JP2623807B2 - セリンプロテアーゼおよびセリンプロテアーゼ遺伝子 - Google Patents

セリンプロテアーゼおよびセリンプロテアーゼ遺伝子

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JP2623807B2 JP63502059A JP50205988A JP2623807B2 JP 2623807 B2 JP2623807 B2 JP 2623807B2 JP 63502059 A JP63502059 A JP 63502059A JP 50205988 A JP50205988 A JP 50205988A JP 2623807 B2 JP2623807 B2 JP 2623807B2
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洋祐 青木
清 岡野
昌信 成戸
洋彦 清水
春次 中村
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Toray Industries Inc
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    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/48Hydrolases (3) acting on peptide bonds (3.4)
    • C12N9/50Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25)
    • C12N9/64Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from animal tissue
    • C12N9/6421Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from animal tissue from mammals
    • C12N9/6424Serine endopeptidases (3.4.21)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は炎症の発現に関与し、さらにリンパ球、単
球、NK細胞および顆粒球の機能を変化させる働きを有す
るセリンプロテアーゼ、その前駆体、およびそれらをコ
ードする遺伝子に関する。
さらに、本発明は、細胞特異的な遺伝子発現に必要な
転写制御領域のDNA配列に関する。
背景技術 青木洋祐らは、骨髄細胞のうち赤芽球と顆粒球に新規
なセリンプロテアーゼを見い出し、これをメダラシン
(medullasin)と命名し、メダラシンにNK細胞活性化作
用および起炎作用のあることを明らかにした(J.Biol.C
hem.253,2026−2032(1978);J.Clin.Invest.69,1223−
1230(1982))。
そして同じく青木洋祐らによってメダラシンの有する
下記のような生物活性が明らかにされ、報告されてい
る。
赤芽球において、ヘム合成の調節に関与しピリドキ
シン反応性貧血の発現に関与する。
慢性炎症に随伴する貧血の発現に関与する。
顆粒球のメダラシン活性は慢性炎症性疾患憎悪期に
増大する。
生理的濃度のメダラシンを動物皮内に注射すると単
球浸潤を特徴とした炎症が惹起され、細静脈内皮細胞が
特徴的に変性する。
ヒトリンパ球をメダラシン処理すると、そのDNAお
よびRNA合成能が増大し、各種マイトージェンに対する
反応性が著増する。
単球をメダラシン処理すると、その遊走能が阻止さ
れてスーパーオキサイド産生能が増大する。
顆粒球をメダラシン処理すると遊走能が増大する。
ヒトリンパ球をメダラシン処理すると、そのNK活性
が著増し、これはインターフェロン産生を介さない。
メダラシンの全アミノ酸配列は未だ解明されておら
ず、メダラシンの取得にはヒト骨髄細胞もしくは顆粒球
が供給源として用いられている。従って、その供給量に
は限りがある。
本発明は、遺伝子組換え法によってメダラシンに対応
する遺伝子をクローン化して、その配列を明らかにする
ことを第一の目的とする。これによって、メダラシンも
しくはその前駆体をコードする遺伝子を明らかにするこ
とができると同時に、それによってメダラシンのアミノ
酸配列を解明することができる。第二に、本発明はメダ
ラシンの化学合成法もしくは遺伝子組換え法による合成
を可能ならしめ、純度の高いメダラシンを大量に得るこ
とを目的とする。
メダラシンは、ヒト骨髄細胞中あるいは末梢血細胞中
においてかなり多く含まれている。例えば、ヒト末梢血
1mlの中に約10μgのメダラシンが確認されている。し
かしながら他の組織や細胞中には殆んど見い出されてお
らず、ヒト血球系細胞、特に白血球や赤芽球等にのみ特
異的に発現されている。
従って、メダラシン遺伝子の発現機構を明らかにする
ことは、これまでに明らかになっていないヒトの白血球
あるいは赤芽球系に特異的な遺伝子発現を解明するもの
と期待される。
一般に細胞特異的な遺伝子の発現は、その細胞に特異
的なタンパク質をはじめとする因子類(トランス因子)
とともに、当該染色体遺伝子の周辺および内部に存在す
る遺伝子配列によって制御されている。従って、前述の
ヒト骨髄細胞由来セリンプロテアーゼ、メダラシンの染
色体遺伝子の周辺もしくは内部には、ヒト血球細胞のう
ち白血球や赤芽球特異的な遺伝子発現に必要な転写制御
領域のDNA配列が存在することが考えられる。
従って、本発明は第三に、細胞特異的な遺伝子発現に
