JP2617712B2 - ヒト前立腺特異抗原の定量法 - Google Patents

ヒト前立腺特異抗原の定量法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、サンドイッチ型免疫学的測定法によるヒト
前立腺特異抗原の新規な定量法に関する。
〔発明の背景〕
ヒト前立腺特異抗原(以下、PAと略称する。)は、T.
M.Cheuらによりヒト前立腺組織或は精漿中から発見され
た蛋白質で(M.C.Wang et al;Invest Urology,17,159,1
980;Oncology,39,1,1982)、同じCheuらが報告している
前立腺性酸性ホスファターゼ(T.M.Cheu et al;Invest
Urology,15,319,1978)とは異なる前立腺性抗原蛋白で
ある。PAは他の臓器及び組織には含まれず、ヒト前立腺
にのみ存在するといわれている。従って、前立腺疾患、
特に前立腺癌のマーカーとして利用できる可能性が高い
ことから近年特に注目されてきている。
現在のところ前立腺癌の診断や治療経過の観察には前
立腺性酸性ホスファターゼを測定する方法が主に行われ
ているが、臨床学的には病状を十分に反映しているとは
言い難く、更に確実な診断指標の確立とその測定方法の
確立が望まれている。
PAを診断指標として診断や治療経過の観察を行った報
告としては、例えばKuriyama et al;Cancer Research,4
0,4658,1980、特表昭57−500169号公報、Pontes et al;
J.Urology,128,1216,1982、小川ら;Radioisotopes,33,2
73,1984等があり、血中PAの変動を測定することは、前
立腺癌の診断や治療経過の観察に有効であると報告され
ている。しかしながら、これらの報告に於て用いられて
いる測定方法は感度的にも特異性の面でも今一息であ
り、且つ再現性にも問題があり、しかも非常に時間のか
かる(通常24時間以上を要す。)ものであって且つその
操作も非常に繁雑であるところからその有効性は理解で
きてもそれを実際に応用するのには種々の問題が残され
ていた。
〔発明の目的〕
本発明は上記した如き状況に鑑みなされたもので、高
感度で、且つ特異性、再現性に優れ、しかも操作が簡便
で測定時間も極めて短い、サンドイッチ型免疫学的測定
法によるPAの新規定量法を提供することにある。
〔発明の構成〕
本発明の目的を達成する為に、本発明は次の構成より
なる。
「サンドイッチ型免疫学的測定法によるPAの定量法に
於いて、マウスの腫瘍ラインからの細胞及びPAで予め免
疫されたマウスからの脾細胞との融合により形成された
ハイブリドーマにより産生される、PAに特異性を有し且
つ免疫グロブリンクラスがIgAである単クローン性抗PA
抗体と、PAで免疫された動物から得られるポリクローナ
ル抗PA抗体とを組み合わせて用いることを特徴とするPA
の定量法。」 即ち、本発明者らは、Cheuらの方法(Oncology,39,1,
1982)に従ってヒト精漿より精製したPAで予め免疫され
たマウスからの脾細胞とマウスの腫瘍ラインからの細胞
との融合により形成されたハイブリドーマにより産生さ
れる、PAに高い特異性を有する単クローン性抗PA抗体を
用いて、高感度で且つ特異性、再現性に優れ、しかも極
めて実用的で操作が簡便なサンドイッチ型免疫学的測定
法によるPAの測定法を組み立てるべく、鋭意研究の結
果、PAに特異性を有し且つ免疫グロブリンクラスがIgA
である単クローン性抗PA抗体と、PAで免疫された動物か
ら得られるポリクローナル抗PA抗体とを組み合わせて用
いることにより本発明の目的を達成し得ることを見出し
本発明を完成するに到った。
本発明で用いられる単クローン性抗PA抗体(以下、PA
−MCAと略称する。)としては、常法、即ちケラー、ミ
