JP2619202B2 - 極性ビニル化合物の精製方法 - Google Patents

極性ビニル化合物の精製方法

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JP2619202B2 JP23501193A JP23501193A JP2619202B2 JP 2619202 B2 JP2619202 B2 JP 2619202B2 JP 23501193 A JP23501193 A JP 23501193A JP 23501193 A JP23501193 A JP 23501193A JP 2619202 B2 JP2619202 B2 JP 2619202B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は極性ビニル化合物の精製
法に関し、さらに詳しくは重合阻害物質と、少なくとも
1個の酸素原子、窒素原子または硫黄原子を有する極性
ビニル化合物との混合物、すなわち、重合阻害物質を含
有する極性ビニル化合物(以下粗極性ビニル化合物とい
う)を0〜100℃で500〜3000気圧に加圧して
極性ビニル化合物の結晶を析出せしめ、加圧下において
極性ビニル化合物の結晶を液相から分離することによっ
て、高純度の極性ビニル化合物を得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビニル化合物をラジカル重合、カチオン
重合、あるいはアニオン重合など付加重合することによ
り数多くの有用な高分子化合物が得られるが、この反応
は連鎖反応であるため、ビニル化合物の製造工程中など
に生成した連鎖停止作用あるいは連鎖移動作用を有する
化合物が含まれていると、重合反応が遅くなったり、分
子量の低下するなど悪影響が生ずる。これらの重合性阻
害物質は極めて微量で重合反応に作用するものが多く、
このため、ビニル化合物に優れた重合性を付与するに
は、これらの重合阻害物質を徹底的に除去する必要があ
る。
【0003】またラジカル重合性のビニル化合物には、
製造中、保管中あるいは輸送中などにおける重合を防ぐ
ため、ビニル化合物の製造中や製造後に、しばしば重合
禁止剤が添加される。したがって、ビニル化合物を重合
する際には添加された禁止剤の量を考慮して重合開始剤
を用いることもあるが、高品質の重合体を得るには、ビ
ニル化合物から重合禁止剤を除去した後、重合すること
が望ましい。
【0004】酸素原子、窒素原子または硫黄原子を有す
るビニル化合物、すなわち、極性基を有するビニル化合
物(極性ビニル化合物)から、重合禁止剤などを除去す
ることは困難であることが多い。蒸留によって極性ビニ
ル化合物を精製しようとすると、極性ビニル化合物は沸
点や融点が比較的高く、このため一般に減圧下でしかも
融点以上で極性ビニル化合物を留出する必要があり、蒸
留の運転条件が著しく制限される場合がある。さらに蒸
留操作中に極性ビニル化合物が重合してしまうおそれも
あり、工業的に実施するには問題がある。
【0005】また極性ビニル化合物を再結晶によって精
製することも行われているが、再結晶溶媒の精製工程や
製品の乾燥工程が必要となり、また、乾燥工程で局部的
な過熱によって極性ビニル化合物のポリマーが生成して
しまうおそれがある。したがって、極性ビニル化合物を
再結晶によって工業的に精製することは、経済的に不利
である。
【0006】ビニル化合物特に極性ビニル化合物の溶液
をイオン交換樹脂や活性炭を充填した塔に通して、重合
阻害物質を吸着、除去する方法は、処理液からビニル化
合物を分離する必要がなく、そのまま重合に用いる場合
には有力であり、極性ビニル化合物の精製に広く用いら
れている。しかし、吸着操作に適し、しかも重合反応に
も適した溶媒を入手性、経済性などを考慮にいれて選択
しなければならず、これらの全ての条件を満たす溶媒を
見出すことは実際上不可能であった。さらに、吸着剤の
再生または交換などを行わねばならず、工業規模では煩
わしさがあった。また、遠隔地に輸送する場合、寒冷地
に貯蔵する場合あるいは用途によっては結晶化されたビ
ニル化合物が要求される場合があり、これらの場合には
上記の精製法の場合と同じ問題が生ずることがあった。
【0007】一方、特公昭56−41282号公報に
は、混合物を高圧に加圧することにより一部の成分を析
出せしめ、加圧下において存在する液相と結晶と分離す
