl、Ni、Co、B、Zn、P等のFe以外の異種元
素を存在させておいてもよい。
本発明において、針状晶含水酸第二鉄粒子又は針状晶
ヘマタイト粒子を還元性ガス中で加熱還元するが、還元
温度は、300〜500℃が好ましい。300℃未満の場合に
は、還元反応の進行が遅く、長時間を要する。また、50
0℃を越える場合には、還元反応が急激に進行するので
粒子形態の変形と粒子及び粒子相互間の焼結を引き起こ
しやすい。
本発明においては、還元直後の鉄を主成分とする針状
晶金属磁性粒子と、前記一般式(I)で表されるシリコ
ーン化合物モノマーとを不活性ガス雰囲気下、気相中で
接触させて粒子表面を特定のシリコーン化合物モノマー
から形成されるポリマーで被覆しておくことが必要であ
る。
前記一般式(I)で表されるシリコーン化合物モノマ
ーの代表的な2種の群を下記一般式(II)又は(III)
で示す。第1の群は、前記一般式(I)においてc=0
の場合に相当し、下記一般式(II) (R1HSiO)(R2R3SiO) (II) (式中、R1、R2、R3、aおよびbは前記と同様である
が、好ましくはR1、R2又はR3はそれぞれ、少なくとも1
個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜10
の炭化水素基であり、aとbとの和が3以上の整数であ
る)で表される環状シリコーン化合物である。この化合
物の代表例を挙げれば以下のとおりである。
上記の化合物(A)および(B)は、それぞれ単独で
またはそれらの混合物の形で使用することができる。
上記化合物(A)および(B)の各式において、好ま
しくはn(又はa+b)がそれぞれ3〜7である。n
(又はa+b)の値が小さくなるのに従ってその沸点が
低下するので、蒸発して粉体上に吸着する量が多くな
る。特にn(又はa+b)が3又は4の整数であるとき
は、その立体的性質上、重合し易くなるので特に適して
いる。
前記一般式(II)の環状シリコーン化合物の具体例と
しては、ジハイドロジェンヘキサメチルシクロテトラシ
ロキサン、トリハイドロジェンペンタメチルシクロテト
ラシロキサン、テトラハイドロジェンテトラメチルシク
ロテトラシロキサン、ジハイドロジェンオクタメチルシ
クロペンタシロキサン、トリハイドロジェンヘプタメチ
ルシクロペンタシクロキサン、テトラハイドロジェンヘ
キサメチルシクロペンタシロキサン、およびペンタハイ
ドロジェンペンタメチルシクロペンタシロキサン等を挙
げることができる。
前記一般式(I)で表されるシリコーン化合物モノマ
ーの第2の群は、前記一般式(I)においてc=2の場
合に相当し、下記一般式(III) (R1HSiO)(R2R3SiO)(R4R5R6SiO1/2(III) 〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、aおよびbは前記と
同様であるが、好ましくはR1〜R6がそれぞれ、少なくと
も1個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1
〜10の炭化水素基である。〕 で表される直鎖状シリコーオーン化合物である。この化
合物の代表例としては、下記一般式(D) で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(III)の直鎖状シリコーン化合物の具体
例としては、1,1,1,3,5,7,7,7−オクタメチルテトラシ
ロキサン、1,1,1,3,5,7,9,9,9−ノナメチルペンタシロ
キサン、および1,1,1,3,5,7,9,11,11,11−デカメチルヘ
キサシロキサン等を挙げることができる。
本発明における粒子と前記一般式(I)で表されるシ
リコーン化合物モノマーとの不活性ガス雰囲気下、気相
中での接触は、例えば、密閉容器を用い、70℃以下の温
度下で、好ましくは200mmHg以下更に好ましくは100mmHg
以下の圧力下において、当該シリコーン化合物モノマー
の蒸気を分子状態で粒子表面上に接触させる方法、70℃
以下の温度下で、不活性ガス雰囲気下、当該シリコーン
化合物モノマーとキャリアーガスとの混合ガスを粒子に
供給する方法等により行う。