ルスタイン(G.Khler and C.Milstein;Nature,256,49
5,1975)により確立された細胞融合法に従い、マウスの
腫瘍ラインからの細胞と、PAで予め免疫されたマウスの
脾細胞とを融合させてハイブリドーマを作製し、該ハイ
ブリドーマから産生される単クローン性抗PA抗体を常法
により採取して得たものの中から特に本発明の目的に適
うものとして選択されたもの、即ち免疫グロブリンクラ
スがIgAである単クローン性抗PA抗体が用いられる。
また、本発明で用いられるポリクローナル抗PA抗体
(以下、PA−PCAと略称する。)としては常法、例えば
免疫実験学入門、第2刷、松橋直ら、(株)学会出版セ
ンター、1981等に記載の方法に準じて、馬、牛、羊、
兎、山羊、ラット、マウスなどの動物にPAで免疫して作
製したものがいずれも例外なく用いられる。
本発明のPAの定量法は、抗体として本発明に係るPA−
MCAとPAで免疫された動物から得られるPA−PCAとを組み
合わせて用いる以外は例えば自体公知のサンドイッチ型
酵素免疫測定法(EIA)、放射性免疫測定法(RIA)、螢
光免疫測定法(FIA)等の方法に準じてこれを行えば良
く、用いる試薬もこれらの方法に於て用いられる試薬に
準じて、適宜選択して用いれば良い。
また、本発明のサンドイッチ型免疫学的測定法は、例
えば、先ず固定化抗体とPAを含む試料とを反応させ、然
る後これに標識抗体を反応させる方法でも、或は、先ず
PAを含む試料と標識抗体とを反応させ、次いでこれに固
定化抗体を反応させる方法でも、更にはPAを含む試料、
固定化抗体、標識抗体の三者を同時に反応させる方法で
も、いずれの方法によっても実用的な方法を組み立てる
ことが可能である。しかしながら、本発明のより好まし
い実施態様としては、PAを含む試料、固定化抗体、標識
抗体の三者を同時に反応させる、所謂1ステップ法が挙
げられる。即ち、反応を1ステップで行うことにより、
作業性が向上し、且つ測定時間の短縮が企れる。本発明
の方法はこのような1ステップ法による測定法の組み立
てを可能としたものである。
本発明に於て、PA−MCA又はPA−PCAを水不溶性担体表
面に固定化する固定化の方法としては自体公知のEIA、R
IA又はFIAに於て一般に行われている自体公知の固定化
方法が何れも例外なく挙げられる。即ち、固体表面に物
理的吸着によりこれを行ってもよいし、化学的にアミノ
基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、
アミド基等の官能基を利用し架橋剤を用いてカップリン
グさせることによりこれを行うこともできる。
本発明で用いられる水不溶性担体としては例えば、ポ
リスチレン,ポリ塩化ビニル,ポリエチレン,ポリプロ
ピレン,変性セルロース,ポリアクリルアミド等の高分
子化合物やガラス,シリカゲル,金属酸化物等の無機物
質等、EIA、RIA又はFIAに於て通常用いられる自体公知
の担体が何れも使用可能である。また、これらは通常ビ
ーズ,チューブ,ディスク片,微粒子(ラテックス粒
子),マイクロプレート等の形態にして用いられること
も周知の如くである。
しかしながら、本発明の最も好ましい実施態様は、水
不溶性担体としてガラスビーズを用いる方法である。即
ち、水不溶性担体としてガラスビーズを用いることによ
り、相分離や洗浄等の操作が極めて簡便になり且つ測定
時間の短縮が企れる。
また、本発明に於てPA−MCA或はPA−PCAを標識物質に
より標識する方法としては、自体公知のEIA、RIA或いは
FIAに於て一般に行われている自体公知の標識方法(例
えば、医化学実験講座、第8巻、山村雄一監修、第1
版、中山書店、1971;図説 螢光抗体、川生明著、第1
版、(株)ソフトサイエンス社、1983;酵素免疫測定
法、石川栄治、河合忠、宮井潔編、第2版、医学書院、