必要な転写制御領域のDNA配列を提供することも目的と
する。
発明の開示 本発明は、第1図に示されるアミノ酸配列を有するポ
リペプチドが呈する生物活性を示すセリンプロテアー
ゼ、およびそれをコードするセリンプロテアーゼ遺伝子
である。
また、本発明は、第1図に示すアミノ酸配列の全部ま
たは一部を有するポリペプチドが呈する生物活性を示す
セリンプロテアーゼのN−末端に、開裂可能なペプチド
またはシグナルペプチドが結合してなるセリンプロテア
ーゼ前駆体、およびそれをコードするセリンプロテアー
ゼ前駆体遺伝子である。
さらに本発明はヒト骨髄細胞のセリンプロテアーゼの
染色体遺伝子に含まれる転写制御領域をコードするDNA
配列である。
図面の簡単な説明 第1図、第3図および第5図は本発明のセリンプロテ
アーゼの全部または一部のアミノ酸配列であり、第2図
および第4図は本発明のセリンプロテアーゼ遺伝子を含
むDNA塩基配列の一例を示す。
第6図は本発明のセリンプロテアーゼ前駆体のアミノ
酸配列の一例であり、第7図は本発明のセリンプロテア
ーゼ前駆体遺伝子を含むDNA配列の一例を示す。
第8図〜第14図は本発明のセリンプロテアーゼを発現
するためのベクターの作製方法を示す。
第15図は、本発明のヒト骨髄細胞もしくは顆粒球由来
のセリンプロテアーゼの染色体遺伝子に含まれる転写制
御領域をコードするDNA配列の一例であり、第16図は本
発明のセリンプロテアーゼ構造遺伝子およびその発現制
御領域を含む染色体遺伝子配列を示す。
発明を実施するための最良の形態 本発明のセリンプロテアーゼは、第1図に示される23
8個のアミノ酸配列から成るポリペプチドであるが、そ
れと実質的に同等の生物活性が保持されているならば、
上記アミノ酸配列に部分的な置換・欠失・挿入などがな
されて構成されるポリペプチドも本発明のセリンプロテ
アーゼに含まれる。
一般にプロテアーゼは、その遺伝子からメッセンジャ
ーRNAを経由して合成された前駆体タンパク質がプロセ
ッシングを受けることによってN末端の一部を失い、さ
らにまた、ある場合にはC末端の一部を失うことによっ
て成熟プロテアーゼになることが知られている。
本発明のセリンプロテアーゼには、第1図に示したア
ミノ酸配列から成るポリペプチドの、例えばC末端19個
のアミノ酸配列がプロセッシングを受けて除去された形
態のものも含まれる。
本発明のセリンプロテアーゼ遺伝子は、上記の本発明
にいうセリンプロテアーゼをコードする遺伝子であっ
て、第2図に示すDNA塩基配列を含むものがその代表例
である。
また本発明のセリンプロテアーゼ前駆体は、上記のセ
リンプロテアーゼのN−末端に、開裂可能なペプチドま
たはシグナルペプチドが結合しているものであり、第6
図にその一例を示す。第6図のセリンプロテアーゼ前駆
体は、267個のアミノ酸配列から成るポリペプチドであ
り、第1図のセリンプロテアーゼの上流にシグナルペプ
チドを含む29個のアミノ酸が結合したものである。
本発明のセリンプロテアーゼ前駆体遺伝子は、セリン
プロテアーゼ前駆体をコードする遺伝子であって、第7
図に示すDNA塩基配列を含むものがその代表例である。
本発明のセリンプロテアーゼおよびその前駆体は、本
発明によってその全アミノ酸配列が明らかになったの
で、公知の化学合成法によって製造することもできる
が、遺伝子組換え法によって容易にかつ大量に製造する
ことができる。
遺伝子組換え法によって本発明のセリンプロテアーゼ
またはその前駆体を製造するには、まずセリンプロテア
ーゼまたはその前駆体の遺伝子を含むcDNAを取得する必
要がある。cDNAは次の工程に従って好ましく取得され
る。
セリンプロテアーゼ産生細胞からポリ(A)+RNAを
抽出する。
抽出したポリ(A)+RNAを鋳型として逆転写酵素を
用い、cDNAを調製し、種々のcDNAを含むcDNAライブラリ
ーを得る。
目的のcDNAとハイブリダイズするDNAプローブを化
学合成し、これを用いてcDNAライブラリーから目的のcD
NAを拾い出す。
ここでの工程におけるセリンプロテアーゼ産生細胞
としては、ヒト急性前骨髄球性白血病(APL:Acute Prom
yelocytic Leukemia)細胞であるML3〔E.Hendersonおよ
びF.Gunz編“Leukemia"、pp119〜139、Grune&Strakto
n、New York(1982)を参照〕が継続的にセリンプロテ
アーゼを産生するので好ましく用いられる。
の工程で用いるDNAプローブは、セリンプロテアー
ゼのN末端側部分のアミノ酸配列をエドマン分解法によ
り決定し、それに対応する遺伝子断片であるDNAオリゴ
マーを化学合成し標識化することによって得られる。
セリンプロテアーゼ遺伝子を含むベクターは適正な発
現ベクターに組み込まれ、組換えDNAが得られる。これ
を大腸菌、枯草菌、酵母あるいは培養動物細胞などの宿
主に導入し、得られる形質転換体を培養することによっ
て目的のセリンプロテアーゼを産生させることができ
る。ここで宿主として動物細胞などの真核細胞を用いる
と、糖鎖を伴なったセリンプロテアーゼが得られる。
以上の遺伝子操作は、公知の方法(T.Maniatisら、
“Molecular Cloning、A Laboratory Mannual"、Cold S
pring Harbor Lab.(1982))に従って実施することが
できる。
なお、宿主として大腸菌を用いる場合は、T7ファージ
由来のペプチド、またはアントラニル酸合成酵素(以
下、TrpEと略す)、β−ガラクトシダーゼ等のタンパク
