JP2613169B2 - 軟質ポリプロピレン樹脂組成物 - Google Patents

軟質ポリプロピレン樹脂組成物

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JP2613169B2
JP2613169B2 JP27735793A JP27735793A JP2613169B2 JP 2613169 B2 JP2613169 B2 JP 2613169B2 JP 27735793 A JP27735793 A JP 27735793A JP 27735793 A JP27735793 A JP 27735793A JP 2613169 B2 JP2613169 B2 JP 2613169B2
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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な軟質ポリプロピレ
ン樹脂に関するものである。さらに詳しくいえば、本発
明は気相重合法又はスラリー重合法により得られ、架橋
処理を施さなくても部分架橋タイプのオレフィン系熱可
塑性エラストマー(TPO)に匹敵する力学的特性を有
し、かつコスト的に有利で熱可塑性エラストマー材料と
して好適な軟質ポリプロピレン樹脂に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、熱可塑性エラストマーはゴムとプ
ラスチックの狭間を埋める新しい材料として、また省エ
ネルギー・省資源タイプのエラストマーとして、特に加
硫ゴムの代替として、例えばバンパー、サイドモールな
どの自動車部品をはじめ、工業機械部品、電気部品、土
木・建材用シート、止水材等に広く使用されている。
【0003】このような熱可塑性エラストマーとして
は、部分架橋タイプのオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー(TPO)が、熱可塑性エラストマーとしての優れた
力学的特性を有することから、広く用いられている。し
かしながら、このTPOを製造するには、一般にポリプ
ロピレンとエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPD
M)を、過酸化物の存在下に混練するなど、操作が煩雑
で、かつ過酸化物の使用が必要であるため、得られるT
POはコスト高になるのを免れない。
【0004】したがって、前記TPOに類似した力学的
特性などを有する重合体を重合段階で製造することで、
低コスト化を図ることが、これまで種々試みられてき
た。例えば、プロピレン−ヘキセン共重合体(特開昭4
9−53983号公報、特公昭62−19444号公
報)、弾性ポリプロピレン(特開昭61−179247
号公報)などが提案されている。しかしながら、これら
の重合体は、いずれも低温特性が不充分であるという欠
点を有している。
【0005】また、ポリプロピレンの低温特性の改良の
ために、プロピレン/エチレン−プロピレンの二段重合
法がよく知られているが(例えば、特開昭57−508
04号公報)、この方法では、柔軟性と実用性のある引
張強さを兼ね備えた重合体を製造することは困難であ
る。他方、ポリプロピレンは、工業的にはチーグラー系
触媒を用いて製造されているが、この場合、主として結
晶性のアイソタクチックポリプロピレンが生成し、約1
0〜15%のアタクチックポリプロピレンが副生する。
このアタクチックポリプロピレンは、数平均分子量(M
n)が約10,000程度と低く、その実用的価値が乏
しいものであった。
【0006】ところで、本発明者らは、先に、マグネシ
ウム、チタン、ハロゲン原子及び電子供与体を必須成分
とする固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物とアル
コキシ基含有芳香族化合物との組合せから成る触媒系を
用いてプロピレンを重合させることにより、高分子量の
アタクチックポリプロピレンが容易に得られることを見
い出した(特開昭63−243106号公報)。この方
法により得られるアタクチックポリプロピレンは、沸騰
ヘプタンに可溶性であって、分子量が、通常25,00
0〜100,000程度と高く、かつ分子量分布も比較
的狭いという特徴を有している。このアタクチックポリ
プロピレンは、ゴム状弾性体としての性質と優れた溶融
特性を有しているが、機械的強度が充分ではなく、単独
では成形材料としての用途の制限を免れないという問題
がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、熱可塑性エラストマーとしての良好な力
学的特性を有し、かつコスト的に有利であって、例えば
自動車分野におけるバンパー、土木・建築分野における
建材用シートや止水材などに好適に用いられる熱可塑性
エラストマー材料を提供することを目的としてなされた
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の目
的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、気相重合法
又はスラリー重合法により得られたポリプロピレン樹脂
であって、特定の極限粘度を有するアタクチックポリプ
ロピレン成分(沸騰ヘプタン可溶性ポリプロピレン成
分)と、特定の極限粘度を有するアイソタクチックポリ
