JP2010247347A - プレコート冷延鋼板およびこの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期の耐食性に優れ、且つ、環境にやさしい安価なプレコート冷延鋼板を提供する。
【解決手段】
冷延鋼板の片面もしくは両面に下塗塗膜層、中塗塗膜層、上塗塗膜層を順次積層した少なくとも3層の塗膜層を有するプレコート冷延鋼板であって、上記下塗塗膜層に亜鉛系金属粉を含有し、且つ、上記中塗塗膜層にSi、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物からなる防錆顔料を1種または複数種含有し、且つ、上記上層塗膜が着色されていることを特徴とする、プレコート冷延鋼板。
【選択図】無し
【解決手段】
冷延鋼板の片面もしくは両面に下塗塗膜層、中塗塗膜層、上塗塗膜層を順次積層した少なくとも3層の塗膜層を有するプレコート冷延鋼板であって、上記下塗塗膜層に亜鉛系金属粉を含有し、且つ、上記中塗塗膜層にSi、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物からなる防錆顔料を1種または複数種含有し、且つ、上記上層塗膜が着色されていることを特徴とする、プレコート冷延鋼板。
【選択図】無し
Description
本発明は切断加工性と耐食性に優れるプレコート冷延鋼板およびその製造方法に関する。
家電、建材、自動車などに、従来の加工後塗装されていたポスト塗装製品に代わって、着色した塗膜を被覆したプレコート鋼板が使用されるようになってきている。この鋼板は、一般的にはめっきを施した鋼板の上に化成処理を施して、その上に塗料を被覆したもので、塗料を塗装した後に切断され、プレス成形されて使用されることが一般的である。
また、プレコート鋼板の素材に冷延鋼板を用いてコストダウンすることを目的に、耐食性に優れたプレコート冷延鋼板の発明もなされている。これらの例として特許文献1及び2が挙げられる。更に、例えば、特許文献3には冷延鋼板に亜鉛粉末即ちジンクリッチペイントを塗装したプレス加工と耐食性に優れた被覆鋼板の発明が記載されている。
しかしながら、例えば、特許文献1〜3に記載された発明では、いずれも化成処理か亜鉛粉末を含む層に、環境上問題のあるクロム系の処理もしくは顔料を用いている。
更に、特許文献1〜3に記載された技術では、冷延鋼板の端面やカット部から発生する赤錆を抑制する効果はあるが、その一方で塗装皮膜中に含まれる亜鉛粉末が犠牲防食効果により、酸化されて消費されるため塗膜のブリスターが発生しやすく、更には塗装皮膜中の亜鉛が消費されつくすと、犠牲防食効果が果たせなくなり、比較的早期に赤錆が発生しやすくなってしまう課題があった。
このような理由により、これまでプレコート冷延鋼板の適用は耐食性の殆ど必要ない部位に限られており、耐食性に優れる亜鉛系めっき鋼板を母材としたプレコート鋼板を使用することが一般的であった。しかしながら、近年の世界的な鉄鋼材料など金属素材の高騰などにより、より安価で耐食性など高機能を付与した材料の開発が望まれていた。
しかも、開発品については、設備費の高騰や金融危機等の問題から、多額の設備投資を必要としない、既存の設備で製造可能であることも要求されている。従来、プレコート鋼板を製造する製造ラインは化成処理を施した後に、塗料を塗装して焼付ける工程を2回繰り返して2層の塗膜を塗装する、2コート2ベーク方式が一般的であることから、大掛かりな設備新設を施すことなく、この2コート2ベーク方式の連続塗装ラインにて製造できる耐食性に優れたプレコート冷延鋼板の安価な製造方法が望まれていた。
本発明は、従来技術における上記問題点を解決し、長期の耐食性に優れ、且つ、環境にやさしい安価なプレコート冷延鋼板を提供することをその課題としている。更には、従来の2コート2ベークの連続塗装ラインにてプレコート冷延鋼板をより安価に製造する方法を提供することをその課題としている。
本発明者らが、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、冷延鋼板の片面もしくは両面に下塗塗膜層、中塗塗膜層、及び上塗塗膜層を順次積層して、上記下塗塗膜層に亜鉛系金属分を含有させ、中塗塗膜層にSi、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物からなる顔料を1種または複数種含有させることにより、上記下塗塗膜層中の亜鉛系金属粉の犠牲防食効果を阻害することなく、亜鉛系金属粉の酸化溶出が抑制されることを見出した。
本発明は、かかる知見を基に完成されたものであって、本発明がその要旨とするところは、以下の通りである。
(1)冷延鋼板の片面もしくは両面に下塗塗膜層、中塗塗膜層、及び上塗塗膜層を順次積層した少なくとも3層の塗膜層を有するプレコート冷延鋼板であって、前記下塗塗膜層に亜鉛系金属粉を含有し、且つ、前記中塗塗膜層にSi、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物からなる防錆顔料を1種または複数種含有し、且つ、前記上塗塗膜層が着色されていることを特徴とする、プレコート冷延鋼板。
(2)前記亜鉛系金属粉が、Al、及びMgの一方、又は両方を含む亜鉛系金属粉末であることを特徴とする、前記(1)に記載のプレコート冷延鋼板。
(3)前記亜鉛系金属粉が、塗膜中の樹脂固形分100質量部に対して70質量部〜700質量部であることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載のプレコート冷延鋼板。
(4)前記下塗塗膜層が、前記亜鉛系金属粉に加え、平均粒径が10nm〜1000nmである微粒防錆剤を含むことを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のプレコート冷延鋼板。
(5)前記微粒防錆剤が、Si、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物からなる防錆剤1種または複数種であることを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれかに記載のプレコート冷延鋼板。
(6)前記微粒防錆剤の量が、前記下塗塗膜中のバインダー樹脂100質量部に対して1質量部〜15質量部であることを特徴とする、前記(4)又は(5)に記載のプレコート冷延鋼板。
(7)前記下塗塗膜層の膜厚が3μm〜15μmであり、且つ、前記亜鉛系金属粉の平均粒径が前記下塗塗膜層の膜厚より小さいことを特徴とする、前記(1)〜(6)のいずれかに記載のプレコート冷延鋼板。
(8)前記下塗塗膜層において、塗膜中に含まれる亜鉛系金属粉末の量が前記下塗塗膜層の膜厚方向で異なり、前記下塗塗膜層の膜厚をtとしたときに、t/2より鋼板側に前記亜鉛系金属粉が濃化していることを特徴とする、前記(1)〜(7)のいずれかに記載のプレコート冷延鋼板。
(9)前記冷延鋼板と前記下塗塗膜層との間に、シランカップリング剤と水溶性樹脂とを含む化成処理層、及びリン酸塩処理層のいずれかを有することを特徴とする、前記(1)〜(8)のいずれかに記載のプレコート冷延鋼板。
(10)前記(1)〜(7)のいずれか1つに記載のプレコート冷延鋼板の製造方法であって、冷延鋼板上に、バインダー樹脂、架橋剤及び亜鉛系金属粉を含有する下塗塗料を塗布して焼付けることで下塗塗膜層を形成させた後に、バインダー樹脂と、架橋剤と、Si、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物からなる防錆顔料1種以上を含有する中塗塗料と、バインダー樹脂、架橋剤及び着色顔料を含有する上塗塗料とを積層塗布し、中塗塗膜層と上塗塗膜層とを形成することを特徴とする、プレコート冷延鋼板の製造方法。
(11)前記中塗塗料と前記上塗塗料とを同時塗布した後、同時に焼き付ける事を特徴とする、(10)に記載のプレコート冷延鋼板の製造方法。
(12)前記(8)に記載のプレコート冷延鋼板の製造方法であって、冷延鋼板上に、架橋剤を含まないバインダー樹脂と亜鉛系金属粉とを少なくとも含む下塗塗料を塗布及び乾燥をして下塗塗膜層を形成した後、バインダー樹脂、架橋剤、及びSi、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物からなる防錆顔料1種以上を含有する中塗塗料と、着色顔料を含有する上塗塗料とを積層塗布し焼き付けることを特徴とする、プレコート冷延鋼板の製造方法。