質を本発明のセリンプロテアーゼの上流に切断可能に連
結してなるキメラ蛋白をコードする遺伝子を含む発現ベ
クターを用いることにより、発現効率を上げることがで
きる。製造されたキメラ蛋白を酵素等で消化することに
より、容易にセリンプロテアーゼを単離できる。
さらに、本発明は、ヒト骨髄細胞由来のセリンプロテ
アーゼの染色体遺伝子に含まれる転写制御領域をコード
するDNA配列に関する。
本発明の転写制御領域とは、プロモーター領域および
エンハンサーを含むものであり、それをコードするDNA
配列は、例えば第15図に示す配列またはこれと等価な配
列を含むものが挙げられるが、これに限定されない。こ
こに言う等価とは、DNA塩基が部分的に他のDNA塩基に置
換されているもの、部分的に削除されているものの、他
のDNA塩基が付加されているものなどであって、しかも
元のDNA配列と同等の機能を有するものを言う。
第15図の配列は、第16図に示される配列の1〜1250番
目のDNA配列に相当する。第16図は、メダラシンの構造
遺伝子およびその発現制御領域を含んだ染色体遺伝子配
列であって、これはクローン化された約6キロ塩基のDN
A断片のうち塩基配列が決定されたものであり、この中
にはヒトメダラシン遺伝子の完全長が含まれており、特
徴的なプロモーター構造であるTATA配列、CAAT配列も確
認できる。メダラシンcDNAの塩基配列との比較により、
メダラシン遺伝子は4つのイントロンにより分断された
5つのエキソンより成ることが明らかとなった。
特徴的な構造としては、プロモーター構造の上流に53
塩基対よりなる4つのリピート配列、また第3イントロ
ンには42塩基対よりなる10のダイレクトリピート配列が
観察される。第3イントロンには複雑な2次構造をとり
得るATリッチな配列も存在している。
プロモーター領域の近傍には、転写調節因子のSP1タ
ンパクが結合するコンセンサス配列(GGCGGG、CCCGCC)
に似た配列も存在する。
また、メダラシン遺伝子のタンパク合成開始領域の塩
基配列は、コザックが効率的なタンパク合成開始に必要
として提唱した塩基配列とよく一致しているが、このこ
とはメダラシンタンパク質がヒト末梢血1mlの中に約10
μgと比較的多量に存在している理由の一つであると推
察される。
また本発明者らは、実施例に示したように細胞中のポ
リ(A)+RNAの量をノーザンブロッティング法により調
べることによって、メダラシンのポリ(A)+RNAがヒト
急性前骨髄球性白血病細胞であるML3細胞(前述)内に
多量に発現されているが、他の細胞、例えばヒト胎児肺
組織由来正常2倍体繊維芽細胞や、ヒトすい臓悪性上皮
性腫瘍由来細胞株MIAPaCa−2細胞には殆んど発現され
ていないことを見い出した。
これらのことから本発明の転写制御領域は、ヒト血球
系細胞、特に赤芽球や顆粒球に特異的な遺伝子発現のた
めの配列であると言える。
以下実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
る。実施例中、成熟セリンプロテアーゼとあるのは、本
発明のセリンプロテアーゼをセリンプロテアーゼ前駆体
を混同しないため用いた。
実施例1 セリンプロテアーゼcDNAの調製と塩基配列の決定 (A)DNAプローブの合成: 青木らの方法〔J.Biol.Chem.253,2026−2038(197
8)〕に従って得た精製メダラシン(セリンプロテアー
ゼ)225μgを気相式自動ペプチドシーケンサー470A型
(アプライド・バイオシステムズ社製)で分析した。得
られたフラクションを高速液体クロマトグラフィーによ
り分析し、第3図に示したN末端から49アミノ酸残基の
配列を決定した。同図中で括弧が付されたアミノ酸残基
は、本分析法において若干の不確実性があるものであ
る。
上記49アミノ酸残基の中、コードするDNA配列の縮重
度が少ない下記のアミノ酸配列部分12 Trp−Pro−Phe−Met−16Val を選び、このアミノ酸配列部分をコードするDNA塩基配
列に相補なDNA塩基配列の5′末端の1個の塩基(これ
はValをコードする第3塩基である)を除く14塩基長のD
NAオリゴマー8種(プロリンをコードするコドンは4
種、フェニルアラニンをコードするコドンは2種あるこ
とによる)公知の方法によって化学合成した。これら8
種のDNAオリゴマーの塩基配列は下記のとおりである。
得られた8個のDNAオリゴマーの等量 混合物の5′水酸基をT4キナーゼとγ〔32p〕ATPを用
いてリン酸化標識し、DNAプローブを得た。
(B)ポリ(A)+RNAの調製: 株化細胞ML3を10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地で
培養した。培養は5%炭酸ガス濃度のもとに37℃で行な
った。細胞が約1×106 cells/mlの密度に増殖したと
き、シクロヘキシミドを30μg/mlの濃度になるように加
え、さらに5時間培養した。こうして得た細胞(約1.4
×109個)に6Mグアニジンチオシアネート、2%ザルコ
シル、50mMトリス塩酸塩(pH7.6)10mM EDTA、1%β−
メルカプトエタノールの溶液30mlを加え、得られた粘稠
溶液を18G注射針の中に5回通した。
この細胞ホモジネートを1/3容の5.7M塩化セシウム(1
00mM EDTAを含む)溶液の上に重層し、35000rpmで一晩2
5℃で遠心した。遠心管の底に沈澱したRNAを少量の水に
溶かし、フェノール処理後エタノール沈澱を行なうこと
によって640μgの全RNAを得た。
この全RNAを常法に従って、オリゴdTセルロースカラ
