JP2617835B2 - 塗料密着性に優れた潤滑めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
塗料密着性に優れた潤滑めっき鋼板の製造方法Info
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Description
且つ塗料密着性等の表面特性に優れたプレス加工後皮膜
を除去することなく使用する潤滑めっき鋼板の製造方法
に関する発明である。
製品に代わって、薄い有機皮膜を被覆した表面処理鋼板
が使用されている。この鋼板は下地に亜鉛系のめっき皮
膜を有し、その上に有機皮膜を被覆したもので、溶接が
でき、密着加工性および耐食性に良好な特性をもってい
る。
のめっき鋼板の上にクロメート皮膜処理を行い、水性樹
脂にシリカとガラス転移点(Tg点)が40℃以上のワ
ックスを分散した樹脂塗料をドライ膜厚で0.3〜3g
/m2 被覆したものが開示されている。また、特開平3
−28380号公報には、電気亜鉛めっき鋼板の上にク
ロメート処理を行い、カルボキシル化したポリエチレン
樹脂とテフロン潤滑剤からなる塗料をドライ膜厚で0.
5〜4.0g/m2 被覆して得られる潤滑鋼板が開示さ
れている。これらの表面処理鋼板は、めっき、クロメー
ト、有機皮膜の複合効果によって潤滑性、耐食性、溶接
性、塗料密着性を与えるもので、生産性や品質改良を目
的として現在も活発に開発が進められている。
加工製品については幅広く適用されている。しかしなが
ら、近年の徹底したコスト削減、省力化、環境問題を解
決するため、プレス油を塗布することなく高速で深い絞
り加工分野への対応が可能な潤滑特性を有し、プレス後
脱脂することなくそのままプレコート塗装鋼板として使
用する用途については十分とは言えない。この要求に答
えるためには性能バランスが良く、高品質で低コスト製
品でなければならない。従来技術は、潤滑性については
改善されている。しかし、他の性能、例えば上塗り塗料
密着性、耐食性や溶接性に関してはより改善が必要であ
る。また、製造面では塗料の安定性の問題がある。即ち
塗料を構成する水性樹脂、潤滑剤およびシリカゾルがい
ずれも分散体であり、それぞれ単独では安定であるが、
混合すると凝集しやすい問題がある。また、塗装におい
ては新たに設備化するとコストアップになるため、既存
のめっきライン内で簡単な製造条件で生産できる塗料で
ある必要がある。これらの問題を全て解決した製造方法
はいまだ確立されていない。
鋼板の表面にCr換算で5〜100mg/m2 のクロメ
ート処理を行ったのち、その上層にシリカを水性樹脂1
00重量部に対して固形分で10〜70重量部、下記ポ
リオレフィンワックスディスパージョンをワックスとし
て2〜30重量部の割合で含有する潤滑塗料をドライ付
着量として0.5〜5.0g/m2 被覆し、ただちに到
達板温90〜200℃に焼付けて冷却することを特徴と
する塗料密着性に優れた潤滑めっき鋼板の製造方法であ
る。 記 〔ポリオレフィンワックスディスパージョン〕エチレン
系不飽和カルボン酸もしくはその無水物またはカルボキ
シル基含有誘導体を結合成分として含む極性基を有する
分子量が1000〜4000、酸価1〜20のポリオレ
フィンワックスを5%以下の乳化剤で水または水溶液に
分散させた直径が3μm以下の球形のポリオレフィンの
ディスパージョン。
き、溶融めっき、蒸着めっきで製造される亜鉛めっき鋼
板、亜鉛合金めっき鋼板、分散めっき鋼板、重ねめっき
鋼板、アルミニウムおよびアルミニウム合金めっき鋼板
を包含するものである。めっき量は特に限定する必要が
ないが、本発明では5〜100g/m2 が望ましい。冷
延鋼板に上記の既存の方法でめっきを行った後、クロメ
ート処理を行う。クロメート付着量はCr換算で5〜1
00mg/m2 である。クロメート処理の種類は、電解
クロメート、エッチングクロメート、塗布クロメートの
いずれも本発明に適用できるが、水性塗料を塗装する時
点でクロメート皮膜が溶解しにくく且つ板温の低い電解
もしくはエッチングクロメートが望ましい。Cr付着量
を限定した理由は、Crが5mg/m2 未満では耐食性
が得られにくく、100mg/m2 超ではクロメート自
身の凝集破壊が生じ、密着性が得られないためである。