る、いわゆる、圧力晶析法が開示されている。このよう
な圧力晶析法は、特開昭62−209034号公報、特
開平1−250329号公報、特開平4−120027
号公報などに開示されているように、キシレン、ナフタ
レン類、クレゾールなどの位置異性体の分離、あるいは
フェノール類のアルキル化反応液からのアルキル化フェ
ノール類の分離などに用いることができることが知られ
ている。しかし、圧力晶析法を、重合性ビニル化合物に
優れた重合性を付与するとの観点から、ビニル化合物の
精製については用いることは開示されていなかった。
【0008】例えば、N-ビニルカルボン酸アミドは、カ
ルボン酸アミド、アセトアルデヒドおよびアルコールか
らN-(1-アルコキシエチル)カルボン酸アミドを合成し、
これを熱分解または接触分解することによって製造しう
ることが知られている。しかし、N-ビニルカルボン酸ア
ミドと未反応のカルボン酸アミドあるいはN-(1-アルコ
キシエチル)カルボン酸アミドの物性特に沸点や溶解性
が極めて近く、その分離は容易ではなく、これまでいく
つかの方法が提案されている。
【0009】また特開昭61−286069号公報に
は、蒸留ではN-ビニルホルムアミドへの未反応原料であ
るホルムアミドの混入は避けられないため、水と芳香族
炭化水素による抽出分離が開示されている。
【0010】一方、N-ビニルカルボン酸アミドのもう一
つの有力な製造法として、アセトアルデヒドとカルボン
酸アミドからエチリデンビスカルボン酸アミドを合成
し、これをカルボン酸アミドとN-ビニルカルボン酸アミ
ドとに分解することによって得られることが知られてい
る。しかし、このようにしてN-ビニルカルボン酸アミド
を製造しようとすると、物性が類似したカルボン酸アミ
ドとN-ビニルカルボン酸アミドとが等モル生成し、これ
らを分離することは非常に困難となる。そして特開昭6
3−132868号公報には混合有機溶媒からの冷却晶
析による方法、特開平2−188560号公報には無機
塩水溶液と芳香族炭化水素を用いた抽出による方法、米
国特許4401516号明細書には多価アルコールを用
いた抽出蒸留による方法などが開示されている。
【0011】しかし、いずれの場合もこれらの方法で
は、充分な純度のN-ビニルカルボン酸アミドを得ること
は困難である。さらに、抽出法では高価な有機溶媒が必
要であり、これらを回収、精製する設備が必要である。
また、N-ビニルカルボン酸アミドは水に対して比較的不
安定であるため、抽出操作中にN-ビニルカルボン酸アミ
ドの加水分解を引き起こす恐れがあり、工業的に満足の
できる方法ではない。また有機溶媒を用いた冷却晶析に
よる方法は、抽出法と同様に有機溶媒を用いることによ
る問題に加えて、乾燥工程が必要となり、しかもN-ビニ
ルカルボン酸アミドが熱重合する可能性があるという問
題点がある。さらに抽出蒸留法は、有機溶媒を使用する
ため、必要な精留効果を得るには還流比を上げる必要が
あり、このため長時間にわたってN-ビニルカルボン酸ア
ミドを加熱しなければならない。
【0012】このように上述したいずれの方法でも、高
純度で重合性に優れたN-ビニルカルボン酸アミドなどの
極性ビニル化合物を工業的スケールで安定的に効率よく
分離する方法は開示されていない。
【0013】
【発明の目的】本発明は、極性基を有するビニル化合物
から重合阻害物質などの不純物を除去することによって
優れた重合性を有するビニル化合物を製造しうるような
極性ビニル化合物の精製方法を提供することを目的とし
ている。
【0014】
【発明の概要】本発明によれば、重合阻害物質を含有
し、少なくとも1個の酸素原子、窒素原子または硫黄原
子を有する粗極性ビニル化合物を0〜100℃で500
〜3000気圧に加圧して極性ビニル化合物の結晶を析
出させ、加圧下においてこの結晶を液相から分離するこ
とを特徴とする極性ビニル化合物の精製方法が提供され
る。
【0015】
【発明の具体的説明】以下本発明に係る極性ビニル化合
物の精製方法について具体的に説明する。本発明では、
重合阻害物質たとえば重合禁止剤を含有し、少なくとも
1個の酸素原子、窒素原子または硫黄原子を有するビニ
ル化合物(粗極性ビニル化合物)を、圧力晶析法によっ
て処理し、極性ビニル化合物と重合阻害物質とを分離す
ることによって、極性ビニル化合物を精製している。
【0016】本発明における晶析圧力は500〜300