(13)前記中塗塗料と前記上塗塗料とを同時塗布した後、これら積層した前記中塗塗料と前記上塗塗料とを同時に焼付けることを特徴とする、(12)に記載のプレコート冷延鋼板の製造方法。
(14)前記冷延鋼板に、塗装下地処理として、シランカップリング剤と水溶性樹脂とを含む化成処理剤を塗布して化成処理層を形成する、又は、リン酸塩処理剤を用いてリン酸塩処理層を形成することを特徴とする、(10)〜(13)のいずれかに記載のプレコート冷延鋼板の製造方法。
(2)前記亜鉛系金属粉が、Al、及びMgの一方、又は両方を含む亜鉛系金属粉末であることを特徴とする、前記(1)に記載のプレコート冷延鋼板。
(3)前記亜鉛系金属粉が、塗膜中の樹脂固形分100質量部に対して70質量部〜700質量部であることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載のプレコート冷延鋼板。
(4)前記下塗塗膜層が、前記亜鉛系金属粉に加え、平均粒径が10nm〜1000nmである微粒防錆剤を含むことを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のプレコート冷延鋼板。
(5)前記微粒防錆剤が、Si、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物からなる防錆剤1種または複数種であることを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれかに記載のプレコート冷延鋼板。
(6)前記微粒防錆剤の量が、前記下塗塗膜中のバインダー樹脂100質量部に対して1質量部〜15質量部であることを特徴とする、前記(4)又は(5)に記載のプレコート冷延鋼板。
(7)前記下塗塗膜層の膜厚が3μm〜15μmであり、且つ、前記亜鉛系金属粉の平均粒径が前記下塗塗膜層の膜厚より小さいことを特徴とする、前記(1)〜(6)のいずれかに記載のプレコート冷延鋼板。
(8)前記下塗塗膜層において、塗膜中に含まれる亜鉛系金属粉末の量が前記下塗塗膜層の膜厚方向で異なり、前記下塗塗膜層の膜厚をtとしたときに、t/2より鋼板側に前記亜鉛系金属粉が濃化していることを特徴とする、前記(1)〜(7)のいずれかに記載のプレコート冷延鋼板。
(9)前記冷延鋼板と前記下塗塗膜層との間に、シランカップリング剤と水溶性樹脂とを含む化成処理層、及びリン酸塩処理層のいずれかを有することを特徴とする、前記(1)〜(8)のいずれかに記載のプレコート冷延鋼板。
(10)前記(1)〜(7)のいずれか1つに記載のプレコート冷延鋼板の製造方法であって、冷延鋼板上に、バインダー樹脂、架橋剤及び亜鉛系金属粉を含有する下塗塗料を塗布して焼付けることで下塗塗膜層を形成させた後に、バインダー樹脂と、架橋剤と、Si、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物からなる防錆顔料1種以上を含有する中塗塗料と、バインダー樹脂、架橋剤及び着色顔料を含有する上塗塗料とを積層塗布し、中塗塗膜層と上塗塗膜層とを形成することを特徴とする、プレコート冷延鋼板の製造方法。
(11)前記中塗塗料と前記上塗塗料とを同時塗布した後、同時に焼き付ける事を特徴とする、(10)に記載のプレコート冷延鋼板の製造方法。
(12)前記(8)に記載のプレコート冷延鋼板の製造方法であって、冷延鋼板上に、架橋剤を含まないバインダー樹脂と亜鉛系金属粉とを少なくとも含む下塗塗料を塗布及び乾燥をして下塗塗膜層を形成した後、バインダー樹脂、架橋剤、及びSi、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物からなる防錆顔料1種以上を含有する中塗塗料と、着色顔料を含有する上塗塗料とを積層塗布し焼き付けることを特徴とする、プレコート冷延鋼板の製造方法。
(13)前記中塗塗料と前記上塗塗料とを同時塗布した後、これら積層した前記中塗塗料と前記上塗塗料とを同時に焼付けることを特徴とする、(12)に記載のプレコート冷延鋼板の製造方法。
(14)前記冷延鋼板に、塗装下地処理として、シランカップリング剤と水溶性樹脂とを含む化成処理剤を塗布して化成処理層を形成する、又は、リン酸塩処理剤を用いてリン酸塩処理層を形成することを特徴とする、(10)〜(13)のいずれかに記載のプレコート冷延鋼板の製造方法。
本発明により、安価な冷延鋼板を母材とした耐食性に優れるプレコート冷延鋼板を環境負荷物質である6価クロムを用いずに提供することが可能となった。更には、安価で耐食性に優れるプレコート冷延鋼板を既存の連続塗層ラインにて製造することも可能となり、より安価なプレコート鋼板を提供できるようになった。従って、本発明は産業上の極めて価値の高い発明であるといえる。
初めに本発明の実施形態の説明に入る前に、本発明を完成するに至った経緯について説明する。
まず、本発明者らは、プレコート冷延鋼板の耐食性を向上させるために鋭意検討したところ、従来知られているように亜鉛系金属粉を添加した下塗塗膜、いわゆるジンクリッチペイントのようなものを冷延鋼板上に塗布することで、鋼板の錆である赤錆が抑制できることを確認した。しかし、この系では下塗塗膜に含まれる亜鉛系金属粉の犠牲防食効果により赤錆は抑制できるが、亜鉛系金属粉が酸化されて溶出することで発生するブリスターを抑制することができないことも確認した。
また、下塗塗膜層に亜鉛系金属粉に加えて、亜鉛系金属粉の酸化・溶出を防止する効果を持つSi、P、V、Mg等を含む防錆顔料を添加することにより、ブリスターの発生は抑制されるが、同時に赤錆抑制効果(犠牲防食効果)も低減してしまうことを知見した。これは、下塗塗膜に亜鉛系金属粉以外の防錆顔料とを添加することで、亜鉛系金属粉と鋼板との間で犠牲防食作用を働かせるために必要なカップル電流の発生が亜鉛系金属粉以外の防錆顔料によって阻害されて、犠牲防食効果が低減し、腐食抑制効果も低減してしまうためである。従って、亜鉛系粉末による犠牲防食効果を保持するためには冷延鋼板と下塗塗膜中の亜鉛系金属粉との間にカップル電流が流れる作用を阻害する物質を存在させないようにする必要がある。
そこで、冷延鋼板の赤錆発生と下塗塗膜中の亜鉛系金属粉の酸化溶出によるブリスターの両方を抑制させるべく、発明者らは更に鋭意検討し、先ず、亜鉛系金属粉を含む下塗塗膜の上にSi、P、V、及びMgのいずれか一つを含む化合物を1種または複数種含有する防錆顔料を存在させることで下塗塗膜中の亜鉛系金属粉の犠牲防食効果を阻害することなく亜鉛系金属粉の酸化溶出を抑制するため、これらの効果の組み合わせにより赤錆発生とブリスター発生の両方を抑制できることを見出した。この亜鉛系金属粉としては、例えば、純亜鉛でも良く、また、この亜鉛系金属粉は、Al、及びMgのいずれか一方、もしくは両方を含む亜鉛系金属粉であると、犠牲防蝕により亜鉛系金属粉が酸化溶出する際にAlもしくはMgを含む安定した腐食生成物を形成して腐食部を覆うため、赤錆とブリスター抑制により好適であることも確認した。
更に、亜鉛系金属粉を含む下塗り塗膜中に亜鉛系粉末より十分に小さい、平均粒径が10〜1000nmである微粒子状のSi、P、V、及びMg等を含む防錆剤を存在させることも、冷延鋼板と亜鉛系金属粉との間でのカップル電流発生を阻害することなく、亜鉛系金属粉の酸化溶出を抑制するため、より好適である事を発見した。更に、下塗塗膜の塗膜中のより鋼板に近い下層部に亜鉛系金属粉を濃化させる、具体的には亜鉛系金属粉が、下塗塗膜の膜厚をtとしたときにt/2より下層側(鋼板側)に濃化していると鋼板と下塗塗膜中の亜鉛系金属粉との間にカップル電流が流れやすく、犠牲防食効果が発揮されやすくなるためより好適であることを確認した。
以上の知見に基づいて、本発明者らは、以下の実施の形態に説明するような本発明に想到した。
すなわち、本発明は切断加工性と耐食性に優れた表面処理金属材に関するものであり、家電用、建材用、土木用、機械用、自動車用、家具用、容器用などのめっきを施していない冷延鋼板上に着色塗料を予め塗装したプレコート冷延鋼板において、端面塗膜密着性と防錆効果とを発揮する。