ムクロマトグラフィーにかけて86μgのポリ(A)+RNA
を選別収集した。
(C)cDNAの調製: 前記(B)項で得たポリ(A)+RNA5μgを用いてcDN
A合成キット(Amersham製)を利用し、そのプロトコー
ルに準じてGublerとHoffmanの方法(Gene,25,263(198
3))で二本鎖cDNA640ngを合成した。次にcDNAクローニ
ングシステム−λgt10(Amersham製)を用いて両端にEc
oR Iリンカーを結合し、EcoR Iで消化し、ゲル過カラ
ムによって両端にEcoR I接着末端をもつ二本鎖cDNA434n
gを得た。この二本鎖cDNA86ngとλgt10アーム1μgと
をT4DNAリガーゼを用いて結合し、これをλファージ・
パッケージング・エクストラクトに加えて組み換え、フ
ァージの混合物を得た〔Amersham社製cDNAクローニング
システムの材料を使い、その処方に従った〕。大腸菌NM
514を宿主として9.6×104pfu(プラーク・フォーミング
・ユニット)の組み換えファージ(cDNAライブラリー)
が得られた。
(D)セリンプロテアーゼcDNAクローンの単離: LB寒天培地の入った直径145mmのシャーレ当り大腸菌N
M514を宿主として、約25000個の前項で得られた組み換
えファージをまき、計4枚のマスタープレートを作製し
た。ニトロセルロースフィルターにファージを移したあ
と、アルカリ変成によりファージDNAをフィルター上に
固定した。これらはR.Davisらの手法(D.M.Glover編、
“DNA Cloning"、vol I、p49〜78、IRL Press、(198
5))に準じて行なった。
(A)項で作成したDNAプローブを用いて、上記によ
りファージDNAを固定したフィルターをハイブリダイゼ
ーション法でスクリーニングした。ハイブリダイゼーシ
ョンは35℃で行ない、洗いも35℃で行なった。これらの
操作はT.Maniatisらの方法(“Molecular Cloning、A L
aboratory Mannual"(1982))に準じて行なった。ハイ
ブリダイゼーションの結果、オートラジオグラフィーで
陽性の7個のクローンを得た。
(E)セリンプロテアーゼcDNAの塩基配列の決定: 前項で得られた陽性クローンの中の一つであるMED1−
4aのファージDNAを抽出したあと、EcoR Iで切断して約8
00塩基対のDNAフラグメントを得た。この断片をシーケ
ンシング用クローニングベクター、pUC19(宝酒造製)
およびシーケンシング用ファージ、M13mP19(宝酒造
製)、RFDNAのEcoR I部位に挿入した。配列解析はデオ
キシ−7−デアザグアニントリホスフェートを用いたデ
オキシ法で行なった。中央部については配列の確定した
周辺部に対応したプライマーを順次合成してジデオキシ
法により決定した。このようにして第4図に示すDNA塩
基配列が決定された。
第4図に示すDNA塩基配列のうち、7番目のCを含ん
でその上流と807番目のGを含んでその下流は、λgt10
ベクターへのクローニングに際して用いたEcoR Iリンカ
ーGGAATTCCに由来する。従って、同図の8番目から806
番目までのDNA塩基配列がポリ(A)+RNA由来のcDNAで
ある。このcDNA配列について、最長のオープンリーディ
ングフレーム(タンパク質をコードする領域)を捜した
ところ、同図の8番目から718番目までのDNA塩基配列を
翻訳したものが最長であり、719番目以下に終止コドンT
GAが続いていることがわかった。8番目から718番目ま
でのDNA塩基配列に対応する翻訳アミノ酸配列は、第5
図に示すとおりである。同図に示すアミノ酸配列の1番
目から48番目は、第3図に示された精製メダラシンのア
ミノ酸配列の2番目から49番目までと完全に一致してい
る。この結果から第4図に示されたDNA塩基配列の中、
8番目から718番目までは本発明のセリンプロテアーゼ
をコードするcDNAを構成するものであると結論でき、こ
のcDNA部分は第2図に示されている。このcDNAは、第3
図に示す精製メダラシンのN末端のアミノ酸であるイソ
ロイシン(Ile)をコードする部分を欠いているが、Ile
がメダラシンのN末端であることは上述の精製メダラシ
ンのアミノ酸配列の解析結果から明らかであるから、本
発明のセリンプロテアーゼをコードする全cDNAは、第2
図の塩基配列の5′末端側にIleをコードするATT、ATC
またはATAが付加したものであると結論できる。この全c
DNAに対応するアミノ酸配列、すなわち本発明のセリン
プロテアーゼのアミノ酸配列が第1図に示されている。
実施例2 セリンプロテアーゼ完全鎖長cDNAの調製と塩基配列の決
定 実施例1で得たセリンプロテアーゼ部分cDNAをプロー
ブとして、実施例1、(B)項と同様に調製したML3細
胞のポリ(A)+RNAのうち5μgを用いて実施例1、
(C)項と同様な方法で新たに合成した約100万個のλg
t10cDNAライブラリーから実施例1で得られたクローンM
ED1−4aの800塩基対より長いセリンプロテアーゼcDNAを
持つ5つのクローンを単離した。このうちクローンMED1
0およびMED13のセリンプロテアーゼのN末端をコードす
る領域の塩基配列を実施例1、(E)項と同様な方法で
決定したところ、MED1−4aよりMED13は89塩基対、MED10
は128塩基対上流まで含んでいた。したがって、セリン
プロテアーゼ前駆体cDNAの配列は第7図の通りであり、
これらのDNA配列から推定するとセリンプロテアーゼ前
駆体は267アミノ酸から成り、成熟セリンプロテアーゼ