0気圧であり、特に1000〜2000気圧が好まし
い。晶析圧力が500気圧より低いと、得られる極性ビ
ニル化合物の重合度は大幅には向上せずに1回の晶析操
作によって得られる結晶の量が少なく生産性が低いため
に経済的に不利となる。一方、3000気圧より高い圧
力で晶析操作を行っても大幅な晶析量の増加は得られ
ず、また得られる極性ビニル化合物の純度が低下し重合
性の向上も小さくなる。また、このような高圧に耐えう
るような装置は大型となり高価である。
【0017】一般に、粗極性ビニル化合物の圧力晶析操
作を効率よく行うためには、粗極性ビニル化合物を低温
にすると低い圧力で行うことができるが、高温にすると
高い圧力が必要となる。
【0018】本発明においては、粗極性ビニル化合物を
予め0〜100℃好ましくは10〜70℃に調整した
後、粗極性ビニル化合物を圧力晶析装置(加圧筒)に導
入する。圧力晶析装置の加圧筒の温度は、粗極性ビニル
化合物を加圧すると断熱圧縮と晶析熱とによってわずか
に上昇するが、この温度上昇を考慮して極性ビニル化合
物の晶析温度を設定するとよい。晶析温度が0℃より低
いと、粗極性ビニル化合物の濃度が高くなりすぎて流動
性が低下し、粗極性ビニル化合物を加圧筒に導入するの
が困難になる。一方粗極性ビニル化合物を100℃より
高く加熱すると、ビニル化合物の熱重合や変質が起こり
始め、品質や収量低下を引き起こす。
【0019】本発明において加圧筒に導入される粗極性
ビニル化合物は、液体であってもよく、また種晶を含む
スラリーであってもよいが、以下の理由から種晶を含む
スラリーが好ましい。すなわち圧力晶析装置の加圧筒に
圧力を加えると、粗極性ビニル化合物は急速に圧力を高
められ、しかも、圧力エネルギーは液相を均一に音速で
伝わる。したがって、加圧筒に供給された粗極性ビニル
化合物中に種晶が含まれていないと、加圧しても極性ビ
ニル化合物は過飽和の状態となり、充分に結晶が生成し
ないことがある。そのため、圧力晶析に先だって粗極性
ビニル化合物を種晶の生成に充分な温度と時間に保って
予め極性ビニル化合物の結晶を生成させておくか、また
は粗極性ビニル化合物の一部を分流させ、これを冷却し
て結晶を生じさせ、この結晶を含んだ粗極性ビニル化合
物と、粗極性ビニル化合物とを混合するか、あるいは外
部から粗極性ビニル化合物に種晶を添加することが望ま
しい。
【0020】一般に圧力晶析では冷却晶析に比べて晶析
速度が大きく、平衡に近い状態に達するまでの時間は短
いが、1回の加圧当たりの晶析量を最大にするため完全
に平衡状態に至るまで加圧状態を保持することが好まし
い。極性ビニル化合物は比較的結晶性が高いので、加圧
状態での保持時間は5分以内好ましくは3分以内であ
る。
【0021】本発明においては、加圧下において固相
(結晶)として析出した極性ビニル化合物と、重合阻害
物質(不純物)が濃縮された液相とを分離することによ
って、優れた重合性を有する高純度の極性ビニル化合物
が得られるが、固相と液相とを分解する際の圧力は10
00〜2000気圧が好ましく、晶析圧力よりやや低い
圧力で分離される。この過程で結晶の一部が残存してい
る液相(母液)に溶解、発汗し、極性ビニル化合物の結
晶中に含まれる不純物が母液中に排出されるため、得ら
れる極性ビニル化合物は、一層重合性に優れたものとな
る。
【0022】本発明で使用される粗極性ビニル化合物
は、少なくとも1個の酸素原子、窒素原子または硫黄原
子を有する極性ビニル化合物と、該ビニル化合物の重合
阻害物質とを含有している。
【0023】上記のような極性ビニル化合物としては、
例えば、次の一般式(1)、(2) 、または(3)の化合物が挙
げられる。 CH2=CHNR1COR2 (1) (式中、R1およびR2 はそれぞれ独立に水素原子また
はメチル基を示す。) CH2=CR1COOR2 (2) (式中、R1は水素原子、メチル基、またはシアノ基を
示し、R2は水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜5の
アルキル基または水酸基、ジアルキルアミノ基もしくは
第4級アンモニウム基で置換された低級アルキル基を示
す。) CH2=CR1CONR23 (3) (式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2およ