以下に、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るプレコート冷延鋼板は、めっきされていない冷延鋼板の片面もしくは両面に下塗塗膜層、中塗塗膜層、上塗塗膜層を順次積層した3層プレコート鋼板であって、下塗塗膜層に亜鉛系金属粉を含有し、且つ、中塗塗膜層にSi、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物からなる防錆顔料1種または複数種含有し、且つ、上層塗膜が着色されていることを特徴とする。
同実施形態に係るプレコート冷延鋼板に用いる原板は一般に公知の冷間圧延鋼板を用いることができ、特に規定するものではない。JIS G 3135若しくはJIS G 3141に記載の冷間圧延鋼板を用いることができる。同実施形態に係るプレコート冷延鋼板に用いる下塗塗膜は、バインダー樹脂と亜鉛系金属粉とを必須の構成要素とするものである。
同実施形態に係るプレコート冷延鋼板に用いる亜鉛系金属粉としては一般に公知の金属亜鉛もしくは金属亜鉛とその他の金属とからなる合金、もしくは、金属間化合物の粉末を用いることができる。純亜鉛粉末は、鋼板に対する犠牲防食効果がより効果的に発揮され好適である。また、マグネシウムやアルミニウムを含む亜鉛−マグネシウム合金粉末や亜鉛−アルミニウム合金粉末であると耐食性が向上し、より好適である。アルミニウムとマグネシウムを両方含む亜鉛−マグネシウム−アルミニウム合金粉末であるとさらに耐食性が向上し、より好適である。
同実施形態に係る下塗塗膜層に含まれる亜鉛系金属粉の添加量は、バインダー樹脂固形分100質量部に対して70質量部〜700質量部であるとより好適である。上記添加量が、70質量部未満であると鋼板に対して犠牲防食効果を充分に発揮せず、耐食性が低下する恐れがあり、700質量部超では亜鉛系金属粉が塗料中で充分に分散せず沈殿するなど塗装の不具合が起こる恐れがある。同実施形態に係る下塗塗膜中に含まれる亜鉛系金属粉の平均粒径は1〜30μmが好ましい。亜鉛系金属粉の粒径が30μm超では、成膜後の塗膜の厚みに対して亜鉛系金属粉の粒径の方が大きくなりすぎるため、実質的に塗装困難である恐れがある。また、1μm未満のものは、粉砕が困難であり、1μm未満の亜鉛系金属粉が実質的に(工業的に)製造できないためこれを下限とした。なお、本実施形態における平均粒径は、体積平均粒径のことを指す。また、特に限定するものではないが、この平均粒径は、亜鉛金属粉のSEM写真(倍率:1000倍)を撮影して、任意の粒子10個の粒径を計測して、平均を算出することによって得られる値である。
同実施形態に係る下塗塗膜層には、亜鉛系金属粉に加えてSi、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物からなる平均粒径が10〜1000nmである微粒防錆剤を1種または複数種含むと耐食性がより向上し、より好適である。
ミクロンオーダーの粒径を持つ亜鉛系金属粉と、平均粒径が10nm〜1000nmである微粒防錆剤とを組み合わせることで、該微粒防錆剤が亜鉛系金属粉の犠牲防食効果を阻害することなく亜鉛系金属粉の酸化溶出を制御することができ、且つ、防錆剤としての効果も発揮するため、耐食性が格段に向上する。防錆剤の粒径が1000nm超であると、亜鉛系金属粉の犠牲防食効果を低下させる働きが強くなり、耐食性が低下する恐れがある。一方、10nm未満の防錆剤は製造することが困難なため、現状では実験上効果を確認することが出来ていないため、これを下限値とする。
ここで、中塗塗膜層に防錆顔料が存在したとしても、上述のように微粒の防錆剤であれば亜鉛系金属粉の犠牲防食効果を阻害しない理由について、より具体的に説明する。下塗塗膜層内の上記の微粒防錆剤は、腐食因子である水や水蒸気などが下塗塗膜層内に侵入してきた際に、溶出して犠牲防食効果を発揮する。上記の微粒防錆剤の粒径が1000nm超であると、微粒防錆剤は溶出した際に塗膜中の亜鉛系金属粉のみに対して犠牲防食効果を発揮する。そのため、亜鉛系金属粉と原板である鋼板との間のカップル電流の発生を阻害し、亜鉛系金属粉の犠牲防食効果を低下させることで、ブリスターの発生を抑制するものの、赤錆を発生させやすくなる。しかし、上記の微粒防錆剤の粒径が10nm〜1000nmであると、微粒防錆剤は単位質量当たりの表面積が大きくなり、溶出量が増大する。そのため、このような微粒防錆剤は、亜鉛系金属粉と原板である鋼板との両方に犠牲防食効果を発揮することとなり、ブリスターと赤錆との両方を抑制するものと考えられる。
同実施形態に係る下塗塗膜に添加する平均粒径が10nm〜1000nmである微粒防錆剤は、亜鉛系金属粉の酸化・溶出を防止する効果を持つものであれば良く、一般に公知のSi、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物を用いることができる。これらの例としては、シリカ、リン酸アルミニウム、トリポリリン酸2水素アルミニウム、リン酸2水素マグネシウム、珪酸ナトリウム、バナジン酸アンモニウムなどが挙げられる。
これら下塗塗膜層に含まれるナノメートルオーダーの平均粒径を有する微粒防錆剤の添加量は、バインダー樹脂固形分100質量部に対して1質量部〜15質量部が好適である。1質量部未満であると亜鉛系金属粉の酸化溶出抑制効果が十分でない恐れがあり、15質量部超では、塗料が増粘し塗装することが困難となる恐れがある。
同実施形態に係る下塗塗膜層の膜厚は3μm〜15μmで、亜鉛系金属粉の平均粒径が下塗塗膜層の膜厚より小さいと好適である。3μm未満であると耐食性に劣る恐れがあり、15μm超では塗層焼付け時にワキ欠陥が発生する恐れがある。また、亜鉛系金属粉の平均粒径が下塗塗膜層の膜厚より大きいと、塗膜層内に金属粉が埋没しなくなり、外観上凹凸外観となってしまったり、塗膜から顔料が脱落してしまったりする恐れがある。更に、耐食性を考慮すると、上記の膜厚は10μm〜15μmであるとより好適である。
なお、上記の膜厚については、例えば、電磁膜厚計によって測定することができるが、塗装した塗膜の断面を光学顕微鏡もしくは電子顕微鏡によって観察して測定してもよい。
なお、上記の膜厚については、例えば、電磁膜厚計によって測定することができるが、塗装した塗膜の断面を光学顕微鏡もしくは電子顕微鏡によって観察して測定してもよい。
同実施形態に係る下塗塗膜層中に含まれる亜鉛系金属粉の濃度が下塗塗膜層の膜厚方向で異なり、下塗塗膜層の膜厚をtとしたときに、厚みt/2の位置から上層側(鋼板側)よりも、厚みt/2の位置から下層側に、亜鉛系金属粉が濃化していると鋼板と下塗塗膜層中の亜鉛系金属粉との間にカップル電流が流れやすく、犠牲防食効果を発揮しやすくなり、亜鉛系金属粉の添加量を増やすことなく耐食性の向上が可能であるため、より好適である。
亜鉛系金属粉を下塗塗膜層の下層側へ濃化させるためには、亜鉛系金属粉の粒径を下塗塗膜層の膜厚よりも小さくすることが好適であり、さらには亜鉛系金属粉の粒径を下塗塗膜層の膜厚の1/3以下とすることで、より多くの亜鉛系金属粉が濃化するためより好適である。
同実施形態に係る中塗塗膜層に添加する防錆顔料は、一般に公知のSi、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物を用いることができる。これら化合物の例としては、シリカ、リン酸アルミニウム、トリポリリン酸2水素アルミニウム、リン酸2水素マグネシウム、珪酸ナトリウム、バナジン酸アンモニウムなどが挙げられる。
これら中塗塗膜層に含まれる防錆顔料の添加量は特に規定するものではなく、必要に応じて適宜選定することができるが、バインダー樹脂固形分100質量部に対して5質量部〜150質量部が好適である。5質量部未満であると亜鉛系金属粉の酸化溶出抑制効果が十分でない恐れがあり、150質量部超では、塗膜が脆くなり、塗膜の加工性が劣る恐れがある。
同実施形態に係る中塗塗膜中に添加する防錆顔料の平均粒径も特に規定するものではないが、0.01μm〜30μmが好適であり、後述する膜厚との関係から上限は15μm以下であるとより好適である。特に中塗塗膜層の膜厚以下の平均粒径であるとより良い。中塗塗膜層の膜厚より平均粒径が大きいと、塗膜層内に防錆顔料が埋没しなくなり、ブツ状の外観不良となったり、塗膜から顔料が脱落する恐れがある。
同実施形態に係る中塗塗膜の膜厚は必要に応じて適宜選定することができるが、3μm〜15μmが好適である。3μm未満であると耐食性に劣る恐れがあり、15μm超では塗層焼付け時にワキ欠陥が発生する恐れがある。