のN末端にあるイソロイシンの上流にさらに29個のアミ
ノ酸が結合している(第6図)。この29アミノ酸から成
るリーダーペプチドのうちN末端側の27アミノ酸は17個
の疎水性アミノ酸(ロイシン 9ヶ、アラニン 5ヶ、
フェニルアラニン 1ヶ、バリン 1ヶ及びプロリン
1ヶ)から成ると共に、そのC末端側にアラニン−ロイ
シン−アラニンという最もシグナルペプチダーゼで認識
され易い配列を持つことからシグナルペプチドと考えら
れる。また、このシグナルペプチドの下流に存在するセ
リン−グルタミン酸という2アミノ酸からなるペプチド
は、活性化ペプチドと推定される。
実施例3 セリンプロテアーゼ大腸菌発現ベクターpETMEDの作製と
T7−セリンプロテアーゼキメラ蛋白の発現 (A)成熟セリンプロテアーゼcDNAベクターpUC19YMED
の作製: 実施例1で得た第4図に示すDNAのEcoR I断片を、先
ずクローニングベクターpUC19のEcoR I部位に挿入し、
第4図のDNAの下流部位がpUC19のBamH I部位に近い挿入
方向のクローンpUC19MED1−4a選び、プラスミドDNAを得
た。
このベクターpUC19MED1−4aをHind IIIで完全消化後N
ae Iで部分消化し、約800塩基対から成るセリンプロテ
アーゼ部分cDNAを分離した。このDNA断片と成熟セリン
プロテアーゼのN末端をコードする合成オリゴマーをT4
DNAリガーゼを用いてpUC19のEcoR IサイトとHind IIIサ
イトの間に挿入することにより、成熟セリンプロテアー
ゼcDNAを持つベクターpUC19YMEDを作製した(第8
図)。
(B)pETMEDの作製: F.Willam Studier博士(Biology Department,Brookha
ven National Laboratory,Upton,New York)より分与さ
れたpET−3bをT7プロモータの下流にあるBamH Iで完全
消化してからマングビーンヌクレアーゼ(Mung bean nu
clease)処理により平滑末端化した。次に(A)項のpU
C19YMEDをEcoR VとHinc IIで完全消化し、成熟セリンプ
ロテアーゼcDNAから成る約0.8KbのDNA断片を分離した。
これら2つのDNA断片をT4DNAリガーゼを用いて結合する
ことによりセリンプロテアーゼ大腸菌発現ベクターpETM
EDを作製した(第9図)。このベクターからはT7ファー
ジ由来の11アミノ酸(Met−Ala−Ser−Met−Thr−Gly−
Gly−Gln−Gln−Met−Gly)から成るペプチドと238アミ
ノ酸から成る成熟セリンプロテアーゼがアルギニンをは
さんで結合した250アミノ酸のキメラ蛋白が作られる。
成熟セリンプロテアーゼは、このキメラ蛋白をトリプシ
ンで部分消化することにより単離できる。
(C)pETMEDによるT7−セリンプロテアーゼキメラ蛋白
の発現: まず、(B)項で作製したpETMEDを大腸菌HMS174(J.
L.Campbellら、Proc.Natl.Acad.,Sci.,U.S.A.75,2276−
2280(1978))に導入した。この組換え体をアンピシリ
ンを100μg/mlの、またマルトースを0.4%(w/v)の濃
度で含む5mlのLB培地(T.Maniatisら,“Molecular Clo
ning"p440,(1982))で37℃、一晩培養後、そのうち0.
1mlをアンピシリン及びマルトースをそれぞれ100μg/ml
及び0.4%(w/v)の濃度で含むNZCYM培地(T.Maniantis
ら、“Molecular Cloning"、p440(1982))に移し、波
長600nmでの吸光度が0.3となるまで37℃にて培養後、大
腸菌数の5倍から10倍のファージCE6(F.W.Studierら、
J.Mol.Biol.,189,113−130(1986))を感染させた後、
3時間37℃で培養した。こうして得られた菌体の全蛋白
質をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析し
たところ、コントロールのpET−3b(前述)を導入した
組換え体には見られない分子量約29,000の蛋白が観察さ
れた。この蛋白がT7セリンプロテアーゼキメラ蛋白であ
ることは、抗セリンプロテアーゼ抗体を用いたウエスタ
ンブロッティングにより確認した。
実施例4 TrpE−セリンプロテアーゼ発現ベクターpATH2MEDの作製
とTrpE−セリンプロテアーゼキメラ蛋白の発現 (A)TrpE−セリンプロテアーゼ発現ベクターpATH2MED
の作製: 実施例1のpUC19MED1−4aをHind IIIで完全消化後Nae
Iで部分消化しセリンプロテアーゼ部分遺伝子を含む約
800塩基対のDNA断片を分離した。この断片と、セリンプ
ロテアーゼのN末端側をコードする合成オリゴマーをT4
DNAリガーゼを用いて、TrpEキメラ蛋白発現用ベクターp
ATH2(C.L.Dieckman and A.Tzagoloff,J.Biol.Chem.26
0,1513〜1520(1985))のSal IサイトとHind IIIサイ
トの間に挿入し、TrpE−セリンプロテアーゼのキメラ蛋
白を発現させるベクターpATH2MEDを作製した(第10
図)。
このベクターからは、TrpE由来の331アミノ酸から成
るペプチドと238アミノ酸から成る成熟セリンプロテア
ーゼがリジンをはさんで結合した570アミノ酸から成る
キメラ蛋白が作られる。成熟セリンプロテアーゼはこの
キメラ蛋白をエンドプロテアーゼlysCで部分消化するこ
とにより単離できる。