に説明する。
食性、塗料密着性)に優れためっき鋼板の製造方法であ
る。従来、潤滑皮膜にワックスを適用することは公知で
あるが、残念ながら、ワックスの化学的に不活性な特性
から表面特性が得られず、また、高濃度の乳化剤を用い
て分散せた塗料を得るため皮膜中に乳化剤が残存し、表
面特性の良好な皮膜が得られない欠点があった。本発明
はこの難しい問題を解決した。
を含まない水性樹脂、シリカゾル、および反応性に富む
ポリオレフィンワックスディスパージョンを成分とする
ものである。水性樹脂としてはオレフィンアクリル樹
脂、ポリオレフィンアイオノマー、エポキシ樹脂、ウレ
タンエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、
酢酸ビニール樹脂を用いることができる。特にオレフィ
ンアクリル樹脂、ポリオレフィンアイオノマー、ウレタ
ンエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
リカゾルを10〜70およびワックスを2〜30重量部
の範囲とする。シリカゾルの役割は、皮膜耐食性および
皮膜強度を改善し、プレス加工時の発熱に対する樹脂の
耐熱性を改善することである。シリカゾルの樹脂100
に対する重量比が10未満では耐食性が得られず、70
超では皮膜が硬く伸びないため加工に追従できなくな
り、プレス性が低下する。樹脂100に対するシリカゾ
ルの好ましい重量比範囲は30〜50である。また、シ
リカゾルの形状は細かい粒子が好ましく、直径5〜50
nmの球形シリカゾル、または直径5〜50nmで長さ
/太さ比が1〜5に化学的に結合させた線状シリカを使
用する。シリカゾルの直径が5nm未満では塗料の安定
性が実用範囲を越えるため好ましくなく、50nm超で
はプレス加工でかじりが発生しやすい。ポリオレフィン
ワックスは潤滑性を付与するためのものである。ポリオ
レフィンワックスの濃度はプレス加工の程度によって異
なり限定することは難しいが、高速クランクプレス用途
については上述した濃度比とする。即ち、樹脂100に
対してポリオレフィンワックス2未満では高速の深絞り
加工に対して十分な特性が得られにくく、ポリオレフィ
ンワックス30超では表面特性、特に上塗り塗料密着性
が低下する。樹脂100に対するポリオレフィンワック
スの好ましい重量比範囲は5〜20である。
て、従来のワックスとは異なり表面特性に優れ且つ水性
樹脂液に均一に分散しやすいポリオレフィンワックスデ
ィスパージョンを用いる。このポリオレフィンワックス
ディスパージョンは、エチレン系不飽和カルボン酸もし
くはその無水物またはカルボキシル基含有誘導体を結合
成分として含む極性基を有する酸価1〜20、分子量1
000〜4000のほぼ球形のポリオレフィンワック
ス、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワッ
クス、ポリブチレンワックスを乳化剤濃度を5%以下、
好ましくは乳化剤を用いることなく水または水溶液に分
散させて得られる直径が3μm以下の球形のポリオレフ
ィンのディスパージョンである。
ることなく、極性基を付与したポリオレフィンで化学的
反応性を確保し、水溶液に分散させて真球に近い形状の
融点が高い特徴を持つ潤滑剤である。
ンワックスを酸素、オゾンあるいは硝酸等の酸化剤で酸
化処理することによって得られる酸化ポリオレフィンワ
ックス、あるいはアクリル酸、メタアクリル酸、クロト
ン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のエチレ
ン系不飽和カルボン酸モノマーとポリオレフィンワック
スとをベンゾール等で溶解し、重合開始剤(パーオキサ
イド、レドックス、重金属触媒等)と共に窒素気流中で
加熱してグラフト化して得る。
と融点である。理想的には2000〜4000とする。
変性ポリオレフィンの酸価は、表面特性および分散性の
観点から限定する。酸価1未満では塗料密着性が得られ
ず、酸価20超では摩擦抵抗が大きくプレス性が劣化す
る。ポリオレフィンの好ましい酸価の範囲は5〜10で
ある。分散粒子の直径を限定した理由は、3μm超では
表面が粗面となり、生産面においてロールへのビルドア
ップが生じやすいからである。好ましい平均直径は0.