1982等)がいずれも例外なく挙げられる。
本発明で用いられる標識物質としてはEIAでは酵素で
あり、RIAでは放射性同位元素であり、FIAでは螢光性物
質であることは云うを俟たない。
本発明に係るEIAに於て、標識物質として用いられる
酵素としては、例えばβ−ガラクトシダーゼ、アルカリ
ホスファターゼ、ペルオキシダーゼ等が挙げられるが、
これらに限定されるものではない。
本発明に於て、単クローン性抗体、ポリクローナル抗
体のいずれを固定化抗体とし、いずれを標識抗体とする
かは任意であるが、特異性、再現性により優れた測定を
行うことができるという点で単クローン性抗体を固定化
抗体とし、ポリクローナル抗体を標識抗体とする方法が
より好ましい。
本発明で用いられる標識抗体の最も好ましい実施態様
としては、家兎抗PA抗体(クラス;IgG)をFab′にした
後マレイミドでこれに酵素を標識した抗体が挙げられ
る。即ち、該標識抗体を用いることにより、より高感度
で、且つより特異性、再現性に優れた測定を行うことが
可能となる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例により何ら限定されるもので
はない。
〔実施例〕
参考例1.単クローン性抗ヒト前立腺特異抗原抗体(PA
−MCA)及びこれを産生するハイブリドーマの作製 (1)免 疫 ヒト前立腺特異抗原(PA)50μgを溶解した10mMトリ
ス緩衝液(pH7.2)0.1mlとフロイントコンプリートアジ
ュバント0.1mlのエマルジョンをBalb/cマウス(雄、4
週齢)の腹腔内に投与した。その4週後、10mMトリス緩
衝液(pH7.2)0.1mlに溶解したヒトPA50μgを腹腔内に
投与した。
(2)細胞融合 最終免疫より3日後、マウスの脾臓を摘出した。脾細
胞108個とNS−1細胞107個をポリエチレングリコール0.
5g、MEM培地0.5ml、DMSO 0.15mlの溶液中で室温1分間
インキュベートして融合させた。細胞を15%FCS添加RPM
I−1640培地に懸濁させた後、96穴プレート5枚に分注
し、CO2インキュベーターで培養を開始した。翌日1穴
当り2滴のHAT培地を加えた。それから3日毎に半量の
培地をHAT培地と交換した。融合後2週間目の培養上清
を抗体産生の検出の為に供した。
(3)ハイブリドーマの選択 抗ヒトPA抗体産生ハイブリドーマの選択の為に、上記
の96穴の各細胞培養上清をELISA法にて分析した。
先ず96穴プレートに、精製されたヒトPAを10μg/mlの
濃度で0.05mlずつ分注し、37℃で2時間静置して抗原を
プレートに固定化した。Tween20(ポリオキシエチレン
ソルビタンモノラウレート、花王石鹸(株)商品名)を
0.05%含む10mMリン酸緩衝液pH7.4(以下、洗浄液と略
す。)で3回洗浄した後、培養上清中の蛋白質の非特異
的吸着を避ける為、1%BSA(牛血清アルブミン)溶液
を0.2mlずつ分注し37℃で2時間静置した。洗浄液で3
回洗浄した後、上記の細胞培養上清を0.05ml分注し37℃
で2時間静置した。陰性対照としてはHAT培地を用い
た。次に洗浄液で3回洗浄後、ペルオキシダーゼ標識抗
マウス免疫グロブリン溶液(DAKO社製)0.05mlを分注し
37℃で2時間静置した。洗浄液で3回洗浄後、過酸化水
素0.02%を含む0.4%オルトフェニレンジアミン溶液0.0
5mlを分注し室温で30分反応後、6N硫酸0.05mlを加えて
反応を停止し、O.D.490nmを測定した。陰性対照の2倍
以上のO.D.を示す培養上清で増殖しているハイブリドー
マを抗ヒトPA抗体産生ハイブリドーマとして選択した。
(4)単クローン化 クローニングは限界希釈法で行った。96穴プレートの
1穴当りハイブリドーマが0.5個入るように分注した。
この操作を2回繰返し単クローン化を完全なものとし