びR3はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアル
キル基または水酸基、ジアルキルアミノ基、スルフォン
酸基もしくは第4級アンモニウム基で置換された低級ア
ルキル基を示す。) さらに、水酸基、アミノ基などで置換されている芳香族
系ビニル化合物も本発明で使用することができる。
【0024】このような極性ビニル化合物としては、具
体的には、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチル
アセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-メチル-N-ビ
ニルホルムアミドなどのN-ビニルカルボン酸アミド、N-
メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-イ
ソプロピルアクリルアミド、モノメチロールアクリルア
ミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリ
ルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N'-メチレ
ンビスアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプ
ロパンスルホン酸またはそのナトリウム塩、N-メチロー
ルアクリルアミドなどのアクリルアミド、およびメタク
リルアミド誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、イタコ
ン酸、ペンタエリスリトールモノアクリレートなどのア
クリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、無水マ
レイン酸、α-シアノアクリル酸エチル、o-,m-,p-ヒド
ロキシスチレン、o-,m-,p-アミノスチレン、n-ビニルカ
ルバゾールなどが挙げられる。
【0025】本発明で使用される粗極性ビニル化合物に
含有される重合阻害物質は、極性ビニル化合物(モノマ
ー)の重合に悪影響を与え、または重合性を阻害する物
質である。このような重合阻害物質としては、ある期間
極性ビニル化合物の重合を全く起こさせない重合禁止剤
(物質)、重合速度を遅らせる重合抑制剤(物質)、分
子量の低下を招く連鎖移動剤(物質)などが挙げられ、
特に制限はない。重合性阻害物質として例示すれば、次
のものが挙げられる。 (1)生長ラジカルと容易に−電子移動反応を行うよう
な金属塩など。
【0026】鉄(III)塩、銅(II)塩など。 (2)1次ラジカルまたは生長ラジカルと容易に連鎖移
動反応をおこし、安定ラジカルを生成する化合物。
【0027】ヒドロキノンなどフェノール性水酸基を有
する化合物、芳香族アミン、アリル化合物、ベンジル化
合物など。 (3)1次ラジカルまたは生長ラジカルと容易に付加反
応を起こして安定なラジカルを生成する化合物。
【0028】酸素、ベンゾキノン、ニトロソ化合物な
ど。本発明で用いられる粗極性ビニル化合物は、粗極性
ビニル化合物中の極性ビニル化合物の含有率は大きいほ
ど好ましく、40重量%以上の量で含むことが好まし
く、特に70重量%以上の量で含むことが好ましい。粗
極性ビニル化合物中に含まれる重合阻害物質以外の成分
としては特に制限はない。粗極性ビニル化合物中の極性
ビニル化合物の含量が40重量%に満たないと、極性ビ
ニル化合物の回収率が悪く、また、得られる極性ビニル
化合物の重合性が満足できるレベルに達していないこと
が多い。
【0029】このような粗極性ビニル化合物は、例え
ば、特開昭61-106546号公報(エチリデンビス
アセトアミドの熱分解法)、特開昭50−76015号
公報(2級N-ビニルカルボン酸アミドの製法)などに記
載された方法に得られるが、N-ビニルカルボン酸アミド
の含量が50重量%以上であれば、これらの方法の熱分
解生成物をそのまま用いても良いし、蒸留操作でN-ビニ
ルカルボン酸アミドを濃縮、あるいは留出してN-ビニル
カルボン酸アミドの含量を上げたものを用いてもよい。
これらの精製操作を行った粗極性ビニル化合物を用いる
と、当然極性ビニル化合物の回収率が向上するし、純
度、重合性も向上するので望ましい。
【0030】極性ビニル化合物としてのN-ビニルカルボ
ン酸アミドは、水に対して不安定であり、空気中の水分
