JP2603909C - - Google Patents

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JP2603909C
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アネルバ株式会社
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、半導体製造工程において化学反応を用いた気相成長を利用して薄膜
を形成するCVD装置に関する。特に、本発明は、マルチチャンバ方式のCVD
装置(an integrated module multi-chamber CVD processing system)に関する
。さらに、本発明は、マルチチャンバ方式CVD装置を用いた基板処理方法に関
する。 【0002】 【従来の技術】 最近の半導体製造の分野においては、半導体素子の集積回路の高集積化・微細
化が進んでいる。それに伴い、半導体素子の信頼性を保持するため、半導体回路
を形成する配線への役割も大きくなっている。特に、半導体素子の配線の微細化
に伴い、その配線の良好な耐性及び良好な品質が要求されている。配線の微細化
は、配線に流れる電流の電流密度を高くするため、エレクトロマイグレーション
を起こし易くなる。これが原因となって断線を発生させる。現在の配線材料であ
るAlは、スパッタリング法によって形成される。この方法では、微細なコンタ
クトホール部では段差被覆性(ステップカバレージ)が劣化する。コンタクトホ
ール部での底や側壁への膜厚が、平坦部の膜厚に比べて非常に薄くなる。その結
果、コンタクトホール部の底部や側壁では断線がいっそう起こり易くなるため、
半導体素子の信頼性を低下させる原因となる。 【0003】 このような微細コンタクトホール周辺の配線形成をするために、従来のスパッ
タリング法によるAlの成膜に代わる新しい成膜技術が導入されようとしている
。その成膜技術のひとつとして、現在、化学的気相成長法(いわゆる熱CVD法
)によるW膜(以下、ブランケットタングステンという)が注目されている。こ
の化学的気相成長法によれば、反応容器内に原料ガスであるWF6(6フッ化タ
ングステン)と還元ガスであるH2を導入し反応容器内の圧力を10〜100T
orrとし、通常400〜500℃に加熱された基板上でWF6とH2が反応して
W膜が基板上に形成する。通常、この反応はその成膜速度が基板温度に依存する
条件で行われる。すなわち、基板上での素反応が反応律速条件下で行われる。 【0004】 この方法によれば、段差被覆性の点で、開口径0.5μmアスペクト比(深さ
と幅の比)が2以上の微細コンタクトホールでもコンタクトホール内に均一な膜
厚のW膜を形成することができる。さらに、材質の点で、W膜はエレクトロマイ
グレーション耐性も高い。そのため配線がより微細になっても、非常に信頼性の
高い配線を形成することができる。 【0005】 このようなW膜を基板上に形成するための薄膜形成装置について説明する。 【0006】 図9は従来用いられてきた化学的気相成長法によってブランケットW膜を形成
するためのCVD装置の概略図である。 【0007】 後方のランプヒータ5によって加熱された基板保持体4上に基板3を置き、上
下可能な基板固定具9によって基板3のへりの部分を全部に渡って押し当てて基
板3を固定する。 【0008】 基板保持体4の温度は熱電対6によって測定され制御される。所望の温度に設
定された基板保持体4上に基板3が置かれる。基板固定具9で基板3を基板保持
体4上に固定させる。対向に位置するガス吹き出し部17より反応ガスが装置内
に導入され基板3上に所望の薄膜が反応によって形成される。未反応ガスおよび
副生成ガスは排気部2より排気される。また、米国特許5,033,407の技
術により、下部ノズル20よりパージArガスを導入し石英窓7上への成膜およ
び基板3の側面や裏面に成膜しないようにしている。 【0009】 一方、配線としてブランケットW膜はその下地に密着層としてTiW膜または
TiN膜を必要とする。TiW膜またはTiN膜はブランケットW膜の前工程と
してスパッタリングによって形成される。しかし、その際、基板のへりの部分は
スパッタリング用のリングチャックの影によってTiN(またはTiW)膜が堆
積せず下地のSiO2が露出したままとなる。 【0010】 そのためブランケットW膜がこのSiO2上に形成すると、ブランケットW膜
とSiO2は密着性が悪いため短時間でハガレを起こす。ハガレを起こせばそれ
はゴミの発生原因となり、装置内はもとより基板搬送系全体へのダストパーテク
ル汚染の原因となる。ダストパーテクルは半導体製造工程に悪影響をおよぼし半
導体素子の歩留まりを低下させる。 【0011】 従ってブランケットW成膜においてはこのSiO2部分を隠しこの部分に成膜
しないようにしなければならない。そのためブランケットW成膜処理におては
リングチャックの形状とスパッタリングにおけるリングチャックの形状との整合
をとっていた。ブランケットW成膜用のリングチャックの内径をスパッタリング
のリングチャックの内径より小さくし、リングチャックを全面に渡って基板に密
着させていた。リングチャックと基板を密着させることでSiO2部分に反応ガ
スが侵入するのを防いだ。これにより、SiO2上にブランケットWが成膜する
のを防止した。 【0012】 ここで基板のへりの部分をリングチャックで覆い基板のへりの部分のある一定
幅は成膜されず成膜範囲を限定することをシャドウ形成と呼ぶ。また、基板のへ
りの部分の成膜されないある一定幅をシャドウと呼ぶ。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】 しかし上記従来の装置には以下のような問題点があった。 【0014】 すなわちWF6とH2との反応によるW薄膜の形成の場合、その成膜速度が基板
温度に大きく依存するため、基板上に堆積する膜の膜厚分布は基板温度分布で決
定される。従ってまず均一な膜厚分布を得るためには基板の温度分布が均一でな
ければならない。しかし上記従来の装置では基板3と基板固定具9が基板のへり
の部分に沿って接触しているため、その接触部を伝わって基板固定具9に熱が移
動する。その結果、基板のへりの部分から基板固定具9の逃げる熱量が大きく 基板のへりの部分付近での温度低下が起こる。全基板表面上の膜厚分布を均一に
することが達成できなかった。 【0015】 図13は従来の装置において基板3上に成膜したW膜のシート抵抗分布の一例
であり、基板半径方向のシート抵抗値の分布を示した図である。シート抵抗は膜
厚に反比例するためシート抵抗値が高いほどその部分の膜厚が薄いことを示す。
したがって、そのシート抵抗値が高い箇所では温度が相対的に低く成膜速度が遅
くなっていることを意味する。逆に、シート抵抗値が低いほどその部分の膜厚が
厚く、従って、その箇所は温度が相対的に高く成膜速度が速くなっていることを
意味する。図13によれば基板のへりの部分付近のシート抵抗の上昇が著しく、
基板の中央付近に比べて温度が低く膜厚が薄くなっていることいえる。また、基
板3の温度分布は、基板保持体4の温度分布の影響も大きく受ける。その基板保
持体4の温度分布は、後方のランプヒータ5の照射分布の影響を最も大きく受け
る。従って、本装置で用いられているサークルヒータなど非対称形や切れ目のあ
る場合は基板保持体4の温度分布が不均一になることで、基板3の温度分布も不
均一になり、その結果、全基板上の膜厚分布が不均一になる。また均一な光照射
が得られたとしてもランプヒータ5と基板3との位置関係、および、基板3と基
板固定具9の接触位置に起因して、基板表面上の温度分布が不均一となることが
ある。ランプヒータの均一な光照射が達成できたとしても基板上の膜厚分布の均
一性は達成できない。しかも、その場合は反応容器(反応室)をわざわざ大気開
放して基板3を移動させてランプヒータとの位置関係を調整しなおしたり、基板
3と基板保持体4および基板固定具9の接触位置関係を調整しなおしたりする必
要がある。 【0016】 図12は、従来装置において基板3上に成膜したW膜のシート抵抗値の分布を
等シート抵抗値線で表している。ふたつの半円形ランプヒータの配置とシート抵
抗値分布との関係を容易に理解できるよう等シート抵抗値線の図の左側に半円形
ランプヒータの配置を一緒に示した。図12から明らかなように従来装置では半
円形ランプヒータの切れ目でシート抵抗値が高い。それゆえに、シート抵抗値が 高いところの基板の温度が低くなっていることを示す。また、一方で半円形ラン
プヒータの腹の部分でシート抵抗値が低い。それゆえに、シート抵抗値が低いと
ころの基板の温度が高くなっていることを示している。このことは前述の基板温
度分布がランプヒータの形状および配置位置に著しく依存し、それ故に不均一な
膜厚分布になってしまうことを示している。 【0017】 また図9に示すような従来のCVD装置では、図10に示すように、基板固定
具102で基板101を固定し、基板101上に薄膜を形成すると、基板101
に接触する基板固定具の表面上においても薄膜201が堆積する。さらに、その
薄膜201は基板101から接触部104及び基板固定具102ひとつづきにつ
ながって形成される。そのため薄膜処理終了後に、基板101から基板固定具1
02がはなれるとき、図11に示すような薄膜のはがれによる微細な小片202
が発生する。すなわちマイクロピーリング(micro-peeling)を起こし、ダスト
パーテクルが発生する。基板固定具102がもちあげられるとき、マイクロピー
リング(micro-peeling)により発生したダストパーテクルは基板上101に落
下する。このマイクロピーリング(micro-peeling)により発生したダストパー
テクルは半導体素子の生産の歩留まりを低下させる主要な要因となる。ダストパ
ーテクルの発生は半導体製造の品質管理の点で深刻な問題となる。図14は、図
9に示す従来装置によって基板上に形成したプランケットW薄膜領域のへりの部
分にマイクロピーリングが発生したことを示す光学顕微鏡写真である。 【0018】 また、一ヶ箇所でも基板、基板と基板固定具の接触部及び基板固定具とひとつ
づきにつながって薄膜が形成されると、マイクロピーリング(micro-peeling)
を起こし、ダストパーテクルを発生してしまう。米国特許5,094,885の
CVD装置では、そのCVD装置の基板とクランプリングの接触を示す図3から
あきらかなように、数カ所でマイクロピーリング(micro-peeling)を起こし、
ダストパーテクルを発生してしまう。 【0019】 CVD法によるブランケットタングステン膜の成膜時間には、約4分から5分 かかる。CVD法の成膜時間はマグネトロンスパッタリング法による成膜時間に
比べ約4から5倍かかる。そのため枚葉方式(single wafer processing type)
のCVD装置では、スループットの向上がはかれない。そこで、米国特許5,0
94,885及び5,33,284に示されているようなバッチ式(batch proc
essing type)のCVD装置が、ブランケットW膜の成膜処理に用いられている
。しかし、バッチ式CVD装置では、ひとつの真空容器内に設置してある各処理
ステーションで発生するダストパーテクルが、他の処理ステーションを汚染(コ
ンタミネーション)する。そのため、半導体素子の生産の歩留まりの向上がはか
れない。さらに、CVD装置のメンテナンス作業のひとつとして通常、その反応
容器内をクリーニング作業を行う。バッチ式CVD装置では、各処理ステーショ
ンが設置してある真空容器内をクリーニングするとブランケットW膜の成膜処理
が中断してしまう。バッチ式の反応容器は枚葉式の反応容器に比べ容量が大きい
ため、クリーニング作業の労力がかかり、結果的にはメンテナンス時間が枚葉式
の反応容器に比べ非常に長くなる。そのため、バッチ式CVD装置では、週単位
または月単位で稼働率が低くなる。結果的には、スループットの向上がはかれな
い。そこで、米国特許5,158,644に示されるようなセルフクリーニング
機構を有する枚葉方式CVD装置が、ブランケットW膜の成膜処理に用いられて
いる。しかし、このセルフクリーニング機構(プラズマクリーニング)を有する
枚葉方式CVD装置では、成膜処理とクリーニング処理の2つの工程を行うので
、1枚のウエハの成膜処理時間がW成膜処理のみの処理時間よりも2倍以上かか
る。この方式でも、結果的には、スループットの向上がはかれない。 【0020】 本発明の目的は、半導体素子の生産の歩留まりを向上することにある。より詳
しくは、これら従来の問題であるランプヒータ、基板支持台および基板固定具に
起因した基板温度分布が不均一になることを防ぎ、かつ、基板固定具が基板から
はずれるときに発生するマイクロピーリングをなくすことでダストパーテクルの
発生を抑え、半導体素子の生産での高い歩留まりを達成することができる薄膜形