(B)pATH2MEDによるTrpE−セリンプロテアーゼキメラ
蛋白の発現: pATH2MEDで形質転換した大腸菌HB101をアンピシリン
を100μg/mlの濃度で含む5mlのLB培地(T.Marliatis
ら、“Molecular Cloning"p440(1982))にて30℃7時
間培養後、そのうちの4mlを硫酸マグネシウム、塩酸チ
アミン、グルコース及びアンピシリンをそれぞれ1mM、
1μg/ml、1%(w/v)及び100μg/mlの濃度で含む40ml
のM9培地(T.Maniatisら、“Moleclular Cloning"p68
(1982))に移し、25℃で一晩培養した後、40%(w/
v)グルコースを0.8ml、14%(w/v)水酸化アンモニウ
ムを0.16ml、及び10mg/mlインドールアクリル酸を40μ
l加えてさらに8時間培養した。
全菌体の蛋白質をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳
動により確認したところコントロールのpATH2を導入し
たHB101には見られない分子量約61,000のTrpE−セリン
プロテアーゼのキメラ蛋白が確認された。この蛋白がセ
リンプロテアーゼのキメラ蛋白であることは、抗セリン
プロテアーゼ抗体を用いたウエスタンブロッティングに
より確認した。
実施例5 セリンプロテアーゼ酵母ベクターpATMEDの作製とセリン
プロテアーゼの発現 (A)セリンプロテアーゼ前駆体cDNAベクターpUC19PME
Dの作製: 実施例3のpUC19MED13をHind IIIで完全消化後Eco52
Iで部分消化することにより約950塩基対のDNA断片を分
離した。この断片と、セリンプロテアーゼ前駆体のN末
端をコードする合成オリゴマーをpUC19のEcoR Iサイト
とHind IIIサイトの間に、T4DNAリガーゼを用いて挿入
することによりセリンプロテアーゼ前駆体cDNAを持つベ
クターpUC19PMEDを作製した(第11図)。
(B)pATMEDの作製: まず、広島大学の東江博士より供与された酵母のPHO5
(抑制性酸性ホスファターゼ)プロモータを持つベクタ
ーpAT405をXho Iで完全消化後、T4DNAポリメラーゼ処理
により平滑末端化してから大腸菌アルカリフォスファタ
ーゼ処理により末端のリンを除いた。
次に(A)項のpUC19PMEDをEcoR Iで完全消化後、T4D
NAポリメラーゼ処理により平滑末端化してからセリンプ
ロテアーゼ前駆体cDNAを含む約950塩基対のDNA断片を分
離した。これら2つのDNA断片をT4DNAリガーゼを用いて
結合することによりセリンプロテアーゼ酵母発現ベクタ
ーpATMEDを作製した(第12図)。
(C)pATMEDによるセリンプロテアーゼの発現: pATMEDを導入した酵母DC5(広島大学東江博士より供
与された)をヒスチジンとグルコースをそれぞれ0.1mg/
ml及び2%(w/v)の濃度で含む5mlのYeast Nitrogen B
ase培地(Difco社製)にて一晩30℃で培養後、その2.5m
lを50mlの同一培地に移し、さらに30℃で一晩培養し
た。集菌後50mlの水で一度洗ってから、50mlの無リン酸
培地(Yeast Minimal Medium(R.L.Rodriguez and R.C.
Trait“Recombinant DNA Techniques"p151(1983))の
KH2PO4の代わりにKClを用いリン酸を除いた培地)に懸
濁し、30℃で2晩培養した。培養上清1mlを凍結乾燥に
より濃縮してからSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動
により解析したところ、コントロールのpAT405を導入し
たDC5の培養上清には見られない分子量約32,000の蛋白
が検出された。この蛋白がセリンプロテアーゼであるこ
とは抗セリンプロテアーゼ抗体を用いたウエスタンブロ
ッティングにより確認した。
実施例6 セリンプロテアーゼの酵母発現ベクターpMFαMEDの作製
と酵母での発現 (A)セリンプロテアーゼ酵母発現ベクターpMFαMEDの
作製: 実施例4(A)項のpUC19YMEDをEcoR IとHinc IIで完
全消化し、成熟セリンプロテアーゼcDNAから成る約800
塩基対のDNA断片を分離した。次に、酵母の交配フェロ
モンであるα−ファクターのプロモータとリーダー配列
を持つベクターpMFα8(A.Miyajimaら、Gene,37,155
(1985))をStu Iで完全消化後、大腸菌アルカリフォ
スファターゼ処理により脱リン酸化した。これら2つの
DNA断片をT4DNAリガーゼを用いて結合することによりセ
リンプロテアーゼ酵母発現用ベクターpSRαMEDを作製し
た(第13図)。
(B)pSRαMEDによる酵母20B12の形質転換: (A)項のpSRαMED10μgを約1×107個の酵母20B12
(広島大学東江博士より供与された)に、アルカリ金属
処理法(A.Kimuraら、J.Bacteriol.,153,163(1983))
により導入した。得られた形質転換体をグルコースを2
%(w/v)の濃度で含む5mlのYeast Nitrogen Base培地
(Difco社製)にて、30℃一晩培養後、その1mlを10mlの
同じ培地に移し、さらに24時間培養した。培養上清1ml
を凍結乾燥により濃縮してから、抗セリンプロテアーゼ
抗体を用いたウエスタンブロッティングにより解析した
ところ、コントロールのpMFα8を導入した20B12の培養