プロピレン成分(沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピレン成
分)とを所定の割合で含有するとともに特定の物理的性
質を有する軟質ポリプロピレン樹脂が、その目的に適合
し得ることを見い出し、この知見に基づいて本発明を完
成するに至った。
【0009】すなわち本発明は、極限粘度〔η〕1.2
dl/g以上の沸騰ヘプタン可溶性ポリプロピレンの含
有率が10〜90重量%であり、極限粘度〔η〕0.5
〜9.0dl/gの沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピレン
の含有率が90〜10重量%であるポリプロピレン樹脂
であって、該ポリプロピレン樹脂の 13 C−核磁気共鳴吸
収法で測定したアイソタクチックペンタッド分率が20
%以上であり、示差走査熱量測定法による融解ピーク温
度が150℃以上、融解エンタルピーが100J/g以
下である軟質ポリプロピレン樹脂を提供するものであ
る。
【0010】本発明の軟質ポリプロピレン樹脂は、極限
粘度〔η〕が1.2dl/g以上、好ましくは1.5d
l/g以上の沸騰ヘプタン可溶性ポリプロピレン成分
と、極限粘度〔η〕が0.5〜9.0dl/g、好まし
くは1.0〜6.0dl/gの沸騰ヘプタン不溶性ポリ
プロピレン成分とから成り、かつ該沸騰ヘプタン可溶性
ポリプロピレン成分と沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピレ
ン成分の含有量が、それぞれ10〜90重量%及び90
〜10重量%、好ましくは25〜70重量%及び75〜
30重量%の範囲にあることが必要である。
【0011】前記沸騰ヘプタン可溶性ポリプロピレン成
分の極限粘度〔η〕が1.2dl/g未満では、破断時
応力が低く、ゴム弾性が損なわれるおそれがある。ま
た、この沸騰ヘプタン可溶性ポリプロピレンの含有量が
10重量%未満では、柔軟性が損なわれるおそれがある
し、90重量%を超えると充分な機械的強度が得られな
い傾向がみられる。一方、沸騰ヘプタン不溶性ポリプロ
ピレン成分の極限粘度〔η〕が0.5dl/g未満では
耐衝撃性に著しく劣るし、9.0dl/gを超えると成
形が困難になる傾向がみられる。なお、該極限粘度
〔η〕は、温度135℃のデカリン溶液中で測定した値
である。
【0012】本発明の軟質ポリプロピレン樹脂は、13
−核磁気共鳴吸収法(13C−NMR)によるペンタッド
分率において、rrrr/(1−mmmm)が20%以
上、換言すれば、 13 C−核磁気共鳴吸収法で測定したア
イソタクチックペンタッド分率が20%以上である。該
アイソタクチックペンタッド分率が20%未満では、耐
低温衝撃性に劣る。 また、本発明の軟質ポリプロピレン
樹脂は、示差走査熱量測定法(DSC)により求めた融
解ピーク温度(Tm)及び融解エンタルピー(ΔH)
が、それぞれ150℃以上及び100J/g以下であ
る。該Tmが150℃未満では充分な耐熱性が得られな
い。また、該ΔHが100J/g未満では柔軟性が損な
われるなど、熱可塑性エラストマーとしての充分な物性
が得られない。さらに、本発明の軟質ポリプロピレン樹
脂においては、透過型電子顕微鏡での観察で、通常、ド
メイン構造が観察される。
【0013】このような本発明の軟質ポリプロピレン樹
脂は、気相重合法又はスラリー重合法によって製造する
ことができる。気相重合法においては、例えば(イ)マ
グネシウム、チタン、ハロゲン原子及び電子供与体を必
須成分として含有する固体触媒成分と、(ロ)有機アル
ミニウム化合物と、必要に応じて用いられる(ニ)電子
供与体とを組み合わせたものの存在下にオレフィンを予
備重合させて成る固体成分、又は粒径の揃った結晶性ポ
リプロピレンやポリエチレンなどの結晶性ポリオレフィ
ンパウダーに、前記(イ)固体触媒成分と(ロ)有機ア
ルミニウム化合物と必要に応じて用いられる(ニ)電子
供与体(融点100℃以上)とを分散させて成る固体成
分、或いはこれらの方法を組み合わせて得られた固体成
分を(I)の成分とし、(II)有機アルミニウム化合
物、(III )アルコキシ基含有芳香族化合物、及び所望
に応じて用いられる(IV)電子供与体の組合せから成る
触媒の存在下に、プロピレンを重合させることにより、
所望の軟質ポリプロピレン樹脂が得られる。
【0014】前記(I)の固体成分の調製において、オ
レフィンを予備重合させる方法を用いる場合、オレフィ
ンとして、例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1、
4−メチルペンテン−1などの炭素数2〜10のα−オ
レフィンを用い、通常、30〜80℃、好ましくは55
〜70℃の範囲の温度において、予備重合を行ない、好
ましくは融点100℃以上の結晶性ポリオレフィンを形
成させる。この際、触媒系のアルミニウム/チタン原子
比は通常0.1〜100、好ましくは0.5〜5の範囲
で選ばれ、また電子供与体/チタンモル比は0〜50、
好ましくは0.1〜2の範囲で選ばれる。
【0015】該(I)固体成分における結晶性ポリオレ
フィンと(イ)固体触媒成分との割合は、重量比1:3
0ないし200:1、好ましくは1:10ないし50:
1の範囲にあるのが望ましい。この気相重合法における
各触媒成分の使用量については、通常、(I)固体成分
はTi原子に換算して、反応容積1リットル当たり0.