成装置を提供することが本発明の目的である。 【0021】 本発明によるブランケットタングステンを成膜するCVD装置では、上記の目
的を達成するため、下記の、より細かく分けられた具体的な目的1〜5を達成す
るものであり、各々の目的を達成するため、以下に述べる各手段を特徴として有
している。 1.均一な膜厚分布を達成すること。 2.マイクロピーリングを起こさないこと。 3.マイクロピーリング以外のダストパーテクルの発生を防止すること。 4.基板処理のスループットを向上すること。 5.メンテナンス作業の労力を軽減すること。 【0022】 【課題を解決するための手段および作用】 【0023】 第1の目的である均一な膜厚分布を得ること。5つの手段によりこの目的を達
成している。 【0024】 (1)第1の手段として、基板のへりの部分でリング状固定部材が接触して基
板を固定するために、リング状固定部材の内径円の径を基板の径より小さくし、
そのリング状固定部材の接触部分を複数の点接触部で固定する。(a)点接触部
の数は少なくとも3つで、(b)すべての接触部は、リング状固定部材の中心軸
に面する接触部の側面が内径円の径より大きな同心円の円周上に位置し、(c)
さらに、等間隔で配置される。さらに、これらの点接触部の外側の側面を基板の
側面にそろう位置に配置することで基板を固定させるようにした。 【0025】 基板固定具による基板の固定方法を点接触としたため、従来の全周接触固定に
比べ接触面積が著しく減少した。その結果、基板のへりの部分の温度の低下の原
因である基板から基板固定具への熱が逃げる量も減少できる。基板固定具と接触
する基板のへりの部分周辺での温度の低下の度合いが従来に比べて少なくなり、
それ故、より均一に基板温度分布は達成でき、その結果、基板上の膜厚分布の均
一性も向上する。 【0026】 (2)第2の手段として、基板を設置する基板支持台の基板と接触する表面に
段差加工を施す。その段差加工される範囲(円形ならば半径、ドーナッツ状なら
ば内径と外径)およびその段差の深さは、基板の平均温度との差で決定する。と
くに、基板の平均温度よりも高い温度領域に対応する基板支持台の表面を段差加
工する。基板の加熱は基板支持台から基板の接触による熱の移動と両者間の間隙
に存在するガスによる熱伝導によって行われる。段差加工を施すことによってそ
の部分での基板と基板支持台間の接触がなくなるため接触による基板支持台から
基板への熱の移動現象がなくなる。接触している場合よりも、熱が移動する量が
減少するため、段差加工された領域に対応する基板の温度が低くなる。その結果
、段差加工を施した領域での基板と基板支持台間の熱移動は、その間隙に存在す
るガスによる熱伝導現象のみとなる。成膜中での雰囲気の圧力が数10Torr
であるからその段差加工を施した領域で形成される空間内でも圧力は数10To
rr以上となり粘性流領域となっている。粘性流領域であるため、基板と基板支
持台間の熱の移動速度は、両者間の距離と段差加工により形成された空間内に存
在するガスの種類に依存する。すなわち、特定のガスがその段差加工を施した領
域での空間内に存在することがわかれば、段差の深さを調節することで基板の温
度低下の割合を調節できる。基板支持台への段差の深さは0.01mm単位で精
密加工することができる。そこで、膜厚分布から温度が高い領域を判断し、その
温度の高い領域に対応した基板支持台に段差加工を施す。そうすれば、その段差
加工した領域に対応する付近での基板の温度を低下させることができる。さらに
、その低下の割合を段差の深さで制御できる。現代の機械加工技術であれば、基
板支持台への段差の深さは0.01mm単位で精密加工することができる。この
ような段差加工を施した基板支持台をもちいると、図8および図13から知り得
るように、段差加工しない基板支持台をもちいたときに比べ基板全体の温度は低
下する。しかし、ここで重要なことは、基板全体の温度分布を均一にすることで
ある。そのため、基板全体の温度は低下はとくに問題ではない。なぜなら、加熱
機構の加熱の強度を調整して、基板支持台に供給される熱量を増加すれば基板の
温度は上昇できるからである。 【0027】 (3)第3の手段として、(a)反応容器外に複数の加熱機構が備え付けられ
、(b)各加熱機構はそれぞれ独立の出力制御機構を有しており、さらに、(c
)基板の周辺の後方にそれぞれの加熱機構が配置されている。とくに、基板とリ
ング状固定部材との接触部分の周辺の後方に加熱機構は配置されている。複数の
点接触を有するリング状の固定部材で基板のへりの部分を固定するときは、加熱
機構は基板の中心の同心円上に等間隔に配置することになる。反応容器外に加熱
機構が設置されていれば、反応ガスによる化学的侵食や加熱機構表面の膜付着な
どによる性能の低下を防止できる。反応容器外から加熱する最適な加熱機構とし
て、ランプヒータがあげられる。ランプヒータから照射される光は反応容器に組
み込まれた光透過材(light-transmissive material)の窓を通して基板支持台
が加熱される。それぞれランプヒータが別個に電力の制御が可能となっているた
め、従来のサークルヒータや半円径ヒータを用いた場合に避けられないランプヒ
ータの切れ目による不均一な光照射が生じることはない。さらに、基板支持台お
よび基板固定具などに起因した基板の温度の偏りを補正することが可能となる。
従って、ランプヒータの配置関係とランプヒータの投入電力を調整することで、
基板の温度分布を均一にすることができ、その結果、膜厚分布も均一にすること
ができる。さらに基板の温度補正は、反応容器を大気開放することなく行える利
点も有している。 【0028】 (4)第4の手段として、リング状固定部材の内部に流れる熱媒体の流路を形
成する。この熱媒体の温度は、せいぜい、CVD反応によって薄膜が堆積するた
めに必要な温度にする。薄膜が堆積する温度以上であるとリング状固定部材の表
面に薄膜が堆積するのを促進してしまう。リング状固定部材の内部に熱媒体が循
環することでリング状固定部材が加熱される。基板とリング状固定部材の接触部
との温度差が少なくなるのでその温度差による熱量の移動を抑制することができ
る。したがって、基板のリング状固定部材の接触部分での温度が低下するのを防
止できる。CVD反応によるW膜の成膜処理には、せいぜい約200℃程度に加
熱された媒体で十分である。熱媒体の温度が200℃以上であるとリング状固定 部材上にW膜が堆積するのを促進ので好ましくない。熱媒体として、Arガス、
2ガスなどの不活性ガス、油、水がある。とくに、不活性ガスが好ましい。か
りに、不活性ガスが、真空容器内にもれても、CVD反応に影響を与えない。 【0029】 (5)第5の手段として、光透過材(light-transmissive material)ででき
た窓を有する反応容器と、その反応容器内に窓と対向する位置に基板保持体が配
置され、反応容器内で窓と基板保持体の間、基板保持体とリング状固定部材の間
およびリング状固定部材と基板との間でパージガスが流れる通路を形成すること
にある。この通路の一部である基板保持体と光透過材の窓との間をパージガスが
通るとき、反応容器外に備え付けられた複数の加熱機構によってパージガスが加
熱される。パージガスが加熱されることで、リング状固定部材と基板との間隙を
通るとき、パージガスがリング状固定部材の基板との接触部分や基板のリング状
固定部材との接触部分から熱を奪うことはない。パージガスがリング状固定部材
と基板との間隙を通ることで、基板の温度分布を不均一にすることはない。 【0030】 第2の目的であるマイクロピーリングを発生させないこと。 【0031】 (6)マイクロピーリングを発生させず、急峻なシャドウ境界を得るために、
基板のへりの部分にリング状固定部材が接触して基板を固定する手段として、リ
ング状固定部材の内径円の径を基板の径より小さくし、そのリング状固定部材の
接触部分を複数の点接触部で固定する。(a)点接触部の数は、少なくとも3つ
で、(b)すべての接触部は、リング状固定部材の中心軸に面する接触部の側面
が内径円の径より大きな径の同心円の円周上に位置し、(c)さらに、等間隔で
配置(第1の手段)したことにより、基板のへりの部分とリング状固定部材の重
なる部分に間隙が形成される。そこで、第6の手段として、その間隙を通してパ
ージガスを化学反応によって薄膜が堆積している空間に吹出すようにするパージ
ガス供給機構を設ける。第1の手段及び第6の手段により、基板の表面にプラン
ケットW膜の成膜処理が行われるとき、反応ガスが間隙内部に侵入するのをパー
ジガスで阻止できる。さらに、パージガスの流量を調節することで、その成膜領 域のへりの部分が、リング状固定部材の内径円にほぼ一致するように薄膜の形成
領域が制限できる。これにより、反応ガスが、基板とリング状固定部材が接触す
る点接触部に及ぶことはない。その結果、基板と点接触部がひとつづきにわった
て薄膜が形成されることはない。マイクロピーリングが生ぜず、微細なダストパ
ーテクルが発生しない。また明確な幅を有するシャドウ領域が形成されたため、
SiO2の露出面に成膜領域が及ばない。SiO2の露出面に堆積した膜のはがれ
によるパーティクルの発生も防止することができる。また、リング状固定部材の
内径円の半径は、あらかじめ堆積したTiN(またはTiW)膜の成膜領域でリ
ング状固定部材の中心軸Oとその成膜領域との最短距離より短くする。そうすれ
ば、SiO2の露出面にW膜が形成するのをよりいっそう防止できる。さらに、
下地層であるTiN(またはTiW)膜上に確実にW膜を形成することができる
。 【0032】 リング状固定部材の中心軸に面する接触部の側面が位置する同心円の半径が、
あらかじめ堆積したTiN(またはTiW)膜の成膜領域でリング状固定部材の
中心軸Oとその成膜領域との最長距離より長くする。そうすれば、接触部は、基
板のSiO2の露出面上にのみに接触する。TiN(またはTiW)膜上に接触
部が接触してTiN(またはTiW)膜がはがれる原因とならない。 【0033】 第3の目的であるマイクロピーリング以外のダストパーテクルの発生防止 【0034】 (7)マイクロピーリング以外のダストパーテクルの主要な発生原因として、
基板以外に堆積した膜のはがれの現象が考えられる。そこで、基板以外に堆積し
た膜のはがれを防止するため、第7の手段として、リング状固定部材が反応ガス
にさらされる露出部分とその他の部分で組立られているようにする。このばあい
、反応が生じる空間に面するリング状固定部材の表面の材質を基板上に堆積する
薄膜と同じにする。WF6とH2が反応してW膜が基板上に形成する場合、この化
学反応によりW膜が堆積するためには、約200℃以上の表面上でなければなら
ない。基板以外で約200℃以上となるのはリング状固定部材である。そのた めリング状固定部材の表面上のみにW膜が堆積する。そこに堆積したW膜のはが
れの原因となるのは、下地との熱膨張との差により内部応力が発生するからであ
る。リング状固定部材上に堆積したW膜が、その下地のリング状固定部材との熱
膨張の差により内部応力が生じる程の膜厚に成長すると、はがれが発生する。そ
のはがれた小片がダストパーテクルとして歩留まりの低下の原因ともなる。そこ
で、リング状固定部材の露出部分上に堆積したW膜が熱膨張の差により内部応力
が生じないように下地であるリング状固定部材の露出部分の材質をタングステン
とする。または、リング状固定部材の露出部分の表面を予めW膜をコーティング
してもよい。さらに堆積する膜と同じ熱膨張係数の材料を下地のリング状固定部
材にしてもよい。W膜であれば、商標「モネルメタル」(”MONEL”metal
)として市販されているニッケルと銅の合金が最適である。 【0035】 (8)上記以外のダストパーテクルの発生原因として真空容器内の部品の摺動
部からの発生、およびメンテナンス作業中に真空容器内に外部からダストパーテ
クルが侵入ことが考えられる。これらの発生を直接防止する対策よりも、むしろ
CVD装置内の各真空容器間で相互にダストパーテクルが汚染しあわないように
する対策の方が、歩留まり向上の達成のための手段として、簡単で容易である。
そこで、第8の手段として、マルチチャンバ方式の薄膜形成装置(an integrated
module multi-chamber vacuum processing system)をもちいる。 【0036】 マルチチャンバ方式薄膜形成装置を構成する各真空容器の基本的配置設計は、
ひとつの基板搬送用真空容器とそのまわりに複数の処理用真空容器と搬出入用ロ
ードロック真空容器が配置されていることによる。基板搬送用真空容器には基板
搬送機構が配置されてい。各処理用真空容器及び搬出入用ロードロック真空容
器と基板搬送用真空容器の間には、開閉用のゲートバルブが備えられている。さ
らに、各処理用真空容器内では、ひとつの基板が処理される。また、それぞれ真
空ポンプが備え付けられている。このマルチチャンバ方式薄膜形成装置おいては