本発明におけるシリコーン化合物ポリマーの被覆量
は、被処理粒子中のFeに対しSi換算で0.1〜10重量%、
好ましくは、0.2〜8.0重量%である。0.1重量%未満の
場合には、粒子の表面活性を抑制する効果が十分ではな
い為、酸化被膜が厚くなり、しかも、粗く且つ不均一と
なりやすく、磁気特性、殊に飽和磁化の低下を来たし、
S.F.D.も悪化しやすい。10重量%を越える場合には、磁
気特性に関与しない成分が増加することによって得られ
る鉄を主成分とする針状晶金属磁性粒子粉末の飽和磁化
が低下しやすい。
本発明においては、粒子と前記一般式(I)で表され
るシリコーン化合物モノマーとを気相中で接触させるこ
とにより、粒子表面で当該シリコーン化合物モノマー同
志の重合反応を生起させるものである。一般的に、熱重
合を起させた場合には、均一且つ緻密な被膜を形成する
ことは不可能である。更に、触媒存在下で重合させた場
合には、重合が主に触媒の周囲で起るので、粒子の表面
だけを均一に被覆することは不可能である。
粒子表面に被覆された前記一般式(I)で表されるシ
リコーン化合物モノマーから形成されるポリマーは、下
記一般式(IV)で表されるシリコーン化合物であると推
定される。
(R1SiO3/2(R2R3SiO)(R4R5R6SiO1/2 (IV) (式中、R1、R2、R3、R4、R5又はR6はそれぞれ水素原
子、水酸基、または少なくとも1個のハロゲン原子で置
換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基である。
また、aは1以上の整数であり、bは0または1以上の
整数であり、cは0又は2である。但しcが0のときa
とbとの和は3以上の整数である。) 上記一般式(IV)で表されるポリマーの構造には例え
ば以下に述べる2種類のものがある。すなわち、重合が
シロキサン結合(−Si−O−Si−)の開裂および再結合
によって起きるシリコーン化合物のポリマーでは−Si−
O−Si−単位の鎖状構造のみをもち、一方、重合がH2O
またはO2の存在下におけるヒドロシリル結合(Si−H)
どうしの架橋反応によって起きる場合には: から誘導される 単位をもつ網状構造を、特定のシリコーン化合物モノマ
ーから形成されるポリマーが含むことになる。
この場合、網状構造を有するシリコーン化合物のポリ
マー(以下「網状構造のポリマー」という)は、全Si原
子の20%以上が前記の 単位に変換されていることが好ましい。この単位の含有
量は、形成されたシリコーン化合物中のメチル基のIR吸
収から求めることができる。
また、この単位の含有量が大きくなり網状構造が発達
すると、加熱によってシリコーン化合物が解重合するこ
となくメタンのみを放出してSi酸化物を形成する。この
状態は熱分解ガスクロマトグラフィーで確認することが
できる。
本発明においては、前記一般式(I)で表されるシリ
コーン化合物モノマーから誘導される他の構造のものが
存在していてもよい。
本発明においては、還元直後の鉄を主成分とする針状
晶金属磁性粒子の粒子表面を前記一般式(I)で表され
るシリコーン化合物モノマーから形成されるポリマーで
被覆した後、シリコーン化合物モノマーの供給を停止
し、引き続き、不活性雰囲気下で加熱処理をして余分な
シリコーン化合物を系から取り除く。その場合の加熱処
理は、70℃を越え80℃以下の温度で行われる。
本発明においては、更に、余分なシリコーン化合物を
系から取り除いた後、引き続き形成したポリマー被覆層
について不活性雰囲気下で100〜120℃の温度で加熱処理
して緻密化を行う。
本発明における酸化被膜の形成は、前記ポリマー被覆
層の緻密化の後、不活性ガス中の酸素含有量を徐々に増
加させながら最終的には空気によって徐酸化する方法に
より行うことができる。必要により、周知の他の方法、
例えば、トルエン等の有機溶剤中に浸漬する方法等を組
み合わせてもよい。但し、酸化被膜を形成する場合、空
気含有量、通気量及び通気時間を制御して出来るだけ穏
やかな酸化条件で行うことが好ましい。
本発明によって得られる鉄を主成分とする針状晶金属
磁性粒子粉末は、保磁力1500Oe以上、飽和磁化155emu/g