上清には見られない分子量約32,000の蛋白が検出され
た。
実施例7 セリンプロテアーゼの動物細胞発現ベクターpSRαMEDの
作製と動物細胞での発現 (A)セリンプロテアーゼ動物細胞発現ベクターpSRαM
EDの作製: 実施例6(A)項のpUC19PMEDをEcoR Iで完全消化
し、セリンプロテアーゼ前駆体cDNAを含む約950塩基対
のDNA断片を分離した。これを、pcDLSRα296(DNAX社、
武部博士より供与された)をEcoR Iで完全消化後、大腸
菌アルカリフォスファターゼ処理により脱リン酸化した
ベクターに、T4DNAリガーゼを用いて結合させることに
よりセリンプロテアーゼ動物細胞発現ベクターpSRαMED
を作製した(第14図)。
(B)pSRαMEDによるCos−1細胞の形質転換: (A)項のpSRαMED10μgを約2×106個のサル腎臓
由来のCos−1細胞(Y.Gluzman,Cell,23,175(1981))
にリン酸カルシウム法(F.L.Grahamら、Virology,54,53
6(1873))により導入した。5日後に細胞を集めた全
細胞の蛋白質を抗セリンプロテアーゼ抗体を用いたウエ
スタンブロッティングにより解析したところ、ベクター
を導入していないCos−1細胞には見られない分子量約3
0,000の蛋白が検出された。また、細胞を凍結融解によ
り破壊後12000g、30分間の遠心により得られた可溶性画
分について、エラスターゼの基質であるp−nitropheny
l N−tert−butyloxycarbonyl−L−alaninateを基質と
した方法で(L.Visserら、Biochem.Biophys.Acta.,268,
257(1972))、本酵素の活性を測定したところコント
ロールに比べ約1×106細胞あたり347.5nmの吸光を0.1
上昇させる活性が検出された。
実施例8 染色体DNAのサザンハイブリダイゼーション ヒトセリンプロテアーゼ遺伝子のクローニングに先立
ち、まず、染色体DNAのサザンハイブリダイゼーション
を行なった。ヒト扁桃由来の染色体DNA(調製法は、P.C
hambonらEur.J.Biochem,36,32−38(1973年)に記載の
方法に従った。)の各10μgを制限酵素EcoR I、BamH
I、PstIで切断、アガロースゲル電気泳動(1%アガロ
ース)し、サザンブロッティング後、セリンプロテアー
ゼcDNAをプローブとしてサザンハイブリダイゼーション
を行なった。その結果、EcoR I切断では約6kbの断片の
みがセリンプロテアーゼcDNAプローブとハイブリッドを
形成し、ヒトセリンプロテアーゼ遺伝子は染色体に1種
類のみ存在し、EcoR Iの6kbの断片にのみ含まれること
が明らかとなった。ここで用いたセリンプロテアーゼcD
NAプローブは、Okano K.らJ.Biochem,102,13〜16(198
7)に記載されたcDNA配列(EcoR I挿入断片、約800bp)
をニックトランスレーション法によって32Pで標識した
ものである。
実施例9 ヒトセリンプロテアーゼ遺伝子のクローニング ヒト染色体DNA約100μgをEcoR Iで切断し、アガロー
ス電気泳動後、約6kb近傍のDNAを回収した。λファージ
由来のベクターλgtWES・λβのEcoR IアームDNA(BRL
社のより購入)をベクターとして、回収したDNAと結合
(リガーゼ反応)させ、in vitroパッケージング(in v
itroパッケージングキットは宝酒造(株)より購入)に
より遺伝子ライブラリーを作製した。0.5μgの回収DNA
と0.1μgベクターDNAから5×104pfuの遺伝子ライブラ
リーが作製できた。この遺伝子ライブラリーとセリンプ
ロテアーゼcDNAをニックトランスレーション(ニックト
ランスレーションキットは宝酒造(株)より購入)した
DNAをプローブとして、通常のプラークハイブリダイゼ
ーション法〔T.Maniatisら、“Molecular Cloning:A La
boratory Manual"(以下書籍Aと略す)P.312〜328,Col
d Spring Harbor Laboratory(1982年)〕でスクリーニ
ングを行なった。その結果、3個のポジティブクローン
が得られた。そのうちの一つがλMED−2である。
実施例10 λMED−2の塩基配列の決定 λMED−2のEcoR I挿入断片をシークエンス用ベクタ
ーpUC18DNA、またはpUC19DNA(宝酒造(株)より購入)
にサブクローニングし、キロデリーションキット(宝酒
造(株)より購入)を用い適当な欠失変異株を得、それ
ぞれについて7−DEAZAシークエンスキット(宝酒造
(株)を用いたジオデキシシークエンス法により塩基配
列の決定を行なった。その結果を第16図に示す。すなわ
ち、クローンλMED−2の挿入断片のうち、塩基配列を
決定した5292塩基を第16図に示した。CAATボックス、TA
TAボックス、polyA付加シグナルを小さな四角で囲み、
セリンプロテアーゼポリ(A)+RNAのうち、タンパク質
をコードする領域を四角で囲った。プロモーター上流部
分と第3イントロン内に存在する反復配列を矢印のつい
た下線で示した。ただしポリ(A)+RNAの5′末端位置
は数塩基程度の誤差のある可能性がある。
実施例11 ML3細胞、ヒト胎児肺由来正常2倍体繊維芽細胞およ
びMIAPaCa−2細胞の各々を、10%牛胎児血清を含んだR
PMI1640培地(ML3)、10%牛胎児血清を含んだイーグル
MEM培地(ヒト胎児肺由来正常2倍体繊維芽細胞)、ま
たは10%牛胎児血清と2.5%の馬血清を含んだダルベッ