、ひとつの処理用真空容器に基板を搬送し、その処理用真空容器と基板搬送用真
空容器間のゲートバルブが閉まり、その処理用真空容器内で基板が処理され、そ の処理済み基板がとり出され、搬出入用ロードロック真空容器に納められて、そ
して、その搬出入用ロードロック真空容器のゲートバルブが閉まるまでがひとつ
の処理工程である。この間、その他の処理用真空容器のゲートバルブは閉めたま
まとする。このような処理条件によれば、ひとつの処理用真空容器内に存在する
ダストパーテイクルは、その他の処理用真空容器に侵入することはない。また、
この間、ゲートバルブが閉められて処理用真空容器が基板搬送用真空容器から孤
立していても、各真空容器には真空ポンプが備え付けられているので、各処理用
真空容器内は適切な圧力に設定することができる。 【0037】 第4の目的として基板処理のスループットを向上すること。 【0038】 (9)第9の手段として、以下のような特徴をもつマルチチャンバ方式のCV
D装置(an integrated module multi-chamber CVD processing system)をもち
いることである。すなわち、少なくとも3つ処理用真空容器を有し、その処理用
真空容器すべてが、第1、2、3および5の手段を有するCVD処理用真空容器
であって、基板搬送用真空容器に配置された基板搬送機構は、少なくともふたつ
の基板を保持することができる搬送用ロボットである。通常、ひとつのブランケ
ットW膜の成膜処理工程には、TiN成膜処理、W膜成膜処理とエッチバック処
理が必要となる。この処理でもっとも時間を要する処理工程が、W膜成膜処理工
程である。TiN成膜処理とエッチバック処理の処理時間に比べ約4〜5倍かか
る。TiN成膜処理とエッチバック処理は別の薄膜形成装置で行うこととし、す
べての処理用真空容器がCVD処理用であるマルチチャンバ方式のCVD装置の
方がひとつのブランケットW膜の成膜処理工程の時間を短くできる。さらに、少
なくともふたつの基板を保持することができる搬送用ロボットによって、処理さ
れた基板を搬出入用ロードロック真空容器に搬送する工程と未処理の基板を搬送
する工程をひとつの工程とすることができる。もっとも好ましいのは、1992
年11月20日に出願された米国特許出願番号07/979,255に記載され
ている基板搬送機構である。その基板搬送機構は、ひとつの基板をつかむハンド
(mechanical hand)とふたつの基板待機用ステージを有する蛙足型多関節ロボ ット(frog-leg type articulated robot)である。このような蛙足型多関節ロ
ボットであれば、その搬送工程は、(a)搬出入用ロードロック真空容器から未
処理の基板をひとつの基板待機用ステージのせて、(b)CVD処理用真空容器
に面するように回転する。(c)そのCVD処理用真空容器内から処理済み基板
を取り出して、もうひとつの基板待機用ステージにのせる。(d)そして、未処
理の基板をそのCVD処理用真空容器内に置く。このような蛙足型多関節ロボッ
トであれば、基板の搬送時間を大幅に短縮することができる。さらに、蛙足型多
関節ロボットを回転させるベースプレート(baseplate)の運動回数も少なくで
きるので、その摺動部からのダストパーテイクルも低減できる。なぜなら、米国
特許4,951,601に示すような従来のひとつの基板をつかむハンドを有す
る基板搬送機構では、(a)〜(b)までの搬送工程を行うとベースプレートの
運動回数は3回であるが、このような蛙足型多関節ロボットでは2回ですむ。さ
らに、ひとつの基板待機用ステージとひとつの基板をつかむふたつのハンドを前
後に配置した蛙足型多関節ロボットであってもよい。また、さらには、基板待機
用ステージがなく、ひとつの基板をつかむふたつのハンドのみを前後に配置した
蛙足型多関節ロボットであってもよい。 【0039】 (10)第10の手段は、第9の手段の特徴をもつマルチチャンバ方式のCV
D装置を用い、以下の特徴を有する基板の処理方法を使用することである。この
場合、2つの処理方法がある。ひとつは、ひとつの処理用真空容器のメンテナン
ス作業中に他の処理用真空容器で基板のCVD処理を行う処理方法と、他は、長
期間のメンテナンス作業時間を設定する場合の処理方法である。 【0040】ひとつの処理用真空容器のメンテナンス作業中に他の処理用真空容器で基板の
CVD処理を行う処理方法。 【0041】 この処理方法を図25(a)と図25(b)を用いて説明する。n個のCVD
処理用真空容器P(1)、P(2)、P(3)……、P(k)、……、P(n−
1)、P(n)(但し、n≧3)において、はじめに、CVD処理用真空容器P (1)からP(n)に基板を処理させる。 【0042】 第1回目のメンテナンス作業は、P(1)においてはWm、P(2)において
はWm−Wc、……、P(k)においてはWm−(k−1)Wc、……、P(n
)においてはWm−(n−1)Wcの基板を処理した後に行う。 【0043】 それぞれのCVD処理用真空容器のメンテナンス作業は、メンテナンス作業時
間Tm内に行う。ここで、Wmはメンテナンス作業を始めるでに処理されるべき
あらかじめ設定した基板の枚数を意味する。今後、Wmをメンテナンス作業基準
枚数と名付ける。Wcは、Wc=Tm/tで導きだされる。Tmはあらかじめ定
めたメンテナンス作業時間を表わす。tは1枚の基板を搬出入用ロードロック真
空容器から出ていき、CVD処理用真空容器で処理され、搬出入用ロードロック
真空容器に戻るまでの時間である。Wcは、ひとつのCVD処理用真空容器でメ
ンテナンス作業中に他のひとつのCVD処理用真空容器が処理する基板の枚数を
意味する。今後、Wcを基準処理枚数と名付ける。 【0044】 第1回目のメンテナンス作業期間は、Wm−(n−1)Wcの基板を処理した
後に始まり、Wm+Wcの基板を処理した後に終わる。メンテナンス作業期間の
時間は、Tm×nである。このTm×n期間は、t時間おきにn−1個の基板が
処理される。 【0045】 第2回目のメンテナンス作業は、P(1)においては2Wm+Wc、P(2)
においては2Wm、……、P(k)においてはWm−(k−1)Wc+(Wm+
Wc)、……、P(n)においてはWm−(n−1)Wc+(Wm+Wc)の基
板を処理した後に行う。 【0046】 第2回目のメンテナンス作業期間は、2Wm−(n−1)Wcの基板を処理し
た後に始まり、2Wm+Wcの基板を処理した後に終わる。メンテナンス作業期
間の時間は、第1回目のメンテナンス作業期間と同様にTm×nである。 【0047】 第N回目のメンテナンス作業は、P(1)においてはWm+Wc+(Wm+W
c)(N−1)、P(2)においてはWm+(Wm+Wc)(N−1)、……、
P(k)においてはWm−(k−1)Wc+(Wm+Wc)(N−1)、……、
P(n)においてはWm−(n−1)Wc+(Wm+Wc)(N−1)の基板を
処理した後に行う。 【0048】 第N回目のメンテナンス作業期間は、Wm−(n−1)Wc+(Wm+Wc)
(N−1)の基板を処理した後に始まり、Wm+(Wm+Wc)(N−1)+W
cの基板を処理した後に終わる。メンテナンス作業期間の時間は、Tm×nであ
る。 【0049】 それぞれのCVD処理用真空容器でのメンテナンス作業に達する基準を基板の
枚数ではなく時間で表示したければ、基板の処理枚数をtで割ればよい。 【0050】 この方法によれば、どのCVD処理用真空容器でもメンテナンス作業がされて
いない期間中、すなわちWm/t+Tm−Tm×n期間中はt時間ごとにn個の
基板が処理される。メンテナンス作業期間Tm×nでは、t時間おきにn−1個
の基板が処理される。 【0051】 後述する第11手段及び第12手段により、メンテナンス作業期間が短縮でき
るため、この方法は効率よく行なえる。 【0052】 長期間のメンテナンス作業時間を設定する場合の処理方法。 WmをWcでわったときの商の数値が、CVD処理用真空容器のn個より小さ
い場合、上記の処理方法は使用できない。このことは、メンテナンス作業時間を
長期間設定することを意味する。そこで、あらかじめ長時間のメンテナンス作業
時間Tmを確保しておきたい場合は、以下の条件で基板の処理を行う。 【0053】 最大限に使用できる処理用真空容器の個数Nuを以下の関係式で導き出す。 【0054】 基板処理枚数Wcは、Wc=Tm/tで導き出される。ここで、メンテナンス
作業時間Tmはあらかじめ設定した時間である。最大使用処理用真空容器の個数
Nuは、Nu=Wm/Wcで導き出される。ただし、Nu≧2である。 【0055】 さらに、n個のCVD処理用真空容器P(1)、P(2)、P(3)……P(
n−1)、P(n)をグループ分けをする。CVD処理用真空容器Nu+1個で
ひとつの群が形成される。そうすると、群の個数Gは、G=n/(Nu+1)で
導き出される。そのときの、あまりのCVD処理用真空容器RPの個数をRとす
る。ただし、0≦R<Nu+1である。 【0056】 この関係式を用いて、次の手順で行う。 G個の群のうちあるひとつの群のCVD処理用真空容器{GP(1)、GP(
2)、GP(3)……GP(Nu)、GP(Nu+1)}において、 (a)はじめに、CVD処理用真空容器GP(1)からGP(Nu)に基板を
処理させる。 (b)上の関係式で導き出された基準処理枚数Wcに達した時点で、GP(1
)の処理をやめる。それと同時に、GP(2)からGP(Nu)の処理を継続し
ながら、GP(Nu+1)の処理を開始する。次に基準処理枚数が2×Wcにな
ったとき、P(2)の処理やめて、GP(1)の処理を開始する。GP(Nu−
1)で基板の処理枚数が(Nu−1)×Wcに達するまで、この手順を続ける。 (c)GP(Nu)のCVD処理用真空容器で、あらかじめ設定したメンテナ
ンス作業基準枚数Wmに達した時点でメンテナンス作業を開始する。 (d)GP(Nu)のメンテナンス作業を、メンテナンス作業時間Tm内に行
う。 (e)Tm後にGP(Nu+1)のメンテナンス作業を開始する。メンテナン
ス作業の所要期間はTmである。次のTm後にはGP(Nu+1)のメンテナン
ス作業を開始しする。メンテナンス作業をこの手順で繰り返す。 (f)(a)工程から(c)工程までの手順を各群も同時に行う。 (g)それとともに、各群のCVD処理用真空容器での基板処理と同時に、す
べてのあまりのCVD処理用真空容器RPも、メンテナンス作業基準枚数Wmま
で基板の処理し続ける。メンテナンス作業基準枚数Wmに達した時点で、すべて
のR個のCVD処理用真空容器をメンテナンス作業する。メンテナンス作業の期
間はTm時間に行う。 【0057】 R個のCVD処理用真空容器のメンテナンス作業するときは、各群のいずれか
ひとつのCVD処理用真空容器と同時にしなければならない。したがって、この
間は、R+G個のCVD処理用真空容器のメンテナンス作業を同時にしなければ
ならない。 【0058】 この方法によれば、あまりのCVD処理用真空容器RPがメンテナンス作業さ
れるまで、t時間ごとに(Nu×G+R)個の基板が処理される。CVD処理用
真空容器RPがメンテナンス作業中では、t時間ごとにNu×G個の基板が処理
される。 【0059】 なお、最初にWcづつの枚数ごとに中止したGP(1)からGP(Nu)は、
つぎの処理が開始するまで、メンテナンス作業を行ってもよい。そのメンテナン
ス作業の所要期間は、Tmである。 【0060】 以上、つぎのような条件のもとであれば、これらの方法でもって、効率よく基
板処理とメンテナンス作業が行える。 (a)ひとつの基板を処理するのに相当な時間を要する処理工程であること。 スパッタリング処理やエッチング処理のような短時間で処理できるものは不向
きである。短時間で処理できる工程では、これらの方法を用いると十分なメンテ
ナンス作業時間が確保できない。したがって、これらの方法は、相当の時間をよ
うするCVD処理工程がもっとも適している。 (b)CVD処理用真空容器が3個以上であること。 処理用真空容器が2個だと、メンテナンス作業で基板処理を中断せず連続基板
処理ができるが、メンテナンス作業中1枚のみしか基板処理できない。これでは
、枚葉式のCVD装置と同じになる。マルチチャンバ方式のCVD装置の特徴で
ある複数基板の同時処理ができなくなる。 (c)処理用真空容器と搬出入用ロードロック真空容器との搬送時間が短いこ
と。 もし搬送に相当の時間をようすると、処理枚数が増えてくるにしたがい、同時
処理されるべき複数基板がずれてくる。このずれの時間の間隔が大きくなると、
ひとつの処理用真空容器をメンテナンス作業している最中に、つぎの処理用真空
容器のメンテナンス作業を始めなければならないことになる。 搬送時間をできるかぎり短くするためには、第7の手段の少なくとも2つの基
板を保持(to store)する蛙足型多関節ロボットがもっとも適している。 【0061】 第5の目的であるメンテナンス作業の労力を軽減すること。 (11)第11の手段として反応容器の外壁に循環路を設けることである。こ