を吸湿して徐々に分解する。特に、酸が存在すると極め
て不安定で加水分解されてしまう。したがって、極性ビ
ニル化合物としてN-ビニルカルボン酸アミドを用いる場
合には、加圧分離装置および原料槽を含めた圧力晶析装
置さらに、製品容器、濾液槽などの付帯設備は、窒素や
乾燥空気などの雰囲気下に保つことが望ましい。またN-
ビニルカルボン酸アミドの加水分解反応を防ぐために、
粗極性ビニル化合物中に少量の硫酸マグネシウムなどの
乾燥剤や重曹などの塩基性物質を添加してもよい。
【0031】上記のようにして粗極性ビニル化合物を圧
力晶析することによって得られる液相には、重合性阻害
物質の他に、ビニル化合物の合成原料、溶媒などが含ま
れているが、ビニル化合物自身もかなり含まれている場
合がある。したがって、この液相をそのまま廃棄しても
よいが、ビニル化合物の反応工程など前工程に回送して
再度用いてもよい。また、この液相からさらに圧力晶
析、冷却晶析または蒸留などの処理でビニル化合物を回
収しても良い。これら2次回収物が充分な重合性を示さ
ない場合には、粗極性ビニル化合物と混合して圧力晶析
工程に戻してもよい。
【0032】本発明に係る極性ビニル化合物の精製方法
によって得られる極性ビニル化合物が優れた高重合性を
有する理由は明かでないが、圧力晶析による発汗作用の
他に加圧下の共晶点が冷却晶析の際の共晶点と比べてビ
ニル化合物の晶析に有利であること、比較的低温で短時
間の分離処理を行うため熱によるビニル化合物の劣化が
起こらないこと、得られた結晶が円筒形に固められ表面
積が小さいために吸湿や酸化などによる劣化がされにく
いことなどが考えられる。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、重合阻害物質を含有す
る粗極性ビニル化合物から高純度で重合性に優れた極性
ビニル化合物を容易に効率よく製造することができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例と比較例を挙げてさら
に詳しく説明するが、本発明は下記の例によって何ら限
定されるものではない。
【0035】
【実施例1】銅含有触媒を用いて、アクリロニトリルの
接触水和によりアクリルアミド含有反応液を得た。この
反応液を常法に従って、アクロニトリルを留去し、濃度
50重量%のアクリルアミド水溶液を得た。
【0036】このアクリルアミド水溶液(I)を10℃ま
で冷却後、圧力晶析容器内で1800kg/cm2 、10℃
に保ち、アクリルアミドの結晶を析出させ、これから結
晶を液相(母液)から分離した。このようにして純度9
9.9%のアクリルアミドが得られた。
【0037】得られたアクリルアミドの重合性を評価す
るため、水を加えて20重量%にし、V−50(N,N'-
アゾビス-(2-アミジノプロパン)2塩酸塩を600ppm
加え、45℃恒温水槽に浸した。10分後、水で10重
量%に希釈しBL型粘度計を用いて、30℃回転数30
RPMで粘度を測定したところ120cpsであった。
【0038】
【比較例1】実施例1で得られた50%アクリルアミド
水溶液(I)を5℃に冷却し、晶析したアクリルアミドを
濾別後、40℃で6時間真空乾燥した。得られたアクリ
ルアミドには銅イオン10PPM、ポリマーが0.5%含ま
れ、実施例1と同様にして行った重合性評価結果は粘度
が5cpsであった。
【0039】
【比較例2】実施例1で得られた50%アクルアミド水
溶液を強酸性カチオン交換樹脂により脱銅した後、苛性
ソーダで中和し、濃度50%のアクリルアミド水溶液を
得た。実施例1と同様にして行った重合性評価結果は粘
度が85cpsであった。
【0040】
【実施例2】攪拌機、冷却器、温度計付き4つ口フラス
コに50重量%アクリルアミド水溶液640g(4.5
モル)と0.1N水酸化ナトリウム水溶液11.7mlを入
れ、30℃に調整した。このフラスコに水酸化ナトリウ
ムでギ酸を中和した37重量%ホルムアルデヒドを
(3.8モル)攪拌しながら添加した。4時間後、N-メ
チロールアクリルアミドの生成率は75%であった。こ
の反応液を0.1Nリン酸二水素ナトリウムで中和し
た。
【0041】この中和反応液(II)を20℃に冷却し、圧
力晶析容器内で1800kg/cm2 、20℃に保ち、N-メ
チロールアクリルアミドの結晶を析出させ、この結晶を
液相(母液)から分離した。このようにして純度99.