0005〜1モルとなるように用いられ、また、(III
)アルコキシ基含有芳香族化合物/(I)固体成分中
のTiモル比が0.01〜500、好ましくは1〜30
0、Al/Ti原子比が1〜3000、好ましくは40
〜800、及び(III )アルコキシ基含有芳香族化合物
/(IV)電子供与体のモル比が0.01〜100、好ま
しくは0.2〜100になるように各成分が用いられ
る。前記(III )アルコキシ基含有芳香族化合物/
(I)固体成分中のTiモル比が0.01未満では所望
の物性を有するポリマーが得られにくいし、500を超
えると触媒活性が低下する傾向がみられ、またAl/T
i原子比が前記範囲を逸脱すると触媒活性が不充分とな
る傾向がみられる。
【0016】さらに、この気相重合法における重合条件
については、重合温度は通常、40〜90℃、好ましく
は60〜75℃であり、重合圧力は通常、10〜45k
g/cm2 ・G、好ましくは20〜30kg/cm2
Gの範囲で選ばれ、重合時間は5分ないし10時間程度
で充分である。この際、ポリマーの分子量調節は、公知
の方法、例えば水素濃度を調節するなどの方法によって
行なうことができる。
【0017】一方、スラリー重合法においては、2種の
触媒系を用いて軟質ポリプロピレン重合体を製造するこ
とができる。第1の触媒系は、通常、(イ)マグネシウ
ム、チタン、ハロゲン原子及び電子供与体を必須成分と
して含有する固体触媒成分と、(ロ)有機アルミニウム
化合物と、(ハ)アルコキシ基含有芳香族化合物とを、
炭化水素系溶媒を用いて接触させることにより調製する
ことができる。該炭化水素系溶媒としては、例えばヘキ
サン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トル
エンなどの炭素数1〜12の飽和又は不飽和の脂肪族、
芳香族、脂環式炭化水素のモノ又はポリハロゲン化物な
どのハロゲン化炭化水素などが挙げられ、これらは1種
用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0018】この触媒系における各成分の使用量につい
ては、通常、(イ)固体触媒成分は、Ti原子に換算し
て反応容積1リットル当たり0.0005〜1モルとな
るように用いられ、また(ハ)アルコキシ基含有芳香族
化合物/(イ)固体触媒成分中のTiモル比が、0.0
1〜500、好ましくは1〜300、Al/Ti原子比
が1〜3000、好ましくは40〜800になるような
割合で各成分が用いられる。前記(ハ)アルコキシ基含
有芳香族化合物/(イ)固体触媒成分中のTiモル比が
0.01未満では所望の物性を有するポリマーが得られ
にくいし、一方、500を超えると触媒活性が低下する
傾向がみられる。また、Al/Ti原子比が前記範囲を
逸脱すると、触媒活性が不充分となる傾向がみられる。
【0019】一方、第2の触媒系は、通常、前記(イ)
固体触媒成分と(ハ)アルコキシ基含有芳香族化合物と
を、(ロ)有機アルミニウム化合物の存在下又は不在下
において反応させて(I)固体成分を得、この固体成分
と(II)有機アルミニウム化合物とを接触させることに
より調製することができる。該(I)固体成分の調製を
(ロ)有機アルミニウム化合物の存在下に行なう場合、
該有機アルミニウム化合物は、その濃度が通常、0.0
5〜100ミリモル/リットル、好ましくは1〜10ミ
リモル/リットルになるように用いられる。この濃度が
0.05ミリモル/リットル未満では、有機アルミニウ
ム化合物を存在させた効果が充分に発揮されないし、1
00ミリモル/リットルを超えると、(イ)固体触媒成
分中のチタンの還元が進行し、触媒活性が低下する傾向
がみられる。
【0020】一方、該(I)固体成分の調製を(ロ)有
機アルミニウム化合物の不存在下に行なう場合、通常、
(ハ)アルコキシ基含有芳香族化合物/(イ)固体触媒
成分中のTiモル比が0.1〜200、好ましくは1〜
50の範囲にあり、かつ(ハ)アルコキシ基含有芳香族
化合物の濃度が0.01〜10ミリモル/リットル、好
ましくは0.1〜2ミリモル/リットルになるように、
各成分が用いられる。該アルコキシ基含有芳香族化合物
の濃度が0.01ミリモル/リットル未満では容積効率
が低くて実用的でないし、10ミリモル/リットルを超
えると過反応が生じやすく、触媒活性が低下する傾向が
みられる。
【0021】前記(I)固体成分を調製する際の反応条
件については、反応温度は通常、0〜150℃、好まし
くは10〜50℃の範囲で選ばれる。この温度が0℃未
満では反応が充分に進行しないし、150℃を超えると
副反応が起こり、触媒活性が低下する傾向がみられる。
また、反応時間は温度によって左右されるが、通常、1
〜200分、好ましくは10〜60分程度である。
【0022】この第2の触媒系における(I)固体成分
及び(II)有機アルミニウム化合物の使用量について
は、(I)固体成分は、通常、Ti原子に換算して反応
容積1リットル当たり、0.0005〜1モルとなるよ
うに用いられ、またAl/Ti原子比が通常、1〜30
00、好ましくは40〜800となるような割合で各成
分が用いられる。Al/Ti原子比が前記範囲を逸脱す
ると触媒活性が不充分となる傾向がみられる。
【0023】このようにして調製された前記第1の触媒
系又は第2の触媒系を用いてスラリー重合法により、本
発明の軟質ポリプロピレン樹脂を製造する場合、反応温
度は、通常0〜200℃、好ましくは60〜100℃の
範囲で選ばれ、反応圧力は、通常、1〜50kg/cm
2 ・Gの範囲で選ばれる。重合時間は5分ないし10時
間程度で充分である。また、この際、ポリマーの分子量
調節は、公知の方法、例えば水素濃度を調節するなどの
方法によって行なうことができる。
【0024】このような気相重合法又はスラリー重合法
により、極限粘度〔η〕が1.2dl/g以上の沸騰ヘ
プタン可溶性ポリプロピレンの含有率が10〜90重量
%であり、(b)極限粘度〔η〕が0.5〜9.0dl
/gの沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピレンの含有率が9