の循環路は温度調節機構を有する循環ポンプにつながっている。温度調節機構に
より循環路を流れる熱媒体の温度を調節する。熱媒体の設定温度の範囲は、CV
D反応で生じる副生成物の飽和蒸気圧の温度以上、CVD反応で薄膜の生成する
温度以下である。この範囲内で温度設定された熱媒体が循環路を循環することで
、反応容器の内壁の温度が設定温度の範囲内となる。副生成物の分子は、反応容
器の内壁の温度がその副生成物の飽和蒸気圧の温度以上であるためその内壁に付
着しにくくなる。それとともに、反応容器の内壁の温度がCVD反応で薄膜の生
成する温度以下であれば、薄膜がその内壁に堆積することはない。そのため、反
応容器の内壁のクリーニング作業の労力が軽減される。熱媒体として水、または
油がよい。 【0062】 (12)第12の手段としてリング状固定部材が反応ガスにさらされる露出部
分とその他の部分で組立られているようにする。そのすると、反応ガスにさらさ
れる部分の表面上にのみCVD反応による膜が堆積することになる。リング状固 定部材をクリーニング作業をする際には、反応ガスにさらされる露出部分のみを
とりかえればよいといえる。 【0063】 【実施例】 以下に、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。なお、これらの添付
図面は、この発明が理解できる程度に各構成部品の形状、大きさおよび配置関係
を概略的に示してあるにすぎない。 【0064】 図1は本発明に係るCVD装置の全体構成を示す。図1において、1は内部空
間が気密に形成された反応容器であり、反応容器1の内部は図示しない排気装置
より所定の減圧状態に保持される。反応容器1の内部空間は反応室となる。反応
容器1の外壁に反応容器の壁を加熱する熱媒体が循環する循環路30が備えつけ
られている。反応容器1に接続される配管2は排気装置に接続される排気管であ
る。反応容器1の内部空間に基板3が配置される。基板3は、反応容器1内の中
央位置に設置されたサセプタ4の上に搭載され、基板3の第1表面がリングチャ
ック9に接触し、基板3の第2表面は、サセプタに対して保持されるように、保
持される。サセプタ4は、下方に配置されたランプヒータ5により加熱され、所
要の温度に保たれる。サセプタ4の温度は熱電対6によって測定される。熱電対
6で測定されたサセプタ4の温度データは、制御装置に供給され、その温度デー
タに基づき、ランプヒータ5への投入電力量を調整してランプヒータ5の放射さ
れる輻射熱を制御し、サセプタ4を所望の温度に制御する。サセプタ4とランプ
ヒータ5との間には光透過材である石英窓7が設けられる。石英窓7は、サセプ
タを加熱するランプヒータ5からの光を通す窓であり、同時に反応室の気密を保
つ役目も果たしている。また8は反射部材で、ランプヒータ5から下方に放射さ
れた熱を、サセプタ4が配置された側に反射させるためのものである。 【0065】 ここでランプヒータ5および反射部材8は組をなしこれが同心円上に等間隔で
12組並んでおり、個々のランプヒータがそれぞれ出力制御器を有し、それぞれ
別個に電力を制御できるようになっている。 【0066】 サセプタ4の基板3と接する表面に深さ一定でドーナッツ状の段差加工を施し
ている。ただし基板3がオリエンテーションフラット(いわいるオリフラ)を有
している場合は、段差加工領域の外側のへりの部分と基板3の端とは一定距離を
保つようにオリフラ付近では段差加工領域の外側のへりはオリフラと平行になっ
ている。 【0067】 サセプタ4の上に配置された基板3は、上下運動するリングチャック9によっ
て固定される。リングチャック9はリング形状となっている。そのためリングチ
ャック9の中央部に孔9aが形成されている。図1は、リングチャック9が基板
を固定している状態を示す。図2は、リングチャック9と基板3の接触状態を示
す図1の部分拡大図である。基板3上には、あらかじめリアクテブスパッタリン
グで堆積したTiN膜52上に熱CVDで堆積したW膜24が堆積している。リ
ングチャック9は基板3のへりの部分を覆っている。今後、基板3のへりの部分
とは、リングチャック9に覆われた基板3の部分をいうことにする。さらに、基
板3の中心は、リングチャック9の中心軸Oに位置している。図2の部分拡大図
に示すように、リングチャック9と基板3とがかさなるリングチャック9の底面
には、複数の点接触部10が等間隔で設けられている。これらの点接触部10が
、基板3のへりの部分に接触して、基板3を固定している。点接触部10は、で
きる限り基板表面の接触面積を小さくし、かつ、できるだけその点接触部のサイ
ズを小さくする。また、点接触部10自体の形は、パージガスの流れを乱さない
形状がよい。そのため、点接触部の側面が曲面状に形成される。望ましくは、そ
の断面が円形または楕円形にするとよい。とくに、断面が楕円形のときその長径
がパージガスの流線方向に沿うようにする。点接触部10の位置については、図
1〜図3で明らかなように、リングチャック9の中心軸Oに面する点接触部の側
面が内径円より大きな同心円の円周上に位置する。すなわち、リングチャック9
の内側端面9bよりも、中心軸Oの径方向の外側にずらせて配置する。外側にず
れる距離は、リングチャック9が基板3に接触するとき、点接触部10が基板3
のへりの部分上に接触する程の距離である。とくに、点接触部10は、基板3を 確実に押さえつけるために、図17、図18及び図19のように点接触部10の
外側の側面が基板3の側面にそろうようにする。また、さらに、図2に示すよう
にリング状固定部材の中心軸OとTiN薄膜52の領域との距離のうちの最長距
離より同心円51の半径を長くしている。そのため点接触部10は、基板3のS
iO2露出面上のみに接触している。点接触部10は、リングチャック9に機械
加工で直接に作ることもできる。また別に作製したものを取り付けてもよい。 【0068】 点接触部10の数は、3個から12個程度がもっとも適切である。基板を確実
にサセプタ4に密着させるために、基板3の径が大きくなるに応じて、点接触部
10の数を多くする。8インチ基板では、点接触10の数は12個がよい。 【0069】 基板3とリングチャック9は点接触部10を介して接触するために、基板3が
リングチャック9によって固定されているとき、基板3とリングチャック9との
間には、間隙11が形成される。図2では、間隙11の間隔を符号Aで示してい
る。図2では、基板3とリングチャック9の重複部分の中心軸Oの径方向の幅を
、符号Bで示している。この重複部分の幅Bは、言い換えると、リングチャック
9の内径円の半径と基板の半径との差といえる。 【0070】 上記のリングチャック9は、その下部に複数本の支柱12によって支持される
。本実施例の場合は支柱12は2本である。支柱12は、反応容器1の下壁部1
3から気密性を保持した状態で反応容器外に引き出される。支柱12は、反応容
器1の外において、昇降装置(図示せず)に連結され、上下方向14に移動でき
る。これにより、リングチャック9を昇降させる。リング15は、リングチャッ
ク9が基板3を固定するときに、リングチャック9が安定して固定できるための
支持リングである。図2に示すように、支持リング15にはバイトンゴム16が
取り付けられ、リングチャック9の外側のへり部分は、バイトンゴム16に押し
当てられる。 【0071】 反応容器1の上壁部には、基板1に対向する位置に反応ガスを供給するガス供 給機構が設けられる。17はガス吹出し部、18はガス導入ノズル、19は反応
ガス供給源である。本実施例のCVD処理では、WF6とH2との還元反応による
タングステン成膜が行われる。従って、反応ガス供給源19から供給される反応
ガスは、WF6およびH2である。 【0072】 循環路30は配管31を通じて温度調節機構を有する循環ポンプにつながって
いる。循環路を流れる熱媒体として不活性ガス、水、または油がよい。熱媒体の
設定温度の範囲は、WF6とH2との反応で生じる副生成物のHFガスの飽和蒸気
圧の温度以上、W膜の生成する温度以下である。HFガスの飽和蒸気圧の温度は
約70℃である。W膜の生成する温度は約200℃である。したがって、熱媒体
の設定温度の範囲は70℃以上200℃以下となる。この範囲内で温度設定され
た熱媒体が循環路30を循環することで、反応容器1の内壁の温度が70℃から
200℃内となる。副生成物であるHF分子は、反応容器1の内壁の温度がHF
ガスの飽和蒸気圧の温度以上であるためその内壁に付着しにくくなる。それとと
もに、反応容器1の内壁の温度が200℃以下であれば、W膜がその内壁に堆積
することはない。そのため、反応容器1の内壁のクリーニング作業の労力が軽減
される。ただし、クリーニング作業を始めるまえに、反応ガスの供給を停止して
、温度調節機構により熱媒体の設定温度を下げて反応容器の壁面を40℃近くま
で下げて行う。 【0073】 さらに、熱媒体が循環路30内を循環することで反応容器1の内壁が加熱され
るため、反応ガスのH2が基板3やリングチャック9に衝突してH2分子が基板3
の熱を奪うことを抑制できる。内壁が加熱されていることで、反応ガスの一部の
2分子が内壁に衝突して熱を受け取る。これにより、基板3やリングチャック
9に衝突して基板3の熱を奪うH2分子の数が減少する。そのため、基板3を所
定の温度に維持するためにサセプタ4に照射する輻射熱の量が、熱媒体が循環路
30内に循環しない場合にくらべ少なくてすむ。さらに、リングチャック9の温
度が低下して、基板3とリングチャック9の温度差がおおきくなることによる熱
移動の促進を抑えることができる。さらに、反応容器1の上部壁面上に循環路 を形成することもできる。そうすれば、さらに効率よく水素ガスを加熱すること
ができる。 【0074】 サセプタ4の後方にはパージガス供給機構が設けられる。20はパージガスの
供給ノズル、21はパージガス供給源である。パージガスとしては、例えばアル
ゴンAr などの不活性ガスが使用される。ノズル20からCVD装置内に供給さ
れたパージガスは、通路22を通り、リングチャック9と基板3との間隙11を
通って反応空間内に吹出す。通路22の途中のサセプタ4と石英窓7との間をパ
ージガスが通るとき、ランプヒータ5によってパージガスは加熱される。パージ
ガスが加熱されることで、リングチャック9と基板3との間隙11を通るとき、
パージガスが点接触10や基板のへりの部分から熱を奪うことはない。パージガ
スが加熱されることで基板3のへりの周辺部分の温度低下を防止することができ
る。図2において、矢印23はパージガスの流れを示す。前述のバイトンゴム1
6は、供給されたパージガスがすべて間隙11から吹出すように、支持リング1
5とリングチャック9の外縁部との間のシールを行い、パージガスが漏れるのを
防止する。 【0075】 上記の実施例において、代表的な成膜条件として、成膜温度400℃、成膜圧
力50Torr、成膜用反応ガスH2,WF6の供給流量がそれぞれ1000sc
cm、100sccmである。 【0076】 上記のCVD装置による成膜動作について説明する。CVD装置の反応容器1
内は所要の減圧状態に保持される。複数のランプヒータ5により加熱されて所定
の温度に設定されたサセプタ4の上に、図示しない搬送機構で搬送された基板3
が配置される。このとき、基板3は、前工程のスパッタリングによりその表面に
TiN膜等が形成され、かつ基板3のへりの部分にリング形状のSiO2露出面
が形成されている。その後、基板3はサセプタ4に置かれ、リングチャック9が
降りて基板3を固定する。リングチャック9の点接触部10を基板3のへりの周
辺に接触させて、基板3を固定する。基板3が固定されると、ガス吹出し部17 から反応ガスが吹出し、反応室内に導入される。反応ガスは、基板3の表面での
化学反応により薄膜が形成される。タングステン成膜処理には、反応ガスWF6
,H2を反応容器1内に導入することによって、WF6のH2還元反応により基板
3上にW薄膜が形成される。未反応ガスおよび副生成ガスは、排気管2を通して
外部に排気される。上記の成膜が行われている間、下方からはノズル20を通し
てパージガスが、成膜条件に応じた所要の流量で供給される。CVD装置内に供
給されたパージガスは、間隙11を通って反応空間内に吹出される。 【0077】 上記の構成を有するCVD装置ではつぎのふたつの作用が生じる。 【0078】 まず第1の作用は基板上の膜厚分布の均一性の向上である。基板3を固定する
リングチャック9は点接触部10のみで基板3と接触するため、基板と全周が接
触していた従来構造に比べ基板3からリングチャック9への熱の逃げが接触面積
の減少分だけ減る。そのため基板温度がへりの部分で急激に低下することなく、
従来のような基板のへりの部分でのシート抵抗値の急激な上昇もなくなって基板
表面全面で均一な膜厚分布を得ることができる。 【0079】 全基板表面の温度を均一にする前提として、サセプタに熱伝導率の高い材料を