9%のN-メチロールアクリルアミドが得られた。
【0042】このN-メチロールアクリルアミドの重合性
を評価するため、水を加えて20重量%にし、V−50
(N,N'-アゾビス-(2-アミジノプロパン)2塩酸塩を6
00ppm加え、45℃恒温水槽に浸した。10分後、水
で10重量%に希釈しBL型粘度計を用いて、30℃回
転数30RPMで粘度を測定したところ150cpsであっ
た。
【0043】
【比較例3】実施例2で得られた中和反応液(II)の重合
性を評価するため、水を加えて20重量%にし、実施例
2と同様にして粘度を測定したところ10cpsであっ
た。
【0044】
【実施例3】温度計およびドライアイス−エタノールト
ラップを具備した三つ口フラスコ(200ml)にアセト
アミド5.9g(0.1モル)、イソプロピルアルコール
40g(0.67モル)、エチリデンビスアセトアミド
2.16g(15ミリモル)、アセトアルデヒドジイソ
プロピルアセタール14.6g(0.1モル)を加え、4
5〜48℃で均一になるまで攪拌、溶解した。濃硫酸
0.43g(仕込み量に対して0.1重量%)をイソプロ
ピルアルコール2g(33ミリモル)に溶解(以下の実
施例も同様)した液を加え攪拌後、アセトアルデヒド
1.76g(0.4モル)を滴下ロートで3分かけて加え
た。滴下終了後50℃で3時間反応を行い触媒を中和し
た後、ガスクロマトグラフィーで定量したところアセト
アミド転化率88%、N-(α-プロポキシエチル)アセト
アミドの選択率94%であり、副生物のエチリデンビス
アセトアミドの選択率5.3%であった。アセタールの
生成量の増減は反応30分〜3時間の範囲で添加量の1
ミリモル減少し、エチリデンビスアセトアミドは平衡に
なった。得られた反応液から減圧蒸留でN-(α-プロポキ
シエチル)アセトアミドを得、450℃、滞留時間1秒
でN-ビニルアセトアミドをイソプロピルアルコールとに
熱分解した。
【0045】このようにして得られた熱分解液(III)を
20℃に冷却し、圧力晶析容器を用いて1800kg/cm
2 、20℃に保ち、N-ビニルアセトアミドの結晶を析出
させ、この結晶を液相(母液)から分離した。純度9
9.9%のN-ビニルアセトアミドが得られた。このN-ビ
ニルアセトアミドの重合性を評価するため、水を加えて
20重量%にし、V−50(N,N'-アゾビス-(2-アミジ
ノプロパン)2塩酸塩を600ppm加え、45℃恒温水
槽に浸した。10分後、水で10重量%に希釈しBL型
粘度計を用いて、30℃回転数30RPMで粘度を測定し
たところ130cpsであった。
【0046】
【比較例4】実施例3で得られた熱分解液(III)を20
段のオールダーショー型精留装置を用いて還流比2、3
torrで減圧蒸留し、純度97.5%のN-ビニルアセトア
ミドが得られた。実施例3と同様にしてN-ビニルアセト
アミドの重合性評価試験を行ったところ、粘度は40cp
sであった。
【0047】
【実施例4】N-ビニルアセトアミド87重量%、N-(α-
メトキシエチル)アセトアミド9重量%、アセトアミド
4重量%からなる混合物(IV)を20℃に冷却し、圧力晶
析容器内で1800kg/cm2 、50℃に保ち、N-ビニル
アセトアミドの結晶を析出させ、この結晶を液相(母
液)から分離した。このようにしてN-(α-メトキシエチ
ル)アセトアミドを600ppm、アセトアミドを300pp
m含む純度99.9%のN-ビニルアセトアミドが回収率5
0%で得られた。
【0048】このN-ビニルアセトアミドの重合性を評価
するため、水を加えて20重量%にし、V−50(N,N'
-アゾビス-(2-アミジノプロパン)2塩酸塩を600ppm
加え、45℃恒温水槽に浸した。10分後、水で10重
量%に希釈しBL型粘度計を用いて、30℃回転数30
RPMで粘度を測定したところ150cpsであった。
【0049】
【比較例5】理論段数20段を有する5mmスルーザー型
充填材を充填した精留塔に上から10段目に、実施例4
で用いられたN-ビニルアセトアミドを主成分とする混合
物(IV)を塔底に接続した加熱釜に仕込み、減圧度2mmH
g、還流比3で精留を行った。塔頂からN-(α-メトキシ
エチル)アセトアミドを7重量%、アセトアミドを4重
量%含む純度89%のN-ビニルアセトアミドが得られ
た。
【0050】得られた留分について実施例4と同様にし
て重合性評価試験を行ったところ、粘度は50cpsであ
った。
【0051】
【実施例5】プロピレンの気相酸化反応で合成されたア