同実施形態に係る中塗塗膜層中には必要に応じて着色顔料を添加して着色することができる。着色顔料は、一般に公知のもの、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラック、クロムイエロー、フタロシアニンブルー、アゾ系顔料などを使用することができる。
同実施形態に係る上塗塗膜層は着色塗膜であり、着色顔料を必須の構成要素とする。添加する着色顔料は、特に規定するものではなく、一般に公知のもの、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラック、クロムイエロー、フタロシアニンブルー、アゾ系顔料などを使用して、所望の色に着色することができる。
上塗塗膜層の膜厚は必要に応じて任意に選定することができるが、5μm〜30μmが好適である。5μm未満では、中塗塗膜の色が透けて見えるため、着色した上塗塗膜層を被覆する効果がなくなる恐れがある。30μm超では焼付工程に塗膜にワキ外観が発生する恐れがある。
同実施形態に係る上塗塗膜層上には必要に応じて、更にクリヤー塗膜を被覆することができる。クリヤー塗膜を被覆することで、塗膜の光沢感を向上させることができる。
同実施形態に係る中塗塗膜層、及び上塗塗膜層に用いるバインダー樹脂は特に規定するものではなく、必要に応じて適宜選定することができるが、塗膜が被覆された状態で加工することが前提のプレコート鋼板であるため、加工性に優れた樹脂を選定すると好適である。加工性に優れた樹脂の具体的な例としては、数平均分子量が5000〜30000でガラス転移温度(Tg)が0〜50℃のポリエステル樹脂が好適である。こうしたポリエステル樹脂は一般に公知のもの、市販のものを使用することができ、例えば、東洋紡績社製の「バイロン(登録商標)シリーズ」や住化バイエルウレタン社製の「デスモフェン(登録商標)シリーズ」などを用いることができる。
また、中塗塗膜層及び、上塗塗膜層が架橋剤を含む熱硬化型塗膜であると、塗膜の耐薬品性や耐汚染性が向上するためより好適である。架橋剤は、一般に公知のもの、例えば、メラミン樹脂やイソシアネートを用いることができる。メラミンやイソシアネートは市販のものを使用することができる。
メラミン樹脂としては、三井サイテック社製のメラミン樹脂「サイメル(登録商標)シリーズ」や「マイコート(登録商標)シリーズ」、DIC社製の「ベッカミン(登録商標)シリーズ」、「スーパーベッカミン(登録商標)シリーズ」などを用いることができる。メラミン樹脂は、完全アルキル型メチル化メラミン、イミノ基型メチル化メラミン、メチロール基型メチル化メラミン、完全アルキル型混合エーテル化メラミン、メチロール基型混合エーテル化メラミン、ブチル化メラミンなどを使用することができ、必要に応じて、1種または複数種選定して用いることができる。
下塗塗膜層のバインダー樹脂も樹脂種は特に規定するものではなく、必要に応じて適宜選定することができるが、塗膜が被覆された状態で加工することが前提のプレコート鋼板であるため、加工性や鋼板との密着性に優れた樹脂を選定すると好適である。加工性に優れた樹脂の具体的な例としては、数平均分子量が5000〜30000でガラス転移温度(Tg)が0〜50℃のポリエステル樹脂が好適である。また、エポキシ樹脂を併用すると鋼板との密着性が向上するため、これも好適である。
また、下塗塗膜層も中塗塗膜層、上塗塗膜層と同じように架橋剤を含む熱硬化型塗膜であってもよいが、架橋剤を含まない熱可塑タイプの樹脂とすることで、下塗塗膜層中に含まれる亜鉛系金属粉を下塗塗膜層の下層側(鋼板側)に濃化させることが可能となるため、より好適である。これは、成膜した下塗塗膜層の上に中塗塗膜を塗布して焼付ける工程で、下塗塗膜層に熱可塑性を持たせる事で中塗塗膜を焼付けるための熱により樹脂が軟化・溶融し、その際に重力で下塗塗膜層中の亜鉛系金属粉を下塗塗膜層内の下層側(鋼板側)へ沈降し濃化させることが可能となるというものである。
更に、この中塗塗膜焼付け工程で、中塗塗膜層中の架橋剤が溶融した下塗塗膜層中へ拡散し、下塗塗膜層のバインダー樹脂と架橋反応を起こし、結果として下塗塗膜層も架橋された塗膜とすることができる。即ち、下塗塗膜層に架橋剤を用いず熱可塑性をもたせる事で塗膜中の亜鉛系金属粉を鋼板側に濃化させ優れた犠牲防食能を付与し、更に、中塗塗膜層の架橋剤により下塗塗膜層を熱硬化させる事で、塗膜の強度や加工性を向上させるという、格別な効果を奏する。
下塗塗膜層中には、必要に応じてシリカやエポキシ樹脂などの密着性向上添加剤を添加してもよい。必要に応じて、体質顔料や着色顔料を添加しても良い。
本実施形態に係る下塗塗膜層、中塗塗膜層、及び上塗塗膜層には、必要に応じてレべリング剤、消泡剤、ワックスなど塗装作業性を向上させるための添加剤や塗膜に機能を付与するための添加剤を添加しても良い。
本実施形態に係るプレコート鋼板は、原板に用いるめっきされていない冷延鋼板がシランカップリング剤と水溶性樹脂とを含む化成処理やリン酸塩処理が施されていると、下塗塗膜層と冷延鋼板との密着性が向上するためより好適である。シランカップリング剤は、一般に公知のもの、例えばγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル〔3−(メチルジエトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシランなどを用いることができる。
同実施形態に係る化成処理に用いる樹脂はポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂など一般に公知のものを使用することができる。これらの樹脂は水溶性もしくは水に分散したエマルションもしくはディスパージョンタイプであると、処理液の取り扱いが容易なため、より好適である。化成処理の処理方法は一般に公知の塗布方法で塗布することができるが、ロールコーターを用いて塗布し、ドライヤーやオーブンで乾燥させると作業効率が高まりより好適である。
リン酸塩処理としてはリン酸亜鉛、リン酸鉄等通常のものが適用可能である。リン酸塩被膜の付着量は、特に限定しないが0.1〜2.0g/m2 とすることが好ましい。0.1g/m2 未満では、下塗りと鋼板との密着性向上効果が不十分であり、また2g/m2 超では、下塗塗膜層中の亜鉛軽金属粉と鋼板とのカップル電流を阻害し犠牲防食作用が低下する恐れがある。
同実施形態に係るプレコート鋼板の塗膜の塗布方法は、一般に公知の方法で塗布することができるが、各塗膜層をロールコーターもしくはカーテンコーターにて塗布し、オーブンにて焼付けると作業効率が向上するためより好適である。一般にコイルコーティングライン、もしくはシートコーティングラインと呼ばれる連続塗層設備にて塗布製造すると、より効率的に生産でき好適である。
また、同実施形態に係るプレコート鋼板の製造に適用可能な既存のコイルコーティングラインやシートコーティングラインの多くは、下塗塗膜を塗装焼付けた後に上塗塗膜を塗装焼付けする2コート2ベーク型の設備である。このような設備の場合、冷延鋼板に本実施形態に係る下塗塗膜を成膜した後、同実施形態に係る中塗塗料と上塗塗料とを積層塗装し、これら積層した中塗塗料と上塗塗料とを同時に焼付ける方法で塗布製造すると、焼付け工程を増やす必要が無く、既存の2コート2ベーク型の連続塗層ラインを利用して製造することができるため、より好適である。
この方法の場合、下塗塗膜は通常のロールコーターやカーテンコーターにて塗層すれば良く、中塗塗料と上塗塗料は多層同時塗布型のダイコーターやスライドホッパー式多層同時塗布型カーテンコーターなどを用いて塗布することができる。また、前述のような同時多層塗布型の塗装設備を使用しなくても、ロールコーターと単層カーテンコーター、もしくは、単層カーテンコーターを2台並べるなどしてウェットオンウェット塗層することで2層同時に塗布することができる。
[実施例−1]
以下に実施例−1の詳細について記載する。
以下に実施例−1の詳細について記載する。
<1.金属原板>
実験の供試材には、JIS G 3141のSPCCで板厚0.7mmのものを用いた。
実験の供試材には、JIS G 3141のSPCCで板厚0.7mmのものを用いた。
<2.化成処理液>
実験の供試材に用いる化成前処理液として以下のものを作製した。
実験の供試材に用いる化成前処理液として以下のものを作製した。
化成処理液(A):