使用する。基板に接触するサセプタの表面が基板の温度の分布を決定する。熱伝
導率の高い材料であれば、サセプタの温度を速やかに所定の温度に設定できる。
つまりサセプタに置かれた基板の温度も速やかに所定の温度になるといえる。加
熱機構、たとえばランプヒータ、の放出される熱量(輻射熱)の微妙な調整に対
しても鋭敏にサセプタ及び基板の温度が調整できる。熱伝導率の高い材料として
、アルミニウム、カーボンおよび銅があげられる。本実施例のサセプタはアルミ
ニウム製である。 【0080】 さらに、全基板表面の温度の均一性を達成するためには、複数のランプヒータ
を基板の裏側に配置する。そして、各ランプヒータは光照射量を制御できる電力
制御機構をそなえている。個々のランプヒータの配置位置関係およびその電力制 御機構を調節することで、全基板表面の温度を均一にすることができる。リング
チャックが基板を押さえつける接触部で基板の熱が逃げることが考えられる。そ
のため、その接触部周辺で基板表面の平均温度より低くなることが考えられる。
そこで、個々のランプヒータの配置位置として、リングチャックが基板を抑える
接触部周辺の裏面に配置することが最適といえる。そして、個々のランプヒータ
の電力制御機構でそれぞれのランプヒータの光照射量を微妙に調節をする。とく
に、ランプヒータの配置関係としては、接触部の裏面に基板の中心に同心円上に
等間隔に配置すると、その接触部に光を均一に照射できる。このようなランプヒ
ータ配置関係により、従来のようにひとつの円形ランプヒータまたはふたつの半
円形ランプヒータを用いた場合のその切れ目による光照射の不均一の問題が生じ
ない。また、各ランプヒータの電力制御機構により、リングチャックが基板を抑
えつける圧力の不均一さ、または、同一投入電力でもそれぞれのランプヒータの
光照射量の微妙な差を各ランプヒータに投入する電力をそれぞれ別個に制御する
ことで基板表面の温度を補正することができる。この補正の手順とし、複数のラ
ンプヒータを基板の接触点の周辺の裏側に基板の中心と同心円上に等間隔で配置
する。つぎに、同一かまたは適当な電力を各ランプヒータに加えた状態で成膜を
行い、その膜厚分布より基板表面内での温度の偏りを知りその偏りに応じて各ラ
ンプヒータの電力の増減を行う。その後再び成膜を行い、その膜厚分布の結果が
満足するものであれば終了し、満足するものでなければ再び前記補正の操作を繰
り返す。本実施例では接触部が12個あるので、同心円上に等間隔に配置するラ
ンプヒータの個数として12個配置するのがもっともよい。 【0081】 また、さらに全基板表面の温度の均一性を精密に達成するためには、サセプタ
において、基板と接する側の表面に段差加工を行う。段差加工の領域とその深さ
を制御することで基板表面の温度分布を制御し、膜厚分布をより均一に達成でき
る。段差の深さ、形状の決定は、最初段差がない状態で成膜を行いその膜厚分布
よりシート抵抗値が低い部分すなわち温度が相対的に高い部分に対応して適当な
段差加工を施す。その後、成膜を行いその時の膜厚分布が満足するものであれば
終了し、満足するものでなければ再び段差加工による補正を行う。段差加工の領 域は、つぎのようにすると決定することができる。最初に加工前のサセプタを用
いて基板に成膜させる。基板全面に堆積した膜のシート抵抗値を測定する。シー
ト抵抗値の最大値と最小値からシート抵抗値の平均値を導き出す。シート抵抗値
は基板表面の温度と反比例する。シート抵抗値の最大値は基板表面の最も低い温
度を、その最小値は基板表面の最も高い温度をそれぞれ示す。そのシート抵抗値
の平均値は基板表面温度の平均値を示すことになる。そこで、シート抵抗値の平
均値よりも低いシート低抗値、すなわち基板温度の平均値より高い温度、を示す
領域に段差加工をすればよい。その段差加工された領域の深さはつぎのようにし
て決定できる。サセプタの段差加工された部分は、基板とサセプタとの間に間隙
を形成する。この間隙に通常パージガスがはいりこむ。この間隙の幅はその入り
込むガスの平均自由工程よりも大きいと考えられるため、ガスの流れの状態は粘
性流の状態といえる。この間隙を通して基板に熱が伝わる。この間隙に存在する
ガス、すなわちパージガス、の流れの状態が粘性流であるため、基板に伝わる熱
量はガスの種類と間隙の幅、すなわち段差の深さに依存する。特定のパージガス
、たとえばAr ガスを使用したときは、結局、基板に伝わる熱量は間隙の幅、す
なわち段差の深さのみに依存する。段差が深くなればなるほど、基板に伝わる熱
量は減少する。いいかえれば、段差が深くなればなるほど、基板の表面温度の上
昇がおさえられる。以上の見地に基づいて、平均温度(平均シート抵抗値)とそ
れよりも高い温度(低いシート抵抗値)の温度差(シート抵抗値の差)に対応し
て、段差の深さを調節する。たとえばサセプタがアルミニウム製でパージガスが
Arガスのとき、図13及び図8のグラフから段差を0.1mm深くなるにつれ
て基板表面の温度が約6℃さがることがわかった。このような段差の深さと基板
表面の温度差との関係を容易に見いだすことはできる。この関係に基づき、段差
加工の深さを調節することで、基板表面全体の温度分布を均一にすることができ
る。また、さらに、このように段差加工したサセプタを用いて基板に成膜させそ
のシート抵抗値から、段差加工領域と深さを再度調節してもよい。このように領
域とその深さを調節して段差加工したサセプタを使用すれば、基板表面全体の温
度分布を精密に均一にすることができる。その結果、所望の基板温度を設定する
と、基板表面全体のどの部分でも所望の温度となる。 【0082】 以上膜厚分布の向上について具体例を述べる。 【0083】 最初に12個のランプヒータをリングチャック9が基板3を抑える接触部周辺
の裏側に基板の中心と同心円上に等間隔で配置した。図16は、そのランプヒー
タ配置でアルミ製サセプタ4に段差加工をしないときの等シート抵抗値線を示し
た図である。さらに、それぞれの電力制御機構を調節し基板の周辺部で温度が高
くなっている部分が同心円の環状なるようにした。図6の等シート抵抗値線が密
になっている部分が、基板表面上で温度が高くなっている部分である。そこで、
その同心円上に温度が高くなっている部分に対応するサセプタ4の部分に段差加
工を施した。その結果が図7及び図8である。 【0084】 図7と図8は、本実施例の装置によって8インチ基板上に成膜されたW膜のシ
ート抵抗値分布である。図7はφ180mm径内での面内分布であり、分布は±
3.7%と良好となっている。図7では従来のランプヒータ形状からくる不均一
さは見られない。また、図8はある半径方向に沿ったシート抵抗値分布図である
。図8では従来装置を用いた場合に比べ基板のへりの部分でのシート抵抗値の急
激な上昇がなく、またサセプタの段差加工の効果によって従来結果ではシート抵
抗値が低かった部分が高く凸になっておりシート抵抗値分布は±3.3%と良好
になっている。本実施例における段差加工形状は8インチ基板を処理するにあた
って検討した結果は、外径φ170mm内径φ80mm深さ0.1mmの環状の
段差加工が最も良好であった。また、6インチ基板を処理するにあったては外形
φ120mm内径φ60mm深さ0.1mmの環状の段差加工が最も良好であっ
た。更に基板にオリフラが存在する場合はオリフラを考慮し、基板の端から段差
加工のへりの部分までの距離が一定になるように段差加工のへりの部分はオリフ
ラ側でオリフラと平行にすると良い。 【0085】 第2の作用は明確なシャドウ領域の形成とマイクロピーリングの防止である。
図2で明らかなように、基板3の表面に薄膜24が形成されるとき、点接触部1 0の中心軸Oに面する側面、すなわち内側の側面は内縁端面9bと同一面となら
ないので、薄膜24が、点接触部10の内側の側面部を経由してリングチャック
9の上面に至るまでひとつづきに形成される部分がどこにもない。従って、基板
3からリングチャック9がはなれるとき、従来装置で発生したマイクロピーリン
グが発生しないので、微細なダストパーティクルが発生することはない。 【0086】 また上記実施例の構成では、所要流量のパージガスを間隙11から反応室側へ
吹出すようにしたため、反応ガスが間隙11内に侵入するのをパージガスで阻止
し、基板3の表面上に形成される薄膜24が、間隙11内の基板のへりの部分の
表面に至るまで形成されることがない。図2に示されるように、薄膜24のへり
の部分はリングチャック9の内縁端面9bにほぼ一致した位置に形成される。薄
膜24のへりの部分の形成位置がリングチャック9の内径円にほぼ一致するよう
に、間隙11から吹出されるパージガスの流量が設定される。このため、後述す
るように、パージガスの流量(符号Cで表す)は、前述した間隙11の距離Aお
よびリングチャック9が基板3のへりの部分を覆う重複部分の幅Bとの間におい
て、特定の関係を満足するように設定される。パージガスの流量と点接触部の位
置関係を調節することで、基板3の表面に形成される薄膜24が、間隙11内に
侵入して、点接触部10の側面部にひとつづきとなって薄膜が形成することはな
い。従って、薄膜24は点接触部10に及ばないので、リングチャック9が基板
3からはなれるときに、マイクロピーリングを発生させず、ダストパーティクル
の発生することはない。 【0087】 また、間隙11から所要流量のパージガスを吹出すことにより、急峻なシャド
ウ境界が形成されることを可能にする。急峻なシャドウ境界を形成することは、
同時に、基板のへりの部分に接触する点接触部10の側面に薄膜を形成させない
ことを意味する。 【0088】 図4〜図6を参照して、本実施例におけるシャドウの形成について説明する。
図4〜図6はリングチャック9の内径円と基板3のへりの部分との関係を示し、 各図にはそれぞれ前述したA(間隙11の高さ)、B(重複部分の幅)、C(パ
ージガスの流量)が示されている。シャドウ領域が形成されるのは、パージガス
を間隙11から反応室へ吹出し、間隙11内で反応ガス(主にWF6)を枯渇さ
せることにより、リングチャック9の内径円近傍で成膜速度が急速に低下する結
果である。このシャドウ形成におけるシャドウ幅を決定するパラメータは、間隙
11から吹出すパージガスの線速度C/Aと、間隙11内に侵入する反応ガスの
拡散速度である。図4〜図6では、パージガスの線速度C/Aとシャドウ形成状
態の関係を示す。 【0089】 図4〜図6では、パージガスの流量を一定とした場合において、リングチャッ
ク9と基板3との距離Aを変化させときの、リングチャック9の内径円付近の
基板3上の成膜領域の結果を示している。図4に示すごとく、リングチャック9
と基板3との間隔が最適距離(ここではAが最適な値であるとする)においては
、基板のへりの部分の成膜されない部分の幅、すなわちシャドウの幅が、リング
チャック9が基板3のへりの部分を覆う幅Bに等しくなり、これにより所望のシ
ャドウを得ることができる。これに対し、図5に示すごとく、リングチャック9
と基板3との間隔が最適距離Aよりも大きい値A1であるときには、パージガス
の線速度C/A1が小さくなり、基板3上の成膜領域は間隙11の間に侵入して
基板のへりの部分のSiO2領域まで成膜されるので、好ましくない。一方、図
6に示すごとく、リングチャック9と基板3との間隔が最適距離Aよりも小さい
値A2であるときには、パージガスの線速度C/A2が大きくなり、基板3上の
成膜領域はリングチャック9の内径円近傍にも達せず、縮んでしまうので、好ま
しくない。 【0090】 図5および図6の場合には、C/A1またはC/A2が最適値C/Aと一致す
れば、基板上の成膜領域に関し、図4に示した状態と同じ状態を作ることができ
る。すなわち、Aが大きいときにはパージガスの流量Cを増し、Aが小さいとき
にはパージガスの流量Cを減らすことにより、線速度を最適な値にし、図4に示
す最適な成膜領域を形成する。 【0091】 ただし、パージガスの流量が増大すると、反応容器1内の圧力が増大し、成膜
プロセスに影響を与える。例えば、全圧を固定した場合、H2分圧が相対的に減
少し、成膜速度の低下を招く。このような場合には、装置の機械的精度が許す範
囲で間隔Aを小さくし、パージガスの流量Cも小さくすべきである。 【0092】 点接触部10は、図17に示すように、リングチャック9の内縁端面9bより
も中心軸Oの径方向の外側であって、基板3の側面と点接触部10の外側の側面
がそろう位置に配置することもできる。基板3を最もしっかりとサセプタ4に接
触させることができる。さらに、図2のBが一定ならば、基板表面上に薄膜が生
成する面積を最も広くすることができる。 【0093】 間隙11における点接触部10が設けられた箇所では、点接触部10の存在自
体がパージガスの進行の障害になるので、前述の成膜領域の制限効果を単純に当
てはめることはできない。そこで点接触部10が設けられた箇所において、成膜
領域が点接触部10に及ばないようにするため、前述のごとく、点接触部10を