1〜1.0μmである。余り小さいと表面特性が低下す
る傾向がある。
る。
ライ付着量として0.5〜5.0g/m2 塗布し、ただ
ちに到達板温90〜200℃に焼付けて皮膜化する。ド
ライ付着量を限定したのは、潤滑性、耐食性ともにドラ
イ付着量に比例して向上し、ドライ付着量0.5g/m
2 未満では潤滑性、耐食性が得られず、ドライ付着量
5.0g/m2 超では溶接できず、また生産面において
ロールへのビルドアップや、急速加熱による泡立ちが発
生しやすく実用的ではないからである。最も好ましいド
ライ付着量は1〜3g/m2 である。塗布方法はロール
コーター、エアーナイフコーター、静電塗装等の既存の
方法を採用できる。
ては、できるだけ短時間に焼き付ける急速加熱方法によ
り良好な結果が得られる。即ち、塗装後数秒以内に焼き
付け炉に入れ、10秒以内に到達板温90〜200℃に
焼き付ける方法が好ましい。その理由は、前述したよう
に本発明の目的とする表面特性の優れた潤滑皮膜を得る
ためワックスの表面濃化を抑制するためである。従来の
ワックス含有塗料は表面に不活性なワックスが浮いて表
面を占有し、上塗り塗料密着性が得られない。焼付方法
としては熱風、赤外線、誘導加熱、ガス直火炉、電気炉
等の公知の方法を採用できるが、前述したように急速加
熱焼付方法が望ましい。
メラミン、アミン等の架橋剤やシランカップリング剤、
顔料等を加えることができる。
である。実施例の記号と内容は表1の通りである。
8mm)の表面に市販のエッチングクロメート処理を行
い、水洗後表2に示す潤滑塗料をロールコーターにて塗
布したのち、2秒以内にガス直火炉に入れ5秒で板温1
50℃に焼付け、水冷して潤滑めっき鋼板を作成した。
係数、および角筒クランクプレスにて「かじり」を評価
した。動摩擦係数は、直径10mmの鋼球に荷重を10
0g負荷し、100mm/分で移動させ、ロードセルに
て張力(g)を測定し、張力/荷重で計算して求めた。
クランクプレスの条件は、しわ抑え圧6トンで粗板
(0.8×220×180mm)を65×115mm、
高さ50mmに成形し、粘着テープ(ニチバンセロテー
プ)にて側面を剥離し、模造紙に貼り色差計にて明度
(L)を測定し、粘着テープを直接模造紙に貼付けたブ
ランクの明度(L2 )との差(L2 −L)をΔL値で示
した。耐食性は塩水噴霧試験で白錆が面積率5%発生し
た時間、塗料密着性は市販のメラミンアルキッド樹脂塗
料をドライ付着量で20g/m2 塗布し、熱風120℃
20分焼付け、エリクセン試験機で9mm絞ったのち粘
着テープ(ニチバンセロテープ)にて剥離し、目視評価
(剥離面積率)した。また、連続スポット溶接性は、試
験板200×300mmを2枚合わせて20mm間隔で
電流9kA、加圧力250kgf、電極先端径4.5m
m、通電時間12サイクル条件でスポット溶接を行い、
溶接可能な点数で評価した。結果を表2に示す。
5、1.0、2.0、3.0g/m2 に変化させた本発
明例で、膜厚が厚いほど摩擦係数が低く、クランクプレ
スのかじりも殆どなく良好な潤滑性を示す。耐食性は膜
厚に比例して優れる。しかし、溶接性においてはNo.