シランカップリング剤5g/l、水分散シリカを1.0g/l、ジルコニウム化合物をジルコニウムイオンで0.5g/l、水系アクリル樹脂を25g/lを含む水溶液を作製し、化成処理液とした。なお、シランカップリング剤にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、微粒シリカには日産化学社製「スノーテック−N」、ジルコニウム化合物には炭酸ジルコニルアンモニウム、水系アクリル樹脂にはポリアクリル酸を用いた。
シランカップリング剤5g/l、水分散シリカを1.0g/l、ジルコニウム化合物をジルコニウムイオンで0.5g/l、水系アクリル樹脂を25g/lを含む水溶液を作製し、化成処理液とした。なお、シランカップリング剤にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、微粒シリカには日産化学社製「スノーテック−N」、ジルコニウム化合物には炭酸ジルコニルアンモニウム、水系アクリル樹脂にはポリアクリル酸を用いた。
化成処理液(B):
シランカップリング剤5g/l、チタニウム化合物をチタニウムイオンで0.5g/l、水系アクリル樹脂を25g/lを含む水溶液を作製し、化成処理液とした。なお、シランカップリング剤にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、チタニウム化合物にはチタンフッ化水素酸、水系アクリル樹脂にはポリアクリル酸を用いた。
シランカップリング剤5g/l、チタニウム化合物をチタニウムイオンで0.5g/l、水系アクリル樹脂を25g/lを含む水溶液を作製し、化成処理液とした。なお、シランカップリング剤にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、チタニウム化合物にはチタンフッ化水素酸、水系アクリル樹脂にはポリアクリル酸を用いた。
化成処理液(C):
シランカップリング剤5g/l、水分散シリカを1.0g/l、水系アクリル樹脂を25g/lを含む水溶液を作製し、化成処理液とした。なお、シランカップリング剤にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、微粒シリカには日産化学社製「スノーテック−N」、水系アクリル樹脂にはポリアクリル酸を用いた。
シランカップリング剤5g/l、水分散シリカを1.0g/l、水系アクリル樹脂を25g/lを含む水溶液を作製し、化成処理液とした。なお、シランカップリング剤にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、微粒シリカには日産化学社製「スノーテック−N」、水系アクリル樹脂にはポリアクリル酸を用いた。
化成処理液(D):
タンニン酸20g/l、シランカップリング剤40g/l、微粒シリカ20g/l、ポリエステル樹脂20g/lを含む水溶液を作製し、金属用前処理剤とした。なお、タンニン酸には富士化学工業社製「タンニン酸AL」、シランカップリング剤にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、微粒シリカには日産化学社製「スノーテック−N」を用いた。
タンニン酸20g/l、シランカップリング剤40g/l、微粒シリカ20g/l、ポリエステル樹脂20g/lを含む水溶液を作製し、金属用前処理剤とした。なお、タンニン酸には富士化学工業社製「タンニン酸AL」、シランカップリング剤にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、微粒シリカには日産化学社製「スノーテック−N」を用いた。
化成処理液(E):
シランカップリング剤40g/l、ポリエステル樹脂20g/lを含む水溶液を作製し、金属用前処理剤とした。なお、シランカップリング剤にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いた。
シランカップリング剤40g/l、ポリエステル樹脂20g/lを含む水溶液を作製し、金属用前処理剤とした。なお、シランカップリング剤にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いた。
化成処理液(F):
市販のリン酸亜鉛処理である日本パーカライジング社製「パルボンド」を用いた。
市販のリン酸亜鉛処理である日本パーカライジング社製「パルボンド」を用いた。
<3.下塗塗料>
実験の供試材に用いる下塗塗料として以下のものを作製した。
実験の供試材に用いる下塗塗料として以下のものを作製した。
東洋紡績社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロンTM 270」を、有機溶剤(質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150=1:1に混合したものを使用)に、樹脂固形分濃度が30質量%となるように溶解することで、クリヤー塗料を作製した(メラミン未添加塗料)。次に、前記クリヤー塗料中に硬化剤として三井サイテック社製のメラミン樹脂「サイメルTM 303」を添加したクリヤー塗料(メラミン添加塗料)を作製した。メラミン樹脂を添加した場合の添加量は、樹脂固形分の質量比で、ポリエステル樹脂固形分:メラミン樹脂固形分=90:10となるように添加した。さらに、このポリエステル樹脂とメラミン樹脂の混合溶液に、三井サイテック社製の酸性触媒「キャタリストTM 600」を0.5質量%添加した。
次に、これらのクリヤー塗料中に、必要に応じて以下の亜鉛系金属粉と平均粒径が10〜1000nmの微粒防錆剤、或いは、平均粒径が1000nm超の防錆剤を添加し、表1に記載の下塗塗料を作製した。
[亜鉛系金属粉]
・純亜鉛金属粉(Zn)
試薬の亜鉛金属粉を更に粉砕機にて粉砕し、ふるい及び分級機にて亜鉛粉の平均粒径が3μmのものを得た。
・亜鉛−アルミニウム合金粉末(Zn−Al)
亜鉛−5%アルミニウムの合金を作製し、これを粉砕機にて粉砕し、ふるい及び分級機にて亜鉛粉の平均粒径3μmのものを得た。
・亜鉛−マグネシウム合金粉末(Zn−Mg)
亜鉛−0.3%マグネシウムの合金を作製し、これを粉砕機にて粉砕し、ふるい及び分級機にて亜鉛粉の平均粒径3μmのものを得た。
・亜鉛−マグネシウム−アルミニウム−シリコン合金粉末(Zn−Al−Mg)
亜鉛−11%アルミニウム−3%マグネシウム‐0.2%シリコンの合金を作製し、これを粉砕機にて粉砕し、ふるい及び分級機にて亜鉛粉の平均粒径1μm、3μm、5μm、10μm、16μm、28μm、35μmのものを得た。なお、本実施例における平均粒径は、体積平均粒径のことを指す。また、この平均粒径は、亜鉛金属粉のSEM写真像(倍率:1000倍)を撮影し、これより任意の粒子10個の粒径を計測し、その平均を取った。
・純亜鉛金属粉(Zn)
試薬の亜鉛金属粉を更に粉砕機にて粉砕し、ふるい及び分級機にて亜鉛粉の平均粒径が3μmのものを得た。
・亜鉛−アルミニウム合金粉末(Zn−Al)
亜鉛−5%アルミニウムの合金を作製し、これを粉砕機にて粉砕し、ふるい及び分級機にて亜鉛粉の平均粒径3μmのものを得た。
・亜鉛−マグネシウム合金粉末(Zn−Mg)
亜鉛−0.3%マグネシウムの合金を作製し、これを粉砕機にて粉砕し、ふるい及び分級機にて亜鉛粉の平均粒径3μmのものを得た。
・亜鉛−マグネシウム−アルミニウム−シリコン合金粉末(Zn−Al−Mg)
亜鉛−11%アルミニウム−3%マグネシウム‐0.2%シリコンの合金を作製し、これを粉砕機にて粉砕し、ふるい及び分級機にて亜鉛粉の平均粒径1μm、3μm、5μm、10μm、16μm、28μm、35μmのものを得た。なお、本実施例における平均粒径は、体積平均粒径のことを指す。また、この平均粒径は、亜鉛金属粉のSEM写真像(倍率:1000倍)を撮影し、これより任意の粒子10個の粒径を計測し、その平均を取った。
[微粒防錆剤及び防錆剤]
・Si含有防錆剤
日本アエロジル社製のシリカ「AEROSIL(登録商標)200」(平均粒径:約12nm)を用いた。
・P含有防錆剤
テイカ社製のトリポリリン酸二水素アルミニウム「K−WHITE(登録商標)#105」(平均粒径:1.6μm)を有機溶剤であるソルベッソ150に分散させ、更に吉田機械興業社製の湿式メディアレス微粒化装置「Nano Mizer II」を用いて微粒化させた。平均粒径の実績としては800nmのものを用いた。また、必要に応じて微粒化していない粒径が1600nmのものも用いた。
・V含有防錆剤