た。ELISA法で検討し10種のクローンを選択して、次の
抗体作製に使用した。
(5)単クローン性抗体の作製 上記10種のハイブリドーマの5×106個を夫々10日前
にプリスタン処理したBalb/cマウス(雄、8週齢)の腹
腔内に投与し、約2週間後に腹水を回収した。
腹水を40%飽和の硫安分画を行い、更にDEAEセルロー
スを用いたカラムクロマトグラフィーを行い、PA−MCA
No.106、120、201−1、202−2、204−1、207−2、2
09−2、213−1、214−2、及び303−1の10種類を得
た。
参考例2. PA−MCAの免疫グロブリンクラス又はサブク
ラスの同定 参考例1で得られた10種の単クローン性抗体について
免疫グロブリンクラス又はサブクラスの同定をELISA法
により次の様に行った。
(操作法) 参考例1−(3)と同様の操作により、96穴プレート
に、精製されたPAを固定化してBSAによるブロッキング
を行い、次に、参考例1で得られたPA−MCAの2μg/ml
溶液0.05mlを分注して反応させ、更にマウスの免疫グロ
ブリンクラス又はサブクラスに対する抗体溶液(MILES
社製)0.05mlを分注して反応させ、次いでペルオキシダ
ーゼ標識抗ウサギ免疫グロブリン溶液(DAKO社製)0.05
mlを分注して反応させた。洗浄液で3回洗浄後過酸化水
素0.02%を含む0.4%オルトフェニレンジアミン溶液0.0
5mlを分注し室温で30分反応後、6N硫酸0.05mlを加えて
反応を停止し、O.D.490nmを測定した。陰性対照として
洗浄液を用いて同様の操作を行った。
(結果) 得られた結果を表1に示す。
参考例3. PA−MCAの特異性の検討 参考例1で得られたPA−MCAの特異性を検討する為、
腫瘍マーカーとして比較的良く測定されるα−フェトプ
ロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)及びヒト絨毛性
ゴナドトロピン(hCG)との交差性の検討を行った。
(操作法) 参考例1−(3)と同様の操作により、96穴プレート
に、精製されたPA,AFP,CEA又はhCGの2μg/ml溶液を用
いてこれらを固定化しBSAによるブロッキングを行い、
次に参考例1で得られたPA−MCAの2μg/ml溶液0.05ml
を分注して反応させ、更に、ペルオキシダーゼ標識抗マ
ウス免疫グロブリン溶液(DAKO社製)0.05mlを分注して
反応させた。洗浄液で3回洗浄後過酸化水素0.02%を含
む0.4%オルトフェニレンジアミン溶液0.05mlを分注し
室温で30分反応後、6N硫酸0.05mlを加えて反応を停止
し、O.D.490nmを測定した。陰性対照として洗浄液を用
いて同様の操作を行った。
(結果) 上記操作に従って測定を行ったところ参考例1で得ら
れたPA−MCAはAFP,CEA又はhCGとは反応しないことが判
った。
参考例4. Western Blottingによる特異性の検討 参考例1で得られたPA−MCAの特異性を検討する為
に、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)とWester
n Blottingを用いる酵素免疫染色法とを組み合わせて、
検体中のPAの検出を行った。
(操作法) PAを含む試料を公知の方法(Nature,227,680,1970)
に従って、5%〜10%のゲル濃度のスラブゲルを用いて
PAGEを行った。泳動の終わったゲルはTowbinらの方法
(Proc.Natl.Acad.Sci.,76,4350,1979)に準じてニトロ
セルロースメンブランに転写を行った。ニトロセルロー
ス上に転写された蛋白バンドは、PA−MCAと反応させた
後、更に2次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウス
免疫グロブリン溶液(DAKO社製)を反応させ洗浄した
後、ジアミノベンチジン反応を行ってPA−MCAの結合部
位を検出した。
(結果) 上記操作の結果、参考例1で得られたPA−MCAはいず
れも分子量33000のCheuらのバンドと反応した。
実験例1 EIAに適用可能な抗PA抗体の組み合わせの選
択 ELISA法によりEIAに適用可能な抗PA抗体の組み合わせ
の選択を行った。
(試薬) ・ペルオキシダーゼ標識PA−PCA 公知の方法(酵素免疫測定法、石川栄治、河合忠、宮
井潔編、第2版、医学書院、1982)に従って、Fab′と
した家兎抗PA抗体をマレイミド法によりペルオキシダー
ゼと結合させてペルオキシダーゼ標識PA−PCA(以下、P
OD標識PA−PCAと略称する。)を調製した。
(操作法) 96穴マイクロプレートに、PA−MCAの10μg/ml溶液0.0
5mlを分注し、37℃、1時間静置して抗体をプレートに
固定化した。洗浄液で3回洗浄した後、非特異的吸着を
避ける為、1%BSA溶液を0.2mlずつ分注して、37℃、1
時間静置した。洗浄液で3回洗浄後、PA溶液(100ng/m
l)を0.05mlずつ分注して、37℃、1時間静置して免疫
反応を行った。洗浄液で3回洗浄後、POD標識PA−PCA溶
液を0.05mlずつ分注して、37℃、1時間静置して反応さ
せた。洗浄液で十分洗浄後、マイクロプレートに残存す
るペルオキシダーゼ活性の測定を以下の様に行った。即
ち、過酸化水素0.02%を含む0.4%オルトフェニレンジ
アミン溶液0.05mlを分注し室温で30分反応後、6N硫酸0.
05mlを加えて反応を停止し、O.D.490nmを測定した。(P
A;0ng/mlの溶液により得られた値をBlとし、PA;100ng/m
lの溶液によりえられた値をESとした。) (結果) 結果を表2に示す。但し、ここで×、△、○、◎は各
々以下の範囲を示す。
×:1≦ES/Bl≦2 △:2<ES/Bl≦3 ○:3<ES/Bl≦5 ◎:5<ES/Bl この結果から明らかな如く、参考例1で得られた10種
のPA−MCAの内、POD標識PA−PCAと組み合わせた場合に
比較的反応性が良いのは、No.106、201−1、202−2、
207−2、209−2、213−1、303−1の7種であり、中
でも免疫グロブリンクラスがIgAであるNo.303−1が特
に良いことが判った。
実験例2 EIAに適用可能なPA−MCAの組み合わせの選択 実験例1の結果から比較的反応性の良かったPA−MCA7
種(No.106、201−1、202−2、207−2、209−2、21
3−1、303−1)を用いて、EIAに適用可能なPA−MCAの
組み合わせの選択を行った。
(試薬) ・ペルオキシダーゼ標識PA−MCA 公知の方法(酵素免疫測定法、石川栄治、河合忠、宮
井潔編、第2版、医学書院、1982)に従って、Fab′と
したPA−MCA(但し、No.303−1を除く。)をマレイミ
ド法によりペルオキシダーゼと結合させてペルオキシダ
ーゼ標識PA−MCA(以下、POD標識PA−MCAと略称す
る。)を調製した。
(操作法) POD標識PA−PCAをPOD標識PA−MCAに代えた以外は、実
験例1の操作法と同様の操作法により行った。
(結果) 結果を表3に示す。(ここで、×、△、○、◎は前記
と同じ。) この結果から、PA−MCA同士の組み合わせとしては、N
o.106と303−1及びNo.213−1と303−1の組み合わせ
がよく、特にNo.213−1と303−1の組み合わせがEIAに
適用可能と考えられた。
実験例3 実験例1及び2の結果から得られたEIA適用可能な本
発明に係わる抗体の組み合わせと、従来から用いられて
いるPA−PCAとPOD標識PA−PCAとの組み合わせによるPA
測定法による検量線の作成を行い、その実用性の検討を
行った。