コMEM培地(MIAPaCa−2細胞)で、それぞれ5%炭酸ガ
スのもとで32℃で培養した。2ないし5×108個の細胞
に6Mグアニジンチオシアネート、2%ザルコシル、50mM
トリス塩酸塩(pH7.6)、10mM EDTA、1%β−メルカ
プトエタノールを含んだ溶液16mlを加え、得られた粘稠
溶液を19G注射針の中に5回通した。この細胞ホモジネ
ートを18mlの5.7M塩化セシウム(100mM EDTAを含む)
溶液の上に重層し、35000rpmで一晩25℃で遠心した。遠
心管の底に沈澱したRNAをバッファー液に溶かしフェノ
ール処理後、エタノール沈澱を行なうことによって全RN
Aを得た。これらの操作は、書籍Aの196頁に記載された
方法に準じて行なった。得られた全RNAは200〜600μg
であった。これらの全RNAを同書192〜198頁の方法によ
ってオリゴdTカラムにかけポリ(A)+RNAを得た。これ
らのポリ(A)+RNAを各々10μgをホルムアルデヒド・
アガロースゲル電気泳動にかけ、ニトロセルロースのフ
ィルターに移した。これらの操作は同書202〜203頁の方
法によった。
こうして得られたニトロセルロースフィルターをノザ
ンハイブリダイゼーションで分析した。方法は同書387
〜389頁のサザンハイブリダイゼーションに準じて行な
った。プローブとして、Okano K,らJ.Biochem,102,13〜
16(1987)に記載されたセリンプロテアーゼ(メダラシ
ン)のcDNAをニックトランスレーションの方法(書籍A
の109〜112頁)で、〔α32P〕dCTPでラベルした比活性
約1×108 cpm/μgのものを用いた。プローブの濃度
は、2×106 cpm/mlでハイブリダイゼーションを50%ホ
ルムアミド42℃の条件で行なった。増感スクリーンの存
在下、−70℃でコダック社XAR−5フィルムを一晩感光
させたところ、ML3細胞のRNAを電気泳動したレーンには
約1000塩基の長さのところに明瞭なバンドが観察され
た。しかしながら、他の細胞から得たRNAを泳動したレ
ーンには、認め得るバンドは見られなかった。
産業上の利用可能性 本発明のセリンプロテアーゼは、炎症の発現に関与す
るため炎症阻害剤の開発に重要であり、さらにリンパ
球、単球、NK細胞、及び顆粒球の機能を変化させる作用
がある。従って医療分野において非常に有用である。
また、本発明のセリンプロテアーゼは有用な医薬品と
なり得る。例えば、本発明のセリンプロテアーゼは血栓
溶解作用があるため、汎発性血管内凝固症候群(DIC:di
sseminated intravascular coagulation)の血栓溶解剤
として使用可能である。従来DICの治療に、植物由来の
プロテアーゼであるパパインを使用することがあるが、
作用が強すぎることと、免疫によるアレルギー症状の誘
起等のため危険な副作用が心配されている。この点、本
発明のセリンプロテアーゼはヒト由来の酵素であるため
安全に使用できるという長所がある。さらに他の医薬品
の応用例として、外傷治療段階において、古い皮膚組織
あるいは肉芽状に盛り上がった組織の除去修正を目的と
した外用薬として使用可能である。この場合も、本発明
のセリンプロテアーゼはヒト由来であるため安全であ
る。
さらに、本発明の細胞特異的な遺伝子発現に必要な転
写制御領域のDNA配列は、白血球もしくは赤血球細胞、
なかんずく、これらに由来する培養細胞において外来遺
伝子の発現を特異的に行なわせるために有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:85) (56)参考文献 Analytical Bioche mistry,1(149)(1985),P. 153−162

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1図に示すアミノ酸配列を有するポリペ
    プチドが呈する生物活性を持つセリンプロテアーゼ。
  2. 【請求項2】第1図に示すアミノ酸配列を有するポリペ
    プチドが呈する生物活性を持つセリンプロテアーゼをコ
    ードするセリンプロテアーゼ遺伝子。
  3. 【請求項3】第2図に示すDNA塩基配列を含む請求の範
    囲第2項記載のセリンプロテアーゼ遺伝子。
  4. 【請求項4】第1図に示すアミノ酸配列を有するポリペ
    プチドが呈する生物活性を持つセリンプロテアーゼのN
    −末端に、開裂可能なペプチド又はシグナルペプチドが
    結合してなるセリンプロテアーゼ前駆体。
  5. 【請求項5】第6図に示すアミノ酸配列を有する請求の
    範囲第4項記載のセリンプロテアーゼ前駆体。
  6. 【請求項6】第1図に示すアミノ酸配列を有するポリペ
    プチドが呈する生物活性を持つセリンプロテアーゼのN
    −末端に、開裂可能なペプチド又はシグナルペプチドが
    結合してなるセリンプロテアーゼ前駆体をコードするセ
    リンプロテアーゼ前駆体遺伝子。
  7. 【請求項7】第7図に示すDNA塩基配列を含む請求の範
    囲第6項記載のセリンプロテアーゼ前駆体遺伝子。
  8. 【請求項8】ヒト骨髄由来のセリンプロテアーゼの染色
    体遺伝子に含まれる転写制御領域をコードするDNA配
    列。
  9. 【請求項9】第15図に示す配列またはこれと等価な配列
    を含む請求の範囲第8項記載の転写制御領域をコードす
    るDNA配列。
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