試薬であるバナジン酸アンモニウムを有機溶剤であるソルベッソ150に分散させ、更に吉田機械興業社製の湿式メディアレス微粒化装置「Nano Mizer II」を用いて微粒化させた。平均粒径の実績としては500nmのものを用いた。
・P、Mg含有防錆剤
試薬であるリン酸二水素マグネシウムを有機溶剤であるソルベッソ150に分散させ、更に吉田機械興業社製の湿式メディアレス微粒化装置「Nano Mizer II」を用いて微粒化させた。平均粒径の実績として500nmのものを用いた。なお、本実施例における平均粒径は、体積平均粒径のことを指す。また、この平均粒径は、亜鉛金属粉のTEM写真像(倍率:5万倍)を撮影し、これより任意の粒子10個の粒径を計測し、その平均を取った。
作製した下塗塗料の詳細を表1に記載する。
・Si含有防錆剤
日本アエロジル社製のシリカ「AEROSIL(登録商標)200」(平均粒径:約12nm)を用いた。
・P含有防錆剤
テイカ社製のトリポリリン酸二水素アルミニウム「K−WHITE(登録商標)#105」(平均粒径:1.6μm)を有機溶剤であるソルベッソ150に分散させ、更に吉田機械興業社製の湿式メディアレス微粒化装置「Nano Mizer II」を用いて微粒化させた。平均粒径の実績としては800nmのものを用いた。また、必要に応じて微粒化していない粒径が1600nmのものも用いた。
・V含有防錆剤
試薬であるバナジン酸アンモニウムを有機溶剤であるソルベッソ150に分散させ、更に吉田機械興業社製の湿式メディアレス微粒化装置「Nano Mizer II」を用いて微粒化させた。平均粒径の実績としては500nmのものを用いた。
・P、Mg含有防錆剤
試薬であるリン酸二水素マグネシウムを有機溶剤であるソルベッソ150に分散させ、更に吉田機械興業社製の湿式メディアレス微粒化装置「Nano Mizer II」を用いて微粒化させた。平均粒径の実績として500nmのものを用いた。なお、本実施例における平均粒径は、体積平均粒径のことを指す。また、この平均粒径は、亜鉛金属粉のTEM写真像(倍率:5万倍)を撮影し、これより任意の粒子10個の粒径を計測し、その平均を取った。
作製した下塗塗料の詳細を表1に記載する。
<4.中塗塗料>
実験の供試材に用いる中塗塗料として以下のものを作製した。
実験の供試材に用いる中塗塗料として以下のものを作製した。
東洋紡績社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標) 270」を、有機溶剤(質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150=1:1に混合したものを使用)に、樹脂固形分濃度が30質量%となるように溶解し、さらに硬化剤として三井サイテック社製のメラミン樹脂「サイメル(登録商標) 303」を添加し、クリヤー塗料を作製した。メラミン樹脂の添加量は、樹脂固形分の質量比で、ポリエステル樹脂固形分:メラミン樹脂固形分=80:20となるように添加した。さらに、このクリヤー塗料に、三井サイテック社製の酸性触媒「キャタリスト(登録商標) 600」を0.5質量%添加した。
次に、このクリヤー塗料中に、以下の防錆顔料を添加し、表2に記載の中塗塗料を作製した。
・Si含有防錆顔料
グレース社製のCaイオン交換シリカ「シールデックス(登録商標)C303」(平均粒径約3μm)を用いた。
・P含有防錆剤
テイカ社製のトリポリリン酸二水素アルミニウム「K−WHITE(登録商標)#105」(平均粒径:1.6μm)を用いた。
・V含有防錆剤
試薬であるバナジン酸アンモニウムを粉砕し、分級することで平均粒径5μmのものを得た。
・P、Mg含有防錆剤
試薬であるリン酸二水素マグネシウムを粉砕し、分級することで平均粒径5μmのものを得た。
・Si含有防錆顔料
グレース社製のCaイオン交換シリカ「シールデックス(登録商標)C303」(平均粒径約3μm)を用いた。
・P含有防錆剤
テイカ社製のトリポリリン酸二水素アルミニウム「K−WHITE(登録商標)#105」(平均粒径:1.6μm)を用いた。
・V含有防錆剤
試薬であるバナジン酸アンモニウムを粉砕し、分級することで平均粒径5μmのものを得た。
・P、Mg含有防錆剤
試薬であるリン酸二水素マグネシウムを粉砕し、分級することで平均粒径5μmのものを得た。
<5.上塗塗料>
実験の供試材に用いる上塗塗料として以下のものを作製した。
東洋紡績社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標) 270」を、有機溶剤(質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150=1:1に混合したものを使用)に、樹脂固形分濃度が30質量%となるように溶解し、更に硬化剤として三井サイテック社製のメラミン樹脂「サイメル(登録商標) 303」を添加してクリヤー塗料を作製した。メラミン樹脂の添加量は、樹脂固形分の質量比で、ポリエステル樹脂固形分:メラミン樹脂固形分=80:20とした。さらに、このクリヤー塗料に、三井サイテック社製の酸性触媒「キャタリスト(登録商標) 600」を0.5質量%添加した。
実験の供試材に用いる上塗塗料として以下のものを作製した。
東洋紡績社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標) 270」を、有機溶剤(質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150=1:1に混合したものを使用)に、樹脂固形分濃度が30質量%となるように溶解し、更に硬化剤として三井サイテック社製のメラミン樹脂「サイメル(登録商標) 303」を添加してクリヤー塗料を作製した。メラミン樹脂の添加量は、樹脂固形分の質量比で、ポリエステル樹脂固形分:メラミン樹脂固形分=80:20とした。さらに、このクリヤー塗料に、三井サイテック社製の酸性触媒「キャタリスト(登録商標) 600」を0.5質量%添加した。
次に、このクリヤー塗料中に、白色の着色顔料として石原産業社製酸化チタン「タイペーク(登録商標)CR95」を樹脂固形分100質量部に対して100質量部添加することで上塗塗料を作製した。
<6.裏面塗料>
市販のポリエステル系上塗り塗料である日本ペイント社製「FL100HQ」を使用した。色はグレー色系のものを使用した。
市販のポリエステル系上塗り塗料である日本ペイント社製「FL100HQ」を使用した。色はグレー色系のものを使用した。
<7.プレコート鋼板の作製>
各種鋼板をFC−4336(日本パ−カライジング製)の2質量%濃度、60℃温度の水溶液中に10秒間浸漬することで脱脂を行い、水洗後、乾燥した。そして、化成処理液(A)〜(E)をロールコーターにて鋼板の両面に塗布し、熱風乾燥炉で乾燥して化成処理皮膜層を得た。化成処理液の付着量は、化成処理液(A)〜(E)の場合は、乾燥皮膜全体の付着量が100mg/m2となるように塗装した。化成処理液(F)を用いた試験片は、化成処理液(F)中に脱脂した鋼板を2分間浸漬し、熱風乾燥炉にて乾燥して化成処理皮膜層を得た。化成処理(F)の付着量は、リン酸亜鉛の付着量が2g/m2となるように被覆した。化成処理乾燥時の到達板温は60℃とした。
各種鋼板をFC−4336(日本パ−カライジング製)の2質量%濃度、60℃温度の水溶液中に10秒間浸漬することで脱脂を行い、水洗後、乾燥した。そして、化成処理液(A)〜(E)をロールコーターにて鋼板の両面に塗布し、熱風乾燥炉で乾燥して化成処理皮膜層を得た。化成処理液の付着量は、化成処理液(A)〜(E)の場合は、乾燥皮膜全体の付着量が100mg/m2となるように塗装した。化成処理液(F)を用いた試験片は、化成処理液(F)中に脱脂した鋼板を2分間浸漬し、熱風乾燥炉にて乾燥して化成処理皮膜層を得た。化成処理(F)の付着量は、リン酸亜鉛の付着量が2g/m2となるように被覆した。化成処理乾燥時の到達板温は60℃とした。
次に、下塗塗料をロールコーターにて塗装し、更に他方の面には裏面塗料をロールコーターにて塗装乾燥後の膜厚で5μmとなるように塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて鋼板の到達板温が210℃となる条件で乾燥硬化することで塗膜層を得た。乾燥焼付後に塗装された鋼板へ水をスプレーにて拭きかけ、水冷した。本実施例において、下塗塗膜層及び中塗塗膜層の膜厚については、電磁膜厚計によって測定した。