できる限り小さいものとし、また点接触部10の側面を曲面とした。本実施例で
は、点接触部10の形状を円柱とした。これによって、図3に示すようにパージ
ガス25が点接触部10の内側にも十分に回り込み、点接触部以外の箇所と同様
なシャドウ形成効果が生じる。また点接触部10の大きさについては、リングチ
ャック9が基板3のへりの部分を覆う幅Bとの関係に基づいて決定される。なお
図3において、26は基板3の円周を示す線であり、27はリングチャック9の
内径円を示す線である。 【0094】 次に具体的な実施例について説明する。前述の通り、シャドウは、間隙11の
間隔Aと、リングチャック9が基板3を覆う幅B(リングチャック9の内径円の
半径と基板3の半径との差)、パージガス(Arガス)流量Cとによって決定さ
れる。これらのパラメータの最適値は、A:0.2〜0.3mm、B:3mm、
C:300sccmである。この最適値の場合には、リングチャック9の内径円 付近の下の基板上での成膜状態は、図4に示すように、急激に膜厚が薄くなる。
基板3のへりの部分領域には成膜せず、明確なシャドウが形成された。この時の
シャドウ幅はBとほぼ等しく、3mmであった。図15は本実施例の装置によっ
て基板上に成膜されたブランケットW膜のへりの部分に形成されたシャドウライ
ンを光学顕微鏡によって観察した一例(写真)である。幅約0.3mm程度の良
好なシャドウラインが形成されており、マイクロピーリングは全く観察されなか
った。図20は、基板全体に急峻なシャドウラインが形成された図解をしめす。
また電子顕微鏡の観察の結果、膜厚が急激に薄くなるのは、図2に示すように、
300μm程度の幅Dの範囲内であり、それより内側の成膜は正常に行われた。
このとき12個の点接触を有するリングチャック9を用いた。各点接触の内側の
側面がリングチャック9の内径円より大きな円51の円周上に等間隔で配置され
ている。 【0095】 点接触部10の基板3と接触する面積は、できるかぎる小さいほうがよい。熱
の移動量は接触する面積に比例するから、基板3からリングチャック9に逃げる
熱の量は、点接触部10の基板3と接触する面積で決定される。すなわち、点接
触部10の底辺部の面積できまる。そこで、図18にしめすように点接触部10
の底辺部の形状を曲面とするとよい。さらに、点接触部10は図19に示すよう
にピン形状にするとよい。 【0096】 点接触部10の断面でもっとも長い距離は、Bの距離よりも小さい。すなわち
、点接触部10の断面が円形であるときは直径、楕円形であるときは長径がBの
距離よりも小さい。とくに、Bの距離の半分以下に設定することが望ましい。B
が3mmであるときには、点接触部10の直径または長径は1.0〜1.5mm
である。本実施例の場合、点接触部10が形成された箇所においても、シャドウ
の幅は3mmであった。 【0097】 もっとも好適なマルチチャンバ方式のCVD装置(an integrated multi-cham
ber CVD processing system)を図21に示す。このマルチチャンバ方式のCV D装置は、図1の構成を備える4つのCVD処理用真空容器P(1)、P(2)
、P(3)及びP(4)、搬入用ロードロック真空容器300、搬出用ロードロ
ック真空容器301とこれらの中心に配置された基板搬送用真空容器304で構
成されている。図示してないが、各真空容器は真空ポンプが備え付けられている
。とくに、各CVD処理用真空容器の排気管2には油回転ポンプ(oil-sealed r
otary pump)つながっている。各CVD処理用真空容器の外壁には各CVD処
理用真空容器の壁面の温度を調節する熱媒体が流れる循環路30が備え付けられ
ている。各CVD処理用真空容器の循環路30は、図示してないがそれぞれ配管
31を通じて温度調節機構を有する循環ポンプにつながっている。各真空容器間
にはゲートバルブ302が備え付けられている。搬送用真空容器304内の中心
には、基板搬送用の蛙足型多関節ロボット303が配置されている。蛙足型多関
節ロボット303は、ベースプレート305上に、アーム312、ふたつの基板
待機ステージ306、307とアーム312に結合した基板把持用ハンド308
で構成されている。基板把持用ハンド308には、基板をつかむための4つの爪
309を有している。ふたつの基板待機ステージ306、307は、基板把持用
ハンド308の前後の運動方向310の下に配置されている。基板待機ステージ
307上には未処理の基板53が乗っている。アーム312は上下に動くことが
できる。アーム312が上下運動できることで基板待機ステージ上に基板を置い
たり、とりあげたりすることができる。ベースプレート305が自転することで
、蛙足型多関節ロボット303全体が回転する。この回転運動できることで蛙足
型多関節ロボット303は各CVD処理用真空容器に面することができる。蛙足
型多関節ロボット303の搬送方法は、前述したとおりである。 【0098】 このマルチチャンバ方式CVD装置を用いて搬送方法をしめす。 【0099】 ひとつのCVD処理用真空容器のメンテナンス作業が必要となるのは、約1,
000程度基板が処理されたときである。1枚の未処理の基板が搬入用ロードロ
ック真空容器300からでてCVD処理用真空容器で処理され、処理済みの基板
が搬出用ロードロック真空容器301にもどってくるまで、約6分程度かかる この条件で、ひとつのCVD処理用真空容器がメンテナンス作業中に他のCV
D処理用真空容器で基板をする方法を説明する。メンテナンス作業時間は、通常
、5時間程度必要となる。基準処理枚数Wc=Tm/t=5×60(分)/6(
分/枚)=50(枚)。 【0100】 この方法を図22を用いて説明する。最初にP(1)、P(2)、P(3)、
P(4)に基板を搬送し処理する。第1回目のそれぞれのCVD処理用真空容器
のメンテナンス作業はP(4)の処理枚数が850枚、P(3)の処理枚数が9
00枚、P(2)の処理枚数が950枚、および、P(1)の処理枚数が1,0
00枚までそれぞれ処理が達したら、メンテナンス作業を開始する。第1回目の
メンテナンス作業期間は、基板処理開始から85時間後に始まり105時間後に
終了する。このメンテナンス作業期間の所要時間は20時間である。 【0101】 第2回目のそれぞれのCVD処理用真空容器のメンテナンス作業はP(4)の
処理枚数が1,900枚、P(3)の処理枚数が1,950枚、P(2)の処理
枚数が2,000枚、および、P(1)の処理枚数が2,050枚までそれぞれ
処理が達したら、メンテナンス作業を開始する。第2回目のメンテナンス作業期
間は、基板処理開始から190時間後に始まり210時間後に終了する。 【0102】 以上の手順を繰り返す。 【0103】 この処理方法によれば、メンテナンス作業期間の20時間の間は、6分おきに
3枚づつ処理される。 【0104】 メンテナンス作業時間をあらかじめ50時間(約2日)としておきたいときの
基板処理方法は次のようになる。メンテンス基板枚数Wc=300(分)/6(
分/枚)=500(枚)。最大使用処理用真空容器の個数Nu=Wm/Wc=1
,000(枚/個)/500(枚)=2(個)。群の個数G=n/(Nu+1)
=4/3=1(あまり1)。4個のCVD処理用真空容器でメンテナンス作業時 間50時間だと、ひとつの群をつくることができる。そこで、ひとつの群を{P
(1)、P(2)、P(3)}でつくる。あまりのCVD処理用真空容器RPは
P(4)とする。 【0105】 この方法を図23を用いて説明する。最初に、P(1)、P(2)、P(4)
に基板を搬送し、処理する。処理枚数が500枚に達したら、P(1)に処理を
停止する。それと同時に、P(3)に基板を搬送し処理を始める。P(2)、P
(3)、P(4)に基板を搬送して処理する。P(2)とP(4)の処理枚数が
1,000枚に達したら、P(2)とP(4)の処理を停止してメンテナンス作
業を開始する。P(2)の処理停止と同時にP(1)の処理を開始する。P(3
)、P(1)で基板処理をしている間に、P(2)とP(4)をメンテナンス作
業する。P(3)の処理枚数が1,000枚に達したらP(3)の処理を停止し
て、メンテナンス作業を開始する。P(3)の処理停止と同時にP(2)とP(
4)を再開する。P(1)、P(2)、P(4)で基板処理をしている間にP(
3)のメンテナンス作業をする。この手順を繰り返して行う。 【0106】 この方法によれば、処理開始から100時間まで約6分おきに基板3枚が処理
される。つぎの100時間から150時間の間は約6分おきに基板2枚処理され
る。150時間から250時間の間は約6分おきに基板3枚処理される。あまり
のCVD処理用真空容器P(4)で処理している時間である100時間中は基板
は3枚処理される。P(4)がメンテナンス作業で中断されている時間の50時
間は基板は2枚処理される。すなわち、100時間の期間は約6分おきに基板3
枚処理され、つぎの50時間の期間は約6分おきに基板2枚処理される。 【0107】 なお、最初に500枚数ごとに中止したP(1)は、つぎの処理が開始するま
で、メンテナンス作業を行ってもよい。そのメンテナンス作業の所要期間は、5
0時間である。 【0108】 もし、上述と同一条件でCVD処理用真空容器が5個であるときは、ひとつの 群とあまりが2個のCVD処理用真空容器となる。そこで{P(1)、P(2)
、P(3)}をひとつの群として、あまりのCVD処理用真空容器RPはP(4
)とP(5)となる。P(4)とP(5)がメンテナンス作業をするまでの時間
の期間、すなわち処理開始から100時間までは、基板は約6分おき4枚処理さ
れる。P(4)とP(5)がメンテナンス作業している期間中、つぎの100時
間から150時間の間は約6分おきに基板2枚処理される。 【0109】 もし、上述と同一条件でCVD処理用真空容器が6個であるときは、ふたつの
群となる。そこでひとつの群を{P(1)、P(2)、P(3)}ともうひとつ
の群を{P(4)、P(5)、P(6)}とする。このばあいは、連続して約6
分おきに基板4枚処理される。 【0110】 CVD処理用真空容器内のメンテナンス作業のうちのひとつの作業であるクリ
ーニングを簡便にするため、図24にしめすようにリングチャクをふたつの部
分に分ける。リングチャク9は、支柱12に結合している台の部分44上に基
板3覆うひさしの部分43を六角穴付きボルト41で固定することで組み立てら
れる。ひさしの部分43の表面は、反応ガスにさらされる。そのため、図24に
しめすようにひさしの部分43の表面上にのみW膜47が堆積することになる。
リングチャク9をクリーニングする際には、ひさし部分のみをとりかえればよ
いといえる。 【0111】 さらに、台の部分44にはくぼみ46が形成されている。このくぼみ46が、
リングチャック9の内部を流れる熱媒体の流路となる。この熱媒体は、せいぜい
約200℃程度に加熱された媒体である。熱媒体の温度が200℃以上であると
リングチャク9上にW膜が堆積するのを促進するので好ましくない。この熱媒
体は冷却媒体ではない。なぜなら、もし、冷却媒体であると、基板3からリング
チャック9への熱移動が促進されるからである。WF6とH2との化学反応でW膜
を生成する場合、熱媒体の最適な最低温度として約70℃といえる。熱媒体の温
度が70℃以上であれば、この化学反応で生成する副生成物であるフッ化水素 ガスがリングチャックの表面上に付着しないからである。したって、この場合
の熱媒体の設定温度範囲は、約70℃から約200℃といえる。 【0112】 熱媒体として、Arガス、N2ガスなどの不活性ガス、油、水がある。とくに
、不活性ガスが好ましい。不活性ガスは、真空容器内にもれても、CVD反応に
影響を与えない。さらに、クリーニング作業でリングチャク9をとりはずした
とき、くぼみ46に残ることがないので、真空容器内にこぼれ落ちることはない
。クリーニング作業に熱媒体が真空容器の内壁や他の部品に付着することはない
。六角穴付きボルト41とくぼみ46との間には溝が形成され、そこにフッ化ゴ
ム製Oリングゴム45が設置されている。Oリングゴム45により、熱媒体が真
空容器内に漏れるのを防止している。支柱12の内部を通っている配管42とく
ぼみ46は、支柱12が台部分44と結合しているところの内部でつながってい
る。リングチャク9の中で熱媒体が循環されるので、リングチャク9が加熱
される。基板3と接触部10との温度差が少なくなるのでその温度差による熱量
の移動を抑制することができる。したがって、基板3のへりの部分で温度が低下
するのを防止できる。 【0113】 ひさしの部分44はタングステン製または商標「モネルメタル」(“MONE
L”metal)のニッケルと銅の合金製である。これらの材質であれば、熱膨張係
数がW膜と同じなため、ステンレス製よりも膜厚が厚くてもダストパーテクルは
発生しない。そのため、ステンレス製のリングチャクよりもメンテナンス作業
に達するまでの処理枚数を増やすことができる。 【0114】 【発明の効果】 本発明によれば、ブランケットタングステンにより成膜を行うマルチチャンバ