以上、長軸0.2μm以下、S.F.D.0.35以下である。但し
長軸があまりに小さすぎると高い保磁力と大きな飽和磁
化が得難くなるので、0.05μm以上が好ましい。また、
粒子サイズは175Å以下が好ましい。
〔実施例〕
次に、実施例並びに比較例により、本発明を説明す
る。尚、以下の実施例並びに比較例における粒子の長
軸、軸比(長軸径/短軸径)は、電子顕微鏡写真から測
定した数値の平均値で示した。
鉄を主成分とする針状晶金属磁性粒子粉末及び磁気テ
ープの磁気特性は、「振動試料磁力計VSM−3S−15」
(東英工業(株)製)を使用し、外部磁場10kOeの下で
測定した値で示した。
S.F.D.の測定は、下記の方法により得られたシート状
試料片を用い、前記磁気測定器の微分回路を使用して、
保磁力の微分曲線を得、この曲線の半値巾を測定し、こ
の値を曲線のピーク値の保磁力で除することにより求め
た。
シート状試料片の作成 下記〔A〕を140ccのガラスピンに入れて6時間混合
分散を行うことにより調整した磁性塗料を厚さ25μmの
ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケータ
ーを用いて50μmの厚さに塗布し、次いで、5kGaussの
磁場中で乾燥させることにより得た。
〔A〕:混練物 100重量部 (鉄を主成分とする金属磁性粉末100部とスルホン酸
ナトリウム基を有する塩化ビニル・エポキシ共重合体
(シクロヘキサノン30重量%溶液として)50部とを88cc
のプラストミルを用いて45分間混練して得た。) 1mmφのガラスビーズ 530重量部 シクロヘキサノン 50重量部 メチルエチルケトン 57重量部 トルエン 57重量部 X線粒径(D110)はX線回折法で測定される結晶粒子
の大きさを(110)結晶面に垂直な方向における結晶粒
子の厚さで表したものであり、その測定は、結晶粒径測
定法に基づいて、下記一般式を用いて計算した値で示し
た。
但し、β=真の回折ピークの半価幅 k=シェラー定数(0.9) λ=X線の波長(1.935Å) θ=回折角 実施例1 長軸0.22μm、軸比(長軸径/短軸径)12であるCo、
Al及びBを含む酸化物被膜が粒子表面に形成されている
紡錘状ゲータイト粒子を空気中350℃で加熱焼成するこ
とにより得られた長軸0.22μmであって、軸比(長軸径
/短軸径)12である針状晶ヘマタイト粒子300gを3の
レトルト容器中に投入し、駆動回転させながらH2ガスを
毎分35の割合で通気し、還元温度390℃で還元した。
次いで、レトルト容器中に、窒素ガスを流しながら60
℃まで冷却した後、別に準備しておいた60℃に保持した
テトラメチルシクロテトラシロキサン(一般式(A)で
n=4)50gを容器中に窒素ガスをバブリングさせ、こ
の混合ガスを上記レトルト容器中に2時間供給した。
その後、混合ガスの供給を停止し、80℃で2時間加熱
して、余分なシリコーン化合物を系から取り除いた。更
に、120℃に昇温し2時間、形成されたシリコーン化合
物の緻密化を行なった。
引き続き、窒素ガスを通気しながら空気を0.2l/minの
割合で30分間通気した。空気通気後、鉄を主成分とする
針状晶金属磁性粒子粉末を空気中に取り出した。この時
のシリコーン化合物ポリマーの量は、元素分析により分
析した結果Feに対しSi換算で1.51%であった。
更に、鉄を主成分とする針状晶金属磁性粒子粉末を赤
外吸収スペクトルにより分析した結果、1260cm-1のSi−
CH3基の吸収が1270cm-1にシフトしており、Si−H基に
酸素が反応しSi−Oに変化したことがわかった。また、
590℃での熱分解ガスクロマトグラフィーの結果、メタ
ンのみが生成していることからテトラメチルシクロテト
ラシロキサンが架橋重合し、網状ポリマーが生成されて
いることが認められた。このことから鉄を主成分とする
針状晶金属磁性粒子の粒子表面が網状構造のポリマーで
被覆されていることが認められた。
得られた鉄を主成分とする針状晶金属磁性粒子粉末
は、電子顕微鏡観察の結果、長軸は0.15μmであり、X
線粒径(D110)は160Åであった。
また、保磁力は1630Oe、飽和磁化は161.0emu/g、S.F.