更に、下塗塗膜層上に中塗塗料と上塗塗料をスライドホッパー型カーテンコーターにて多層同時に積層塗層し、積層した塗料を熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて鋼板の到達板温が230℃となる条件で同時に乾燥焼付し、水冷することで供試材であるプレコート鋼板を得た(本方法で作製したプレコート鋼板を以降[3コート2ベーク]もしくは「3C2B」と称す)。
また、必要に応じて下塗塗膜層上に中塗塗料をロールコーターにて塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて鋼板の到達板温が230℃となる条件で同時に乾燥焼付し、水冷した後にその上に上塗塗料をロールコーターにて塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて鋼板の到達板温が230℃となる条件で同時に乾燥焼付し、水冷することで、供試材であるプレコート鋼板を得た(本方法で作製したプレコート鋼板を以降[3コート3ベーク]もしくは「3C3B」と称す)。
なお、本発明のプレコート鋼板サンプルを製造するラインはオーブンを2つのみ持つ2ベークラインであったため、3C3Bのサンプルを作製する際は、ラインを2回通板させてサンプルを作製した。また、必要に応じて、下塗塗膜層や中塗塗膜層の無い2コート2ベーク(2C2B)のサンプルも作製した。作製したプレコート鋼板の詳細を表3にまとめる。また、本発明のプレコート鋼板の上塗塗膜層の膜厚は全て15μmとした。
この様にして作製したプレコート鋼板について、以下の評価試験を実施した。なお、いずれの試験についても、亜鉛金属粉を添加した下塗塗膜層を施した面を評価面として試験を実施した。
<1.下塗塗膜層中の亜鉛濃化度観察>
作製したプレコート鋼板の任意の断面を電子顕微鏡(SEM)にて観察し、下塗塗膜層中の亜鉛系金属粉の濃化度を観察した。そして、下塗塗膜層の膜厚をtとしたとき、t/2より上側(中塗塗膜層側)とこれより下側(鋼板側)に含まれる亜鉛系金属粉の量を断面の面積比率からそれぞれ算出し、上側(中塗塗膜層側)より下側(鋼板側)の方が多くの亜鉛系金属粉が含まれていた場合を○、両者均一に含まれていた場合を△、上部の方がより多く含まれていた場合を×を評価した。
作製したプレコート鋼板の任意の断面を電子顕微鏡(SEM)にて観察し、下塗塗膜層中の亜鉛系金属粉の濃化度を観察した。そして、下塗塗膜層の膜厚をtとしたとき、t/2より上側(中塗塗膜層側)とこれより下側(鋼板側)に含まれる亜鉛系金属粉の量を断面の面積比率からそれぞれ算出し、上側(中塗塗膜層側)より下側(鋼板側)の方が多くの亜鉛系金属粉が含まれていた場合を○、両者均一に含まれていた場合を△、上部の方がより多く含まれていた場合を×を評価した。
<2.耐食性試験>
作製したプレコート鋼板を横70mm×縦150mmのサイズに切断し、長辺の端面部については、切断時の返り(バリ)が裏面塗料を塗装した面にくるように(下バリとなるように)切断し、更に、サンプル中央部に塗膜上から試験片の素材(鋼板)に達するように×状のカットキズをカッターナイフで設け、また、横の端面部はテープにてシールすることで、耐食性試験用サンプルを作製した。そして、JIS K5400の9.1記載の方法で塩水噴霧試験を実施した。塩水は、亜鉛系金属粉を含む塗膜を有する面に拭きかかかるように噴霧した。試験時間は120hとした。
作製したプレコート鋼板を横70mm×縦150mmのサイズに切断し、長辺の端面部については、切断時の返り(バリ)が裏面塗料を塗装した面にくるように(下バリとなるように)切断し、更に、サンプル中央部に塗膜上から試験片の素材(鋼板)に達するように×状のカットキズをカッターナイフで設け、また、横の端面部はテープにてシールすることで、耐食性試験用サンプルを作製した。そして、JIS K5400の9.1記載の方法で塩水噴霧試験を実施した。塩水は、亜鉛系金属粉を含む塗膜を有する面に拭きかかかるように噴霧した。試験時間は120hとした。
試験終了後、端面にテープシールを施していない縦辺の端面とカット部の最大膨れ幅と最大赤錆幅を測定し、最大膨れ幅が3mm以下の場合に◎、3mm超5mm以下の場合に○、5mm超10mm以下の場合に△、10mm超の場合に×と評価した。最大赤錆幅が2mm以下の場合に◎、2mm超3mm以下の場合に○、3mm超5mm以下の場合に△、5mm超の場合に×と評価した。
<3.塗膜加工性試験>
作製したプレコート鋼板を、同じ板厚のスペーサーを間に挟んで180°折り曲げ加工(一般的に1T曲げと呼ばれる加工)を実施し、加工部の塗膜を20倍ルーペで観察し、塗膜の割れの有無を調べた。折り曲げ加工は20℃雰囲気中で加工した。
作製したプレコート鋼板を、同じ板厚のスペーサーを間に挟んで180°折り曲げ加工(一般的に1T曲げと呼ばれる加工)を実施し、加工部の塗膜を20倍ルーペで観察し、塗膜の割れの有無を調べた。折り曲げ加工は20℃雰囲気中で加工した。
塗膜割れの評価は、塗膜割れの全くない時を○、塗膜にルーペ観察でのみ確認できるごく小さな割れがある時を△、塗膜にルーペ無しの目視でも明確な大きな割れが加工部全面に確認できる時を×として評価した。更に、加工部の塗膜上にテープを貼り付け、このテープを剥がした時に塗膜が全く剥離しなかった場合を○、部分的に剥離した場合を△、加工部全面が剥離した場合を×と評価した。
以下、評価結果について詳細を記載する。表4に作製したプレコート鋼板の評価結果を示す。本発明のプレコート鋼板板(本発明例−1〜49)は、耐試験での最大膨れ幅、最大赤錆幅共に小さく、また加工性にも優れる。一方、下塗塗膜層に亜鉛系金属粉を含まないもの(比較例−50)や亜鉛系金属粉を含む下塗塗膜層が無いもの(比較例−53)は耐赤錆性に劣るため不適である。また、中塗塗膜層中に防錆塗料顔料を含まないもの(比較例−51)や、防錆顔料を含む中塗塗膜層が無いもの(比較例−52及び−54)は端面やカット部からの最大赤錆幅は小さく優れるが、最大膨れが大きく不適である。
本発明のプレコート鋼板で、亜鉛系金属粉がAl、Mgのいずれか一方を含む合金もしくは金属間化合物であるもの(本発明例−8〜9)は純亜鉛のもの(例えば、本発明例−10)と比べて耐食性に優れるため好適である。純亜鉛のものは犠牲防食効果が発揮されやすいため赤錆は発生しにくいが、塗膜膨れが発生しやすい傾向であるのに対して、Al、Mgのいずれか一方を含む合金もしくは金属間化合物は膨れも発生しにくく好適である。更に、亜鉛系金属粉がAl、Mgを共に含む合金もしくは金属間化合物であるもの(例えば、本発明例−2)は更に耐食性に優れるため、より好適である。また、亜鉛系金属粉の添加量が樹脂固形分100質量部に対して70質量部未満のもの(本発明例−12)は最大赤錆幅が大きく、耐食性に劣る傾向があり、700質量部超のもの(本発明例−17)は加工性に劣る傾向があり、亜鉛系金属粉の添加量が樹脂固形分100質量部に対して70質量部〜700質量部がより好適である。更に下塗塗膜層中の亜鉛系金属粉の粒径が膜厚より大きいもの(本発明例−5,6,7)は塗膜層に異物が混入したようなブツ状外観となる傾向が見られるため、亜鉛系金属粉の粒径は膜厚以下であることが好ましい。
本発明のプレコート鋼板で、下塗塗膜層中に亜鉛系金属粉に加えてSi、P、V、及びMgの中から選択された少なくともいずれか一つ以上を含む化合物からなり、粒径が10nm〜1000nmの微細な防錆剤を含むもの(本発明例−18〜20及び−22〜27)はこれを含まないもの(例えば、本発明例−2)や下塗塗膜層中の防錆剤の粒径が1000nm超のもの(本発明例−21)に比べて耐食性に優れるためより好適である。更に下塗塗膜層に含まれる微粒防錆剤の添加量がバインダー樹脂固形部100質量部に対して1質量部未満のもの(本発明例−24)は耐食性に劣る傾向があり、15質量部超のものは加工性に劣る傾向があるため、ナノオーダーの微粒防錆剤の添加量はバインダー樹脂固形部100質量部に対して1質量部〜15質量部が好適である。
本発明の下塗塗膜層の膜厚が3μm未満のもの(本発明例−34)は、最大赤錆幅が大きく耐食性に劣る傾向があり、膜厚が15μm超のもの(本発明例−37)は焼付工程にて溶剤沸騰痕が塗膜に残るワキ状の外観不良(一般にボイリングとも言われる)が発生しやすい傾向があるため、下塗塗膜層の膜厚は3μm〜15μmが好適である。