クリル酸に、水による吸収工程、水溶液の酢酸ブチルに
よる抽出工程、共沸蒸留工程、精留工程を加えて得られ
た粗アクリル酸(V)には、アクロレイン500ppb、酢酸
2000ppm 、ベンズアルデヒド1500ppb、フルフ
リルアルデヒド700ppb、プロピオン酸400ppm、ア
クリル酸ダイマー2000ppmが含まれていた。
【0052】この粗アクリル酸を15℃に冷却し、圧力
晶析容器内で1800kg/cm2 、18℃に保ち、アクリ
ル酸の結晶を析出させ、この結晶を液相(母液)から分
離したところ、純度99.9%のアクリル酸が回収率7
5%で得られた。このアクリル酸には、アクロレイン1
0ppb 、酢酸25ppm、ベンズアルデヒド110ppb、フ
ルフリルアルデヒド5ppb、プロピオン酸30ppm、アク
リル酸ダイマー15ppmが含まれていた。
【0053】このアクリル酸の重合性を評価するため、
試験管中で水を加えて20重量%にし、V−50(N,N'
-アゾビス-(2-アミジノプロパン)2塩酸塩を2重量%
加え、45℃恒温水槽に浸した。10分後、アクリル酸
水溶液の温度は46.5℃に上昇した。
【0054】
【比較例6】実施例5で得られた粗アクリル酸(V)を4m
mHg、60℃で減圧蒸留を行った。この蒸留アクリル酸
にはアクロレイン300ppb、酢酸600ppm、ベンズア
ルデヒド400ppb、フルフリルアルデヒド500ppb、
プロピオン酸300ppm、アクリル酸ダイマー150ppm
が含まれていた。このようにして蒸留によって精製され
たアクリル酸に対して、実施例5と同様にして重合性の
評価を行ったところ、45℃恒温水槽に浸してから15
分経過してもアクリル酸水溶液の温度は46℃に上がら
なかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 233/27 C07C 233/27 233/38 233/38 255/23 255/23 309/69 309/69 (72)発明者 中 村 仁 至 大分県大分市大字中の洲2 昭和電工株 式会社大分研究所内 (72)発明者 ト 部 克 文 兵庫県神戸市中央区脇浜町1丁目3番18 号 株式会社神戸製鋼所 神戸本社内 (72)発明者 吉 田 紳 吾 兵庫県神戸市中央区脇浜町1丁目3番18 号 株式会社神戸製鋼所 神戸本社内

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合阻害物質を含有し、少なくとも1個
    の酸素原子、窒素原子または硫黄原子を有する粗極性ビ
    ニル化合物を、0〜100℃で500〜3000気圧に
    加圧して極性ビニル化合物の結晶を析出せしめ、加圧下
    において極性ビニル化合物の結晶と液相とを分離して高
    純度の極性ビニル化合物を得ることを特徴とする極性ビ
    ニル化合物の精製方法。
  2. 【請求項2】 極性ビニル化合物が一般式(1)で示され
    る化合物であることを特徴とする請求項1の精製方法。 CH2=CHNR1COR2 (1) (式中、R1およびR2 はそれぞれ独立に水素原子また
    はメチル基を示す。)
  3. 【請求項3】 極性ビニル化合物が一般式(2)で示され
    る化合物であることを特徴とする請求項1の精製方法。 CH2=CR1COOR2 (2) (式中、R1は水素原子、メチル基、またはシアノ基を
    示し、R2は水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜5の
    アルキル基または水酸基、ジアルキルアミノ基もしくは
    第4級アンモニウム基で置換された低級アルキル基を示
    す。)
  4. 【請求項4】 極性ビニル化合物が一般式(3)で示され
    る化合物であることを特徴とする請求項1の精製方法。 CH2=CR1CONR23 (3) (式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2およ
    びR3はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアル
    キル基または水酸基、ジアルキルアミノ基、スルフォン
    酸基もしくは第4級アンモニウム基で置換された低級ア
    ルキル基を示す。)
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