(試薬) ・抗PA抗体固定化ガラスビーズの調製 ガラスビーズを2%の3−アミノプロピルトリエトキ
シシラン−アセトン溶液に室温で24時間浸しアミノアル
キルシラン化した。次に、ビーズを25%グルタルアルデ
ヒド溶液に浸し、室温で4時間活性化した後、本発明に
係るPA−MCA No.303−1又は家兎より得られたPA−PCA
の100μg/ml溶液に4℃で一晩浸した。洗浄後、5%シ
ョ糖及び1%BSAを含む20mMリン酸緩衝液に4℃で一晩
浸した後、乾燥し抗PA抗体固定化ガラスビーズ(以下、
A−PA−Gと略称する。)とした。
・ペルオキシダーゼ標識抗PA抗体の調製 公知の方法(酵素免疫測定法、石川栄治、河合忠、宮
井潔編、第2版、医学書院、1982)に従って、Fab′と
したPA−MCA No.213−1又は家兎より得られたPA−PCA
をマレイミド法によりペルオキシダーゼと結合させてペ
ルオキシダーゼ標識抗PA抗体Fab′(以下、POD−PA−Fa
b′と略称する。)を調製した。
(操作法) 所定濃度のPA溶液100μl、POD−PA−Fab′400μl及
びA−PA−G 1個を試験管にとり37℃で2時間反応さ
せた。洗浄液で充分に洗浄した後、ビーズに結合したペ
ルオキシダーゼ活性を次のようにして測定した。即ち、
ビーズを新しい試験管にとり、過酸化水素0.02%を含む
0.4%オルトフェニレンジアミン溶液500μlを分注して
37℃で30分間反応させた後、15N硫酸2.5mlで反応を停止
させ、直ちに492nmの吸光度を測定した。
(結果) 得られた結果を第1図に示す。但し、ここで実線 はPA−MCA No.303−1固定化A−PA−Gと家兎PA−PCA
より調製したPOD−PA−Fab′とを組み合わせて用いた場
合を、点線 はPA−MCA No.303−1固定化A−PA−GとPA−MCA No.2
13−1より調製したPOD−PA−Fab′とを組み合わせて用
いた場合を、また、一点鎖線 は家兎PA−PCA固定化A−PA−Gと家兎PA−PCAより調製
したPOD−PA−Fab′とを組み合わせて用いた場合を夫々
示す。
この結果から明らかな如く、本発明に係わる特定のPA
−MCA No.303−1と家兎PA−PCAを組み合わせて用いた
測定法が最も高感度であることがわかった。
実施例1. 血中PAの定量 実験例3で得られた結果をもとに組み立てた本発明の
高感度PA定量法を用いて、血中PAの定量を行った。
(試料) 前立腺疾患、尿路結石、膀胱腫瘍、尿道腫瘍、子宮癌
の各患者血清、正常血清及び所定濃度PA溶液を試料とし
た。
(試薬) 実験例3で用いたPA−MCA No.303−1を固定化したA
−PA−Gと家兎PA−PCAから調製したPOD−PA−Fab′と
を用い、他の試薬は実験例3と同様の試薬を用いた。
(操作法) 実験例3と同様に行い、血清中のPA濃度は所定濃度の
PA溶液から得られた検量線から求めた。
(結果) 得られた血清中PA濃度と疾患との関係を第2図に示
す。
この結果から明らかな如く、本発明に係わるPA測定法
により測定された血清中のPA濃度は前立腺癌に於て特異
的に上昇し他の疾患とは明らかに区別できることが判っ
た。
尚、夫々の試料についての本実施例に於ける、反応か
ら測定終了までの総測定時間はいずれも3〜3.5時間で
あった。
実施例2. 血清中PA濃度と前立腺癌の病勢との関連性 本発明に係わるPA測定法を用いて、血清中PA濃度と前
立腺癌の病勢との関連性を検討した。
(試料) 前立腺癌患者(再燃、ステージA及びステージD)血
清及び正常血清を試料とした。
(試薬及び操作法) 実施例1と同様に行った。
(結果) 結果を第3図に示す。
この結果から明らかな如く、本発明に係わるPA測定法
により測定された血清中のPA濃度は前立腺癌の病勢をよ
く反映することが判った。
尚、夫々の試料についての、本実施例に於ける総測定