方式のCVD装置において、良好な膜厚分布を得ることができ、また基板にタン
グステン膜を成膜した後に、リングチャックを基板から離しても、マイクロピー
リングによる微細な剥がれが生ぜず、微細なダストパーティクルの発生を抑え、
高い歩留まりを達成することができる。また明確な形状のシャドウ領域を作るこ とができ、これによってダストパーティクルの発生を抑え、同様に高い歩留まり
を維持できる。また、本発明によれば、マルチチャンバ方式のCVD装置の処理
方法において、メンテナンス作業のために装置の稼働を中断せずに、連続して成
膜することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 この発明に係るCVD装置の好適な実施例を示す縦断面図である。 【図2】 リングチャックと基板との関係を示した図1の拡大縦断面図である。 【図3】 リングチャックと基板との関係を示した部分平面図である。 【図4】 リングチャックと基板の位置関係を説明するための第1の条件を示す縦断面図
である。 【図5】 リングチャックと基板の位置関係を説明するための第2の条件を示す縦断面図
である。 【図6】 リングチャックと基板の位置関係を説明するための第3の条件を示す縦断面図
である。 【図7】 この好適な実施例による12個のランプヒータの配置しサセプタに段差加工施
したときの膜厚分布で基板面内分布を等シート抵抗値線で示した図である。 【図8】 この好適な実施例による膜厚分布で基板半径方向のシート抵抗値分布と、本実
施例で用いたサセプタの表面に形成した段差加工を対応させて示した図である。 【図9】 従来のCVD装置の縦断面図である。 【図10】 従来のCVD装置で発生するマイクロピーリングを説明するための図である。 【図11】 従来のCVD装置で発生するマイクロピーリングを説明するための図である。 【図12】 従来のCVD装置による膜厚分布で基板面内分布を等シート抵抗値線で示した
図と従来のCVD装置で使用されたふたつの半円形ランプヒータの配置を膜厚分
布と対応させて示した図である。 【図13】 従来のCVD装置による膜厚分布で基板半径方向のシート抵抗値分布を示した
図である。 【図14】 基板上に形成された微細なパターンを表しているものの写真であり、さらに詳
しくは、従来のCVD装置によってブランケットW膜が成膜された基板上のへり
の部分に発生したマイクロピーリングを示す写真である。 【図15】 基板上に形成された微細なパターンを表しているものの写真であり、さらに詳
しくは、本発明の好適な実施例によるCVD装置によってブランケットW膜が成
膜された基板上のへりの部分に発生したシャドウラインを示す写真である。 【図16】 12個のランプヒータの配置しサセプタに段差加工をしないときの膜厚分布で
基板面内分布を等シート抵抗値線で示した図である。 【図17】 リングチャックの接触部の外側の側面と基板の側面がそろっている位置関係を
示した縦断面図である。 【図18】 リングチャックの接触部の基板と接触する面が曲面で接触部の外側の側面と基
板の側面がそろっている位置関係を示した縦断面図である。 【図19】 リングチャックの接触部がピン形状の接触部でその外側の側面と基板の側面が そろっている位置関係を示した縦断面図である。 【図20】 基板全体に明確なシャドウラインが形成された図解をしめす。 【図21】 各モジュール化された処理用真空容器が全てCVD処理用反応容器であるマル
チチャンバシステムの好適な実施例をしめす。 【図22】 各CVD処理用真空容器での処理手順をしめすフローチャート図である。 【図23】 各CVD処理用真空容器での処理手順をしめすフローチャート図である。 【図24】 台の部分とひさしの部分で組立られているリングチャック図である。 【図25(a)】 各CVD処理用真空容器でのメンテナンス作業に達するまでの基板の処理枚数
を示す表である。 【図25(b)】 各CVD処理用真空容器での処理手順をしめすフローチャート図である。 【符号の説明】 1 反応容器 2 配管 3 基板 4 サセプタ 5 ランプヒータ 6 熱電対 9 リングチャック

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 光透過材でできた窓を有する反応容器と、その反応容器内に窓
    と対向する位置に配置された基板保持体と、この基板保持体の上に設置された基
    板を固定するリング状の固定部材を有し、反応容器内に反応ガスを供給する反応
    ガス供給機構と、基板保持体の後方であって反応容器外に配置された複数の加熱
    機構と、基板保持体の裏側からパージガスを供給するためのパージガス供給機構
    と、さらに、反応容器内を排気する排気機構を備えたCVD処理を行う装置にお
    いて、 (a)リング状固定部材の中心軸上に基板の中心位置し、 (b)リング状固定部材の内径円の径は基板の径より小さく、 (c)リング状固定部材は基板と接触する少なくとも3つの接触部を有し、 (d)すべての接触部は、リング状固定部材の中心軸に面する接触部の側面が
    内径円の径より大きな径の同心円の円周上に位置し、さらに、等間隔の位置で配
    置され、さらに、 (e)反応容器内で窓と基板保持体の間、基板保持体とリング状固定部材の間
    およびリング状固定部材と基板との間でパージガスが流れる通路を形成すること
    を特徴とするCVD装置。 【請求項2】 請求項1記載のCVD装置において、リング状固定部材の内径
    円の半径は、基板上にあらかじめ堆積した薄膜の領域でリング状固定部材の中心
    軸とその薄膜領域との最短距離よりも短いことを特徴とするCVD装置。 【請求項3】 請求項2記載のCVD装置において、リング状固定部材の中心
    軸に面する接触部の側面が位置する同心円の半径が、あらかじめ堆積した薄膜の
    領域でリング状固定部材の中心軸とその成膜領域との最長距離より長くすること
    を特徴とするCVD装置。 【請求項4】 請求項1記載のCVD装置において、リング状固定部材の中心
    軸の外側に面する接触部の側面は基板の側面にそろう位置に配置されること特 徴とするCVD装置。 【請求項5】 請求項1記載のCVD装置において、接触部の側面は、曲面で
    あることを特徴とするCVD装置。 【請求項6】 請求項5記載のCVD装置において、接触部の形状は、円柱で
    あることを特徴とするCVD装置。 【請求項7】 請求項5記載のCVD装置において、接触部の断面は、楕円で
    、その楕円の長径がパージガスの流線方向にそろうことを特徴とするCVD装置
    。 【請求項8】 請求項5記載のCVD装置において、接触部の基板と接触する
    辺部は、曲面であることを特徴とするCVD装置。 【請求項9】 請求項5記載のCVD装置において、接触部の基板と接触する
    辺部は、ピン形状であることを特徴とするCVD装置。 【請求項10】 請求項1記載のCVD装置において、接触部の断面のもっと
    も長い距離は、リング状固定部材の内径円の半径と基板の半径との差の距離Bの
    半分以下であることを特徴とするCVD装置。 【請求項11】 請求項10記載のCVD装置において、円柱形状の接触部の
    断面の直径は、リング状固定部材の内径円の半径と基板の半径との差の距離Bの
    半分以下であることを特徴とするCVD装置。 【請求項12】 請求項10記載のCVD装置において、接触部の楕円形状の
    断面の長径は、リング状固定部材の内径円の半径と基板の半径との差の距離Bの
    半分以下であることを特徴とするCVD装置。 【請求項13】 請求項1記載のCVD装置において、Arガスをパージガス
    として、その流量が300sccmのとき、リング状固定部材の内径円の半径と
    基板の半径との差の距離Bは、3mm、接触部の高さAは0.2〜0.3mm、
    接触部の断面のもっとも長い距離が1.0〜1.5mmであることを特徴とする
    CVD装置。 【請求項14】 請求項1記載のCVD装置において、8インチ基板にたいし
    て接触部は12個であることを特徴とするCVD装置。 【請求項15】 請求項1記載のCVD装置において、リング状固定部材が 反応ガスにさらされる露出部とその他の部分のふたつの部分で組み立てられてい
    ることを特徴とするCVD装置。 【請求項16】 請求項15記載のCVD装置において、露出部分は基板を覆
    うひさし部分でその他の部分は支柱と結合している台部分であることを特徴とす
    るCVD装置。 【請求項17】 請求項16記載のCVD装置において、ひさし部分は基板に
    堆積する薄膜と同じ材料であることを特徴とするCVD装置。 【請求項18】 請求項17記載のCVD装置において、基板に堆積する薄膜
    がタングステン薄膜のとき、ひさし部分の材質はタングステンであることを特徴
    とするCVD装置。 【請求項19】 請求項16記載のCVD装置において、ひさし部分は基板に
    堆積する薄膜と同じ熱膨張係数の材料であることを特徴とするCVD装置。 【請求項20】 請求項19記載のCVD装置において、基板に堆積する薄膜
    がタングステン薄膜のときひさし部分の材質は「モネルメタル」であることを特
    徴とするCVD装置。 【請求項21】 請求項16記載のCVD装置において、台部分にくぼみが形
    成してあり、熱媒体を供給する配管とつながっていることを特徴とするCVD装
    置。 【請求項22】 請求項2記載のCVD装置において、基板上にあらかじめ堆
    積した薄膜とは、TiN膜及びTiW膜であることを特徴とするCVD装置。 【請求項23】 光透過材でできた窓を有する反応容器と、その反応容器内に
    窓と対向する位置に基板保持体が配置され、この基板保持体の上に設置された基
    板を少なくとも3つの接触部で固定するリング状の固定部材を有し、反応容器内
    に反応ガスを供給する反応ガス供給機構と、反応容器外に配置され窓を通して基
    板保持体をその裏側から光照射して加熱する複数の加熱機構と、基板保持体の裏
    側からパージガスを供給するためのパージガス供給機構と、さらに、反応容器内
    を排気する排気機構を備えたCVD処理を行う装置において、 (a)リング状固定部材の中心軸上に基板の中心が位置し、 (b)リング状固定部材の内径円の径は基板の径より小さく、 (c)すべての接触部は、リング状固定部材の中心軸に面する接触部の側面が
    内径円の径より大きな径の同心円の円周上に位置し、さらに、等間隔の位置で配
    置され、)各加熱機構は出力制御機構を有し、 ()各加熱機構は、リング状固定部材と基板との接触部分の周辺の後方に配
    置され、 ()基板保持体の基板と接触する表面が、基板表面の平均温度より高い温度
    の領域に対応する基板保持体の表面領域を、その基板平均温度との差に対応した
    深さで削りとられて段差が形成してある基板保持体で、さらに、 ()反応容器内で窓と基板保持体の間、基板保持体とリング状固定部材の間
    およびリング状固定部材と基板との間でパージガスが流れる通路を形成すること
    を特徴とするCVD装置。 【請求項24】 請求項23記載のCVD装置において、加熱機構はランプヒ
    ータであることを特徴とするCVD装置。 【請求項25】 請求項23記載のCVD装置において、窓は石英ガラスから
    できていることを特徴とするCVD装置。 【請求項26】 請求項23記載のCVD装置において、リング状固定部材の
    12個の接触部が円周上に等間隔に配置されていたとき、その位置の後方にそれ
    ぞれ12のランプヒータが配置されていることを特徴とするCVD装置。 【請求項27】 請求項23記載のCVD装置において、基板保持体が熱伝導
    率の高い材料でできていることを特徴とするCVD装置。 【請求項28】 請求項27記載のCVD装置において、基板保持体はアルミ
    ニウム、カーボン、および銅でできていることを特徴とするCVD装置。 【請求項29】 請求項27記載のCVD装置において、基板保持体がアルミ
    ニウム製でパージガスがArガスであるとき、段差の深さが0.1mm深くなる
    ごとに基板の表面温度が約6℃さがることを特徴とするCVD装置。 【請求項30】 請求項27記載のCVD装置において、アルミニウム製基板
    保持体、パージガスがArガスでさらに基板の径が8インチであるとき、アルミ
    ニウム製基板保持体の基板と接触する表面に外径φ170mm内径φ80mm 深さ0.1mmの環状の段差加工することを特徴とするCVD装置。 【請求項31】 請求項27記載のCVD装置において、アルミニウム製基板
    保持体、パージガスがArガスでさらに基板の径が6インチであるとき、アルミ