D.は0.297であった。
実施例2〜5、比較例1〜5 針状晶含水酸化第二鉄粒子の種類、加熱焼成温度、加
熱還元温度及び時間、並びに珪素化合物の種類、Si/Fe
量及び処理条件、加熱処理条件を表1に示すように変化
させた以外は、実施例1と同様にして鉄を主成分とする
針状晶金属磁性粒子粉末を作成した。
この時の主要製造条件を表1に、鉄を主成分とする針
状晶金属磁性粒子粉末の諸特性を表2に示す。
但し、実施例5における特定のシリコーン化合物モノ
マーから形成されるポリマーの粒子表面への被覆は以下
の方法により行った。即ち、還元後の鉄を主成分とする
針状晶金属磁性粒子を窒素パージした容器中に取り出
し、窒素パージした密閉型恒温槽にテトラメチルシクロ
テトラシロキサン1.8gとともに静置し、次いで、200mmH
gの圧力下、70℃において5時間処理することによって
行った。
また、比較例4では、混合ガスの供給を停止した後に
行う余分なシリコーン化合物を系から取り除く80℃で2
時間の加熱処理を行うことなく、直ちに120℃に昇温し
2時間、形成されたシリコーン化合物の緻密化を行った
以外は実施例3と同様にして鉄を主成分とする針状晶金
属磁性粒子粉末を作成した。
比較例5では、形成されたシリコーン化合物の緻密化
を行わなかった以外は実施例3と同様にして鉄を主成分
とする針状晶金属磁性粒子粉末を作成した。
表2から明らかなように、本発明により得られる鉄を
主成分とする針状晶金属磁性粒子粉末は微粒子でしかも
保磁力、飽和磁化及びS.F.D.すべての値に非常に優れて
いた。
〔発明の効果〕
本発明により、1500Oe以上の高い保磁力と、155emu/g
以上の大きな飽和磁化とを有し、しかも長軸が0.2μm
以下であってS.F.D.が0.35以下の鉄を主成分とする針状
晶金属磁性粒子粉末を提供することができた。本発明に
より得られる鉄を主成分とする針状晶金属磁性粒子粉末
は、現在、最も要求されている高密度記録用、高出力
用、低ノイズレベル用磁性粒子粉末として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 隆 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株式会社資生堂研究所内 合議体 審判長 松本 悟 審判官 能美 知康 審判官 綿谷 晶廣 (56)参考文献 特開 昭63−113082(JP,A) 特開 昭60−36603(JP,A) 特開 昭63−222404(JP,A) 特開 昭58−174509(JP,A) 特開 昭61−22428(JP,A) 特開 昭63−26821(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長軸径0.1〜0.5μmであり、且つ、軸比
    (長軸径/短軸径)3以上の針状晶含水酸化第二鉄粒子
    又は該針状晶含水酸化第二鉄粒子を加熱焼成して得られ
    た針状晶ヘマタイト粒子を、還元性ガス中で加熱還元し
    て長軸0.2μm以下の鉄を主成分とする針状晶金属磁性
    粒子とした後、当該針状晶金属磁性粒子に下記一般式
    (I)で表されるシリコーン化合物モノマーの少なくと
    も1種を不活性雰囲気下、70℃以下の気相中で接触さ
    せ、粒子表面をあらかじめ前記シリコーン化合物モノマ
    ーから形成されるポリマーで被覆した後、前記シリコー
    ン化合物モノマーの供給を停止し、引き続き、不活性雰
    囲気下で70℃を越え80℃以下の温度で加熱して余分なシ
    リコーン化合物を系から取り除いた後、100〜120℃の温
    度に加熱して前記ポリマーの被覆層を緻密化し、その
    後、酸素含有不活性雰囲気下で処理して粒子表面に酸化
    被膜を形成することを特徴とする鉄を主成分とする針状
    晶金属磁性粒子粉末の製造法。 (R1HSiO)(R2R3SiO)(R4R5R6SiO1/2 (I) (式中、R1、R2、R3、R4、R5又はR6はそれぞれ水素原子
    または少なくとも1個のハロゲン原子で置換されていて
    もよい炭素原子数1〜10の炭化水素基である。また、a
    又はbはそれぞれ0または1以上の整数であり、cは0
    または2である。但しcが0のときaとbとの和は3以
    上の整数である。)
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