時間も実施例1の場合と同様全て3〜3.5時間であっ
た。
〔発明の効果〕
以上述べた如く、本発明は前立腺癌及びその病勢を極
めて良く反映する、実用的で且つ簡便な高感度PA測定法
を提供するものであり、特異性、再現性に優れ、しかも
その測定所要時間は4時間以内と従来のそれが24時間以
上であるのに比べて極めて短時間である点に顕著な効果
を奏する発明であり、前立腺癌の診断、治療効果の判定
等、臨床上甚だ大なる貢献が期待できる発明である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実験例3で得られた検量線を示し、夫々横軸
の各PA濃度(ng/ml)について得られた492nmに於ける吸
光度の値(O.D.)を縦軸に沿ってプロットした点を結ん
だものである。但し、実線 は単クローン性抗ヒト前立腺特異抗原抗体(以下、PA−
MCAと略称する。)No.303−1固定化ガラスビーズと家
兎ポリクローナル抗ヒト前立腺特異抗原抗体(以下、家
兎PA−PCAと略称する。)より調製したペルオキシダー
ゼ標識家兎PA−PCA−Fab′とを組み合わせて用いた場合
を、点線 はPA−MCA No.303−1固定化ガラスビーズとPA−MCA N
o.213−1より調製したペルオキシダーゼ標識PA−MCA−
Fab′とを組み合わせて用いた場合を、また、一点鎖線 は家兎PA−PCA固定化ガラスビーズと家兎PA−PCAより調
製したペルオキシダーゼ標識家兎PA−PCA−Fab′とを組
み合わせて用いた場合を夫々示す。 第2図は、実施例1で得られた血中の前立腺特異抗原
(以下、PAと略称する。)濃度と病態の関係を示し、横
軸の各病態に於ける血中PA濃度を縦軸に示したものであ
る。 第3図は、実施例2で得られた血中PA濃度と前立腺癌の
病勢の関係を示し、横軸の各前立腺癌の病勢に於ける血
中PA濃度を縦軸に示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/08 9162−4B C12N 15/00 C (C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 小畠 伸三 赤穂市折方丸ヶ端1589番地の19 和光純 薬工業株式会社赤穂農園内 (56)参考文献 特開 昭59−163565(JP,A) 特表 昭57−500169(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】サンドイッチ型免疫学的測定法によるヒト
    前立腺特異抗原(以下、PAと略称する。)の定量法に於
    いて、マウスの腫瘍ラインからの細胞及びPAで予め免疫
    されたマウスからの脾細胞との融合により形成されたハ
    イブリドーマにより産生される、PAに特異性を有し且つ
    免疫グロブリンクラスがIgAである単クローン性抗PA抗
    体と、PAで免疫された動物から得られるポリクローナル
    抗PA抗体とを組み合わせて用いることを特徴とするPAの
    定量法。
  2. 【請求項2】水不溶性担体に固定化された単クローン性
    抗PA抗体と、酵素、放射性物質、蛍光性物質等の標識物
    質で標識されたポリクローナル抗PA抗体とを組み合わせ
    て用いる特許請求の範囲第1項に記載の定量法。
  3. 【請求項3】標識物質で標識されたポリクローナル抗PA
    抗体が家兎抗PA抗体(クラス:IgG)をFab′にした後、
    マレイミド法でこれに酵素を標識したポリクローナル抗
    PA抗体である特許請求の範囲第2項に記載の定量法。
  4. 【請求項4】水不溶性担体がガラスビーズである特許請
    求の範囲第2項又は第3項に記載の定量法。
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