本発明の中塗塗膜層の膜厚が3μm未満のもの(本発明例−38)は耐食性に劣る傾向が見られ、15μm超のもの(本発明例−41)は微細なワキ外観が観察されるため、中塗塗膜層の膜厚は3μm〜15μmが好適である。また、中塗塗膜層中に含まれる防錆顔料の添加量は、樹脂固形分100質量部対して5質量部である本発明例−32は耐食性が極僅かに劣る傾向が見られ、150質量部である本発明例−33は極僅かに加工性が劣る傾向が見られるため、樹脂固形分100質量部に対して5質量部〜150質量部が好適である。
本発明のプレコート鋼板は、原板である冷延鋼板の上にシランカップリング剤と水溶性樹脂とを含む化成処理を施したものであると加工性に優れより好適である。シランカップリング剤と水溶性樹脂とを含む化成処理以外の化成処理を施したものである本発明例−48は加工密着性に劣る傾向が見られる。また、化成処理を施していないもの(本発明例−49)も耐食性に若干劣り、加工性や加工密着性にも劣る傾向であった。
本発明のプレコート鋼板は、下塗塗膜層中において、これに含まれる亜鉛系金属粉末の量が下塗塗膜層の膜厚方向で異なり、下塗塗膜層の膜厚をtとしたときに、t/2より下層側(鋼板側)に亜鉛系金属粉末が濃化していると好適である。t/2より下層側(鋼板側)に亜鉛粉末が濃化していないもの(本発明例−43)は耐食性に劣る傾向が見られる。更に、t/2より下層側(鋼板側)に亜鉛系金属粉末を濃化させる手法としては、下塗塗膜中に架橋剤を添加しないものを樹脂バインダーにすること(本発明例−1〜42及び−44〜48)で達せられる。
なお、下塗塗膜層中に架橋剤を添加しないものを樹脂バインダーにした本発明例−1〜42及び−44〜48について、高周波放電式グロー放電発光分光分析(高周波GDS)にて塗膜最表層から深さ方向の元素濃度測定を実施したところ、下塗塗膜層に相当する位置で窒素が検出された。窒素は中塗塗膜層中に含まれる架橋剤であるメラミン樹脂が下塗塗膜層中に拡散したものと推定される。つまり、架橋剤を含まない下塗塗膜層が焼付けの工程で溶融してこれに含まれる亜鉛系金属粉末が十分に下塗塗膜層の下層側に濃化した後に、中塗塗膜層中に含まれるメラミン樹脂が下塗塗膜層へ拡散し、下塗塗膜層の架橋剤として働いたものと推定する。そのため、本発明例−1〜42及び−44〜48は下塗塗料中に架橋剤を含まないが、加工性や加工密着性などの塗膜物性に優れていたものと推定する。
また、本発明のプレコート鋼板は下塗塗膜層を塗装して焼付けた後に、中塗塗膜層と上塗塗膜層とを同時に塗装し焼付ける方法、一般に3コート2ベークと呼ばれる方法で塗装すると、既存の2コート2ベークの塗装ラインにて製造できるため、製造効率が向上し、より好適である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明により、めっきを施していない安価な冷延鋼板を用い、更に環境上の影響が懸念される6価クロムを使用せずに、耐食性、加工性に優れたプレコート鋼板を高い生産性にて提供することが可能となった。そのため、これまでめっき鋼板を原板とした材料しか使用できなかった耐食性の厳しい環境にて使用される各種製品に安価な冷延プレコート鋼板を使用することが可能となった。従って、本発明は工業的価値の極めて高い発明であるといえる。
Claims (14)
- 冷延鋼板の片面もしくは両面に下塗塗膜層、中塗塗膜層、及び上塗塗膜層を順次積層した少なくとも3層の塗膜層を有するプレコート冷延鋼板であって、
前記下塗塗膜層に亜鉛系金属粉を含有し、且つ、前記中塗塗膜層にSi、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物からなる防錆顔料を1種または複数種含有し、且つ、前記上塗塗膜層が着色されていることを特徴とする、プレコート冷延鋼板。 - 前記亜鉛系金属粉が、AlとMgの一方又は両方を含む亜鉛系金属粉末であることを特徴とする、請求項1に記載のプレコート冷延鋼板。
- 前記亜鉛系金属粉が、塗膜中の樹脂固形分100質量部に対して70質量部〜700質量部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレコート冷延鋼板。
- 前記下塗塗膜層が、前記亜鉛系金属粉に加え、平均粒径が10nm〜1000nmである微粒防錆剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレコート冷延鋼板。
- 前記微粒防錆剤が、Si、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物からなる防錆剤1種または複数種であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプレコート冷延鋼板。
- 前記微粒防錆剤の量が、前記下塗塗膜中のバインダー樹脂100質量部に対して1質量部〜15質量部であることを特徴とする、請求項4又は5に記載のプレコート冷延鋼板。
- 前記下塗塗膜層の膜厚が3μm〜15μmであり、且つ、前記亜鉛系金属粉の平均粒径が前記下塗塗膜層の膜厚より小さいことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプレコート冷延鋼板。
- 前記下塗塗膜層において、塗膜中に含まれる亜鉛系金属粉末の量が前記下塗塗膜層の膜厚方向で異なり、前記下塗塗膜層の膜厚をtとしたときに、t/2より鋼板側に前記亜鉛系金属粉が濃化していることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプレコート冷延鋼板。
- 前記冷延鋼板と前記下塗塗膜層との間に、シランカップリング剤と水溶性樹脂とを含む化成処理層、及びリン酸塩処理層のいずれかを有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプレコート冷延鋼板。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のプレコート冷延鋼板の製造方法であって、
冷延鋼板上に、バインダー樹脂、架橋剤及び亜鉛系金属粉を含有する下塗塗料を塗布して焼付けることで下塗塗膜層を形成させた後に、バインダー樹脂と、架橋剤と、Si、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物からなる防錆顔料1種以上を含有する中塗塗料と、バインダー樹脂、架橋剤及び着色顔料を含有する上塗塗料とを積層塗布し、中塗塗膜層と上塗塗膜層とを形成することを特徴とする、プレコート冷延鋼板の製造方法。 - 前記中塗塗料と前記上塗塗料とを多層同時塗布又はウェットオンウェット塗装した後、同時に焼き付ける事を特徴とする、請求項10に記載のプレコート冷延鋼板の製造方法。
- 請求項8に記載のプレコート冷延鋼板の製造方法であって、
冷延鋼板上に、架橋剤を含まないバインダー樹脂と亜鉛系金属粉とを少なくとも含む下塗塗料を塗布及び乾燥をして下塗塗膜層を形成した後、バインダー樹脂、架橋剤、及びSi、P、V、及びMgの中から選択された少なくとも一つ以上を含む化合物からなる防錆顔料1種以上を含有する中塗塗料と、着色顔料を含有する上塗塗料とを積層塗布し焼き付けることを特徴とする、プレコート冷延鋼板の製造方法。 - 前記中塗塗料と前記上塗塗料とを多層同時塗布又はウェットオンウェット塗装した後、これら積層した前記中塗塗料と前記上塗塗料とを同時に焼付けることを特徴とする、請求項12に記載のプレコート冷延鋼板の製造方法。
- 前記冷延鋼板に、塗装下地処理として、シランカップリング剤と水溶性樹脂とを含む化成処理剤を塗布して化成処理層を形成する、又は、リン酸塩処理剤を用いてリン酸塩処理層を形成することを特徴とする、請求項10〜13のいずれか1項に記載のプレコート冷延鋼板の製造方法。
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JP2017122186A (ja) * | 2016-01-08 | 2017-07-13 | 新日鐵住金株式会社 | 塗料組成物およびそれを用いた塗装部材 |
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JP2018020486A (ja) * | 2016-08-03 | 2018-02-08 | 三菱重工業株式会社 | 防食塗膜構造 |
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