0〜10重量%であるとともに特定の物理的性質を有す
本発明の軟質ポリプロピレン樹脂を得ることができ
る。
【0025】前記気相重合法及びスラリー重合法におけ
る触媒に用いられる(イ)固体触媒成分の調製方法、そ
の調製に使用される原料のマグネシウム化合物やチタン
化合物、及び触媒の調製に種々使用される有機アルミニ
ウム化合物、アルコキシ基含有芳香族化合物、電子供与
体としては、以下の如きものが用いられる。
【0026】まず気相重合法及びスラリー重合法におけ
る触媒に用いられる(イ)固体触媒成分は、マグネシウ
ム、チタン、ハロゲン原子及び電子供与体を必須成分と
して含有するものであり、通常、マグネシウム化合物と
ハロゲン含有チタン化合物と電子供与体とから調製され
る。
【0027】前記(イ)固体触媒成分の調製に用いられ
るマグネシウム化合物としては、例えばマグネシウムジ
クロリドなどのマグネシウムジハライド、酸化マグネシ
ウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、マグ
ネシウムのカルボン酸塩、ジエトキシマグネシウムなど
のアルコキシマグネシウム、アリロキシマグネシウム、
アルコキシマグネシウムハライド、アリロキシマグネシ
ウムハライド、エチルブチルマグネシウムなどのアルキ
ルマグネシウム、アルキルマグネシウムハライド、或い
は有機マグネシウム化合物と電子供与体、ハロシラン、
アルコキシシラン、シラノール及びアルミニウム化合物
などとの反応物などを挙げることができるが、これらの
中でマグネシウムハライド、アルコキシマグネシウム、
アルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハライド
が好適である。また、これらのマグネシウム化合物は1
種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても
よい。
【0028】また、(イ)固体触媒成分の調製に用いら
れるチタン化合物としては、例えばテトラメトキシチタ
ン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチ
タン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブト
キシチタン、テトライソプトキシチタン、テトラシクロ
ヘキシロキシチタン、テトラフェノキシチタンなどのテ
トラアルコキシチタン、四塩化チタン、四臭化チタン、
四ヨウ化チタンなどのテトラハロゲン化チタン、メトキ
シチタニウムトリクロリド、エトキシチタニウムトリク
ロリド、プロポキシチタニウムトリクロリド,n−ブト
キシチタニウムトリクロリド、エトキシチタニウムトリ
ブロミドなどのトリハロゲン化アルコキシチタン、ジメ
トキシチタニウムジクロリド、ジエトキシチタニウムジ
クロリド、ジプロポキシチタニウムジクロリド、ジ−n
−プロポキシチタニウムジクロリド、ジエトキシチタニ
ウムジブロミドなどのジハロゲン化ジアルコキシチタ
ン、トリメトキシチタニウムクロリド、トリエトキシチ
タニウムクロリド、トリプロポキシチタニウムクロリ
ド、トリ−n−ブトキシチタニウムクロリドなどのモノ
ハロゲン化トリアルコキシチタンなどが挙げられるが、
これらの中で高ハロゲン含有チタン化合物、特に四塩化
チタンが好適である。これらのチタン化合物は、それぞ
れ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用い
てもよい。
【0029】また、(イ)固体触媒成分の調製に用いら
れる電子供与体は、酸素、窒素、リン、イオウ、ケイ素
などを含有する有機化合物であり、基本的にはプロピレ
ンの重合に際し、規則性を向上させるものが用いられ
る。このような電子供与体としては、例えばエステル
類、チオエステル類、アミン類、アミド類、ケトン類、
ニトリル類、ホスフィン類、エーテル類、チオエーテル
類、酸無水物、酸ハライド類、酸アミド類、アルデヒド
類、有機酸類などを挙げることができる。
【0030】具体的には、ジフェニルジメトキシシラ
ン、ジフェニルジエトキシシラン、ジベンジルジメトキ
シシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシ
シラン、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリメ
トキシシランなどの有機ケイ素化合物、ジメチルフタレ
ート、ジエチルフタレート、ジプロピルフタレート、ジ
イソブチルフタレート、メチルエチルフタレート、メチ
ルプロピルフタレート、メチルイソブチルフタレート、
エチルプロピルフタレート、エチルイソブチルフタレー
ト、プロピルイソブチルフタレート、ジメチルテレフタ
レート、ジエチルテレフタレート、ジプロピルテレフタ
レート、ジイソブチルテレフタレート、メチルエチルテ
レフタレート、メチルプロピルテレフタレート、メチル
イソブチルテレフタレート、エチルプロピルテレフタレ
ート、エチルイソブチルテレフタレート、プロピルイソ
ブチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジエ
チルイソフタレート、ジプロピルイソフタレート、ジイ
ソブチルイソフタレート、メチルエチルイソフタレー
ト、メチルプロピルイソフタレート、メチルイソブチル
イソフタレート、エチルプロピルイソフタレート、エチ
ルイソブチルイソフタレート及びプロピルイソブチルイ
ソフタレートなどの芳香族ジカルボン酸ジエステル、ギ
酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢
酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチ
ル、酪酸エチル、吉草酸エチル、クロロ酢酸メチル、ジ
クロロ酢酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エ
チル、ピバリン酸エチル、マレイン酸ジメチル、シクロ
ヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸
プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香
酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジ
ル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、アニス酸エ
チル、エトキシ安息香酸エチル、p−ブトキシ安息香酸
エチル、o−クロロ安息香酸エチル及びナフトエ酸エチ
ルなどのモノエステルが挙げられる。
【0031】また、r−バレロラクトン、クマリン、フ
タリド、炭酸エチレンなどの炭素数2〜18のエステル
類、安息香酸、p−オキシ安息香酸などの有機酸類、無
水コハク酸、無水安息香酸、無水p−トルイル酸などの
酸無水物類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベ
ンゾキノンなどの炭素数3〜15のケトン類、アセトア
ルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ト
ルアルデヒド、ナフチルアルデヒドなどの炭素数2〜1
5のアルデヒド類、アセチルクロリド、ベンジルクロリ
ド、トルイル酸クロリド、アニス酸クロリドなどの炭素
数2〜15の酸ハライド類、メチルエーテル、エチルエ
ーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、
t−ブチルエーテル、アミルエーテル、テトラヒドロフ
ラン、アニソール、ジフェニルエーテル、エチレングリ
コールブチルエーテルなどの炭素数2〜20の対称又は
非対称エーテル類、酢酸アミド、安息香酸アミド、トル
イル酸アミドなどの酸アミド類、トリブチルアミン、
N, N´−ジメチルピペラジン、トリベンジルアミン、
アニリン、ピリジン、ピコリン、テトラメチルエチレン
ジアミンなどのアミン類、アセトニトリル、ベンゾニト
リル、トルニトリルなどのニトリル類、2, 2' −アゾ
ビス(2−メチルプロパン)、2,2' −アゾビス(2
−エチルプロパン)、2,2' −アゾビス(2−メチル
ペンタン)、α,α' −アゾビスイソブチロニトリル、
1,1' −アゾビス(1−シクロヘキサンカルボン
酸)、(1−フェニルメチル)−アゾジフェニルメタ
ン、2−フェニルアゾ−2, 4−ジメチル−4−トリロ
キシペンタンニトリルなどのアゾ結合に立体障害置換基
が結合して成るアゾ化合物などが挙げられ、これらは1
種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0032】これらの中で、エステル類、エーテル類、
ケトン類及び酸無水物が好ましく、特に、フタル酸ジ−
n−ブチル、フタル酸ジイソブチルなどの芳香族ジカル
ボン酸ジエステル、安息香酸、p−メトキシ安息香酸、
p−エトキシ安息香酸、トルイル酸などの芳香族モノカ
ルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルなどが好適
である。芳香族ジカルボン酸ジエステルは、触媒活性及
び活性持続性を向上させると共に、得られる重合体の立
体規則性を増大させるので特に好ましい。
【0033】該(イ)固体触媒成分は、公知の方法(特
開昭53−43094号公報、特開昭55−13510
2号公報、特開昭55−135103号公報、特開昭5
6−18606号公報)、例えば(1)マグネシウム化
合物又はマグネシウム化合物と電子供与体との錯化合物
を、電子供与体及び所望に応じて用いられる粉砕助剤な
どの存在下に粉砕して、チタン化合物と反応させる方
法、(2)還元能を有しないマグネシウム化合物の液状
物と液状チタン化合物とを、電子供与体の存在下におい
て反応させて、固体状のチタン複合体を析出させる方
法、(3)前記(1)又は(2)で得られたものにチタ
ン化合物を反応させる方法、(4)前記(1)又は
(2)で得られたものに、さらに電子供与体及びチタン
化合物を反応させる方法、(5)マグネシウム化合物又
はマグネシウム化合物と電子供与体との錯化合物を、電
子供与体、チタン化合物及び所望に応じて用いられる粉
砕助剤などの存在下で粉砕したのち、ハロゲン又はハロ
ゲン化合物で処理する方法、(6)前記(1)〜(4)
で得られた化合物をハロゲン又はハロゲン化合物で処理
する方法、などによって調製することができる。
【0034】さらに、これら以外の方法(特開昭56−
166205号公報、特開昭57−63309号公報、
特開昭57−190004号公報、特開昭57−300
407号公報、特開昭58−47003号公報)によっ
ても、該(イ)固体触媒成分を調製することができる。
【0035】また、周期表II〜IV族に属する元素の酸化
物、例えば、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アル
ミニウムなどの酸化物又は周期表II〜IV族に属する元素
の酸化物の少なくとも1種を含む複合酸化物、例えば、
シリカアルミナなどに前記マグネシウム化合物を担持さ
せた固形物と電子供与体とチタン化合物とを、溶媒中
で、0〜200℃、好ましくは10〜150℃の範囲の
温度において2分〜24時間接触させることにより、
(イ)固体触媒成分を調製することができる。
【0036】また、該(イ)固体触媒成分の調製に当た
り、溶媒としてマグネシウム化合物、電子供与体及びチ
タン化合物に対して不活性な有機溶媒、例えば、ヘキサ
ン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエ
ンなどの芳香族炭化水素、或いは炭素数1〜12の飽和
又は不飽和の脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素のモノ
及びポリハロゲン化合物などのハロゲン化炭化水素など
を使用することができる。
【0037】このようにして調製された(イ)固体触媒
成分の組成については、通常、マグネシウム/チタン原
子比が2〜100、ハロゲン/チタン原子比が5〜20