1、2は良好な結果を得たが、膜厚の厚いNo.3、4
は溶接しにくい。
せた本発明例で、塗布量の少ないNo.5は耐食性がや
や低下し、高付着量のNo.6は塗料密着性で少し剥離
するが、いずれも良好な結果を得た。シリカの含有率の
低いNo.7は耐食性でやや低く、シリカの含有率の高
いNo.8は摩擦係数がやや高く、プレスかじりが認め
られたが、両者共実用的レベルにある。
ワックスの含有率を変えた本発明例で、ワックス含有率
の低いNo.9はプレス性においてかじりが発生した。
ワックス含有率を上げていくとプレス性のかじりが改善
され、No.11は良好なプレス結果を得た。No.1
1は若干塗料密着性で剥離する傾向があった。
リオレフィンワックスを用いた比較例で、塗料密着性が
全く得られない。
ス潤滑剤の酸価を変えた本発明例である。酸価が高くな
ると塗料密着性が向上するが、プレスでかじり易くな
る。No.13、14は実用可能レベルにあるが、比較
例のNo.16はかじりが大きすぎる。No.15はワ
ックスの粒径3μmの例で、耐食性、密着性でやや低下
しているがプレス性は良好であり、実用可能である。N
o.17は高分子量のポリオレフィン樹脂の比較例で、
プレス性が得られない。No.18は逆に低分子量のオ
レフィンの比較例で、全般的に性能が悪い。
g/m2 の電気亜鉛めっきを行い、その表面をクロム酸
/硫酸=30/0.3g/l浴中で電流密度10A/d
m2 、2秒間電解後水洗してCr付着量60mg/m2
被覆し、表3に示す水性樹脂の異なる潤滑塗料をロール
コーターにて塗布し、ただちに樹脂によって異なる板温
120〜170℃にガス直火炉にて焼き付け、水冷して
潤滑めっき鋼板を作成した。評価は実施例1に準じて行
い、得た結果を表3に示す。
o.20はポリエチレンアイオノマーの本発明例で、バ
ランスのとれた良好な性能を示す。No.21はスチレ
ンアクリル樹脂の本発明例で、プレス性で少しかじりが
発生した。No.22はポリエステル樹脂の本発明例
で、良好な結果を得た。No.23は水性樹脂が酢酸ビ
ニールの本発明例で、実用可能範囲にあるが全般的に性
能が低い。No.24〜26はエポキシ樹脂を使用し、
焼付板温を変えた本発明例で、良好なプレス性、耐食
性、塗料密着性を得たが、板温の低いNo.24は耐食
性能が低下し、板温が高いNo.26は耐食性に優れて
いるが反面プレス性でかじりが発生しやすい。No.2
7、28はシリカの種類を変えた本発明例で、シリカ粒
径の大きいNo.28は塗料密着性で剥離しやすいが、
ほぼバランスのある性能を得た。
0g/m2)に電解クロメートを、溶融亜鉛めっき鋼板
(めっき量40g/m2)の表面に市販の塗布クロメー
トを、夫々Cr付着量50mg/m 2 で行い、表2に示
すNo.2の条件で潤滑めっき鋼板を作成した(No.
29、30)。
クプレスでかじりが殆ど無く(ΔL=0)、耐食性は1
000時間、塗料密着性も良好な結果を得た。No.3
0は摩擦係数0.08、プレスかじりはΔL=−0.
9、耐食性は500時間、塗料密着性は2%と略良好な
結果を得た。
プレス油を塗布することなく深絞りができ、さらに皮膜
を除去することなくそのまま耐食性皮膜、塗装下地めっ
き鋼板として使用できることから、脱脂工程の省略、脱
脂用溶剤蒸発による環境破壊の防止、職場の環境改善等
のメリットがあり、トータルコストをミニマム化できる
高品質表面処理鋼板である。
Claims (3)
- 【請求項1】 めっき鋼板の表面にCr換算で5〜10
0mg/m2 のクロメート処理を行ったのち、その上層
にシリカを水性樹脂100重量部に対して固形分で10
〜70重量部、下記ポリオレフィンワックスディスパー
ジョンをワックスとして2〜30重量部の割合で含有す
る潤滑塗料をドライ付着量として0.5〜5.0g/m
2 被覆し、ただちに到達板温90〜200℃に焼付けて
冷却することを特徴とする塗料密着性に優れた潤滑めっ
き鋼板の製造方法。 記 〔ポリオレフィンワックスディスパージョン〕エチレン
系不飽和カルボン酸もしくはその無水物またはカルボキ
シル基含有誘導体を結合成分として含む極性基を有する
分子量が1000〜4000、酸価1〜20のポリオレ
フィンワックスを5%以下の乳化剤で水または水溶液に
分散させた直径が3μm以下の球形のポリオレフィンの
ディスパージョン。 - 【請求項2】 水性樹脂として揮発性溶剤を含まないオ
レフィンアクリル樹脂、ポリオレフィンアイオノマー、
エポキシ樹脂、ウレタンエポキシ樹脂、ポリエステル樹
脂、アクリル樹脂、または酢酸ビニール樹脂を用いる請
求項1記載の方法。 - 【請求項3】 シリカとして直径5〜50nmの球形シ
リカゾルまたは線形シリカゾルを用いる請求項1記載の
方法。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0551763A JPH0551763A (ja) | 1993-03-02 |
JP2617835B2 true JP2617835B2 (ja) | 1997-06-04 |
Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3238996A Expired - Lifetime JP2617835B2 (ja) | 1991-08-27 | 1991-08-27 | 塗料密着性に優れた潤滑めっき鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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-
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- 1991-08-27 JP JP3238996A patent/JP2617835B2/ja not_active Expired - Lifetime
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