    ニウム製基板保持体の基板と接触する表面に外径φ120mm内径φ60mm深
    さ0.1mmの環状の段差加工することを特徴とするCVD装置。 【請求項32】 請求項27記載のCVD装置において、基板保持体の基板と
    接触する表面が、基板上に堆積したW膜の平均シート抵抗値より低いシート抵抗
    値の領域に対応する基板保持体の表面領域を、その平均シート抵抗値との差に対
    応した深さで削りとられて段差が形成してある基板保持体であることを特徴とす
    るCVD装置。 【請求項33】 請求項27記載のCVD装置において、リング状固定部材の
    内部に流れる熱媒体の流路を形成することを特徴とするCVD装置。 【請求項34】 請求項33記載のCVD装置において、熱媒体の温度は、せ
    いぜいCVD反応で膜が堆積する温度であることを特徴とするCVD装置。 【請求項35】 請求項34記載のCVD装置において、CVD反応でW膜が
    堆積するとき、約70℃以上約200℃以下の熱媒体であることを特徴とするC
    VD装置。 【請求項36】 請求項33記載のCVD装置において、熱媒体は水、油また
    は不活性ガスであることを特徴とするCVD装置。 【請求項37】 請求項36記載のCVD装置において、不活性ガスはArガ
    スまたはN2ガスであることを特徴とするCVD装置。 【請求項38】 基板搬送用真空容器と、その周囲に少なくとも3つのCVD
    処理用真空容器と搬出入用ロードロック真空容器をゲートバルプを介して結合し
    たマルチチャンバ方式CVD装置において、 (a)基板搬送用真空容器内の中心に配置された自転するベースプレート上に少
    なくとも2つの基板を保持する多関節ロボットが配置され、 (b)各処理用真空容器に排気機構が備え付けられ、 (c)各処理用真空容器に熱媒体が循環する循環路が備え付けられ、 (d)すべての処理用真空容器が同じCVD処理用モジュール反応容器であり、 (e)そのCVD処理用モジュール反応容器は、1枚の基板の薄膜形成処理を行
    う反応容器であり、 (f)そのCVD処理用モジュール反応容器は、その反応容器に光透過材ででき
    た窓を有し、その反応容器内に窓と対向する位置に基板保持体が配置され、この
    基板保持体の上に設置された基板を固定するリング状の固定部材を有し、反応容
    器内に反応ガスを供給する反応ガス供給機構と、反応容器外に配置され窓を通し
    て基板保持体をその裏側から光照射して加熱する複数の加熱機構と、さらに基板
    保持体の裏側からパージガスを供給するためのパージガス供給機構を備えおり、
    ここにおいて、 (1)リング状固定部材の中心軸上に基板の中心位置し、 (2)リング状固定部材の内径円の径は基板の径より小さく、 (3)リング状固定部材は基板と接触する少なくとも3つの接触部を有し、 (4)すべての接触部は、リング状固定部材の中心軸に面する接触部の側面が
    内径円の径より大きな同心円の円周上に位置し、さらに、等間隔で位置するよう
    に配置され、 (5)反応容器内で窓と基板保持体の間、基板保持体とリング状固定部材の間
    およびリング状固定部材と基板との間でパージガスが流れる通路を形成され、 (6)各加熱機構は出力制御機構を有し、 (7)各加熱機構は、リング状固定部材と基板との接触部分の周辺の後方に配
    置され、さらに、 (8)基板保持体の基板と接触する表面が、基板表面の平均温度より高い温度
    の領域に対応する基板保持体の表面領域を、その基板平均温度との差に対応した
    深さで削りとられて段差が形成してある基板保持体であることを特徴とするCV
    D処理用モジュール反応容器を有することを特徴とするマルチチャンバ方式CV
    D装置。 【請求項39】 請求項38記載のマルチチャンバ方式CVD装置において、
    多関節ロボットは蛙足型多関節ロボットであることを特徴とするマルチチャンバ
    方式CVD装置。 【請求項40】 請求項39記載のマルチチャンバ方式CVD装置において 、蛙足型多関節ロボットは、上下運動するアーム、アームに結合した基板把持用
    ハンドと基板把持用ハンドの運動方向の下に配置されているふたつの基板待機ス
    テージで構成されていることを特徴とするマルチチャンバ方式CVD装置。 【請求項41】 請求項39記載のマルチチャンバ方式CVD装置において、
    ひとつの基板待機用ステージとふたつの基板をつかむハンドを前後に配置した蛙
    足型多関節ロボットであることを特徴とするマルチチャンバ方式CVD装置。 【請求項42】 請求項39記載のマルチチャンバ方式CVD装置において、
    ひとつの基板をつかむふたつハンドを前後に配置した蛙足型多関節ロボットであ
    ることを特徴とするマルチチャンバ方式CVD装置。 【請求項43】 請求項39記載のマルチチャンバ方式CVD装置において、
    循環路は、温度調節機構を有する循環ポンプにつながっていることを特徴とする
    マルチチャンバ方式CVD装置。 【請求項44】 請求項38記載のマルチチャンバ方式CVD装置において、
    循環路を循環する熱媒体の設定温度の範囲は、CVD反応で生じる副生成物の飽
    和蒸気圧の温度以上、CVD反応で薄膜の生成する温度以下であることを特徴と
    するマルチチャンバ方式CVD装置。 【請求項45】 請求項44記載のマルチチャンバ方式CVD装置において、
    CVD反応でW膜が基板上に堆積し副生成物がHFガスであるとき、熱媒体の温
    度は約70℃以上約200℃以下であることを特徴とするマルチチャンバ方式C
    VD装置。 【請求項46】 請求項44記載のマルチチャンバ方式CVD装置において、
    循環路を循環する熱媒体は水または油であることを特徴とするマルチチャンバ方
    式CVD装置。 【請求項47】 請求項38記載のマルチチャンバ方式CVD装置において、
    排気機構は油回転ポンプであることを特徴とするマルチチャンバ方式CVD装置
    。 【請求項48】 反応容器と、その反応容器内に反応ガスを供給するための反
    応ガス供給手段と、その反応容器内で基板を保持するための基板ホルダと、その
    基板ホルダの表面に対して固定位置で基板の第2表面を保持するために基板の 第1表面と接触をするリング形状部材を有し、そして、基板の平均温度より高い
    温度の基板の領域に対応する基板ホルダの表面領域は、削られて段差部分を形成
    し、さらに、前記リング形状部材は、離れた個々の位置で基板と接触する複数の
    接触部材を有し、 (a)リング形状部材の中心軸上に基板の中心が位置し、 (b)リング形状部材の内径円の径は基板の径より小さく、 (c)すべての接触部材は、リング形状部材の中心軸に面する接触部材の側面
    が内径円の径より大きな径の同心円の円周上に位置し、さらに、等間隔の位置で
    配置されていることを特徴とするCVD装置。 【請求項49】 請求項48記載のCVD装置において、基板ホルダの表面の
    対応領域は、その基板領域と平均基板温度との差に比例した深さで削られている
    ことを特徴とするCVD装置。 【請求項50】 光透過性材料からなる窓を有する反応容器と、固定位置で基
    板を保持する基板ホルダであって、その基板ホルダの裏面が窓に面するように反
    応容器内に配置された基板ホルダと、基板ホルダ上で定められた位置に基板を固
    定するリング形状部材と、反応容器に反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、
    基板ホルダを加熱するために基板ホルダの裏面でかつ反応容器の外側に配置され
    た複数の加熱手段と、加熱手段に入力する電力を別々に制御するためにおのおの
    の加熱手段に対して個別の電力制御機構を有し、さらに、前記リング形状部材は
    、離れた個々の位置で基板と接触する複数の接触部材を有し、 (a)リング形状部材の中心軸上に基板の中心が位置し、 (b)リング形状部材の内径円の径は基板の径より小さく、 (c)すべての接触部材は、リング形状部材の中心軸に面する接触部材の側面
    が内径円の径より大きな径の同心円の円周上に位置し、さらに、等間隔の位置で
    配置されることを特徴とするCVD装置。 【請求項51】 請求項50記載のCVD装置において、複数の接触部材が基
    板と接触する個々の位置に対応する位置に加熱手段が配置されていることを特徴
    とするCVD装置。 【請求項52】 請求項51記載のCVD装置において、加熱手段がランプ ヒーターであることを特徴とするCVD装置。 【請求項53】 請求項50記載のCVD装置において、基板の平均温度より
    高い温度の基板の領域に対応する基板ホルダの表面領域が、削られて段差部分を
    形成していることを特徴とするCVD装置。 【請求項54】 請求項53記載のCVD装置において、基板ホルダ表面の対
    応領域は、その基板領域と平均基板温度との差に比例した深さで削られているこ
    とを特徴とするCVD装置。 【請求項55】 反応容器と、その反応容器内に反応ガスを供給するための反
    応ガス供給手段と、その反応容器内で基板を保持するための基板ホルダと、その
    基板ホルダに対して固定位置で基板の第2表面を保持するために基板の第1表面
    と接触をするリング形状部材を有し、そして、そのリング形状部材は、ひさしの
    部分と台の部分とからなり、ここにおいて、ひさし部分は、台の部分から別々に
    取り替えることができることを特徴とするCVD装置。 【請求項56】 請求項55記載のCVD装置において、台の部分は、その上
    の膜堆積を最小限にするために容器内のある位置に配置されていることを特徴と
    するCVD装置。 【請求項57】 請求項55記載のCVD装置において、リング形状部材には
    、熱媒体を流すための経路があることを特徴とするCVD装置。 【請求項58】 請求項55記載のCVD装置において、台の部分には、離れ
    た個々の位置で基板と接触する複数の接触部材があることを特徴とするCVD装
    置。 【請求項59】 請求項55記載のCVD装置において、ひさしの部分は、C
    VD処理で堆積されつつある膜材料の熱膨張係数と近い熱膨張係数の材料からで
    きていることを特徴とするCVD装置。 【請求項60】 反応容器と、その反応容器内に反応ガスを供給するための反
    応ガス供給手段と、その反応容器内で基板を保持するための基板ホルダと、その
    基板ホルダに対して固定位置で基板の第2表面を保持するために基板の第1表面
    と接触をするリング形状部材を有し、そして、そのリング形状部材は、ひさしの
    部分と台の部分とからなり、さらに、ここにおいて、ひさし部分は、台の部分 から別々に取り替えることができるCVD処理装置において、連続使用に対して
    台の部分を残しながらひさしの部分を取り替えることを含む反応容器の保守の方
    法。 【請求項61】 反応容器と、 その反応容器内に反応ガスを供給するための反応ガス供給手段と、 その反応容器内で所定の直径の範囲内で基板を保持するための基板ホルダを有
    し、 その基板ホルダの表面に対して固定位置で基板の第2表面を保持するために基
    板の第1表面と接触をするリング形状部材を有し、そのリング形状部材はリング
    形状部材の基底から伸びている複数の接触部材を有し、複数の接触部材は、基板
    の第1表面と接触しつつ、前記所定の直径によって描かれる軌跡に沿ってかつ離
    れた個々の位置で、さらに接触部材の内側の側面がリング形状部材の内側端面よ
    りも外側に配置され、かつ、リング形状部材の基底から基板への距離を所定の距
    離に保つように配置されており、 そして、反応ガスと反応する基板の中心部分と反応ガスと反応しない基板の外
    周部分との境界を生成するための手段を有し、その生成手段は、反応ガスが基板
    の外周部分と接触するのを防ぐために、基板とリング形状部材の基底との間にパ
    ージガスを供給するためのパージガス供給機構を有し、ここにおいて境界の大き
    さは、リング形状部材の基底から基板への距離とパージガスの流速とによって決
    定されることを特徴とするCVD装置。 【請求項62】 請求項61記載のCVD装置において、おのおのの接触部材
    は、底面を有し、おのおのの接触部材の全底面が基板と接触するように配置され
    ていることを特徴とするCVD装置。 【請求項63】 請求項61記載のCVD装置において、おのおのの接触部材
    の外側の側面は、基板の外側のへりと整合していることを特徴とするCVD装置

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