0、電子供与体/チタンモル比が0.1〜10の範囲に
ある。
【0038】前記触媒において、(ロ)成分として用い
られる有機アルミニウム化合物としては、一般式 AlR3 p 3-p …〔I〕 (式中のR3 は炭素数1〜10のアルキル基、Xは塩
素、臭素などのハロゲン原子、pは1〜3の数であ
る。)で表される化合物を用いることができる。
【0039】このような有機アルミニウム化合物として
は、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアル
ミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブ
チルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどのト
リアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノク
ロリド、ジイソプロピルアルミニウムモノクロリド、ジ
イソブチルアルミニウムモノクロリド、ジオクチルアル
ミニウムモノクロリドなどのジアルキルアルキルモノハ
ライド、エチルアルミニウムセスキクロリドなどのアル
キルアルミニウムセスキハライドなどを好適に使用する
ことができる。これらのアルミニウム化合物は1種用い
てもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】さらに、(ハ)成分として用いられるアル
コキシ基含有芳香族化合物は、次の一般式〔II〕
【化1】 で表されるものが好ましい。
【0041】上記一般式〔II〕において、R1 は炭素数
1〜20のアルキル基、R2 は炭素数1〜10の炭化水
素基、水酸基又はニトロ基、mは1〜6の整数、nは0
又は1〜(6−m)の整数である。
【0042】上記一般式〔II〕で表されるアルコキシ基
含有芳香族化合物としては、例えばm−メトキシトルエ
ン、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノー
ル、2−メトキシ−4−メチルフェノール、ビニルアニ
ソール、p−(1−プロペニル)アニソール、p−アリ
ルアニソール、1,3−ビス(p−メトキシフェニル)
2−1−ベンテン、5−アリル−2−メトキシフェノー
ル、4−アリル−2−メトキシフェノール、4−ヒドロ
キシ−3−メトキシベンジルアルコール、メトキシベン
ジルアルコール、ニトロアニソール、ニトロフェネトー
ルなどのモノアルコキシ化合物、o−ジメトキシベンゼ
ン、m−ジメトキシベンゼン、p−ジメトキシベンゼ
ン、3,4−ジメトキシトルエン、2,6−ジメトキシ
フェノール、1−アリル−2,4−ジメトキシベンゼン
などのジアルコキシ化合物及び2,3,5−トリメトキ
シベンゼン、5−アリル−1,2,3−トリメトキシベ
ンゼン、5−アリル−1,2,4−トリメトキシベンゼ
ン、1,2,3−トリメトキシ−5−(1−プロペニ
ル)ベンゼン、1,2,4−トリメトキシ−5−(1−
プロペニル)ベンゼン、1,2,3−トリメトキシベン
ゼン、1,2,4−トリメトキシベンゼンなどのトリア
ルコキシ化合物などが挙げられるが、これらの中でジア
ルコキシ化合物及びトリアルコキシ化合物が好適であ
る。これらのアルコキシ基含有化合物は、1種を用いて
もよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】また、(ニ)成分として、或いは(IV)成
分として用いられる電子供与体は、前記(イ)固体触媒
成分の調製において挙げた電子供与体と同様のものが挙
げられ、前記(イ)固体触媒成分の調製において用いた
電子供与体と同一又は異なるものを使用することができ
る。但し、(ニ)成分として用いる電子供与体は、融点
が100℃以上のものである必要がある。
【0044】次に、触媒の(II)成分として用いられる
有機アルミニウム化合物は、前記(ロ)成分として挙げ
た有機アルミニウム化合物と同様のものが挙げられ、前
記(ロ)成分として用いた有機アルミニウム化合物と同
一又は異なるものを使用することができる。
【0045】さらに、触媒の(III )成分として用いら
れるアルコキシ基含有芳香族化合物は、前記(ハ)成分
として挙げたアルコキシ基含有芳香族化合物と同様のも
のが挙げられ、前記(ハ)成分として用いたアルコキシ
基含有芳香族化合物と同一又は異なるものを使用するこ
とができる。
【0046】本発明の軟質ポリプロピレン樹脂を製造す
るには、反応系に前記触媒成分を加え、次いでこの系に
プロピレンを導入すればよい。前記触媒成分をそれぞれ
所定量混合し、接触させたのち、直ちにプロピレンを導
入し、重合を開始させることもできるが、接触後0.2
〜3時間程度熟成させたのち、プロピレンを導入して重
合させてもよい。
【0047】また、原料のプロピレンは単独で用いても
よいし、所望に応じ、他のα−オレフィンと組み合わせ
て用いてもよいが、この場合、他のα−オレフィンは全
単量体中40重量%以下、好ましくは30重量%以下の
割合で含有することが望ましい。該他のα−オレフィン
としては、炭素数2〜30のプロピレン以外のもの、例
えばエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−
1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン
−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、オクタデセン
−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−
1、4,4−ジメチルペンテン−1などを用いることが
できる。これらのα−オレフィンは1種用いてもよい
し、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】このようにして、気相重合法又はスラリー
重合法により、極限粘度〔η〕が1.2dl/g以上の
沸騰ヘプタン可溶性ポリプロピレンの含有率が10〜9
0重量%であり、(b)極限粘度〔η〕が0.5〜9.
0dl/gの沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピレンの含有
率が90〜10重量%であるとともに特定の物理的性質
を有する本発明の軟質ポリプロピレン樹脂が得られる。
【0049】本発明の軟質ポリプロピレン樹脂には、所
望に応じ、各種添加剤、補強材、充填剤、例えば耐熱安
定剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、核
剤、難燃剤、顔料や染料、ガラス繊維、炭素繊維、炭酸
カルシウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー
などを、本発明の目的が損なわれない範囲で添加するこ
とができる。さらに、その他の熱可塑性樹脂、熱可塑性
エラストマー、ゴムなども必要に応じて配合することも
できる。
【0050】このようにして得られた本発明の軟質ポリ
プロピレンは、通常用いられている成形方法により種々
の成形品を得、多様な用途に供することができる。射出
成形による場合、軟質であるという特性や、良好な塗装
性、成形性、耐キズつき性、耐低温衝撃性により、自動
車外装部品に好適に用いられる。具体的には、バンパ
ー、モール、塗装用マッドガード、サイドシールド、ス
ポイラー等である。
【0051】中空成形による場合、良好な成形性を利用
して、従来のポリプロピレンでは偏肉しがちであった部
分、例えばダクトのジャバラ等に好適である。また、深
絞り用材料としても好適である。押出成形による場合、
良好な耐衝撃性、耐熱性を利用してエンジンのアンダー
カバー用シート等に用いられる。また、加工性がよくソ
フトな感触があることを利用して、自動車内装部品に好
適に用いられる。例えば、天井材やトランクルーム内
張、インパネ表皮材等である。また、加工性、絶縁性を
利用しての弱電部品分野における絶縁シートや耐熱性、
耐候性、耐摩耗性を利用しての電線ケーブル分野におけ
るフレキシブルコードやブースターケーブル等にも用い
られる。さらには土木、建材分野では防水シート、止水
材、目地材としての用途もある。他の樹脂と積層等を施
せば、種々多様な目的を満足させ得るシートを得ること
もできる。
【0052】次に、本発明の軟質ポリプロピレン樹脂の
気相重合法による製造方法の1例及びスラリー重合法
よる製造方法の1例を、それぞれ第1図及び第2図にフ
ローチャートで示す。なお、スラリー重合法による軟質
ポリプロピレン樹脂の製造は、第3図のフローチャート
に示す方法によっても行なうことができる。
【0053】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定される
ものではない。 実施例1 (1)固体触媒成分の調製 充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製三ッ口
フラスコに、精製ヘプタン20ml、Mg(OEt)2
を4g及びフタル酸ジ−n−ブチルを1.2g加え、系
内を90℃に保ち、かきまぜながらTiCl4 を4ml
滴下したのち、さらにTiCl4 を111ml追加投入
して、110℃に昇温し、2時間反応させ、次いで、8
0℃の精製ヘプタン100mlで洗浄した。次に、得ら
れた固相部にTiCl4 を115ml加え、110℃で
さらに2時間反応させた。反応終了後、生成物を精製ヘ
プタン100mlで数回洗浄して、固体触媒成分とし
た。
【0054】(2)固体成分(I)の調製 充分に窒素置換した内容積2.5リットルのガラス製耐
圧三ッ口フラスコに、精製ヘプタン1.7リットル、A
lEt3 を0.07mol 、ジフェニルジメトキシシラン
(DPDMS)0.05m mol 及び前記(1)で得られ
た固体触媒成分120gを加えたのち、系内を30℃に
保ち、撹拌しながらプロピレンを連続的に供給し、内圧
を0.5kg/cm2 ・Gに保持した。この反応を1時
間継続したのち、精製ヘプタン1リットルで5回洗浄
し、固体成分(I)を調製した。
【0055】(3)気相重合 5リットルのステンレス製耐圧オートクレーブに、ポリ
プロピレンパウダー20g、AlEt3 を3m mol 、1
−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン(ADMB)を
0.15m mol 、ジフェニルジメトキシシラン(DPD
MS)0.23m mol 及び固体成分(I)100mg
(Ti原子に換算して0.06m mol )を含むヘプタン
溶液20mlを加え、系内を5分間排気したのち、全圧
が28kg/cm2 ・Gになるまでプロピレンガスを供
給しながら、70℃で1.7時間気相重合を行ない、M
Iが0.27の軟質ポリプロピレン樹脂640gを得
た。この樹脂のHSP(沸騰ヘプタン可溶分)含量は3
5重量%、該HSPの極限粘度〔η〕は1.95dl/
gであり、HIP(沸騰ヘプタン不溶分)含量は65重
量%、該HIPの極限粘度〔η〕は4.78dl/gで
あった。さらに13C−NMRによるペンタッド分率にお
いて、rrrr/(1−mmmm)は34.5%、DS
Cで測定した融解ピーク温度(Tm)及び融解エンタル
ピー(ΔH)は、それぞれ158℃及び62.6J/g
であり、また、透過型電子顕微鏡での観察において、ド
メイン構造が観察された。これらの結果を第1表に示
す。
【0056】実施例2〜4、7 所定の割合のHSP部及びHIP部が得られるように、
ADMB/DPDMS比を変えたこと以外は実施例10
と同様にして、軟質ポリプロピレン樹脂を製造した。そ
の結果を第1表に示す。
【0057】実施例5 実施例1と同様にして、固体触媒成分を調製し、さらに
固体成分(I)を調製した。5リットルのステンレス製
耐圧オートクレーブに、ポリプロピレンパウダー20
g、AlEt3 を3m mol 、1−アリル−3,4−ジメ
トキシベンゼン(ADMB)0.15m mol 及び前記固
体成分(I)100mg(Ti原子に換算して0.06
m mol )を含むヘプタン溶液20mlを加え、系内を5
分間排気したのち、全圧が20kg/cm2 ・Gになる
までプロピレンガスを供給しながら、50℃で1.7時
間気相重合を行ない、MIが0.10の軟質ポリプロピ
レン樹脂350gを得た。この樹脂のHSP(沸騰ヘプ
タン可溶分)含量は41重量%、該HSPの極限粘度
〔η〕は2.98dl/gであり、HIP(沸騰ヘプタ
ン不溶分)含量は59重量%、該HIPの極限粘度
〔η〕は6.14dl/gであった。さらに13C−NM
Rによるペンタッド分率において、rrrr/(1−m
mmm)は29.8%、DSCで測定した融解ピーク温
度(Tm)及び融解エンタルピー(ΔH)は、それぞれ
158℃及び54.1J/gであり、また、透過型電子
顕微鏡での観察において、ドメイン構造が観察された。
これらの結果を第1表に示す。
【0058】実施例6 HSP部の極限粘度〔η〕が所定の値になるように、重
合時の助触媒量を変えたこと以外は、実施例1と同様に
して、軟質ポリプロピレン樹脂を製造した。その結果を
第1表に示す。
【0059】比較例1〜3 所定の割合のHSP部及びHIP部が得られるように、
またHSP部の極限粘度〔η〕が所定の値になるよう
に、重合時の助触媒量などを変えたこと以外は、実施例
1と同様にしてポリプロピレン樹脂を製造した。その結
果を第1表に示す。
【0060】なお、実施例1〜6、比較例1〜3で得ら
れた重合体の各物性は、次のようにして測定した。 (1)極限粘度〔η〕 温度135℃のデカリン溶液中で測定を行なった。 (2)Tm及びΔH Perkin−Elmer社製DSC−7を用いてDS
C測定を行ない、JIS K−7121に準拠して融解
ピークの頂点温度Tmを求めるとともに、JIS K−
7122に準拠して、結晶融解時に吸収される総熱エネ
ルギー量ΔH(融解エンタルピー)を求めた。 (3)ドメイン構造 JEM−100CX 型透過型電子顕微鏡(日本電子社
製)を用い、RuO4染色法及び超薄切片法により作成
した試料について、加速電圧100kV、倍率1000
〜60000の条件でドメイン構造を観察した。 (4)rrrr/(1−mmmm) JNM−FX−200(日本電子社製、13C−核共鳴周
波数50.1MHz)を用い、測定モード:プロトン完
全デカップリング法、パルス幅:6.9μs(45
°)、パルス繰り返し時間:3s、積算回数:1000
0回、溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベン
ゼン(90/10Vol%)、試料濃度:250mg/
2.5ml溶媒、測定温度:130℃の条件にて、13
−NMR測定を行ない、メチル基の立体規則性によるケ
ミカルシフトの違いにより、すなわち、22.5〜1
9.5ppm領域に現れるmmmm〜mrrmの各ピー
クの面積強度比から、ペンタッド分率を測定し、rrr
r/(1−mmmm)を求めた。
【0061】なお、テトラメチルシランを標準物質とす
る各雰囲気のメチル基のケミカルシフトは次の通りであ
る。 mmmm :21.86ppm mmmr :21.62ppm mmrr :21.08ppm mmrm+rrmr:20.89ppm rrrr :20.36ppm mrrm :19.97ppm
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、特定の触媒系を用い
て、気相重合法又はスラリー重合法でプロピレンを重合
させることにより、架橋処理を施さなくても、部分架橋
タイプのオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)
に匹敵する力学的特性を有するコスト的に有利な軟質ポ
リプロピレン樹脂が得られる。本発明の軟質ポリプロピ
レン樹脂は、溶融特性にも優れていて、押出成形性のみ
でなく、射出成形性も良好であり、例えば自動車分野に
おけるバンパーや土木・建築分野における建材用シート
や止水材などの材料として好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、本発明の軟質ポリプロピレン樹脂の
気相重合法による製造方法の1例のフローチャートであ
る。
【図2】第2図は、本発明の軟質ポリプロピレン樹脂の
スラリー重合法による製造方法の1例のフローチャート
である。
【図3】第3図は、本発明の軟質ポリプロピレン樹脂の
スラリー重合法による製造方法の異なった例のフローチ
ャートである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極限粘度〔η〕1.2dl/g以上の沸
    騰ヘプタン可溶性ポリプロピレンの含有率が10〜90
    重量%であり、極限粘度〔η〕0.5〜9.0dl/g
    の沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピレンの含有率が90〜
    10重量%であるポリプロピレン樹脂であって、該ポリ
    プロピレン樹脂の 13 C−核磁気共鳴吸収法で測定したア
    イソタクチックペンタッド分率が20%以上であり、示
    差走査熱量測定法による融解ピーク温度が150℃以
    上、融解エンタルピーが100J/g以下である軟質ポ
    リプロピレン樹脂。
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